説明

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池(100)が、正極(110)と、炭素を含む負極(120)と、第1および第2の添加剤を含有する電解質(130)とを含む。第1の添加剤は、イオン受容体として作用するボランまたはホウ酸塩化合物を含み、第2の添加剤は、イオン導電層を形成するために、負極(120)の表面で反応可能なアルケンを含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、リチウム電池の分野に関する。特に、本発明は、電池の寿命中に容量減衰がほとんどないリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
リチウムイオン電池は、活性材料(例えば、LiCoO2)が上部に設けられた正極集電子(例えば、アルミニウム箔などのアルミニウム)と、活性材料(例えば、黒鉛などの炭素質材料)が上部に設けられた負極集電子(例えば、銅箔などの銅)とを含む。正極集電子およびその上に設けられた活性材料とをあわせて正極と呼び、負極集電子およびその上に設けられた活性材料をあわせて負極と呼ぶ。
【0003】
図1は、上述したような従来のリチウムイオン電池10の一部分の略図を示す。電池10は、正極集電子22および正極活性材料24を含む正極20と、負極集電子32および負極活性材料34を含む負極電極30と、電解質材料40と、正極20と負極30との中間またはそれらの間に設けられた隔離板(図示していないが、例えば、高分子微孔性の隔離板)とを含む。電極20、30は、比較的平坦または平面の板として設けられてもよく、または螺旋状や他の構成(例えば、楕円形の構成)で巻かれたり、巻き付けられたりしてもよい。電極はまた、折り畳まれた構成で設けられてもよい。
【0004】
電池10の充放電中、リチウムイオンは、正極20と負極30との間を移動する。例えば、電池10の放電時、リチウムイオンが、負極30から正極20へと流れる。逆に、電池10の充電時、リチウムイオンは、正極20から負極30へと流れる。
【0005】
従来のリチウムイオン電池が抱える問題の1つに、セルの経年変化および繰り返し使用によって、電池寿命期間中に容量が減衰する可能性があるということが挙げられる。本明細書において使用する場合、「容量減衰」という用語は、電池の寿命期間中における電池容量の損失を指す。
【0006】
医療デバイスの業界では、患者の病状を治療するための様々な電子機械デバイスが製造されている。病状に応じて、医療デバイスは、治療を受ける患者に外科的に植え込まれ、または外部から接続されることもできる。臨床医は、患者の病状を治療するために、医療デバイスを単独で、または薬物療法と手術とを組み合わせて使用する。病状によっては、患者の体調をより健康に回復させ、より充実した人生を送るために、医療デバイスが最良の、時には、唯一の療法となる場合もある。
【0007】
植込み型医療デバイスを含む医療デバイスなどの電池式デバイスに、改良された電池電源を提供することが望まれる場合もある。このような場合、再充電されてもよい電池を提供することが有益なこともある。また、電池の寿命期間中の容量減衰に比較的耐性であり得る電池を提供することが有益なこともある。また、これらのまたは他の有益な特徴の任意の一つまたは複数を含む電池を利用する医療デバイス(例えば、植込み型医療デバイス)を提供することも有益であり得る。
【発明の開示】
【0008】
概要
本発明の1つの例示的な態様は、正極と、炭素を含む負極と、第1および第2の添加剤を含有する電解質とを含むリチウムイオン電池に関する。第1の添加剤は、イオン受容体として作用するボランまたはホウ酸塩化合物を含み、第2の添加剤は、イオン導電層を形成するために、負極の表面で反応可能なアルケンを含む。
【0009】
本発明の別の例示的な態様は、正極と、炭素繊維または黒鉛化メソカーボンマイクロビーズおよびコークスの混合物を含む負極と、イオン受容体として作用するボランまたはホウ酸塩化合物を含む第1の添加剤、およびイオン導電層を形成するために、負極の表面で反応可能なアルケンを含む第2の添加剤を含む電解質とを含むリチウムイオン電池に関する。
【0010】
本発明の別の例示的な態様は、正極と、黒鉛化メソカーボンマイクロビーズおよびコークスを含む活性材料を含む負極と、ビニレンカーボネートおよびトリメトキシボロキシン添加剤を含む電解質とを含むリチウムイオン電池に関する。
【0011】
本発明の別の例示的な態様は、医療デバイスへの電力供給用のリチウムイオン電池を含む医療デバイスに関する。リチウムイオン電池は、正極と、炭素を含む負極と、第1および第2の添加剤を含有する電解質とを含む。第1の添加剤は、イオン受容体として作用するボランまたはホウ酸塩化合物を含み、第2の添加剤は、イオン導電層を形成するために、負極の表面で反応可能なアルケンを含む。
【0012】
例示的な態様の詳細な説明
1つの例示的な態様によれば、電池の寿命期間中に容量の減衰に高い耐性を示し得る電池が提供されてもよい。電池は、炭素質の負極と、使用中に電池が受ける容量の減衰量を低減するように意図される一つまたは複数の添加剤を含む電解質とを含む。このような電池は、植込み型医療デバイスを含む、使用の寿命期間中に比較的安定した容量を必要とする多種多様な応用の任意のもので利用されてもよい。
【0013】
図2を参照すると、1つの例示的な態様によるリチウムイオン電池100の一部分の略図的断面図が示されている。1つの例示的な態様によれば、電池100の定格容量は、約10〜1000ミリアンペア時間(mAh)である。別の例示的な態様によれば、電池の定格容量は、約100〜400mAhである。別の例示的な態様によれば、電池は、約300mAh電池である。別の例示的な態様によれば、電池は、約75mAh電池である。
【0014】
電槽(図示せず)は、ステンレス鋼または別の金属で作られてもよい。1つの例示的な態様によれば、電槽は、チタン、アルミニウム、またはそれらの合金で作られてもよい。別の例示的な態様によれば、電槽は、プラスチック材料やプラスチック箔ラミネート材料で作られてもよい(例えば、ポリオレフィン層とポリエステル層との中間に設けられたアルミニウム箔)。
【0015】
電池100の寸法は、種々の例示的な態様に応じて異なるものであってもよい。例えば、比較的角柱の電槽に設けられるように電極が巻き付けられる1つの例示的な態様によれば、電池の寸法は、約30〜40mm×約20〜30mm×約5〜7mmである。別の例示的な態様によれば、電池の寸法は、約20mm×20mm×3mmである。別の例示的な態様によれば、直径が約30mmおよび厚みが約3mmのボタン形電池の形態で電池が与えられてもよい。当業者であれば、本明細書において記載されるように、このような寸法および構成は説明的なものにすぎず、種々のサイズ、形状、および構成の電池が、本明細書において記載される新規の概念に従って製造されてもよいことを認識する。
【0016】
電池100は、少なくとも1つの正極110と、少なくとも1つの負極120とを含む。正極110と負極120との中間または間に、隔離板150が設けられる。1つの例示的な態様によれば、隔離板150は、ポリプロピレン/ポリエチレン共重合体などの高分子材料、または、電解質およびリチウムイオンが隔離板の一方から他方へ流れるように微小孔が形成された別のポリオレフィン多層ラミネートである。隔離板150の厚みは、1つの例示的な態様によれば、約10マイクロメートル(μm)〜50μmである。1つの特定の例示的な態様によれば、隔離板の厚みは、約25μmであり、隔離板の平均孔径は、約0.02μm〜0.1μmである。
【0017】
1つの例示的な態様によれば、ガラスフィードスルーを有するステンレス鋼缶にセルが密閉封止された螺旋状に巻き付けられた角柱の電池として、電池100が設けられる。他の例示的な態様によれば、電極は、電池100の平坦または平面のコンポーネントとして設けられてもよく、折り畳まれた構成で設けられてもよい。1つの特定の例示的な態様によれば、電極は、比較的角柱の電槽内に挿入するために楕円状に巻き付けられたコイルを形成するように、比較的矩形状のマンドレルの周りに巻かれてもよい。他の例示的な態様によれば、電池は、ボタン電池、薄膜固体電池、または別のリチウムイオン電池構成として与えられてもよい。
【0018】
1つの例示的な態様によれば、負極は、ニッケルまたはニッケル合金を含む部材またはタブによって、ステンレス鋼ケースに結合される。正極には、アルミニウムまたはアルミニウム合金部材またはタブが結合され、または取り付けられてもよい。ニッケルおよびアルミニウムタブは、1つの例示的な態様による電池用の端子としての機能を果たすことができる。
【0019】
正極110は、金属などの伝導性材料で作られた集電子112を含む。1つの例示的な態様によれば、集電子112は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含み、約5μm〜75μmの厚みを有する。1つの特定の例示的な態様によれば、集電子112の厚みは、約20μmである。正極集電子112は、薄箔材料であるように説明され記載されているが、正極集電子は、さまざまな例示的な態様による任意の種々の他の構成を有するものであってよいことにも留意されたい。例えば、正極集電子は、メッシュグリッド、エクスパンデッドメタルグリッド、光化学的にエッチングされたグリッドなどのグリッドであってもよい。
【0020】
集電子112は、活性材料が上部に設けられた層114を有する(例えば、集電子上にコーティングされる)。図2は、集電子112の一方側にのみ層114が設けられている図を示すが、層114として示したものと類似または同一の活性材料層が、集電子112の両側上に設けられ、またはコーティングされてもよいことを理解されたい。
【0021】
1つの例示的な態様によれば、層114は、電池の放電中および充電中にそれぞれドープおよび非ドープされてもよいリチウムを含む材料または化合物である。1つの特定の例示的な態様によれば、層114は、コバルト酸リチウム(LiCoO2)を含む。本明細書を検討する当業者に認識されるように、正極活性材料層は、さまざまな他の例示的な態様により、LiCoO2の代わりに、またはLiCoO2に追加して、さまざまな他の材料で作られても、それらの材料を含んでもよい。例えば、正極活性材料は、2004年10月29日に出願された「Litium-Ion Battery」という発明の名称の米国特許出願第10/979,041号に記載された材料の任意のさまざまな組み合わせを含む組成を有してもよく、同出願の開示全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0022】
1つの例示的な態様によれば、活性材料層114の厚みは、約0.1μm〜3mmである。別の例示的な態様によれば、活性材料層114の厚みは、約25μm〜300μmである。1つの特定の例示的な態様によれば、活性材料層114の厚みは、約75μmである。
【0023】
負極120の一部品として含まれる負極集電子122は、金属などの伝導性材料で作られる。1つの例示的な態様によれば、集電子122は、銅または銅合金である。別の例示的な態様によれば、集電子122は、チタンまたはチタン合金である。別の例示的な態様によれば、集電子122は、ニッケルまたはニッケル合金である。負極集電子122は、薄箔材料であるように説明され記載されているが、正極集電子は、さまざまな例示的な態様による任意の種々の他の構成を有するものであってもよいことにも留意されたい。例えば、正極集電子は、メッシュグリッド、エクスパンデッドメタルグリッド、光化学的にエッチングされたグリッドなどのグリッドであってもよい。
【0024】
1つの例示的な態様によれば、集電子122の厚みは、約100nm〜100μmである。別の例示的な態様によれば、集電子122の厚みは、約5μm〜25μmである。1つの特定の例示的な態様によれば、集電子122の厚みは、約10μmである。
【0025】
負極集電子122は、活性材料が上部に設けられた層124を有する。図2は、集電子122の一方側にのみ層124が設けられている図を示すが、図示したものと類似または同一の活性材料層が、集電子122の両側上に設けられ、またはコーティングされてもよいことを理解されたい。
【0026】
例示的な態様によれば、層124は、石油コークス、炭素繊維、硬質炭素、黒鉛(例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、ポテト状の炭素など)、粉末状の黒鉛化ピッチ(メソカーボンマイクロビーズ(MCMB))、またはそれらの組み合わせなどの炭素質材料を含む。1つの例示的な態様によれば、負極集電子上に設けられた活性材料層は、約70〜95重量パーセントMCMBおよび5〜30重量パーセントコークスを含む。1つの特定の例示的な態様によれば、負極集電子上に設けられた活性材料層は、約80重量パーセントMCMBおよび20重量パーセントコークスを含む。他の例示的な態様によれば、MCMB/コークス層のコークスのパーセンテージは、約10〜30重量パーセントの範囲のものであってもよい。コークスのパーセンテージが、この範囲の上限を実質的に超えると、容量の低下や不可逆容量の増大などのマイナス効果が電池に生じてしまうこともあり、この範囲の下限を実質的に下回るレベルでは、コークスの使用に関連する恩典がなくなることにもなりかねない。
【0027】
活性層に使用される材料を保持するために、活性材料層124とともに結合剤材料が利用されてもよい。例えば、1つの例示的な態様によれば、活性材料層は、カーボンブラックなどの導電性添加剤およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)または弾性重合体などの結合剤を含んでもよい。
【0028】
さまざまな例示的な態様によれば、活性材料124の厚みは、約0.1μm〜3mmである。他の例示的な態様によれば、活性材料124の厚みは、約25μm〜300μmであってもよい。別の例示的な態様によれば、活性材料124の厚みは、約20μm〜90μmであってもよく、1つの特定の例示的な態様によれば、約75μmであってもよい。
【0029】
リチウムイオンが通ることもある媒体を与えるように、正極と負極との中間または間に電解質130が与えられる。1つの例示的な態様によれば、電解質は、液体であり、例えば、一つまたは複数の非水溶剤に溶解させたリチウム塩を含む。
【0030】
別の例示的な態様によれば、電解質は、ポリ(エチレンオキサイド)またはシリコーンなどの高分子材料に溶解させたリチウム塩であってもよい。別の例示的な態様によれば、電解質は、N-メチル-N-アルキルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド塩などのイオン液体であってもよい。別の例示的な態様によれば、電解質は、リン酸リチウムオキシナイトライド(LiPON)などのリチウムイオン導電性ガラスなどの固体電解質であってもよい。
【0031】
他の例示的な態様によれば、さまざまな他の電解質が使用されてもよい。例えば、1つの例示的な態様によれば、電解質は、LiPF6の1.0Mの塩が溶解したエチレンカーボネートおよびジエチルカーボネートの混合物であってもよい。別の例示的な態様によれば、電解質は、ポリプロピレンカーボネート溶媒およびリチウムビス-オキサラトボレート塩(LiBOBとも呼ばれる)を含んでもよい。他の例示的な態様によれば、電解質は、とりわけ、PVDF共重合体、PVDFポリイミド材料、および有機ケイ素重合体、熱重合ゲル、放射線硬化アクリレート、高分子ゲル粒子、無機ゲル高分子電解質、無機ゲル-高分子電解質、PVDFゲル、ポリエチレンオキシド(PEO)、ガラスセラミック電解質、リン酸塩ガラス、リチウム導電性ガラス、リチウム導電性セラミック、および無機イオン液体またはゲルの一つまたは複数を含んでもよい。
【0032】
1つの例示的な態様によれば、電解質は、リチウム塩として1モルLiPF6の溶質を含む有機カーボネートの混合物を含む。1つの特定の例示的な態様によれば、電解質は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、およびLiPF6などの多数の有機カーボネートを含む。
【0033】
電解質130は、電池100の容量減衰の発生を低減させることを意図する2つ以上の添加剤を含む。このような材料は、負極で使用される炭素質材料の表面上にLiFが形成するのを防ぐ助力となることが報告されている。LiFの形成が望ましくないのは、このような材料が、容量減衰に寄与し、負極上に形成される安定したイオン導電層(固体電解質界面(SEI)層と呼ばれることもある)の有益な要素ではないという理由が考えられる。1つの例示的な態様によれば、電解質130は、アニオン受容体として作用するホウ酸塩またはボラン化合物である第1の添加剤を含む。ホウ酸塩またはボラン化合物は、ボロキシン環(例えば、トリメトキシボロキシン(TMOBX)またはその誘導体もしくはトリメチルボロキシン)を含有する化合物、ポリアルキレンオキシド鎖を有するボロキシン環を含む化合物、および置換または非置換フェニル環を有するボロキシン環を有する化合物を含んでもよい。1つの特定の例示的な態様によれば、第1の添加剤は、TMOBXである。
【0034】
1つの例示的な態様によれば、電解質130は、SEI層を形成するために、負極の表面上での反応(例えば、重合化)が可能なアルケンである第2の添加剤を含む。このような添加剤の特に魅力的なタイプとして、炭素表面上で比較的容易に重合可能である不飽和結合があることが挙げられる。第2の添加剤用に使用されてもよいアルケン類は、ビニレンカーボネートおよびその誘導体、プロピリデンカーボネート、エチリデンエチレンカーボネート、イソプロピリジエンエチレンカーボネート、ビニレンアセテート、ビニレンエチルカーボネート、およびエチルシンナメートを含む。特定の例示的な態様によれば、第2の添加剤は、ビニレンカーボネート(VC)またはその誘導体の一つもしくは複数である。
【0035】
本発明者らは、実験により、添加剤の組み合わせを使用することで予期していなかった相乗効果が得られることを突き止めた。例えば、VCおよびTMOBXなどの添加剤は、より安定したSEI層の生成に寄与し得るという想定の下で、これまでリチウムイオン電池に使用されてきた。しかしながら、これまでVCまたはTMOBXなどの添加剤を使用する場合、添加剤は、電解質における添加剤としてのみ使用されていた(例えば、電池の電解質に、VCのみが添加される)。以下に記載する実施例1および2において説明するように、実験により、本発明者らは、添加剤の組み合わせを利用すると、容量減衰の性能を改善し得ることを突き止めた。すなわち、複数の添加剤を利用する電池において達成され得る容量減衰と比較した場合、添加剤を1つのみ利用した電池の容量減衰は大きくなる。実験的に検証されてこなかったこのような結果を説明する1つの可能性として、異なる添加剤が、より安定したSEI層を生成するために異なる方法で作用することもあるため、複数の添加剤を使用すると、個々の添加剤の各々の別個の恩典が得られる可能性があるということが挙げられる。
【0036】
1つの例示的な態様によれば、電解質は、約0.1〜3.0パーセントTMOBXおよび約0.1〜10.0パーセントVCを含む。1つの例示的な態様によれば、電解質は、約0.3〜1.0パーセントTMOBXおよび約0.1〜10.0パーセントVCを含む。1つの特定の例示的な態様によれば、電解質は、約0.3重量パーセントTMOBXおよび約2.4パーセントVCを含む。
【0037】
1つの例示的な態様によれば、活性材料が、MCMBおよびコークスの混合物を含む炭素質の負極を有するリチウム電池が、TMOBXおよびVC添加剤を有する電解質を含む。別の例示的な態様によれば、活性材料が炭素繊維を含む炭素質の負極を有するリチウム電池が、TMOBXおよびVC添加剤を有する電解質を含む。このようなリチウム電池の電解質に、TMOBXおよびVC添加剤の両方の添加剤を使用することで、著しい容量減衰を呈する傾向を低減させ、電池寿命の性能が高められた電池が得られることが意図される。
【0038】
炭素質の負極を使用するリチウムイオン電池の電解質に、VCおよびTMOBXなどの添加剤を提供する1つの有益な特徴は、このような電池が、機能性および信頼性が高まり、寿命が長くなることである。このような電池の電圧/容量曲線は、このような添加剤を利用しない電池と比較した場合、電池の寿命の終わり付近の形状が、より逓減したものになるため、選択的交換指標(ERI)予測をより正確なものとし得る。このような添加剤は、リチウムを負極により均等に分配された状態にする「レベリング」反応を促進させるように作用することもある。
【0039】
実施例1
LiCoO2の正極、炭素質の負極、およびリチウム塩として1モルLiPF6の溶質をもつ有機カーボネートの混合物を含む電解質を有する、公称容量が約0.3アンペア時間(Ah)のリチウムイオンセルを準備した。セルは、ガラスフィードスルーを有するステンレス鋼缶に密閉封止された螺旋状に巻き付けられた角柱のセルとして組み立てた。セルの公称容量は、約0.3アンペア時間であった。すべてのセルは、以下に述べる相違点を除き、同一に組み立てたものであった。
【0040】
3つの炭素タイプの負極と、4つの電解質の配合物とをそれぞれ組み合わせて、12種類のリチウムイオンセルを作製した。炭素タイプは、(1)MCMB、(2)MCMB/コークスハイブリッド(80/20%の比率のMCMBと石油コークス)、および(3)炭素繊維であった。すべての電極を約11g/cm2の堆積物までコーティングし、約1.2〜1.4g/cm3の圧縮密度にした。これらの材料の製造元および物理的性質の情報を、以下の表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
電解質はすべて、PC、EC、DEC、およびLiPF6を含む有機カーボネートの主な組み合わせが同じであり、使用した減衰防止の添加剤のタイプのみが異なるものであった。したがって、電解質タイプは、(1)なし(添加剤なし)、(2)0.3wt%のTMOBX、(3)2.4wt%のVC、および(4)TMOBXおよびVCの混合物(それぞれ0.3および2.4%、wt%)であった。VCを添加した電解質において、VCは、希釈していないVCに関連する安定性の問題を回避するために、電解質の製造元(EM Industries)でVCを添加した。
【0043】
150mA(「C/2」レート)で4.1V(4.1Vで30分保持)までの充電および75mA(「C/4」レート)で2.75Vまでの放電からなる加速スケジュールでセルをサイクル作動させた。第1のサイクルで、100回目のサイクルごとに、セルは、より低いレートの「特性サイクル」を受けた。これらは、同じ電圧限度まで、14.5mAの充電および14.5mAの放電からなるものであった。
【0044】
加速サイクル中のパーセント容量損失である容量減衰(fQ)は、以下の式を用いて、1000サイクル後に求めた。
fQ = (1-(Q1001/Q2)100%
【0045】
式中、Qは、放電容量であり、下付きの数字の添え字は、サイクル数を示す。表3にデータを示し、図3〜図5に、容量減衰結果のグラフを示す。図3は、MCMBを含む負極を有し、さまざまな電解質添加剤を利用した、リチウム電池用の容量減衰を示すグラフである。図4は、MCMBおよびコークスを含む負極を有し、さまざまな電解質添加剤を利用した、リチウム電池用の容量減衰を示すグラフである。図5は、炭素繊維を含む負極を有し、さまざまな電解質添加剤を利用した、リチウム電池用の容量減衰を示すグラフである。
【0046】
【表3】

【0047】
すべての炭素タイプ(MCMB、MCMB/コークス、炭素繊維)に関して、TMOBXまたはVCのいずれかのみと比較して、VC/TMOBXの組み合わせを使用することで、容量減衰が低減されたことに留意されたい(すなわち、VCのみ、TMOBXのみ、およびVC/TMOBXの組み合わせを使用した場合、すべてにおいて、添加剤を使用していない電池と比較して、容量減衰が低減されたが、VC/TMOBX添加剤の組み合わせの容量減衰の低減が最も大きかった)。MCMBがコーティングされた負極をセルに使用した表3および図3〜5に示す結果に示されているように、VCおよびTMOBXの混合物は、TMOBXまたはVCのみを使用したものと比較した場合、容量減衰の低減が比較的小さい。しかしながら、MCMB/コークスハイブリッド電極セルおよび炭素繊維セルに関して、VCおよびTMOBXの混合物の相乗効果により、VCまたはTMOBXのみを使用した場合と比較して、テスト期間中にセルの容量減衰が比較的急減であった。
【0048】
1つの例示的な態様によれば、上述したものなどのリチウムイオン電池は、人体に植え込まれることもある医療デバイス(「植込み型医療デバイス」、いわゆる「IMD」とも呼ばれる)などの医療デバイスを含むがこれらに限定されるわけではない任意の電池式デバイスとともに使用されてもよい。
【0049】
図6は、患者230の身体または胴体232内に植え込まれたシステム200(例えば、植込み型医療デバイス)の略図を示す。システム200は、説明上、患者230に療法用高電圧(例えば、700ボルト)の処置を施すように構成された除細動器として示された植込み型医療デバイスの形態のデバイス210を含む。
【0050】
デバイス210は、1つの例示的な態様による密閉封止され、生物学的に不活性であるコンテナまたはハウジング214を含む。コンテナは、導電材料で作られてもよい。一つまたは複数のリード216は、デバイス210を静脈222を経由して患者の心臓220へ電気的に接続される。心臓活動を検知し、および/または心臓220に電位を与えるために、電極217が設けられる。リード216の少なくとも一部分(例えば、露出電極217として示すリードの一端部分)が、心臓220の心室および心房の一つまたは複数と隣接または接触して設けられてもよい。
【0051】
デバイス210は、デバイス210に電力を供給するために設けられた電池240を含む。別の例示的な態様によれば、電池240は、(例えば、電池の取外しおよび取替えおよび/または充電が可能となるように)デバイスの外部または患者230の外部に設けられてもよい。電池240のサイズ、位置、および容量は、特定の患者の物理的または医療特性に必要とされる電荷量、デバイスのサイズまたは構成、および任意の種々の他の要因を含む多数の要因に基づいて選択されてもよい。1つの例示的な態様によれば、電池は、5mAh電池である。別の例示的な態様によれば、電池は、300mAh電池である。さまざまな他の例示的な態様によれば、電池は、約10〜1000mAhの容量を有するものであってもよい。他の例示的な態様によれば、デバイス210に電力供給するために、複数の電池が設けられてもよい。このような例示的な態様において、電池は、同じ容量を有してもよく、電池の一つまたは複数の容量は、他の電池より増減したものであってもよい。
【0052】
図7に示す別の例示的な態様によれば、植込み型の神経刺激デバイス300(植込み型神経刺激装置、すなわちINS)が、さまざまな例示的な態様に対して上述したものなどの電池302を含んでもよい。いくつかの神経刺激製品および関連するコンポーネントの例が、Medtronic, Incから入手可能な「Implantable Neurostimulation Systems」というタイトルのパンフレットに示され記載されている。
【0053】
INSは、ヒトの神経系または臓器に影響を及ぼすために使用される一つまたは複数の電気刺激信号を発生する。リードの遠端部に担持された電気コンタクトが、脊柱や脳などの所望の刺激部位に配置され、リードの近端部が、INSに接続される。次いで、INSは、腹部、胸部、または上臀部エリアにある皮下ポケット内などの個々の場所内に外科的に植え込まれる。臨床医が、プログラマーを用いる療法でINSをプログラミングする。療法は、患者別の療法にあわせて刺激信号のパラメータを設定する。INSは、痛み、失禁、癲癇やパーキンソン病などの運動障害、および睡眠時無呼吸などの病状を治療するために使用され得る。種々の生理学的、心理学的、および感情的な状態を治療するためには、療法の追加が有望である。療法を行うために、INSが植え込まれる前に、INSの働きの一部またはすべてを複製する外部スクリーナが、典型的に、提案された療法の有効性を評価するために、患者に接続される。
【0054】
INS300は、リードエクステンション322および刺激リード324を含む。刺激リード324は、近端部のコネクタ332および遠端部の電気コンタクト(図示せず)との一つまたは複数の絶縁された導体である。刺激リードの中には、ミネソタ州ミネアポリスのMedtronic, Inc.から市販されているModel 3487A Pisces-Quad(登録商標)リードなど、経皮的に患者内に挿入されるようにデザインされたものもあり、Medtronicから市販されているModel 3998 Specify(登録商標)リードなど、外科的に植え込まれるようにデザインされた刺激リードもある。
【0055】
リードコネクタ332は、INS300(例えば、ポイント336)に直接接続可能であるが、典型的に、リードコネクタ332は、リードエクステンション322に接続される。次いで、Medtronicから市販されているModel7495などのリードエクステンション322は、INS300に接続される。
【0056】
典型的に、INS320の植込みは、通常、患者が局所麻酔下にある間に、少なくとも1つの刺激リード324を植え込むことから始まる。刺激リード324は、経皮的または外科的のいずれかの方法での植込みが可能である。刺激リード324が、植え込まれて位置決めされると、刺激リード324の遠端部は、典型的に、植込み後に刺激リード324の動きを最小限に抑えるために適所に固定される。刺激リード324の近端部は、リードエクステンション322と接続するように構成され得る。
【0057】
INS300は、療法に従ってプログラミングされ、患者ごとに療法を最適化させるために、療法が修正される場合も多い(すなわち、INSは、所与の状況において、適切な療法が施されるように、複数のプログラムまたは療法に従ってプログラミングされてもよい)。電池302を再充電させる必要がある場合、充電デバイスまたは装置に電池を電気的に結合するために、外部リード(図示せず)が使用されてもよい。
【0058】
医師または患者が、さまざまな療法の施与を制御できるように、さまざまな療法の医師用プログラマーおよび患者用プログラマー(図示せず)が与えられてもよい。コンソールプログラマーとしても公知の医師用プログラマーが、植込み型INS300と通信状態にするための遠隔測定法を用いるため、臨床医が、INS300に格納された患者の療法をプログラミングおよび管理し、患者のINS300システムのトラブルに対して対応および対処し、および/またはデータを収集することができる。医師用プログラマーの1つの例は、Medtronicから市販されているModel 7432 Console Programmerである。患者用プログラマーは、INS300と通信状態にするための遠隔測定法を用いるため、患者は、臨床医によって規定された療法のいくつかの局面を管理できる。患者用プログラマーの1つの例は、Medtronicから市販されているModel 7434 Itrel(登録商標)3 EZ Patient Programmerである。
【0059】
本明細書に記載した医療デバイス(例えば、システム200および300)は、除細動器および神経刺激デバイスとして示し記載しているが、さまざまな健康上の病気の副作用を軽減するために、ペースメーカー、電気除細動器、心収縮モジュレータ、薬物投与デバイス、診断レコーダ、移植蝸牛刺激装置など、他の例示的な態様により、他のタイプの植込み型医療デバイスが利用されてもよいことを認識すべきである。さらなる他の態様によれば、非植込み型医療デバイスまたは他のタイプのデバイスが、本開示に示し記載しているような電池を利用してもよい。
【0060】
医療デバイスが患者内に植え込まれるとき、本明細書において記載する医療デバイスが、充電または再充電されてもよいことも考慮されたい。すなわち、1つの例示的な態様によれば、医療デバイスを充電または再充電するために、患者から医療デバイスを切り離したり、取り外したりする必要がない。例えば、体外から植え込まれた電池へとエネルギーを送るために磁気誘導を用いる経皮的エネルギー伝達(TET)が使用されてもよく、この場合、植え込まれた電池への直接的な物理的接触も、植え込まれたものの任意の部分が患者の皮膚から突出することもなくなる。別の例示的な態様によれば、患者の体の外部に、電池を充電または再充電するために、充電デバイスに電気的に結合されてもよいコネクタが設けられてもよい。他の例示的な態様によれば、電池を充電または再充電するために、患者からの取外しや切り離しが必要なこともある医療デバイスが設けられてもよい。
【0061】
留意すべき重要な点は、さまざまな例示的な態様に対して示し記載したリチウムイオン電池の構造および配置が、説明的なものにすぎないということである。本開示において、本発明のいくつかの態様のみ詳細に記載してきたが、本明細書を検討している当業者であれば、特許請求の範囲に示した主題の新規な開示および利点からあまり逸脱することなく、多くの修正例が可能であることを容易に認識する(例えば、さまざまな要素のサイズ、寸法、構造、形状、および比、パラメータ値、取り付け配置、材料の使用、色、向きなどの変更)。したがって、このような修正例はすべて、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲内に含まれることが意図されている。添付の特許請求の範囲に表現されているような本発明の範囲から逸脱することなく、好ましい態様および他の例示的な態様のデザイン、動作条件、および配置に他の代替、修正、変更、および省略がなされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】従来のリチウムイオン電池の略図的断面図である。
【図2】1つの例示的な態様によるリチウムイオン電池の一部分の略図的断面図である。
【図3】MCMBを含む負極を有し、さまざまな電解質添加剤を利用するリチウム電池の容量減衰を示すグラフである。
【図4】MCMBおよびコークスを含む負極を有し、さまざまな電解質添加剤を利用するリチウム電池の容量減衰を示すグラフである。
【図5】炭素繊維を含む負極を有し、さまざまな電解質添加剤を利用するリチウム電池の容量減衰を示すグラフである。
【図6】患者の体または胴体内に植え込まれた植込み型医療デバイスの形態のシステムの略図である。
【図7】植込み型医療デバイスの形態の別のシステムの略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極(110)と、
炭素を含む負極(120)と、
イオン受容体として作用するボランまたはホウ酸塩化合物を含む第1の添加剤、およびイオン導電層を形成するために、該負極(120)の表面で反応可能なアルケンを含む第2の添加剤を含有する電解質(130)
とを含む、リチウムイオン電池(100)。
【請求項2】
第1の添加剤が、トリメトキシボロキシンまたはその誘導体を含む、請求項1記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項3】
第2の添加剤が、ビニレンカーボネートまたはその誘導体を含む、請求項2記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項4】
電解質(130)中に存在する第1の添加剤が、約0.1〜3.0パーセントの量で存在し、第2の添加剤が、約0.1〜10.0パーセントの量で存在する、前記請求項のいずれか一項記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項5】
電解質(130)が、約0.3重量パーセントの第1の添加剤および約2.4パーセントの第2の添加剤を含む、前記請求項のいずれか一項記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項6】
負極(120)の炭素が、コークス、炭素繊維、硬質炭素、黒鉛、黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む、前記請求項のいずれか一項記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項7】
負極(120)の炭素が、黒鉛および非黒鉛炭素の混合物を含む、前記請求項のいずれか一項記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項8】
黒鉛炭素がメソカーボンマイクロビーズを含み、非黒鉛炭素がコークスを含む、請求項7記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項9】
メソカーボンマイクロビーズおよびコークスが、約4:1の重量比で提供される、請求項8記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項10】
負極(120)の炭素が、約70〜95重量パーセントメソカーボンマイクロビーズおよび約5〜30重量パーセントコークスを含む、請求項1〜8のいずれか一項記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項11】
負極(120)の炭素が、約80重量パーセントメソカーボンマイクロビーズおよび約20重量パーセントコークスを含む、請求項1〜8のいずれか一項記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項12】
負極(120)の炭素が、メソカーボンマイクロビーズおよびコークスを含み、第1の添加剤が、約0.3重量パーセントで電解質(130)に提供されるトリメトキシボロキシンまたはその誘導体であり、第2の添加剤が、約2.4重量パーセントで該電解質(130)に提供されたビニレンカーボネートまたはその誘導体である、請求項1記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項13】
負極(120)の炭素が炭素繊維を含み、第1の添加剤がトリメトキシボロキシンまたはその誘導体であり、第2の添加剤がビニレンカーボネートまたはその誘導体である、請求項1記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項14】
電解質(130)が、約0.3重量パーセントの第1の添加剤および約2.4重量パーセントの第2の添加剤を含む、請求項12記載のリチウムイオン電池(100)。
【請求項15】
前記請求項のいずれか一項記載のリチウムイオン電池(100)を含む医療デバイス。
【請求項16】
医療デバイスの少なくとも一部分が、患者の身体内に植え込まれるように構成され、リチウムイオン電池(100)が、患者の身体から該電池を取り外すことなく充電されうる、請求項15記載の医療デバイス。
【請求項17】
医療デバイスが神経刺激デバイスを含む、請求項15または16記載の医療デバイス。
【請求項18】
医療デバイスが、心臓除細動器、心臓ペースメーカー、心収縮モジュレータ、電気除細動器、薬物投与デバイス、移植蝸牛刺激装置、補聴器、センサ、遠隔測定装置、および診断レコーダからなる群より選択される、請求項15または16記載の医療デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−512137(P2009−512137A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534564(P2008−534564)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/037551
【国際公開番号】WO2007/041113
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508101340)メドトロニック インコーポレーティッド (1)
【Fターム(参考)】