説明

リチウム二次電池

【課題】充放電を繰り返し行っても容量が劣化し難く、耐久性に優れたリチウム二次電池を提供すること。
【解決手段】正極集電体21に正極合材25を結着してなる正極2と、負極集電体31に負極合材35を結着してなる負極3と、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液とを有するリチウム二次電池である。正極合材25は、リチウム含有複合酸化物からなる正極活物質251と、導電剤253と、バインダー255とを含有する。負極合材35は、正極活物質251よりもリチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる負極活物質351と、導電剤353と、バインダー355とを含有する。正極活物質251におけるリチウム含有複合酸化物及び負極活物質351における複合酸化物は遷移金属を含有する。正極合材25及び/又は負極合材35は、添加剤8として、水中で解離して陰イオンとなる有機化合物を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解液として、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液を有するリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムの吸蔵及び脱離現象を利用したリチウム二次電池は、高電圧でエネルギー密度が高く、また小型・軽量化が図れることから、パソコンや携帯電話等の携帯情報端末等を中心に情報機器や通信機器の分野で実用が進み、広く一般に普及するに至っている。また他の分野では、環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急がれる中、リチウム二次電池を電気自動車用電源として用いることが検討されている。
【0003】
現在、実用化されているリチウム二次電池としては、電解液としてリチウム塩を有機溶媒に溶解してなる非水系電解液を含有する非水系のリチウム二次電池が主流である。このような非水系のリチウム二次電池としては、一般に、リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質、導電性炭素材料からなる導電剤、及びフッ素樹脂からなるバインダーを含有する正極合材を、アルミニウム箔からなる集電体に塗布してなる正極と、リチウムを吸蔵及び脱離可能な炭素材料からなる負極活物質、及びフッ素樹脂又は水溶性樹脂からなるバインダーを含有する負極合材を、銅箔からなる集電体に塗布してなる負極とを有するものが用いられている。
【0004】
しかし、非水系のリチウム二次電池は、電解液として引火点の低い有機溶媒等の非水系電解液を含有しているため、過充電や短絡等により引火、爆発の危険性を有している。また、過充電状態に至った場合や高温環境下にさらされた場合には、電解液が分解して可燃性ガスを発生するおそれがある。そのため、非水系のリチウム二次電池には、安全性を確保する目的として、PCT素子や安全弁等のデバイスを装備するのが一般的である。しかし、非水系のリチウム二次電池は、もともと可燃性の溶媒を含有しているため、安全性を充分に確保するには相当の困難がつきまとう。特に、非水系のリチウム二次電池を自動車等の動力用電源として用いる場合には、電池が大型化し、使用する有機溶媒の量が多くなることに加え、使用温度が高く、過酷な条件下での使用が予想されるため、より安全性の高いリチウム二次電池が要求されていた。
【0005】
また、非水系のリチウム二次電池においては、電池内に水分がわずかにでも存在すると、水の電気分解によりガスが発生したり、水とリチウムとが反応してリチウムが消費されたり、また、電池を構成する材料が腐食したりするおそれがある。そのため、非水系のリチウム二次電池においては、その製造工程において徹底したドライ環境を維持する必要がある。その結果、水分を完全に除去するための特殊な設備と多大な労力を要し、製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0006】
一方、電解液として水溶液を用いた水溶液電解液リチウム二次電池がある(特許文献1参照)。この水溶液電解液リチウム二次電池は、上記非水系のリチウム二次電池が有する上記のような問題に対して非常に有利である。
即ち、水溶液電解液リチウム二次電池は、上記有機溶媒を含有していないため、引火等の危険性がほとんどない。また、その製造時にドライ環境を必要としないため、製造コストを低くすることができる。
また、一般に水溶液電解液リチウム二次電池は、水の電気分解が起こらない電位範囲で充放電をさせることが必要であるが、水溶液は非水溶液に比べて導電性が高いため、非水系のリチウム二次電池に比べて電池の反応抵抗が低く、電池の出力特性やレート特性が向上するという利点がある。
【0007】
しかしながら、従来の水溶液電解液リチウム二次電池は、充放電を繰り返し行うことにより電池容量が低下し易いという問題、即ち耐久性が低いという問題があった。一般に、水溶液電解液リチウム二次電池の耐久性は、非水系のリチウム二次電池に比べても劣っており、実用に耐えうる程充分な耐久性を発揮できる水溶液電解液リチウム二次電池はほとんどなかった。
【0008】
【特許文献1】特表平9−508490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、充放電を繰り返し行っても容量が劣化し難く、耐久性に優れたリチウム二次電池を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、正極集電体に正極合材を結着してなる正極と、負極集電体に負極合材を結着してなる負極と、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液とを有するリチウム二次電池において、
上記正極合材は、リチウムを可逆的に吸蔵及び脱離できるリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤と、水不溶性高分子からなるバインダーとを含有し、
上記負極合材は、上記正極活物質よりもリチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる負極活物質と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤と、水不溶性高分子からなるバインダーとを含有し、
上記正極活物質における上記リチウム含有複合酸化物及び上記負極活物質における上記複合酸化物は遷移金属を含有し、
上記正極合材及び/又は上記負極合材は、水中で解離して陰イオンとなる有機化合物からなる添加剤を含有することを特徴とするリチウム二次電池にある(請求項1)。
【0011】
本発明において最も注目すべき点は、上記正極合材及び/又は上記負極合材は、水中で解離して陰イオンとなる有機化合物からなる添加剤を含有することにある。
そのため、上記リチウム二次電池は、充放電を繰り返し行っても、充放電容量が低下し難く、優れた耐久性を発揮することができる。
【0012】
この理由は次のように考えられる。
一般に、水溶液電解液を有するリチウム二次電池においては、リチウムを吸蔵・脱離する正極活物質及び/又は負極活物質に含まれる遷移金属が充放電中に陽イオンとなって電解液中に溶出するおそれがある。この遷移金属の溶出は、電池容量の低下の原因となると推察される。特に、正極及び/又は負極の表面付近にある遷移金属元素は、直接電解液と接するため、水溶液電荷液中への溶出が起こりやすいと考えられる。
本発明のリチウム二次電池においては、上記のごとく、水中で解離して陰イオンを生じる有機化合物を上記添加剤として含有している。そのため、遷移金属が電荷を帯びて陽イオンとなっても、上記添加剤が生じる陰イオンにより電気的に中和される。それ故、遷移金属の水溶液電解中への溶出を抑制することができる。
【0013】
また、上記添加剤は有機化合物からなり、有機化合物の陰イオンを生じ、該陰イオンは上記遷移金属の陽イオンと結合した後再解離し難い。そのため、上記添加剤は、遷移金属の溶出を充分に抑制することができる。それ故、上記リチウム二次電池は、充放電を繰り返し行っても容量が低下し難く、耐久性に優れている。
また、上記添加剤から生じる陰イオンは、疎水性を有しているため、上記正極活物質及び/又は上記負極活物質の表面を疎水化することができる。そのため、遷移金属の溶出を一層抑制することができる。
【0014】
また、上記添加剤が解離してなる陰イオンは、Liイオンのような1価のアルカリ金属イオンとも結合しうるが、水中では解離した状態をとる。そのため、上記添加剤により、リチウムイオンが捕捉がされ、容量が低下することはほとんどない。
【0015】
このように本発明によれば、充放電を繰り返し行っても容量が劣化し難く、耐久性に優れたリチウム二次電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明のリチウム二次電池の実施の形態について、電池の構成要素ごとに説明する。ここで、上記リチウム二次電池は、上述のごとく、正極集電体に正極合材を結着してなる正極と、負極集電体に負極合材を結着してなる負極と、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液とを有する。上記正極合材は、正極活物質と、導電剤と、バインダーとを含有し、上記負極合材は、負極活物質と、導電剤と、バインダーとを含有する。また、上記正極合材及び/又は上記負極合材は、上記添加剤を含有する。
【0017】
まず、上記添加剤について説明する。
(添加剤)
上記添加剤は、水中で解離して陰イオンとなる有機化合物である。
具体的には、有機カルボン酸、有機スルホン酸等があり、より具体的には、例えば蓚酸、酢酸、乳酸、アセト酢酸、ヒドロキシ酪酸、ピルビン酸、ラウリル酸、ステアリン酸、サルチル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸、及びその塩等がある。これらの添加剤は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
また、上記添加剤としての有機化合物は、水中で解離して陰イオンとなるものである。そのため、上記有機化合物は、炭素数が20以下であることが好ましい。炭素数が20を越える場合には、水溶液に溶解できなくなり、その結果、後述のように例えば上記添加剤を活物質の表面に結合させる場合において、正極活物質及び/又は負極活物質の表面が疎水化され、リチウムイオンの吸蔵・放出が阻害されてしまうおそれがある。より好ましくは、上記有機化合物の炭素数は18以下がよい。
【0019】
上記添加剤の含有量は、上記正極活物質100重量部及び/又は上記負極活物質100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部であることが好ましい(請求項6)。
上記添加剤の含有量が0.1重量部未満の場合には、上記添加剤による上述の耐久性の向上効果が充分に発揮できないおそれがある。一方、10重量部を越える場合には、上記正極活物質及び/又は上記負極活物質の表面の疎水化が進行しすぎて、リチウムイオンの吸蔵・放出が阻害されるおそれがある。そのため、この場合には、初期の電池容量が低下したり、電池抵抗が増大するおそれがある。
【0020】
(正極合材)
上記正極合材は、リチウムを可逆的に吸蔵及び脱離できるリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤と、水不溶性高分子からなるバインダーとを含有する。
上記正極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵及び脱離できるリチウム含有複合酸化物からなる。また、上記正極活物質は、遷移金属を含有する。
このような正極活物質としては、具体的には、例えばリチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム鉄複合リン酸化物等がある。
【0021】
上記導電剤は、電極の電気伝導性を確保するためのものであり、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素系材料(炭素物質粉状体)から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
上記バインダーは、水不溶性高分子からなる。該水不溶性高分子としては、水に不溶で、例えば酸素、窒素、硫黄及びりんから選ばれる1種以上の元素を含有するもの等を用いることができる。このような水不溶性高分子としては、例えば炭素と水素を含有するもの、炭素と水素とフッ素等の他に、酸素、窒素、硫黄及びりんから選ばれる1種以上の元素を含有するもの等がある。
具体例には、炭素や水素の他に酸素を含む水不溶性高分子としては、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂、又はポリプロピレンやポリブタジエン等の炭化水素樹脂のカルボキシ変性物やヒドロキシ変性物等がある。また、炭素や水素の他に酸素及び窒素を含む水不溶性高分子としては、例えばポリアクリロニトリル、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、又は炭化水素樹脂のアミン変性物やニトロ基付加物等がある。また、硫黄を含む水不溶性高分子としては、例えばチオール変性物やスルフォン酸付加物などがある。また、炭素、水素、及びフッ素の他に酸素などを含む水不溶性高分子としては、テトラフルオロエチレンや、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂のカルボキシ変性物やヒドロキシ変性物等の変性フッ素樹脂等がある。また、炭化水素樹脂や、フッ素樹脂と、酸素、窒素、硫黄及びりんから選ばれる1種以上を含む樹脂の共重合体等がある。
【0023】
また、上記正極合材は、上記正極活物質と上記導電剤と上記バインダーとの合計量100重量部中に、上記正極活物質を50〜96重量部、上記導電剤を3〜30重量部、上記バインダーを1〜20重量部含有することが好ましい。
上記正極活物質の含有量が50重量部未満の場合には、上記リチウム二次電池は、実用に耐えうる程の充分な充放電容量を発揮できないおそれがある。一方、96重量部を超える場合には、上記導電剤もしくは上記バインダーの含有量が不足し、上記リチウム二次電池は、電気抵抗が高くなり、実用上問題となるおそれがある。
【0024】
また、上記導電剤の含有量が、3重量部未満の場合には、正極の導電性が低下し、上記リチウム二次電池の電気抵抗が高くなるおそれがある。一方、30重量部を超える場合には、上記リチウム二次電池の電池容量が低下するおそれがある。
また、上記バインダーの含有量が1重量部未満の場合には、上記正極合材と上記正極集電体との密着性が低下するおそれがある。一方、20重量部を超える場合には、上記リチウム二次電池の電池容量が低下したり、電池抵抗が高くなったりするおそれがある。
【0025】
(正極)
正極は、上記正極合材を正極集電体に結着してなる。
上記正極合材を上記正極集電体に塗布する際には、例えば上記バインダーの溶解に適した有機溶媒を用いてバインダー溶液を作製し、この溶液中に上記正極活物質及び上記導電剤を充分に分散させ、さらに上記有機溶媒で塗布に適した粘度に調整した後、上記集電体に塗布することができる。このような有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。
上記正極は、例えば上記正極合材を、上記正極集電体に塗布し乾燥して、必要に応じてプレスして形成することができる。
【0026】
(負極合材)
上記負極合材は、例えば上記負極活物質と上記導電剤と上記バインダーとを含有する。
上記負極活物質は、上記正極活物質が含有するリチウム含有複合酸化物よりも、リチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる。また、該複合酸化物は、遷移金属を含有する。
このような複合酸化物としては、例えばリチウムバナジウム複合酸化物やリチウムチタン複合酸化物などのリチウム遷移金属複合酸化物、又は水酸化鉄等がある。
また、上記負極合材における上記導電剤及びバインダーとしては、上記正極合材と同様のものを用いることができる。
【0027】
また、上記負極合材は、上記負極活物質と上記導電剤と上記バインダーとの合計量100重量部中に、上記負極活物質を60〜96重量部、上記導電剤を3〜30重量部、上記バインダーを1〜10重量部含有することが好ましい。
これらの臨界意義については、上記正極合材と同様である。
【0028】
(負極)
負極は、上記負極合材を負極集電体に結着してなる。具体的には、負極は、上記負極合材を、上記負極集電体に塗布し乾燥して、必要に応じてプレスして形成することができる。上記負極は、活物質として上記負極活物質を含有することを除き、上記正極と同様にして作製することができる。
【0029】
また、上記正極合材は、上記添加剤を溶解させた水溶液に上記正極活物質を浸漬し、乾燥させた後、上記導電材及び上記バインダーと混合してなることが好ましい(請求項2)。
また、上記負極合材は、上記添加剤を溶解させた水溶液に上記負極活物質を浸漬し、乾燥させた後、上記導電剤及び上記バインダーと混合してなることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記正極活物質及び/又は上記負極活物質の表面に上記添加剤を結合させ、活物質の表面に上記添加剤の有機化合物からなる被膜を十分に形成させることができる。そしてこの場合には、上記リチウム二次電池の耐久性をより一層向上させることができる。
【0030】
また、上記正極合材は、上記正極活物質と、上記導電剤と、上記バインダーと、上記添加剤とを混合してなることが好ましい(請求項4)。
また、上記負極合材は、上記負極活物質と、上記導電剤と、上記バインダーと、上記添加剤とを混合してなることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記正極又は/及び上記負極中に、上記添加剤を分散させることができる。そしてこの場合には、電池の使用中に上記添加剤の有機化合物からなる被膜を徐々に形成させることができる。そのため、上記リチウム二次電池の容量(放電容量)をより一層高い状態で維持させることができる。
【0031】
(電解液)
上記リチウム二次電池は、電解液として、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液を含有する。リチウム塩は、水に溶解することにより解離し、リチウムイオンが電解液中に存在する。このようなリチウム塩としては、例えば硝酸リチウム、硫酸リチウム、水酸化リチウム、ヨウ化リチウム等がある。これらのリチウム塩は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
また、上記水溶液電解液は、そのpHが、6〜10の範囲にあることが好ましい(請求項7)。
この場合には、正極及び負極中の正極活物質及び負極活物質の水溶液中での安定性を向上させることができ、正極活物質及び負極活物質におけるリチウムイオンの吸蔵及び脱離反応をよりスムーズに行うことができる。
【0033】
上記水溶液電解液のpHが6未満の場合には、上記正極活物質及び上記負極活物質が溶解し、上記水溶液電解液中に安定に存在できなくなるおそれがある。一方、pHが10を超える場合には、上記水溶液電解液と、例えば金属箔等からなる上記正極集電体や上記負極集電体との間で反応がおこり、電極が安定に存在できなくなるおそれがある。
また、上記水溶液電解液中のリチウム塩濃度は、電解液の電気伝導度を高くして上記リチウム二次電池の内部抵抗を低くするという観点から、飽和濃度もしくはそれに近い濃度とすることが好ましい。
【0034】
(集電体)
上記リチウム二次電池においては、正極に上記正極集電体を有し、負極に上記負極集電体を有する。このような集電体としては、導電性に優れ、水溶液電解液中で安定な金属箔等を用いることができる。具体的には、例えばニッケル、アルミニウム、白金、又はこれらの合金などからなる金属箔がある。
【0035】
また、上記正極集電体及び上記負極集電体は、そのいずれもがアルミニウムよりなることが好ましい。
この場合には、上記水溶液電解液のpHが上述のごとく6≦pH≦10のという好ましい範囲にある場合においても、上記正極集電体及び上記負極集電体が上記水溶液電解液中で反応してしまうことを防止し、上記リチウム二次電池の安定性を向上させることができる。また、この場合には、上記リチウム二次電池の製造コストを低くすることができると共に、その軽量化を図ることができる。
【0036】
(その他)
上記リチウム二次電池においては、上記正極と上記負極との間にセパレータを狭装することができる。
上記セパレータは、正極と負極とを分離し上記水溶液電解液を保持するものであり、上記水溶液電解液中で安定なものを用いることができる。具体的には、例えばセルロース、ポリエチレン、及びポリプロピレン等の薄い微多孔膜からなるものを用いることができる。
【0037】
また、上記リチウム二次電池の形状としては、例えばコイン型、円筒型、積層型、角型等がある。正極、負極、及び水溶液電解液等を収容する電池ケースとしては、これらの形状に対応したものを用いることができる。
上記リチウム二次電池は、例えば上記正極と上記負極との間に上記セパレータを狭装してなる電極体を、所定の形状の電池ケースに収納し、上記正極集電体及び上記負極集電体を、リード線を介して電池の外部に設けた正極外部端子及び負極外部端子に電気的に接続し、上記電極体に上記水溶液電解液を含浸させて、電池ケース密閉することにより作製することができる。
【実施例】
【0038】
(実施例1)
次に、本発明のリチウム二次電池の実施例について、図1〜図3を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例のリチウム二次電池1は、正極集電体21に正極合材25を結着してなる正極2と、負極集電体31に負極合材35を結着してなる負極3と、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液とを有する。
【0039】
図2及び図3に示すごとく、正極合材25は、リチウムを可逆的に吸蔵及び脱離できるリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質251と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤253と、水不溶性高分子からなるバインダー255とを含有する。
また、負極合材35は、正極活物質25よりも、リチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる負極活物質351と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤353と、バインダー355とを含有する。
【0040】
正極活物質251におけるリチウム含有複合酸化物及び負極活物質351における複合酸化物は遷移金属を含有する。
また、正極合材25及び/又は負極合材35は、水中で解離して陰イオンとなる有機化合物からなる添加剤8を含有する。
【0041】
図1に示すごとく、本例のリチウム二次電池1は、円筒型であり,正極2,負極3,セパレータ4,ガスケット5,及び電池ケース6等よりなっている。電池ケース6は,18650型の円筒形状の電池ケースであり,キャップ61及び外装缶62よりなる。電池ケース6内には,シート状の正極2及び負極3が,これらの間に挟んだセパレータ4と共に捲回した状態で配置されており、捲回式の電極を有している。
【0042】
また,電池ケース6のキャップ61の内側には,ガスケット5が配置されており,電池ケース6の内部には,水溶液電解液が注入されている。
正極2及び負極3には,それぞれ正極集電リード28及び負極集電リード38が熔接により設けられている。正極集電リード28は,キャップ61側に配置された正極集電タブ285に熔接により接続されている。また,負極集電リード38は,外装缶62の底に配置された負極集電タブ385に熔接により接続されている。
また,水溶液電解液としては,飽和濃度の硝酸リチウム水溶液(pH=7)を用いており,該水溶液電解液は電池ケース6内に注入されている。
【0043】
次に、本例のリチウム二次電池の製造方法につき説明する。
まず、正極活物質として、組成式LiFePO4で表されるオリビン構造のリチウム鉄複合リン酸化物を準備した。
また、添加剤としてのラウリル酸リチウムを準備し、該添加剤1.0gをイオン交換水1000mlに溶解して添加剤溶液を作製した。
次に、添加剤溶液に、正極活物質としてのリチウム鉄複合リン酸化物100gを分散させ、添加剤を正極活物質の表面に結合させた。その後、正極活物質を濾過して回収し乾燥させた。正極活物質には、該正極活物質100重量部に対して約0.8重量部の添加剤が結合していた。
【0044】
次いで、導電剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリアクリロニトリルとを準備した。
また、有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンを準備し、これに上記にて準備したバインダーを溶解し、5wt%のバインダー溶液を作製した。このバインダー溶液中に、上記正極活物質及び導電剤を分散させて混合し、正極合材を得た。この正極合材は、正極活物質を80g、導電剤を10g、バインダーを10g含有する。
次いで、正極集電体として、厚さ20μmのアルミニウム箔を準備し、この正極集電体の両面に、正極合材を塗布し、乾燥させることにより有機溶媒を蒸発させた。さらに、約1ton/cm2の圧力でプレスし、シート状の正極を作製した。
【0045】
次に、負極活物質として、組成式LiV24で表されるスピネル構造のリチウムバナジウム複合酸化物を準備した。この負極活物質のリチウムバナジウム複合酸化物を、上記正極活物質の場合と同様に、添加剤1.0gをイオン交換水1000mlに溶解してなる添加剤溶液に分散させ、添加剤を負極活物質の表面に結合させた。その後、負極活物質を濾過して回収し乾燥させた。負極活物質には、該負極活物質100重量部に対して、約0.7重量部の添加剤が結合していた。
【0046】
次いで、導電剤としてアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリアクリロニトリルとを準備した。次に、上記正極合材の場合と同様に、バインダー溶液を作製し、このバインダー溶液中に、負極活物質及び導電剤を分散させて混合し、負極合材を得た。この負極合材は、負極活物質を80g、導電剤を10g、バインダーを10g含有する。
次いで、負極集電体として厚さ20μmのアルミ箔を準備し、正極の場合と同様に、負極集電体に負極合材を塗布し、乾燥させ、さらに約1ton/cm2の圧力でプレスしてシート状の負極を作製した。
【0047】
次に,図1に示すごとく,上記のようにして得られたシート状の正極2及び負極3にそれぞれ正極集電リード28及び負極集電リード38を熔接した。次いで,正極2及び負極3を,これらの間にセルロース系のセパレータ4を挟んだ状態で捲回し、スパイラル状の捲回式電極を作製した。
続いて,この捲回式電極を,外装缶62及びキャップ61よりなる18650型の円筒形状の電池ケース6に挿入した。このとき,電池ケース6のキャップ61側に配置した正極集電タブ285に,正極集電リード28を熔接により接続すると共に,外装缶6の底に配置した負極集電タブ385に負極集電リード38を熔接により接続した。
【0048】
次に,電池ケース6内に,水溶液電解液としての飽和硝酸リチウム水溶液(pH=7)を含浸させた。そして,キャップ61の内側にガスケット5を配置すると共に,このキャップ61を外装缶62の開口部に配置した。続いて,キャップ61にかしめ加工を施すことにより電池ケース6を密閉し,リチウム二次電池1を作製した。これを試料E1とする。
【0049】
上述のごとく、試料E1の作製にあたっては、正極活物質及び負極活物質を添加剤溶液に浸漬し、正極活物質及び負極活物質の表面に添加剤を結合させた。
そのため、図2に示すごとく、試料E1の正極合材25及び負極合材35においては、添加剤8は、正極活物質251及び負極活物質351の表面に結合し、有機化合物からなる被膜を形成することができる。
【0050】
(実施例2)
本例においては、実施例1の試料E1とは異なる方法で添加剤を正極合材及び負極合材に含有させて作製したリチウム二次電池の例である。
即ち、図3に示すごとく、本例のリチウム二次電池の正極2及び負極3においては、正極合材25及び負極合材35中に添加剤8が分散されている。
また、正極合材25においては、正極活物質251は組成式LiMnO2で表されるスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物からなり、導電剤253はアセチレンブラックからなり、バインダー255はポリアクリロニトリルからなる。また、正極合材25に含まれる添加剤8はアセト酢酸からなる。
負極活物質351は、実施例1と同様にLiV24からなり、導電剤353はアセチレンブラックからなり、バインダー355はポリアクリロニトリルからなる。また、負極合材35中に含まれる添加剤8は正極合材25と同様にアセト酢酸からなる。
その他の構成は実施例1の試料E1と同様である。
【0051】
本例のリチウム二次電池の製造方法について説明する。
まず、正極活物質として、組成式LiMnO2で表されるスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物を準備した。また、導電剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリアクリロニトリルと、添加剤としてのアセト酢酸とを準備した。
また、有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンを準備し、これに上記にて準備したバインダーを溶解し、5wt%のバインダー溶液を作製した。このバインダー溶液中に、上記正極活物質、導電剤、及び添加剤を分散させて混合し、正極合材を得た。この正極合材は、正極活物質を80g、導電剤を10g、バインダーを10g、添加剤を5g含有する。即ち、正極合材は、正極活物質100重量部に対して6.25重量部の添加剤を含有する。
このようにして得られた正極合材を、実施例1と同様に正極集電体に塗布し、乾燥させて、さらにプレスして、シート状の正極を作製した。
【0052】
次に、負極活物質として、実施例1と同様に、組成式LiV24で表されるスピネル構造のリチウムバナジウム複合酸化物を準備した。この負極活物質と、導電剤としてアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリアクリロニトリルとを用い、上記にて作製した正極と同様にして、シート状の負極を作製した。負極合材中に含まれる添加剤は、正極活物質100重量部に対して6.25重量部である。
【0053】
次いで、上記のようにして作製したシート状の正極及び負極を用いて、実施例1と同様にして捲回式電極を作製し、さらに実施例1と同様にして、捲回式電極を18650型の円筒形状の電池ケースに挿入した。その後、さらに実施例1と同様にして、正極集電リード及び負極集電リードを溶接し、水溶液電解液を含浸させて、密封し、リチウム二次電池を作製した。これを試料E2とする。
【0054】
また、本例においては、正極合材及び負極合材中の添加剤の量が上記試料E2とは異なるリチウム二次電池を作製した。これを試料E3とする。
試料E3は、正極合材及び負極合材中の添加剤の含有量を10gにした点を除いては上記試料E2と同様にして作製したものである。したがって、試料E3は、正極合材中に添加剤を上記正極活物質100重量部に対して12.5重量部含有し、負極合材中に負極活物質100重量部に対して12.5重量部含有するものである。
【0055】
(比較例)
本例においては、実施例1において作製した試料E1及び実施例2において作製した試料E2及び試料E3の優れた特性を明らかにするため、比較用の2種類のリチウム二次電池を作製した。これらを試料C1及び試料C2とする。
【0056】
試料C1は、添加剤を用いずに作製した点を除いては実施例1の試料E1と同様にして作製したものである。
即ち、試料C1の作製にあたっては、まず、実施例1と同様に、正極活物質としての組成式LiFePO4で表されるオリビン構造のリチウム鉄複合リン酸化物と、導電剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリアクリロニトリルとを準備した。また、有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンを準備し、これに上記にて準備したバインダーを溶解し、5wt%のバインダー溶液を作製した。このバインダー溶液中に、上記正極活物質及び導電剤を分散させて混合し、正極合材を得た。この正極合材は、正極活物質を80g、導電剤を10g、バインダーを10g含有する。
次いで、実施例1と同様にして、正極集電体に正極合材を塗布し、乾燥させ、さらにプレスしてシート状の正極を作製した。
【0057】
次に、実施例1と同様に、負極活物質としての組成式LiV24で表されるスピネル構造のリチウムバナジウム複合酸化物と、導電剤としてアセチレンブラックと、バインダーとしての窒素原子を含有するアクリロニトリルとを準備した。次いで、上記正極合材の場合と同様に、バインダー溶液を作製し、このバインダー溶液中に、負極活物質及び導電剤を分散させて混合し、負極合材を得た。この負極合材は、負極活物質を80g、導電剤を10g、バインダーを10g含有する。
【0058】
次いで、負極集電体として厚さ20μmのアルミ箔を準備し、実施例1と同様に、負極集電体に負極合材を塗布し、乾燥させ、さらに約1ton/cm2の圧力でプレスしてシート状の負極を作製した。
【0059】
次に、上記のようにして作製したシート状の正極及び負極を用いて、実施例1と同様にして捲回式電極を作製し、さらに実施例1と同様にして、捲回式電極を18650型の円筒形状の電池ケースに挿入した。その後、実施例1と同様にして、正極集電リード及び負極集電リードを溶接し、水溶液電解液を含浸させて、密封し、リチウム二次電池を作製した。これを試料C1とする。
【0060】
また、試料C2は、添加剤を用いずに作製した点を除いては実施例2の試料E2と同様にして作製したものである。
即ち、試料C2の作製にあたっては、まず、実施例2の試料E2と同様に、正極活物質としての組成式LiMnO2で表されるスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物と、導電剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリアクリロニトリルとを準備した。また、有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドンを準備し、これに上記にて準備したバインダーを溶解し、5wt%のバインダー溶液を作製した。このバインダー溶液中に、上記正極活物質及び導電剤を分散させて混合し、正極合材を得た。この正極合材は、正極活物質を80g、導電剤を10g、バインダーを10g含有する。
次いで、実施例2と同様にして、正極集電体に正極合材を塗布し、乾燥させ、さらにプレスしてシート状の正極を作製した。
【0061】
次に、実施例1と同様に、負極活物質としての組成式LiV24で表されるスピネル構造のリチウムバナジウム複合酸化物と、導電剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリアクリロニトリルとを準備した。次いで、上記正極合材の場合と同様に、バインダー溶液を作製し、このバインダー溶液中に、負極活物質及び導電剤を分散させて混合し、負極合材を得た。この負極合材は、負極活物質を80g、導電剤を10g、バインダーを10g含有する。
【0062】
次いで、負極集電体として厚さ20μmのアルミ箔を準備し、実施例1と同様に、負極集電体に負極合材を塗布し、乾燥させ、さらに約1ton/cm2の圧力でプレスしてシート状の負極を作製した。
【0063】
次に、上記のようにして作製したシート状の正極及び負極を用いて、実施例1と同様にして捲回式電極を作製し、さらに実施例1と同様にして、捲回式電極を18650型の円筒形状の電池ケースに挿入した。その後、さらに実施例1と同様にして、正極集電リード及び負極集電リードを溶接し、水溶液電解液を含浸させて、密封し、リチウム二次電池を作製した。これを試料C2とする。
【0064】
(実験例)
本例においては、実施例1、実施例2、及び比較例において作製した各電池(試料E1〜試料E3、試料C1、及び試料C2)について充放電サイクル試験を行い、各電池の100サイクル目の放電容量の維持率を調べた。
【0065】
充放電サイクル試験は、各試料について、温度60℃の条件下で、電流密度0.5mA/cm2の定電流にて電池電圧1.4Vまで充電し、その後、電流密度0.5mA/cm2の定電流にて電池電圧0.1Vまで放電する充放電を1サイクルとし、このサイクルを100サイクル繰り返すことにより行った。各充放電サイクルにおいては、1.4Vまで充電した後及び0.1Vまで放電した後に、充電休止時間及び放電休止時間をそれぞれ1分間ずつ設けた。そして、各試料について、1サイクル目(初回)と100サイクル目の放電容量を測定した。
【0066】
放電容量は、1サイクル目又は100サイクル目の放電電流値(mA)を測定し、この放電電流値に放電に要した時間(hr)を乗じて得られた値を、電池内の正極活物質の重量(g)で除することにより算出した。
また、初回と100サイクル目の放電容量から容量維持率を下記の式から算出した。
容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/初回の放電容量)×100
その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
表1より知られるごとく、添加剤を含有する試料E1〜試料E3は、100サイクル目の容量維持率が89.6%以上という非常に優れた容量維持率を発揮できることがわかる。
これに対し、試料E1と同様の正極活物質を含有するが添加剤を含有していない試料C1は、初回放電容量は試料E1と同程度に高い値を示すが、100サイクル後には61.4mAh/gまで低下し、容量維持率は86.7%という低いものであった。また、試料E2及び試料E3と同様の正極活物質を含有するが添加剤を含有していない試料C2は、初回放電容量は試料E2と同程度の高い値を示すが、100サイクル後には68.9mAh/gまで低下し、容量維持率は81.8%という低いものであった。
以上のことから、試料E1〜試料E3のように添加剤を含有させることにより、リチウム二次電池の容量維持率、即ちリチウム二次電池の耐久性を向上できることをがわかる。
【0069】
また、表1より知られるごとく、添加剤を活物質100重量部に対して12.5重量部添加した試料E3は、活物質100重量部に対して6.25重量部添加した試料E2に比べて、初回放電容量が低下する。
本例においては明確には示していないが、上記添加剤の含有量を、正極活物質100重量部に対して0.1重量部〜10重量部、また、負極活物質100重量部に対して0.1重量部〜10重量部にすることにより、リチウム二次電池の容量維持率を向上できると共に、初回放電容量を向上できることを確認している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】実施例1にかかる、水系電解液リチウム二次電池の構成を示す説明図。
【図2】実施例1にかかる、正極(負極)の構成を示す説明図。
【図3】実施例2にかかる、正極(負極)の構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0071】
1 リチウム二次電池
2 正極
21 正極集電体
25 正極合材
251 正極活物質
253(353) 導電剤
255(355) バインダー
3 負極
31 負極集電体
35 負極合材
351 負極活物質
8 添加剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体に正極合材を結着してなる正極と、負極集電体に負極合材を結着してなる負極と、リチウム塩を水に溶解してなる水溶液電解液とを有するリチウム二次電池において、
上記正極合材は、リチウムを可逆的に吸蔵及び脱離できるリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤と、水不溶性高分子からなるバインダーとを含有し、
上記負極合材は、上記正極活物質よりもリチウムの吸蔵電位及び脱離電位が低い複合酸化物からなる負極活物質と、導電性を有する炭素系材料からなる導電剤と、水不溶性高分子からなるバインダーとを含有し、
上記正極活物質における上記リチウム含有複合酸化物及び上記負極活物質における上記複合酸化物は遷移金属を含有し、
上記正極合材及び/又は上記負極合材は、水中で解離して陰イオンとなる有機化合物からなる添加剤を含有することを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項2】
請求項1において、上記正極合材は、上記添加剤を溶解させた水溶液に上記正極活物質を浸漬し、乾燥させた後、上記導電材及び上記バインダーと混合してなることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記負極合材は、上記添加剤を溶解させた水溶液に上記負極活物質を浸漬し、乾燥させた後、上記導電剤及び上記バインダーと混合してなることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項4】
請求項1において、上記正極合材は、上記正極活物質と、上記導電剤と、上記バインダーと、上記添加剤とを混合してなることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項5】
請求項1又は2において、上記負極合材は、上記負極活物質と、上記導電剤と、上記バインダーと、上記添加剤とを混合してなることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記添加剤の含有量は、上記正極活物質100重量部及び/又は上記負極活物質100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部であることを特徴とするリチウム二次電池。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記水溶液電解液は、そのpHが、6〜10の範囲にあることを特徴とするリチウム二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−147287(P2006−147287A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334593(P2004−334593)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】