説明

リチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池

【課題】入出力特性及び寿命特性の両方に優れるリチウムイオン二次電池を構成可能な負極材を提供する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池用負極材に、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を含む炭素材料Aと、球形化黒鉛粒子を含む炭素材料Bとを含有させ、細孔体積が0.9ml/g〜1.3ml/gであり、比表面積が4.0m/g〜6.0m/gであり、タップ密度が0.75g/cm〜0.95g/cmとなるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウムイオン二次電池用負極材、リチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、その他の二次電池であるニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池及び鉛蓄電池と比べて軽量かつ高い入出力特性を有することから、近年、電気自動車やハイブリット型電気自動車への使用が期待されている。リチウムイオン二次電池を電気自動車やハイブリット型電気自動車に使用する際には、高入出力特性及び高寿命特性を両立したリチウムイオン二次電池の提供が重要であるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−324237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、高入出力特性及び高寿命特性に優れるリチウムイオン二次電池と、それを得るためのリチウムイオン二次電池用負極材及びリチウムイオン二次電池用負極は得られていなかった。
【0005】
本発明は、入出力特性と寿命特性との両方に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的としている。また、本発明は、入出力特性と寿命特性との両方に優れるリチウムイオン二次電池の提供を可能にするリチウムイオン二次電池用負極材及びリチウムイオン二次電池用負極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち本発明は、次の各項に関する。
(1)鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を含む炭素材料Aと、球形化黒鉛粒子を含む炭素材料Bとを含有し、細孔体積が0.9ml/g〜1.3ml/gであり、比表面積が4.0m/g〜6.0m/gであり、タップ密度が0.75g/cm〜0.95g/cmであるリチウムイオン二次電池用負極材。
(2)前記炭素材料Aは前記鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子の表面の少なくとも一部が低結晶性炭素により被覆された被覆物を含み、前記炭素材料Bは前記球形化黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が低結晶性炭素により被覆された被覆物を含む(1)記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
(3)ラマンスペクトルにおけるR値が、0.3〜1.0である(1)又は(2)記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
(4)前記鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子は、鱗片状黒鉛粒子の集合体を加圧処理して得られたものである(1)〜(3)のいずれか記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
(5)前記炭素材料Aのアスペクト比が、1.8〜2.7である(1)〜(4)のいずれか記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
(6)前記炭素材料Bのアスペクト比が、1.3〜2.0である(1)〜(5)のいずれか記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
(7)集電体と、該集電体上に設けられ(1)〜(6)のいずれか記載のリチウムイオン二次電池用負極材を含む負極層とを有するリチウムイオン二次電池用負極。
(8)(7)記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを備えてなるリチウムイオン二次電池。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、入出力特性と寿命特性との両方に優れるリチウムイオン二次電池を提供することが可能である。また、本発明によれば、入出力特性と寿命特性との両方に優れるリチウムイオン二次電池の提供を可能にするリチウムイオン二次電池用負極材及びリチウムイオン二次電池用負極を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例にかかる炭素材料Aの電子顕微鏡写真の一例を示した図である。
【図2】本実施例にかかる炭素材料Bの電子顕微鏡写真の一例を示した図である。
【図3】本実施例にかかるリチウムイオン二次電池用負極材の電子顕微鏡写真の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示すものとする。さらに本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
【0010】
<リチウムイオン二次電池用負極材>
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を含む炭素材料Aと、球形化黒鉛粒子を含む炭素材料Bとを含有し、細孔体積が0.9ml/g〜1.3ml/gであり、比表面積が4.0m/g〜6.0m/gであり、タップ密度が0.75g/cm〜0.95g/cmである。
【0011】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を含む炭素材料Aと球形化黒鉛粒子を含む炭素材料Bとを含有し、これら炭素材料Aと炭素材料Bとを含有するリチウムイオン二次電池用負極材(負極活物質)全体として、細孔体積が0.9ml/g〜1.3ml/gであり、比表面積が4.0m/g〜6.0m/gであり、タップ密度が0.75g/cm〜0.95g/cmであるという物性値を示す。
【0012】
当該本発明のリチウムイオン二次電池用負極材を用いることにより、リチウムイオンの移動速度の向上、挿入離脱サイトの増大及び粒子間の接触度合の向上などが達成でき、高入出特性を維持することができるリチウムイオン二次電池の提供を可能としたものである。また、細孔体積、比表面積及びタップ密度を特定の範囲とした、当該本発明のリチウムイオン二次電池用負極材を用いることにより、高寿命特性を発揮することができるリチウムイオン二次電池の提供を可能としたものである。
【0013】
(細孔体積)
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材の細孔体積は、0.9ml/g〜1.3ml/gである。細孔体積が0.9ml/g未満であるとリチウムイオンの移動速度が低下し、急速充放電性が低下する場合が有り、1.3ml/gを超えると粒子が壊れやすくなり、寿命特性が低下する場合がある。
細孔体積は1.0ml/g〜1.2ml/gであることが好ましく、さらには1.0ml/g〜1.1ml/gであることがより好ましい。
【0014】
なお、本発明において細孔体積は、水銀圧入法(島津製作所製 細孔分布測定装置 オートポア 9520形)により試料量0.2g、初期圧9kPa(約1.3psia、細孔直径約140μm相当)、水銀接触角130degrees、水銀表面張力485.0dynes/cmの条件で測定した値とする。なお、水銀圧入法よる細孔径分布測定では、2nm〜50nmの範囲に該当する細孔分布測定が可能である。
【0015】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材の細孔体積を0.9ml/g〜1.3ml/gの範囲とするためには、例えば、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計を100質量部として、炭素材料Aを30質量部〜60質量部、炭素材料Bを40質量部〜70質量部とし、さらに、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0016】
(比表面積)
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材の比表面積は、4.0m/g〜6.0m/gである。比表面積が4.0m/g未満であると、リチウムイオンの挿入離脱サイトが減少するため、出力特性が低下する場合が有り、6.0m/gを超えると電解液との反応性が高くなり不導体被膜が厚く形成されて充放電効率が低下し、寿命特性を低下させる場合がある。
比表面積は4.0m/g〜5.8m/gであることが好ましく、さらには4.0m/g〜5.5m/gであることがより好ましい。
【0017】
なお、本発明において比表面積は、BET法(窒素ガス吸着法)により以下の条件で測定した値とする。すなわち、得られた試料を110℃、2時間常圧で乾燥した後、比表面積計(比表面積測定装置フローソープII2300 島津製作所製)を用い、液体窒素温度(77K)での窒素吸着より得られた等温吸着線からBET法にしたがって算出される。
【0018】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材の比表面積を4.0m/g〜6.0m/gの範囲とするためには、例えば、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計を100質量部として、炭素材料Aを30質量部〜60質量部、炭素材料Bを40質量部〜70質量部とし、さらに、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0019】
(タップ密度)
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材のタップ密度は、0.75g/cm〜0.95g/cmである。タップ密度が0.75g/cm未満であると粒子間の接触度合が低くなるため導電性に優れず、入出力特性が低下する場合が有り、0.95g/cmを超えると電解液を注入した際に浸透性が悪くなり、寿命特性および入出力特性が低下する場合がある。
タップ密度は0.80g/cm〜0.95g/cmであることが好ましく、さらには0.85g/cm〜0.95g/cmであることがより好ましい。
【0020】
なお、本発明においてタップ密度は、容量150cmのメスシリンダーに試料粉末50gをさじで徐々に投入し、メスシリンダーに栓をした後、充填密度測定装置(蔵持科学機械製作所製:KRS−406)を用いて5cmの高さから250回落下させた後の試料粉末の質量を容量で除することによって算出できる250回タップ密度である。
【0021】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材のタップ密度を0.75g/cm〜0.95g/cmの範囲とするためには、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計を100質量部として、炭素材料Aを30質量部〜60質量部、炭素材料Bを40質量部〜70質量部とし、さらに、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0022】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材の平均粒子径は7μm〜15μmであることが好ましく、8μm〜13μmであることがより好ましく、10μm〜12.5μmであることがさらに好ましい。
ここで、本明細書において特に断らない限り、平均粒子径は、体積平均粒子径を表し、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置(SALD−3000J 島津製作所製)等により測定することができる。
【0023】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材のアスペクト比は、特に制限はされないが、粒子間接触度合を高くするという観点から、1.5〜2.5が好ましく、1.7〜2.3であることがより好ましい。
【0024】
アスペクト比が1.5以上であると粒子形状が制御され、粒子同士の接触点が増加する点であり、2.5以下であると粒子間空隙が少なくなる点であり好ましい。
【0025】
本明細書においてアスペクト比は、黒鉛粒子の長軸方向の長さをA、短軸方向の長さをBとしたとき、A/Bで表される。本発明に用いるアスペクト比は、顕微鏡で黒鉛粒子を拡大し、任意に10個の黒鉛粒子を選択してA/Bを測定して、その測定値の算術平均値をとったものである。
【0026】
このとき、長軸方向の長さは、観察される黒鉛粒子を二本の平行線A,A’で接するように挟んだとき、その間隔が最も大きくなる場合のA,A’間の距離であり、短軸方向の長さは、前記長軸方向の長さを決める二本の平行線A,A’に対して垂直な二本の平行線B,B’で前記黒鉛粒子を接するよう挟んだときのそのB,B’間の距離である。
【0027】
(炭素材料A)
本発明における炭素材料Aは、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を含み、必要に応じて前記鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子の表面の少なくとも一部が低結晶性炭素によって被覆されて構成される。炭素材料Aは前記鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、炭素材料Aはこの鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子から実質的に構成されるもの(90質量%以上)であることが特に好ましい。炭素材料Aは、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を含むことにより、高比表面積を達成することができる。
鱗片状黒鉛としては、天然黒鉛、コークス等を黒鉛化した人造黒鉛などが挙げられるが、安価で黒鉛結晶化度が高いという観点より天然黒鉛が好ましい。
【0028】
鱗片状黒鉛粒子のアスペクト比は、特に制限はされないが、上限としては5.0が好ましく、3.0以下がより好ましいが、さらに1.3〜3.0範囲のアスペクト比であることが好ましい。アスペクト比が5.0以下であると急速充放電特性が容易に低下することもなく、アスペクト比は1.2以上であれば粒子間接触面積が減ることもなく、導電性は低下せず、入出力特性が悪化することもない。また、リチウムイオンの挿入離脱の観点から、1.8〜2.7がさらに好ましく、2.0〜2.5であることが最も好ましい。
【0029】
本発明における鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子は、上記鱗片状黒鉛粒子を加圧処理して得られたもの、攪拌処理して得られたもの、噴霧処理して得られたものなどが挙げられるが、なかでも加圧処理して得られたものが好ましい。さらに、加圧処理としては、異方性加圧処理でも良いが、等方性加圧処理されてなることが好ましい。
加圧処理を施すことによって高タップ密度を有するという観点で好ましく、特に等方性加圧処理であると高比表面積を維持したまま、高タップ密度が得られるのでより好ましい。
【0030】
等方性加圧処理の方法としては、等方的に加圧できる方法であれば特に制限はなく、例えば原料となる鱗片状黒鉛粒子をゴム型等の容器に入れ、水を加圧媒体とする静水圧等方プレスや、空気等のガスを加圧媒体とする空圧による等方性プレス等の加圧処理が挙げられる。
【0031】
等方性加圧処理の加圧媒体の圧力としては、50kgf/cm〜2000kgf/cmの範囲が好ましく、300kgf/cm〜2000kgf/cmの範囲であればより好ましく、500kgf/cm〜2000kgf/cmの範囲であればさらに好ましい。圧力が50kgf/cm以上であれば、タップ密度が高く、得られるリチウムイオン電池の高温保存特性が維持される傾向にある。また、圧力が2000kgf/cm以下であると、タップ密度は大きくなりすぎず、比表面積も大きくなるため、得られるリチウムイオン電池の入出力特性が低くなることもない。
【0032】
なお、上記鱗片状黒鉛粒子に等方性加圧処理を行うと、得られる粒子同士が凝集する可能性が高いため、等方性加圧処理後に解砕及び篩等の処理を行うことが好ましい。解砕、篩等の処理条件は、公知の条件に従うことができ、以下に示す炭素材料Aの物性値を満たすように制御すればよい。
【0033】
このようにして得られた鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子は、一般に、比較的細かな鱗片状黒鉛粒子が、圧力によって凝集した二次粒子である。この二次粒子は、図1に示すように、一般に、鱗片状黒鉛粒子が凝集し、粒子として一体化したもので、表面は、凝集した鱗片状黒鉛粒子の端部が突出したり、鱗片状微粒子の平板部分が表面に露出したりして、全体として凹凸の大きいゴツゴツした状態である。多数の鱗片状黒鉛粒子から形成されていることがわかる。この状態は電子顕微鏡等で観察できる。
【0034】
本発明に用いる炭素材料Aの細孔体積は1.0ml/g〜1.7ml/gであることが好ましいが、1.0ml/g〜1.5ml/gであることがより好ましい。細孔体積が1.0ml/g〜1.7ml/gの範囲内であると、粒子内部に電解液が染み込みやすく、急速充放電特性に優れ、入出力特性に優れる。1.0ml/g以上であると、粒子内部のリチウムイオンの移動も容易であり、急速充放電特性が低下することもなく1.7ml/g以下であれば、粒子が壊れる可能性も低く、入出力特性が悪化することもない。
なお、本発明における細孔体積は、上記方法によって測定した値とする。
【0035】
本発明に用いる炭素材料Aの細孔体積を1.0ml/g〜1.7ml/gの範囲とするためには、例えば、500kgf/cm〜2000kgf/cmの範囲で等方性加圧処理を加え、公知の条件に従って解砕、篩を行い、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0036】
本発明に用いる炭素材料Aの比表面積は16.0m/g〜18.5m/gであることが好ましいが、16.5m/g〜18.0m/gであることがより好ましい。比表面積が16.5m/g〜18.5m/gの範囲内であると、リチウムイオンの挿入離脱する場所が多くなるため、入出力特性に優れる。16.0m/g以上であれば、低結晶性炭素を被覆した際のリチウムイオンの挿入離脱サイトが減少することもなく、入出力特性が低下することもない。18.5m/g以下であれば、電解液との反応性が高くなり不動態被膜が厚く形成されて充放電効率が低下し、寿命特性を低下させることもない。
なお、本発明における比表面積は、上記方法によって測定した値とする。
【0037】
本発明に用いる炭素材料Aの比表面積を16.0m/g〜18.5m/gの範囲とするためには、例えば、500kgf/cm〜2000kgf/cmの範囲で等方性加圧処理を加え、公知の条件に従って解砕、篩を行い、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0038】
本発明に用いる炭素材料Aのタップ密度は0.30g/cm〜0.80g/cmであることが好ましいが、0.35g/cm〜0.75g/cmであることがより好ましく、0.40g/cm〜0.75g/cmであることがさらに好ましい。タップ密度が0.30g/cm〜0.80g/cmの範囲内であると高温保存特性が良く、寿命特性に優れる。0.30g/cm以上であれば粒子間の接触度合が低くならず、導電性も維持でき、入出力特性が悪化することもない。0.80g/cm以下であれば、電解液を注入した際の浸透性も良好で、寿命特性および入出力特性の低下も見られない。
なお、本発明におけるタップ密度は、上記方法によって測定した値とする。
【0039】
本発明に用いる炭素材料Aのタップ密度を0.30g/cm〜0.80g/cmの範囲とするためには、例えば、500kgf/cm〜2000kgf/cmの範囲で等方性加圧処理を加え、公知の条件に従って解砕、篩を行い、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0040】
炭素材料Aの平均粒子径は5μm〜10μmであることが好ましく、6μm〜9μmであることがより好ましく、7μm〜8μmであることがさらに好ましい。
【0041】
本発明に用いる炭素材料Aのアスペクト比は、特に制限はされないが、1.8〜2.7が好ましく、2.0〜2.5であることがより好ましい。アスペクト比が1.8〜2.7の範囲である場合には、急速充放電特性等に優れ、好ましい。
【0042】
(炭素材料B)
本発明における炭素材料Bは、球形化黒鉛粒子を含み、必要に応じて前記球形化黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が低結晶性炭素によって被覆されて構成される。炭素材料Bは前記の球形化黒鉛粒子を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、この球形化黒鉛粒子から実質的に構成されるもの(90質量%以上)であることが特に好ましい。炭素材料Bは、球形化黒鉛粒子を含むことにより、高タップ密度を達成することができる。
【0043】
球形化黒鉛粒子は、各種黒鉛粒子、例えば、鱗片状天然黒鉛粒子、鱗片状人造黒鉛粒子等の扁平状の黒鉛粒子を、機械的処理(改質処理)することにより得ることができる。
機械的処理とは、上記黒鉛粒子を処理装置内において、装置内部の一部(回転翼、内部壁面、金属等の硬質ボール等)と衝突させる、または黒鉛粒子同士を衝突させること等をいう。
球形化黒鉛粒子は、球形化処理により一般にその表面が比較的滑らかになっている。球形化黒鉛粒子は、図2に示すように、一般に、複数の一次粒子が結合又は集合して形成されているような外観ではなく、表面が滑らかな1つの粒子であり、ジャガ芋のような外観形状として観察できる。これは電子顕微鏡等で観察できる。従って、上記鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子とは、明らかに異なった粒子として観察できる。
【0044】
球形化黒鉛粒子のアスペクト比は1.3〜2.0であることが好ましく、1.5〜1.8であることがリチウムイオンを吸蔵・放出し易い点で好ましい。なお、アスペクト比は上記記載の方法によって求めることができる。
【0045】
本発明に用いる炭素材料Bの細孔体積は0.5ml/g〜1.0ml/gであることが好ましいが、0.6ml/g〜0.9ml/gであることがより好ましく、0.7ml/g〜0.8ml/gであることがさらに好ましい。細孔体積が0.5ml/g〜1.0ml/gの範囲内であると、粒子内部に電解液が染み込みやすく、急速充放電特性に優れ、入出力特性に優れる。0.5ml/g以上であれば、粒子内部でリチウムイオンの移動が制限されることもなく、急速充放電特性が低下することもない。1.0ml/g以下であれば、粒子が壊れることもなく入出力特性が悪化することもない。なお、本発明における細孔体積は、上記方法によって測定した値とする。
【0046】
本発明に用いる炭素材料Bの細孔体積を0.5ml/g〜1.0ml/gの範囲とするためには、球形化処理を加え、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0047】
本発明に用いる炭素材料Bの比表面積は9.0m/g〜10.5m/gであることが好ましいが、9.5m/g〜10.0m/gであることがより好ましい。比表面積が9.0m/g〜10.5m/gの範囲内であると、リチウムイオンの挿入離脱の場所が多くなるため、入出力特性に優れる。9.0m/g以上であれば、低結晶性炭素を被覆した際もリチウムイオンの挿入離脱の場所が減少することはなく、入出力特性が低くなることもない。10.5m/g以下であれば、電解液との反応性が高くなりすぎて、不動態被膜が厚く形成されて充放電効率が低下し、寿命特性を低下させるということもない。
なお、本発明における比表面積は、上記方法によって測定した値とする。
【0048】
本発明に用いる炭素材料Bの比表面積を9.0m/g〜10.5m/gの範囲とするためには、球形化処理を加え、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0049】
本発明に用いる炭素材料Bのタップ密度は0.8g/cm〜1.1g/cmであることが好ましいが、0.9g/cm〜1.0g/cmであることがさらに好ましい。タップ密度が0.8g/cm〜1.1g/cmの範囲内であると、高温保存特性が良く、高寿命特性に優れる。0.8g/cm以上であれば充填性が高く、粒子間の密着性も良好である。1.1g/cm以下であれば、電解液を注入した際の浸透性も良好であり、寿命特性および入出力特性の低下という問題も生じない。
なお、本発明におけるタップ密度は、上記方法によって測定した値とする。
【0050】
本発明に用いる炭素材料Bのタップ密度を0.8g/cm〜1.1g/cmの範囲とするためには、球形化処理を加え、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0051】
炭素材料Bの平均粒子径は7μm〜13μmであることが好ましく、8μm〜12μmであることがより好ましく、9μm〜12μmであることがさらに好ましい。
【0052】
本発明に用いる炭素材料Bのアスペクト比は、アスペクト比は、特に制限はされないが、1.3〜2.0が好ましく、1.5〜2.0であることがより好ましい。アスペクト比が1.3〜2.0の範囲である場合には、急速充放電特性等に優れ好ましい。
【0053】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、炭素材料Aと炭素材料Bとを混合して得ることができるが、これらを混合する方法に特に制限はない。例えば、リボン型混合機、V型混合機、円錐型混合機、プラネタリーミキサー、らいかい機、手混ぜ等によって混合することができる。
炭素材料Aと炭素材料Bとの混合比率は特に制限はないが、炭素材料A/炭素材料B(質量比)が、3/7〜7/3であることが、入出力特性または寿命特性を向上させる点で好ましく、4/6〜6/4が入出力特性と寿命特性との両立を図るという点でより好ましい。
【0054】
(低結晶性炭素による被覆)
また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、炭素材料Aと炭素材料Bとの混合物であればよいが、電解液の反応性を抑制するという観点からは、炭素材料Aは鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子の表面の少なくとも一部が低結晶性炭素により被覆された被覆物であり、炭素材料Bは球形化黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が低結晶性炭素により被覆された被覆物であることがより好ましい。
【0055】
なお、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子とのいずれもが共に低結晶性炭素により被覆されていることが好ましく、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子とをそれぞれ低結晶性炭素により被覆した後にそれらを混合してもよいし、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子とを予め混合し、当該混合物を低結晶性炭素により被覆してもよい。なお、工程簡略化の観点より、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子とを予め混合し、当該混合物を低結晶性炭素により被覆することが好ましい。
【0056】
本発明において低結晶性炭素としては、黒鉛性物質のような特定の結晶構造を有していない炭素からなる物質を意味する。低結晶性炭素はシリコン粒子と黒鉛性物質とを結着させること、さらに両粒子間の導電性を構築する役割を果たすと考えられる。
【0057】
鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子の表面、球形化黒鉛粒子の表面又は鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子との混合物の表面に低結晶性炭素を被覆する方法としては、特に制限はないが、例えば、有機化合物を溶媒に溶解又は分散させた混合溶液に核となる炭素粒子(粉末)を分散・混合した後、溶媒を除去する湿式法、炭素粒子と有機化合物を固体同士で混合し、その混合物に力学エネルギ−を加え付着させる乾式法、CVD法などの気相法等が挙げられる。
【0058】
湿式法で被覆する場合、低結晶性炭素は、これを構成する炭素性物質前駆体を焼成工程で炭化することにより形成される。従って、低結晶性炭素は、用いる前駆体の種類によってその構造が大きく影響される。低結晶性炭素を構成する前駆体としては、フェノール樹脂、スチレン樹脂等の高分子化合物、コールタールピッチ等の炭化可能な固体物などを用いることが可能であるが、充放電効率、容量などの電極特性及びコストなどの観点から、ピッチを用いて構成されることが好ましい。
【0059】
電気自動車及びハイブリット自動車用リチウムイオン二次電池には、発進及び加速時のパワーアシストの観点から、高入力特性が要求される。そのため、低温における高入出力特性の追求という観点より、炭素材料A及び炭素材料Bは、乾式法により被覆されることが好ましい。
【0060】
鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子の表面の少なくとも一部が低結晶性炭素で被覆される場合には、被覆前の鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子として、細孔体積が1.0ml/g〜1.7ml/gであり、比表面積が16.0m/g〜18.5m/gであり、タップ密度が0.35g/cm〜0.80g/cmである鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を使用することが好ましい。
【0061】
また、球形化黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が、低結晶性炭素で被覆される場合には、被覆前の球形化黒鉛粒子として、細孔体積が0.5ml/g〜1.0ml/gであり、比表面積が9.0m/g〜10.5m/gであり、タップ密度が0.9g/cm〜1.1g/cmである球形化黒鉛粒子を使用することが好ましい。
【0062】
また、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子との混合物が低結晶性炭素で被覆される場合には、被覆前の鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子との混合物として、細孔体積が0.9ml/g〜1.3ml/gであり、比表面積が12.5m/g〜14.0m/gであり、タップ密度が0.80g/cm〜0.90g/cmである混合物を使用することが好ましい。
【0063】
炭素材料A、炭素材料B並びに炭素材料A及び炭素材料Bの混合物を用いることにより、高入出特性を維持しながら、低結晶性炭素を多く被覆した場合でも高寿命特性を維持することが可能なリチウムイオン二次電池用負極材となる。
【0064】
低結晶性炭素の被覆量としては特に制限はないが、被覆前に対して被覆後の低結晶性炭素量が、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、1質量部〜6質量部であることが入出力特性または寿命特性を向上させる点で好ましく、3質量部〜5質量部であることが入出力特性と寿命特性を両立させる点でより好ましい。
【0065】
(ラマンスペクトルにおけるR値)
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材のラマンスペクトルにおけるR値は、0.3〜1.0であることが好ましく、0.4〜0.8であることがより好ましく、0.4〜0.6であることがさらに好ましい。ラマンスペクトルにおけるR値が0.3以上であればリチウムイオン二次電池の寿命特性及び入出力特性は良好であり、1.0以下であれば、リチウムイオン二次電池の不可逆容量の増大も観察されない。
【0066】
ラマンスペクトルにおけるR値は、励起波長532nmのレーザーラマン分光法により求めたプロファイルの中で、1360cm−1付近に現れる強度をId、1580cm−1付近に現れる強度をIgとし、その両ピークの強度比Id/Igにより算出可能である。
【0067】
なお、1360cm−1付近のピークは、通常、炭素の非晶質構造に対応すると同定されるピークであり、1580cm−1付近のピークは、通常、黒鉛結晶構造に対応すると同定されるピークである。
【0068】
レーザーラマン分光法は、レーザーラマン分光法測定装置(日本分光株式会社製 NSR−1000)を用い、励起波長532nm、レーザー出力3.9mW、入射スリット150μmの設定で測定することができる。
【0069】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材のラマンスペクトルにおけるR値を0.3〜1.0の範囲とするためには、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計を100質量部として、炭素材料Aを30質量部〜60質量部、炭素材料Bを40質量部〜70質量部とし、さらに、低結晶性炭素による被覆量を、炭素材料Aと炭素材料Bとの合計に対して、2質量部〜4質量部とすることで得られる。
【0070】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を含む炭素粒子Aと、球形化黒鉛粒子を含む炭素粒子Bとを混合する混合工程によって得られる。また、必要に応じて、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材の製造工程は、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子、球形化黒鉛粒子又は鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子との混合物を、低結晶性炭素により被覆する被覆工程を含んでいてもよい。
【0071】
<リチウムイオン二次電池用負極>
本発明におけるリチウムイオン二次電池用負極は、集電体と、集電体上に設けられたリチウムイオン二次電池用負極材を含む負極層とを有するものである。
【0072】
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材に、例えば有機系結着材を添加して、溶剤とともに撹拌機、ボールミル、スーパーサンドミル、加圧ニーダー等の分散装置により混練し、リチウムイオン二次電池用負極材スラリーを調製し、これを集電体に塗布して、負極層を形成することで得られる。
または、ペースト状のリチウムイオン二次電池用負極材スラリーをシート状、ペレット状等の形状に成形し、これを前記集電体と一体化することで得ることができる。
【0073】
上記有機系結着剤としては、特に限定されないが、例えば、スチレン−ブタジエン共重
合体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリアクリロニトリル等のイオン導電性の大きな高分子化合物などが挙げられる。
【0074】
この有機系結着剤の含有量は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材と有機系結着剤の合計100質量部に対して1質量部〜20質量部含有することが、密着性の観点より好ましい。
【0075】
上記溶剤としては、上記有機系結着剤を溶解又は分散可能な溶剤であれば特に制限されない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトンなどの有機溶媒を例示することができる。
溶剤の使用量はペースト状となる限り特に制限されない。例えば、前記リチウムイオン二次電池用負極材100質量部に対して、通常、60質量部〜150質量部程度、好ましくは60質量部〜100質量部程度である。
【0076】
また、上記リチウムイオン二次電池用負極材スラリーには、粘度を調整するための増粘剤を添加してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼインなどを使用することができる。
増粘剤の使用量は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材100質量部に対して、1質量部〜2質量部程度とすればよい。
【0077】
また、上記リチウムイオン二次電池用負極材スラリーには、導電助剤を混合してもよい。導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、あるいは導電性を示す。酸化物や窒化物等が挙げられる。
導電助剤の使用量は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材100質量部に対して、1質量部〜15質量部程度とすればよい。
【0078】
また、上記集電体の材質及び形状については、導電性を有する物質であれば特に限定されず、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いればよい。また、多孔性材料、たとえばポーラスメタル(発泡メタル)やカーボンペーパーなども使用可能である。
【0079】
上記リチウムイオン二次電池用負極材スラリーを集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙られる。塗布後は、必要に応じて平板プレス、カレンダーロール等による圧延処理を行う。また、シート状、ペレット状等の形状に成形された負極材スラリーと集電体との一体化は、例えば、ロール、プレス、もしくはこれらの組み合わせ等、公知の方法により行うことができる。
【0080】
<リチウムイオン二次電池>
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明のリチウムイオン二次電池用負極と正極とをセパレータを介して対向して配置し、電解質を含む溶液(電解液)を注入することにより得ることができる。
【0081】
上記正極は、上記リチウムイオン二次電池用負極と同様にして、集電体表面上に正極層を形成することで得ることができる。この場合の集電体はアルミニウム、チタン、ステンレス鋼等の金属や合金を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いることができる。
【0082】
上記正極層に用いる正極材料としては、特に制限はなく、例えば、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属化合物、金属酸化物、金属硫化物、また
は導電性高分子材料を用いればよく、特に限定されないが、例えば、コバルト酸リチウム
(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、及びこれらの複酸化物(LiCoNiMn、X+Y+Z=1)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、リチウムバナジウム化合物、V、V13、VO、MnO、TiO、MoV、TiS、V、VS、MoS、MoS、Cr、Cr、オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe)、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素等などを単独或いは混合して使用することができる。
【0083】
上記セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
を主成分とした不織布、クロス、微孔フィルム又はそれらを組み合わせたものを使用する
ことができる。なお、作製するリチウムイオン二次電池の正極と負極が直接接触しない構
造にした場合は、セパレータを使用する必要はない。
【0084】
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる電解質は特に制限されず、公知のものを用いることができる。例えば、電解質を有機溶剤に溶解させた電解液を用いることにより、非水系リチウムイオン二次電池を製造することができる。
【0085】
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiClF、LiAsF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO、LiCl、LiIなどの溶媒和しにくいアニオンを生成するリチウム塩を例示することができる。
また前記電解質の濃度は特に限定されない。例えば、電解液1Lに対して電解質0.3モル〜5モルであることが好ましく、0.5モル〜3モルであることがより好ましく、0.8モル〜1.5モルであることが特に好ましい。
【0086】
前記有機溶剤としては、例えば、カーボネート類(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、ラクトン類(γ−ブチロラクトンなど)、鎖状エーテル類(1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなど)、環状エーテル類(テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、4−メチルジオキソランなど)、スルホラン類(スルホランなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど)、ポリオキシアルキレングリコール類(ジエチレングリコールなど)などの非プロトン性溶媒を例示することができる。
有機溶剤は、単独で用いてもよく2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
【0087】
本発明のリチウムイオン二次電池の構造は、特に限定されないが、通常、リチウムイオン二次電池用負極と、正極と、必要に応じて設けられるセパレータとを、扁平渦巻状に巻回して巻回式極板群としたり、これらを平板状として積層して積層式極板群とし、これら極板群を外装体中に封入した構造とするのが一般的である。
【0088】
本発明のリチウムイオン二次電池は、特に限定されないが、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池などとして使用される。
【0089】
以上で説明した本発明のリチウムイオン二次電池は、従来の炭素材料を負極に用いたリチウムイオン二次電池と比較して、急速充放電特性、サイクル特性に優れ、不可逆容量が小さく、安全性に優れる。特に、高入出特性を維持しながら高寿命特性を発揮することが可能であるため、電気自動車やハイブリッド自動車用の車載電池として有用である。
【0090】
尚、上述した本発明のリチウムイオン二次電池用負極材は、リチウムイオン二次電池用と記載したが、リチウムイオンを挿入脱離することを充放電機構とする電気化学装置全般、例えば、ハイブリッドキャパシタなどにも適用することが可能である。
【実施例】
【0091】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0092】
(実施例1)
細孔体積1.35ml/g、比表面積17.5m/g、タップ密度0.50g/cm、平均粒子径5μmの鱗片状天然黒鉛粒子をゴム製の容器に充填、密閉した後、該ゴム製容器を空圧プレス機で、加圧媒体の圧力を1000kgf/cmで等方性加圧処理を行った。次いで、衝撃型粉砕機を用いて回転数2500rpm、スクリーン0.3μmの条件で解砕し、250メッシュの標準篩を通した。得られた粒子を電子顕微鏡で観察したところ、鱗片状黒鉛粒子が凝集し二次粒子を形成していた。得られた鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子の細孔体積は1.0ml/gであり、比表面積は16.5m/gであり、タップ密度は0.75g/cmであり、平均粒子径は7.5μmであり、アスペクト比は2.5であった。
その後、鱗片状天然黒鉛粒子を改質処理により球形化し、細孔体積0.75ml/g、比表面積9.5m/g、タップ密度1.0g/cm、平均粒子径12.0μm、アスペクト比1.5の球形化黒鉛粒子を得た。
得られた鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子及び球形化黒鉛粒子をそれぞれ1対1の質量割合で、V型混合機を用いて30分間混合して、リチウムイオン二次電池負極材として用いる鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子との混合物(黒鉛粒子)を得た。
上記、得られた黒鉛粒子に、コールタールピッチ(炭素前駆体)を黒鉛粒子量に対して4質量部(低結晶炭素層として50質量部残るため、実質被覆量2質量部)添加し、さらにV型混合機で30分間混合したものを窒素流通下、20℃/時間の昇温速度で850℃まで昇温し、1時間保持した後、自然冷却したものを350メッシュ標準篩で通した。これにより、細孔体積1.0ml/g、比表面積4.3m/g、タップ密度0.90g/cm、平均粒子径12.0μm、アスペクト比2.0の低結晶炭素で被覆された本発明のリチウムイオン二次電池用負極材を得た。
【0093】
(実施例2)
実施例1において得られた鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子とを3対2の質量割合で混合して、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子との混合物(黒鉛粒子)を得た。
得られた黒鉛粒子に、コールタールピッチ(炭素前駆体)を黒鉛粒子量に対して4質量部(低結晶炭素層として50質量部残るため、実質被覆量2質量部)添加し、上記リチウムイオン二次電池負極材を得た。
これにより、細孔体積1.1ml/g、比表面積5.0m/g、タップ密度0.85g/cm、平均粒子径11.5μm、アスペクト比2.3の低結晶炭素粒子で被覆された本発明のリチウムイオン二次電池用負極材を得た。
【0094】
(実施例3)
実施例1において得られた鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子とを2対3の質量割合で混合して、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子との混合物(黒鉛粒子)を得た。
得られた黒鉛粒子に、コールタールピッチ(炭素前駆体)を黒鉛粒子量に対して4質量部%(低結晶炭素層として50質量部残るため、実質被覆量2質量部)添加し、上記リチウムイオン二次電池負極材を得た。これにより、細孔体積1.0ml/g、比表面積4.0m/g、タップ密度0.95g/cm、平均粒子径12.5μm、アスペクト比1.8の低結晶炭素粒子で被覆された本発明のリチウムイオン二次電池用負極材を得た。
【0095】
(実施例4)
実施例1において得られた鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子とを1対1の質量割合で混合して、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と球形化黒鉛粒子との混合物(黒鉛粒子)を得た。
得られた黒鉛粒子に、コールタールピッチ(炭素前駆体)を黒鉛粒子量に対して2質量部(低結晶炭素層とし50質量部残るため、実質量1質量部被覆)添加し、上記リチウムイオン二次電池負極材を得た。これにより、細孔体積1.1ml/g、比表面積5.5m/g、タップ密度0.85g/cm、平均粒子径11.0μm、アスペクト比2.0の、低結晶炭素粒子で被覆された本発明のリチウムイオン二次電池用負極材を得た。
【0096】
(比較例1)
細孔体積1.0ml/g、比表面積13.5m/g、タップ密度0.80g/cm、平均粒子径9.0μm、アスペクト比2.0である鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子と、実施例1で作製した球状化黒鉛粒子とを、実施例1に記載の方法により1対1の質量割合で混合し、リチウムイオン二次電池用負極材を得た。
【0097】
(比較例2)
細孔体積1.35ml/g、比表面積16.5m/g、タップ密度0.75g/cm、平均粒子径7.5μm、アスペクト比2.5である鱗片状黒鉛の凝集粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材を得た。
【0098】
(比較例3)
細孔体積0.75ml/g、比表面積9.5m/g、タップ密度1.0g/cm、アスペクト比1.5である球形化黒鉛粒子からなるリチウムイオン二次電池用負極材を得た。
【0099】
上記実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例3で得られたリチウムイオン二次電池用負極材の粉体物性及び電気化学特性を下記の要領で測定した。
【0100】
細孔体積は水銀圧入法(島津製作所 細孔分布測定装置 オートポア 9520形)により試料量0.2g、初期圧9kPa(約1.3psia、細孔直径約140μm相当)、水銀接触角130degrees、水銀表面張力485.0dynes/cmの条件で測定を行った。結果を表1に示す。
【0101】
比表面積は得られた試料を110℃、2時間常圧で乾燥した後、比表面積計(比表面積測定装置フローソープII2300)を用い、液体窒素温度(77K)での窒素吸着より得られた等温吸着線からBET法にしたがって算出した。結果を表1に示す。
【0102】
タップ密度は、容量150cmのメスシリンダーに試料粉末50gをさじで徐々に投入し、メスシリンダーに栓をした後、充填密度測定装置(蔵持科学機械製作所製:KRS−406)で5cmの高さから250回落下させた後の試料粉末の質量を容量で除することによって、タップ密度を算出した。結果を表1に示す。
【0103】
ラマンR値は、レーザーラマン分光法測定装置(日本分光株式会社製 NSR−1000)を用い、励起波長532nm、レーザー出力3.9mW、入射スリット150μm、積算回数2回、露光時間30秒で測定を行った。結果を表1に示す。
【0104】
(初回充放電効率の評価)
実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例3で得られたリチウムイオン二次電池用負極材98質量部、バインダーとしてスチレンブタジエン樹脂(SBR 40.1%水分散液)(製造元:日本ゼオン(株)、製品名:BM−400B)1質量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(製造元:ダイセル化学工業(株)、製品名:CMC #2200)1.5質量部を固形分として、水を加えた水分散塗料(固形分濃度48.0%)を作製し、これを40μmの電解銅箔上に単位面積当りの塗布量が4.5±0.2mg/cmなるように塗工して、各試料電極を得た。
塗工後の各試料電極は、80℃で5時間、120℃で3時間乾燥させた。乾燥後、1.5±0.05g/cm得られるようプレスし、試料電極(負極)として、放電容量評価用に14mmφの円形状に打ち抜いた。
評価用のコイン電池は、CR2016型コインセルに、上記各試料電極と、金属リチウムとを25μmのポリプロピレン製セパレータを介して対向させ、電解液を注入することにより作製した。
電解液は、エチルカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)との体積比3対7の混合溶媒に、ビニレンカーボネート(VC)を0.5質量部添加させ、LiPFを1mol/Lの濃度になるように溶解させたもの(1M LiPFEC:MEC=3:7 VC 0.5質量部)を用いた。
【0105】
得られた評価用のコイン電池の試料電極と対極の間に、0.192mAの定電流で0V( V vs. Li/Li)まで充電し、次いで0Vの定電圧で電流が0.0192mAになるまで充電した。次に30分の休止時間後に0.0192mAの定電流で1.5V( V vs. Li/Li)まで放電する1サイクル試験を行い、初回充放電効率を測定した。初回充放電効率は、(初回放電容量)/(初回充電容量)×100として算出した。結果を表1に示す。
【0106】
(DCRの評価)
上記と同様の方法で作製した評価用のコイン電池を0.48mAの定電流で0V( V vs. Li/Li)まで充電し、30分の休止時間後に、0.48mAの定電流で1.5V(V vs. Li/Li)まで放電し、低電流での電極体積当りの放電容量を測定した。次いで、2サイクル目に、0.48mAの定電流で0V( V vs. Li/Li)まで充電し、30分の休止時間後に、1.2mAの定電流で1.5V(V vs. Li/Li)まで放電し、大電流での電極体積当りの放電容量を測定した。なお、電極体積当りの放電容量(mAh/cm)は、負極材質量当りの充放電容量(mAh/g)の測定値に電極密度(g/cm)を乗じて算出した。この値が室温および低温で低いほど入出力特性に優れると判断することができる。結果を表1に示す。
【0107】
上記評価用のコイン電池を0.48mAの定電流で0V(V vs. Li/Li)まで充電し、次いで0Vの定電圧で電流が0.048mAになるまで充電した。次に30分の休止時間後、0.48mA定電流で1.5V(V vs. Li/Li)まで放電した。その後、0.48mAの定電流でセル容量の50%まで充電した後、室温(25℃)において2.4 mA,7.2 mA,12mAの定電流、続いて0.048mAの定電流でセル容量の50%まで充電した後、低温(−30℃)において0.24 mA,0.72mA/cm,1.2mAと変化させて行った。この各放電における放電開始時の開回路電位V(0s)、放電開始0又は10秒目の電圧V(0,10s)を測定し、電圧変化(Δ=V(10s)−V(0s))を求め、放電電流Iに対するΔVの値をプロットして、このI−ΔV特性の傾きから抵抗を算出した。結果を表1に示す。
【0108】
(寿命特性の評価)
上記と同様に試料電極(負極)を作製し、1.5±0.05g/cmになるようプレスし、16mmφの円形状に打ち抜いた。
【0109】
正極活物質は、粒径5μmのコバルト酸リチウム94質量部に、導電補助材としてアセチレンブラックを3質量部、N−メチル−2ピロリドンに溶解したポリフッ化ビニリデン(PVDF)を固形分で3質量部となるよう加えて混練し、ペースト状の正極材スラリーを作製した。このスラリーを厚さ10μmの電解アルミ箔に単位面積当りの塗布量が9.5±0.2mg/cmとなるように塗工機を用いて塗布した後、120℃で乾燥してN−メチル−2ピロリドンを除去し、さらに、ロールプレス機により合剤密度が3.0±0.05g/cmとなるように圧縮成型し、14mmφの円形状に打ち抜いて正極を作製した。
【0110】
評価用のコイン電池は、CR2016型コインセルに上記負極と正極を5μmのポリプロピレン製セパレータを介して対向させ、電解液を注入することにより作製した。電解液は、エチルカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)との体積比3対7の混合溶媒に、ビニレンカーボネート(VC)を0.5質量部添加させ、LiPF6を1mol/Lの濃度になるように溶解させたもの(1M LiPF6 EC:MEC=3:7 VC 0.5質量部)を用いた。
【0111】
次いで、この評価用のコイン電池を25℃の恒温槽中において0.192mAの定電流で4.15Vまで充電し、さらに4.15Vの定電圧で電流が0.0192mAになるまで充電し、30分の休止後に0.0192mAの定電流で2.7Vまで放電を行った。これを4サイクル繰り返した後、0.0192mAの定電流で4.15Vまで充電し、30分の休止後に電池を取り出し、50℃の恒温槽に移した。保存日数は30日間とした。30日保存後は0.0192mAの定電流で2.7Vまで放電し、30分の休止後に0.192mAの定電流で4.15Vまで充電し、さらに4.15Vの定電圧で電流が0.0192mAになるまで充電し、30分の休止後に0.0192mAの定電流で2.7Vまで放電して寿命特性の評価を行なった。容量維持率は、(30日保存直後の放電容量)/(保存前4サイクル目放電容量)×100容量回復率は、(30日保存後の最大放電容量)/(保存前4サイクル目放電容量)×100より算出した。この値が大きいほど寿命特性に優れると判断することができる。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】

【0113】
表1の結果より、等方性加圧処理を施した鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を用いることで、比表面積高く、入出力特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供できることが明らかとなった。低結晶炭素による被覆量を適量増やすことで、寿命特性にも優れるリチウムイオン二次電池を提供できることが明らかとなった。さらに、鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を含む炭素材料Aと、球形化黒鉛粒子を含む炭素材料Bとを含有し、特定の物性値を示すリチウムイオン二次電池用負極材を用いることにより高入出力特性と長寿命特性を有するリチウムイオン二次電池を提供できることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子を含む炭素材料Aと、球形化黒鉛粒子を含む炭素材料Bとを含有し、細孔体積が0.9ml/g〜1.3ml/gであり、比表面積が4.0m/g〜6.0m/gであり、タップ密度が0.75g/cm〜0.95g/cmであるリチウムイオン二次電池用負極材。
【請求項2】
前記炭素材料Aは前記鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子の表面の少なくとも一部が低結晶性炭素により被覆された被覆物を含み、前記炭素材料Bは前記球形化黒鉛粒子の表面の少なくとも一部が低結晶性炭素により被覆された被覆物を含む請求項1記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
【請求項3】
ラマンスペクトルにおけるR値が、0.3〜1.0である請求項1又は請求項2記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
【請求項4】
前記鱗片状黒鉛粒子の凝集粒子は、鱗片状黒鉛粒子の集合体を加圧処理して得られたものである請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
【請求項5】
前記炭素材料Aのアスペクト比が、1.8〜2.7である請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
【請求項6】
前記炭素材料Bのアスペクト比が、1.3〜2.0である請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池用負極材。
【請求項7】
集電体と、該集電体上に設けられ請求項1〜請求項6のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池用負極材を含む負極層とを有するリチウムイオン二次電池用負極。
【請求項8】
請求項7記載のリチウムイオン二次電池用負極と、正極と、電解質とを備えるリチウムイオン二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−8526(P2013−8526A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139721(P2011−139721)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】