説明

リソグラフィー用下地材

【課題】 基板からの反射光を十分に抑制し、優れた反射防止効果を示すとともに、段差基板に対するコンフォーマル性及び塗布性能がよく、しかも昇華物の発生しにくいリソグラフィー用下地材を提供する。
【解決手段】 (A)ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基あるいはその両方で置換されたアミノ基を少なくとも2個有する含窒素化合物の中から選ばれた架橋剤、(B)少なくとも1個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類及びベンゾフェノン類の中から選ばれた少なくとも1種のヒドロキシ化合物とアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルを単量体の少なくとも一部として用いて得た重合体又は共重合体及び場合により(C)高吸光性物質を含有してなるリソグラフィー用下地材である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なリソグラフィー用下地材、さらに詳しくは、基板とレジスト層との間に設けることにより、基板からの反射光を十分に抑制することができ、段差基板に対するコンフォーマル性及び塗布性能が優れ、しかも昇華物の発生しにくいリソグラフィー用下地材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体デバイス分野においては、デバイスの集積度の向上に伴い、露光光の短波長化が進み、i線(365nm)、遠紫外線、エキシマレーザーを用いたリソグラフィー技術が中核となりつつある。このような露光に用いる光の短波長化が進むと基板からの反射光が大きくなるため、反射光によるレジストパターンの局所的な歪み(ノッチング)や寸法精度の劣化などを生じる。したがって、このような歪みや寸法精度の劣化を抑制するために、基板とレジスト層との間に反射防止膜を介在させるBARC(Bottom Anti−Reflective Coating)法が注目されるようになり、これまで種々の反射防止膜(下地材)が提案されている。
【0003】ところで、これまでのリソグラフィー用下地材は、反射防止効果を高めることが主たる目的であったが、最近ではこれに加え、上層のレジストのエッチング速度に対する下地材のエッチング速度の比、すなわち選択比を高めるために、段差基板に対するコンフォーマル性の優れたものが求められるようになってきた。
【0004】また、加熱炉中の窒素パージや排気の気流の影響を受け、塗布後の加熱時に下地層の膜むらを生じることがあるので、下地材の要求特性としてこのような気流の影響を受けにくく、均質な塗膜が得られる塗布性能も求められている。
【0005】一方において、反射防止効果を高めるために下地材に添加される紫外線吸収剤が下地材の形成過程で昇華し、処理室内壁に結晶として析出し、しばしば後続工程に悪影響を与えることがみられるため、このような昇華物の発生のない下地材が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような事情のもとで、基板とレジスト層との間に設けることにより、基板からの反射光を十分に抑制し、優れた反射防止効果を示すとともに、段差基板に対するコンフォーマル性及び塗布性能がよく、しかも昇華物の発生しにくいリソグラフィー用下地材を提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、リソグラフィー用下地材について種々研究を重ねた結果、ある種の含窒素化合物の中から選ばれた架橋剤と、ある特定の基をもつアクリル酸又はメタクリル酸エステルを単量体として用いて得られた重合体又は共重合体と、場合により高吸光性物質を含有させたものが、前記目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、(A)ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基あるいはその両方で置換されたアミノ基を少なくとも2個有する含窒素化合物の中から選ばれた架橋剤、(B)少なくとも1個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類及びベンゾフェノン類の中から選ばれた少なくとも1種のヒドロキシ化合物とアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルを単量体の少なくとも一部として用いて得た重合体又は共重合体及び場合により(C)高吸光性物質を含有することを特徴とするリソグラフィー用下地材を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明下地材においては、(A)成分として、ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基あるいはその両方で置換されたアミノ基を少なくとも2個有する含窒素化合物の中から選ばれた架橋剤が用いられる。
【0010】このような含窒素化合物としては、例えばアミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基あるいはその両方で置換されたメラミン、尿素、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素などを挙げることができる。これらの含窒素化合物は、例えばメラミン、尿素、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、スクシニルアミド、エチレン尿素などを、沸騰水中においてホルマリンと反応させてメチロール化することにより、あるいはこれにさらに低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、n‐プロパノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、イソブタノールなどを反応させてアルコキシル化することにより、容易に得ることができる。
【0011】この含窒素化合物の中で、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基あるいはその両方で置換されたメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体又はグリコールウリル、中でもこのようなメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体、特にメトキシメチル基で置換されたこれらの誘導体が好ましい。このメラミン誘導体は二量体又は三量体として存在していてもよい。そして、これらはメラミン環1個当り、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個未満有するものがより好ましい。
【0012】このようなメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体の例としては、市販品のメラミン環1個当りメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、メラミン環1個当りメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(いずれも三和ケミカル社製)や、サイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712などのメトキシメチル化メラミン、サイメル235、236、238、212、253、254などのメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン、サイメル506、508などのブトキシメチル化メラミン、サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン、サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン、サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン(いずれも三井サイアナミッド社製)などが挙げられる。また、グリコールウリルの例としては、サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル、サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリルなどが挙げられる。
【0013】これらの中で、KrFエキシマレーザー光を光源とする場合には、その波長である248nm付近の透過性の低いベンゾグアナミン系のサイメル1123、1123−10、1128及び1125−80、特にカルボキシル基を有するサイメル1125−80が好ましい。本発明においては、この(A)成分の架橋剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】本発明の下地材においては、(B)成分として、少なくとも1個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類及びベンゾフェノン類の中から選ばれた少なくとも1種のヒドロキシ化合物とアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルを単量体の少なくとも一部として用いて得た重合体又は共重合体を用いることが必要である。このような(B)成分としては、一般式
【化1】


[式中のR1は水素原子又はメチル基、Xは−SO2−、−CO−であり、R2及びR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、またR2、R3が複数ある場合、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、低級ジアルキルアミノ基、カルボキシル基又はtert‐ブトキシ基、tert‐ブトキシカルボニルオキシ基、低級アルコキシアルコキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、テトラヒドロフラニルオキシ基であり(ただし、R2とR3がともに水素原子となることはない)、nは4以下、mは5以下の自然数である]で表わされるエステルを単量体の少なくとも一部として用いて得た重合体又は共重合体がある。
【0015】このような一般式(I)で表わされるエステルは、以下に示すような少なくとも1つの水酸基を有するビスフェニルスルホン類及びベンゾフェノン類から選ばれた少なくとも1種のヒドロキシ化合物をアクリル酸又はメタクリル酸によりエステル化することによって得ることができる。
【0016】少なくとも1個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類の例としては、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,6‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)スルホン及びこれらの水酸基が少なくとも1個を残してtert‐ブトキシ基、tert‐ブトキシカルボニルオキシ基、エトキシエトキシ基及びテトラヒドロピラニルオキシ基で置換されたものなどを挙げることができる。
【0017】少なくとも1個の水酸基を有するベンゾフェノン類の例としては、2,4‐ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4‐トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,5,6′‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐オクトキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2′‐ジヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、2,6‐ジヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、2,2′‐ジヒドロキシ‐4,4′‐ジメトキシベンゾフェノン、4‐アミノ‐2′‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐2′‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジエチルアミノ‐2′‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐4′‐メトキシ‐2′‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐2′,4′‐ジヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐3′,4′‐ジヒドロキシベンゾフェノン及びこれらの水酸基が少なくとも1個を残してtert‐ブトキシ基、tert‐ブトキシカルボニルオキシ基、エトキシエトキシ基及びテトラヒドロピラニルオキシ基で置換されたものなどを挙げることができる。
【0018】一般式(I)で表わされるエステルを、複数の水酸基を有するビスフェニルスルホン類又はベンゾフェノン類を用いて製造する際、この複数の水酸基のうち1個を残して他を上記tert‐ブトキシ基、tert‐ブトキシカルボニルオキシ基、エトキシエトキシ基及びテトラヒドロピラニルオキシ基のような保護基で保護することにより、モノエステルのみを選択的に形成させることができる。
【0019】このような保護基は、架橋形成時の加熱により分解して水酸基となり、架橋反応には悪影響を与えないものであればよく、特に限定されない。このようなものは、化学増幅型レジストの酸解離性溶解抑制基として公知であり、この中から任意に選ぶことができる。このようなものとしては、例えばtert‐ブトキシ基、tert‐アミルオキシ基などの第三級アルコキシ基、tert‐ブトキシカルボニルオキシ基のような第三級アルコキシカルボニルオキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基などの低級アルコキシアルコキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基及びテトラヒドロフラニルオキシ基などのアセタール基などがある。
【0020】このような保護基を導入するには、化学増幅型レジストにおけるアルカリ可溶性樹脂に溶解抑制基を導入する従来方法と同じようにして行うことができる。この場合、いったん導入した保護基は、酸解離性であるので、酸により水酸基に復元することもあるが、このように水酸基が遊離したものを用いてもよいし、また保護基が導入されたままで用いてもよい。しかし、架橋を低温度で短時間内に形成させるには、ある程度酸との反応により水酸基を遊離しておくのが有利である。
【0021】一方、このような保護基で保護せずに、直接エステル化反応を行ってもよい。この場合、前記ビスフェニルスルホン類やベンゾフェノン類として、複数の水酸基を有するものを用いても、特定位置の水酸基が優先的にエステル化されるので、モノエステルを比較的容易に得ることができる。
【0022】少なくとも1個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類及びベンゾフェノン類のなかでは、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、4‐ジメチルアミノ‐2′,4′‐ジヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐3′,4′‐ジヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐2′‐ヒドロキシ‐4′‐メトキシベンゾフェノンが有機溶媒に対する溶解性、紫外線吸収能に優れ、また熱架橋反応性がよいので好ましい。
【0023】一般式(I)で表わされるエステルは、例えば該ビスフェニルスルホン類及びベンゾフェノン類から選ばれる少なくとも1種の化合物とアクリル酸又はメタクリル酸とをテトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサンのような有機溶媒に溶解し、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジンなどの塩基性触媒の存在下反応させることによって得ることができる。
【0024】また、保護基を導入しないで行う場合は、該ビスフェニルスルホン類及びベンゾフェノン類から選ばれる少なくとも1種の化合物とアクリル酸又はメタクリル酸とをテトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサンのような有機溶媒中で加熱反応させる。このようにして、モノエステルの比率の高い単量体を得ることができる。この際、該ビスフェニルスルホン類又はベンゾフェノン類とアクリル酸又はメタクリル酸との使用割合としては、3:1ないし5:1、好ましくは3.5:1ないし4.5:1の範囲で選ばれる。
【0025】このようにして得られた一般式(I)で表わされるエステルは、単独で重合させてもよいし、複数の異なるエステルの混合物として共重合させてもよい。また、場合によっては、公知のエチレン性単量体、例えば、スチレン類、アクリル酸又はメタクリル酸あるいはそれらの誘導体と混合して共重合させてもよい。この際用いるスチレン類としては、ヒドロキシスチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、o‐メチルスチレン、p‐メトキシスチレン、p‐クロロスチレン、ビニル安息香酸などが、また、アクリル酸又はメタクリル酸あるいはそれらの誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n‐ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n‐ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2‐エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル、アクリル酸2‐ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジルエステルなどのアクリル酸エステル及び相当するメタクリル酸エステル、アクリルアミド、N‐メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアミド及び相当するメタクリル酸アミド、またアクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、エチルビニルエーテルなどがある。
【0026】(B)成分の重合体又は共重合体は、従来アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを単量体として用いるそれ自体公知の重合方法により容易に製造することができる。すなわち、単量体の合計重量に対し、1〜15重量倍の有機溶剤、例えばメチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンのような芳香族炭化水素、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフランのような環式エーテルに溶解させ、tert‐ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、tert‐ブチルパーオキシピバレートのような有機過酸化物、2,2′‐アゾビスイソブチロニトリル、2,2′‐アゾビス(2,4‐ジメチル)バレロニトリルのようなアゾ化合物などの重合開始剤を原料単量体の合計重量に対し、通常0.01〜3重量%の割合で添加し、窒素ガス雰囲気中でかきまぜることによって製造することができる。
【0027】この際の反応温度は50〜100℃、反応時間は3〜12時間であるが、目的とする重合体の種類、重量平均分子量によって適宜調整される。得られた重合体は、メタノール、エタノールなどのアルコール類中に注加して析出させ、減圧乾燥して用いる。特に保護基を有する単量体から(B)成分である重合体又は共重合体を得る場合、得られた重合体又は共重合体を酸処理して、その中の保護基を一部脱離させると、架橋が効率的に進むので有利である。
【0028】(B)成分の重合体については、一般的には重量平均分子量で2,000〜30,000好ましくは3,000〜20,000のものが用いられるが、その分子量が大きいほどコンフォーマル性が向上する。また、このように高分子量のものを用いることにより、高温加熱時に昇華しにくくなる上、窒素パージや排気などの気流の影響を受けにくく、塗布むらのない均質な塗膜が得られやすくなる。
【0029】本発明下地材における前記(A)成分と(B)成分との含有割合は、反射防止効果、コンフォーマル性、昇華物の抑制、塗布性能などのバランスの面から、重量比で40:60ないし90:10の範囲が好ましく、特に50:50ないし80:20の範囲が好適である。
【0030】本発明下地材においては、必要に応じ、(C)成分として高吸光性物質を含有させることができる。この高吸光性物質としては、レジスト層の感光特性波長域に吸収能を有し、基板からの反射によって生じる定在波や基板表面の段差による乱反射を防げるものであればよく、特に制限はない。このようなものとしては、例えばサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、アゾ系、ポリエン系、アントラキノン系、ビスフェニルスルホン系、ビスフェニルスルホキシド系化合物など、いずれも使用することができる。この(C)成分としては、(A)成分や溶剤に対する溶解性、インターミキシング層の抑制、(A)成分の熱架橋時の反応促進性などの点から、ベンゾフェノン系、ビスフェニルスルホン系、ビスフェニルスルホキシド系化合物、特に少なくとも2個の水酸基を有するベンゾフェノン類すなわちポリヒドロキシベンゾフェノン類、少なくとも2個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類、少なくとも2個の水酸基を有するビスフェニルスルホキシド類、すなわち、少なくとも2個の水酸基を有する、ベンゾフェノン類、ビスフェニルスルホン類及びビスフェニルスルホキシド類の中から選ばれた少なくとも1種のポリヒドロキシ化合物が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】上記の少なくとも2個の水酸基を有するベンゾフェノン類すなわちポリヒドロキシベンゾフェノン類としては、例えば(B)成分のヒドロキシ化合物として示したベンゾフェノン類のうち水酸基を2個以上有するものを挙げることができる。また、少なくとも2個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類としては、例えば(B)成分のヒドロキシ化合物として示したビスフェニルスルホン類のうち水酸基を2個以上有するものを挙げることができる。この少なくとも2個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類やビスフェニルスルホキシド類のうち、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、ビス(ポリヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ポリヒドロキシフェニル)スルホキシド類が好ましく、このようなものとしては、例えばビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(5‐クロロ‐2,3‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,4‐ジヒドロキシ‐6‐メチルフェニル)スルホン、ビス(5‐クロロ‐2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシ‐6‐メチルフェニル)スルホン、ビス(5‐クロロ‐2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,4,6‐トリヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(5‐クロロ‐2,4,6‐トリヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,3‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,3‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4‐ジヒドロキシ‐6‐メチルフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシ‐6‐メチルフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4,6‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,4,6‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシドなどが挙げられる。
【0032】このようなビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、ビス(ポリヒドロキシフェニル)スルホン類又はビス(ポリヒドロキシフェニル)スルホキシド類を用いると、得られた下地材のdeepUV(特に248nm)に対する透過率が、またポリヒドロキシベンゾフェノン類を用いるとi線(365nm)に対する透過率が低くなり、良好な上層レジストパターンが得られる上に、選択比も大きくなるので有利である。
【0033】これらの中で、カルボニル基、スルホン基又はスルホキシド基に対してパラ位に水酸基をもち、対称構造を有する化合物、例えば、2,2′,4,4′‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′‐ジヒドロキシ‐4,4′‐ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4‐ジヒドロキシ‐6‐メチルフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシドなどは、熱架橋反応性がよいという点で好ましい。中でも、特に2,2′,4,4′‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシドが熱架橋反応性が高く、かつインターミキシングが発生しにくいので有利である。
【0034】本発明下地材においては、この(C)成分の高吸光性物質は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その含有量は、反射防止効果及び塗布性能などの面から、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計重量に基づき、3〜30重量%の範囲、好ましくは5〜20重量%の範囲で選ばれる。
【0035】本発明のリソグラフィー用下地材には、必要に応じて、相容性のある添加剤、例えば(A)成分と(B)成分との架橋反応の促進剤として有効な酢酸、シュウ酸、マレイン酸、o‐ヒドロキシ安息香酸、3,5‐ジニトロ安息香酸、2,6‐ジヒドロキシ安息香酸、o‐ヒドロキシ安息香酸とp‐キシレンとの共重合体として市販されているSAX(三井東圧化学社製)などのカルボン酸類やp‐トルエンスルホン酸とジアルキルアミノアルコールとのエステルなどの有機酸エステルを、下地材の固形分に対して、5重量%未満の範囲で添加することができる。
【0036】さらに、塗布性の向上やストリエーション防止のための界面活性剤を添加することができる。このような界面活性剤としては、サーフロンSC−103、SR−100(旭硝子社製)、EF−351(東北肥料社製)、フロラードFc−431、フロラードFc−135、フロラードFc−98、フロラードFc−430、フロラードFc−176(住友3M社製)などのフッ素系界面活性剤が挙げられ、その添加量は、下地材の固形分に対して、2000ppm未満の範囲で選ぶのがよい。
【0037】本発明のリソグラフィー用下地材は、前述の(A)成分、(B)成分及び必要に応じて用いられる(C)成分や各種添加成分を適当な溶剤に溶解して溶液の形で用いるのが好ましい。
【0038】この際用いられる溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノン、1,1,1‐トリメチルアセトンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール又はジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環状エーテル類や、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3‐メトキシプロピオン酸メチル、3‐エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0039】本発明のリソグラフィー用下地材は、ネガ型、ポジ型を問わず、アルカリ水溶液を用いて現像できるものであればどのようなレジストでも利用することができる。このようなレジストの例としては、ナフトキノンジアジド化合物とノボラック樹脂を含有するポジ型レジストや、露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジストや、露光により酸を発生する化合物、酸により分解しアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する基を有するアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジストや、露光により酸を発生する化合物、架橋剤、アルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型レジストなどがあるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0040】本発明のリソグラフィー用下地材の好適な使用方法の1例について説明すると、先ず、例えば基板上に、本発明の下地材を上記した有機溶剤に溶解して調製した下地材溶液をスピンナーなどにより回転塗布したのち、100〜300℃の温度でベークし、0.05〜0.5μmの膜厚の下地材層を形成する。この温度で本発明の下地材は架橋反応を起し、アルカリ溶液に対して不溶となる。このようにして下地材層を形成したのち、この上にレジスト層をスピンナーなどにより回転塗布し、乾燥してレジスト層を設ける。次いで紫外線を発光する光源、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、アーク灯、キセノンランプ、エキシマレーザーステッパーなどを用い所要のマスクパターンを介して露光するか、あるいは電子線を走査しながら照射する。次に、加熱処理を行い、これを現像液、例えば1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液に浸せきすると、ポジ型であれば露光部分が、ネガ型であれば未露光部分が選択的に溶解除去されて、マスクパターンに忠実なレジストパターンが形成される。
【0041】次いで、下地材層をレジストパターンをマスクとして、塩素ガスなどを用いたドライエッチング法によりパターン化する。なお、選択比を高くするために上層レジスト層をシリル化することが知られているが、このシリル化処理を組み合わせて行ってもよい。このようなシリル化処理の方法としては、例えば上層レジストをパターニングしたのち、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、他の多官能性シラザン類などのシリル化剤の蒸気に、30〜100℃の範囲の温度で1〜60分間該パターニングしたレジスト層をさらすことによって行う方法があるが、これ以外の方法によってもよい。
【0042】
【発明の効果】本発明のリソグラフィー用下地材は、基板とレジスト層との間に設けることにより、基板からの反射光を十分に抑制することができ、反射防止効果に優れるとともに、段差基板に対するコンフォーマル性及び塗布性能に優れ、しかも昇華物が発生しにくいなどの特徴を有し、マスクパターンに対する寸法精度に優れ、断面が矩形で高解像度及び高選択比のレジストパターンを与えることができる。
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0044】製造例1ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン250g(1モル)とジ‐tert‐ブチルジカーボネート109g(0.5モル)をジオキサン3150gに溶解し十分かきまぜたのち、トリエチルアミン25g(0.25モル)をジオキサン100gに溶解したものを室温で15分間かけて滴下した。次いで、室温にて2時間反応させた後、ジオキサンを留去し、メチルエチルケトンで精製を繰り返すことにより、構造式
【化2】


で表わされる化合物158gを得た。次いで、このようにして得た4‐ヒドロキシフェニル‐4′‐tert‐ブトキシカルボニルオキシフェニルスルホン315g(0.9モル)、トリエチルアミン126g(1.25モル)をジメチルアセトアミド2835gに溶解し、十分かきまぜたのち、これにメタクリル酸クロリド104g(1モル)を溶解したジメチルアセトアミド244gを室温で30分間にわたって滴下した。次いで、35〜40℃にて2時間反応させた後、ろ過し、ろ液を0.1規定塩酸3リットルに注加し析出物を得た。次いで、この析出物を0.05規定水酸化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、アセトニトリルを溶媒として再結晶を繰り返すことにより、構造式
【化3】


で表わされる化合物200gを得た。
【0045】製造例2製造例1で得た化合物100g(0.19モル)をジオキサン900gに溶解し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1gを加え、80℃で4時間窒素雰囲気中で重合反応させた。反応終了後、未反応モノマーを除去するために反応生成物をメタノール4リットル中に注加して重合体を析出させる操作を3回繰り返した。このようにして構造式
【化4】


で表わされる単量体の重合体50gを得た。このものの重量平均分子量は4700、分散度は2.7であった。次いで、この重合体100gをジオキサン900gに溶解し、35重量%塩酸30gをかきまぜながら滴下し、90℃で4時間反応させた。反応終了後、反応生成物を水6リットル中に注加して重合体を析出させ、次いで乾燥させることにより、tert‐ブトキシカルボニルオキシ基の一部が水酸基となった重合体を得た。この重合体の収量は32gであり、重量平均分子量は3200で、分散度は1.9であった。
【0046】製造例34‐ジメチルアミノ‐2′‐ヒドロキシ‐4′‐メトキシベンゾフェノン244g(0.9モル)、トリエチルアミン126g(1.25モル)をジメチルアセトアミド2196gに溶解し、十分かきまぜたのち、これにメタクリル酸クロリド104g(1モル)を溶解したジメチルアセトアミド936gを10℃で30分間にわたって滴下した。次いで、10〜15℃にて4時間反応させた後、ジメチルアセトアミドを留去し生成物を酢酸エチル1000ミリリットルに溶解し、2.8重量%アンモニア水で3回洗浄し、水相を除去し、酢酸エチル相のみを残した。次いで、酢酸エチルを留去し、残渣をトルエンに溶解し再結晶を繰り返すことにより、構造式
【化5】


で表わされる化合物220gを得た。
【0047】製造例4製造例3で得た化合物100g(0.23モル、全単量体に対するモル%は28.8モル%)とp‐tert‐ブトキシスチレン100g(0.57モル、全単量体に対するモル%は71.2モル%)をジオキサン1800gに溶解し、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル60gを加え、80℃で4時間窒素雰囲気中で重合反応させた。反応終了後、未反応単量体を除去するために反応生成物をn‐ヘプタン4リットル中に注加して重合体を析出させる操作を2回繰り返した。このようにして上記4‐ジメチルアミノ‐2′‐ヒドロキシ‐4′‐メトキシベンゾフェノンのメタクリル酸エステルとp‐tert‐ブトキシスチレンの共重合体を得た。この重合体の収量は100gであり、重量平均分子量は6100で、分散度は4.2であった。次いで、この重合体100gをジオキサン900gに溶解し、35重量%塩酸20gを撹拌下滴下し、80℃で4時間反応させた。反応終了後、反応生成物を水4リットル中に注加して、重合体を析出させ、次いで乾燥させることにより、構造式
【化6】


で表わされる単量体と4‐ヒドロキシスチレンとの共重合体100gを得た。このものの重量平均分子量は5700、分散度は4.2であった。
【0048】製造例52,4‐ジヒドロキシ‐4′‐ジメチルアミノベンゾフェノン216g(0.84モル)をテトラヒドロフラン1530gに溶解し、これにメタクリル酸メチル54g(0.63モル)を滴下した。この溶液に反応開始剤としてアゾビスイソバレロニトリル27gを加え、50℃で4時間大気中で重合反応させた。反応終了後、n‐ヘプタンを加え、2,4‐ジヒドロキシ‐4′‐ジメチルアミノベンゾフェノンのメタクリル酸エステルの重合体を析出させた。この重合体の重量平均分子量は13,000、分散度は2.3であった。
【0049】実施例1製造例2で得た、保護基の一部を水酸基とした重合体30重量部、パラトルエンスルホン酸とジアルキルアミノアルコールとのエステルを硬化触媒として含むカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミンであるサイメル1125−80(三井サイアナミッド社製)60重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート810重量部に溶解し、さらにフッ素系界面活性剤Fc−430(住友3M社製)1000ppmを溶解し、孔径が0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過することによって、下地材の溶液を得た。
【0050】実施例2実施例1において、さらにビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン10重量部を加え、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを900重量部にした以外は、実施例1と同様にして下地材の溶液を得た。
【0051】比較例実施例2において、製造例2で得た重合体を用いず、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホンを40重量部とした以外は、実施例2と同様にして下地材の溶液を得た。
【0052】実施例3製造例4で得た共重合体50重量部、サイメル1125−80(三井サイアナミッド社製)50重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート900重量部に溶解し、さらにフッ素系界面活性剤Fc−430(住友3M社製)1000ppmを溶解し、孔径が0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過することによって、下地材の溶液を得た。
【0053】実施例4製造例5で得た重合体90重量部とメラミン誘導体であるMX−750(三和ケミカル社製)30重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル1140重量部に溶解し、これにフッ素系界面活性剤Fc−430(住友3M社製)1000ppmを溶解したのち、孔径が0.1μmのメンブランフィルターを用いてろ過することによって、下地材の溶液を得た。
【0054】物性の評価各実施例及び比較例について得た下地材について以下の方法により物性を評価した。
(1)コンフォーマル性:ある一定の膜厚が得られる下地材溶液の粘度が高ければ高いほど、コンフォーマル性が向上することが分かっているため、下地材溶液を基板上に塗布した際、膜厚0.2μmとなるように調製した各実施例の下地溶液の25℃における粘度を測定することにより、コンフォーマル性を評価した。
【0055】(2)昇華物の有無:各実施例で得た下地材の溶液を0.2μmの段差を有するシリコンウエーハ上にスピンナーにより塗布し、膜厚0.2μmの下地材層を形成したのち、90℃で90秒間乾燥させ下地材塗膜を得た。次いで、表1に示すベーク条件で窒素雰囲気中で加熱することにより、下地材層を得た。その際ベーク炉中に昇華物が生じているかどうかを調べた。
【0056】(3)加熱処理後の膜むらの有無:上記(2)の処理で得た下地材層について、その外観を目視的に観察し、膜にむらが発生しているかどうかを調べた。
【0057】(4)ドライエッチング後のパターン形状(I):上記(2)と(3)の処理に続いて、下地材被膜上に、酸発生剤とヒドロキシスチレン系樹脂からなる化学増幅型ポジ型レジストであるTDUR−P007[東京応化工業(株)製]をスピンナーにより塗布して、90℃にて90秒間乾燥し、膜厚0.7μmのレジスト層を形成した。このレジスト層をNSR−2005EX8A(ニコン社製)を用いてマスクパターンを介して紫外線(波長248nm)露光し、次いで露光後加熱処理(PEB)を110℃で90秒間行い、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて現像し、レジストパターンを形成した。次にプラズマエッチング装置TUE−1102[東京応化工業(株)製]を用いて、塩素ガスをエッチャントとして、30mTorr、出力150W、温度20℃にて、120秒間ドライエッチングを行った。このようにして形成されたレジストパターン形状を調べた結果を表1に示す。なお、表中のAは矩形状のシャープなパターンを意味し、Bはトップ部分が丸みを帯びたパターンを意味する。
【0058】ドライエッチング後のパターン形状(II):上記(2)と(3)の処理に続いて、下地材被膜上に、酸発生剤とヒドロキシスチレン系樹脂と架橋剤からなる化学増幅型ネガ型レジストであるTHMR−iN200[東京応化工業(株)製]をスピンナーにより塗布して、90℃にて90秒間乾燥し、膜厚0.7μmのレジスト層を形成した。このレジスト層を縮小投影露光装置NSR−2005i10D(ニコン社製)を用いてマスクパターンを介して紫外線(波長365nm)露光し、次いで露光後加熱処理(PEB)を110℃で90秒間行い、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて現像し、レジストパターンを形成した。次にプラズマエッチング装置TUE−1102[東京応化工業(株)製]を用いて、塩素ガスをエッチャントとして、30mTorr、出力150W、温度20℃にて、120秒間ドライエッチングを行った。このようにして形成されたレジストパターン形状を調べた結果を表1に示す。なお、表中のAは矩形状のシャープなパターンを意味し、Bはトップ部分が丸みを帯びたパターンを意味する。このようにして得た結果を表1に示す。
【0059】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基あるいはその両方で置換されたアミノ基を少なくとも2個有する含窒素化合物の中から選ばれた架橋剤及び(B)少なくとも1個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類及びベンゾフェノン類の中から選ばれた少なくとも1種のヒドロキシ化合物とアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルを単量体の少なくとも一部として用いて得た重合体又は共重合体を含有することを特徴とするリソグラフィー用下地材。
【請求項2】 (A)ヒドロキシアルキル基又はアルコキシアルキル基あるいはその両方で置換されたアミノ基を少なくとも2個有する含窒素化合物の中から選ばれた架橋剤、(B)少なくとも1個の水酸基を有するビスフェニルスルホン類及びベンゾフェノン類の中から選ばれた少なくとも1種のヒドロキシ化合物とアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルを単量体の少なくとも一部として用いて得た重合体又は共重合体及び(C)高吸光性物質を含有することを特徴とするリソグラフィー用下地材。
【請求項3】 (A)成分の架橋剤が、アミノ基の水素原子がメチロール基又はアルコキシメチル基あるいはその両方で置換されたメラミン誘導体又はベンゾグアナミン誘導体である請求項1又は2記載のリソグラフィー用下地材。
【請求項4】 (C)成分の高吸光性物質が、少なくとも2個の水酸基を有する、ビスフェニルスルホン類、ビスフェニルスルホキシド類及びベンゾフェノン類の中から選ばれた少なくとも1種のポリヒドロキシ化合物である請求項2又は3記載のリソグラフィー用下地材。
【請求項5】 (A)成分と(B)成分を重量比40:60ないし90:10の割合で含有する請求項1ないし4のいずれかに記載のリソグラフィー用下地材。
【請求項6】 (C)成分の含有量が、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計重量に基づき、3〜30重量%である請求項2ないし5のいずれかに記載のリソグラフィー用下地材。

【公開番号】特開平10−228113
【公開日】平成10年(1998)8月25日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−343436
【出願日】平成9年(1997)12月12日
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)