説明

リガンド合成

【課題】リガンドの製造方法を提供する。
【解決手段】式:
【化1】


(式中、Qは、リン、砒素およびアンチモンから選択され;X、XおよびXは炭素アニオンであり;R15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択され;R18は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基および置換ヒドロカルビル基から選択される)を有するリガンドの製造ための、リガンド合成方法が開示される。リガンドを後期遷移金属と錯体形成させて、重合反応および/またはHeckカップリング反応を触媒する触媒錯体を形成する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国標準技術局(NIST)により授与されたATP賞No.70NANB4H3014のもと、米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明において特定の権利を有する。
【0002】
本出願は、米国仮特許出願番号60/713,172号(2005年8月31日提出)の権利を主張する。
【0003】
本発明は、後期遷移金属と錯体形成して、様々な重合反応および/またはHeckカップリング反応を促進するのに有用な触媒錯体を形成することができるリガンド構造物を合成する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
後期遷移金属のための新規リガンドの同定およびかかるリガンドの商業的に利用可能な製造方法は重要である。例えば、後期遷移金属と錯体形成して、重合反応を触媒するのに活性である触媒錯体を形成する新規リガンドの同定は特に重要である。つまり、業界全体にわたって、制御された様式で極性モノマーを重合させることができる新規分子触媒錯体について、およびおだやかな条件下で極性モノマーをオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン)と共重合させることについてが依然として必要とされている。ポリマーの性質を変更するための多くの方法のうち、官能基を他の非極性物質中に組み込むことが多くの場合に理想的である。極性基を非極性物質中に組み入れると、その結果、得られるコポリマーの様々な物理的特性、例えば、靱性、接着性、バリア特性、および表面特性が変更されうる。これらの物理的特性における変化の結果、溶媒耐性、他のポリマーとの混和性およびレオロジー特性、ならびに生成物の性能、例えば、塗布適性、可染性、印刷適性、光沢、硬度、および傷抵抗が改善されうる。
【0005】
後期遷移金属と錯体形成して、Heckカップリング反応に活性な触媒錯体を形成する新規リガンドの同定もまた、もしくは商業的に重要である。
【0006】
リガンドを製造するための一つのアプローチは、米国特許第5,760,286号(Brandvold)に開示されている。Brandvoldは、式IV:
【0007】
【化1】

(式中、Aは水素、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属、第四級アンモニウム、およびホスホニウム基から選択される;Rは、水素、1〜約20個までの炭素原子を有するアルキル基、芳香族基またはアルアルキル基からなる群から選択される;Rは、1〜約20個までの炭素原子のアルキル基、芳香族基または縮合芳香族基、アルアルキル基、および5〜約10個までの環炭素原子を有するシクロアルキル基からなる群から選択される;およびRは、水素、1〜約20個までの炭素原子のアルキル基、芳香族基またはアルアルキル基、および5〜約10個までの環炭素原子を有するシクロアルキル基からなる群から選択される)
のリガンドの製造方法であって:
式II:
−PCl (II)
の化合物と式I:
【0008】
【化2】

の化合物とを反応させて、式III:
【0009】
【化3】

の生成物を得る第一反応(ここにおいて、前記第一反応は、有機相中に分散された1モル比の式Iの化合物の不均質混合物を、式IIの化合物の有機相中溶液に添加して反応混合物を得ることにより進行し、前記添加は、反応混合物が常に均質であるような速度で行われる);およびこれに続いて式RMの有機金属化合物により式IIIの化合物をアルキル化して、式IVのリガンドを得ること(ここにおいて、RMはグリニャール試薬または有機リチウムである)を含む製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,760,286号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、新規リガンドおよびかかるリガンドを良好な収率で、比較的高い純度で提供する新規リガンド合成方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の態様において、式:
【0013】
【化4】

を有するリガンドの製造方法であって、次の反応:
【0014】
【化5】

(ここで、Qはリン、ヒ素およびアンチモンから選択される;
、EおよびEは求電子金属である;
、VおよびVは弱塩基性アニオンである;
、XおよびXは炭素アニオンである;
15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択される;R18は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基および置換ヒドロカルビル基から選択される)
を含む方法が提供される。
【0015】
本発明のもう一つ別の態様において、式:
【0016】
【化6】

を有するリガンドの製造方法であって、次の反応:
【0017】
【化7】

(ここで、Qはリン、ヒ素およびアンチモンから選択される;
およびEは求電子金属である;
、VおよびVは弱塩基性アニオンである;
およびXは炭素アニオンである;および
15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択される;R18は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基および置換ヒドロカルビル基から選択される)
を含む方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「保護基」なる用語は、分子中の反応性基と結合した場合に、反応性基との望ましくない反応をマスクするか、軽減するか、または防止する原子の基をいう。保護基の使用は当該分野において周知である。保護基の例およびそれらがどのように使用されうるかは、特に、Protecting Groups in Organic Chemistry,J.W.F.McOmie(編)、1973、Plenum PressおよびProtective Groups In Organic Synthesis(Wiley,John & Sons,Inc.第3版、1999)において見いだすことができる。
【0019】
本発明のいくつかの具体例において、式:
【0020】
【化8】

を有するリガンドの製造方法は、次の反応:
【0021】
【化9】

を含み、
ここにおいて、Qはリン、ヒ素およびアンチモンから選択されるか;あるいはQはリンおよびヒ素から選択されるか;あるいはQはリンである;
、EおよびEは独立して、リチウム、マグネシウム、カリウム、ベリリウム、ナトリウム、スカンジウム、イットリウム、チタン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムから選択されるか;あるいはE、EおよびEは独立して、リチウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムから選択されるか;あるいはE、EおよびEはリチウムである;
、VおよびVは独立して、クロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、トルエンスルホネート、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンスルホネートから選択されるか;あるいはV、VおよびVはクロリドである;
、XおよびXは炭素アニオンである;および
15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択されるか;あるいはR15は、−SOおよび−SON(R18)から選択されるか;あるいはR15は、−SOである;ここにおいて、R18は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基および置換ヒドロカルビル基から選択されるか;あるいはR15は、水素;ハロゲン;およびC−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C−C20カルボキシレート、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、およびシリルから選択される、置換されたまたは置換されていない置換基から選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、X、XおよびXは全て異なっている。これらの具体例のいくつかの態様において、XおよびXは同じである。
【0022】
本発明のいくつかの具体例において、反応(a)、(b)および(c)は同じ容器中で逐次的に行われる。
【0023】
本発明のいくつかの具体例において、反応(a)の間の反応温度は、反応(b)の間の反応温度よりも低く、かつ反応(b)の間の反応温度は、反応(c)の間の反応温度よりも低い。
【0024】
本発明のいくつかの具体例において、反応(b)は化合物Iを単離することなく反応(a)と同じ容器中で進行する。
【0025】
本発明のいくつかの具体例において、反応(c)は化合物IIを単離することなく反応(b)と同じ容器中で進行する。
【0026】
本発明のいくつかの態様において、式:
【0027】
【化10】

を有するリガンドの製造方法は、次の反応:
【0028】
【化11】

を含み、式中、Qはリン、ヒ素およびアンチモンから選択されるか;あるいはQはリンおよびヒ素から選択されるか;あるいはQはリンである;
およびEは独立して、リチウム、マグネシウム、カリウム、ベリリウム、ナトリウム、スカンジウム、イットリウム、チタン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムから選択されるか;あるいはEおよびEは独立して、リチウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムから選択されるか;あるいはEおよびEはリチウムである;
、VおよびVは独立して、クロリド、ブロミド、フルオリド、ヨージド、トルエンスルホネート、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンスルホネートから選択されるか;あるいはV、VおよびVはクロリドである;
およびXは炭素アニオンである;
15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択されるか;あるいはR15は、−SOおよび−SON(R18)から選択されるか;あるいはR15は−SOである;ここにおいて、R18は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基および置換ヒドロカルビル基から選択されるか;あるいはR18は、水素;ハロゲン;およびC−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C−C20カルボキシレート、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、およびシリルから選択される、置換されたまたは置換されていない置換基から選択される。
【0029】
本発明のいくつかの具体例において、反応(i)および(ii)は同じ容器中で逐次的に行われる。
【0030】
本発明のいくつかの具体例において、反応(i)の間の反応温度は、反応(ii)の間の反応温度よりも低い。
【0031】
本発明のいくつかの具体例において、反応(ii)は化合物Iを単離することなく反応(i)と同じ容器中で進行する。
【0032】
本発明のいくつかの具体例において、X、XおよびXは独立して、脂肪族ヒドロカルビル基および芳香族ヒドロカルビル基から選択されるか;あるいは、X、XおよびXは独立して、30個までの炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビル基および芳香族ヒドロカルビル基から選択されるか;あるいは、X、XおよびXは独立して、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、カルボキシレート、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、シリル、およびその誘導体から選択されるか;あるいは、X、XおよびXは独立して、C−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C−C20カルボキシレート、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、シリル、およびその誘導体から選択されるか;あるいは、X、XおよびXは置換されたアリール基である。これらの具体例のいくつかの態様において、XおよびXは独立して、オルト置換されたアリール基から選択されるか;あるいはXおよびXは独立して、オルト置換フェニルを有するアリール基から選択されるか;あるいは、XおよびXは独立して、オルト置換された、置換フェニルを有するアリール基から選択されるか;あるいは、XおよびXは独立して、式2,6−R1617−フェニル(式中、R16およびR17は独立して、C−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C−C20カルボキシレート、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、シリル、およびその誘導体から選択される)を有するオルト置換された、置換フェニルを有するアリール基から選択されるか;あるいは、XおよびXはオルト置換2,6−ジメトキシフェニルを有するアリール基である。
【0033】
本発明のいくつかの具体例において、X(R15)−E、X−EおよびX−Eはそれぞれ、式I、II、およびIIIのものである:
【化12】

式中、E、EおよびEは、独立して、リチウム、マグネシウム、カリウム、ベリリウム、ナトリウム、スカンジウム、イットリウム、チタン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムから選択されるか;あるいはE、EおよびEは独立して、リチウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムから選択されるか;あるいはE、EおよびEはリチウムである;
15は、−SO、−SON(R18)、−CO、−PO、−AsO、−SiO、−C(CFOから選択されるか;あるいは、R15は、−SOおよび−SON(R18)から選択されるか;あるいはR15は−SOである;
ここにおいて、R18は、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル基および置換ヒドロカルビル基;あるいは、R18は、水素、ハロゲン、および、C−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C−C20カルボキシレート、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、およびシリルから選択される、置換されたまたは置換されていない置換基から選択される;および
各R20は独立して、水素、ハロゲン、およびC−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C−C20カルボキシレート、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、およびシリルから選択される、置換されたまたは置換されていない置換基から選択されるか;あるいは、各R20は独立して、水素、フェニルおよび置換フェニルから選択されるか;あるいは、各R20は独立して、水素および置換フェニルから選択されるか;あるいは各R20は独立して、水素およびオルト置換フェニルから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、置換フェニルはオルト置換フェニルである。これらの具体例のいくつかの態様において、オルト置換フェニルは2,6−R1617−フェニル(式中、R16およびR17は、C−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C−C20カルボキシレート、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、およびシリルから選択される)である。これらの具体例のいくつかの態様において、オルト置換フェニルは、2,6−ジメトキシフェニルである。
【0034】
本発明のいくつかの具体例において、式IIの各R20は、独立して、水素、フェニルおよび置換フェニルから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、Eに対してオルトである式IIの両R20は、フェニルおよび置換フェニルから選択されるか;あるいは置換フェニルである。これらの具体例のいくつかの態様において、Eに対してオルトである一方のR20およびEに対してパラであるR20は、フェニルおよび置換フェニルから選択されるか;あるいは置換フェニルである。これらの具体例のいくつかの態様において、Eに対してオルトである式IIの両R20およびEに対してパラであるR20は、フェニルおよび置換フェニルから選択されるか;あるいは置換フェニルである。これらの具体例のいくつかの態様において、置換フェニルは2,6−ジメトキシフェニルである。
【0035】
本発明のいくつかの具体例において、式IIIの各R20は、独立して、水素、フェニルおよび置換フェニルから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、Eに対してオルトである式IIIの両R20は、フェニルおよび置換フェニルから選択されるか;あるいは置換フェニルである。これらの具体例のいくつかの態様において、Eに対してオルトである一方のR20およびEに対してパラであるR20は、フェニルおよび置換フェニルから選択されるか;あるいは置換フェニルである。これらの具体例のいくつかの態様において、Eに対してオルトである式IIの両R20およびEに対してパラであるR20は、フェニルおよび置換フェニルから選択されるか;あるいは置換フェニルである。これらの具体例のいくつかの態様において、置換フェニルは2,6−ジメトキシフェニルである。
【0036】
本発明のいくつかの具体例において、式:
【0037】
【化13】

を有するリガンドは、表1に示される構造I〜XVから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、リガンドは、構造I、XI、およびXIVから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、リガンドは、構造IおよびXIVから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、リガンドは構造Iである。これらの具体例のいくつかの態様において、リガンドは構造XIVである。
【0038】
本発明のいくつかの具体例において、反応(a)または反応(i)のための反応条件は、V−Q(V)Vと化合物Iとの反応を阻害しつつ、V−Q(V)VのX(R15)−Eとの反応を進行させることができる温度に試薬の温度が維持されるように制御される。これらの具体例のいくつかの態様において、反応(a)または反応(i)のための反応温度は40℃以下に維持されるか;あるいは0℃以下に維持されるか;あるいは−20℃以下に維持されるか;あるいは−50℃以下に維持されるか;あるいは−90〜−70℃に維持される。
【0039】
本発明のいくつかの具体例において、X(R15)−EをV−Q(V)Vの溶液中に十分撹拌しながらゆっくりと添加して、V−Q(V)Vに対して局所的に過剰なX(R15)−Eが回避されるように、V−Q(V)Vの濃度がX(R15)−Eに対して過剰に維持されるようにする。X(R15)−Eに対してV−Q(V)Vを過剰に維持することにより、X(R15)−EのV−Q(V)Vとの反応がX(R15)−Eと化合物Iとの反応よりも優先されうる。
【0040】
本発明のいくつかの具体例において、化合物IとX−Eとの反応が、化合物Iと化合物IIとの反応を阻害しつつ進行できる温度に試薬の温度が維持されるように、反応(b)の反応条件が制御される。これらの具体例のいくつかの態様において、反応(b)の間の反応温度は25℃以下;あるいは0℃以下;あるいは−30℃以下;あるいは−70℃以下に維持される。
【0041】
本発明のいくつかの具体例において、リガンドの製造方法は、実質的に酸素のない雰囲気中で行われる。これらの具体例のいくかの態様において、プロセスは窒素雰囲気中で行われる。これらの具体例のいくつかの態様において、プロセスはアルゴン雰囲気中で行われる。
【0042】
本発明のいくつかの具体例において、リガンドを調製するプロセスにおいて保護基を使用しない。
【0043】
本発明の合成法により調製されるリガンドは、後期遷移金属、例えば、パラジウムおよびニッケルと錯体形成して、後期遷移金属触媒錯体を形成することができ、これは、例えば重合触媒および/またはHeckカップリング反応触媒として使用することができる。
【0044】
本発明のいくつかの具体例を以下の実施例において詳細に説明する。実施例において記載される全ての割合および百分率は、他に特に記載しない限り重量基準である。表1に示す化学構造は、例えば、Brownら、Organic Chemistry,Brooks−Cole、第4版、2004年に記載されるような分子のルイス構造を描くための一般則に従って描いた。
【実施例】
【0045】
(実施例1〜16)
リガンド合成
以下に示す一般的手順に従い、表1に示される量で、表1において特定される成分Aおよび成分Bを用いて、表1に記載する生成物固体が、それぞれ実施例1〜15の報告された収量で調製された。
【0046】
真空下に置かれ、窒素で詰め替えられ、60mLのテトラヒドロフラン(THF)を入れた100mLフラスコ(フラスコA)に、成分Aを添加した。フラスコAを次いで氷浴中に置き、0℃に冷却した。10.1mLの2.5モル濃度のn−BuLiを次に注入した。フラスコAを次いでドライアイス/アセトン浴中に置き、約−78℃に冷却した。
【0047】
別の500mLのSchlenkフラスコ(フラスコB)を真空下に置いた。フラスコBを窒素でパージし、〜50mLのTHFを装入した。ブラスコBを次いでドライアイス/アセトン浴中に置き、約−78℃に冷却した。1.10mLのPClを次いで撹拌しながらフラスコBに添加した。激しく撹拌しながら、カニューレを用いてフラスコAの内容物を次いでフラスコBにゆっくりと移した。
【0048】
別の100mLフラスコ(フラスコC)をパージし、窒素を充填した。フラスコCに次いで〜60mLのTHFおよび成分Bを装入した。フラスコCを次いでドライアイス/アセトン浴中に置き、撹拌しながら約−78℃に冷却した。10.1mLの2.5モル濃度n−BuLiをフラスコCに添加し、約15分間反応させた。引き続き激しく撹拌しながら、カニューレを用い、フラスコCの内容物を次いで−78℃に維持されたフラスコBに移した。フラスコCの内容物をフラスコB中に完全に添加した後、フラスコBを約30分間室温に上昇させた。次いで、フラスコBの内容物を500mLのリカバリーフラスコ(フラスコD)中に注ぎ、THFを除去すると、固体が残った。フラスコD中の固体を次いで蒸留水と混合し、分離フラスコ(フラスコE)に移した。100mLのCHClをフラスコEの内容物に添加した。フラスコEを振盪して、2層を混合した。約5mLの濃HClをフラスコEに添加した。フラスコEを再度振盪した。フラスコE中の混合物を次いで安静にし、2層、すなわち、底部に有機相および上部に水性相が形成された。有機層を集めた。水性相を50mLのCHClで洗浄した。有機洗浄物質を集め、先に集められた有機層物質に添加した。合せた有機物質を次いでMgSOと接触させ、蒸発乾固させると、固体が残った。次いで、固体をまずジエチルエーテル、次いでTHFで洗浄して、不純物を除去した。洗浄された生成物固体を濾過により集めると、表1に示す収量であった。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
【表4】

【0053】
(実施例16)
構造VIのリガンドのカリウム塩の合成
実施例6に従って調製された生成物固体(すなわちリガンド構造VI)の0.45g(0.81ミリモル)サンプルを、激しく撹拌しながら反応フラスコ中50mLのTHFに添加して、リガンド溶液を形成した。別の容器中で、0.10g(0.88ミリモル)のカリウムtert−ブトキシドを20mlのTHF中に溶解させた。得られたカリウムtert−ブトキシド溶液を次いで反応フラスコの内容物に撹拌しながら滴下した。カリウムtert−ブトキシド溶液の添加後、THF溶媒の一部を真空抽出することにより反応フラスコの内容物を減じ、約25mLの生成物溶液が反応フラスコ中に残った。20mLのペンタンを添加することにより、リガンドのカリウム塩を次いで残存する生成物溶液から沈殿させた。沈殿したリガンドのカリウム塩を、微細多孔性フリットを通して濾過することにより回収し、ペンタンで洗浄した(3×20mL)。リガンドのカリウム塩を次いで真空に付して、残存する揮発性物質を除去し、0.40gの暗橙色生成物粉末(0.67ミリモル、83%)が残った。
【0054】
(実施例17)
構造VIIのリガンドの銀塩の合成
実施例7に従って調製した0.75g(1.43ミリモル)の生成物固体(リガンド構造VII)のサンプルを、激しく撹拌しながら、反応フラスコ中50mLのメタノールに添加した。別の容器中、0.23g(1.36ミリモル)の硝酸銀を50mLの脱イオン水中に溶解させた。得られた硝酸銀溶液を次いで、激しく撹拌しながら反応フラスコの内容物に滴下した。反応フラスコの内容物の撹拌は、硝酸銀溶液の添加後20分間続けた。溶媒の一部の真空抽出により、反応フラスコの内容物を次いで減じ、約50mLが残り、灰色沈殿が形成された。微細多孔質フリットを通して濾過することにより沈殿を回収し、水で洗浄した(2×20mL)。リガンドの銀塩を次いで減圧下で乾燥し、暗灰色生成物粉末(0.35g、0.62ミリモル、44%)が残った。
【0055】
(実施例18〜31)
遷移金属触媒錯体の調製
表2に特定された成分Aのサンプルを、撹拌しながら反応フラスコ中、30mLのテトラヒドロフランに添加した。反応フラスコの内容物を、引き続き撹拌しながら、表2において特定された成分Bに添加した。反応フラスコの内容物を次いで30分間撹拌した後、表2において特定された成分Cを添加した。反応フラスコの内容物を次いで真空下で減じ、ペンタンを沈殿に添加して、生成物触媒錯体を沈殿させた。生成物触媒錯体を、微細多孔質フリットを通して濾過することにより集め、ペンタンで洗浄した(2×20mL)。生成物触媒錯体を次いで真空に付して、残存する揮発性物質を除去し、表2に特定される生成物収量が残った。
【0056】
【表5】

【0057】
【表6】

【0058】
(実施例32)
遷移金属触媒錯体の調製&Heckカップリング
反応フラスコに、0.02g(30マイクロモル)の酢酸パラジウムおよび実施例13に従って調製した0.025g(70マイクロモル)の生成物固体(すなわちリガンド構造XIII)を添加した。内容物を1.5mLのベンゼン中に溶解させた。ブロモベンゼン(50μL、0.21ミリモル)およびメチルアクリレート(50μL、0.58ミリモル)を反応フラスコに添加し、続いて過剰の酢酸ナトリウムを添加した。反応を24時間加熱した。試薬を限定することに基づいて、3−フェニル−アクリル酸メチルエステルへの転化率は30%と決定された。
【0059】
(実施例33)
触媒調製/重合
グローブボックス中、撹拌棒を備えた8mLのセラムバイアルに、パラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)(41.1mg、72.0マイクロモル);実施例9に従って調製された生成物固体(すなわち、リガンド構造IX)(45.0mg、86.4μモル)およびトルエン(4.5mL)を添加した。セラムバイアルの内容物を10分間撹拌し、赤/褐色混合物(すなわち、触媒錯体)を得た。
【0060】
グローブボックス中のリアクターセルに、メチルアクリレート(1.0mL、11.1ミリモル)を添加し、続いてトルエン(4.0mL)を添加した。リアクターを次いで撹拌しながら100℃に加熱した。リアクターセルを次にエチレンガスで400psigに加圧した。平衡化後、前記の触媒錯体のサンプル(0.5mL、8マイクロモルPd)をリアクターセル中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンス液を添加した。60分後、リアクターセルはベントされ、冷却された。リアクターセルを次いでグローブボックスから取り出した。リアクターセルは、黒色沈殿を含む緑色液体を含んでいることが観察された。黒色沈殿は、酸性化MeOH(10%HCl)に添加されると溶解した。ポリマーの形成は観察されなかった。
【0061】
(実施例34)
触媒調製/重合
実施例9に従って調製された生成物固体(すなわち、リガンド構造IX)のサンプル(0.640g、1.40ミリモル)を、撹拌しながら反応フラスコ中30mLのTHFに添加した。ジメチルテトラメチルエチレンジアミンパラジウム(II)(0.350g、1.40ミリモル)を次いで撹拌しながら反応フラスコに添加した。反応フラスコの内容物を30分間撹拌した後、乾燥ピリジン(0.185mL、2.1ミリモル)を添加した。反応フラスコの内容物を次いで真空下で減じ、ペンタンを添加して、触媒錯体を沈殿させた。微細多孔質フリットを通して濾過することにより触媒錯体を集め、ペンタンで洗浄した(2×20mL)。触媒錯体を次いで真空に付して、残存する揮発性物質を除去し、白色固体(0.68g、1.09ミリモル、78%)が残った。
【0062】
メチルアクリレート(1.0mL、11.1ミリモル)、続いてトルエン(4.0mL)をグローブボックス中のリアクターセルに添加した。次いで、セルの内容物を80℃に加熱し、エチレンガスで400psigに加圧した。平衡化後、前記のようにして調製された触媒錯体のサンプル(3mg、4.8マイクロモル)を0.5mLのトルエン中に溶解させ、リアクターセル中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンス液を添加した。60分後、リアクターセルをベントし、冷却した。リアクターセルの内容物を次いでグローブボックスから取り出し、急速に撹拌されたMeOHに添加した。60分後、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、一夜60℃で真空下乾燥した。標記反応により、エチレンおよびメチルアクリレートのランダムコポリマー(0.10g)を得た。
【0063】
(実施例35〜42)
重合
グローブボックス中のリアクターセルに、表3において特定されたモノマー成分を添加し、続いてTHF(4.0mL)を添加した。次いで、リアクターセルの内容物を80℃に加熱し、エチレンガスで400psigに加圧した。平衡化後、表3において特定された触媒成分を含有する0.5mLのテトラヒドロフランをリアクターセル中に注入し、続いてテトラヒドロフランリンス(0.5mL)を添加した。60分後、リアクターセルをベントし、冷却した。リアクターセルの内容物を次いでグローブボックスから取り出し、急速に撹拌されたMeOHに添加した。60分間撹拌後、ポリマーを真空濾過し、真空下、60℃で18時間乾燥した。この反応からのランダムコポリマーの生成物収量を表3に記載する。
【0064】
【表7】

【0065】
(実施例43)
重合
グローブボックス中、撹拌棒を備えた8mLセラムバイアルに、パラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)(41.1mg、72.0μモル);実施例12に従って調製された生成物固体(すなわち、リガンド構造XII)のサンプル(45.0mg、86.4μモル)およびトルエン(4.5mL)を添加した。セラムバイアルの内容物を10分間撹拌し、赤/褐色混合物(すなわち、触媒錯体)を得た。
【0066】
グローブボックス中3つの別個のリアクターセルのそれぞれに、ブチルアクリレート(1.0mL、11.1ミリモル)、続いてトルエン(4.0mL)を添加した。別のリアクターセルの内容物を次いでエチレンガスで400psigで加圧し、表4に記載した温度に加熱した。平衡化後、0.5mLの前記のようにして調製された触媒錯体のサンプル(8.0マイクロモルPd)を各リアクターセル中に注入し、続いてトルエンリンス(0.5mL)を添加した。60分後、リアクターセルをベントし、冷却した。リアクターセルの内容物を次いでグローブボックスから取り出し、急速に撹拌されたMeOHに別々に添加した。60分間撹拌後、各リアクターセル中の生成物ポリマーを別々に真空濾過し、真空下、60℃で18時間乾燥した。各リアクターセルのポリマー収量、ブチルアクリレート組み込み、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、およびPDI(すなわち、Mw/Mn)を表4に記載する。
【0067】
【表8】

【0068】
(実施例44)
重合
スチレン(1.0mL、8.73ミリモル)およびノルボルネン(1.0mL、7.98ミリモル、トルエン中85モル%ノルボルネン)をグローブボックス中リアクターセルに添加した。トルエン(4.0mL)を次いでリアクターセルに添加した。リアクターセルの内容物を次いで80℃に加熱し、エチレンガスで400psigに加圧した。平衡化後、実施例18に従って調製された触媒錯体のサンプル(1.6mg、2マイクロモル)を0.5mLトルエン中に溶解させ、リアクターセル中に注入し、続いて0.5mL中のトルエンリンスを添加した。60分後、リアクターセルをベントし、冷却した。リアクターセルの内容物を次いでグローブボックスから取り出し、急速に撹拌されたMeOHに添加した。60分後、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、60℃、真空下で一夜乾燥した。標記反応によりエチレン、スチレンおよびノルボルネンのランダムコポリマー0.20gを得た。
【0069】
(実施例45)
重合
メチルアクリレート(1.0mL、11.1ミリモル)およびノルボルネン(1.0mL、7.98ミリモル、トルエン中85モル%ノルボルネン)をグローブボックス中のリアクターセルに添加した。トルエン(4.0mL)を次いでリアクターセルに添加した。リアクターセルの内容物を次いで80℃に加熱し、エチレンガスで400psigに加圧した。平衡化後、実施例18に従って調製された触媒錯体のサンプル(1.6mg、2マイクロモル)を0.5mLのトルエン中に溶解させ、リアクターセル中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンスを添加した。60分後、リアクターセルをベントし、冷却した。リアクターセルの内容物を次いでグローブボックスから取り出し、急速に撹拌されたMeOHに添加した。60分後、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、60℃、真空下で一夜乾燥した。標記反応により、エチレン、メチルアクリレートおよびノルボルネンのランダムコポリマー0.59gを得た。
【0070】
(実施例46)
重合
メチルアクリレート(1.0mL、11.1ミリモル)およびスチレン(1.0mL、8.73ミリモル)をグローブボックス中のリアクターセルに添加した。トルエン(4.0mL)を次いでリアクターセルに添加した。リアクターセルの内容物を次いで80℃に加熱し、エチレンガスで400psigに加圧した。平衡化後、実施例18に従って調製された触媒錯体のサンプル(1.6mg、2マイクロモル)を0.5mLトルエン中に溶解させ、リアクターセル中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンスを添加した。60分後、リアクターセルをベントし、冷却した。リアクターセルの内容物を次いでグローブボックスから取り出し、急速に撹拌されたMeOHに添加した。60分後、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、60℃、真空下で一夜乾燥した。標記反応により、エチレン、メチルアクリレートおよびスチレンのランダムコポリマー0.81gを得た。
【0071】
(実施例47)
重合
5mLのセラムバイアルに、41.4mg(72マイクロモル)のパラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)および53.1mg(86.4マイクロモル)の実施例1に従って調製された生成物固体(すなわち、リガンド構造I)を添加した。このバイアルに、次いで4.5mlのTHFを添加した。セラムバイアルの内容物を数分間撹拌して、触媒錯体を調製した。
【0072】
メチルアクリレート(1.0mL、11.1ミリモル)およびTHF(4.0mL)をグローブボックス中リアクターセルに添加した。リアクターセルの内容物を次いで70℃に加熱し、エチレンガスで400psigに加圧した。平衡化後、セラムバイアルからの0.1mL(1.6マイクロモル)の触媒錯体をリアクターセル中に注入し、続いて0.5mLのTHFリンスを添加した。60分後、リアクターセルをベントし、冷却した。リアクターセルの内容物を次いでグローブボックスから取り出し、急速に撹拌されたMeOHに添加した。60分後、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、60℃、真空下で一夜乾燥した。エチレンおよびメチルアクリレートのランダムコポリマー1.02gを得た(アクリレート組み込み4.8モル%;重量平均分子量Mw474000;数平均分子量Mn178000)。
【0073】
(実施例48)
重合
5mLのセラムバイアルに、41.4mg(72マイクロモル)のパラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)および53.1mg(86.4マイクロモル)の実施例1に従って調製された生成物固体(すなわち、リガンド構造I)を添加した。このバイアルに、4.5mlのTHFを添加した。セラムバイアルの内容物を数分間撹拌して、触媒錯体を調製した。
【0074】
メチルアクリレート(1.0mL、11.1ミリモル)およびTHF(4.0mL)をグローブボックス中リアクターセルに添加した。リアクターセルの内容物を次いで70℃に加熱し、エチレンガスで400psigに加圧した。平衡化後、0.1mL(8.0マイクロモル)のセラムバイアルからの触媒錯体をリアクターセル中に注入し、続いて0.5mLのTHFリンスを添加した。60分後、リアクターセルをベントし、冷却した。リアクターセルの内容物を次いでグローブボックスから取り出し、急速に撹拌されたMeOHに添加した。60分後、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、一夜60℃、真空下で乾燥した。標記反応により、エチレンおよびメチルアクリレートのランダムコポリマー1.28gを得た(アクリレート組み込み2.7モル%、重量平均分子量Mw172000、数平均分子量Mn57000)。
【0075】
(実施例49)
重合
5mLのセラムバイアルに、41.4mg(72マイクロモル)のパラジウムビス(ジベンジリデンアセトン)および53.1mg(86.4マイクロモル)の実施例1に従って調製された生成物固体(すなわち、リガンド構造I)を添加した。このバイアルに、4.5mlのトルエンを添加した。セラムバイアルの内容物を数分間撹拌して、触媒錯体を調製した。
【0076】
メチルアクリレート(1.0mL、11.1ミリモル)およびトルエン(4.0mL)をグローブボックス中のリアクターセルに添加した。リアクターセルの内容物を次いで50℃に加熱し、エチレンガスで400psigに加圧した。平衡化後、0.5mL(8.0マイクロモル)のセラムバイアルからの触媒錯体をリアクターセル中に注入し、続いて0.5mLのトルエンリンスを添加した。60分後、リアクターセルをベントし、冷却した。リアクターセルの内容物を次いでグローブボックスから取り出し、急速に撹拌されたMeOHに添加した。60分後、得られた混合物をガラスフリット上で濾過し、過剰のMeOHで洗浄し、一夜60℃、真空下で乾燥した。標記反応によりエチレンおよびメチルアクリレートのランダムコポリマー0.81gを得た(アクリレート組み込み0.4モル%;重量平均分子量Mw716000、数平均分子量Mn388000)。
【0077】
(実施例50)
リガンド合成
【0078】
【化14】

【0079】
第一の100mLのSchlenkフラスコに、ベンゼンスルホン酸水和物(1.7g、10.7ミリモル、CS・HO、158.71g/モル、MP Bio Medicals 98−11−3)を添加した。フラスコを真空下で排気させた。フラスコの底部を、次いでヒートガンを用いて加熱した。フラスコの内容物は融解して、褐色液体を形成し、これは発泡し始めた。液体が還流し始めるまで加熱を続け、圧力は約10mTorrまで低下した。フラスコを窒素で満たし、冷却し、THF(無水、Acros、〜50mL)をフラスコに添加し、無色透明溶液が形成された。0℃で、n−BuLi(2.5Mヘキサン溶液、11.4ミリモル、8.6mL、Aldrich)を添加して、ベージュ色懸濁液を得、これを0.5時間撹拌後、−78℃で冷却した。
【0080】
第二の100mLのSchlenkフラスコにMg(0.30g、0.0125ミリモル、粉末、Aldrich)を添加した。THF(50mL、無水、Acros)および2−ブロモアニソール(2.10g、0.0112ミリモル、CBrO、187.04g/モル、Acros)を第二のSchlenkフラスコに添加した。第二のSchlenkフラスコの内容物を音波処理し(〜30秒)、内容物は温度上昇を示すことが観察された。混合物を室温に冷却されるまで撹拌した。
【0081】
200mLのSchlenkフラスコにTHF(〜50mL)を添加した。−78℃で、PCl(0.93mL、1.47g、0.0107モル、1.574g/mL、137.33g/モル、Aldrich)を200mLのSchlenkフラスコにシリンジから添加した。第一の100mLのSchlenkフラスコ中のベージュ色懸濁液を200mLのSchlenkフラスコに−78℃でカニューレにより添加した。200mLのSchlenkフラスコの内容物を次いで、温度を−78℃に維持しながら0.5時間撹拌した。第二の100mLのSchlenkフラスコの内容物を−78℃に冷却し、200mLのSchlenkフラスコにカニューレから移した。次いで、200mLのSchlenkフラスコの内容物を周囲温度に暖め、約1時間撹拌して、黄色溶液を得た。
【0082】
500mLのSchlenkフラスコに2’−Br−2,6−(Me)ビフェニル(3.14g、10.7ミリモル、C1413BrO、293.16g/モル、Aldrich)およびTHF(150mL)を添加した。500mLのSchlenkフラスコの内容物を−78℃に冷却した。−78℃でn−BuLi(4.3mL、2.5Mヘキサン溶液、10.7ミリモル、Aldrich)を500mLのSchlenkフラスコに添加し、濃厚な白色スラリーを得た。500mLのSchlenkフラスコを手で振盪して確実に混合した。n−BuLiの添加後0.5時間に、200mLのSchlenkフラスコの内容物を500mLのSchlenkフラスコにカニューレから添加した。500mLのSchlenkフラスコの内容物を次いでゆっくりと周囲温度に温めた。500mLのSchlenkフラスコの内容物を一夜撹拌して、透明黄色溶液を得た。揮発性物質を500mLのSchlenkフラスコから真空下で除去した。CHCl(200mL)、HO(200mL)、HCl(濃縮、20mL)を用いて得られた固体を抽出した。抽出物から得た有機層をMgSOで乾燥し、抽出物の揮発性部分を真空下で除去すると、淡黄色固体が残った。淡黄色固体を集め、THF(3×15mL)およびEtO(3×15mL)で洗浄して、白色粉末生成物リガンドを得た(2.3g、収率44%)。H NMR(CDCl、℃):δ8.32(m、1H)、7.71(q、J=8.5、2H)、7.56(m、1H)、7.47−7.40(m、4H)、7.33−7.27(m、2H)、6.99(m、2H)、6.91(m、1H)、6.57(d、J=8.5、1H)、6.44(d、J=8.5、1H)、3.73(s、3H)、3.64(s、3H)、3.19(s、3H)。31P NMR(CDCl、℃):δ−7.1(s)。LC−MS:m/z=509.2。
【0083】
(実施例51)
重合
バイアルにPd(dba)(19.8mg、0.0340ミリモル、Pd(C1714O)、Alfa Aesar、575.00g/モル)および実施例50の生成物リガンド(20.0mg、0.0390ミリモル、C2725PS、508.53g/モル)を添加した。トルエン(10mL)を次いでバイアルに添加した。バイアルの内容物を激しく振盪して、微量の粒子を有する暗赤色触媒溶液を得た。
【0084】
リアクターセルにメチルアクリレート(1mL)およびトルエン(4mL)を添加した。リアクターセルを90℃に加熱した。エチレンを次いでリアクターセルに添加した(400psi)。バイアルからの触媒溶液(0.5mL)をリアクターセルにカニューレから添加し、続いてトルエンリンス(0.5mL)を添加した。リアクターセルの内容物を90℃で1時間撹拌した。未反応エチレンをリアクターセルからベントし、リアクターセルの内容物を周囲温度に冷却した。次いで、リアクターセルの内容物をメタノール(100mL)でクエンチした。リアクターセル中の沈殿したポリマーを遠心分離により分離し、真空下、60℃で一夜乾燥して、白色固体(720mg)を得た。H NMR分光分析により、白色固体がエチレン(97モル%)およびメチルアクリレート(3モル%)の組成を有することが明らかになった。GPC分析により、白色固体が115000g/モルの重量平均分子量と1.5の多分散性を有することが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

を有するリガンドの製造方法であって、次の反応:
【化2】

を含む方法:
ここで、(a)から(c)の反応は、化合物Iの単離および化合物IIの単離をすることなく、同じ容器中で逐次的に行ない;
Qはリンであり;
、EおよびEは独立して、リチウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウムから選択され;
、VおよびVは独立して、クロリド、ブロミド、フルオリド、およびヨージドから選択され;
、XおよびXは炭素アニオンであり;
15は、−SOであり;
(R15)−E、X−EおよびX−Eはそれぞれ下記式I、II、およびIII:
【化3】

式中、
各R20は独立して、水素;ハロゲン;およびC−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、フェニル、ビフェニル、C−C20カルボキシレート、C−C20アルコキシ、C−C20アルケニルオキシ、C−C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C−C20アルコキシカルボニル、C−C20アルキルチオ、C−C20アルキルスルホニル、C−C20アルキルスルフィニル、およびシリルから選択される、置換されたまたは置換されていない置換基から選択される、
で表されるものである。
【請求項2】
保護基が使用されない請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、VおよびVがクロリドである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
およびXの少なくとも1つが、オルト位に2,6−ジメトキシフェニルが置換されたアリール基である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
およびXの両方が、オルト位に2,6−ジメトキシフェニルが置換されたアリール基である請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2010−202670(P2010−202670A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−141842(P2010−141842)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【分割の表示】特願2006−233695(P2006−233695)の分割
【原出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】