説明

リソグラフィ装置における使用のためのスペクトル純度フィルタ

【課題】改良されたまたは代替となるスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置を提供する。
【解決手段】 スペクトル純度フィルタは、部材内を延在する複数のアパーチャを含む。アパーチャは、第1波長の放射を抑制し、かつ、第2波長の放射の少なくとも一部がアパーチャを透過できるように構成される。第2波長の放射は第1波長の放射より短い。アパーチャは、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるため部材内を様々な方向に延在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、スペクトル純度フィルタ(SPF)に関わり、特に、次に限定されないが、リソグラフィ装置における使用のためのスペクトル純度フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射するいわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射するいわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0003】
[0003] 基板上にますます小さくなってきている構造を投影可能とするためには、5〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmまたは6〜7nmの範囲内の波長を有する極端紫外線(EUV)を使用することが提案されてきている。
【0004】
[0004] (例えば他の波長の放射のうち特に)極端紫外線は、例えばプラズマを用いて生成されうる。プラズマは、例えば好適な材料(例えばスズ)の粒子にレーザを向けることによって、XeガスまたはLi蒸気といった好適なガスまたは蒸気のストリームにレーザを向けること、または、放電を発生させることによって生成されうる。結果として生じるプラズマは、極端紫外線(または超EUV放射)を放出し、これはミラー付き法線入射コレクタまたはミラー付きかすめ入射コレクタといったコレクタを用いて集められる。コレクタは、極端紫外線を受けて放射をビームに収束する。
【0005】
[0005] プラズマを用いてEUV放射を発生させる実際のEUV源は、所望の「帯域内」EUV放射だけでなく、不所望の「帯域外」放射も放出する。この帯域外放射は、深紫外線(DUV)放射範囲(100〜400nm)において最も顕著である。さらに、例えばレーザ生成プラズマEUV源といった一部のEUV源の場合、通常は10.6μmにあるレーザからの放射は、相当量の帯域外放射をもたらす。
【0006】
[0006] リソグラフィ装置において、スペクトル純度は幾つかの理由から望まれている。1つの理由としては、レジストが放射の帯域外波長に反応するので、レジストに与えられたパターンの像の質が、レジストがそのような帯域外放射に晒されると劣化しうることが挙げられる。さらに、帯域外放射赤外線、例えば、一部のレーザ生成プラズマ源における10.6μmの放射は、パターニングデバイス、基板、およびリソグラフィ装置内の光学部品の不所望かつ不必要な加熱をもたらすことがある。このような加熱は、これらの要素を損傷し、寿命を短くし、および/または、レジストコート基板に投影され、与えられるパターンに欠陥または歪みをもたらしてしまうことがある。
【0007】
[0007] これらの潜在的な問題を解決するために、赤外線の透過を実質的に防止し、同時にEUV放射の透過を可能にする幾つかの異なる透過型スペクトル純度フィルタが提案されている。これらの提案されているスペクトル純度フィルタのうちの幾つかは、例えば、赤外線を実質的に通さず、同時にEUV放射を実質的に透過する薄い金属層またはフォイルを含む。これらのおよび他のスペクトル純度フィルタにはさらに、1つ以上のアパーチャが設けられうる。アパーチャのサイズおよび間隔、並びにこれらのアパーチャの寸法は、赤外線がアパーチャによって回折または散乱される(それにより抑制される)一方で、EUV放射がアパーチャを透過するように選択されうる。アパーチャが設けられたスペクトル純度フィルタは、アパーチャが設けられていないスペクトル純度フィルタより高いEUV透過率を有しうる。これは、EUV放射は、所与の厚さを有する金属フォイル等を通過するよりもより簡単にアパーチャを通過可能となることによる。
【0008】
[0008] リソグラフィ装置では、レジストコート基板にパターンを与えるために用いられる放射の強度損失を最小限にすることが望ましい。このことの1つの理由としては、理想的には、例えば露光時間を短くしスループットを増加するために、可能な限り多くの放射が基板にパターンを与える際に利用可能であるべきであることが挙げられる。同時に、リソグラフィ装置を通過し基板に入射する不所望の(例えば帯域外の)放射の量を最小限にすることが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
[0009] 改良されたまたは代替となるスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置を提供することが本発明の一態様である。このスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置は、第1波長を有する放射(例えば赤外線といった不所望の放射)を抑制する一方で、同時に第2波長を有する放射(例えばレジストコート基板にパターンを付与するために用いられるEUV放射といった所望の放射)の透過を可能にするように構成される。このスペクトル純度フィルタおよびスペクトル純度フィルタ配置は、従来技術のスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置と比較して、より多くの第2波長を有する放射を透過するように構成されることが望ましい。
【0010】
[00010] 本発明の一態様では、スペクトル純度フィルタであって、スペクトル純度フィルタの部材内を延在する複数のアパーチャを含み、アパーチャは、第1波長の放射を(例えば、その放射を回折若しくは散乱させる、または、アパーチャの側壁でその放射を吸収するのに適した寸法を有するアパーチャを設けることによって)抑制し、かつ、第2波長の放射の少なくとも一部がアパーチャを透過できるように構成され、第2波長の放射は第1波長の放射より短く、アパーチャは、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるため部材内を様々な方向に延在する、スペクトル純度フィルタが提供される。かかる部材は、プレート、フォイル、および/または膜であってよい。
【0011】
[00011] 追加的にまたは或いは、部材は実質的に平面状でかつ平面を画定し、スペクトル純度フィルタ内のアパーチャは、その平面の法線に対して様々な角度で傾斜され、それにより、アパーチャはスペクトル純度フィルタ内を様々な方向に延在する。
【0012】
[00012] スペクトル純度フィルタは、約5μm乃至約20μmの厚さを有しうる。
【0013】
[00013] 第1波長がスペクトルの赤外線部分内にある場合、アパーチャは、例えば、約2μm乃至約10μmの範囲内、より具体的には約2μm乃至約10μmの範囲内、さらに具体的には約2μm乃至約10μmの範囲内の直径を有する。スペクトル純度フィルタの他のパラメータに依存して、このようなアパーチャは、赤外波長を抑制するのに好適でありうる。
【0014】
[00014] スペクトル純度フィルタは、複数の平面を画定する複数の平面セグメントを含んでよく、各セグメント内のアパーチャは当該セグメントによって画定される平面に実質的に垂直に延在し、平面セグメントは互いに対して角度が付けられ、それにより、アパーチャはスペクトル純度フィルタ内を様々な方向に延在する。
【0015】
[00015] スペクトル純度フィルタは実質的に湾曲されてよく、スペクトル純度フィルタ内のアパーチャは、かかる湾曲に対して実質的に垂直に位置合わせされ、それにより、アパーチャはスペクトル純度フィルタ内を様々な方向に延在する。
【0016】
[00016] アパーチャは側壁を有してよく、これらの側壁は、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるように構成される。
【0017】
[00017] アパーチャが延在する方向は、一点(例えば放出点、焦点、仮想焦点)と実質的に位置合わせされるように構成されうる。アパーチャの側壁もこの点と実質的に位置合わせされうる。
【0018】
[00018] 本発明の一態様では、スペクトル純度フィルタ配置であって、部材内を延在する複数のアパーチャを含み、アパーチャは、第1波長の放射を(例えば、その放射を回折若しくは散乱させる、または、アパーチャの側壁でその放射を吸収するのに適した寸法を有するアパーチャを設けることによって)抑制し、かつ、第2波長の放射の少なくとも一部がアパーチャを透過できるように構成され、第2波長の放射は第1波長の放射より短く、部材は実質的に平面状でかつ平面を画定し、アパーチャはその平面に実質的に垂直に延在する、スペクトル純度フィルタを含むスペクトル純度フィルタ配置が提供され、このスペクトル純度フィルタ配置は、使用中に、実質的に湾曲された部材を形成するために、かつ、アパーチャが、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるために部材内を様々な方向に延在するように部材を変形するように構成された変形配置をさらに含み、変形配置は静電配置を含む。
【0019】
[00019] 静電配置は、電圧源および電極構成を含んでよく、電圧源は、部材と電極構成に接続される。スペクトル純度フィルタ配置は、部材の変形を制御するために電圧源を制御するように構成されたコントローラをさらに含んでよく、このコントローラは、コントローラが受信するフィードバック信号に呼応して電圧源を制御するように構成されうる。フィードバック信号は、第2波長の放射ビームの透過か、または、部材の曲率度を少なくとも示しうる。部材は、プレート、フォイル、および/または膜であってよい。これにより、部材の変形を制御することが可能となりうる。電極構成の少なくとも一部が、放射ビームのビーム直径の外側に位置付けられる。
【0020】
[00020] 電極構成の少なくとも一部が、放射ビームのビーム直径の外側に位置付けられうる。
【0021】
[00021] 電極構成には、放射ビームがその中を通過しうる孔が設けられうる。
【0022】
[00022] 電極構成は、電極グリッドまたは電極メッシュを含みうる。
【0023】
[00023] 湾曲されると、アパーチャが延在する方向は、一点(例えば放出点、焦点、仮想焦点)と実質的に位置合わせされるように構成されうる。アパーチャの側壁もこの点と実質的に位置合わせされうる。
【0024】
[00024] 本発明の任意の態様のスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置では、第1波長の放射は電磁スペクトルの赤外線部分における波長を有しうる。
【0025】
[00025] 本発明の任意の態様のスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置では、第1波長の放射は約10.6μmである波長を有しうる。この波長の放射は、多くの場合、例えばレーザ生成プラズマ放射源において使用される。この波長を抑制することが望ましい。
【0026】
[00026] 本発明の任意の態様のスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置では、第2波長の放射は、電磁スペクトルのEUV部分における波長を有する放射と実質的に等しいかまたはそれより短い波長を有しうる。
【0027】
[00027] 本発明の一態様では、本発明の実施形態によるスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置を有するリソグラフィ装置または放射源が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
[00028] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【図1】[00029] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。
【図2】[00030] 図2は、図1に示すリソグラフィ装置のより詳細ではあるが概略的な図である。
【図3】[00031] 図3は、透過型スペクトル純度フィルタを概略的に示す。
【図4】[00032] 図4は、スペクトル純度フィルタを通過する平行放射ビームを構成する放射と共に図3のスペクトル純度フィルタの側面図を概略的に示す。
【図5】[00033] 図5は、スペクトル純度フィルタを通過する非平行(すなわち発散または収束)放射ビームを構成する放射と共に図3のスペクトル純度フィルタの側面図を概略的に示す。
【図6】[00034] 図6は、スペクトル純度フィルタを通過する非平行(すなわち発散または収束)放射ビームを構成する放射と共に本発明の一実施形態による透過型スペクトル純度フィルタの側面図を概略的に示す。
【図7】[00035] 図7は、スペクトル純度フィルタを通過する非平行(すなわち発散または収束)放射ビームを構成する放射と共に本発明の一実施形態による透過型スペクトル純度フィルタの側面図を概略的に示す。
【図8】[00036] 図8は、スペクトル純度フィルタを通過する非平行(すなわち発散または収束)放射ビームを構成する放射と共に本発明の一実施形態による透過型スペクトル純度フィルタの側面図を概略的に示す。
【図9】[00037] 図9は、本発明の一実施形態によるスペクトル純度フィルタ配置を概略的に示し、このスペクトル純度フィルタ配置は、スペクトル純度フィルタと、スペクトル純度フィルタを変形させる(例えば曲げる)ための変形配置とを含む。
【図10】[00038] 図10は、スペクトル純度フィルタが変形配置によって変形された場合にスペクトル純度フィルタを通過する非平行(すなわち発散または収束)放射ビームを構成する放射と共に、使用時の図9のスペクトル純度フィルタ配置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[00039] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置2を概略的に示している。リソグラフィ装置2は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに接続されたサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSとを含む。
【0030】
[00040] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、或いはそれらのあらゆる組合せなどの様々なタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0031】
[00041] サポート構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわちパターニングデバイスの重量を支える。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置2の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0032】
[00042] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0033】
[00043] パターニングデバイスの例としては、マスクおよびプログラマブルミラーアレイが含まれる。マスクは、リソグラフィでは周知であり、EUV放射(または超EUV)リソグラフィ装置では、通常、反射型である。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリクス配置が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリクスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0034】
[00044] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、任意のタイプの投影システムを包含するものとして広く解釈されるべきである。通常、EUV(または超EUV)放射リソグラフィ装置では、光学要素は反射型となる。しかし、他のタイプの光学要素を用いてもよい。これらの光学要素は真空中にありうる。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であるとみなされうる。
【0035】
[00045] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置2は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。
【0036】
[00046] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使うことができ、すなわち、予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0037】
[00047] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0038】
[00048] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータおよびコンデンサといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0039】
[00049] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAによって反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点を合わせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2と、基板アライメントマークP1、P2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0040】
[00050] 例示のリソグラフィ装置2は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0041】
[00051] ステップモードでは、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0042】
[00052] スキャンモードでは、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0043】
[00053] 別のモードでは、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードでは、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0044】
[00054] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、或いは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0045】
[00055] 図2は、放射源SO、イルミネータIL(場合により照明システムとも呼ばれる)、および投影システムPSを含むリソグラフィ装置2をより詳細に示す。放射源SOは、放電プラズマを含みうる放射エミッタ4を含む。EUV放射は、例えば、XeガスまたはLi蒸気といったガスまたは蒸気により生成されうる。このガスまたは蒸気内では、非常に高温のプラズマが生成されて電磁スペクトルのEUV放射範囲内の放射が放出される。この非常に高温のプラズマは、例えば、放電の部分的にイオン化されたプラズマを光軸6上で崩壊させることによって生成される。例えば10Paの分圧のXeまたはLi蒸気または任意の他の好適なガスまたは蒸気が、放射の効率のよい発生には必要となりうる。幾つかの実施形態では、スズが用いられ得る。図2は、放電生成プラズマ(DPP)放射源SOを示す。例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)放射源といった他の放射源を用いてもよいことは理解されよう。
【0046】
[00056] 放射エミッタ4によって放出された放射は、放射源チャンバ8からコレクタチャンバ10内へと渡される。コレクタチャンバ10は、汚染トラップ12とかすめ入射コレクタ14(矩形として概略的に示す)を含む。コレクタ14を通過した放射は、光子スペクトルフィルタ16から反射して、コレクタチャンバ10のアパーチャ20における仮想放射源点18に焦合される。アパーチャ20を通過する前に、放射は、スペクトル純度フィルタ21を通過する。スペクトル純度フィルタ21の様々な実施形態を以下により詳細に説明する。コレクタチャンバ10から、放射ビーム21は、イルミネータIL内を、第1および第2リフレクタ22、24を介して、レチクルまたはマスクテーブルMT上に位置決めされたレチクルまたはマスクMA上へと反射される。パターン付き放射ビーム26が形成されて、これは、投影システムPS内を、第1および第2反射要素28、30を介して、基板テーブルWT上に保持される基板W上に結像される。
【0047】
[00057] 図2に示されるよりも多いまたは少ない数の要素が、通常、放射源SO、照明システムIL、および投影システムPS内に存在しうることは理解されよう。例えば、幾つかの実施形態では、照明システムILおよび/または投影システムPSは、より多くのまたはより少ない数の反射要素またはリフレクタを含んでよい。
【0048】
[00058] リソグラフィ装置においてスペクトル純度フィルタを用いて放射ビームの不所望の(例えば帯域外)波長成分を除去することは知られている。例えば、1つ以上のアパーチャを含むスペクトル純度フィルタを設けることが知られている。各アパーチャの直径は、アパーチャが1つ以上の不所望の波長の放射(すなわち第1波長を有する放射)を、例えば、放射を回折または散乱するのに適した寸法を有するアパーチャを設けるかまたはアパーチャの側壁において放射を吸収することによって回折する一方で、1つ以上の所望の波長の放射(すなわち第2の波長を有する放射)はアパーチャを通過させるように選択されうる。例えば、不所望の放射は赤外線を含みうる一方で、所望の放射はEUVまたは超EUV放射を含みうる。
【0049】
[00059] 図3は、既知のスペクトル純度フィルタ40を概略的に示す。スペクトル純度フィルタ40は、プレート42を含み、プレートには円形アパーチャ44の周期的アレイが設けられている。アパーチャ44の直径46は、抑制されるべき第1波長の放射が、各アパーチャ44の入口においてまたはアパーチャ44内で実質的に回折または散乱される一方で、第2の短波長の放射がアパーチャ44を透過するように選択される。アパーチャ44の直径46は、1〜100μmの範囲でであってよく、これは類似する波長である放射を抑制するためである。より具体的には、第1波長がスペクトルの赤外線部分内の場合、例えば、第1波長が約9.4μmまたは10.6μmである場合、アパーチャは、例えば、約2μm乃至約10μmの範囲内、より具体的には約2μm乃至約10μmの範囲内、さらに具体的には約2μm乃至約10μmの範囲内の直径を有しうる。スペクトル純度フィルタの他のパラメータに依存して、このようなアパーチャは赤外波長を抑制するのに好適でありうる。
【0050】
[00060] プレート42は、任意の好適な材料から形成することができる。フォイルまたは膜を、プレート42の代わりにまたはプレート42に追加して用いてよい。プレート42(またはどの構造が用いられようとも)は、スペクトル純度フィルタ40が抑制するように設計されている第1波長の放射または波長の範囲を実質的に通さない。例えば、プレート42は、第1波長、例えば電磁スペクトルの赤外領域における波長を反射または吸収しうる。プレート42は、例えば電磁スペクトルのEUV領域における波長である、スペクトル純度フィルタ40が透過させるように設計されている1つ以上の第2波長の放射を実質的に通さないこともある。しかしスペクトル純度フィルタ40は、スペクトル純度フィルタ40が透過させるように設計されている1つ以上の第1波長を実質的に透過するプレート42から形成されることも可能である。このことは、スペクトル純度フィルタ40が透過させるように設計されている1つ以上の波長に対するスペクトル純度フィルタ40の透過率を増加しうる。スペクトル純度フィルタ40のプレート42を形成しうる材料の一例として金属が挙げられる。別の例としては、EUV放射を実質的に透過する薄いフォイルが挙げられる。
【0051】
[00061]スペクトル純度フィルタ40におけるアパーチャ44は、六角形パターンに配置される。この配置は、円形アパーチャの最密充填を与え、したがってスペクトル純度フィルタ40の透過率を最も高くするので好適でありうる。しかし、他のアパーチャ配置も可能であり、例えば、方形および矩形または他の周期的または非周囲的な配置を用いてもよい。例えば、非周期アレイの場合、ランダムパターンを用いてもよい。アパーチャは(どのような配置にあろうとも)円形、または、例えば、楕円形、六角形、方形、矩形、または任意の他の好適な形状でありうる。
【0052】
[00062] 図4は、図3のスペクトル純度フィルタ40を側面部分断面図で概略的に示す。アパーチャ44が設けられたプレート42は実質的に平らな形状であるので、平面を画定する。スペクトル純度フィルタ40のプレート42にアパーチャ44を設けるための製造方法(例えばドリリング等)によって、通常は、プレート42によって画定される平面に実質的に垂直な方向にスペクトル純度フィルタ40を通り延在するアパーチャ44(すなわち、スペクトル純度フィルタ40によって画定される平面に垂直な中心軸をそれぞれ有するアパーチャ)がもたらされる。
【0053】
[00063] 図4はさらに放射50を示す。放射50は平行放射ビームからの放射を構成する。放射50がスペクトル純度フィルタ40によって確定される平面に実質的に垂直な方向においてスペクトル純度フィルタ40に入射すると、放射50は、スペクトル純度フィルタ40のアパーチャ44を容易に通過する。しかし、このことは、スペクトル純度フィルタ40に入射する放射ビームが非平行(すなわち発散または収束)放射ビームを構成する場合には、当てはまらない。
【0054】
[00064] 図5は、図4に示しかつ図4を参照して説明したスペクトル純度フィルタ40と同じ側面部分断面図を概略的に示す。しかし、図4とは対照的に、図5では、スペクトル純度フィルタ40に向けられる放射は、スペクトル純度フィルタ40によって画定される平面に実質的に垂直な(すなわち直交する)方向に向けられていない。代わりに、図5に示す放射52は非平行放射ビームを構成し、また、本実施形態では、放射52は発散放射ビームを構成する。放射52は発散放射ビームを構成するので、放射52はスペクトル純度フィルタ40のアパーチャ44を容易に通過せず、代わりに、アパーチャ44の側壁54に入射するか、または、側壁54によって吸収もしくは散乱される。
【0055】
[00065] 一部の放射は図5に示す放射52よりも発散せず、したがって、アパーチャ44を通過しうるが、スペクトル純度フィルタを通る非平行放射ビームの透過は、平行放射ビームの透過に比べて減少される。例えば、透過はある場合には10%以上で減少されうる。
【0056】
[00066] 非平行放射の透過の減少の問題に対する解決は、例えば、プレート42の奥行き56、したがってアパーチャ44の奥行きを減少することによって達成されうる。このような奥行きの減少は、アパーチャ44の側壁54の長さを減少し、それにより、より多くの放射がアパーチャ44を通過可能となる。しかし、プレート42の奥行きを減少すると、不所望の放射をあまり抑制できなくなる、および/または、より壊れやすいスペクトル純度フィルタがもたらされうる。
【0057】
[00067] 従来技術の1つ以上の潜在的な問題(本明細書または他に特定されていようがいまいが)は、本発明のスペクトル純度フィルタによって未然に防止されるかまたは軽減されうる。本発明の一実施形態では、スペクトル純度フィルタは、スペクトル純度フィルタ内を延在するアパーチャを含みうる。各アパーチャは、例えば赤外線である第1波長の放射を(例えば、その放射を回折若しくは散乱させる、または、アパーチャの側壁で放射を吸収するのに適した寸法を有するアパーチャを設けることによって)抑制し、かつ第2波長の放射(例えば、EUV放射またはUV放射といった所望の波長の放射)の少なくとも一部は、アパーチャを透過させるように構成されうる。この効果を達成するためには、第2波長の放射は第1波長の放射より短い。従来技術のスペクトル純度フィルタとは対照的に、本発明の実施形態によるスペクトル純度フィルタのアパーチャは、非平行(すなわち発散または収束)放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせするように様々な方向にスペクトル純度フィルタ内で延在する。
【0058】
[00068] アパーチャが、非平行放射ビームを構成する放射(使用時に、スペクトル純度フィルタに向けられる)と位置合わせされた方向に延在することを確実にすることによって、アパーチャの側壁による放射の吸収または散乱によって損失する放射が少なくなる。放射は側壁に入射しなくなるので、スペクトル純度フィルタの奥行き、したがって、アパーチャの壁の長さを、スペクトル純度フィルタを通る放射の透過を減少することなく、増加することができる。スペクトル純度フィルタの奥行きを増加すると、スペクトル純度フィルタは不所望の放射をより効果的に抑制でき、および/または、高熱負荷による損傷の危険性なく(または危険性を少なくして)高熱負荷を受けることができるので有利でありうる。
【0059】
[00069] 本発明の具体的な実施形態を、単なる例として、図6〜図10を参照して説明する。
【0060】
[00070] 図6は、本発明の一実施形態によるスペクトル純度フィルタ60の側面部分断面図を概略的に示す。スペクトル純度フィルタ60は、例えば、膜、プレート、またはフォイル等でありうる平面部材62を含む。アパーチャ64が平面部材62に設けられ、スペクトル純度フィルタ60内を延在する。各アパーチャ64は、第1波長の放射(例えば赤外線といった不所望の放射)を抑制し、第2波長の放射(例えばEUV放射といった所望の放射)の少なくとも一部がアパーチャ64を透過できるように構成され、第2波長の放射は第1波長の放射より短い。このことは、各アパーチャ64の開口の直径を適切に選択することによって達成されうる。例えば、アパーチャが、特定の波長の放射に実質的に対応する直径を有する場合、この特定の波長の放射(例えば第1波長の放射)は、アパーチャ64によって回折され、実質的に抑制される(すなわち、スペクトル純度フィルタ60を透過することが阻止される)。通常、第1波長を有する放射を抑制するために、アパーチャ64は、第1波長を有する放射を回折若しくは散乱させる、または、アパーチャ64の側壁において第1波長を有する放射を吸収するのに適した寸法を有しうる。
【0061】
[00071] 平面部材62(また、通常、スペクトル純度フィルタ60)は、平面を画定する。スペクトル純度フィルタ60におけるアパーチャ64は、平面の法線に対して様々な角度で傾斜され、それにより、アパーチャ64は、スペクトル純度フィルタ60内を様々な方向に延在する。例えば、各アパーチャ64の中心長手軸は、放射68の放出点または焦点66に向けられうる(すなわちそれらと位置合わせされうる)。アパーチャ64の側壁も、図6に示されるように、アパーチャ64が放出点または焦点66に向かって内側にテーパーされるように放出点または焦点66と位置合わせされうる。
【0062】
[00072] 放出源または焦点66から放出された発散放射68は、アパーチャ64(およびこれらのアパーチャ64の側壁)は放出点または焦点66と位置合わせされるので、アパーチャ64を容易に透過する。アパーチャ64(およびこれらのアパーチャ64の側壁)は放出点または焦点66と位置合わせされるので、アパーチャ64の側壁に放射66がほとんどまたは全く入射せず、かつアパーチャ64の側壁によって放射66がほとんどまたは全く吸収または散乱されない。
【0063】
[00073] 他の実施形態(図示せず)では、アパーチャ、および/またはこれらのアパーチャの側壁は、放射の放出点または焦点とは位置合わせされないが、代わりに、スペクトル純度フィルタに向けられる放射と位置合わせされうる。例えば、スペクトル純度フィルタに向けられる放射は、スペクトル純度フィルタに入射する前に1つ以上のミラーまたはレンズによって向けられるかまたは方向転換されてよく、それにより(本実施例では)アパーチャおよびこれらのアパーチャの側壁と、放射の放出点または焦点との位置合わせが無意味となる。
【0064】
[00074] 他の実施形態(図示せず)では、アパーチャおよびこれらのアパーチャの側壁は、(図6に示す発散放射ビームの代わりに)収束放射ビームを構成する放射、または、仮想焦点または放射の焦点と位置合わせされてもよい。
【0065】
[00075] 各アパーチャが延在する方向は、スペクトル純度フィルタに向けられる放射ビームに対するスペクトル純度フィルタの位置の評価から決定されうる。例えば、非平行放射ビームを構成する放射の発散度または収束度が既知であり、そのビームに対するスペクトル純度フィルタの位置が既知であるならば、アパーチャが延在すべき方向は、スペクトル純度フィルタの製造中に決定して実施することができる。各アパーチャが延在する方向は、スペクトル純度フィルタを通る第2波長の放射(例えば所望の放射)の透過が最大限となるように選択されうる。
【0066】
[00076] スペクトル純度フィルタの製造方法は、スペクトル純度フィルタは寸法(例えば奥行きまたはアパーチャサイズ)が小さいことから、通常、リソグラフィに基づいている。可変の傾斜を有するアパーチャを有する形状を作成する(すなわち、アパーチャを、非平行放射ビームを構成する放射と位置合わせする)ためには、例えば、アパーチャがエッチング等される角度を制御することが望ましい。ある角度でアパーチャをエッチングする方法が報告されている(例えば、A.A. Ayon、Tailoring each directionality in a deep reactive ion etching tool、J. Vac. Sci. Technol. B18(2000)、1412を参照されたい)。エッチングされた角度において−32°〜+32°の変動が実証されている。或いは、レーザドリリング、レーザフォトアブレーション、または(X線)LIGAといった光学製造方法を用いてもよい。傾斜された(すなわち角度が付けられた)アパーチャは、放射ビームを、所望の角度で、スペクトル純度フィルタを形成するために用いられる部材(例えば平面部材等)の表面上に、単一のビームを用いてまたはフォトマスク等を用いて向けることによって作成されうる。
【0067】
[00077] スペクトル純度フィルタ60によって画定される平面の法線に対してアパーチャ64が方向付けられる角度(すなわちアパーチャが延在する方向)は、連続的に変化する。他の実施形態では、アパーチャが傾斜される角度(すなわちアパーチャが延在する方向)は、離散的に変化してもよい。例えば、スペクトル純度フィルタの中心を取り囲む特定のリングまたは領域内に位置付けられるアパーチャが特定の角度で傾斜され、この角度は、スペクトル純度フィルタの中心周りの様々なリングまたは領域に対して異なりうる。通常、スペクトル純度フィルタ60は、約5μm乃至約20μmの厚さを有しうる。
【0068】
[00078] 図7は、本発明の一実施形態によるスペクトル純度フィルタ70の側面部分断面図を概略的に示す。スペクトル純度フィルタ70は、複数の平面セグメント72を含み、これらの平面セグメント72は接続点74(複数のセグメント72のうち1つまたは両方のセグメントの連続部または延長部でありうる)において互いに固定される。接続点74は、放射が集光されないまたは集光されることがない領域内に位置付けられうる。例えば接続点74は、放射源内に通常あるオブスキュレーション(obscuration)と一致する点に位置付けられうる。各平面セグメント72は、例えば、フォイル、プレート、膜等から形成されうる。
【0069】
[00079] 各平面セグメント72は、平面を画定する。アパーチャ76が各セグメント72に設けられる。各アパーチャ76は、第1波長の放射(例えば赤外線といった不所望の放射)を抑制し、第2波長の放射(例えばEUV放射といった所望の放射)の少なくとも一部がアパーチャ76を透過できるように構成され、第2波長の放射は第1波長の放射より短い。このことは、各アパーチャ76の開口の直径を適切に選択することによって達成されうる。例えば、アパーチャが、特定の波長の放射に実質的に対応する直径を有する場合、この特定の波長の放射(例えば第1波長の放射)は、アパーチャ76によって回折され、また実質的に抑制される(すなわち、スペクトル純度フィルタ70を透過することが阻止される)。通常、第1波長を有する放射を抑制するために、アパーチャ76は、第1波長を有する放射を回折若しくは散乱させる、または、アパーチャ76の側壁において第1波長を有する放射を吸収するのに適した寸法を有しうる。通常、平面セグメント72のうちの1つ以上の平面セグメントの厚さは、5μm乃至約20μmであってよい。
【0070】
[00080] 各セグメント72内のアパーチャ76は、当該セグメント72によって画定される平面に実質的に垂直に延在する。アパーチャ76が延在する垂直方向は、アパーチャ76とスペクトル純度フィルタ70とを全体として製造することを容易にしうる。これは、法線に対して傾斜されているよりも垂直に延在するアパーチャを製造することがより容易だからである。アパーチャは、レーザドリリングを用いてまたはエッチングによって設けられうる。
【0071】
[00081] 平面セグメント72は、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせするために、各セグメント72のアパーチャ76がスペクトル純度フィルタ内を様々な方向に延在するように互いに対して角度が付けられる。
【0072】
[00082] 放出点または焦点66からの発散放射68が、スペクトル純度フィルタ70のセグメント72に設けられたアパーチャ76を通過するものとして示される。アパーチャ76は、各セグメント72によって画定される平面に対して垂直に延在するので、各アパーチャ76の長手軸および各アパーチャ76の側壁は、放出点または焦点66と直接的に位置合わせされていない。代わりに、各アパーチャ76の長手軸および各アパーチャ76の側壁は、放出源または焦点66と実質的に位置合わせされている。より多くの放射68(例えば数パーセント)が、入射する発散放射とアパーチャが実質的に位置合わせされない従来技術のスペクトル純度フィルタに比べて、スペクトル純度フィルタ70を通過しうるが、一部の放射は、アパーチャおよび/またはアパーチャの側壁が放射発生点66と直接的に位置合わせされていないことにより、アパーチャ76の側壁に入射する、および、アパーチャ76の側壁によって吸収または散乱されうる。セグメント72は、スペクトル純度フィルタを用いた第2波長の放射の透過が最大となるように互いに角度が付けられることが望ましい。
【0073】
[00083] 図7のスペクトル純度フィルタは、図示するように2つのセグメントを含んでよく、または、スペクトル純度フィルタは3つ以上のセグメントを含んでもよい。含まれるセグメントが多いほど、アパーチャとこれらのアパーチャの側壁は、スペクトル純度フィルタに入射すべき放射と位置合わせされる度合いが大きくなるので、スペクトル純度フィルタを通る第2波長の放射の透過が増加する。
【0074】
[00084] 図8は、本発明の一実施形態によるスペクトル純度フィルタ80の側面部分断面図を概略的に示す。スペクトル純度フィルタ80は、湾曲プレート、フォイルまたは膜等であってよいまたはこれらを含みうる湾曲部材82または湾曲体を含む。アパーチャ84がスペクトル純度フィルタ80に設けられ、これらのアパーチャ84は湾曲部に対して実質的に垂直になるように位置合わせされ、それにより、アパーチャ84はスペクトル純度フィルタ80内を様々な方向に延在する。
【0075】
[00085] 各アパーチャ84は、第1波長の放射(例えば赤外線といった不所望の放射)を抑制し、第2波長の放射(例えばEUV放射といった所望の放射)の少なくとも一部がアパーチャ84を透過できるように構成され、第2波長の放射は第1波長の放射より短い。このことは、各アパーチャ84の開口の直径を適切に選択することによって達成されうる。例えば、アパーチャが、特定の波長の放射に実質的に対応する直径を有する場合、この特定の波長の放射(例えば第1波長の放射)は、アパーチャ84によって回折され、また実質的に抑制される(すなわち、スペクトル純度フィルタ80を透過することが阻止される)。通常、第1波長を有する放射を抑制するために、アパーチャ84は、第1波長を有する放射を回折若しくは散乱させる、または、アパーチャ84の側壁において第1波長を有する放射を吸収するのに適した寸法を有しうる。
【0076】
[00086] アパーチャ84は、上述したように、角度が付けられたエッチングによって、光学方法によって設けられうる。或いは、アパーチャ84は平面部材に設けられうる。アパーチャ84は、その平面部材によって画定される平面に実質的に垂直に延在しうる。次に平面部材は曲げられて湾曲部材82を形成しうる。平面部材を曲げて湾曲部材82を形成することによって、アパーチャ84およびこれらのアパーチャの側壁に角度が付けられ、この角度(またはこれらの角度)は、湾曲部材82の適切な曲率によって放射68の放出点または焦点66の位置と位置合わせされるように選択することができる。図6に関連して上述したように、このような位置合わせは、放射68がアパーチャ84を容易に通過することを可能にし、放射68はアパーチャ84の側壁に入射しない、また、アパーチャ84の側壁によって吸収または散乱されない。通常、湾曲部材82の厚さは、5μm乃至約20μmであってよい。
【0077】
[00087] スペクトル純度フィルタの曲率度(degree of curvature)は、スペクトル純度フィルタを通る第2波長の放射の透過が最大となるような曲率度であることが望ましい。
【0078】
[00088] 上述した本発明の実施形態では、スペクトル純度フィルタのアパーチャを通る放射(例えば第2波長の放射)の透過は、従来技術のスペクトル純度フィルタに比べて増加されうる。本発明の実施形態のスペクトル純度フィルタのアパーチャは、アパーチャを通る放射の透過が増加されるように、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされる。このような位置合わせによって、アパーチャの奥行き(またはアパーチャの側壁の長さ)、したがってスペクトル純度フィルタの奥行きが、不所望の放射(例えば第1波長を有する放射)の抑制および/またはスペクトル純度フィルタの機械的ロバスト性(これは例えばスペクトル純度フィルタの耐熱能力(heat bearing capacity)を含みうる)を増加するために、全体として増加されうる。
【0079】
[00089] アパーチャの側壁が入射放射と位置合わせされていない一部の実施形態では、アパーチャの奥行きを増加すると、放射の吸収および散乱等によってこれらのアパーチャを通る放射の透過が僅かに減少しうる。しかし、アパーチャの側壁も入射放射と位置合わせされる実施形態では、アパーチャの奥行きを増加しても、これらのアパーチャを通る放射の透過は減少しない。
【0080】
[00090] 図8では、アパーチャが非平行放射の入射ビームと実質的に位置合わせされる程度にスペクトル純度フィルタのアパーチャに角度が付けられることを確実にするためにスペクトル純度フィルタを曲げることを説明した。この曲げは、スペクトル純度フィルタに物理的に接触する1つ以上のアクチュエータを用いて達成しうる。しかし、スペクトル純度フィルタは本質的に壊れ易いことにより、このような接触を用いた曲げは、通常、達成することが難しい。スペクトル純度フィルタを、それを損傷または破壊することなくこのような接触を用いて曲げることは困難でありうる。スペクトル純度フィルタは、最初から湾曲されて形成されることも可能である。しかし、通常のスペクトル純度フィルタに必要とされる寸法(例えばスペクトル純度フィルタ奥行きおよびアパーチャ直径)を有する湾曲部材を製造することは多くの場合困難である。
【0081】
[00091] 上述した(または従来技術一般における)1つ以上の潜在的な問題は、本発明の一実施形態によるスペクトル純度フィルタ配置を提供することにより未然に防止されるかまたは軽減されうる。このスペクトル純度フィルタ配置は、スペクトル純度フィルタを含みうる。このスペクトル純度フィルタは、スペクトル純度フィルタ内を延在するアパーチャを含んでよく、各アパーチャは第1波長の放射(例えば赤外線といった抑制されるべき放射)を抑制し、第2波長の放射(例えばEUV放射といった所望の放射)の少なくとも一部がアパーチャを通り透過できるように構成され、第2波長の放射は第1波長の放射より短い。通常、第1波長を有する放射を抑制するために、アパーチャは、第1波長を有する放射を回折若しくは散乱させる、または、アパーチャの側壁において第1波長を有する放射を吸収するのに適した寸法を有しうる。スペクトル純度フィルタは、最初は実質的に平面であり、スペクトル純度フィルタのアパーチャはその平面に実質的に垂直に延在する。スペクトル純度フィルタ配置はさらに、スペクトル純度フィルタを変形させるための変形配置を含む。変形配置は、使用時に、スペクトル純度フィルタを変形して実質的に湾曲したスペクトル純度フィルタを形成するように構成される。スペクトル純度フィルタが湾曲されると、アパーチャは、非平行放射を構成する放射と実質的に位置合わせされるようにスペクトル純度フィルタ内を様々な方向に延在する。変形配置は静電配置を含む。静電気を用いることにより、スペクトル純度フィルタを曲げるためにスペクトル純度フィルタに物理的に接触する必要が回避され、したがって、そのような物理接触に関連してスペクトル純度フィルタが損傷される危険が回避される。
【0082】
[00092] 本発明の具体的な実施形態を、単なる例として、図9および図10を参照して説明する。
【0083】
[00093] 図9は、本発明の一実施形態によるスペクトル純度フィルタ配置を概略的に示す。スペクトル純度フィルタ90が設けられる。スペクトル純度フィルタ90は、プレート、膜、フォイル等の形態にある平面部材92を含む。平面92には、平面部材92によって画定される平面に実質的に垂直に平面92内を延在する複数のアパーチャ94が設けられる。通常、1つ以上の平面部材92の厚さは5μm乃至約20μmであってよい。
【0084】
[00094] 各アパーチャ94は、第1波長の放射(例えば赤外線といった不所望の放射)を回折し、第2波長の放射(例えばEUV放射といった所望の放射)の少なくとも一部がアパーチャ94を透過できるように構成され、第2波長の放射は第1波長の放射より短い。このことは、各アパーチャ94の開口の直径を適切に選択することによって達成されうる。例えば、アパーチャが、特定の波長の放射に実質的に対応する直径を有する場合、この特定の波長の放射(例えば第1波長の放射)は、アパーチャ94によって回折され、また実質的に抑制される(すなわち、スペクトル純度フィルタ90を透過することが阻止される)。通常、第1波長を有する放射を抑制するために、アパーチャ94は、第1波長を有する放射を回折若しくは散乱させる、または、アパーチャ94の側壁において第1波長を有する放射を吸収するのに適した寸法を有しうる。
【0085】
[00095] スペクトル純度フィルタ90は変形配置に接続している。変形配置は、静電配置を含む。この静電配置は、電圧源100と電極構成102とを含む。電圧源100は、スペクトル純度フィルタ90と電極構成102と電気的に接続(104)している。
【0086】
[00096] 電極構成102は、スペクトル純度フィルタ90に近接して配置される。電気構成102は、使用時に、スペクトル純度フィルタ90を所望の度合い(例えば、スペクトル純度フィルタ90のアパーチャが入射放射と実質的に位置合わせされることを確実にする度合い)に曲げるのに十分な静電力が発生されるようにスペクトル純度フィルタの近くに位置付けられる。
【0087】
[00097] 電気構成102は、例えば、グリッド(すなわちメッシュ)等であってよい。電極構成102の1つ以上またはすべての部分は、スペクトル純度フィルタに入射する放射ビームの部分が電極構成102自体によって吸収または散乱されることを回避するために、放射ビームのビーム直径の外側に位置付けられうる。例えば、電極構成102には、放射ビームがその中を通過しうる孔またはアパーチャが設けられうる。
【0088】
[00098] 使用時に、電圧が、スペクトル純度フィルタ90と電極構成102との間に印加される。電極構成102とスペクトル純度フィルタ90との間に発生された電界は、スペクトル純度フィルタ90を湾曲する(すなわち変形するまたは曲げる)ために用いられる静電力を発生する。このような曲げは、スペクトル純度フィルタ90の1つ以上の部分を、例えば、スペクトル純度フィルタ、または、例えばフレーム等であるスペクトル純度フィルタのホルダの外径上の1つ以上の点上に固定する(例えばピニングするまたは保持する)ことによって容易にされうる。この静電力は、スペクトル純度フィルタ内で発生される弾性力によって、両方の力が互いに等しくなる均衡状態に到達するまで対抗される。静電力は通常比較的小さいので、スペクトル純度フィルタの機械的強度に依存して、スペクトル純度フィルタを十分な度合いに曲げるためには、数キロボルトまたは数十キロボルトを使用する必要がありうる。この機械的強度は、例えば、スペクトル純度フィルタにおけるアパーチャの構成と分布、および/または、スペクトル純度フィルタを形成するために用いられた材料に依存しうる。
【0089】
[00099] 図10は、使用時のスペクトル純度フィルタ配置を示す。電極構成102とスペクトル純度フィルタ90との間に電界が発生されており、それにより、スペクトル純度フィルタ90が曲げられている。スペクトル純度フィルタ90の曲げは、スペクトル純度フィルタ90のアパーチャ94(およびこれらのアパーチャ94の側壁)が、放出点または焦点66からの非平行放射ビームの放射68と位置合わせされる程度まで行われる。
【0090】
[000100] 発生される静電力は、引力がある。スペクトル純度フィルタを反対の方向に曲げるために、電極配置は、スペクトル純度フィルタの反対側に位置付けられる(または再度位置付けられる)必要がありうる。電極構成は、例えば、放出点または焦点と一致しうる発散入射放射ビームまたは収束入射放射ビームのいずれかとスペクトル純度フィルタのアパーチャを位置合わせさせるためにスペクトル純度フィルタを曲げる方向を選択可能とするために、スペクトル純度フィルタのどちら側に位置付けられてもよい。
【0091】
[000101] スペクトル純度フィルタに印加される力は、スペクトル純度フィルタと電極構成との間に印加される電圧の適切な変動によって変えることができる。これにより、スペクトル純度フィルタの曲率度のアクティブ制御が可能となる。曲率度は、スペクトル純度フィルタを通る第2波長の放射(例えばEUV放射)が最大となるようなものであることが理想的である。電圧源を制御し、それによりスペクトル純度フィルタの変形および曲率度を制御するコントローラが設けられうる。このコントローラは、コントローラが受信するフィードバック信号に呼応して電圧源を制御するように構成されうる。フィードバック信号は、スペクトル純度フィルタを通る第2波長の放射の透過か、または、スペクトル純度フィルタの曲率度を少なくとも示しうる。例えば、スペクトル純度フィルタによって透過された放射量を測定するために、放射ディテクタがスペクトル純度フィルタの下流に位置付けられてよい。透過度は、フィードバック信号によってコントローラにフィードバックされ、コントローラは、第2波長の放射の透過が最大であることをフォードバック信号が示すまで曲率度を制御するように構成される。或いはまたは追加的に、スペクトル純度フィルタを透過した放射を参照することなくスペクトル純度フィルタ90の曲率度を決定する配置が設けられてよい。例えば、1つ以上のカメラ等を用いて曲率度を決定し、この曲率度は、フィードバック信号を用いてコントローラにフィードバックされうる。コントローラは、スペクトル純度フィルタの曲率が1つ以上のカメラによって検出可能な所望のレベルにあることを確実にするように電圧源の電圧を制御しうる。
【0092】
[000102] 他の実施形態では、電圧源は、電極配置の1つ以上の部分に接続されていてもよく、または、電極構成の様々な部分に接続した1つ以上の電圧源が設けられてもよい。このことは、発生された電界および静電力のより選択的なまたは正確な制御を、したがって、スペクトル純度フィルタの変形のより選択的なまたは正確な制御を可能にしうる。電極配置は、例えば、平面グリッドまたはメッシュ等の平面状であってよい。一実施形態では、電極配置は湾曲されていてよい。一例では、電極配置は、スペクトル純度フィルタの所望の曲率度と一致するようにまたは実質的に適合するように湾曲されうる。このような一致または適合によって、スペクトル純度フィルタと電極構成との間の距離を減少または最小にすることができ、このことは、スペクトル純度フィルタを変形するために必要な電圧レベルを減少しうる。
【0093】
[000103] 上述したスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置は、任意の好適な応用において用いられてよい。例えば、1つ以上の上述したようなスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置が組み込まれたリソグラフィ装置または放射源が提供されうる。
【0094】
[000104] 上述したように、スペクトル純度フィルタを用いて第1波長の放射を有する放射を抑制し、第2波長の放射を有する放射の透過を可能にしうる。第1波長の放射は、電磁スペクトルの赤外線部分にある波長を有しうる。例えば、第1波長の放射は、10.6μmの波長を有しうる。第2波長の放射は、電極電磁スペクトルのEUV部分における波長を有する放射に実質的に等しいかまたはそれよりも短い波長を有しうる。しかし、スペクトル純度フィルタは、異なる放射波長を有する放射が抑制され(例えば側壁における回折、散乱、吸収等によって)、異なる波長を有する放射がスペクトル純度フィルタを透過できるように構成されうる(すなわちアパーチャがそのような寸法を有しうる)。上述した実施形態では、「所望の」(すなわち「第2」)波長の放射を、電磁スペクトルのEUV領域内またはその領域より下の波長の放射であると説明している。さらに、「不所望の」(すなわち「第1」)波長の放射を、電磁スペクトルの赤外線部分における波長の放射として説明している。本発明は、所望のものでも不所望のものであってもよい他の波長の放射にも適用可能であることは理解されよう。
【0095】
[000105] 通常、アパーチャは、約2μm乃至約10μmの範囲内、より具体的には約2μm乃至約10μmの範囲内、さらにより具体的には約2μm乃至約10μmの範囲内の直径を有しうる。スペクトル純度フィルタの他のパラメータに依存して、かかるアパーチャは赤外波長を抑制するのに適しうる。しかし、或いは、本発明のスペクトル純度フィルタの実施形態は変位(deviating)する直径を有するアパーチャを含んでもよい。
【0096】
[000106] 本発明の実施形態の上述した説明は、EUV放射(例えば5〜20nm)を発生する放射源に関するものであるが、本発明は10nm未満の波長を有する放射である「超EUV」放射を発生する放射源においても具現化されうる。超EUV放射は、例えば、6.7nmまたは6.8nmの波長を有しうる。超EUV放射を発生する放射源は、上述した放射源と同様に動作しうる。本発明は、1つ以上の波長の放射を別の1つ以上の波長の放射から分ける、抽出する、取り除くこと等が望まれる、任意の波長の放射を使用するリソグラフィ装置にも適用可能である。上述したスペクトル純度フィルタは、例えば、リソグラフィ装置または放射源(リソグラフィ装置用でありうる)において用いられうる。本発明はリソグラフィ以外の分野に用いられる分野および装置にも適用可能である。
【0097】
[000107] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル純度フィルタであって、
前記スペクトル純度フィルタの部材内を延在する複数のアパーチャを含み、
前記アパーチャは、第1波長の放射を抑制し、かつ、第2波長の放射の少なくとも一部が前記アパーチャを透過できるように構成され、前記第2波長の放射は前記第1波長の放射より短く、
前記アパーチャは、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるため前記部材内を様々な方向に延在する、スペクトル純度フィルタ。
【請求項2】
前記部材は、複数の平面を画定する複数の平面セグメントを含み、各セグメント内の前記アパーチャは対応するセグメントによって画定される前記平面に実質的に垂直に延在し、前記平面セグメントは、前記アパーチャが前記部材内を様々な方向に延在するように互いに対して角度が付けられる、請求項1に記載のスペクトル純度フィルタ。
【請求項3】
前記部材は実質的に湾曲され、前記アパーチャは、前記アパーチャが前記部材内を様々な方向に延在するように前記湾曲に対して実質的に垂直に位置合わせされる、請求項1に記載のスペクトル純度フィルタ。
【請求項4】
前記アパーチャは側壁を有し、前記側壁は、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるように構成される、いずれかの先行する請求項に記載のスペクトル純度フィルタ。
【請求項5】
前記アパーチャが延在する方向は、一点と実質的に位置合わせされるように構成される、いずれかの先行する請求項に記載のスペクトル純度フィルタ。
【請求項6】
スペクトル純度フィルタ配置であって、
部材内を延在する複数のアパーチャを含み、前記アパーチャは、第1波長の放射を抑制し、かつ、第2波長の放射の少なくとも一部が前記アパーチャを透過できるように構成され、前記第2波長の放射は前記第1波長の放射より短く、前記部材は実質的に平面状でかつ平面を画定し、前記アパーチャは前記平面に実質的に垂直に延在する、スペクトル純度フィルタと、
使用中に、実質的に湾曲された部材を形成するために、かつ、前記アパーチャが、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるために前記部材内を様々な方向に延在するように前記部材を変形するように構成された変形配置であって、静電配置を含む、変形配置と、
を含む、スペクトル純度フィルタ配置。
【請求項7】
前記第1波長の放射は、電磁スペクトルの赤外線部分における波長を有する、いずれかの先行する請求項に記載のスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置。
【請求項8】
前記第2波長の放射は、前記電磁スペクトルのEUV部分における波長を有する波長と実質的に等しいまたはその波長より短い波長を有する、いずれかの先行する請求項に記載のスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置。
【請求項9】
いずれかの先行する請求項に記載のスペクトル純度フィルタまたはスペクトル純度フィルタ配置を有するリソグラフィ装置または放射源。
【請求項10】
放射を発生する放射源と、
前記放射源内に位置決めされ、かつ、前記放射源によって発生された放射をフィルタリングするスペクトル純度フィルタであって、前記スペクトル純度フィルタの部材内を延在する複数のアパーチャを含み、前記アパーチャは、第1波長の放射を抑制し、かつ、第2波長の放射の少なくとも一部が前記アパーチャを透過できるように構成され、前記第2波長の放射は前記第1波長の放射より短く、前記アパーチャは非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるために前記部材内を様々な方向に延在する、スペクトル純度フィルタと、
前記スペクトル純度フィルタによってフィルタリングされた前記放射にパターンを付けてパターン付き放射ビームにするパターニングデバイスを支持するサポートと、
前記パターン付き放射ビームを基板上に投影する投影システムと、
を含むリソグラフィ装置を含むリソグラフィ装置。
【請求項11】
使用中に、実質的に湾曲された部材を形成するために、かつ、前記アパーチャが、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるように前記部材内を様々な方向に延在するように前記部材を変形するように構成された変形配置をさらに含み、前記変形配置は、静電配置を含む、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
放射を発生する放射源であって、
前記放射源によって発生された前記放射をフィルタリングするスペクトル純度フィルタであって、
前記スペクトル純度フィルタの部材内を延在する複数のアパーチャを含み、
前記アパーチャは、第1波長の放射を抑制し、かつ、第2波長の放射の少なくとも一部が前記アパーチャを透過できるように構成され、前記第2波長の放射は前記第1波長の放射より短く、
前記アパーチャは、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるために前記部材内を様々な方向に延在する、スペクトル純度フィルタを含む、放射源。
【請求項13】
使用中に、実質的に湾曲された部材を形成するために、かつ、前記アパーチャが、非平行放射ビームを構成する放射と実質的に位置合わせされるように前記部材内を様々な方向に延在するように前記部材を変形するように構成された変形配置をさらに含み、前記変形配置は、静電配置を含む、請求項12に記載の放射源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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