説明

リチウムイオン二次電池

【課題】正極および負極間に存在する非水電解液の量を均質化することにより、合金系活物質を含む負極活物質層を備えた負極と、正極とが捲回された捲回型電極群を備えるリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を向上させることを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するためのリチウムイオン二次電池は、帯状の正極、負極およびセパレータを含み、正極および負極の間にセパレータが介在するように正極および負極の各長辺方向に沿って捲回された電極群と、非水電解液と、を備える。正極および負極の少なくとも一方の電極は、その表面において、電極の長辺に沿った両端部に、樹脂からなる一対の帯状の堰部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合金系活物質を負極活物質として含む捲回型電極群を備えたリチウムイオン二次電池に関し、詳しくは、リチウムイオン二次電池における非水電解液の保液性の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、高容量で、エネルギー密度が高いことから、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、携帯ゲーム機などの携帯型電子機器の電源として用いられている。また、ハイブリッド自動車、電気自動車などの車載用電源、無停電電源などへの開発も進められている。
【0003】
近年、リチウムイオン二次電池のさらなる高容量化を図るために、黒鉛に代わる負極活物質として、合金化および脱合金化によってリチウムを吸蔵および放出可能な合金系活物質が用いられている。合金系活物質としては、ケイ素やスズの単体、ケイ素やスズを含む酸化物および合金などが知られている。
【0004】
合金系活物質はリチウムを吸蔵した時に顕著に膨張することから、膨張時の応力によって負極活物質層にクラックを生じさせたり、負極活物質層を負極集電体から剥離したり、負極集電体を変形させたりする傾向がある。そこで、特許文献1は、合金系活物質を含む負極活物質層の表面に、さらにイオン伝導性樹脂層を備えたリチウムイオン二次電池を提案している。特許文献1には、イオン伝導性樹脂層が、合金系活物質の膨張により負極活物質層の表面および内部にクラックが生じた場合に、クラックにより新たに生じた負極活物質層の表面(新生面)と、非水電解液との接触により、充放電反応以外の副反応が生じて副生成物が析出するのを抑制すると記載されている。
【0005】
負極活物質として合金系活物質を用いたリチウムイオン二次電池においては、電極構造を省スペース化してさらなる高容量化を実現する観点より、帯状の正極および負極を、両電極間にセパレータを介在させて正極および負極の各長辺方向に捲回した捲回型電極群とすることが試みられている。特許文献2に開示の非水電解質二次電池は、上述の捲回型電極群を備えており、負極および正極は、集電体と、活物質および結着剤ポリマーを含む活物質層とを含み、負極および正極の少なくとも一方はさらに、セパレータとの間に、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのマトリックスポリマーからなる高分子支持体を備えている。この非水電解質二次電池において、高分子支持体を形成するマトリックスポリマーは、非水電解液に対する膨潤性が正極および負極の各活物質層における結着剤ポリマーより高く設定されている。このため、上述の高分子支持体を設けることにより、捲回型電極群からの非水電解液の漏洩を解消することができると特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−97843号公報
【特許文献2】特開2008−47402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、合金系活物質を含む負極活物質層を備えた負極と、正極とが捲回された捲回型電極群を備えるリチウムイオン二次電池に対して充放電サイクルを繰り返したときには、負極活物質層の中央領域の厚みが顕著に増大することに気付いた。
【0008】
負極活物質層の両端領域は、合金系活物質が膨張することにより捲回型電極群が締め付けられたときに、正極および負極間に存在する非水電解液を捲回型電極群の外部へと押し出す傾向がある。このため、両端領域では、充放電サイクルを繰り返すと非水電解液の存在量が減少して、電極反応が円滑に進まなくなる。これに対し、負極活物質層の中央領域は、合金系活物質が膨張しても非水電解液が残留する。このため、中央領域では、充放電サイクルを繰り返したときに、両端領域に比べて電極反応が過剰に進行する。その結果、上述のリチウムイオン二次電池において、負極活物質層の中央領域は、両端領域に比べて充放電反応が優先的に起こる。また、充放電サイクルを繰り返すことにより、中央領域は電解液との副反応量が多くなり、合金系活物質自体の体積膨張が局所的に大きくなる。こうして、負極活物質層の厚みが顕著に増大するという上述の現象が起こる。また、中央領域において充放電反応が優先的に起こることにより、中央領域と両端領域との間で充放電反応量の差が生じて、結果として充放電サイクル特性などの電池性能が劣化する。
【0009】
本発明は、正極および負極間に存在する非水電解液の量を均質化することにより、合金系活物質を含む負極活物質層を備えた負極と、正極とが捲回された捲回型電極群を備えるリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面は、帯状の正極、帯状の負極、および帯状のセパレータを含み、正極および負極の間にセパレータが介在するように正極および負極の各長辺方向に沿って捲回された電極群と、非水電解液と、を備え、正極および負極の少なくとも一方の電極の表面において、電極の長辺に沿った両端部に、樹脂からなる一対の帯状の堰部を有するリチウムイオン二次電池である。
【0011】
上述のリチウムイオン二次電池によれば、合金系活物質が膨張して捲回型電極群が締め付けられたときに、非水電解液が捲回型電極群の捲回軸方向両端部から外部へと押し出されるのを、正極活物質層および負極活物質層の少なくとも一方の表面に形成された一対の帯状の堰部によって堰き止めることができる。すなわち、上記一対の堰部を形成することにより、非水電解液を正極や負極の表面に貯留させることができる。その結果、充放電サイクルを繰り返しても、捲回型電極群の捲回軸方向両端部において非水電解液の量が減少するのを抑制することができ、捲回軸方向の両端部と中央部とにおける電極反応を均一化することができる。
【0012】
上述のリチウムイオン二次電池は、電極の短辺方向において、一対の堰部のそれぞれの幅が、電極の短辺の全幅に対して5〜15%であることが好ましい。
また、上述のリチウムイオン二次電池において、電極は、集電体と、集電体の表面に形成された、活物質を含む活物質層と、を備え、堰部は、前記電極の厚さ方向において、活物質層の表面からの高さが0.1〜5μmであることが好ましい。
【0013】
上述の堰部は、非水電解液に対する膨潤度が20%以下の難膨潤性樹脂からなることが好ましい。難膨潤性樹脂は、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン単位を1モル%以下の割合で含有するヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、および、ヘキサフルオロプロピレン単位を1モル%以下の割合で含有するヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。
【0014】
上述のリチウムイオン二次電池において、負極活物質層は、負極集電体の表面に支持された、複数の合金系活物質の柱状体からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上述のリチウムイオン二次電池によれば、負極活物質層の中央部と両端部とで電極反応の進行が不均一になるのを抑制して、電池の充放電サイクル特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係るリチウムイオン二次電池の捲回型電極群の概略構成を説明するための斜視図である。
【図2】図1に示す正極の断面模式図である。
【図3】負極集電体の表面構造の一例を示す平面模式図である。
【図4】図3に示す負極集電体と、その表面に支持された複数の柱状体からなる負極活物質層とを示す断面模式図である。
【図5】負極活物質層を形成する装置の一例を示す正面模式図である。
【図6】実施形態に係るリチウムイオン二次電池の概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
はじめに、本発明の一実施形態であるリチウムイオン電池を形成する捲回型電極群について説明する。
図1を参照して、捲回型電極群10は、帯状の正極11と、帯状の負極12と、帯状のセパレータ13(13a,13b)とを含み、これらは、正極11と負極12との間にセパレータ13が介在するようにして、正極11および負極12の各長辺方向14に沿って捲回されている。
【0018】
図2を参照して、正極11は、帯状の正極集電体15と、正極集電体15の両面に形成された、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な正極活物質を含む2層の正極活物質層16a、16bと、を備える。さらに、2層の正極活物質層16a、16bは、それぞれ正極活物質層の長辺に沿った両端部の表面に、樹脂膜からなる帯状で、計二対の堰部17a〜17dを備える。
【0019】
正極集電体15は、リチウムイオン二次電池の正極の集電体として用い得るものであれば特に限定されない。具体的には、多孔性または無孔の導電性基板が挙げられ、導電性基板の材質としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタンなどが挙げられる。
【0020】
正極活物質層16a、16bは、例えば、カーボンブラックなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含む正極合剤スラリーを、アルミニウム箔などの正極集電体の表面に塗布して乾燥し、圧延することにより得られる。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。リチウム含有遷移金属化合物の代表的な例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMnO2、LiNi1-yCoy2(0<y<1)、LiNi1-y-zCoyMnz2(0<y+z<1)などが挙げられる。
【0021】
図1および図2において、堰部17(17a〜17d)は、正極活物質層16a、16bの長辺に沿って、正極11の短辺方向18における両端部の表面に被着形成された帯状の樹脂膜からなる。このような堰部17を形成することにより、合金系活物質が膨張して捲回型電極群10が締め付けられたときに、捲回型電極群10の捲回軸方向両端部から外部へと非水電解液が押し出されるのを堰き止めることができる。具体的に、堰部17によって堰き止められて、正極11の表面に残留する非水電解液は、セパレータ13を通って負極12の表面へと行き渡る。このため、充放電サイクルを繰り返しても、負極12の短辺方向18の両端部において非水電解液の存在量が減少するのを抑制でき、負極12の中央部においてのみ電極反応が過剰に進行することを抑制できる。また、これにより、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
【0022】
正極11の短辺方向18における堰部17のそれぞれの幅は、正極活物質層16a、16bの短辺の全幅に対して、それぞれ5〜15%が好ましく、5〜10%がさらに好ましい。堰部17のそれぞれの幅が、正極活物質層16a、16bの短辺の全幅に対して5%を下回ると、合金系活物質が膨張したときに正極活物質層16a、16bとセパレータ13との間に存在する非水電解液が捲回型電極群10の外部へと押し出されるのを抑制できなくなる傾向がある。正極活物質層16a、16bのうち堰部17で覆われている領域は、堰部17が電極反応に対する抵抗層となる。このため、堰部17のそれぞれの幅が、正極活物質層16a、16bの短辺の全幅に対して15%を上回ると、電極反応が過剰に抑制されて、リチウムイオン二次電池の容量が低下する傾向がある。なお、堰部17は、正極11の一方の表面において、短辺方向18の両方の端部に形成される。正極11の一方の表面に形成される一対の堰部17について、短辺方向18の幅の合計は、正極活物質層16a、16bの短辺の全幅に対して10〜30%が好ましく、10〜20%がさらに好ましい。
【0023】
捲回型電極群が、例えば幅34mmのリチウムイオン電池用捲回型電極群である場合において、正極11の短辺方向18における正極活物質層の全幅は、例えば29〜29.7mm程度に設定される。このため、この場合において、正極11の短辺方向18における一対の堰部の幅の合計は、2.97〜8.7mmが好ましく、2.97〜5.8mmがさらに好ましい。
【0024】
堰部17を形成する樹脂膜は、これに限定されないが、非水電解液に対する膨潤度が20%以下の難膨潤性樹脂(以下、単に「難膨潤性樹脂」という)からなることが好ましい。難膨潤性樹脂を用いて堰部17を形成することにより、堰部17自体が非水電解液を吸収することにより正極11表面における非水電解液の存在量が低減するのを抑制できる。
【0025】
難膨潤性樹脂の非水電解液に対する膨潤度(以下、単に「難膨潤性樹脂の膨潤度」という)は、20%以下であり、好ましくは2〜16%である。難膨潤性樹脂の膨潤度が20%を上回ると、非水電解液の吸収を抑制できなくなるおそれがある。難膨潤性樹脂の膨潤度の下限は特に限定されないが、膨潤度が小さすぎると、堰部17が形成された領域で正極11とセパレータ13との間のリチウムイオン伝導性が低下して、リチウムイオン二次電池の容量が低下する傾向がある。
【0026】
難膨潤性樹脂の具体例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。また、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体およびヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体において、ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合は、非水電解液に対する膨潤度が20%以下となるように設定する観点より、1モル%以下が好ましい。ヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合が多すぎるときは、非水電解液に対する膨潤度が20%以上になるおそれがある。
【0027】
難膨潤性樹脂の数平均分子量は、好ましくは10万〜100万であり、さらに好ましくは30万〜60万である。数平均分子量が10万〜100万であるときは、堰部17を形成する樹脂膜と正極活物質層16a、16bの表面との接着性が向上して、充放電を繰り返したときに堰部17が正極11から剥離するのを抑制できる。数平均分子量が小さすぎると、堰部17の接着性が不十分になって、充放電サイクル数が増加したときに、堰部17が正極11から剥離するおそれがある。一方、数平均分子量が大きすぎると、堰部17を形成する樹脂膜のリチウムイオン伝導性が低下する傾向がある。樹脂膜のリチウムイオン伝導性が低いと、正極活物質層16a、16bにおける電極反応が堰部17によって阻害されて、リチウムイオン二次電池の容量が低下するおそれがある。このため、樹脂膜のリチウムイオン伝導性を高くする観点より、数平均分子量の上限を100万とすることが好ましい。
【0028】
堰部17の高さは特に限定されないが、正極11の厚さ方向において、正極活物質層16a、16bの表面からの高さは、0.1〜5μmが好ましく、0.5〜3μmがさらに好ましい。堰部17の高さが0.1μmを下回ると、非水電解液の漏出を抑制する効果が低下して、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が低下するおそれがある。一方、堰部17の厚みが5μmを上回ると、正極11および負極12間の距離が大きくなって、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度の低下などを招くおそれがある。
【0029】
なお、図1および図2において、堰部17は正極活物質層16a、16bの表面に被着形成されているが、堰部の態様は図1および図2に示す実施形態に限定されない。例えば、正極集電体の表面に正極活物質層が形成されていない正極集電体の露出部を正極の長辺に沿った両端部に備える態様において、堰部は、正極集電体の露出部に形成されていてもよい。この場合において、堰部の高さは、正極活物質層の厚さよりも大きく設定すればよい。堰部の高さは、正極の厚さ方向における正極活物質の表面からの高さとして、すなわち、堰部の厚みから正極活物質層の厚みを差し引いた値として、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μmである。
【0030】
負極12は、帯状の負極集電体20と、負極集電体20の表面に形成された合金系活物質を含む負極活物質層21と、を備える。
【0031】
負極集電体20は、リチウムイオン二次電池の負極の集電体として用い得るものであれば特に限定されない。具体的には、銅箔、銅合金箔などが挙げられ、特に電解銅箔が好ましい。銅箔には、0.2モル%以下の割合で銅以外の成分を含んでいてもよい。負極集電体20の厚みは、5〜50μmの範囲で、リチウムイオン二次電池の容量、サイズなどに合わせて適宜設定することができる。
【0032】
負極活物質層21は、合金系活物質を含有する層であって、負極集電体20の表面に形成されている。負極活物質層21には、合金系活物質とともに、カーボンブラックなどの導電剤、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤、その他各種添加剤を含有させることができる。さらに、負極活物質層21には、その特性が損なわれない範囲において、公知の負極活物質を含有させてもよい。また、負極活物質層21は、合金系活物質を負極集電体20の表面においてベタ膜状に蒸着させたものであってもよく、柱状体として形成されたものであってもよい。
【0033】
合金系活物質としては、ケイ素またはスズの単体、または、ケイ素またはスズを含む化合物が挙げられ、特に、ケイ素の単体またなケイ素を含む化合物が好ましい。ケイ素を含む化合物としては、ケイ素合金、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物などが挙げられる。ケイ素酸化物は、一般式:SiOx(0<x<2、好ましくは0.01≦x≦1)で表されるものが好ましく、さらにFe、Al、Ca、Mn、Tiなどの元素を含んでいてもよい。合金系活物質は、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
【0034】
図3を参照して、負極集電体20は、互いに間隔をあけて配置された複数の凸部23を表面に備えるものであってもよい。図3に示すような凸部23を備えた負極集電体20を用いて、後述する蒸着手段により合金系活物質を負極集電体20の表面に蒸着させることにより、負極活物質層21を負極集電体20の表面に支持された複数の柱状体22で構成することができる(図4参照)。
【0035】
図4に示すような負極活物質層21は、例えば図5に示すような蒸着装置40を用いて、負極集電体20の表面に合金系活物質を蒸着することにより形成される。
図5は、蒸着装置40の構成を模式的に示す側面図である。蒸着装置40は、耐圧容器である真空容器41と、真空容器41の内部に配置される、巻出しロール42、複数の搬送ロール43、2本の成膜ロール44a、44b、巻取りロール45、マスク46a、46b、46c、2つの蒸着ソース47a、47b、2本の酸素ノズル48a、48b、および真空ポンプ49と、を含む。図5においては、真空容器41と、その内部に配置される各構成部材とを、それぞれ実線で示した。
【0036】
巻出しロール42には、帯状の負極集電体20が巻き付けられている。複数の搬送ロール43は、巻出しロール42に巻き付けられた負極集電体20を、2本の成膜ロール44a、44bをそれぞれ経由して、巻取りロール45へと搬送する。一方の成膜ロール44aは、一方の蒸着ソース47aと鉛直方向で対向するように設けられ、他方の成膜ロール44bは、他方の蒸着ソース47bと鉛直方向で対向するように設けられる。各成膜ロール44a、44bの内部には図示しない冷却装置が配置され、それぞれ成膜ロールの周面を冷却する。巻取りロール45は、図示しない駆動手段により回転駆動可能に設けられている。巻取りロール45は、負極12を巻き取って保存する。巻出しロール42から負極集電体20の長手方向の一端を図5に示す経路に従って送り出し、巻取りロール45の周面に固定する。
【0037】
各成膜ロール44a、44bの鉛直方向下方には、それぞれ3つのマスク46a、46b、46cが配置されている。第1のマスク46aは、例えば、一方の成膜ロール44aと一方の蒸着ソース47aとの間に配置されており、2つの第2のマスク46b、46cは、それぞれ第1のマスク46aに対して成膜ロール44aの周方向に離れて配置されている。3つのマスク46a、46b、46cを図5に示すように配置することで、蒸着ソース47aから負極集電体20の表面への合金系活物質の照射方向を制御することができる。具体的には、第1のマスク46aによって、負極集電体20の鉛直方向上方からの合金系活物質の照射は遮蔽されており、合金系活物質は、負極集電体20の鉛直線に対して傾斜した方向から、負極集電体20の凸部に向けて照射される。これにより、シャドウイング(遮蔽)効果が得られ、その結果、負極集電体20の凸部に対して確実に合金系活物質を蒸着させることができ、かつ、凸部以外の負極集電体表面に合金系活物質が蒸着するのを抑制できる。なお、ここでは一方の成膜ロール44aと一方の蒸着ソース47aとの間に配置されたマスク46a、46b、46cについて説明したが、他方の成膜ロール44bと他方の蒸着ソース47bとの間に配置されたマスク46a、46b、46cについても同様である。
【0038】
各蒸着ソース47a、47bには、ターゲットとしてシリコン、スズなどの合金系活物質が収容される。ターゲットを加熱することにより合金系活物質の蒸気が発生して、各成膜ロール44a、44bの露出面に向けて上昇する。ターゲットの加熱には、発熱体による加熱、電子ビーム照射による加熱などを利用できる。一方の酸素ノズル48aは、一方の成膜ロール44aと一方の蒸着ソース47aとの間に設けられ、他方の酸素ノズル48bは、他方の成膜ロール44bと他方の蒸着ソース47bとの間に設けられる。各酸素ノズル48a、48bは、それぞれ蒸着ソースで発生して成膜ローラの表面へと蒸着される合金系活物質の蒸気に対して、酸素を供給する。ケイ素またはスズのみからなる負極活物質層を形成する場合は、酸素ノズルからの酸素の供給を停止する。真空ポンプ49は、真空容器41に接続され、真空容器41の内部を真空状態(減圧状態)にする。
【0039】
図5に示す蒸着装置40において、負極集電体20が、マスク46a、46b、46cにより遮断されていない一方の成膜ロール44aの露出面を走行している時には、一方の蒸着ソース47aと対向する負極集電体20の表面に、合金系活物質の蒸気(または合金系活物質の蒸気と酸素との混合物)が蒸着されて、負極集電体20の凸部23に柱状体22が形成される(図4参照)。また、負極集電体20が、マスク46a、46b、46cにより遮断されていない他方の成膜ロール44bの露出面を走行している時には、他方の蒸着ソース47bと対向する負極集電体20の表面であって、一方の蒸着ソース47aから合金系活物質が蒸着されたのとは反対側の表面に、合金系活物質の蒸気(または合金系活物質の蒸気と酸素との混合物)が蒸着されて、負極集電体の凸部に柱状体が形成される。これにより、負極集電体20の両面に、複数の柱状体22を含む負極活物質層21を備えた負極12が得られる。
【0040】
なお、負極活物質層には、不可逆容量に相当する量のリチウムを予め吸蔵させることが好ましい。リチウムを予め吸蔵させる方法としては、例えば、負極活物質層を形成する柱状体に対して金属リチウムを蒸着させる方法が挙げられる。柱状体への金属リチウムの蒸着は、例えば、図5に示す蒸着装置40を用いて行うことができる。この場合、蒸着ソース47a、47bに収容するターゲットとして、合金系活物質に代えて金属リチウムを用いればよい。
【0041】
負極集電体20の凸部23の形状は特に限定されないが、負極集電体20の表面から凸部23の頂部までの高さは、3〜20μmが好ましく、5〜15μmがさらに好ましい。また、柱状体22の形状は特に限定されないが、凸部23の頂部から柱状体22の頂部までの高さは、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。
【0042】
次に、本発明の一実施形態であるリチウムイオン電池を、図6を参照して説明する。
図6に示すリチウムイオン二次電池30は、上述の捲回型電極群10を備えている。捲回型電極群10は、図示を省略する非水電解液とともに、電池ケース31内に収容されている。電池ケース31は有底円筒型の部材であって、電池ケース31の開口端は封口板32によって封鎖されている。
【0043】
正極11は、捲回型電極群10の捲回軸方向の一端側において、正極リード33を介して、正極端子34と電気的に接続している。一方、負極12は、捲回型電極群10の捲回軸方向の他端側において、負極リード35を介して、負極端子として兼用される電池ケース31と電気的に接続している。
【0044】
リチウムイオン二次電池30は、次のようにして作製される。まず、捲回型電極群10を電池ケース31内に収容する。このとき、捲回型電極群10の捲回軸方向における一方の端部に正極側絶縁板36を装着し、他方の端部に負極側絶縁板37を装着する。また、正極11に対して正極リード33を電気的に接続させ、負極12に対して負極リード35を電気的に接続させる。次に、電池ケース31内に非水電解液を注入する。非水電解液の量は特に限定されず、リチウムイオン二次電池の分野における技術常識の範囲で適宜設定することができる。
【0045】
その後、電池ケース31の開口部近傍に、封口板32を受けるための段部を形成し、その上に封口板32を配置して、電池ケース31の開口端を封口板32の周縁部にかしめる。これにより、電池ケース31が密封されて、円筒型のリチウムイオン二次電池30を得ることができる。
【0046】
非水電解液は、非水溶媒と、これに溶解するリチウム塩とを含む。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類との混合溶媒が挙げられる。また、γ−ブチロラクトンやジメトキシエタンなども用いられる。リチウム塩としては、無機リチウムフッ化物やリチウムイミド化合物などが挙げられる。無機リチウムフッ化物としては、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6などが挙げられ、リチウムイミド化合物としてはLiN(CF3SO22などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
上述の実施形態において、堰部は正極側に形成されている。充放電時の電極の厚みの変化量は、リチウム含有遷移金属化合物を活物質として用いる正極に比べて、合金系活物質を用いる負極の方が圧倒的に大きい。このため、厚みの変化量が少ない正極側に堰部を形成することで、堰部の初期の形状を保ちやすくなる。しかしながら、堰部は、負極側に形成してもよく、正極と負極との両方に形成してもよい。堰部を負極側に形成する場合も、正極側の場合と同様の態様により形成することができる。すなわち、堰部は、負極活物質層の表面に被着形成してもよい。また、負極集電体の表面に負極活物質層が形成されていない負極集電体の表面を負極の捲回軸方向両端部に備える態様において、負極集電体の露出部に形成されていてもよい。
【0048】
リチウムイオン二次電池は、角形、円筒形、扁平形など、捲回型電極群を用いる様々な形状の電池に適用可能である。電池の形状は限定されないが、特に角形や円筒形が好ましい。捲回型電極群が角型または円筒型の電池ケースに収容されている場合には、捲回型電極群が可撓性のあるケースに収容されている扁平形電池に比べて、充電時の膨張により捲回型電極群が締め付けられる程度が高い。このため、正極活物質層の長辺に沿った両端部、および負極活物質層の長辺に沿った両端部の少なくとも一方に、樹脂からなる帯状の堰部を設けるという上述の実施形態を、角形電池や円筒形電池に適用することにより、負極活物質層の中央部と両端部とで電極反応の進行が不均一になるのを抑制するという効果をより一層顕著に発揮させることができる。
【実施例】
【0049】
<リチウムイオン二次電池の製造>
(実施例1)
(1)正極の作製
(1−1)正極活物質層の形成
コバルト酸リチウム粉末93質量部と、アセチレンブラック4質量部とを混合した。得られた混合粉末と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(呉羽化学工業(株)製、♯1320)とを、混合粉末とPVDFとの質量比が100:3となるように加えた後、さらに適量のNMPを加えて、正極合剤スラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム箔の両面全体にドクターブレード法によって塗布し、85℃で乾燥させた後、全体の厚みが160μmとなるように、ローラプレス機で圧延した。こうして両面に正極活物質層が形成されたアルミニウム箔を裁断して、幅32mm、全長280mmの帯状に成形した。次に、正極活物質層を備えたアルミニウム箔の長辺方向の一端に、正極活物質層を取り除いてアルミニウム箔を露出させた領域を設けて、この領域に正極リードを溶接した。
【0050】
(1−2)堰部(樹脂膜)の形成
ヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとの共重合体(P(HFP−VDF))をジメチルカーボネートに溶解させて、P(HFP−VDF)の濃度が3質量%のポリマー溶液を調製した。P(HFP−VDF)中のヘキサフルオロプロピレン単位の含有割合は0.1モル%であった。得られたポリマー溶液を70℃に加熱した後、正極活物質層の長辺方向に沿った両端部の表面にディップコートにより塗布した。塗布後、5分間自然乾燥させてから、80℃に加熱して5分間乾燥させることにより、樹脂膜を形成した。
【0051】
図1に示すように、樹脂膜からなる堰部17は、正極活物質層16a、16bの長辺方向に沿った帯状に形成した。また、堰部17は、正極11の両面に、かつ、正極11の短辺方向18の両端部に、合計4箇所形成して、短辺方向18中央部には形成しなかった。正極活物質層16a、16bの短辺の全幅は32mmであって、各堰部17a〜17dの幅は、正極活物質層16a、16bの短辺方向18の全幅に対して7.5%(短辺方向18に2.4mm)とした。正極11の一方の表面に形成された一対の堰部の幅の合計は、正極活物質16a、16bの短辺の全幅に対して15%(合計4.8mm)であった。堰部17a〜17dの平均膜厚は2μmであった。
【0052】
(2)負極の作製
(2−1)負極集電板の作製
直径50mmの鍛鋼製ローラの表面に、レーザ加工により、直径10μm、深さ8μmの円形の凹部を形成することにより、凸部形成用ローラを作製した。凹部は、中心間距離がローラ表面に沿って30μmとなるように、かつ凹部の中心点が二次元三角格子状のパターンとなるように配置した。凸部形成用ローラは、同じものを2本作製して、互いのローラの軸を平行に配置することにより、一対のニップローラとした。
【0053】
一対のニップローラ間に、厚さ20μmの合金銅箔(ジルコニアを全体の0.03質量%含有する銅合金、商品名:HCL−02Z、日立電線(株)製)を通過させて、合金銅箔の表裏両面を加圧した。一対のニップローラ間にかかる荷重は、線圧1000kgf/cm(約9.8kN/cm)とした。こうして、合金銅箔の表裏両面に、高さ約6μm、直径約10μmの凸部が複数形成された負極集電体を得た。隣り合う凸部間の中心間距離は30μmであった。こうして得られた負極集電体を裁断して、幅100mmの帯状部材に成形した。凸部の形状は、走査型電子顕微鏡により確認した。
【0054】
(2−2)負極活物質層の形成
図5に示す蒸着装置40を用いて、負極集電体の表面に負極活物質層を形成した。
純度99.7%の酸素ガスを各酸素ノズル48a、48bから真空容器41内へと供給しながら、スクラップシリコン(純度99.999%)を蒸着源として電子ビーム蒸着を行った。電子ビーム蒸着時の真空容器41内部は、圧力1×10-1Pa(abs)の酸素雰囲気とした。こうして、負極集電体20の両面に、SiOx(xの平均値0.4)からなる柱状体を複数形成した。
【0055】
さらに、図5に示す蒸着装置40を用いて、負極集電体20の表面に形成された負極活物質層に対してリチウムを蒸着した。リチウムの蒸着は、蒸着源として、スクラップシリコンに代えて金属リチウムを用い、ノズルから供給されるガスとして、酸素ガスに代えてアルゴンガスを用い、さらに、電子ビーム蒸着時の真空容器41内部を1×10-1Pa(abs)のアルゴン雰囲気とした。リチウムの蒸着量は、負極活物質層の不可逆容量に相当する量であって、金属リチウムの蒸着膜をベタ膜として形成した場合の厚みで9μmとした。
【0056】
こうして得られた負極を裁断して、幅34mm、全長300mmの帯状に成形した。負極の長辺方向の一端に、負極活物質層を取り除いて負極集電体を露出させた領域を設けて、この領域に負極リードを溶接した。
【0057】
(3)捲回型電極群の作製
セパレータとして、ポリエチレン微多孔膜(厚さ20μm、商品名:ハイポア、旭化成(株)製)を使用した。2枚のセパレータと、正極と、負極とを、正極と負極との間にセパレータが介在するようにして、正極および負極の各長辺方向に捲回することにより、捲回型電極群を得た。
【0058】
(4)非水電解液の調製
エチレンカーボネートと、ジメチルカーボネートと、エチルメチルカーボネートとの体積比1:1:1の混合溶媒に、1モル/リットルの濃度でLiPF6を溶解させることにより、非水電解液を調製した。非水電解液には、ビニレンカーボネートを3質量%の割合で含有させた。
【0059】
(5)リチウムイオン二次電池の作製
上述の捲回型電極群を用いて、リチウムイオン二次電池を組み立てた。電池ケースはアルミニウム製で、厚さ約80μmの底部および側壁を備え、上部が開口した角型の部材であった。電池ケース内に注入した非水電解液の量は2.5gであった。得られたリチウムイオン二次電池は、幅34mm、高さ50mm、厚さ4.5mmの角形であった。電池の設計容量は650mAhであった。
【0060】
(実施例2〜6)
樹脂膜からなる堰部17a〜17dのそれぞれの幅を、正極活物質層16a、16bの短辺の全幅に対する割合A%として表1に示す値に設定したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。なお、正極11の一方の表面に形成された一対の堰部の幅の合計を、正極活物質層16a、16bの短辺の全幅に対する割合B%として、表1の「割合A%」欄に括弧書きで示す。
【0061】
(実施例7〜9)
ポリマー溶液の塗布量を変えることにより、樹脂膜の平均膜厚を0.1μm(実施例7)、5μm(実施例8)、または7μm(実施例9)としたこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0062】
(比較例1)
樹脂膜を形成しないこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0063】
<リチウムイオン二次電池の評価>
実施例1〜7および比較例1で得られたリチウムイオン二次電池について、サイクル特性を評価し、負極活物質層の膨れ量を測定した。
【0064】
(1)サイクル特性
上述のリチウムイオン二次電池について、20℃環境下で、以下の条件で、充放電を300サイクル繰り返した。1サイクル目の放電容量に対する300サイクル目の放電容量の割合(容量維持率)を百分率で求めた。
サイクル試験条件
定電流充電:充電電流値595mA、充電終止電圧4.2V
定電圧充電:充電電圧値4.2V、充電終止電流42.5mA
定電流放電:放電電流値850mA、放電終止電圧2.5V
【0065】
(2)負極活物質層の膨れ量
300サイクル目の充電を行った電池を分解して、負極活物質層の短辺方向中央部と端部の厚みを測定した。測定された厚みの最大値を300サイクル目の厚みとし、負極活物質層形成時の厚みとから、20℃での充放電サイクル経過後の負極活物質層の膨れ量[μm]を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
表1より明らかなように、正極活物質層の長辺に沿った両端部に、樹脂からなる一対の帯状の堰部を設けた実施例1〜9によれば、負極活物質層の短辺方向中央部と両端部とで電極反応の信仰が不均一になるのを抑制することができた。また、その結果、充放電を繰り返した後の容量維持率を高く維持して、充放電サイクルを向上させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のリチウムイオン二次電池は、例えば、携帯電話、PDA、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、携帯ゲーム機などの携帯型電子機器の電源として有用である。また、ハイブリッド自動車などの車載用電源、無停電電源などの用途にも応用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 捲回型電極群、 11 正極、 12 負極、 13(13a、13b) セパレータ、 14 長辺方向、 15 正極集電体、 16a 正極活物質層、 16b 正極活物質層、 17 堰部、 18 短辺方向、 20 負極集電体、 21 負極活物質層、 22 柱状体、 23 凸部、 30 リチウムイオン二次電池、 31 電池ケース、 32 封口板、 33 正極リード、 34 正極端子、 35 負極リード、 36 正極側絶縁板、 37 負極側絶縁板、 40 蒸着装置、 41 真空容器、 42 巻出しロール、 43 搬送ロール、 44a 成膜ロール、 44b 成膜ロール、 45 巻取りロール、 46a 第1のマスク、 46b 第2のマスク、 46c 第2のマスク、 47a 蒸着ソース、 47b 蒸着ソース、 48a 酸素ノズル、 48b 酸素ノズル、 49 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の正極、帯状の負極、および帯状のセパレータを含み、前記正極および前記負極の間に前記セパレータが介在するように前記正極および前記負極の各長辺方向に沿って捲回された電極群と、非水電解液と、を備え、
前記正極および前記負極の少なくとも一方の電極の表面において、前記電極の長辺に沿った両端部に、樹脂からなる一対の帯状の堰部を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記電極の短辺方向において、前記一対の堰部のそれぞれの幅が、前記電極の短辺の全幅に対して5〜15%である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記電極が、集電体と、前記集電体の表面に形成された、活物質を含む活物質層と、を備え、
前記堰部は、前記電極の厚さ方向において、前記活物質層の表面からの高さが0.1〜5μmである請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記堰部が、前記非水電解液に対する膨潤度が20%以下の難膨潤性樹脂からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記難膨潤性樹脂が、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン単位を1モル%以下の割合で含有するヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、および、ヘキサフルオロプロピレン単位を1モル%以下の割合で含有するヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記負極活物質層は、前記負極集電体の表面に支持された、複数の合金系活物質の柱状体からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−160371(P2012−160371A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19817(P2011−19817)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】