説明

リチウム電池の外装体

【課題】 電池内部に発生したガスを逃がすことにより電池性能の低下を防止する電池の外装体を提供することである。
【解決手段】 フランジ部を有する矩形状成形容器本体と、これと略同じ大きさの蓋体とからなり、前記矩形状成形容器本体の凹部内に正極および負極を備えた電池要素を収納すると共に正極および負極の各々に接続された金属端子を前記フランジ部から外側に突出させ、前記蓋体で被覆すると共に前記フランジ部に設けた周縁熱接着部で密封した電池の外装体において、少なくとも一つの周縁に設けられた前記周縁熱接着部内に未接着領域を有し、前記未接着領域と前記矩形状成形容器本体の凹部とを区画する前記周縁熱接着部にガス放出手段を有し、前記未接着領域と外部とを区画する前記周縁熱接着部に前記未接着領域と外部とを連通する連通口が設けられていることを特徴とする電池の外装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関し、特に電解質(液体や固体電解質)を有するリチウム電池の外装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、電解質として固体高分子、ゲル状高分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で起電する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム二次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅)からなる電池要素およびこの電池要素を包装する外装体等からなる。リチウム二次電池は、その高い体積効率、重量効率から電子機器、電子部品、特に携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラなどに広く用いられている。
【0003】
前記リチウム電池の外装体としては、金属端子の取出し易さや密封のし易さ、あるいは、柔軟性を有するために電子機器や電子部品の適当な空間に合わせた形状とすることができ、電子機器や電子部品自体の形状をある程度自由に設計することができるために、小型化、軽量化を図り易い等の理由から、プラスチックフィルムやアルミニウム等の金属箔を積層したフレキシブルな包装材からなる外装体が用いられるようになってきた。
【0004】
そして、前記包装材には、リチウム電池として求められる物性、すなわち、防湿性、密封性、耐突刺し性、絶縁性、耐熱・耐寒性、耐電解質性(耐電解液性)、耐腐蝕性(電解質の劣化や加水分解により発生するフッ酸に対する耐性)等が必要不可欠なものとして求められるために、前記包装材としては耐突刺し性や外部との通電を阻止するための基材層、防湿性を確保するためのアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層、金属端子との接着性に優れると共に密封性を確保するための内層で構成される積層体が一般的には用いられる。
【0005】
外装体として包装材を用いたリチウム電池の形態としては、包装材を筒状に加工し、電池要素および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封した袋タイプ(たとえば、特許文献1参照)と包装材を容器状に成形し、この容器内に電池要素および正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、平板状の包装材ないし容器状の成形した包装材で被覆すると共に四周縁を熱接着して密封した成形タイプ(たとえば、特許文献2参照)が知られている。
【0006】
上記したいずれの形態のリチウム電池においても、電池要素を包装材で密封する際に、電池要素とこの正極および負極の各々に接続された金属端子を外部に突出させると共に包装材で前記金属端子を挟持した状態で熱接着することにより密封する必要がある。このために、前記包装材の内層を金属と良好な接着性を有する熱接着性樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂を用いて熱接着して密封する、あるいは、前記内層を金属との接着性に劣る一般的なオレフィン系樹脂(炭素と水素とからなる直鎖状あるいは分枝鎖状のオレフィン系樹脂)を用い、金属と良好な接着性を有する上記した酸変性オレフィン樹脂からなる金属端子部密封用接着性フィルムを前記金属端子と前記内層との間に介在させて熱接着して密封する方法が一般的に採られている。
【0007】
そして、特許文献1に記載された袋タイプからなる二次電池に比べて特許文献2に記載された成形タイプの二次電池は、電池要素等をタイト(ぴったりとした状態)に収納することができるために、体積エネルギー密度を向上させることができるという利点があると共に電池要素等の収納がし易いなどの利点があり、成形タイプが主流となっている。
【0008】
また、近年、排ガスによる環境汚染が問題となっている中で、電気を動力源とする電気自動車やエンジンとモーターを組み合せて走行するハイブリッドカーが注目を集めている。このようなハイブリッドカーは、発進時やフル加速時にはバッテリーから供給される電力を使用するため、バッテリーには高い出力が要求される。また、ハイブリッドカーは、エンジンやモーター/ジェネレータ、バッテリーなど多くの構成部品を搭載せねばならず、自動車全体の重量が増加することから、バッテリーに対しては、電気自動車と同様に高容量、高出力が求められると共に軽量であることが求められ、鉛、ニッカドやニッケル水素電池などに代わるものとして、リチウム電池が注目されている。
【0009】
ところで、このようなハイブリッドカーに搭載されるバッテリーは、携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラ等のモバイル品に用いるものと異なり、モーターを駆動するために高い電圧が要求されるので、通常は複数個の単電池を直列に接続して構成されている。たとえば、300Vのバッテリー電圧を得るためには、単電池当たり2Vの鉛電池では150個程度の単電池を直列接続し、単電池当たり3.6Vのリチウム電池では80個程度の単電池を直列接続することになる。
【0010】
このような多数の単電池を直列接続してなる電池モジュールにおいて、単電池が鉛電池、ニッカドあるいはニッケル水素電池等の体積エネルギー密度の低い電池においては、個々の出力が低い代わりに、過放電や過充電となっても性能の劣化が少なく、使用不能の状態になることは少ないが、リチウム電池は充放電を繰り返すことにより、あるいは、高温環境下において電解質(電解液)から発生したガスにより内圧が上昇して、特にフレキシブルな包装材からなる外装体においては、外装体が膨張し、破裂するなどの虞があると共に電池の劣化や出力低下等の電池寿命特性を低下させるという問題がある。
【0011】
そのために、フレキシブルな包装材からなる外装体の膨張を防止する提案がなされている(たとえば、特許文献3参照)。この特許文献3記載の薄型電池は、リチウム電池の電池要素を密封する熱接着部の一部に接着強度の弱い箇所を設けておくことにより、上昇した内圧をこの箇所から逃がして電池性能の低下を防止しつつ、異常時の信頼性の向上を図るものである。
【0012】
しかしながら、特許文献3記載の薄型電池(単電池)の多数個を直列接続してなる電池モジュールにおいては次のような問題がある。すなわち、上昇した内圧を熱接着部の一部に設けた接着強度の弱い箇所から逃がすと、この箇所から電解液も洩れ出ることによりフレキシブルな包装材に使用されているアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層が単電池間で互いに電気的に接続され、かつ、何等かの要因で単電池の内層にピンホールが生じて前記バリアー層に電解液が接触した場合は、前記バリアー層が高い電位を有することになり、これにより前記バリアー層が溶解し、電池としての機能を果たさなくなるという問題がある。なお、本明細書において、「電池」ないし「単電池」とは1個の電池要素とこの正極および負極との各々に接続された金属端子を突設した状態でフレキシブルな包装材で密封した電池を指し、「電池モジュール」とは複数の上記した電池ないし単電池を電気的に接続した電池を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平9−213285号公報
【特許文献2】特開2001−229888号公報
【特許文献3】特開平10−55792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで本発明は、電池内部に発生したガスを熱接着部の一部に設けた接着強度の弱い箇所から外部に逃がすことにより電池性能の低下を防止すると共に、ガスを外部に逃がした箇所から電解液が電池外部に洩れ出るのを防止することができる電池の外装体を提供することであり、特に電池モジュールにおいて電池間でフレキシブルな包装材に使用されているアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層が電解液により電気的に接続する虞を少なくすることができる信頼性の高い電池の外装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、四周縁にフランジ部を有する矩形状成形容器本体と、前記矩形状成形容器本体と略同じ大きさの蓋体とからなり、前記矩形状成形容器本体の凹部内に正極および負極を備えた電池要素を収納すると共に正極および負極の各々に接続された金属端子を前記フランジ部から外側に突出させ、前記蓋体で被覆すると共に前記フランジ部に設けた周縁熱接着部で密封した電池の外装体において、少なくとも一つの周縁に設けられた前記周縁熱接着部内に未接着領域を有し、前記未接着領域と前記矩形状成形容器本体の凹部とを区画する前記周縁熱接着部にガス放出手段を有し、前記未接着領域と外部とを区画する前記周縁熱接着部に前記未接着領域と外部とを連通する連通口が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の電池の外装体において、前記未接着領域を設ける前記フランジ部が幅広に形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載の電池の外装体において、前記未接着領域を設ける前記フランジ部は前記金属端子が突設されていないことを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の電池の外装体において、前記矩形状成形容器本体は前記未接着領域に電池要素を収納する前記凹部と同じ側に形成された凹み部を有していることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の電池の外装体において、前記蓋体が前記矩形状成形容器本体と略同じ形状の矩形状成形容器であることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項6記載の本発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の電池の外装体において、前記矩形状成形容器本体の一つの端辺を介して前記蓋体が連接していることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項7記載の本発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の電池の外装体において、前記蓋体および前記矩形状成形容器本体が少なくとも基材層と、アルミニウム箔と、化成処理層と、接着層と、熱接着性樹脂層とが順に積層された包装材からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電池の外装体は、周縁熱接着部に未接着領域を形成すると共に該未接着領域と矩形状成形容器本体の凹部とを区画する前記周縁熱接着部にガス放出手段を設け、かつ、前記未接着領域と外部とを区画する前記周縁熱接着部に前記未接着領域と外部とを連通する連通口を設けたことにより、電池内部で発生したガスで上昇した内圧をガス放出手段から前記未接着領域に逃がし、さらに前記未接着領域から連通口により外部に逃がすことができ、電池性能の低下を防止することができるという効果を奏する。また、未接着領域を設けたことにより、ガスと共に洩れ出る電解液をこの未接着領域に溜めることができるために電解液が電池外部に洩れ出るのを防止することができ、特にモジュール電池において電池のフレキシブルな包装材中に用いられるアルミニウム等の金属箔が電解液により電池間で電気的に接続することがないという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明にかかる電池の外装体の第1実施形態を図解的に示す(a)は平面図,(b)は(a)のX−X線断面図である。
【図2】本発明にかかる電池の外装体の第2実施形態を図解的に示す図1(b)に対応する図である。
【図3】本発明にかかる電池の外装体の第3実施形態を図解的に示す図1(b)に対応する図である。
【図4】本発明にかかる電池の外装体に用いるフレキシブルな包装材の層構成の一実施例を図解的に示す図である。
【図5】本発明にかかる電池の外装体に設けるガス放出手段の一実施例を図解的に示す要部平面図である。
【図6】本発明にかかる電池の外装体に設ける連通口の一実施例を図解的に示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳しく説明する。
図1は本発明にかかる電池の外装体の第1実施形態を図解的に示す(a)は平面図,(b)は(a)のX−X線断面図、図2は本発明にかかる電池の外装体の第2実施形態を図解的に示す図1(b)に対応する図、図3は本発明にかかる電池の外装体の第3実施形態を図解的に示す図1(b)に対応する図、図4は本発明にかかる電池の外装体に用いるフレキシブルな包装材の層構成の一実施例を図解的に示す図、図5は本発明にかかる電池の外装体に設けるガス放出手段の一実施例を図解的に示す要部平面図、図6は本発明にかかる電池の外装体に設ける連通口の一実施例を図解的に示す要部斜視図であり、図中の1,1’,1”は電池の外装体、2は矩形状成形容器本体、3,3’は蓋体、4はガス放出手段、5は連通口、5’はチューブ、10は基材層、20,50は接着層、30は化成処理層、40はアルミニウム箔、60は熱接着性樹脂層、Fはフランジ部、Hは包装材、Mは未接着領域、S,S1,S2は周縁熱接着部、Tは金属端子、U1は凹部、U2は凹み部をそれぞれ示す。
【0025】
図1は本発明にかかる電池の外装体の第1実施形態を図解的に示す(a)は平面図,(b)は(a)のX−X線断面図であって、電池の外装体1は四周縁にフランジ部Fを有する矩形状成形容器本体2と、前記矩形状成形容器本体2と略同じ大きさの蓋体3とからなり、前記矩形状成形容器本体2の凹部U1内に正極および負極を備えた電池要素(図示せず)を収納すると共に正極および負極の各々に接続された金属端子Tを前記フランジ部Fから外側に突出させ、前記蓋体3で被覆すると共に前記フランジ部Fに設けた周縁熱接着部Sで密封したものであり、幅広に形成された前記フランジ部Fの前記周縁熱接着部S内に未接着領域Mを有し、前記未接着領域Mと前記矩形状成形容器本体3の凹部U1とを区画する前記周縁熱接着部S1にガス放出手段4を有し、前記未接着領域Mと外部とを区画する前記周縁熱接着部S2に前記未接着領域Mと外部とを連通する連通口5が設けられているものである。外装体1からなる電池は金属端子Tを上側にして立てた状態で電池モジュールとされるのに適したものであり、連通口5は金属端子T側に設けられ、ガス放出手段4は前記連通口5の位置よりも下側に設けられる。
【0026】
上記のように構成した電池の外装体1は、過充電などの異常により電池内部でガスが発生して内部圧力が上昇すると、後述するガス放出手段が機能してガス放出手段を設けた箇所が剥離し、この剥離が未接着領域Mに達するとガスが未接着領域Mに導かれ、未接着領域Mに導かれたガスは連通口5から外部に放出されると共に、ガス放出手段が機能して剥離した箇所から電解液が洩れ出しても電解液は前記未接着領域内に溜まるために外部に洩れ出ることがなく、信頼性の高い電池とすることができる。
【0027】
図2は本発明にかかる電池の外装体の第2実施形態を図解的に示す図1(b)に対応する図であって、電池の外装体1’は図1に示した第1実施形態の電池の外装体1において、前記未接着領域Mに対応する前記矩形状成形容器本体2に凹み部U2が形成されているものであって、これ以外は図1に示した第1実施形態と同じである。外装体1’からなる電池は凹部U1側を下側にした状態で電池モジュールとされるのに適したものであり、連通口5およびガス放出手段4を設ける位置は特に限定するものではないが、連通口5とガス放出手段4とは一直線とならないように水平方向にずらせた位置に設けることにより、ガスの放出と同時に出てくる虞のある電解液が連通口から外部に飛び散ることを防止することができる。
【0028】
上記のように構成した電池の外装体1’は、過充電などの異常により電池内部でガスが発生して内部圧力が上昇すると、ガス放出手段が機能してガス放出手段を設けた箇所が剥離し、この剥離が未接着領域M(凹み部U2)に達するとガスが未接着領域M(凹み部U2)に導かれ、未接着領域M(凹み部U2)に導かれたガスは連通口5から外部に放出されると共に、ガス放出手段が機能して剥離した箇所から電解液が洩れ出しても電解液は未接着領域M(凹み部U2)に溜まるために外部に洩れ出ることがなく、信頼性の高い電池とすることができる。なお、図2に示した第2実施形態は、図1に示した第1実施形態と同じように金属端子T側を上側にして立てた状態で電池モジュールとしてもよいものである。
【0029】
図3は本発明にかかる電池の外装体の第3実施形態を図解的に示す図1(b)に対応する図であって、電池の外装体1”は図1に示した第1実施形態の電池の外装体1において、前記蓋体3に代えて前記矩形状成形容器本体2を蓋体3’として用いたものであって、これ以外は図1に示した第1実施形態と同じである。このように構成した電池の外装体1”は電池要素(図示せず)を収納する凹部を第1実施形態の凹部U1よりも大きくすることができるので、高容量、高出力の電池の外装体として好ましいものである。また、図示はしないが、未接着領域Mに図2に示した凹み部U2をいずれか一方の側に設けてよいし、いずれの側に設けてもよいものである。
【0030】
次に、電池の外装体1、1’、1”に用いるフレキシブルな包装材について説明する。図4は本発明にかかる電池の外装体に用いるフレキシブルな包装材の層構成の一実施例を図解的に示す図であって、包装材Hは基材層10と、接着層20と、化成処理層30と、アルミニウム箔40と、化成処理層30と、接着層50と、熱接着性樹脂層60とが順に積層されたものである。
【0031】
前記基材層10としては、外力からアルミニウム箔を保護すると共に、特に外部からの突き刺しに対する耐突き刺し性を向上させる目的で設けるものであり、機械的強度に優れる点から2軸方向に延伸したポリエステルフィルムやポリアミドフィルム、あるいは、これらの積層体を挙げることができる。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート等からなるフィルムを挙げることができ、また、ポリアミドフィルムとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10等からなるフィルムを挙げることができる。前記基材層の厚さとしては6μm以上が適当である。この理由としては、6μmより厚さが薄いと、それ自体にピンホールが存在する可能性があると共に外力に対するアルミニウム箔の保護効果が減少し、特に成形タイプにあってはアルミニウム箔にピンホールや破断が発生し易く成形不良を起こし易いからであり、より好ましくは12μm以上である。また、前記基材層が上記したフィルムの単層であれ、複層であれ、25μmより厚い場合は外力に対するアルミニウム箔の保護という点で顕著な効果が認められず、体積および重量エネルギー密度を低下させると共に、費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。また、上記したポリエステルフィルムやポリアミドフィルムは必要な面にコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の易接着処理を施してもよいものである。
【0032】
前記アルミニウム箔40としては、外部から電池内部に特に水蒸気が浸入するのを防止するために設けられるものであって、水蒸気バリアー性の確保と加工時の加工適性を考慮すると、20〜200μm厚さのものが適当である。20μm未満の厚さの場合は、アルミニウム箔単体のピンホールが危惧され、水蒸気の浸入の危険性が高くなり、200μm超の厚さの場合は、アルミニウム箔のピンホールに顕著な効果が認められず、水蒸気バリアー性の更なる向上が期待できず、加工適性においても劣り、体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。
【0033】
また、前記アルミニウム箔40は鉄分を0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%含有したものが鉄分を含有しないものと比較して延展性に優れると共に折り曲げに対するピンホールの発生が少なく、特にプレス成形時に偏肉のない均一な成形品が得られるために鉄分を含有したアルミニウム箔を用いるのが好ましい。なお、鉄含有量が0.3重量%未満ではピンホール発生の防止や延展性において効果が認められず、鉄含有量が9.0重量%超ではアルミニウム箔としての柔軟性が阻害されるために成形適性が低下する。
【0034】
また、前記アルミニウム箔40は冷間圧延で製造されるが、焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性、腰の強さ、硬さが変化するが、本発明に用いるアルミニウム箔は焼きなましをしていない硬質処理品よりも多少ないし完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウム箔がよい。本発明に供するアルミニウム箔40としては、8000系ないし3000系が好ましい。
【0035】
次に、前記化成処理層30について説明する。前記化成処理層30は前記アルミニウム箔40を電解液や電解液の加水分解により発生するフッ酸による腐蝕を防止すると共に前記アルミニウム箔40と後述する接着層10、50との間を強固に接着させ、電解液や電解液の加水分解により発生するフッ酸によるデラミネーションを防止すると共にプレス成形時のデラミネーションを防止するために設けるものである。
【0036】
前記化成処理層30は、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理等により前記アルミニウム箔40面に形成されるものであるが、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるなどから塗布型化成処理が適当である。処理液としては、従来公知の六価クロム化合物を含有したクロメート処理液で処理してもよいものであるが、環境に優しく、時間経過と共に上記した各層間の接着強度の低下を来たし難い処理液、具体的にはアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液を用いて形成するのが好ましい。
【0037】
まず、アミノ化フェノール重合体について説明する。アミノ化フェノール重合体としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、下記式(1)、(2)、(3)、(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を挙げることができる。なお、式中のXは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基ないしベンジル基を示す。また、R1、R2はヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示し、同じ基であってもよいし、異なる基であってもよいものである。
【0038】
下記式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖ないし分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。なお、下記式(1)〜(4)におけるXは水素原子、ヒドロキシル基、および、ヒドロキシアルキル基のいずれかであるのが好ましい。
【0039】
また、下記式(1)、(3)で表されるアミノ化フェノール重合体は、繰り返し単位を約80モル%以下、好ましくは繰り返し単位を約25〜約55モル%の割合で含むアミノ化フェノール重合体である。また、アミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、好ましくは約500〜約100万、より好ましくは約1000〜約2万である。アミノ化フェノール重合体は、たとえば、フェノール化合物ないしナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して下記(1)ないし(3)で表される繰り返し単位からなる重合体を製造し、次いで、この重合体にホルムアルデヒドおよびアミン(R12NH)を用いて水溶性官能基(−CH2NR12)を導入することにより製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種ないし2種以上混合して用いることができる。
【0040】
【化1】

【0041】
【化2】

【0042】
【化3】

【0043】
【化4】

【0044】
次に、三価クロム化合物について説明する。三価クロム化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等を挙げることができ、好ましくは硝酸クロム、フッ化クロムである。
【0045】
次に、リン化合物について説明する。リン化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、リン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸およびこれらの塩等を挙げることができる。ここで、前記塩としては、たとえば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。
【0046】
そして、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液を用いて形成する前記化成処理層としては、1m2当たり、アミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、三価クロム化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、および、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mgの割合で含有されているのが適当であり、アミノ化フェノール重合体が約5.0〜150mg、三価クロム化合物がクロム換算で約1.0〜約40mg、および、リン化合物がリン換算で約1.0〜約40mgの割合で含有されているのがより好ましい。この場合の乾燥温度としては、150〜250℃、好ましくは170〜250℃で、加熱処理(焼付け処理)するのが適当である。
【0047】
また、前記化成処理層の形成方法としては、前記処理液をバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を適宜選択して形成すればよいものである。また、前記化成処理層を形成する前に前記アルミニウム箔面に、予め、たとえば、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、前記化成処理層の機能を最大限に発現させると共に、長期間維持することができる点から好ましい。
【0048】
次に、前記接着層20、50について説明する。最初に、前記接着層50としては、前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30と後述する前記熱接着性樹脂層60とを強固に接着させるために設けるものであり、前記接着層50を形成する樹脂としてその一つを例示するならば、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィン樹脂、特に好ましくは不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂を挙げることができ、前記接着層50の形成方法としては上記した樹脂をTダイ押出機を用いて前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30面に溶融押出しして、後述する前記熱接着性樹脂層60を構成する樹脂フィルムを積層する、いわゆるサンドイッチラミネーション法で積層することにより形成してもよいし、また、上記した樹脂をシート化したフィルムを用いてサーマルラミネーション法で前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30面に積層してもよいものである。この場合の前記接着層50の厚さとしては、5〜20μm、好ましくは10〜15μmであり、5μm未満では十分なラミネート強度を得ることができず、20μm超では端面からの水分透過が多くなり、電池としての性能を低下させる虞があるからである。
【0049】
また、前記接着層50を形成する樹脂として別の一つを例示するならば、たとえば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の主剤からなる周知の2液硬化型ドライラミネーション用接着剤を挙げることができる。前記接着層50を形成する方法としては、上記した主剤にイソシアネート化合物を配合した組成物をグラビアコート法、ロールコート法等の周知の塗布方法で塗布・乾燥し、前記熱接着性樹脂層60を構成する樹脂フィルムを積層する、いわゆるドライラミネーション法で積層することにより形成することができる。前記接着層50の乾燥後の塗布量としては2.0〜5.0g/m2、好ましくは3.0g/m2以上となるように塗布するのが適当である。
【0050】
また、前記接着層20としては、前記接着層50で説明した、たとえば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の主剤からなる周知の2液硬化型ドライラミネーション用接着剤を挙げることができ、その塗布量としては、3.0〜5.0g/m2が適当である。
【0051】
次に、前記熱接着性樹脂層60を形成する樹脂について説明する。前記熱接着性樹脂層60を形成する樹脂としては、リチウム電池の電池要素とこの正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する際に前記熱接着性樹脂層60と金属端子との間に金属端子部密封用接着性フィルムを介在させるか否かで樹脂種が異なるものである。金属端子部密封用接着性フィルムとしては酸変性オレフィン樹脂が通常は用いられるために、金属端子部密封用接着性フィルムを介在させる場合には、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等の一般的なオレフィン系樹脂(炭素と水素とからなる直鎖状あるいは分枝鎖状のオレフィン系樹脂)を適宜選択して用いればよいのであって、これらの一般的なオレフィン系樹脂をフィルム化して、サンドイッチラミネーション法、ドライラミネーション法、サーマルラミネーション法等の方法で積層すればよいし、また、前記熱接着性樹脂層60を前記接着層50を形成する樹脂の一つとして例示した、酸変性ポリオレフィン系樹脂と上記した低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等とを前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30に共押出して前記接着層50と前記熱接着性樹脂層60を同時に形成してもよいし、予め前記接着層50を形成する樹脂の一つとして例示した、酸変性ポリオレフィン系樹脂と上記した低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等を共押出しして共押出しフィルムを作製し、これを前記アルミニウム箔40の前記化成処理層30にサーマルラミネーション法で積層して形成してもよいものである。
【0052】
また、金属端子部密封用接着性フィルムを介在させない場合には、前記接着層50を形成する樹脂の一つとして例示した、酸変性ポリオレフィン系樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィン樹脂、特に好ましくは不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂を用いることができ、この場合は前記接着層50を兼ねてもよいものである。前記熱接着性樹脂層60の厚さとしては、10〜100μm、好ましくは30〜50μmであり、10μm未満では熱接着した際に十分な接着強度を得ることができずに密封性に問題が生じる虞があり、100μm超では熱接着して密封する際の密封性に顕著な効果が認められず、また、総厚が厚くなることにより逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が好ましい。なお、前記熱接着性樹脂層60をフィルムで構成する場合には、必要な面にコロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の易接着処理を施してもよいものである。
【0053】
次に、ガス放出手段について説明する。ガス放出手段4としては、種々の方法を採用することができ、具体的に例示するならば、(1)ガス放出手段4を設ける箇所を周縁熱接着部S1よりもヒートシール条件(加熱温度、加熱時間、加圧力のいずれか、あるいは、いずれか2つの条件、あるいは、いずれも)を低く設定してヒートシール強度を弱く設定する方法、(2)ガス放出手段4を設ける箇所に上記で説明した熱接着性樹脂層60を構成する樹脂と易接着に接着するシートを挟んでヒートシールする方法、たとえば、前記熱接着性樹脂層60が低密度ポリエチレンで構成されている場合はアイオノマー樹脂シートやエチレンリッチなポリプロピレンシートを挟んでヒートシールするなり、あるいは、前記熱接着性樹脂層60がポリプロピレンで構成されている場合、プロピレンリッチなポリプロピレンシートを挟んでヒートシールするなりすることにより、ガス放出手段4の箇所を周縁熱接着部S1よりもヒートシール強度を弱く設定することができる。
【0054】
しかしながら、上記(1)の方法はヒートシール工程が1工程増えるといった問題があると共に、ガス放出手段4の箇所のヒートシール強度の安定性に不安があるという問題があり、上記した(2)の方法は実作業において困難性を伴うと共に、ガス放出手段4の箇所のヒートシール強度の安定性に不安があるという問題があり、いずれの方法も実用性に乏しい方法である。
【0055】
そこで、工程数を変えることなく、ガス放出手段4を設ける箇所がこれ以外の周縁熱接着部S1とヒートシール強度が同じ強度であって、安定性に優れるガス放出手段について説明する。図5は本発明にかかる電池の外装体に設けるガス放出手段の一実施例を図解的に示す要部平面図であり、図1に対応した図であって、ガス放出手段4は周縁熱接着部S1の一部に周縁熱接着部S1から電池の外装体1の凹部U1側にV字状に突出したV字状突出熱接着部、いわゆる烏口形状からなるものである。このV字状熱接着部の要点としては、V字状突出熱接着部の突出角度が90度以下であって、V字状突出熱接着部の未接着領域M側の突出端部が周縁熱接着部S1の前記凹部U1側の端辺を結んだ線よりも前記凹部U1側に位置するように構成されているものである。このガス放出手段4はヒートシールバーを上記形状に加工したものを用いればよく、1回の熱接着で周縁熱接着部S(S1およびS2)を全て形成することができると共に周縁熱接着部S(S1およびS2)とV字状突出熱接着部からなるガス放出手段4とのヒートシール強度は同じ強度とすることができる。
【0056】
このように構成したV字状突出熱接着部からなるガス放出手段4は過充電などの異常により電池内部でガスが発生して内圧が上昇した際に、上昇した内圧で周縁熱接着部S1よりも早くV字状突出熱接着部の先端から徐々に熱接着性樹脂層60の熱接着した界面から剥離し、この剥離が未接着領域Mに達すると未接着領域Mにガスを逃がすことができ、さらに連通口から外部に逃がすことができる。
【0057】
次に、連通口5について説明する。前記連通口5としては、前記周縁熱接着部S2に設けた単なる未接着部であってもよいが、たとえば、図6に示すように、電池の外装体1,1’,1”を形成する包装材Hに用いる熱接着性樹脂層60の樹脂種により適宜選択して、ポリエチレン製ないしポリプロピレン製のチューブ5’を挿着した連通口5としてもよいものである。前記チューブ5’の挿着方法としては、たとえば、表面をテフロン(登録商標)樹脂でコーティングしたアルミニウム等の金属棒を予め挿入した前記チューブ5’を連通口5となる位置にセットして、周縁熱接着部S(S1およびS2)を形成するときに同時に設けてもよいし、また、連通口5を未接着状態で予め形成し、その後に表面をテフロン(登録商標)樹脂でコーティングしたアルミニウム等の金属棒を予め挿入した前記チューブ5’を挿入してヒートシールバーでヒートシールして設けてもよいものである。このように構成することにより、確実に開孔した連通口5とすることができる。また、前記チューブ5’は、たとえば、表出層をポリエチレンないしポリプロピレンの層とし、内層を、たとえば、これらの表出層より融点の高い樹脂層、具体的にはポリアミドの層とした多層共押出しのチューブを用いてもよく、この場合は表面をテフロン(登録商標)樹脂でコーティングしたアルミニウム等の金属棒を用いることなく、ヒートシールすることができると共に、金属棒を抜くことなく確実に開孔した連通口5とすることができる。前記チューブ5’の厚さとしては、概ね0.5〜3.0mmが適当である。
【符号の説明】
【0058】
1,1’,1” 電池の外装体
2 矩形状成形容器本体
3,3’ 蓋体
4 ガス放出手段
5 連通口
5’ チューブ
10 基材層
20,50 接着層
30 化成処理層
40 アルミニウム箔
60 熱接着性樹脂層
F フランジ部
H 包装材
M 未接着領域
S,S1,S2 周縁熱接着部
T 金属端子
U1 凹部
U2 凹み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四周縁にフランジ部を有する矩形状成形容器本体と、前記矩形状成形容器本体と略同じ大きさの蓋体とからなり、前記矩形状成形容器本体の凹部内に正極および負極を備えた電池要素を収納すると共に正極および負極の各々に接続された金属端子を前記フランジ部から外側に突出させ、前記蓋体で被覆すると共に前記フランジ部に設けた周縁熱接着部で密封した電池の外装体において、少なくとも一つの周縁に設けられた前記周縁熱接着部内に未接着領域を有し、前記未接着領域と前記矩形状成形容器本体の凹部とを区画する前記周縁熱接着部にガス放出手段を有し、前記未接着領域と外部とを区画する前記周縁熱接着部に前記未接着領域と外部とを連通する連通口が設けられていることを特徴とする電池の外装体。
【請求項2】
前記未接着領域を設ける前記フランジ部が幅広に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電池の外装体。
【請求項3】
前記未接着領域を設ける前記フランジ部は前記金属端子が突設されていないことを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の電池の外装体。
【請求項4】
前記矩形状成形容器本体は前記未接着領域に電池要素を収納する前記凹部と同じ側に形成された凹み部を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電池の外装体。
【請求項5】
前記蓋体が前記矩形状成形容器本体と略同じ形状の矩形状成形容器であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電池の外装体。
【請求項6】
前記矩形状成形容器本体の一つの端辺を介して前記蓋体が連接していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電池の外装体。
【請求項7】
前記蓋体および前記矩形状成形容器本体が少なくとも基材層と、アルミニウム箔と、化成処理層と、接着層と、熱接着性樹脂層とが順に積層された包装材からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電池の外装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−89532(P2012−89532A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22653(P2012−22653)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2005−158057(P2005−158057)の分割
【原出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】