説明

リニアコンベア及びその駆動制御方法

【課題】少ないデータ収集量で精度良く搬送台車を位置決めする。
【解決手段】リニアコンベアは、複数の電磁石26を含み、電磁石26毎に通電制御が可能なリニアモータ固定子7と、永久磁石44からなるリニアモータ可動子8を備える複数のスライダ4と、各電磁石26の通電制御を個別に行う複数のモータコントローラCとを備える。各モータコントローラCは、共通の測定治具を用いて予め測定された各スライダ4の移動誤差に基づいて定められた各スライダ4の位置補正用データが記憶されるデータ記憶部74を備えており、スライダ4を目標位置で停止させる際には、対象となるスライダ4の位置補正用データを用いて目標停止位置を補正し、この補正後の目標停止位置に基づいて電磁石26への通電制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータを駆動源とするリニアコンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リニアモータを駆動源として、基台上に敷設されたレールに沿って搬送台車(スライダ)を移動させるリニアコンベアが公知である(例えば、特許文献1)。この種のリニアコンベアは、その用途により搬送経路長が長い場合や、必要に応じて搬送台車の脱着が求められる場合があるため、前記リニアモータとしていわゆる可動磁石型リニアモータが適用される場合が多い。この可動磁石型リニアモータは、具体的には、電磁石(電機子)がリニアモータ固定子として基台上に固定される一方で、永久磁石がリニアモータ可動子として搬送台車に固定され、電磁石を構成するコイルへの電流供給が制御されることで搬送台車に推進力が与えられる。そして、搬送台車に固定されるスケールと基台側に配置される複数のセンサとからなるリニアスケールが組み込まれ、このリニアスケールによる位置検出に基づき前記コイルへの電流供給が制御されることで、特定位置への搬送台車の移動が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−98786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のリニアコンベアでは、ユーザによって求められる搬送経路の形態(直線状又は環状)や搬送経路長が異なり、また、後発的に搬送経路長や搬送台車の数を変更することが求められる場合がある。このようなニーズに容易に対応するためには、リニアコンベアをユニット化することが考えられる。例えば、前記基台、レール、電磁石及びリニアスケールのセンサを含むユニット部材を構成し、当該ユニット部材を連結してリニアコンベアを構成するとともに、電磁石(リニアモータ固定子)の電流供給を制御するモータ制御装置をユニット部材毎に個別に設けるのが合理的である。
【0005】
この場合、各搬送台車はそれぞれ、スケールの加工誤差や組立誤差などによる固有の移動誤差を有し、他方、ユニット部材のセンサもそれぞれ、組付誤差や特性差などによる固有の検出誤差を有する。そのため、ユニット化されたリニアコンベアにおいて精度良く搬送台車を位置決めするには、予め各ユニット部材における各搬送台車の移動誤差をそれぞれ調べておき、ユニット部材毎に、搬送台車に応じた移動誤差の補正を行う必要がある。
【0006】
しかしながら、この場合には、ユニット部材(モータ制御装置)の数に搬送台車の数を乗じた数の移動誤差データを予め取得する必要があり、その作業は決して容易ではない。また、搬送台車を後から追加する場合、既に設置、稼働しているリニアコンベアについて、そのユニット部材毎に搬送台車(新たに追加する搬送台車)の移動誤差を正確に調べることは困難である。従って、搬送台車を後から追加する場合には、当該搬送台車の位置決め精度を確保することが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、リニアモータ固定子を複数の区間に分割して個別に制御しながら、少ないデータ収集量で精度良く搬送台車を位置決めできるリニアコンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題に鑑み、出願人は、リニアモータ固定子を複数の区間(ユニット部材等)に分割して個別に制御するリニアコンベアについて、区間毎の各搬送台車の移動誤差を繰り返し収集し、種々の検討を重ねた。その結果、特定の2つの区間で収集した搬送台車の移動誤差データの差分を求めると、この差分データは、搬送台車に拘わらず略同等であることが分かり、この点に着目した。これは、特定の区間で収集した各搬送台車の移動誤差データを別の区間で用いた場合、当該別の区間における各搬送台車の絶対位置精度は必ずしも保証されるものではないが、搬送台車間の移動誤差を解消することは可能、つまり、各搬送台車を同じ位置に再現性良く位置決めすることは可能であることを意味する。
【0009】
本発明のリニアコンベアは、この点に着目してなされたものであり、所定の搬送経路に沿って配列される複数の電磁石を含み、かつ所定の区間毎に個別に通電制御を受けることが可能なリニアモータ固定子と、前記リニアモータ固定子と協働してリニアモータを構成する、永久磁石からなるリニアモータ可動子をそれぞれ備え、かつ前記搬送経路に沿って移動自在に設けられる複数の搬送台車と、前記各搬送台車にそれぞれ固定されるスケール部材及び前記スケール部材の検出が可能となるように配置される検出器とを含むリニアスケールと、前記リニアモータ固定子の前記各区間にそれぞれ対応して設けられ、前記検出器によるスケール部材の検出結果に基づき前記区間毎に前記電磁石の通電制御を行う複数のモータ制御装置と、前記搬送台車が有する固有の移動誤差を補正するためのデータであって、共通の測定治具を用いて予め測定された各搬送台車の移動誤差に基づきそれぞれ定められた各搬送台車の位置補正用データを記憶するデータ記憶手段と、を備え、前記複数のモータ制御装置はそれぞれ、目標停止位置で搬送台車を停止させるべく、前記データ記憶手段に記憶されている位置補正用データ又は当該位置補正用データを用いて処理された処理データの何れかを制御用データとして、当該制御用データを用いて前記電磁石の通電制御を行うものである。
【0010】
このリニアコンベアでは、各モータ制御装置はそれぞれ、データ記憶手段に記憶されている共通の位置補正用データ(又は位置補正用データを用いて処理された処理データ)を用いて担当する区間の電磁石の通電制御を行う。この構成によれば、予め収集するデータ、つまり位置補正用データの元となる各搬送台車の移動誤差データは、搬送台車の数分だけ収集すれば済むためデータ収集量が抑制される。しかも、このリニアコンベアによれば、上述の通り、各搬送台車を同じ位置に再現性良く位置決めすることが可能であるため、この点で、各搬送台車を精度良く位置決めすることもできる。
【0011】
なお、このリニアコンベアにおいては、データ記憶手段が各モータ制御装置に共通のものであり、各モータ制御装置がそれぞれデータ記憶手段の各搬送台車の位置補正用データを参照する構成であってもよいし、例えば、前記各モータ制御装置がそれぞれ前記データ記憶手段を備えており、前記各モータ制御装置がそれぞれ、自己のデータ記憶手段に記憶されている位置補正用データのうち対象となる搬送台車の位置補正用データを用いて前記電磁石の通電制御を行うものであってもよい。
【0012】
なお、上記のようなリニアコンベアにおいて、前記複数の搬送台車はそれぞれ、各自の前記位置補正用データが記憶された記憶媒体を備えており、当該リニアコンベアは、各搬送台車の前記記憶媒体に記憶されている前記位置補正用データを読み取り可能な読取手段をさらに備えており、前記データ記憶手段は、前記読取手段に読み取られた前記位置補正用データを記憶するものであるのが好適である。
【0013】
このようなリニアコンベアの構成によれば、各搬送台車の記憶媒体に記憶されている位置補正用データがそれぞれ前記読取手段に読み取られることで、各搬送台車の位置補正用データが前記データ記憶手段に記憶される。そのため、各搬送台車の位置補正用データを前記データ記憶手段に記憶させる作業を自動化することが可能となる。
【0014】
また、上記リニアコンベアは、前記搬送経路を形成するためのレール部材と当該レール部材に沿ってそれぞれ配置される前記電磁石とをそれぞれ含む複数のユニット部材を有し、これらユニット部材が前記レール部材の長手方向に直列に連結されていることにより、前記レール部材により前記搬送経路が形成されるとともに前記電磁石により前記リニアモータ固定子が形成されており、前記各モータ制御装置はそれぞれ、前記リニアモータ固定子の一区間として前記ユニット部材に含まれる前記電磁石の通電制御を行うものであってもよい。
【0015】
この構成によれば、リニアコンベアにおける搬送経路長の自由度が向上するとともに、後発的な搬送経路長の変更にも柔軟に対応することが可能となる。
【0016】
一方、本発明の搬送台車は、上記読取手段を備えるリニアコンベアに適用される搬送台車であって、前記搬送経路を構成するレール部材に対して着脱することが可能で、かつその装着状態で前記レール部材に移動自在に支持されるフレーム部材と、このフレーム部材にそれぞれ固定される前記リニアモータ可動子、前記スケール部材及び当該搬送台車の前記位置補正用データが記憶された前記記憶媒体と、を備えているものである。
【0017】
この搬送台車によれば、後発的にリニアコンベアに追加するだけで、先に使用されている他の搬送台車と同等の位置決め精度で運用することが可能となる。すなわち、リニアコンベアに追加されると、記憶媒体に記憶されている位置補正用データが前記読取手段によって読み取られてデータ記憶手段に記憶される。従って、当該搬送台車を位置決めする際には、各モータ制御装置がそれぞれデータ記憶手段に記憶されている当該搬送台車の位置補正用データを用いて電磁石の通電制御を行うこととなり、これにより当該搬送台車についても他の搬送台車と同等の精度で位置決めが行われることとなる。
【0018】
一方、本発明のリニアコンベアの駆動制御方法は、所定の搬送経路に沿って配列される複数の電磁石を含み、かつ所定の区間毎に個別に通電制御を受けることが可能なリニアモータ固定子と、永久磁石からなるリニアモータ可動子をそれぞれ備え、かつ前記搬送経路に沿って移動自在に設けられる複数の搬送台車と、前記各搬送台車にそれぞれ固定されるスケール部材及び前記スケール部材の検出が可能となるように配置される検出器とを含むリニアスケールと、を備えるリニアコンベアの前記各搬送台車の駆動制御方法であって、前記搬送台車が有する固有の移動誤差をそれぞれ共通の測定治具を用いて測定するデータ取得工程と、前記リニアモータ固定子の前記各区間それぞれに対応するように設けられるモータ制御装置を用い、前記検出器によるスケール部材の検出結果に基づき前記区間毎に前記電磁石の通電制御を行うことにより前記各搬送台車を移動させる搬送台車駆動工程と、を含み、この搬送台車駆動工程では、前記データ取得工程で取得された移動誤差データのうち対象となる搬送台車の移動誤差データ又はこの移動誤差データを用いて処理された処理データの何れかを制御用データとして、当該制御用データを用いて前記モータ制御装置に前記電磁石の通電制御を行わせるものである。
【0019】
この方法では、各モータ制御装置はそれぞれ、データ取得工程で取得された共通の移動誤差データ(又はこの移動誤差データを用いて処理された処理データ)を用いて担当する区間の電磁石の通電制御を行う。この方法によれば、予め収集する移動誤差データは、搬送台車の数だけ収集すれば済むためデータ収集量が抑制される。しかも、上述の通り、各搬送台車を同じ位置に再現性良く位置決めすることが可能であるため、この点で、各搬送台車を精度良く位置決めすることもできる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、予め収集するデータが搬送台車の数の移動誤差データだけで済むためデータ収集量が抑制される。しかも、各搬送台車を同じ位置に再現性良く位置決めすることが可能であるため、この点で、搬送台車を精度良く位置決めすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るリニアコンベアの全体像を示す斜視図である。
【図2】リニアコンベアの搬送経路(直線搬送部)を示す斜視図である。
【図3】リニアコンベアを構成するユニット部材を示す斜視図である。
【図4】ユニット部材を示す正面図である。
【図5】ユニット部材及びスライダを示す側面図である。
【図6】位置補正用データの一例を示す図(グラフ)である。
【図7】スライダの移動誤差を測定するための治具の一例を示す模式図である。
【図8】リニアコンベアの制御系を示す配線図である。
【図9】モータコントローラの機能構成を示すブロック図である。
【図10】固有情報の読み取り及び配布の処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】リニアコンベアにおけるスライダの制御例を示すフローチャートである。
【図12】スライダの制御例を説明するためのリニアコンベアの正面略図である。
【図13】複数のスライダについて異なる2つの区間で移動誤差を測定した結果を示す図(グラフ)である。
【図14】同一のスライダについて異なる区間で測定した位置誤差データの差分をとった結果を示す図(グラフ)である。
【図15】リニアコンベアにおけるスライダの制御例を示すフローチャートである。
【図16】リニアコンベアにおけるスライダの制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0023】
図1は、本発明に係るリニアコンベアの全体を斜視図で示している。同図中には、水平面上で互いに直交する二方向(X方向、Y方向)を方向指標として図示している。
【0024】
同図に示すように、リニアコンベアは、基台1と、この基台1上に設けられ、特定方向(X方向)に互いに平行に延びる一対の直線搬送部(第1直線搬送部2A、第2直線搬送部2B)及びこれら直線搬送部2A、2Bの長手方向両側にそれぞれ位置する方向反転部(第1方向反転部3A、第2方向反転部3B)と、前記各直線搬送部2A、2Bに沿って移動する複数のスライダ4(本発明の搬送台車に相当する)とを備えている。
【0025】
各直線搬送部2A、2Bは、前記スライダ4をX方向に移動させるものであり、それぞれX方向に延びるレール6を備え、当該レール6に沿ってスライダ4を移動させる。各方向反転部3A、3Bは、両直線搬送部2A、2Bの末端位置でそれらの一方から他方にスライダ4を平行移動させることでスライダ4の移動方向を反転させるものである。すなわち、このリニアコンベアでは、各スライダ4は、同図中の白抜き矢印で示すように、第1直線搬送部2Aの一端側(X方向(+)側)から他端側(X方向(−)側)に向かって移動し、第1方向反転部3Aにより第1直線搬送部2Aから第2直線搬送部2Bに移される。そして、第2直線搬送部2Bの一端側(X方向(−)側)から他端側(X方向(+)側)に向かって移動した後、第2方向反転部3Bによって第2直線搬送部2Bから第1直線搬送部2Aに移される。これにより、各スライダ4が周回移動する構成となっている。
【0026】
各方向反転部3A、3Bは、以下のような構成を備える。ここでは、第1方向反転部3Aについて説明する。
【0027】
第1方向反転部3Aは、上流側に位置する第1直線搬送部2Aのレール6に連続するレール12を有しかつ第1直線搬送部2Aからスライダ4を受け入れる受入部P2と、下流側に位置する第2直線搬送部2Bのレール6に連続するレール11を有しかつ第2直線搬送部2Bに対してスライダ4を送り出す送出部P1と、スライダ4の支持部14を有し、かつこの支持部14に支持されたスライダ4を当該支持部14と共に前記受入部P2に対応する位置(図示の位置)と前記送出部P1に対応する位置とに亘ってY方向にスライドさせるスライド機構15と、受入部P2にあるスライダ4をスライド機構15の前記支持部14に引き込む引込機構16と、前記支持部14に支持されているスライダ4を当該支持部14から送出部P1に引き出し、さらにこの送出部P1から第2直線搬送部2Bに押し出す送出機構18とを含む。
【0028】
つまり、第1直線搬送部2Aの末端位置に到達したスライダ4は、当該末端位置から第1方向反転部3Aの受入部P2に受け入れられ、引込機構16によって受入部P2からスライド機構15の支持部14に引き込まれる。その後、スライダ4は、スライド機構15の作動により支持部14と共に送出部P1に対応する位置に平行移動し、送出機構18の作動により、当該支持部14から送出部P1に引き出された後、第2直線搬送部2Bに押し出される。このように、第1方向反転部3Aは、各スライダ4を第1直線搬送部2Aから第2直線搬送部2Bに移すことで、スライダ4の移動方向を反転させる。
【0029】
以上は第1方向反転部3Aの構成であるが、第2方向反転部3Bも、第2直線搬送部2Bからスライダ4を受入部P2に受け入れる点、及び送出部P1から第1直線搬送部2Aにスライダ4を送り出す点が異なるだけで、第1方向反転部3Aと同等の構成を有する。
【0030】
なお、このリニアコンベアでは、第2方向反転部3Bにおいてスライダ4の着脱が許容されている。具体的には、送出部P1の前記レール11に新たなスライダ4を装着することで、搬送経路内に追加的にスライダ4を挿入することができ(図1参照)、また、受入部P2の前記レール12に受け入れられたスライダ4を、当該レール12から引き出すことにより当該スライダ4を搬送経路から取り外すことが可能となっている。この構成により、このリニアコンベアでは、搬送経路内のスライダ4の数を変更することが可能となっている。
【0031】
前記各スライダ4は、各直線搬送部2A、2Bにおいて、リニアモータを駆動源として駆動される。このリニアモータは、各直線搬送部2A、2Bに備えられるリニアモータ固定子7と、各スライダ4に備えられる後記リニアモータ可動子8とからなる。以下、この点を含め、各直線搬送部2A、2B及びスライダ4の具体的な構成について図2〜図5を用いて説明する。なお、各直線搬送部2A、2Bの基本構成は略同一であるため、ここでは、第1直線搬送部2Aについて説明する。
【0032】
第1直線搬送部2Aは、図2に示すように、複数個のユニット部材20がX方向に連結されることにより構成されている。当例では、4つのユニット部材20が連結されることにより第1直線搬送部2Aが構成されている。
【0033】
各ユニット部材20は、図3〜図5に示すように、X方向に延びる細長のフレーム22と、このフレーム22に固定される単位レール24、電磁石26及びセンサ基板28とを含む。
【0034】
フレーム22は、X方向に延びる長方形状の底板部23aと、この底板部23aの上方に位置し、X方向に延びる長方形状の上板部23cと、これら板部23a、23cの間で上下方向に延び当該板部23a、23c同士をそれらの長手方向に亘って連結する連結部23bとを備え、これら各部23a〜23cがアルミニウム合金により一体に形成されている。そして、このフレーム22の上板部23cの上面に、当該上板部23cの長手方向と同方向に延びるように前記単位レール24が固定され、さらに、この上板部23cの上面であって前記単位レール24の後側(Y方向(−)側)の位置に、複数の電磁石26が当該単位レール24に沿って一列(直列)に配列された状態で固定されている。当例では、同一構造をもつ4つの電磁石26が固定されている。これら電磁石26は、前記リニアモータ固定子7を構成するものであり、それぞれX方向に一列に並ぶ複数のコイルを含む。
【0035】
フレーム22の前記連結部23bには、図5に示すように、複数の前記センサ基板28が固定されている。当例では、前記電磁石26と同様に4つのセンサ基板28が固定されている。具体的には、前記単位レール24に沿って一列(直列)に配列された状態で、連結部23bの側壁に沿って起立姿勢で連結部23bに固定されている。
【0036】
これらセンサ基板28(本発明の検出器に相当する)は、各スライダ4に固定される後記磁気スケール50a〜50cと協働してリニアスケール(磁気式リニアスケール)を構成するものであり、各電磁石26が配置された区間においてそれぞれ磁気スケール50a〜50cを検出するように、各電磁石26のそれぞれ前側(Y方向(+)側)に配置されている。すなわち、このユニット部材20は、長手方向(X方向)に四等分された1区間がリニアモータの1制御区間とされ、各区間にそれぞれ、その区間と同等の長さ寸法を有する電磁石26が固定されている。そして、後述するように、区間毎に後記モータコントローラCが設けられ、センサ基板28による磁気スケール50a〜50cの検出に基づき、区間毎の電磁石26に対する電流供給がモータコントローラCにより個別に制御されるようになっている。なお、当例では、ユニット部材20の全長(X方向の全長)は640mmとされ、従って、前記1制御区間(電磁石26)の全長は160mmである。
【0037】
前記センサ基板28は、図4に示すように、上下方向に並ぶ3つのセンサ領域30a〜30c(上側から順に第1センサ領域30a、第2センサ領域30b、第3センサ領域30cと称す)を有する。各センサ領域30a〜30cにはそれぞれ、磁気スケール50a〜50cを検出可能なホール素子、又MR素子からなる一乃至複数個の磁気センサ32が設けられ、これら磁気センサ32がX方向に所定の配列で固定されている。
【0038】
各センサ領域30a〜30cにおける磁気センサ32の配置や数は各センサ基板28の間で共通であり、各磁気センサ32は、後述する磁気スケール50a〜50cを検出することにより、その磁束密度に応じた出力電圧(振幅)の信号を出力する。
【0039】
なお、前記ユニット部材20において、センサ基板28の前側(Y方向(+)側)の位置であって、移動中のスライダ4の後記フレーム40(垂下部41b)の下方の位置には、前記電磁石26及びセンサ基板28の配線接続部34が設けられている。
【0040】
この配線接続部34は、フレーム22の前記連結部23bの前方の位置において前記底板部23aに立設される固定プレート35と、この固定プレート35にそれぞれ保持される、前記電磁石26の配線用コネクタ27及び前記センサ基板28の配線用コネクタ29とを含む。これら各コネクタ27、29は、それぞれ電磁石26及びセンサ基板28から導出された配線材の末端に設けられており、相手側コネクタとの接続が可能となるように、前記固定プレート35に前向きに固定されている。
【0041】
当例では、右端(図4で右端)から数えて1番目と3番目の各センサ基板28の前側の位置にそれぞれ前記配線接続部34が設けられており、互いに隣接する2つの電磁石26の配線用コネクタ27がそれぞれ共通の配線接続部34の固定プレート35に保持されている。また、センサ基板28の配線用コネクタ29については、互いに隣接する2つのセンサ基板28について共通の1の配線用コネクタ29が設けられており、この配線用コネクタ29が各配線接続部34の固定プレート35に保持されている。
【0042】
前記第1直線搬送部2Aは、以上のような4つのユニット部材20が長手方向に直列に突き合わされた状態で配列され(連結され)、各フレーム22の底板部23aがそれぞれ前記基台1にボルト等の固定手段によって固定されることにより構成されている。そして、このように4つのユニット部材20が連結されることで、各ユニット部材20の前記単位レール24がX方向に連続して上記レール6が構成されるとともに、同様に前記電磁石26がX方向に連続して上記リニアモータ固定子7が構成されている。
【0043】
以上、第1直線搬送部2Aの構成について説明したが、第2直線搬送部2Bも、第1直線搬送部2Aと同等の構成を有している。
【0044】
前記スライダ4は、図3〜図5に示すように、フレーム40と、このフレーム40にそれぞれ固定される、ガイドブロック42、リニアモータ可動子8、磁気スケール50a〜50c及びRF(Radio Frequency)タグ55とを含む。
【0045】
前記フレーム40は、スライダ4の母体となるものでありX方向に細長い形状を有する。詳しくは、このフレーム40は、前記直線搬送部2A、2Bのレール6の上方に位置する矩形板状の水平部41aと、この水平部41aの幅方向前側(Y方向の(+)側)から垂下し、前記センサ基板28に対向するように位置する矩形板状の垂直部41bとを有した断面逆L字型の形状を有し、これら水平部41aと垂直部41bとがアルミニウム合金により一体に形成されている。
【0046】
前記水平部41aの上面には、テーブル(パレット)や工具等を固定することが可能な複数のねじ孔が所定の配列で設けられている。この水平部41aの下面には、ガイドブロック42が固定され、このガイドブロック42が前記レール6に装着されることにより、スライダ4が当該レール6に移動自在に支持されている。このガイドブロック42及び前記レール6(単位レール24)は、例えばリニアガイドにより構成されている。
【0047】
前記水平部41aの下面のうち前記ガイドブロック42の後側(Y方向(−)側)の位置、詳しくは、直線搬送部2A、2Bのリニアモータ固定子7(ユニット部材20の電磁石26)に対向する位置には、前記リニアモータ可動子8が固定されている。このリニアモータ可動子8は、前記水平部41aの下面に固定される板状のヨーク45と、X方向(スライダ4の移動方向)に一列に配列された状態で前記ヨーク45の下面に固定される板状の複数の永久磁石44とを含む。これら永久磁石44は、下面にN極とS極とが交互に現れるように配列されている。つまり、後記モータコントローラCによって互いに位相が異なるu相、v相、w相のうちの何れかの相の電流が前記リニアモータ固定子7(電磁石26)のコイルに供給されることで、当該コイルに生じる磁束と永久磁石44の磁束との相互作用によりフレーム40に推進力が生成され、この推進力によりスライダ4が前記レール6に沿って移動する。
【0048】
前記磁気スケール50a〜50c(本発明のスケール部材に相当する)は、前記センサ基板28に対向するように、フレーム40の前記垂直部41bの内側面(図5の右側面)に固定されている。
【0049】
各磁気スケール50a〜50cは上下に並んでおり(上側から第1磁気スケール50a、第2磁気スケール50b、第3磁気スケール50cと称す)、第1磁気スケール50aは前記第1センサ領域30aに、第2磁気スケール50bは前記第2センサ領域30bに、第3磁気スケール50cは第3センサ領域30cにそれぞれ対向している。
【0050】
詳細図を省略するが、各磁気スケール50a〜50cはそれぞれ、特定のスケール長内に永久磁石52がX方向に一列に、かつセンサ基板28側にN極とS極とが交互に現れるように構成されている。
【0051】
そして、スライダ4の移動中、各センサ領域30a〜30cの磁気センサ32が対応する磁気スケール50a〜50cを検出することで、スライダ4の位置を検出するための所定の信号が前記センサ基板28から出力されるように、各磁気スケール50a〜50cの永久磁石52の数及び配列や各センサ領域30a〜30cの磁気センサ32の数及び配列が設定されるとともに、前記センサ基板28の基板上回路が構成されている。具体的には、第1センサ領域30aの磁気センサ32による第1磁気スケール50aの検出に基づき、A相の正弦波信号及びこれと振幅及び周期が同じで位相が90°だけずれたB相の正弦波信号がセンサ基板28から出力され、また、第2センサ領域30bの磁気センサ32による第2磁気スケール50bの検出に基づき、Z相の信号がセンサ基板28から出力され、さらに、第3センサ領域30cの磁気センサ32による第3磁気スケール50cの検出に基づき、上記A相、B相よりも周期が長く、互いに位相がずれた同一振幅をもつ複数の波形信号がセンサ基板28から出力されるように、各磁気スケール50a〜50cの永久磁石52の数及び配列や各センサ領域30a〜30cの磁気センサ32の数及び配列が設定されるとともに前記センサ基板28の基板上回路が構成されている。この構成により、リニアコンベアの稼動中は、前記センサ基板28からの入力信号に基づきモータコントローラCがスライダ4の位置を検出するとともに当該検出位置に基づき前記センサ基板28(リニアモータ固定子7)への電流供給を制御することで、スライダ4を所定速度で移動させるとともに所定の目標停止位置で停止させる。
【0052】
なお、図5中、符号56は、フレーム40の垂直部41bに固定されるスケールカバーであり、このスケールカバー56は、前記磁気スケール50a〜50cを覆うことで当該磁気スケール50a〜50cを保護する。また、符号58は、前記ユニット部材20のフレーム22に固定されるセンサカバー58であり、当該センサカバー58は、前記センサ基板28を覆うことで当該センサ基板28を保護する。これらカバー56、58は、何れもアルミニウム合金で形成されている。なお、図3、図4では、上記各カバー56、58を省略した状態でリニアコンベアを示している。
【0053】
前記RFタグ55は、フレーム40の前記垂直部41bの外側面(図5の左側面)であって、当該垂直部41bの長手方向(X方向)及び上下方向の各中間の位置に固定されている。このRFタグ55には、そのスライダ4の固有情報が記憶されている。具体的には、スライダ4のID情報(識別データ)と、当該スライダ4が有する固有の移動誤差を補正するための位置補正用データとが記憶されている。当例では、この位置補正用データとして、図6に示すような移動誤差データが記憶されている。このデータは、例えば図7に示すように、前記ユニット部材20と同等の構成であって1つのセンサ基板28を備えるマスタユニット部材MUとレーザ測長器LMとを備える測定治具を用い、マスタユニット部材MU上の所定移動起点からスライダ4を移動させた時のセンサ基板28の出力によって求まるスライダ4の位置とレーザ測長器LMにより求められるスライダ4の位置(絶対位置)との誤差を1制御区間(160mm)について求めたものである。各スライダ4の位置補正用データ(=移動誤差データ)は共通の測定治具によって測定されている。
【0054】
一方、このリニアコンベアには、各スライダ4のRFタグ55に記録された固有情報を非接触で読み出し又は書き変え可能なリーダライタ60(図8に示す)が配置されている。このリーダライタ60は、リニアコンベアの搬送起点の近傍に配置されている。当例では、第1直線搬送部2Aの上流側の端部が搬送基点であり、リーダライタ60は、この搬送基点にスライダ4を送り出す送出部P1(第2方向反転部3Bの送出部P1)の側部に配置されている。
【0055】
なお、当例では、フレーム40及びガイドブロック42が本発明のフレーム部材に相当し、前記RFタグ55が本発明の記憶媒体に相当する。また、リーダライタ60が本発明の読取手段に相当する。
【0056】
次に、上記リニアコンベアの制御系について説明する。図8は、上記リニアコンベアの制御系を示す配線図である。同図に示すように、リニアコンベアは、前記直線搬送部2A、2Bのリニアモータを制御するための複数のモータコントローラC(C1、C2…;本発明のモータ制御装置に相当する)を備える。このリニアコンベアでは、上記の通り、ユニット部材20の前記1制御区間毎に独立した電磁石26が配備されており、この1制御区間毎に電磁石26に対する電流供給がモータコントローラCによって制御される。従って、各直線搬送部2A、2Bがそれぞれ4つのユニット部材20を含む当該リニアコンベアは、合計32個のモータコントローラCを備える。各モータコントローラCは、それぞれLAN(Local Area Network)62に接続されており、これにより各モータコントローラCがデータ送信可能となるように互いに連結されている。また、このリニアコンベアの搬送起点(第1直線搬送部2Aの上流側の端部)を基準として最上流側に位置する制御区間の電磁石26、すなわち、第1直線搬送部2Aを構成する最上流側(図8の右端)のユニット部材20の最も上流側に位置する電磁石26の電流供給を制御するモータコントローラCには上記リーダライタ60が接続されている。なお、以下の説明において、モータコントローラCを制御区間毎に区別する必要がある場合には、この最上流側に位置するモータコントローラから順に、第1コントローラC1、第2コントローラC2、第3コントローラC3……第32コントローラC32と称する。
【0057】
リニアコンベアは、さらにその動作を起動するためのPLC(Programmable Logic Controller)65を備えている。このPLC65は、第1コントローラC1に接続されており、第1コントローラC1に対してその内部プログラムを起動させるための信号を出力する。この信号入力に基づき、第1コントローラC1は、後述するように、内部プログラムを起動し、当該プログラムに組み込まれるスライダ4の停止位置(目標停止位置)や移動速度等の情報に基づき、他のコントローラC2〜C32を制御する。なお、前記各方向反転部3A、3Bについては、モータコントローラCとは別個独立したコントローラが設けられており、前記スライド機構15、引込機構16及び送出機構18の駆動が当該コントローラにより独立して制御される。
【0058】
図9は、モータコントローラC(第1コントローラC1)の機能構成をブロック図で示している。この第1コントローラC1は、CPUや各種メモリが搭載された回路基板等からなり、その機能構成として、電流制御部71、主演算部72、位置検出部73、データ記憶部74、入出力部75、通信制御部76等を含む。
【0059】
前記主演算部72は、電流制御部71を介して前記電磁石26への電流供給を制御するもので、前記PLC65からの信号入力に基づき、当該主演算部72に付設される図外のプログラム記憶部に記憶されるプログラムを実行し、このプログラムに組み込まれるスライダ4の停止位置(目標停止位置)や移動速度等の情報に基づき電磁石26への電流供給を制御するとともに、当該制御に必要な演算処理を行う。
【0060】
前記位置検出部73は、入出力部75を介して入力される前記センサ基板28からの信号に基づいてスライダ4の位置を検出するものである。
【0061】
前記データ記憶部74は、リーダライタ60が読み取った各スライダ4の固有情報を記憶するとともに、各スライダ4の搬送経路上での配列順序を記憶するものである。なお、前記主演算部72は、スライダ4の目標停止位置がこの第1コントローラC1が制御負担する区間内である場合には、データ記憶部74内の当該スライダ4の位置補正用データを参照し、この位置補正用データに基づき目標停止位置データを補正し、補正後の目標停止位置データに従って電磁石26への電流供給を制御する。
【0062】
前記通信制御部76は、当該第1コントローラC1と他のコントローラC2〜C32との間のデータ送信を制御するものである。
【0063】
以上、ここでは、モータコントローラCのうち第1コントローラC1の機能構成について説明したが、内部プログラムにスライダ4の停止位置(目標停止位置)や移動速度等の情報が組み込まれている点、及びPLC65からの信号やリーダライタ60が読み取ったスライダ4の固有情報が直接入力される点以外は、他のコントローラC2、C3…も略共通の構成を有している。
【0064】
次に、このリニアコンベアの上記リニアモータの制御について説明する。
【0065】
まず、各スライダ4の固有情報の読み取り及び配布の処理について説明する。このリニアコンベアでは、上記のようにリニアモータは直線搬送部2A、2Bの1制御区間毎にモータコントローラCにより制御される。従って、スライダ4を精度良く位置決めするには、各モータコントローラCが各スライダ4の位置補正用データを参照できる環境が必要であり、このリニアコンベアでは、図10に示すフローチャートに従って、各モータコントローラCがその位置補正用データを取得する。
【0066】
まず、スライダ4が搬送起点(第2方向反転部3Bの送出部P1)に配置されると、第1コントローラC1(主演算部72)が、前記リーダライタ60を介して当該スライダ4のRFタグ55に記憶されているID情報を読み込む(ステップS1)。第1コントローラC1は、このID情報が新しいか否か、すなわち当該スライダ4の位置補正用データが既に取得済みであるか否かを判断する(ステップS3)。ここでYESと判断した場合には、第1コントローラC1は、リーダライタ60を介して当該スライダ4の位置補正用データをさらに読み込み、この位置補正用データをID情報と対応付けてデータ記憶部74に格納し(ステップS5)、さらに当該位置補正用データをそのID情報と共にLAN62経由で他のコントローラC2〜C32に伝送する(ステップS7)。その後、各コントローラC1〜C32は、当該スライダ4の配列順番(挿入順番)をデータ記憶部74に記憶する(ステップS9)。なお、ステップS3の処理で、ID情報が新しいものでないと判断した場合には、第1コントローラC1は、前記リーダライタ60を介して読み取ったスライダ4のID情報のみを他のコントローラC2〜C32に伝送する。これにより第1コントローラC1及び他のコントローラC2〜C32は、スライダ4の配列順番(挿入順番)データを更新する(ステップS9)。
【0067】
このリニアコンベアは、初期設置される際に、第2方向反転部3Bの送出部P1からスライダ4が順番に搬送経路内に挿入される(図1、図8参照)。従って、各モータコントローラCはそれぞれ、上記ステップS1〜S9の処理により、リニアコンベア内を周回移動するスライダ4の配列順番及び各スライダ4の位置補正用データを保有することになる。なお、上記ステップS1〜S9の処理はリニアコンベアの稼働後も継続的に実行される。従って、新たなスライダ4が搬送経路内に追加的に挿入された場合でも、各モータコントローラCはそれぞれ、追加されたスライダ4の位置補正用データを保有し、また、最新の配列順番のデータを保有することになる。
【0068】
次に、各モータコントローラCによるリニアモータの制御動作について、図11のフローチャートに従って説明する。
【0069】
まず、PLC65からの信号入力により第1コントローラC1のプログラムが起動され、これにより第1コントローラC1によってスライダ4の目標停止位置が決定される(ステップS11)。第1コントローラC1は、この目標停止位置データをLAN62経由で他のコントローラC2〜C32に転送する(ステップS13)。
【0070】
各モータコントローラC(主演算部72)は、この目標停止位置データと既知の設計データ、すなわちユニット部材20の全長(640mm)及び1制御区間長(160mm)に基づき、目標停止位置が自己の制御区間に属するか否かを認識する(ステップS15)。
【0071】
自己の制御区間に目標停止位置が属すると認識したモータコントローラCは、データ記憶部74の記憶データに基づき、目標停止位置に停止させるスライダ4を特定して、そのスライダ4の位置補正用データ(図6参照)を参照し、目標停止位置を補正する(ステップS17)。この際、各モータコントローラC(主演算部72)は、前記LAN62を経由して搬送経路上のスライダ4の配置状況を参照し、その結果と、リーダライタ60に読み取られる識別データ(図9のステップS1で読み取られる識別データ)と、前記データ記憶部74に記憶されている配列順番データとに基づき、対象となるスライダ4を特定する。
【0072】
このように目標停止位置が補正されると、自己の制御区間にスライダ4の目標停止位置が属すると認識したモータコントローラCは、センサ基板28からの入力信号とこの補正後の目標停止位置とに基づき電磁石26の電流供給を制御する(ステップS19)。
【0073】
以上のステップS11〜S19の制御動作を具体的に説明すると次の通りである。例えば、図11に示すように、搬送起点からX=240mmの地点に停止しているスライダ4について目標停止位置(X=880.55mm)が決定された場合を仮定する。この場合には、搬送起点から2つめのユニット部材20のうち上流側から2番目の制御区間に目標停止位置が属する。従って、当該制御区間に対応する第6コントローラC6は、目標停止位置が自己の制御区間に属すると認識する(ステップS11〜S15の処理)。
【0074】
第6コントローラC6は、目標停止位置が自己の制御区間のどの位置になるかを求める。具体的には、第6コントローラC6は、搬送起点から目標停止位置(X=880.55mm)までの距離を1制御区間(160mm)の距離で除することにより、自己の制御区間内での目標停止位置(80.55mm)を求める。そして、対象となるスライダ4の位置補正用データの当該目標停止位置の誤差(例えば−0.02mm)を加算することにより、目標停止位置を補正する(80.53mm=80.55+(−0.02))(ステップS17の処理)。
【0075】
これにより、第6コントローラC6は、その制御区間に属するセンサ基板28からの入力信号と補正後の目標停止位置(80.53mm)とに基づき電磁石26の電流供給を制御する(ステップS19の処理)。
【0076】
以上のようなリニアコンベアによれば、複数のユニット部材20が連結されることにより直線搬送部2A、2Bが構成され、また、細分化された1制御区間毎にリニアモータが個別のモータコントローラCにより駆動制御される構成であるため、搬送経路長の自由度が高い。従って、用途に応じて搬送経路長を自由に設定できるとともに、後発的な搬送経路長の変更についても容易に対応することが可能となる。
【0077】
そして、各スライダ4にそれぞれ、固有の移動誤差を補正するための位置補正用データを記憶したRFタグ55が搭載され、リーダライタ60により上記位置補正用データが読み取られて各モータコントローラCに伝送、記憶されることにより、スライダ4の駆動時には、各モータコントローラCがそれぞれスライダ4に対応する位置補正用データを用いて目標停止位置を補正した上で各スライダ4の駆動を制御する。すなわち、電磁石26への電流供給を制御する。従って、上記のように複数のモータコントローラCを用いてサーボモータを制御する構成でありながらも、各スライダ4をそれらの固有の移動誤差を加味しつつ精度良く位置決めすることが可能となる。
【0078】
特に、このリニアコンベアでは、上記のように、予め測定治具で測定された各スライダ4の移動誤差データを各スライダ4の位置補正用データとし、この共通の位置補正用データを用いて各モータコントローラCがそれぞれ担当する制御区間の電流供給を制御するので、予め収集する移動誤差データの数が増大することを効果的に抑制することができる。具体的には、スライダ4の数の移動誤差データを収集するだけで各スライダ4を精度良く位置決めすることができる。正確には、定められた目標停止位置に各スライダ4を再現性良く正確に位置決めすることができる。この点について詳しく説明すると、当該リニアモータでは、上記の通り、各モータコントローラCはそれぞれ、担当する制御区間のセンサ基板28からの信号入力に基づきスライダ4の位置を把握しながら電磁石26への電流供給を制御する。この場合、スライダ4側のみならず直線搬送部2A、2B側のセンサ基板28にも個体差(取り付け誤差や特性差)があるため、図13に示すように、制御区間毎に生じるスライダ4の実際の位置誤差は必ずしも同じではなく、センサ基板28側の個体差の影響を受けて、制御区間毎に異なる位置誤差が生じる(同図は、三台のスライダ4(A〜C)についてそれぞれ、互いに異なる2つの制御区間で移動誤差を測定した例を示しており、左側が特定の区間1、右側が特定の区間2での測定データをそれぞれ示している)。従って、本来であれば、スライダ4の位置補正用データとして、制御区間毎にそれぞれ個別の位置補正用データを準備する必要がある。つまり、制御区間数にスライダ4の数を乗じた数の移動誤差データを収集する必要があり、例えばスライダ4が10個の場合、当例では制御区間が32区間あるため、合計320台分のスライダ4の移動誤差データを収集する必要がある。
【0079】
しかし、図13に示す位置補正用データ(移動誤差データ)について、同一のスライダ4の異なる制御区間で測定した位置誤差データの差分をとってみると、図14に示すように、何れのスライダ4についても略同等の結果となることが分かる。これは、共通の測定治具で収集した各スライダ4の移動誤差データ(位置補正用データ)を用いて直線搬送部2A、2B上でスライダ4を制御した場合、各制御区間におけるスライダ4の絶対位置精度は必ずしも保証されるものではないが、スライダ4間の移動誤差を解消することは可能、つまり、各スライダ4を特定の位置に再現性良く位置決めすることができることを意味する。従って、各スライダ4の位置補正用データとして予め測定治具で測定された共通の移動誤差データを用いて各モータコントローラCがサーボモータ(リニアモータ固定子7)の担当区間の制御を行う上記のリニアコンベアによれば、予め収集する移動誤差データ量が増大することを効果的に抑えながら、定められた目標停止位置に各スライダ4を再現性良く正確に位置決めすることが可能となる。
【0080】
また、このように各モータコントローラCが、予め測定治具で測定された各スライダ4の移動誤差データを共通の位置補正用データとして用いてリニアモータを制御する構成によれば、後発的にスライダ4を追加する場合でも、前記測定治具を用いてスライダ4の移動誤差を測定し、そのRFタグ55に位置補正用データ(移動誤差データ)を記憶させれば、当該スライダ4をリニアコンベアに挿入するだけで、既存のスライダ4と同様に、定められた目標停止位置に各スライダ4を再現性良く正確に位置決めすることができる。従って、工場等に既に設置され稼働しているリニアコンベアに対しても、簡単、かつ速やかにスライダ4を追加して運用することが可能になるという利点もある。
【0081】
(リニアモータの制御の変形例)
なお、上述したリニアコンベアでは、各スライダ4の位置補正用データ及び配列順番データを各モータコントローラCに記憶させておくが、各スライダ4の位置補正用データ及び配列順番データを第1コントローラC1にのみ記憶させておく構成であってもよい。以下、この場合の各モータコントローラCによるリニアモータの制御動作について、図15のフローチャートに従って説明する。なお、前提として、当該制御の場合には、図10のフローチャートのステップS7の処理は省略される。
【0082】
まず、PLC65からの信号入力により第1コントローラC1のプログラムが起動され、目標停止位置が決定されると(ステップS21)、第1コントローラC1は、データ記憶部74に記憶されたデータに基づき、そのスライダ4の位置補正用データを参照し、目標停止位置の補正値を算出する(ステップS23)。その後、目標停止位置及び補正値の各データをLAN62経由で他のコントローラC2〜C32に伝送する(ステップS25)。
【0083】
各モータコントローラC(主演算部72)は、目標停止位置データに基づき自己の制御区間に目標停止位置が属するか否かを認識し(ステップS27)、自己の制御区間に目標停止位置が属すると認識したモータコントローラCは、前記補正値データに基づき、目標停止位置を補正する(ステップS29)。
【0084】
これにより、自己の制御区間に目標停止位置が属すると認識したモータコントローラCは、その制御区間に属するセンサ基板28からの入力信号とこの補正後の目標停止位置に基づき電磁石26の電流供給を制御する(ステップS31)。
【0085】
以上のステップS21〜S31の制御動作を、図12に示した例に基づき具体的に説明すると次の通りである。
【0086】
まず、第1コントローラC1は、目標停止位置が制御区間のどの位置になるかを求める。具体的には、搬送起点から目標停止位置(X=880.55mm)までの距離を1制御区間(160mm)の距離で除することにより、制御区間内での目標停止位置(80.55mm)を求める。そして、対象となるスライダ4の位置補正用データを参照し、当該目標停止位置の誤差、すなわち補正値(例えば−0.02mm)を求め、目標停止位置(X=880.55mm)及び補正値(−0.02mm)の各データを各コントローラC2〜C32に伝送する(ステップS21〜S25の処理)。この際、第1コントローラC1(主演算部72)は、前記LAN62を経由して搬送経路上のスライダ4の配置状況を参照し、その結果と、リーダライタ60に読み取られる識別データ(図9のステップS1で読み取られる識別データ)と、前記データ記憶部74に記憶されている配列順番データとに基づいて、対象となるスライダ4を特定する。
【0087】
次に、各モータコントローラCは、目標停止位置が自己の制御区間に属するかを判断する(ステップS27の処理)。ここでは、目標停止位置(X=880.55mm)は、搬送起点から2つめのユニット部材20のうち上流側から2番目の制御区間に目標停止位置が属するため、当該制御区間に対応する第6コントローラC6は、目標停止位置が自己の制御区間に属すると認識する。また、第6コントローラC6は、目標停止位置データ(X=880.55mm)から自己の制御区間内での目標停止位置(80.55mm)を求め、この目標停止位置を補正値データ(−0.02mm)で補正する(80.53mm=80.55+(−0.02))(ステップS29の処理)。
【0088】
これにより、第6コントローラC6は、補正後の目標停止位置(80.53mm)に基づき電磁石26に対する電流供給を制御する(ステップS31の処理)。
【0089】
この図15に示す制御によれば、全てのスライダ4の位置補正用データを各モータコントローラCに記憶させる場合に比べると、第1コントローラC1以外のコントローラC2〜C32におけるデータ記憶部74の記憶容量を抑制することができるとともに、LAN62経由で伝送するデータ量を抑制することが可能となる。
【0090】
なお、この図15に示す制御のさらに変形例として、図16に示すフローチャートに従ってサーボモータを制御するようにしてもよい。このフローチャートは、図15のステップS25に変えてステップS24、S26を追加し、さらに図15のステップS29を省略したものである。すなわち、このフローチャートでは、ステップS23において、第1コントローラC1が補正値を求めた後、さらに当該第1コントローラC1がこの補正値に基づき目標停止位置を補正し(ステップS24)、この補正後の目標停止位置データをLAN62経由で他のコントローラC2〜C32に伝送する(ステップS26)。そして、各モータコントローラCは、この補正後の目標停止位置データに基づき自己の制御区間に目標停止位置が属するか否かを認識し(ステップS27)、自己の制御区間に目標停止位置が属すると認識したモータコントローラCは、この目標停止位置に基づき電磁石26に対する電流供給を制御する(ステップS31)。
【0091】
図12に示した例に基づき具体的に説明すると、第1コントローラC1は、目標停止位置の誤差、すなわち補正値(例えば−0.02mm)を求めた後、目標停止位置(X=880.55mm)をこの補正値(−0.02mm)により補正する(880.53mm=880.55+(−0.02))(ステップS21、S23の処理)。
【0092】
そして、この補正後の目標停止位置データ(X′=880.53mm)を他のコントローラC2〜C32に伝送する(ステップS26の処理)。
【0093】
各モータコントローラCは、この補正後の目標停止位置が自己の制御区間に属するかを判断する(ステップS27の処理)。ここでは、目標停止位置(X′=880.53mm)は、搬送起点から2つめのユニット部材20のうち上流側から2番目の制御区間に目標停止位置が属するため、当該制御区間に対応する第6コントローラC6は、目標停止位置が自己の制御区間に属すると認識する。
【0094】
これにより、第6コントローラC6は、目標停止位置データ(X′=880.53mm)からその制御区間内での目標停止位置(80.53mm)を求め、この目標停止位置に基づき電磁石26の電流供給を制御する(ステップS31の処理)。
【0095】
このような図16のフローチャートに示すサーボモータの制御の場合も、図15のフローチャートの制御の場合と同様の作用効果を享受することができる。
【0096】
なお、上述した本発明の実施形態においては、図7の測定治具を用いて各スライダ4の各移動誤差を測定しその移動誤差データを取得することが本発明のリニアコンベアの駆動制御方法におけるデータ取得工程に相当し、図11(ステップS15〜S19)、図15(ステップS27〜S31)及び図16(ステップS27、S31)の各処理が同方法における搬送台車駆動工程に相当する。
【0097】
ところで、以上説明したリニアコンベアは、本発明に係るリニアコンベアの好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0098】
例えば、上記実施形態(図10のフローチャート)では、リニアコンベアの搬送起点に配置したリーダライタ60で各スライダ4の位置補正用データを読み取り、当該データを各モータコントローラCに記憶させることで、各モータコントローラCが各スライダ4の位置補正用データを用いて目標停止位置を補正するが、直線搬送部2A、2Bの各制御区間それぞれにリーダライタ60を配置し、各モータコントローラCが直接リーダライタ60を介して制御すべきスライダ4の位置補正用データを読み取れるようにしてもよい。このような構成によれば、目標停止位置とスライダ4のID情報さえ与えられれば、各モータコントローラCは、直接スライダ4を特定してそのRFタグ55から位置補正用データを読み出して目標停止位置を補正することができる、従って、上記実施形態のリニアコンベアと同等の作用効果を享受することができる。但し、この場合には、多数のリーダライタ60が必要となるため、コスト面やメンテナンス面を考慮すると上記実施形態のように共通のリーダライタ60により各スライダ4の位置補正用データ等を読み取る方が有利でとなる。
【0099】
また、上記実施形態のリニアコンベアは、水平面に沿ってスライダ4が周回移動するように搬送経路が形成されているが、垂直面に沿ってスライダ4が周回移動するように搬送経路が形成されるものであってもよい。つまり、第1直線搬送部2Aと第2直線搬送部2Bとが上下方向に離間して配置され、これら直線搬送部2A、2Bの間で上下方向にスライダ4を平行移動させるように各方向反転部3A、3Bが構成されるものでもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、リニアコンベアは、互いに平行な2つの直線搬送部2A、2Bの両側にそれぞれ方向反転部3A、3Bが配置された構成であるが、例えば単一の直線搬送部と、この直線搬送部の終端位置に到達したスライダ4を始端位置に戻すベルトコンベア等の運搬手段とを備えた構成であってもよい。運搬手段は、直動型ロボット等であってもよい。
【0101】
また、上記実施形態のリニアコンベアでは、RFタグ55を用いてスライダ4に固有情報を記憶させ、当該情報を非接触式のリーダライタ60によって読み取っているが、スライダ4における固有情報の記憶手段や、当該記憶手段から固有情報を読み取る読取手段の具体的な構成は、当該実施例のものに限らず種々適用可能である。
【0102】
また、上記実施形態のリニアコンベアは、環状の搬送経路に沿ってスライダ4が周回移動する構成であるが、勿論、搬送経路は直線状のものであってもよい。すなわち、直線状の搬送経路上に配置された複数のスライダ4がそれぞれ割り当てられた一定の領域内で一体的に同方向に進退移動する、又は個別に進退移動するような構成であってもよい。
【0103】
また、上記のリニアコンベアでは、各直線搬送部2A、2Bを構成するユニット部材20は、4つの制御区間(電磁石26)を含むが、この制御区間の数は4つ未満、又は5つ以上であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態のリニアコンベアでは、リニアスケールとして磁気式のリニアスケールが適用されているが、勿論、光学式のリニアスケール等、磁気式以外のリニアスケールが適用されるものであってもよい。
【0105】
また、上記実施形態のリニアコンベアでは、複数のユニット部材20が連結されることにより各直線搬送部2A、2Bが構成されているが、例えば、直線搬送部2A(又は2B)の長手方向全域に亘って連続する単一のフレームを備え、このフレームに複数の電磁石26及び複数のセンサ基板28がそれぞれ一列に配列された状態で固定される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 基台
2A 第1直線搬送部
2B 第2直線搬送部
3A 第1方向反転部
3B 第2方向反転部
4 スライダ(搬送台車)
6 レール
7 リニアモータ固定子
8 リニアモータ可動子
20 ユニット部材
26 電磁石
28 センサ基板(検出器)
50a〜50c 磁気スケール(スケール部材)
71 電流制御部
72 主演算部
73 位置検出部
74 データ記憶部
75 入出力部
76 通信制御部
C(C1〜C32) モータコントローラ(モータ制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リニアコンベアであって、
所定の搬送経路に沿って配列される複数の電磁石を含み、かつ所定の区間毎に個別に通電制御を受けることが可能なリニアモータ固定子と、
前記リニアモータ固定子と協働してリニアモータを構成する、永久磁石からなるリニアモータ可動子をそれぞれ備え、かつ前記搬送経路に沿って移動自在に設けられる複数の搬送台車と、
前記各搬送台車にそれぞれ固定されるスケール部材及び前記スケール部材の検出が可能となるように配置される検出器とを含むリニアスケールと、
前記リニアモータ固定子の前記各区間にそれぞれ対応して設けられ、前記検出器によるスケール部材の検出結果に基づき前記区間毎に前記電磁石の通電制御を行う複数のモータ制御装置と、
前記搬送台車が有する固有の移動誤差を補正するためのデータであって、共通の測定治具を用いて予め測定された各搬送台車の移動誤差に基づきそれぞれ定められた各搬送台車の位置補正用データを記憶するデータ記憶手段と、を備え、
前記複数のモータ制御装置はそれぞれ、目標停止位置で搬送台車を停止させるべく、前記データ記憶手段に記憶されている位置補正用データ又は当該位置補正用データを用いて処理された処理データの何れかを制御用データとして、当該制御用データを用いて前記電磁石の通電制御を行う、ことを特徴とするリニアコンベア。
【請求項2】
請求項1に記載のリニアコンベアであって、
前記各モータ制御装置がそれぞれ前記データ記憶手段を備えており、
前記各モータ制御装置はそれぞれ、自己のデータ記憶手段に記憶されている位置補正用データのうち対象となる搬送台車の位置補正用データを用いて前記電磁石の通電制御を行う、ことを特徴とするリニアコンベア。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリニアコンベアにおいて、
前記複数の搬送台車はそれぞれ、各自の前記位置補正用データが記憶された記憶媒体を備えており、
当該リニアコンベアは、各搬送台車の前記記憶媒体に記憶されている前記位置補正用データを読み取り可能な読取手段をさらに備えており、
前記データ記憶手段は、前記読取手段に読み取られた前記位置補正用データを記憶することを特徴とするリニアコンベア。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のリニアコンベアにおいて、
前記搬送経路を形成するためのレール部材と当該レール部材に沿ってそれぞれ配置される前記電磁石とをそれぞれ含む複数のユニット部材を有し、これらユニット部材が前記レール部材の長手方向に直列に連結されていることにより、前記レール部材により前記搬送経路が形成されるとともに前記電磁石により前記リニアモータ固定子が形成されており、
前記各モータ制御装置はそれぞれ、前記リニアモータ固定子の一区間として前記ユニット部材に含まれる前記電磁石の通電制御を行う、ことを特徴とするリニアコンベア。
【請求項5】
請求項3に記載のリニアコンベアに適用される搬送台車であって、
前記搬送経路を構成するレール部材に対して着脱することが可能で、かつその装着状態で前記レール部材に移動自在に支持されるフレーム部材と、
このフレーム部材にそれぞれ固定される前記リニアモータ可動子、前記スケール部材及び当該搬送台車の前記位置補正用データが記憶された前記記憶媒体と、を備えていることを特徴とする搬送台車。
【請求項6】
所定の搬送経路に沿って配列される複数の電磁石を含み、かつ所定の区間毎に個別に通電制御を受けることが可能なリニアモータ固定子と、永久磁石からなるリニアモータ可動子をそれぞれ備え、かつ前記搬送経路に沿って移動自在に設けられる複数の搬送台車と、前記各搬送台車にそれぞれ固定されるスケール部材及び前記スケール部材の検出が可能となるように配置される検出器とを含むリニアスケールと、を備えるリニアコンベアの前記各搬送台車の駆動制御方法であって、
前記搬送台車が有する固有の移動誤差をそれぞれ共通の測定治具を用いて測定するデータ取得工程と、
前記リニアモータ固定子の前記各区間それぞれに対応するように設けられるモータ制御装置を用い、前記検出器によるスケール部材の検出結果に基づき前記区間毎に前記電磁石の通電制御を行うことにより前記各搬送台車を移動させる搬送台車駆動工程と、を含み、
この搬送台車駆動工程では、前記データ取得工程で取得された移動誤差データのうち対象となる搬送台車の移動誤差データ又はこの移動誤差データを用いて処理された処理データの何れかを制御用データとし、当該制御用データを用いて前記モータ制御装置に前記電磁石の通電制御を行わせる、ことを特徴とするリニアコンベアの駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−102570(P2013−102570A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243890(P2011−243890)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】