説明

リタデーション測定装置

【課題】偏光板、被測定試料、検光板を透過した白色光の分光スペクトルから被測定試料のリタデーションを測定するリタデーション測定装置は、被測定試料の両側に偏光板と検光板を配置しなければならないので、被測定試料が動くオンライン測定では構成が複雑になるという課題があった。本発明はオンライン測定に好適なリタデーション測定装置を提供することを目的にする。
【解決手段】偏光板を介して白色光を被測定試料に照射し、この被測定試料から戻ってきた光を再度同じ偏光板で透過させ、この透過光を分光してリタデーションを測定するようにした。被測定試料の片側に偏光板を配置するだけでよいので、回転制御が簡単になり、偏光板と検光板の角度ずれが発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複屈折性を有するフィルム等のリタデーションを測定する装置に関し、オンライン測定に用いて好適なリタデーション測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複屈折性を有するフィルム等の特性を評価する指標としてリタデーションが用いられる。リタデーションは下記(1)式によって定義される物理量である。なお、δnは屈折率の差、dはフィルムの膜厚である。複屈折の向きやリタデーション値はフィルムの延伸率によって変わるので、リタデーションを管理することにより、フィルムの製造工程における品質を保つことができる。
リタデーション=δn×d ・・・・・・ (1)
【0003】
図4に、従来のリタデーション測定装置の構成を示す。図4において、偏光板(偏光フィルタ)11、リタデーションを測定する試料12、検光板(検光フィルタ)13がこの順に配置されている。光源10から出射した白色光は偏光板11、試料12、検光板13を透過し、分光器14に入射される。なお、検光板13の光軸は偏光板11の光軸と平行になるように配置される。
【0004】
分光器14は入射された光を分光して分光スペクトル演算し、この分光スペクトルを演算部15に出力する。演算部15は入力された分光スペクトルからリタデーションを算出して出力する。
【0005】
分光器14が演算する分光スペクトルは山谷のある周期性の干渉波形になり、この干渉波形の周期はリタデーションに比例する。演算部15は、入力された分光スペクトルをフーリエ変換してパワースペクトルを演算し、このパワースペクトル中に表れるピークを検索して、このピークの位置からリタデーション値を算出する。
【0006】
リタデーションを測定するためには、分光スペクトル中に1周期以上の干渉縞が含まれる必要がある。1周期の干渉縞が含まれる分光スペクトルから算出したリタデーション値は最小のリタデーション値になる。光源10として可視光源を用いると、測定下限は1μm程度である。
【0007】
干渉縞の振幅は、偏光板11の光軸と試料12の光軸がなす角度によって変化する。すなわち、偏光板11と試料12の光軸の角度が0度または90度のときに振幅が0になり、45度のときに最大になる。
【0008】
干渉縞の振幅が0または90度になるとリタデーションを測定することができない。このため、試料12を回転ステージに固定し、この回転ステージを回転させて振幅が最大になる点を選んで測定する。
【0009】
特許文献1には、リタデーションを測定することができる複屈折評価装置が記載されている。特許文献1による複屈折評価装置は、図4と同様な構成で偏光板、試料、検光板を並べ、白色光を照射して、偏光板、試料、検光板を透過した透過光の分光スペクトルを分光器で作成する。透過光の強度はリタデーションの余弦波状に変化するので、この余弦波の周期を求めることにより、リタデーション値を算出する。
【0010】
特許文献2には、光を多層薄膜に照射し、この多層薄膜の反射光からその膜厚を測定する膜厚測定装置が記載されている。この膜厚測定装置では、多層薄膜からの反射光から反射分光スペクトルを求め、この反射分光スペクトルにフーリエ変換を施してパワースペクトルを算出し、このパワースペクトルのピーク位置から多層薄膜を構成する各層の膜厚を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−141602号公報
【特許文献2】特開2008−292473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このようなリタデーション測定装置には、次のような課題があった。
図4のリタデーション測定装置は、偏光板11と試料12の光軸を合わせるために試料12を回転しなければならないが、フィルム製造工程でオンライン測定する場合は、フィルムが移動しているので、試料を回転することができない。このため、測定するフィルムの光軸と偏光板11の光軸が一致したときには、リタデーションを測定することができないという課題があった。
【0013】
試料12を回転する代わりに偏光板11と検光板13を同期して回転しても同様の効果を得ることができる。しかし、オンライン測定では試料であるフィルムが移動しているので、フィルムに対して互いに反対側にある偏光板11と検光板13を同期して回転させるためには高度な制御が必要になり、測定装置の構成が複雑になってしまうという課題があった。また、偏光板11と検光板13の同期制御の精度が低いとこれらの光軸がずれ、測定誤差が増大してしまうという課題もあった。
【0014】
特許文献1の複屈折評価装置の偏光板、試料、検光板の配置は図4のリタデーション測定装置と同じであるので、やはり試料あるいは偏光板と検光板を回転しなければならない。このため、オンライン測定に用いることは困難であるという課題があった。
【0015】
また、特許文献2は多層薄膜の膜厚測定装置であり、リタデーションを測定する装置ではない。
【0016】
本発明の目的は、複雑な同期機構が不要で、かつ測定精度を低下させることがない、オンライン測定に用いて好適なリタデーション測定装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
偏光された光を被測定物に照射し、この被測定物から戻ってきた光を用いて前記被測定部のリタデーションを測定するリタデーション測定装置において、
被測定物に照射する白色光を出力する光源と、
前記光源の出力光を偏光すると共に、前記被測定物から戻ってきた光が入射される偏光板と、
前記被測定物から戻り、かつ前記偏光板を透過した光が入射され、この光の分光スペクトルを生成する分光部と、
前記分光部が生成した分光スペクトルが入力され、この分光スペクトルからリタデーションを演算して出力する演算部と、
を備えたものである。偏光板で検光板を兼ねることができるので、被測定物の反対側に検光板を設置しなくてもよい。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記偏光板を、被測定物に照射される光に対して斜めに配置したものである。偏光板の表面で反射した光が被測定物を透過した光と混合しないので、測定精度を高めることができる。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1若しくは請求項2に記載の発明において、
被測定物に対して前記偏光板と反対側に配置され、この被測定物を透過した光を反射する反射鏡を備えたものである。被測定物を透過した光が全て反射されるので、高精度でリタデーションを測定できる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3いずれかに記載の発明において、
前記偏光板を回転する回転機構を備えたものである。光軸が変化する被測定物でも、リタデーションを測定することができる。
【0021】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記分光スペクトルからパワースペクトルを演算し、このパワースペクトルの膜厚に起因するピークの高さが同じになるように、前記回転機構を制御するようにしたものである。偏光板の角度を常に最適な状態に保つことができるので、高精度でリタデーションを測定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば以下のような効果がある。
請求項1、2、3、4、および5の発明によれば、偏光板を介して白色光を被測定物に照射し、前記被測定物から戻ってきた光で前記偏光板を透過した光の分光スペクトルを作成し、この分光スペクトルから前記被測定物のリタデーションを演算するようにした。
【0023】
偏光板で検光板を兼ねることができるので、被測定物の片側に偏光板を配置するだけでリタデーションを測定することができる。このため、偏光板と検光板の角度がずれて測定精度が低下することがないという効果がある。
【0024】
また、被測定物の片側に配置した偏光板を回転するだけで、偏光板の光軸と被測定物の光軸の関係を合わせることができる。このため、偏光板と検光板を同期させて回転させる必要がなくなるので、被測定物が動くオンライン測定に用いても複雑な同期制御が不要になるという効果もある。
【0025】
また、光が被測定物を2回透過するので、従来に比べて2倍の感度を持たせることができる。このため、測定できるリタデーションの下限を広げることができるという効果もある。
【0026】
また、偏光板を被測定物に照射する光に対して斜めに配置することにより、偏光板の表面から反射した光は被測定物を透過した光とは違う方向に反射される。このため、偏光板の表面から反射した光と被測定物を透過した光が混合しないので、測定のS/N比を高めることができるという効果もある。
【0027】
また、被測定物に対して偏光板と反対側に反射鏡を設けることにより、被測定物を透過した光のほぼ全てが反射されて再度被測定物を透過するので、測定精度を更に高めることができるという効果もある。
【0028】
また、偏光板を回転させる回転機構を設けることにより、被測定物の光軸が変化しても偏光板の光軸を合わせて測定することができるという効果もある。
【0029】
また、パワースペクトルにおけるフィルムの膜厚に起因する2つのピークが同じ高さになるように偏光板の角度を制御することにより、偏光板の回転角を常に最適の状態に保つことができるという効果もある。
【0030】
さらに、フィルムの光軸の向きやリタデーションの大きさをオンラインで測定することができるので、製造中のフィルムにおける樹脂の分子の配向の向きや揃い具合を知ることができ、フィルムの強度などの特性を知ったり、調整(品質制御)を行なうのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例を示した構成図である。
【図2】演算部の構成図である。
【図3】反射光の特性図である。
【図4】従来のリタデーション測定装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るリタデーション測定装置の一実施例を示した構成図である。図1において、リタデーション測定装置は白色光を出射する光源20、光ファイバ21および27、光ファイバプローブ22、偏光板23、偏光板回転部24、反射鏡26、分光部28、演算部29で構成される。25はリタデーションを測定するフィルムであり、複屈折性を有している。フィルム25は被測定物に相当する。なお、被測定物は必ずしもフィルム状のものでなくてもよい。
【0033】
フィルム25と反射鏡26は並行に配置され、偏光板23はフィルム25に対して斜めに配置される。また、偏光板23は偏光板回転部24によって回転される。これによって、偏光板23の光軸の角度を変化させることができる。
【0034】
なお、偏光板回転部24は、光ファイバプローブ22が出射する光の光軸と平行な軸を中心として偏光板23を回転してもよく、また偏光板23の法線方向を軸として回転してもよい。
【0035】
光源20から出射された白色光は光ファイバ21を経由して光ファイバプローブ22に導かれ、この光ファイバプローブ22からフィルム25に向けて出射される。この光は偏光板23、フィルム25を透過して反射鏡26で反射され、再びフィルム25、偏光板23を透過して光ファイバプローブ22に入射される。すなわち、光ファイバプローブ22には、反射鏡26で反射され、フィルム25から戻ってきて、偏光板23を透過した光が入射される。
【0036】
光ファイバプローブ22に入射した反射光は光ファイバ27を経由して分光部28に入射される。分光部28は入射された光を分光、電気信号に変換して反射分光スペクトルを生成する。この反射分光スペクトルは、分光スペクトルに相当する。
【0037】
分光部28が生成した反射分光スペクトルは演算部29に入力される。演算部29は入力された反射分光スペクトルをフーリエ変換してパワースペクトルを算出し、このパワースペクトルのピークからフィルム25のリタデーションおよび光軸の角度を測定する。
【0038】
図2に演算部29の構成を示す。図2において、30は反射分光スペクトル取得部であり、分光部28が生成した反射分光スペクトルを取得する。31はパワースペクトル演算部であり、反射分光スペクトル取得部30が取得した反射分光スペクトルが入力される。パワースペクトル演算部31は、入力された反射分光スペクトルをフーリエ変換し、パワースペクトルを演算する。
【0039】
32はリタデーションピーク検出部であり、パワースペクトル演算部31が演算したパワースペクトルが入力される。リタデーションピーク検出部32は、入力されたパワースペクトルを検索し、リタデーションに起因するピークを検索する。33はリタデーション出力部であり、リタデーションピーク検出部32が検出したピークの位置からリタデーション値を算出し、このリタデーション値を出力する。
【0040】
34は膜厚ピーク検出部であり、パワースペクトル演算部31が演算したパワースペクトルが入力される。膜厚ピーク検出部34は入力されたパワースペクトルのピークを検索し、フィルム25の膜厚に起因するピークを検出する。フィルム25の表面と裏面から反射した光は干渉し、干渉縞が生じる。このため、パワースペクトルにはこの干渉縞に対応するピークが表れる。膜厚ピーク検出部34はこのピークを検出する。
【0041】
35は偏光板調整部であり、膜厚ピーク検出部34が検出したピークのデータが入力される。偏光板調整部35は偏光板回転部24を制御し、入力されたピークが適正になるように、偏光板23の角度を調整する。偏光板調整部35と偏光板回転部24で、偏光板の回転機構を構成している。
【0042】
36は複屈折角演算・出力部であり、偏光板調整部35の出力が入力される。複屈折角演算・出力部36は、入力されたデータからフィルム25の複屈折軸の角度を演算し、出力する。
【0043】
次に、図3に基づいて演算部29の動作を説明する。図3(A)は反射分光スペクトル取得部30が取得した反射分光スペクトルのグラフであり、横軸は反射光の波長、縦軸は反射率である。この反射分光スペクトルには、周期が長い変動と、周期が短い変動が含まれている。
【0044】
図3(B)は(A)の反射分光スペクトルをフーリエ変換して算出したパワースペクトルであり、横軸は光学膜厚、縦軸は強度である。このパワースペクトルには、40〜42の3つのピークが含まれている。
【0045】
40はリタデーションに起因するピークである。前記(1)式からわかるように、リタデーションは屈折率差δnとフィルム25の膜厚の積で表される。屈折率差δnは通常屈折率より小さいので、ピーク40は光学膜厚が小さいところに表れる。ピーク40の位置(光学膜厚)がリタデーション値である。
【0046】
41と42はフィルム25の表面から反射した光と裏面から反射した光が干渉した結果表れるピークである。フィルム25は複屈折性を有しているので、入射光のうち、フィルム25の光軸に平行な偏光成分が感じる屈折率と、フィルム25の光軸に垂直な偏光成分が感じる屈折率が異なる。このため、41と42の2つのピークに分離する。なお、光学膜厚は、屈折率と物理膜厚の積である。
【0047】
フィルム25に入射する光のうち、フィルム25の光軸に平行な偏光成分と垂直な偏光成分の割合は、偏光板23を回転することによって変えることができる。このため、偏光板23を回転させると、ピーク41と42の高さの比が変化する。
【0048】
偏光板調整部35によって偏光板23を回転させ、ピーク41と42の高さが同じになるようにすると、フィルム25と偏光板23の光軸の差が45度になる。前述したように、この状態ではリタデーションに起因するピーク40の高さが最大になり、高精度でリタデーション値を測定することができる。
【0049】
このため、偏光板調整部35でピーク41と42の高さが同じになるように偏光板23の角度を調整するようにすると、常に最適な状態でリタデーションを測定することができる。例えば、光学膜厚が小さい方のピーク(ピーク41)の高さが他方のピーク(ピーク42)の高さに比べて高いときは偏光板23を右方向に回転し、逆のときは左方向に回転するようにすると、常にフィルム25と偏光板23の光軸の差を45度に保つことができる。
【0050】
このとき、下記(2)式が成立する。偏光板23の回転角度から偏光板23の光軸の方向はわかっているので、下記(2)式からフィルム25の光軸の角度を算出することができる。複屈折角演算・出力部36は、下記(2)式からフィルム25の光軸の角度を算出し、出力する。
フィルム25の光軸の角度=偏光板23の光軸の角度+45度 ・・・・ (2)
【0051】
また、フィルム25の屈折率が既知であると、ピーク41または42の位置から算出した光学膜厚を用いて、フィルム25の物理膜厚を算出することもできる。これは、例えば特許文献2に記載された手法で行うことができる。
【0052】
図4従来例では偏光板11と検光板13でリタデーションを測定する試料12を挟む構成であった。オンライン測定では試料12を回転させることができず、かつ偏光板11と検光板13を同期して回転させることが難しいので、このリタデーション測定装置をオンライン測定に用いることは困難であるという課題があった。
【0053】
図1実施例では偏光板23およびフィルム25を透過した光を反射鏡26で反射させ、再びフィルム25、偏光板23を透過させる構成とした。偏光板23は検光板としても動作するので、検光板が不要になる。
【0054】
このため、フィルム25の片側に偏光板23を配置するだけで、フィルム25のリタデーションを測定することができる。フィルム25を回転させる必要がなく、また検光板が不要なので、同期制御などの高度な制御は必要なく、かつ構成も簡単になる。このような特性を有するために、オンライン測定に用いることができ、かつ偏光板と検光板の角度ずれも発生しない。
【0055】
また、光ファイバプローブ22から出射した光は2度フィルム25を透過するので、図4従来例と比較してリタデーションの値を2倍に拡大して測定することができる。このため、高精度でリタデーションを測定することができる。図4従来例に比べて2倍の感度を有するので、可視光を用いた場合、測定下限を従来の半分である0.5μm程度にすることができる。
【0056】
また、偏光板23をフィルム25に対して傾けて配置したので、偏光板23の表面で反射された光は斜め方向に反射され、光ファイバプローブ22に入射されることはない。このため、フィルム25を透過した光と偏光板23の表面で反射された光が混合して測定のS/N比を低下させることがなくなる。
【0057】
なお、フィルム25の膜厚が厚いと、膜厚に起因するピーク41、42が表れないことがある。このような場合には、リタデーションに起因するピーク40の高さが最大になるように、偏光板23の角度を制御するようにすればよい。図2の構成では、膜厚ピーク検出部34と複屈折角演算・出力部36を省略し、リタデーションピーク検出部32の出力を偏光板調整部35に入力する。この場合、フィルム25の光軸および膜厚を測定することはできない。
【0058】
また、反射鏡26を省略することもできる。この場合フィルム25の裏面から反射した反射光によって干渉が発生し、ピーク40が生じる。フィルム25の裏面の反射率は低いために干渉信号の強度が弱くなり、ピーク40の高さは低くなる。しかし、膜厚に起因するピーク41、42と同程度の高さは確保できるので、リタデーションと膜厚の両方を測定する場合にはむしろ好都合になる。この場合も、光ファイバプローブ22には、フィルム25から戻り、偏光板23を透過した光が入射される。
【0059】
また、一軸延伸フィルム等予め複屈折の軸の角度が予想できる場合には、予め偏光板23を最適な角度に固定することができる。この場合、偏光板23を回転する機構(偏光板調整部35および偏光板回転部24)は不要になる。
【0060】
また、偏光板23の表面から反射した反射光が測定に影響することがない場合には、偏光板23をフィルム25と平行に配置することもできる。
【0061】
さらに、これらの実施例では反射分光スペクトルをフーリエ変換してパワースペクトルを算出し、このパワースペクトルのピーク位置からリタデーション値を算出したが、これに限定されることはなく、反射分光スペクトルを用いて他の手法でリタデーション値を算出してもよい。
【符号の説明】
【0062】
20 光源
21、27 光ファイバ
22 光ファイバプローブ
23 偏光板
24 偏光板回転部
25 フィルム
26 反射鏡
28 分光部
29 演算部
30 反射分光スペクトル取得部
31 パワースペクトル演算部
32 リタデーションピーク検出部
33 リタデーション出力部
34 膜厚ピーク検出部
35 偏光板調整部
36 複屈折角演算・出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光された光を被測定物に照射し、前記被測定物から戻ってきた光を用いて前記被測定部のリタデーションを測定するリタデーション測定装置において、
被測定物に照射する白色光を出力する光源と、
前記光源の出力光を偏光すると共に、前記被測定物から戻ってきた光が入射される偏光板と、
前記被測定物から戻り、かつ前記偏光板を透過した光が入射され、この光の分光スペクトルを生成する分光部と、
前記分光部が生成した分光スペクトルが入力され、この分光スペクトルからリタデーションを演算して出力する演算部と、
を備えたことを特徴とするリタデーション測定装置。
【請求項2】
前記偏光板を、被測定物に照射される光に対して斜めに配置したことを特徴とする請求項1記載のリタデーション測定装置。
【請求項3】
被測定物に対して前記偏光板と反対側に配置され、この被測定物を透過した光を反射する反射鏡を備えたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2記載のリタデーション測定装置。
【請求項4】
前記偏光板を回転する回転機構を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載のリタデーション測定装置。
【請求項5】
前記分光スペクトルからパワースペクトルを演算し、このパワースペクトルの膜厚に起因するピークの高さが同じになるように、前記回転機構を制御するようにしたことを特徴とする請求項4記載のリタデーション測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−133428(P2011−133428A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294948(P2009−294948)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】