説明

リニアアクチュエータ

【課題】スライドテーブルのストローク長の精度を悪化させず、また、ストローク長の調整作業を容易に行うことができるリニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】リニアガイド13の前端側にストローク調整機構15が設けられるとともに、ストローク調整機構15は、外側ボルト43及び内側ボルト44とを備え、外側ボルト43及び内側ボルト44は、ピストンロッドからの推力の中心軸線上に位置している。また、スライドテーブル14には、スライドテーブル14が突出方向へ移動されて外側ボルト43の後端面43aと当接するとともに、スライドテーブル14が没入方向へ移動されて内側ボルト44のフランジ部45と当接する当接プレート34が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダチューブから出没されるピストンロッドからの推力によってスライドテーブルが往復動するリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ワークを搬送するために、シリンダチューブから出没するピストンロッドによってスライドテーブルを往復動させるものとして、例えば特許文献1に開示の流体圧アクチュエータが挙げられる。特許文献1の流体圧アクチュエータにおいて、シリンダチューブの側面にはスライドテーブルがガイドによって往復動自在に支持されるとともに、両端部付近それぞれにはスライドテーブルの進行方向及び後退方向への移動を規制するためのストッパ用ブロックが装着されている。この一組のストッパ用ブロックは、シリンダチューブにおける同一の側面に互いに対向するように配置されている。また、ストッパ用ブロックには、ストローク調整ストッパを取り付けるための取付孔が形成されている。ストローク調整ストッパは、取付孔に螺入されたストッパボルトと、ストッパボルトの螺入量を調整するためのナットとから構成されている。
【0003】
一方、スライドテーブルの側面には当接ブロックが突設されるとともに、当接ブロックは両ストッパ用ブロックのストッパボルト間に配置されている。そして、各ストッパ用ブロックのストローク調整ストッパにおいて、ナットによってストッパボルトの螺入量を調整する。すると、流体圧アクチュエータの駆動時において、当接ブロックがストローク調整ストッパに当接することにより、スライドテーブルのそれ以上の移動が規制され、スライドテーブルのストローク長が決定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−9211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の流体圧アクチュエータでは、ストローク調整ストッパがシリンダチューブの側面に設けられている。このため、流体圧アクチュエータの駆動時において、当接ブロックがストローク調整ストッパに当接すると、ピストンロッドからの推力がモーメントとしてスライドテーブルからガイドに作用し、このモーメントによりガイドには偏荷重がかかって、スライドテーブルのストローク長が所望する値からずれてしまいストローク長の精度が悪化してしまう。
【0006】
また、特許文献1の流体圧アクチュエータでは、スライドテーブルの進行方向側及び後退方向側への移動を規制するため、一対のストローク調整ストッパがシリンダチューブにおける両端部に独立して設けられている。よって、特許文献1の流体圧アクチュエータにおいては、スライドテーブルのストローク長の調整を、流体圧アクチュエータの軸線方向に離れた2箇所で行う必要があり面倒であった。
【0007】
本発明は、スライドテーブルのストローク長の精度を悪化させず、また、ストローク長の調整作業を容易に行うことができるリニアアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、シリンダチューブから出没するピストンロッドからの推力により前記ピストンロッドの軸線方向に沿って往復動するスライドテーブルが、前記シリンダチューブに対して前記ピストンロッドの軸線方向に直列に連結されたリニアガイド上のガイドによって往復動可能に支持されたリニアアクチュエータであって、前記リニアガイドの先端部には、前記ピストンロッドからの推力の中心軸線に沿って移動可能であるとともに前記スライドテーブルにおける前記ピストンロッドの突出方向側への移動を規制する第1ストッパ部と、前記中心軸線に沿って移動可能であるとともに前記スライドテーブルにおける前記ピストンロッドの没入方向側への移動を規制する第2ストッパ部と、前記第1ストッパ部及び第2ストッパ部を支持する支持体と、を備えたストローク調整機構が設けられるとともに、前記スライドテーブルには、前記第1ストッパ部と当接可能な第1当接部と、前記第2ストッパ部と当接可能な第2当接部とが設けられていることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記ストローク調整機構は、前記リニアガイドの先端に前記ピストンロッドの軸線方向に沿って直列に連結された前記支持体としてのブロック体と、前記ブロック体の前記中心軸線上の位置に該中心軸線に沿って移動可能に支持されるとともに前記第1ストッパ部を有する第1ストローク調整部材と、前記第1ストローク調整部材に対し前記中心軸線に沿って移動可能に支持されるとともに前記第2ストッパ部を有する第2ストローク調整部材とから構成されることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記ブロック体において前記中心軸線上の位置には雌ねじ孔が形成されるとともに、前記第1ストローク調整部材は円筒状をなし、前記第1ストローク調整部材の外周面には前記雌ねじ孔と螺合可能な雄ねじが形成されるとともに、前記第1ストローク調整部材の内周面には雌ねじが形成され、前記第2ストローク調整部材は円柱状をなし、第2ストローク調整部材の周面には前記第1ストローク調整部材の雌ねじと螺合可能な雄ねじが形成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータにおいて、前記ピストンロッドが一本設けられるとともに、前記第1ストッパ部及び前記第2ストッパ部は前記ピストンロッドの軸線上に設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、スライドテーブルのストローク長の精度を悪化させず、また、ストローク長の調整作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態のリニアアクチュエータを示す斜視図。
【図2】リニアアクチュエータの横断面図。
【図3】図2におけるA−A線縦断面図。
【図4】(a)及び(b)はストローク調整機構を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいう場合は、特に説明がない限り、図1において矢印で示す「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいうものとする。
【0015】
図1に示すように、リニアアクチュエータ11は、扁平な四角柱形状のシリンダチューブ12を備えるとともに、シリンダチューブ12の前端(一端)側には、連結用ブロック17を介してリニアガイド13が連結されている。リニアガイド13にはスライドテーブル14が移動可能に支持されるとともに、リニアガイド13の先端部としての前端部(一端部)にはストローク調整機構15が設けられている。
【0016】
図2に示すように、シリンダチューブ12には前後方向に延びるようにシリンダ孔16が形成されている。シリンダ孔16における前方(一方)の開口は、シリンダチューブ12の前端に連結された連結用ブロック17によって封止されるとともに、シリンダ孔16における後方(他方)の開口は蓋部18によって封止されることでシリンダチューブ12内にシリンダ室19が区画形成されている。
【0017】
シリンダ室19内にはピストン20が収容されるとともに、このピストン20によりシリンダ室19内は、連結用ブロック17側の第1圧力作用室19aと蓋部18側の第2圧力作用室19bとに区画されている。ピストン20の外周面にはゴム製のOリング21が装着されるとともに、ピストン位置検出用の環状のマグネット22が装着されている。また、ピストン20の前端にはゴム等の弾性体からなる円環状のクッション部材23が装着されている。第1圧力作用室19aは、図示しない三方弁を介して圧力エア供給源に接続されるとともに、第2圧力作用室19bは、図示しない三方弁を介して圧力エア供給源に接続されている。
【0018】
ピストン20には、ピストンロッド24の基端に形成された突起部24aが嵌着されるとともに、ピストン20とピストンロッド24とが一体移動可能になっている。ピストンロッド24は、連結用ブロック17に形成された貫通孔17aを介してシリンダチューブ12外へ突出されている。そして、第2圧力作用室19bに圧力エアが供給されるとともに、第1圧力作用室19aから圧力エアが排出されると、ピストン20が突出方向(連結用ブロック17側)へ移動し、第1圧力作用室19aに圧力エアが供給されるとともに、第2圧力作用室19bから圧力エアが排出されると、ピストン20が没入方向(蓋部18側)へ移動する。
【0019】
シリンダチューブ12外へ突出されたピストンロッド24の先端面には筒形状のフローティング部材25がボルト26によって締め付け固定されている。フローティング部材25はスライドテーブル14の後端(他端)面に設けられたエンドプレート27と連結されている。よって、ピストン20とスライドテーブル14とは、ピストンロッド24、フローティング部材25、及びエンドプレート27を介して連結されている。そして、ピストン20の移動によるピストンロッド24からの推力の中心軸線は、ピストンロッド24の軸線L1と同一になっている。
【0020】
リニアガイド13は、連結用ブロック17を介してシリンダチューブ12に対して前後方向(ピストンロッド24の軸線L1方向)に沿って直列に連結された支持板30と、支持板30の上面にボルトB1によって締結されたガイドとしての一対のガイドレール31とを備えている。一対のガイドレール31は、前後方向に延びるように互いに平行に設けられている。また、一対のガイドレール31は、ピストンロッド24の軸線L1と平行に延びるように設けられている。
【0021】
図1に示すように、リニアガイド13上に設けられたスライドテーブル14は平面視矩形状に形成されるとともに、図1〜図3に示すように、スライドテーブル14の下面には、ボルトB2によって締結された一対の係合レール33が前後方向に延びるように互いに平行に設けられている。図2に示すように、一対の係合レール33は、左右方向(ピストンロッド24の軸線L1方向と直交する方向)において一対のガイドレール31の間に挟まれるように位置するとともに、一対のガイドレール31と平行な位置関係になっている。図3に示すように、一対のガイドレール31において、互いに対向する側面には複数のボールベアリング32が転動可能に支持されている。
【0022】
図1に示すように、スライドテーブル14の前端(一端)面には、ボルトB3により当接プレート34が固定されている。図2に示すように、当接プレート34におけるピストンロッド24の軸線L1上に対応する部位には挿通凹部35が形成されている。
【0023】
次に、ストローク調整機構15について説明する。
図2に示すように、ストローク調整機構15は、支持板30の先端たる前端(一端)に接合された支持体としてのブロック体41を備えている。ブロック体41におけるピストンロッド24の軸線L1上(ピストンロッド24からの推力の中心軸線上)に位置する部位には雌ねじ孔M1が形成されている。
【0024】
また、ストローク調整機構15は、雌ねじ孔M1に螺合された第1ストローク調整部材としての外側ボルト43を備えている。雌ねじ孔M1は、ピストンロッド24からの推力の中心軸線上に位置しているため、この雌ねじ孔M1に螺合された外側ボルト43もピストンロッド24からの推力の中心軸線上に位置している。
【0025】
外側ボルト43の外周面には雌ねじ孔M1に螺合された雄ねじM2が全周に亘って形成されている。また、外側ボルト43の内周面には雌ねじM3が全周に亘って形成されている。外側ボルト43における前後方向(軸線方向)の長さは、雌ねじ孔M1における前後軸線方向)の長さよりも長くなっている。外側ボルト43において、スライドテーブル14の当接プレート34に対向する端面たる後端面43aは、当接プレート34の前端面34aに当接して、スライドテーブル14の突出方向側への移動を規制する第1ストッパ部として機能する。よって、当接プレート34の前端面34aは、外側ボルト43の後端面43a(第1ストッパ部)に当接可能な第1当接部となっている。
【0026】
さらに、ストローク調整機構15は、外側ボルト43の雌ねじM3に螺合された第2ストローク調整部材としての内側ボルト44を備えている。ここで、外側ボルト43は、ピストンロッド24からの推力の中心軸線上に位置しているため、この外側ボルト43に螺合された内側ボルト44もピストンロッド24からの推力の中心軸線上に位置している。
【0027】
内側ボルト44の前端(一端)側には、外側ボルト43の雌ねじM3と螺合された雄ねじM4が全周に亘って形成されるとともに、後端(他端)には、雄ねじM4より大径をなす第2ストッパ部としてのフランジ部45が形成されている。内側ボルト44のフランジ部45は、当接プレート34の挿通凹部35を介して当接プレート34の裏側に配置されている。このフランジ部45には、スライドテーブル14の当接プレート34の後端面34bが当接して、スライドテーブル14の没入方向側への移動が規制されるようになっている。よって、当接プレート34の後端面34bは、内側ボルト44のフランジ部45に当接可能な第2当接部となっている。内側ボルト44が外側ボルト43と螺合された状態においては、内側ボルト44の先端が外側ボルト43から外部へ露出された状態となっている。
【0028】
外側ボルト43の雄ねじM2にはナットN1が螺合されており、このナットN1が外側ボルト43に対して締め付けられることにより、外側ボルト43の雌ねじ孔M1に対する螺進及び螺退が不可能になる。また、内側ボルト44の雄ねじM4にはナットN2が螺合されており、このナットN2が内側ボルト44に対して締め付けられることにより、内側ボルト44の外側ボルト43に対する螺進及び螺退が不可能になる。
【0029】
次に、上記構成のリニアアクチュエータ11における動作を説明する。
図2に示すように、ピストン20が蓋部18側に位置する状態において、第2圧力作用室19bに圧力エアが供給されるとともに、第1圧力作用室19aから圧力エアが排出されると、ピストン20が突出方向(連結用ブロック17側)へ移動する。このピストン20の移動に伴いピストンロッド24が突出方向へ移動して、このピストンロッド24からの推力がフローティング部材25及びエンドプレート27を介してスライドテーブル14に伝わり、スライドテーブル14は、係合レール33がガイドレール31によってガイドされながら突出方向へ移動する。
【0030】
すると、スライドテーブル14は、図4(a)に示すように、当接プレート34の後端面34bがフランジ部45に当接した状態から、外側ボルト43の後端面43a側に向かって移動して、図4(b)に示すように、当接プレート34の前端面34aが外側ボルト43の後端面43aに当接する。この当接により、スライドテーブル14における突出方向側への移動が規制される。
【0031】
ここで、外側ボルト43の後端面43aは、ピストンロッド24の軸線L1上、すなわち、ピストンロッド24からの推力の中心軸線上に位置しているため、当接プレート34の前端面34aが後端面43aに当接した際、ピストンロッド24からの推力は、その中心軸線の延長線上に位置する外側ボルト43に作用する。
【0032】
一方、ピストン20が連結用ブロック17側に位置する状態において、第1圧力作用室19aに圧力エアが供給されるとともに、第2圧力作用室19bから圧力エアが排出されると、ピストン20が没入方向(蓋部18側)へ移動する。このピストン20の移動に伴いピストンロッド24が没入方向へ移動して、このピストンロッド24の推力がフローティング部材25及びエンドプレート27を介してスライドテーブル14に伝わり、スライドテーブル14は、係合レール33がガイドレール31によってガイドされながら没入方向へ移動する。
【0033】
すると、スライドテーブル14は、図4(b)に示すように、当接プレート34の前端面34aが外側ボルト43の後端面43aに当接した状態から、フランジ部45側に向かって移動して、図4(a)に示すように、当接プレート34の後端面34bがフランジ部45に当接する。この当接により、スライドテーブル14における没入方向側への移動が規制される。
【0034】
ここで、内側ボルト44(フランジ部45)は、ピストンロッド24の軸線L1上、すなわち、ピストンロッド24からの推力の中心軸線上に位置しているため、当接プレート34の後端面34bがフランジ部45に当接した際に、ピストンロッド24からの推力は、その中心軸線の延長線上に位置するフランジ部45に作用する。
【0035】
さて、スライドテーブル14のストローク長を調整する作業手順としては、まず、ナットN1を緩め、外側ボルト43の後端面43aがスライドテーブル14における突出方向側への移動を規制する所望位置となるように、外側ボルト43を雌ねじ孔M1に対し螺進又は螺退させる。そして、外側ボルト43の後端面43aが所望位置に配置されたら、ナットN1を締め付けて外側ボルト43を固定する。
【0036】
次に、ナットN2を緩めて内側ボルト44を外側ボルト43に対し螺進又は螺退可能とし、フランジ部45がスライドテーブル14における没入方向側の移動を規制する所望位置となるように、内側ボルト44を外側ボルト43に対し螺進又は螺退させる。そして、フランジ部45が所望位置に配置されたら、ナットN2を締め付けて内側ボルト44を固定する。このようにして、スライドテーブル14のストローク長を調整する。
【0037】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)リニアガイド13の前端側にストローク調整機構15が設けられるとともに、ストローク調整機構15は、リニアガイド13の前端部に連結されたブロック体41と、このブロック体41の雌ねじ孔M1に螺合された外側ボルト43と、この外側ボルト43の雌ねじM3に螺合された内側ボルト44とを備えている。そして、スライドテーブル14が突出方向側へ移動するとスライドテーブル14に一体化された当接プレート34の前端面34aが外側ボルト43の後端面43aに当接するとともに、スライドテーブル14が没入方向へ移動すると当接プレート34の後端面34bがフランジ部45に当接する。このスライドテーブル14の突出方向及び没入方向での当接により、スライドテーブル14の移動範囲が規制され、スライドテーブル14のストローク長が決定される。ここで、雌ねじ孔M1、外側ボルト43及び内側ボルト44は、ピストンロッド24からの推力の中心軸線上(ピストンロッド24の軸線L1上)に位置しているため、ピストンロッド24からの推力は、その中心軸線上の延長線上にある外側ボルト43の後端面43a、又はフランジ部45に集中して作用する。よって、背景技術のようにスライドテーブル14のストローク調整ストッパがシリンダチューブ12の側面に設けられ、ピストンロッド24からの推力が、その推力の中心軸線から外れた位置に作用する場合と異なり、ピストンロッド24からの推力がスライドテーブル14からガイドレール31に偏荷重として作用することが防止できる。その結果として、スライドテーブル14のストローク長の精度が悪化してしまうことを防止することができる。
【0038】
(2)ストローク調整機構15は、リニアガイド13の前端側に纏めて設けられている。よって、スライドテーブル14における突出方向側への移動を規制するための作業と、スライドテーブル14における没入方向側への移動の規制するための作業とをリニアガイド13の前端側に纏めることができる。その結果、スライドテーブル14における突出方向側と没入方向側への移動を規制するための作業を2箇所で別々に行う場合と比べて、ストローク長の調整作業が容易となる。
【0039】
(3)外側ボルト43は、ブロック体41の雌ねじ孔M1に螺合されるとともに、内側ボルト44は外側ボルト43に螺合されている。よって、外側ボルト43を雌ねじ孔M1に対して螺進又は螺退するだけで、外側ボルト43の後端面43a(第1ストッパ部)の位置を調整することができ、スライドテーブル14における突出方向側への移動量の調整を容易に行うことができる。また、内側ボルト44を外側ボルト43に対して螺進又は螺退するだけで、フランジ部45(第2ストッパ部)の位置を調整することでき、スライドテーブル14における没入方向側への移動量の調整を容易に行うことができる。
【0040】
(4)外側ボルト43及び内側ボルト44は、ピストンロッド24の軸線L1上に設けられている。ピストンロッド24が一本のみ設けられる構成のリニアアクチュエータ11においては、スライドテーブル14に対して作用するピストンロッド24からの推力における中心軸線は、ピストンロッド24の軸線L1上になる。よって、外側ボルト43及び内側ボルト44をピストンロッド24の軸線L1上に設けることで、ピストンロッド24の推力が偏荷重としてリニアガイド13のガイドレール31に作用することを防止することができる。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、リニアアクチュエータ11を、ピストンロッド24を一本だけ備えるタイプとしたが、これに限らず、ピストンロッド24を複数本備えたタイプとしてもよい。この場合、雌ねじ孔M1、外側ボルト43及び内側ボルト44は、複数本のピストンロッド24からの推力の中心軸線上に位置するように配置する必要がある。
【0042】
○ 実施形態において、第1ストローク調整部材として外周面及び内周面に雄ねじM2及び雌ねじM3が形成された外側ボルト43を用いるとともに、第2ストローク調整部材として外周面に雄ねじM4が形成された内側ボルト44を用いて、外側ボルト43及び内側ボルト44がピストンロッド24の軸線L1上を移動可能としたが、これに限らない。
【0043】
例えば、ブロック体41において、ピストンロッド24からの推力の中心軸線上に雌ねじが形成されていない孔を形成する。また、この孔に対し、雄ねじM2及び雌ねじM3が形成されていない円筒部材(第1ストローク調整部材)を挿通し、円筒部材を推力の中心軸線に沿って移動可能に支持させる。この円筒部材において、当接プレート34に対向する後端面が第1ストッパ部となるとともに、円筒部材には軸線方向に沿って多数の透孔が形成されている。
【0044】
また、この円筒部材内に円柱部材(第2ストローク調整部材)を挿通するとともに、円柱部材を推力の中心軸線に沿って移動可能に支持させる。この円柱部材において、当接プレート34側には第2ストッパ部としてフランジ部45が形成されるとともに、円柱部材には軸線方向に沿って多数の透孔が形成されている。
【0045】
そして、貫通孔、円筒部材、及び円柱部材それぞれをピストンロッド24からの推力の中心軸線上に配置する。また、スライドテーブル14のストローク長を所望する値にするため、円筒部材の後端面及び円柱部材のフランジ部45を所定位置に位置決めする場合、円筒部材及び円柱部材の透孔には移動規制部材が挿通される。
【0046】
○ 実施形態において、スライドテーブル14に当接プレート34を別途設けたが、これに限らず、例えば、スライドテーブル14の前端を外側ボルト43の後端面43aと当接する第1当接部とするとともに、スライドテーブル14と一体的に形成された当接部をフランジ部45と当接する第2当接部としてもよい。
【0047】
○ 実施形態において、内側ボルト44の前端側に雄ねじM4を形成したが、これに限らず、内側ボルト44の外周面全体に亘って雄ねじM4を形成してもよい。
○ 実施形態において、第1圧力作用室19a及び第2圧力作用室19bには圧力エアが供給されたが、これに限らず、例えば、エア以外の気体、又は油等の液体であってもよい。
【0048】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記スライドテーブルには、前記第1当接部及び前記第2当接部の双方を有する当接部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。
【符号の説明】
【0049】
L1…軸線、M1…雌ねじ孔、M2,M4…雄ねじ、M3…雌ねじ、11…リニアアクチュエータ、12…シリンダチューブ、13…リニアガイド、14…スライドテーブル、15…ストローク調整機構、24…ピストンロッド、31…ガイドとしてのガイドレール、34a…第1当接部として機能する前端面、34b…第2当接部として機能する後端面、41…支持体としてのブロック体、43…第1ストローク調整部材としての外側ボルト、43a…第1ストッパ部として機能する後端面、44…第2ストローク調整部材としての内側ボルト、45…第2ストッパ部として機能するフランジ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブから出没するピストンロッドからの推力により前記ピストンロッドの軸線方向に沿って往復動するスライドテーブルが、前記シリンダチューブに対して前記ピストンロッドの軸線方向に直列に連結されたリニアガイド上のガイドによって往復動可能に支持されたリニアアクチュエータであって、
前記リニアガイドの先端部には、前記ピストンロッドからの推力の中心軸線に沿って移動可能であるとともに前記スライドテーブルにおける前記ピストンロッドの突出方向側への移動を規制する第1ストッパ部と、前記中心軸線に沿って移動可能であるとともに前記スライドテーブルにおける前記ピストンロッドの没入方向側への移動を規制する第2ストッパ部と、前記第1ストッパ部及び第2ストッパ部を支持する支持体と、を備えたストローク調整機構が設けられるとともに、
前記スライドテーブルには、前記第1ストッパ部と当接可能な第1当接部と、前記第2ストッパ部と当接可能な第2当接部とが設けられていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記ストローク調整機構は、前記リニアガイドの先端に前記ピストンロッドの軸線方向に沿って直列に連結された前記支持体としてのブロック体と、
前記ブロック体の前記中心軸線上の位置に該中心軸線に沿って移動可能に支持されるとともに前記第1ストッパ部を有する第1ストローク調整部材と、
前記第1ストローク調整部材に対し前記中心軸線に沿って移動可能に支持されるとともに前記第2ストッパ部を有する第2ストローク調整部材とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記ブロック体において前記中心軸線上の位置には雌ねじ孔が形成されるとともに、前記第1ストローク調整部材は円筒状をなし、前記第1ストローク調整部材の外周面には前記雌ねじ孔と螺合可能な雄ねじが形成されるとともに、前記第1ストローク調整部材の内周面には雌ねじが形成され、前記第2ストローク調整部材は円柱状をなし、第2ストローク調整部材の周面には前記第1ストローク調整部材の雌ねじと螺合可能な雄ねじが形成されていることを特徴とする請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記ピストンロッドが一本設けられるとともに、前記第1ストッパ部及び前記第2ストッパ部は前記ピストンロッドの軸線上に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate