説明

リチウム二次電池用負極材料、その製造方法およびリチウム二次電池

【課題】 初回充放電時の不可逆容量が小さく、かつ充放電サイクル特性が良好なリチウム二次電池、前記リチウム二次電池を構成し得る負極材料およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値が0.1〜0.5であり、かつ002面の面間隔d002が0.338nm以下である黒鉛と、その表面を被覆する天然多糖類またはその誘導体とを有するリチウム二次電池用負極材料と、この負極材料を含有する負極を有するリチウム二次電池により、前記課題を解決する。なお、前記負極材料は、天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させてなる溶液に、前記黒鉛を分散させる工程を有する製造方法によって得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、初回充放電時の不可逆容量が小さく、かつ充放電サイクル特性が良好なリチウム二次電池、前記リチウム二次電池を構成し得る負極材料およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。最近では、携帯機器の高性能化が目覚しく、これに伴い、電源として利用されるリチウム二次電池において、例えば、高容量化が求められている。
【0003】
リチウム二次電池の高容量化については、これまで様々な検討がなされているが、いわゆる不可逆容量の低減も、その手法の一つとして挙げられる。
【0004】
現行のリチウム二次電池では、負極活物質として作用する負極材料に、黒鉛などの炭素材料が汎用されているが、例えば特許文献1には、負極材料として使用するリン状またはリン片状の黒鉛粒子の表面を、デンプンの誘導体などの有機物で被覆することで、不可逆容量の低減を図る技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−168433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の負極材料は、その母材となる黒鉛粒子が、アスペクト比の大きなリン状またはリン片状であるため、電池の充放電時におけるリチウムイオンの挿入・脱離に伴う黒鉛層間の膨張、収縮によるダメージが懸念される。すなわち、電池の充放電を繰り返すことで、黒鉛粒子の表面を被覆した有機物において、剥離や亀裂が生じるなどして、黒鉛粒子の表面が露出する場合があり、これによって充放電のサイクル毎に不可逆容量が発生して、電池の充放電サイクル劣化が引き起こされる虞がある。
【0007】
こうしたことから、電池の初回充放電時における不可逆容量が小さくすることに加えて、充放電を繰り返しても不可逆容量の発生を抑え得る技術の開発が求められる。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、初回充放電時の不可逆容量が小さく、かつ充放電サイクル特性が良好なリチウム二次電池、前記リチウム二次電池を構成し得る負極材料およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成し得た本発明のリチウム二次電池用負極材料は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値が0.1〜0.5であり、かつ002面の面間隔d002が0.338nm以下である黒鉛と、その表面を被覆する天然多糖類またはその誘導体とを有することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のリチウム二次電池用負極材料を製造するための本発明法は、天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させてなる溶液に、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値が0.1〜0.5であり、かつ002面の面間隔d002が0.338nm以下である黒鉛を分散させる工程を有することを特徴とする。
【0011】
更に、本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、非水電解液およびセパレータを有し、かつ前記負極が、本発明のリチウム二次電池用負極材料を含有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、初回充放電時の不可逆容量が小さく、かつ充放電サイクル特性が良好なリチウム二次電池、前記リチウム二次電池を構成し得る負極材料およびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のリチウム二次電池用負極材料(以下、単に「負極材料」という。)は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値が0.1〜0.5であり、かつ002面の面間隔d002が0.338nm以下である黒鉛と、その表面を被覆する天然多糖類またはその誘導体とを有している。
【0014】
すなわち、本発明の負極材料では、母材となる前記黒鉛の表面に、天然多糖類またはその誘導体によって被覆層が形成されており、これにより、前記負極材料を用いた電池(本発明のリチウム二次電池)において、初回充放電時の不可逆容量を小さくすることができる。
【0015】
また、本発明の負極材料において、その母材となる黒鉛は、R値およびd002が前記の値を満たしており、リチウム二次電池の負荷特性や低温での充電特性を高める作用を有している。よって、本発明の負極材料を用いたリチウム二次電池(本発明のリチウム二次電池)は、良好な負荷特性および低温での充電特性を確保することができる。
【0016】
なお、本発明の負極材料のように黒鉛の表面を有機物からなる被覆層で被覆した場合、かかる被覆層による抵抗のために、これを用いた電池の負荷特性が低下する虞があるが、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛は、前記の通り電池の負荷特性を高める作用を有しているため、かかる黒鉛を用いて構成した本発明の負極材料であれば、被覆層の形成による電池の負荷特性の低下も良好に抑制し得る。
【0017】
また、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛を母材とすることで、電池の充放電に伴う天然多糖類またはその誘導体による被覆層の剥離や亀裂の発生を、より良好に抑制することができ、充放電サイクル特性のより良好な電池を構成できる。黒鉛の表面を低結晶性の炭素材で被覆させることで、R値およびd002が前記の値を満足するようになるが、このような黒鉛の場合、その表面に存在する低結晶性の炭素材は、電池の充放電に伴う膨張、収縮度合いが小さい。そのため、電池の充放電時における天然多糖類またはその誘導体による被覆層の剥離や亀裂が生じ難くなる。よって、本発明の負極材料を用いたリチウム二次電池(本発明のリチウム二次電池)では、充放電を繰り返しても、それに伴う新たな不可逆容量の発生が抑えられ、天然多糖類またはその誘導体による被覆層の効果が持続することから、充放電サイクル特性も良好なものとなる。
【0018】
なお、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛は、その粒子表面が硬く、シート状の電極として塗膜した場合、電極表面が粗面化しやすい傾向にあるため、例えば電池内において、前記黒鉛を含有する負極と接するセパレータが圧縮され、短絡をしていなくても正極−負極間の距離が小さくなって、充放電サイクルの際に容量低下を生じて信頼性が損なわれたり、耐電圧不良が発生したりする虞がある。しかし、本発明の負極材料は、黒鉛の表面を天然多糖類またはその誘導体が被覆しているため、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛を用いた場合であっても、負極材料の表面が柔らかいことから、前記のセパレータの圧縮による信頼性の低下効果や、耐電圧不良の発生の抑制効果が期待できる。
【0019】
R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛は、例えば、d002が0.338nm以下である天然黒鉛または人造黒鉛を球状に賦形したものを母材とし、その表面を有機化合物で被覆し、800〜1500℃で焼成した後、解砕し、篩を通して整粒することによって得ることができる。なお、前記母材を被覆する有機化合物としては、芳香族炭化水素;芳香族炭化水素を加熱加圧下で重縮合して得られるタールまたはピッチ類;芳香族炭化水素の混合物を主成分とするタール、ピッチまたはアスファルト類;などが挙げられる。前記母材を前記有機化合物で被覆するには、前記有機化合物に前記母材を含浸・混捏する方法が採用できる。また、プロパンやアセチレンなどの炭化水素ガスを熱分解により炭素化し、これをd002が0.338nm以下の黒鉛の表面に堆積させる気相法によっても、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛を作製することができる。
【0020】
なお、R値およびd002が前記の値を満足する前記黒鉛は、水に対する濡れ性が固液面接触角(θ)で0〜50°であることが好ましい。固液面接触角(θ)が前記の値を満たす前記黒鉛であれば、表面の濡れ性が良好で、天然多糖類またはその誘導体による被覆層との密着性を更に高めることができる。前記黒鉛の表面と前記被覆層との密着性の向上によって、例えば、電池の充放電時において、前記被覆層の剥離や亀裂などがより生じ難くなる。
【0021】
R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛における前記の濡れ性は、JIS R 3257−6の規定に準拠した静滴法により、水の接触角を測定することで求められる。具体的には、例えば、アルバック理工社製の「WET−1200」を用いて、25℃の大気雰囲気中で測定する手法が挙げられる。
【0022】
なお、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛には、その濡れ性を前記好適値に調整するために、各種の表面処理を施しても構わない。特に酸素やフッ素を用いて処理した場合には、黒鉛表面の極性が高くなり、濡れ性が向上する効果が期待できる。具体的な黒鉛の表面処理方法としては、例えば、炭酸ガスや水蒸気雰囲気下で500〜1200℃に加熱するガス処理;硝酸などの酸性水溶液中で処理する酸化処理;各種フッ化物で処理するフッ素処理;などが挙げられる。
【0023】
本発明の負極材料において、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛の被覆には、天然多糖類またはその誘導体を使用する。本発明の負極材料を製造するには、例えば、前記黒鉛を被覆するための材料を水に溶解させた溶液(スラリーなど)に前記黒鉛を分散させ、その後前記黒鉛を取り出して乾燥する方法や、前記溶液を前記黒鉛に吹き付け、乾燥する方法などが採用できる。このとき、前記黒鉛を被覆するための材料を溶解させた溶液の粘度が低いと、前記黒鉛表面に付着させた溶液が乾燥前に垂れるなどして、前記黒鉛表面を良好に被覆できない虞がある。よって、前記黒鉛を被覆するための材料を溶解させた溶液は、ある程度粘度が高いことが望ましいが、そのために、溶液に溶解させる材料の量を多くすると、前記黒鉛の表面に薄い被覆層を形成できなくなり、例えば、電池の負荷特性を低下させる虞がある。しかし、天然多糖類またはその誘導体であれば、比較的少ない溶解量で粘度の高い溶液を調製できるため、前記黒鉛の表面の被覆層を薄く形成することが容易であり、被覆層の形成による電池の負荷特性の低下を良好に抑制できる。
【0024】
天然多糖類またはその誘導体としては、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガム、グアーガム、カラギーナン、デキストリン、アルファー化でんぷんなどのでんぷん類などの天然多糖類;セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)などの天然多糖類の誘導体;が好ましい。本発明の負極材料を製造するにあたり、前記黒鉛の被覆に使用する天然多糖類またはその誘導体の溶液の溶媒には、環境保護などの観点から水を使用することが好ましいが、前記例示の天然多糖類またはその誘導体は、水溶性があり、かつ少量を水に溶解するだけで溶液の粘度を比較的高くすることができる。なかでも、前記の天然多糖類は、水への増粘効果がより高く、より少量で粘度の高い溶液を調製できることから、特に好ましい。なお、天然多糖類またはその誘導体には、前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
負極材料において、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛表面における天然多糖類または誘導体の被覆厚みは、その被覆による効果をより良好に確保する観点から、1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましい。ただし、前記黒鉛の表面における天然多糖類またはその誘導体の被覆厚みが大きすぎると、これを用いた電池において、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛を使用したことによる負荷特性の向上効果や、天然多糖類またはその誘導体を用いたことによる負荷特性の低下抑制効果が小さくなる虞がある。よって、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛表面における天然多糖類または誘導体の被覆厚みは、20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
【0026】
本発明の負極材料は、例えば、天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させた溶液(スラリーなど)を調製し、この溶液に、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛を分散させる工程を有する方法により製造することができる。
【0027】
前記の天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させた溶液は、25℃における粘度(振動式粘度計を用いて測定される粘度)が、5〜50mPa・sであることが好ましい。前記溶液の粘度は、溶解させる天然多糖類またはその誘導体の濃度を調節することで調整できる。
【0028】
また、天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させた溶液は、25℃における表面張力が4〜40mN/mであることが好ましい。このような溶液を使用することで、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛と、その表面を被覆する天然多糖類またはその誘導体との密着性が、より良好となり、天然多糖類またはその誘導体による前記の効果の持続性がより向上する。なお、ここでいう「天然多糖類またはその誘導体の25℃における表面張力」は、市販の装置(例えば、協和界面科学社製「CBVP−Z」)を使用して、Wilhelmy法によって測定される値である。
【0029】
天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させた溶液の表面張力は、例えば、界面活性剤などの添加剤を用いることで調整することができる。前記溶液の表面張力を調整するための添加剤としては、例えば、各種アルコールやアセトンなどの有機溶剤、変性シリコーンや変性ポリエーテルなどの市販の表面調整剤(例えば、サンノプコ社製の「SNウエットシリーズ」、「SNクリーンアクトシリーズ」、「SNデフォーマーシリーズ」など)が挙げられる。前記溶液の表面張力の調整に際しては、前記例示の添加剤を、0.01〜5質量%程度の濃度となるように添加することが好ましい。
【0030】
前記溶液にR値およびd002が前記の値を満足する黒鉛を分散させた後は、この黒鉛を溶液から取り出して乾燥するなどして、本発明の負極材料を得ることができる。
【0031】
また、本発明の負極材料は、前記方法以外の方法、例えば、天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させた溶液を、R値およびd002が前記の値を満足する黒鉛に吹き付け、乾燥する方法によっても製造することができる。なお、この場合も、天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させた溶液については、粘度や表面張力が前記好適値にないものを使用してもよいが、これらが前記好適値にある溶液を用いることが好ましい。
【0032】
本発明のリチウム二次電池は、本発明の負極材料を含有する負極を有するものであればよく、その他の構成および構造については、従来から知られているリチウム二次電池と同様の構成および構造を適用することができる。
【0033】
負極には、例えば、本発明の負極材料やバインダなどを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に形成したものが使用できる。なお、前記負極では、本発明の負極材料に係るR値およびd002が前記の値を満足する黒鉛が負極活物質として作用する。
【0034】
なお、負極活物質には、本発明の負極材料とともに他の負極活物質を併用することもできる。前記他の負極活物質としては、例えば、表面を多糖類またはその誘導体で被覆していない黒鉛や、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料などが挙げられる。
【0035】
ただし、本発明の負極材料とともに他の負極活物質を併用する場合には、本発明の負極材料の使用による効果を良好に確保する観点から、本発明の負極材料と他の負極活物質との総量中における本発明の負極材料の量を、70質量%以上とすることが好ましく、80質量%以上とすることがより好ましい。
【0036】
負極は、例えば、本発明の負極材料や、その他の負極活物質、バインダおよび必要に応じて使用される導電助剤などを含む負極合剤を溶剤に分散させたスラリー状やペースト状の負極合剤含有組成物を、集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後、必要に応じてプレス処理を施して負極合剤層の厚みを調整する工程を経て作製できる。なお、本発明に係る負極は、前記以外の方法により作製してもよい。
【0037】
負極のバインダには、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂や、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。また、負極の導電助剤には、カーボンブラックなどの炭素材料などを用いることができる。
【0038】
負極合剤層の厚みは、例えば、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましい。また、負極合剤層の組成としては、負極活物質の量(本発明の負極材料のみを使用する場合には、その量。他の負極活物質を併用する場合には、本発明の負極材料と他の負極活物質との総量。)が60〜95質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜15質量%であることが好ましい。また、導電助剤を使用する場合には、負極合剤層における導電助剤の量が0.5〜5質量%であることが好ましい。
【0039】
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、下限は5μmであることが望ましい。
【0040】
負極側のリード部は、通常、負極作製時に、集電体の一部に負極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
【0041】
本発明の電池に係る正極は、従来から知られているリチウム二次電池に用いられている正極、すなわち、Liイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど。なお、元素MはLi以外の他の金属元素で10原子%まで置換されていてもよい。)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などを用いることが可能である。前記層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiCoOやLiNi1−xCox−yAl(0.1≦x≦0.3、0.01≦y≦0.2)などのほか、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5など)などを例示することができる。特に、Niを40%以上含む活物質の場合には、電池が高容量となるので好ましく、また、O(酸素原子)はフッ素、イオウ原子で1原子%まで置換されていてもよい。
【0042】
正極には、例えば、前記の正極活物質、バインダ(PVDFなどのフッ素樹脂など)および導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)を含む正極合剤からなる正極合剤層が、集電体の片面または両面に形成された構造のものを用いることができる。このような正極は、例えば、前記正極合剤を溶剤に分散させたスラリー状やペースト状の正極合剤含有組成物を、集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後、必要に応じてプレス処理を施して正極合剤層の厚みを調整する工程を経て作製できる。なお、本発明に係る正極は、前記以外の方法により作製してもよい。
【0043】
正極合剤層の厚みは、例えば、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましい。また、正極合剤層の組成としては、正極活物質の量が60〜95質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜15質量%であることが好ましく、導電助剤の量が3〜20質量%であることが好ましい。
【0044】
正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
【0045】
正極側のリード部は、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
【0046】
前記の負極および正極は、これらを、セパレータを介して積層した積層電極体や、更にこれを巻回した巻回電極体の形態で用いることができる。
【0047】
セパレータについては特に制限はなく、公知のリチウム二次電池に使用されているものが適用できる。例えば、厚みが5〜30μmで、開孔率が30〜70%の微多孔性ポリエチレンフィルムまたは微多孔性ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンポリプロピレン複合フィルムなどが好適に用いられる。また、高温でより高い安全性を確保するなどの目的で、前記微多孔性ポリエチレンフィルムの片面または両面に、耐熱性の無機フィラーなどを含有する層を形成した耐熱性セパレータを用いることもできる。
【0048】
本発明の電池に係る非水電解液には、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に制限はない。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF などの無機リチウム塩;LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfはフルオロアルキル基]などの有機リチウム塩;などを用いることができる。
【0049】
非水電解液に用いる有機溶媒としては、前記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンといった環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルといったニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの非水電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼン、無水酸、硫黄化エステル、ビニルエチレンカーボネート(VEC)などの添加剤を適宜加えることもできる。
【0050】
このリチウム塩の有機電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
【0051】
また、前記の有機溶媒の代わりに、エチル−メチルイミダゾリウムトリフルオロメチルスルホニウムイミド、へプチル−トリメチルアンモニウムトリフルオロメチルスルホニウムイミド、ピリジニウムトリフルオロメチルスルホニウムイミド、グアジニウムトリフルオロメチルスルホニウムイミドといった常温溶融塩を用いることもできる。
【0052】
更に、前記の非水電解液を含有してゲル化するような高分子材料を添加して、有機電解液をゲル状にして電池に用いてもよい。有機電解液をゲル状とするための高分子材料としては、PVDF、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、主鎖または側鎖にエチレンオキシド鎖を有する架橋ポリマー、架橋したポリ(メタ)アクリル酸エステルなど、公知のゲル状電解質形成可能なホストポリマーが挙げられる。
【0053】
本発明の電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
【0054】
本発明のリチウム二次電池は、従来から知られているリチウム二次電池と同様の用途に適用することができる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
【0056】
実施例1
<負極材料の作製>
平均粒径D50%が18μm、d002が0.3361nm、比表面積が3.2m/gである黒鉛について、ラマン分光法によりR値を求めた。前記黒鉛の極微量を曇ガラスに付着させたものをターゲットとした。各サンプルフォルダーをレーザーラマン測定装置(Jovan Yvon社製「U−1000」)に設置し、1μmに集光させたアルゴンイオンレーザー(波長514.5nm、出力250mW)を照射し、後方散乱によりラマン散乱を集光し、集光時間1sec、送りステップ1cm−1で1200〜1800cm−1の範囲を3回積算させてラマンスペクトルを得た。得られたラマンスペクトルから算出した前記黒鉛のR値は0.18であった。
【0057】
前記黒鉛を賦活炉に入れ、炭酸ガス気流下で、1000℃で2時間表面処理を行った。前記表面処理後の黒鉛について、前記の方法によって水に対する濡れ性[固液面接触角(θ)]を求めた。
【0058】
天然多糖類であるキサンタンガム:100gを50Lの水に溶解して、25℃における表面張力が表1に示す値の溶液を調製し、この溶液に前記の黒鉛5kgを投入した後、溶液から取り出し、乾燥して、前記黒鉛の表面がキサンタンガムで被覆された負極材料を作製した。この負極材料において、キサンタンガムの被覆厚みを、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定した。
【0059】
<負極の作製>
前記の負極材料:90質量部と、バインダであるPVDF:10質量部とを混合した負極合剤を、0.1質量部のシュウ酸をあらかじめ溶解したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて負極合剤含有スラリーを調製した。このスラリーを、銅箔からなる厚みが10μmの集電体の両面に間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整した。その後、これを幅45mmになるように切断して、負極を得た。更にこの負極の銅箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
【0060】
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO:70質量部、およびLiNi0.8Co0.2:15質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、並びにバインダであるPVDF:5質量部を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、集電体となる厚みが15μmのアルミニウム箔の両面に間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して、正極を作製した。更にこの正極のアルミニウム箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
【0061】
<モデルセルの作製>
前記負極を用いてモデルセルを作製した。モデルセルは、前記負極(負極合剤層塗布面を2×2cm角に切り出したもの)を作用極とし、対極および参照極にLi金属箔を、非水電解液に、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートを1:1の割合(体積比)で混合した混合液にLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させた溶液を用い、セパレータにポリエチレン製の微多孔性フィルム(厚さ12μm)を用いて構成した。
【0062】
<モデルセルによる充放電試験>
前記のモデルセルについて、参照極に対して0.03Vの電位になるまで4mAの定電流充電を行い、更に全充電時間が3時間となるまで0.03Vでの定電圧充電をした。充電後のモデルセルを、4mAの定電流で2.5Vの電圧となるまで放電をして、初期の充電容量と放電容量を測定し、充放電効率(100×放電容量÷充電容量、単位%)を算出した。
【0063】
<電池の作製>
前記の負極および正極を、モデルセルに用いたものと同じセパレータを介して重ね合わせ、渦巻状に巻回して巻回電極体とした。この巻回電極体を押しつぶして扁平状にし、角形の外装缶内に装填した。更に、非水電解液(エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートを体積比で1:2に混合した溶媒に、LiPFを濃度1.2mol/lで溶解し、シクロヘキシルベンゼンを溶媒100質量部に対して1.0質量部の割合で添加した溶液)を外装缶内に注入し、封止を行ってリチウム二次電池を作製した。なお、この電池は、缶の上部に内圧が上昇した場合に圧力を下げるための開裂ベントを備えている。
【0064】
前記のリチウム二次電池について、以下の負荷特性試験および充放電サイクル特性試験を行った。
【0065】
<負荷特性試験>
前記電池について、1Cの定電流および4.2Vの定電圧における充電(総充電時間は3時間規制)を行い、その後0.2Cの定電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電させて、0.2Cでの放電容量を得た。次に、前記電池を前記と同じ条件で充電し、その後、2Cの定電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電させて、2Cでの放電容量を得た。0.2Cでの放電容量に対する2Cでの放電容量の割合を百分率(%)で表して、電池の負荷特性を評価した。
【0066】
<充放電サイクル特性試験>
前記電池について、負荷特性試験時と同じ条件で充電を行い、その後1Cの定電流で電池電圧が2.75Vになるまで放電させた。この一連の操作を1サイクルとして、500サイクルの充放電試験を実施した。1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合を百分率(%)で表して、電池の充放電サイクル特性を評価した。
【0067】
実施例2
実施例1で負極材料の作製しに使用したものと同じ黒鉛を賦活炉に入れ、炭酸ガス気流下で、1000℃で2.5時間表面処理を行った。前記表面処理後の黒鉛について、前記の方法によって水に対する濡れ性[固液面接触角(θ)]を求めた。
【0068】
天然多糖類であるキサンタンガム:70gを50Lの水に溶解し、更に疎水性シリカの水系張力調整剤を適量加えて、25℃における表面張力が表1に示す値の溶液を調製し、この溶液に前記の黒鉛5kgを投入した後、溶液から取り出し、乾燥して、前記黒鉛の表面がキサンタンガムで被覆された負極材料を作製した。この負極材料におけるキサンタンガムの被覆厚みをTEMにより測定した。
【0069】
前記の負極材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてモデルセルを作製して充放電試験を行うとともに、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製して負荷特性および充放電サイクル特性を評価した。
【0070】
実施例3
天然多糖類であるキサンタンガム:200gを50Lの水に溶解し、更に疎水性シリカの水系張力調整剤を適量加えて、25℃における表面張力が表1に示す値の溶液を調製し、この溶液に実施例1で用いたものと同じ表面処理を施した黒鉛5kgを投入した後、溶液から取り出し、乾燥して、前記黒鉛の表面がキサンタンガムで被覆された負極材料を作製した。この負極材料におけるキサンタンガムの被覆厚みをTEMにより測定した。
【0071】
前記の負極材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてモデルセルを作製して充放電試験を行うとともに、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製して負荷特性および充放電サイクル特性を評価した。
【0072】
実施例4
平均粒径D50%が20μm、d002が0.3378nm、比表面積が1.5m/gである黒鉛(実施例1と同様にして求めたR値が0.45)について、炭酸ガスによる表面処理を行わずに、前記の方法によって水に対する濡れ性[固液面接触角(θ)]を求めた。
【0073】
天然多糖類であるキサンタンガム:100gを50Lの水に溶解し、更に疎水性シリカの水系張力調整剤を適量加えて、25℃における表面張力が表1に示す値の溶液を調製し、この溶液に前記の黒鉛5kgを投入した後、溶液から取り出し、乾燥して、前記黒鉛の表面がキサンタンガムで被覆された負極材料を作製した。この負極材料におけるキサンタンガムの被覆厚みをTEMにより測定した。
【0074】
前記の負極材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてモデルセルを作製して充放電試験を行うとともに、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製して負荷特性および充放電サイクル特性を評価した。
【0075】
比較例1
実施例1で用いたものと同じ黒鉛を、炭酸ガスによる表面処理およびキサンタンガムによる被覆処理を行うことなく、負極材料として使用した以外は、実施例1と同様にしてモデルセルを作製して充放電試験を行うとともに、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製して負荷特性および充放電サイクル特性を評価した。
【0076】
比較例2
平均粒径D50%が16μm、d002が0.336nm、比表面積が3.4m/gである黒鉛(アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値が0.05)について、炭酸ガスによる表面処理を行わずに、前記の方法によって水に対する濡れ性[固液面接触角(θ)]を求めた。
【0077】
天然多糖類であるキサンタンガム:100gを50Lの水に溶解し、更に疎水性シリカの水系張力調整剤を適量加えて、25℃における表面張力が表1に示す値の溶液を調製し、この溶液に前記の黒鉛5kgを投入した後、溶液から取り出し、乾燥して、前記黒鉛の表面がキサンタンガムで被覆された負極材料を作製した。この負極材料におけるキサンタンガムの被覆厚みをTEMにより測定した。
【0078】
前記の負極材料を用いた以外は、実施例1と同様にしてモデルセルを作製して充放電試験を行うとともに、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製して負荷特性および充放電サイクル特性を評価した。
【0079】
実施例1〜4および比較例1、2の負極材料の作製に使用した黒鉛のR値および濡れ性(固液面接触角)、キサンタンガムを水に溶解させた溶液(キサンタンガム水溶液)の特性(25℃の表面張力および粘度)、並びに黒鉛表面のキサンタンガムの被覆厚みを表1に、実施例1〜4および比較例1、2のモデルセル並びに電池の評価結果を表2に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
表2から明らかなように、実施例1〜4の負極材料を用いたモデルセルは、初期充放電効率が高く、これらの負極材料の使用によって初回充放電時の不可逆容量が小さくなっている。また、実施例1〜4のリチウム二次電池は、充放電サイクル特性評価時の容量維持率が高く、特定の負極材料の使用によって、充放電を繰り返した際にも不可逆容量の低下効果が持続しており、高い充放電サイクル特性が確保できている。更に、実施例1〜4のリチウム二次電池は、負荷特性も優れている。
【0083】
これに対し、黒鉛の表面を天然多糖類で被覆していない比較例1の負極材料を使用したモデルセルでは、初期充放電効率が低く、また、この負極材料を使用した電池では、充放電サイクル特性が劣っている。更に、R値が不適な黒鉛を用いて構成した比較例2の負極材料を使用した電池では、充放電サイクル特性が劣っており、黒鉛表面の被覆層の剥離などが生じて、その効果が十分に持続していないと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値が0.1〜0.5であり、かつ002面の面間隔d002が0.338nm以下である黒鉛と、その表面を被覆する天然多糖類またはその誘導体とを有することを特徴とするリチウム二次電池用負極材料。
【請求項2】
黒鉛表面を被覆する天然多糖類またはその誘導体の厚みが1〜20nmである請求項1に記載のリチウム二次電池用負極材料。
【請求項3】
黒鉛の水に対する濡れ性が、固液面接触角(θ)で0〜50°である請求項1または2に記載のリチウム二次電池用負極材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料を製造する方法であって、
天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させてなる溶液に、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度比であるR値が0.1〜0.5であり、かつ002面の面間隔d002が0.338nm以下である黒鉛を分散させる工程を有することを特徴とするリチウム二次電池用負極材料の製造方法。
【請求項5】
天然多糖類またはその誘導体を水に溶解させてなる溶液は、25℃において、表面張力が10〜40mN/mであり、かつ粘度が5〜50mPa・sである請求項4に記載のリチウム二次電池用負極材料の製造方法。
【請求項6】
正極、負極、非水電解液およびセパレータを有するリチウム二次電池であって、
前記負極が、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウム二次電池用負極材料を含有していることを特徴とするリチウム二次電池。

【公開番号】特開2011−150865(P2011−150865A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10578(P2010−10578)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(511084555)日立マクセルエナジー株式会社 (212)
【Fターム(参考)】