リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械
その上に人間が座ることに適合したシート(105)と、シートに対して動くことに適合した少なくとも一つの伸展装置(230)と、人間のバランス状態の指標を生成する少なくとも一つのセンサ(130)と、少なくとも一つのセンサを使用してバランス状態を測定している間に伸展装置を動かすことに適合した制御装置(150)とをもつリハビリテーション椅子システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【関連発明】
【0001】
本願は、2004年2月5日に出願された米国仮出願第60/542,022号、2004年4月29日に出願された米国仮出願第60/566,079号、2004年12月7日に出願された米国仮出願第60/633,428号、2004年12月7日に出願された米国仮出願第60/633,429号、及び2004年12月7日に出願された米国仮出願第60/633,442号の米国特許法119条(e)に基づく利益を主張するものであり、これらの開示内容は参照により本願に取り込まれるものである。
【0002】
本願はまた、本願と同一の出願人によって同日に出願された、「歩行リハビリテーション方法及び器械」、「音楽リハビリテーション」、「神経筋刺激」、「精密運動制御リハビリテーション」、「リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械」、「リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械」、「リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械」と題し、それぞれ代理人整理番号第414/04391号、414/04396号、414/04400号、414/04401号、414/04213号、414/04213号、414/04404、及び414/04405号を有するPCT出願にも関連する。これらの出願の開示内容は参照により本願に組み込まれるものである。
【技術分野】
【0003】
本発明は、例えば、理学リハビリテーション、及び/又はバランス障害のリハビリテーション、及び/又は体部位のトレーニング、及び/又は疼痛治療、及び/又は運動等の体部位のマニピュレーションに関連する。
【背景技術】
【0004】
事故や負傷あるいは脳卒中の後、一部の身体機能が損傷を受けていると、損傷を受けた身体機能の一部または全てを取り戻すために、しばしばリハビリテーション過程が必要となる。
【0005】
リハビリテーションは、理学リハビリテーションと認知リハビリテーションの一方若しくは両方を含む。理学リハビリテーションは、損傷した体部位(筋肉など)の物理的機能を回復させようとするものである。認知リハビリテーションは、身体を制御するための認知能力を回復させようとするものである。
【0006】
理学リハビリテーションは、現在は主に、一定の運動を行う患者を観察・指導する理学療法士の個別の対応によって提供されている。従って、リハビリテーションの費用は高く、患者が治療施設を退院した後のコンプライアンスは比較的に低い。
【0007】
幾つかの家庭用理学療法装置が知られており、例えば、脊柱の連続他動運動(「CPM」)を提供し、また背中の疼痛を緩和するためにも使用される、「バックライフ」と称される製品(2004年11月において、(www.backlife.com)に記載されている)などがある。
【0008】
事故や脳卒中あるいは負傷がバランス障害を引き起こすことがある。バランス障害は、前庭器(内耳の中央に位置する)への損傷、中枢神経系(「CNS」)への損傷、及び/又は、姿勢及び筋力の障害によって生じる。
【0009】
バランス障害を発見して分類するための、観察による、あるいはコンピュータ制御によるバランス検査が開発されている。バランス障害を治療するためには、バランス・トレーニング運動が利用される。既知のバランス・トレーニング運動には、「座位から立ち上がる」、「片脚で立つ」、及び「床から物を拾えるように前に屈む」というものである。バランス・トレーニングは、膨張式バランス・ディスク、フォーム・ローラー、ワブルボード、フォームパッド、ミニ・トランポリン、その他の不安定な表面といった簡単な用具を利用することができる。ワブルボードを利用した運動は、例えば「ワブルボードの上でバランスを保ちながら、小さな軽いボールを捕って投げる」というものでもよい。
【0010】
次の3つの特許、米国特許第5,269,318号、米国特許第5,476,103号、及び「バランス障害の診断及びリハビリテーションのための方法及び器械」と題するWIPO公報第WO 98/46127号は、バランス検査及び/又は運動の協調に関連する。
【0011】
幾つかの企業がバランス測定及び/又はバランス治療装置を開発した。ニューロコム社(www.neurocom.com)は、幾つかのリハビリテーション用装置を有している。ニューロコム社のスマート・バランス・マスターは、体平衡(posturograpy)トレーニング装置である。これはコンピュータ・モニタに連結された動くプラットフォームを利用している。(www.medfitsystems.com)に掲載のK.A.T.(Kinesthetic Ability Trainer:運動感覚トレーニング装置)は、バランス検査及び/又はバランス・トレーニングに使用される。別の既知の装置としては、マイクロメディカル・テクノロジーズ社(www.micromedical.com)のバランスクエストとシステム2000がある。システム2000は、回転前庭椅子である。
【0012】
「バランス・トレーニング装置」と題する米国出願公開第2002/115536号には、シートを有し、乗馬運動を行う装置が記載されている。
【0013】
リハビリテーション・システムは、Motek B. V.に付与された米国特許第6,774,885号、及び(www.e-motek.com)にも記載されている。CAREN(コンピュータ支援リハビリテーション環境)が米国特許第6,774,885号に記載されている。CARENは、バランス及び協調障害の検査及び分析を支援する。
【0014】
「バランス板を備えた対話式装置」と題する特許第EP 0 862 930号には、平衡能力のトレーニング及びリハビリテーションのためのバランス板が記載されている。
【0015】
本特許出願において言及する全ての特許その他の出願公開の開示内容は、参照により本願に取り込まれるものである。
【発明の開示】
【0016】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、患者が座位のまま行うリハビリテーションに関する。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が座っているときに、患者の身体部分を感知し及び/又は動かすリハビリテーション椅子システムが提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子は選択的に不安定になっている。任意選択的に、椅子はバランス能力をリハビリテーションするために使用される。
【0017】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子システムは、人間が座ることに適したシートと、前記シートに対して動くことに適合している少なくとも一つの伸展装置(例えば、伸長可能な及び/又はロボットアームのようなジョイントをもつ要素)と、前記人間のバランス状態の指標を生成する少なくとも一つのセンサと、センサを使用してバランス状態を測定しながら伸展装置を動かすことに適合している制御装置と、からなる。
【0018】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーションはバランスを失わずに体部位を動かすことを含む。任意選択的に、椅子システムはバランスを失わないように患者を支援する。
【0019】
本発明の一部の実施形態の一つの特有な特徴は、バランス・トレーニングが実際の運動感覚のフィードバックを提供する標的を含むことである。ある例では、標的は動くロボットアームである。このロボットアームに一度到達すると、これを握り、またこれに寄り掛かることができる。そのような運動に関連する力も測定することができる。代替的に又は付加的に、バランス又は非バランス活動中に、患者と椅子の可動部間の直接的な機械的接触が患者に彼の運動感覚を教えることを支援してもよく、及び/又は支持を提供してもよい。代替的に又は付加的に、身体的動作の使用は、脳卒中と関連する様々な認知に関する問題を回避するために有用である。
【0020】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、例えば小さな診療所や、家庭、オフィス、野外、又は仕事場などの場所で使用する持ち運びのできるリハビリテーション・システムに関連する。
【0021】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子システムはプログラムに従って制御される。任意選択的に、複数の患者の測定結果と検査結果を使用して、プログラムが案出される。
【0022】
本発明の一つの例示的な実施形態において、複数の異なるトレーニング・プログラムを再定義(設定)することができる。任意選択的に、プログラムは患者のパラメータに合わせて作られている。例示的なパラメータには、身体の大きさや年齢がある。
【0023】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、バランス障害の治療及び/又はリハビリテーションに関連する。本発明の一つの例示的な実施形態において、そのような障害は、問題のある体部位に特有の運動、各体部位を協調させる運動、及び/又は、複雑さが軽減されたバランス課題が椅子によってサポートされる運動、を使用したリハビリテーションによって治療される。
【0024】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、複数の負荷領域(例えば、足部に加えて少なくとも一つの負荷領域)が測定される、バランスのリハビリテーションに関連する。本発明の一つの例示的な実施形態において、傾いた腕に加わる負荷が測定される。代替的に又は付加的に、臀部に加わる負荷が測定される。
【0025】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、対話式リハビリテーションに関連する。対話式リハビリテーションでは、複雑な課題が連続的な副課題に分けられ、副課題の最中にフィードバックを提供することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、人がより遠くに到達するほどバランス保持がより複雑になる到達課題が提供される。到達が向上すると、バランスに関連するフィードバックが任意選択的に提供される。
【0026】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、背痛などの身体の疼痛の治療及び/又は予防に関連する。本発明の一つの例示的な実施形態において、支持された姿勢のまま、背中、及び/又は関連する筋肉、及び/又は骨の各部を運動させるために、椅子システムを使用することができる。任意選択的に、そのような運動は腰部の手術後の患者に適している。任意選択的に、脊柱のCPM動作がサポートされる。
【0027】
このようにして、本発明の一つの例示的な実施形態により、その上に人間が座ることに適合したシートと、前記シートに対して動くことに適合した少なくとも一つの伸展装置と、前記人間のバランス状態の指標を生成する少なくとも一つのセンサと、前記センサを使用して前記バランス状態を測定している間に前記伸展装置を動かすように構成された制御装置と、からなるリハビリテーション椅子システムが提供される。
【0028】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、リハビリテーションを必要とする人間の体部位を特定することと、体肢に連結されることに適合した可動部を含む椅子システムを使用して前記体部位の少なくとも一つを運動させることと、からなるリハビリテーション方法も提供される。任意選択的に、必要なリハビリテーションと運動は、バランス・リハビリテーションを目的とする。
【0029】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、その上に人間が座るのに適合したシートと、前記シートに対して動くことに適合した少なくとも一つの伸展装置と、前記人間のバランス状態の指標を生成する少なくとも一つのセンサと、前記少なくとも一つのセンサを使用して前記バランス状態を測定している間に前記伸展装置を動かすように構成された制御装置と、からなるリハビリテーション椅子システムも提供される。任意選択的に、前記伸展装置は前記シートに機械的に連結されている。代替的に又は付加的に、前記制御装置は前記バランス状態に応じて前記伸展装置を動かす。代替的に又は付加的に、前記制御装置は前記伸展装置を動かして、バランス状態の応答変化を測定する。代替的に又は付加的に、前記シートは該シートの面外で回転することに適合している。
【0030】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記シートは背もたれを備える。任意選択的に、前記背もたれはジョイントで連結されている。代替的に又は付加的に、前記背もたれは、その垂直軸の周りを回転する。
【0031】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記シートは、前記回転に抵抗することに適合している。
【0032】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記シートは、動力で少なくとも10cm持ち上がることに適合している。
【0033】
本発明の一つの例示的な実施形態において、システムは、人間の少なくとも一つの脚を、その脚が置かれている床から持ち上げることに適合している、少なくとも一つの脚移動装置を備える。任意選択的に、システムは、少なくとも一つの第2の脚を前記床から持ち上げることに適合している、少なくとも一つの第2の脚移動装置を備える。任意選択的に、前記複数の脚移動装置は、一緒に固定されることに適合している。代替的に又は付加的に、前記複数の脚移動装置は、独立に動くことができる。
【0034】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのバランスセンサは、人間の足部用の少なくとも一つの圧力マットを含む。
【0035】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子のアームレストのための少なくとも一つの圧力センサを含む。
【0036】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、臀部用のシート上に配置される少なくとも一つの圧力センサを含む。
【0037】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子の近くにあるテーブル上に配置される少なくとも一つの圧力センサを含む。
【0038】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、椅子に座っている人に対して対称的に配置される少なくとも2つの圧力センサを含む。
【0039】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、少なくとも4つの空間的に分離した圧力センサを含む。
【0040】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記制御装置は、その制御装置内に記憶されたリハビリテーション計画に従って前記伸展装置を駆動する。
【0041】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記制御装置は、その制御装置内に記憶されたリハビリテーション計画に従って前記シートを駆動する。
【0042】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、回転角(φ)及び仰角(θ)に対する共通の回転中心をもつジョイントと、前記ジョイント上に備え付けられたシートと、前記リハビリテーション計画に従って、前記シートを駆動することと、前記シートの回転を測定することと、のうち少なくとも一つを実行することに適合している制御装置と、からなるリハビリテーション・システムも提供される。
【0043】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、その上に人間が座ることに適合した椅子と、前記椅子に座っている人間の少なくとも一つの脚を持ち上げることに適合しているリフト機構と、前記人間の脊柱が操作されるように、前記人間の前記少なくとも一つの脚を繰り返し持ち上げるように前記リフト機構を制御することに適合している制御装置と、からなるリハビリテーション・システムも提供される。
【0044】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、ロボット支援装置に連結された椅子に人を座らせることと、前記装置のロボット支援を伴って、前記人に対して少なくとも一つのリハビリテーション運動を実行することと、からなり、前記運動はバランスをリハビリテーションするようにデザインされており、前記ロボット支援は、前記ロボット支援によって推進力を提供することと、前記ロボット支援によって動作に障害を提供すること、のうち少なくとも一つを含む、人のリハビリテーション方法も提供される。任意選択的に、前記運動は1つ以上の手をリーチすることを含む。代替的に又は付加的に、前記運動は、物を持ち上げることと、置くことを含む。
【0045】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記運動は、身体から離れて伸展した手のマニピュレーションを含む。
【0046】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記運動は、運動の複雑さが増すときに、フィードバックを使用した対話式運動を含む。
【0047】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記実行は複数の体部位を監視することを含む。
【0048】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記方法は、前記運動を実行している間に、前記人の両体側間のバランスを監視することを含む。
【0049】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記方法は、前記人の器官の位置を監視することと、前記人のバランスへの前記器官の支援を決定するために分析することと、を含む。任意選択的に、前記器官は腕を含む。代替的に又は付加的に、前記器官は胴を含む。代替的に又は付加的に、前記器官は脚を含む。
【0050】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記器官の位置を監視することは、前記器官の動きを監視することを含む。
【0051】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記器官の位置を監視することは、他の体部位の動作に対する前記器官の抵抗を監視することを含む。
【0052】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は、体部位を動かすことを含む。
【0053】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は、体部位の動作に抵抗することを含む。
【0054】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は、バランスの喪失を防ぐことを含む。
【0055】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は、バランスの喪失を促すことを含む。
【0056】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記運動は立ち上がりを含む。
【0057】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は前記人を持ち上げる。
【0058】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記運動は胴のトレーニングを含む。
【0059】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、バランスを必要とする課題を人が行うことと、前記人が力を加える複数の空間的に分離した負荷領域(少なくとも一つの足部以外の負荷領域を含む)における力を測定することによって前記課題のパフォーマンスを監視することと、からなる、バランス・リハビリテーション方法が提供される。
【0060】
図面と共に、以下の例示的な実施形態の記載を参照して、本発明の非限定的な実施形態を説明する。図は概して一定の縮尺で記載されておらず、どの寸法も例示でしかなく、必ずしもこれに限定されるものではない。図において、一つ以上の図に現れる同一の構造、要素、又は部分は、それが現れる全ての図において、可能な限り同じ又は類似の番号が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
(概要)
以下の説明には、リハビリテーション器械及びリハビリテーション方法の双方が含まれる。本発明の一つの例示的な実施形態におけるリハビリテーション器械と、その器械を使用して行われる任意選択の方法を説明する。なお、ある方法に対する特定の器械の実施形態の使用は、その特定の方法を説明するためのものであり、その器械又は方法を器械の実施形態と方法の実施形態の特定の組み合わせに限定するものと解釈されるべきではない。
【0062】
(リハビリテーション椅子システム)
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション器械は椅子であるが、ワブルボードや踏み台などの他のリハビリテーション器械が任意選択的に使用される。図1は、本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子システム100の概略的な外観である。人すなわち患者104がリハビリテーション椅子110に座っている。椅子システム100は、リハビリテーションの目的及び/又は疼痛治療のために、人104の様々な体部位をトレーニングするために使用することができる。ここに記載するように、椅子システム100は、回復、及び/又はトレーニング、及び/又は、人104の腕や脚などの体部位の動きの改善を支援するために使用することができる。任意選択的に、センサ103が患者に付けられる。
【0063】
システム100はデータを取得し、制御装置150へ転送する。椅子の可動部及び/又は人の体部位の位置や向きなどのデータを椅子110によって取得し、その椅子によって制御装置へ転送することができる。データは、人に取り付けられたセンサ130から、データ取得ユニット140によって取得され、制御装置150へ転送される。
【0064】
制御装置は様々なプログラムを実行し、それへ転送されたデータを処理する。次に制御装置は、例えば、椅子の各部を特定の位置へ動かすことによる椅子の物理的な更新等の、フィードバックを提供する。制御装置はまた、例えばディスプレイ160を更新する等、他のフィードバックも提供することができる。制御装置150に関する追加情報は、後述の「制御装置」の節で説明する。
【0065】
(椅子システムを使用したリハビリテーション)
図2は、本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子110を説明するものである。この椅子を構成する部品については、椅子を使用する方法を説明する際などに後述する。
【0066】
図3のフローチャート300と図1は、本発明の一つの例示的な実施形態におけるリハビリテーションの方法を示す。更に後に、複数の椅子のデザインと、これらの椅子を使用して実施される様々なリハビリテーション方法を述べる。例えば、後述のリハビリテーション方法は、患者の腕を動かして、このような方法で患者の腕をトレーニングすることを支援する。
【0067】
動作302にて、様々な患者104パラメータ及び/又は椅子110パラメータの測定が行われる。測定は、様々なセンサの使用を伴う。センサは椅子110の一部であってもよく、例えば、椅子がバランスの崩れた姿勢にあることを表示する。任意選択的に、130のようなセンサは、人104に取り付けられて、例えば、身体位置及び/又は出された力を表示する。
【0068】
本発明の一つの例示的な実施形態において、人のバランス状態は患者のバランスのタイプ及び/又は特性を表示する指標から導き出すこともできる。ある例では、「バランスが崩れた」状況は、椅子110が人を不規則に支持しているときに認定される。別の例では、バランス状態は身体の各部位に加えられた力のバランスを表示する。別の例では、バランス状態は、様々な支持具(背もたれやフットレストなど)のバランスを保つ上での役割の表示を含む。別の例では、バランス状態は、相対的な重心の表示と、安定性を示すための支持具(例えば、椅子のシート)を含む。別の例では、バランス状態は、タイプ、大きさ、組織、及び/又は、(例えば、異なる支持位置の間の負荷の移動における)人の調和した動作の存在、に基づいた安定性を表示する。
【0069】
動作304にて、システム100の様々な要素(例えば、患者のためのトレーニング・プログラム及び/又は椅子の各部の一定の位置への移動など)を更新するために、測定結果が使用される。椅子の各部の移動は、人が課題を実行すること、及び/又は、人にバイオフィードバックを提供することを支援することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子の各部の移動は、患者に到達標的を設定するために、又は患者が脱落することを防ぐために、使用される。
【0070】
動作306にて、患者の体部位は、別々に又は一緒に、運動(トレーニング)される。通常、トレーニングはプログラムに従って行われる。任意選択的に、プログラムは制御装置150上で実行される。プログラムは予め用意されていてもよく、予備試験を行いながら案出されても良い。ある例では、プログラムは(非常に単純化された形態で)、「最初に支持無しに真っ直ぐ座ってトレーニングし、次いでバランスの崩れた椅子で第2のトレーニングをする。詳細は後述する。
【0071】
動作308にて、患者が運動を継続すべきか決定される。リハビリテーション・セッションは、かなり長い期間(例えば、数週間あるいは数ヶ月間、毎日あるいは週に2度)継続されてもよい。この期間にわたって、行われる運動のタイプ、複雑さ、及び/又は難しさが変えられる。
【0072】
図4は、椅子110を使用して、人104の片腕をトレーニングする様子を説明するものである。トレーニング方法及び(腕の動作、脚の動作などの)動作は後述する。
【0073】
(「同伴」法)
図5のフローチャート500は、バランス・トレーニング及び患者の背中のリハビリテーションのために使用できる方法(「同伴」法)を表している。この方法は、図2の椅子と共に説明する。動作502にて、患者104は椅子110の上に配置される。患者はシート105の上に座り、患者の腕はアームレスト250及び252の上に置かれる。図2中のアームレスト250は、任意選択的に様々なハーネス256、258、及び各患者個人の必要に応じて任意で使用されるハーネス支持具257から構成される。アームレストは、任意選択的に、少なくとも部分的に患者の手を支持できるように、(例えば空気ばねを使用して)浮かされている。患者は、バランスを保ちながら、椅子のアームの動きと一緒に動くことが要求される。椅子は安定していても不安定であってもよく、様々なレベルの支持が提供される(例えば、高い又は低い背もたれ、椅子のアーム、フットレスト、(胴用、腕用、及び/又は脚用)ストラップ、及び/又はハーネス)。
【0074】
動作504にて、(例えば「同伴」法を実行する)トレーニング・プログラムが決定される。
【0075】
動作505にて、人は何をすべきか指示を受ける。指示は、音声及び/又は映像(恐らくは、実行される動作に応じてシステム100によって実行時に生成されるコンピュータ生成映像)であってもよい。任意選択的に、指示はバーチャル・リアリティ表現を使用して患者に伝えられる。本発明の一つの例示的な実施形態において、システム100は、利用者を乗せて、又は乗せずに、実演をするために使用される。
【0076】
動作506にて、椅子230及び232は、椅子のアームを握る若しくは掴むことのできる位置にある患者の両腕を前に動かす。患者104は椅子のアームを先端で掴む(動作508)。椅子のアームの先端240は、椅子のアーム230に取り付けられ、椅子のアームの先端242はアーム232に取り付けられている。任意選択的に、様々なハンドル、拘束手段、センサ、及び/又は運動要素が、椅子のアーム230及び/又は232に取り付けられている。本発明の一つの例示的な実施形態において、力場の感覚を与える要素が提供される。別の例では、腕を動かす別の要素が提供される。本発明の一部の実施形態において、感覚アタッチメントには、患者に変化する触覚(例えばくすぐったい感じ)を提供するものが含まれる。任意選択的に、患者は、例えば、粗さ及び/又は滑らかさ識別すること等、表面の質感に関する治療のための感覚アタッチメントを使用する。
【0077】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子のアームのそれぞれは、椅子のアームの動きを可能にするボール機構に接続されている(図2参照)。特に、椅子のアーム230は、ボール機構224に接続され、椅子のアーム232はボール機構220に接続されている。本発明の一つの例示的な実施形態において、ボール機構は変化する力を印加するブレーキを含む。任意選択的に、ブレーキはリングであって、そのリングはボールの中心に近づけられると、ボールに選択可能な力を印加する。任意選択的に、ボールは一つ以上のモータ(例えば、ステッピングモータ及び/又はサーボモータ)を使用して動かされる。ボール上のハンドルは、任意選択的にリニア・アクチュエータを使用して動かされる。椅子のアームの位置を決定するためのエンコーダ、及び/又は、椅子のアームの力を決定するための力センサが、任意選択的に提供される。代替的に、ロボット関節アームが使用されてもよい。
【0078】
椅子のアームは、ボール機構220及び224によって、X、Y、Z軸方向の動きが提供される。例えば、患者104は、ボート漕ぎ動作をシミュレートするために、椅子のアーム230、232を使用することができる。任意選択的に、クロスカントリー・スキーの動作をシミュレートするために、椅子のアーム230、232を使用することができる。椅子のアームは、互いに逆向きに(例えば、歩行動作において、右腕を前に、左腕を後ろに)動かすことができる。当然ながら、椅子のアーム230、232は、任意選択的に、互いに独立に作動して動く。任意選択的に、椅子のアームは関節アームであり、3次元空間の動きをサポートする。本発明の一つの例示的な実施形態において、最大で6自由度をもつ、少なくとも一つの椅子のアームが提供される。任意選択的に、少なくとも一つの椅子のアームは望遠鏡のように伸縮して、アームの先端240、242の高さを調節する。代替的に、椅子のアームは、互いに鏡像をなして(例えば、一方の椅子のアームが他方の椅子のアームの動きをもたらす主従関係で)動作するように設定することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置又は機械的な連係によって、主従関係が実現される。
【0079】
「同伴」法では、動作510にて、少なくとも一つの椅子のアーム230及び/又は232が、患者104に対して動く。椅子のアームが動くとき、患者は椅子のアームの先端をしっかりつかみ続けるように指示される。アームは、患者に対して、任意の方向に(遠くに又は近くに、上下に、左右に、又はこれらを任意に組み合わせた方向に)動くことができる。椅子のアームの動作は速くすることも遅くすることもでき、動作のスピードは可変である。本発明の一つの例示的な実施形態において、後述のように、椅子110も動くことができ、椅子のアーム230及び/又は232に対して更に多様な動作を提供するために利用される。一部の例では、患者は一定のレベルの力及び/又は変化するレベルの力を印加する及び/又は維持するように指示される。そのような力のレベルは、椅子のアームの応答によって示されてもよい。その応答は、ある軌道上の動作は(任意選択的に抵抗を与えて)許容するが、他の方向への動作は許容しないものであってもよい。
【0080】
患者が動くアームと「同伴」するために動くと、任意選択的に患者と椅子の両方に取り付けられたセンサ130は、椅子及び椅子のアームに対する患者の動きを動作512で記録する。本発明の一つの例示的な実施形態において、センサは椅子の各部(例えば、椅子のアーム230、及び/又はアーム232、及び/又は先端240、及び/又は先端242)の位置を決定する。
【0081】
動作514にて、システム100により分析が行われる。分析結果は、トレーニング・プログラムを修正するために、及び/又は、様々な椅子の各部を動かすために、及び/又は、人104にフィードバックを提供するために、使用することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、バランス及び協調運動が起こると、そのパターンを分析する。このことは、椅子システム100が、直ちに患者の動きに干渉し、支配し、及び/又は修正することを可能にする。例えば、患者104が寄りかかり過ぎていないか、すなわち、継続が許可されれば患者が椅子から落下し、恐らくは更に負傷するほど椅子のアームに過度の大きさの圧力を与えていないか、をセンサ130は検出する。上述のような場合、患者を椅子の奥に座らせるために、後ろに傾けることによって椅子を補正することができ、その結果、患者の落下が回避される。センサの読取りに基づいて椅子の動きの修正を提供することに加えて、患者及び監督医療従事者は、患者の経過を評価して、更なるリハビリテーション計画を決定するために、センサの読取りを調査し、分析することができる。なお、修正運動は、椅子のアーム230及び/又は232によって開始することもできる。動作516にて、患者が運動を継続すべきか決定される。
【0082】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150はプログラムに従って椅子110を制御する。制御装置は、例えば、椅子のアーム230及び/又は232のような可動部を制御する。制御装置は、フローチャート500の方法のような、リハビリテーション方法を実行する。
【0083】
(シートの動作)
図6は、本発明の一つの例示的な実施形態による、椅子110の一つの変形である基本的な椅子600の概略的な外観である。椅子110及び600の双方は、シート105、ベース214、任意選択のボール機構、又はシートに接続してシートの動きを制御する、別の回転可能なボールベアリングの配置(例えば、二重ジンバル)222を備える。図6は、ブレーキ機構620も示している。ブレーキ機構は、特定の軸に沿った椅子の動きを制御するために使用される。例えば、もし、X軸に沿った動きが望ましくなければ、その方向の椅子の動きを防ぐために、ボール機構222の表面にブレーキを当てることができる。一般に、ブレーキはモータほど高価ではなく、必要な電力も少ない。図6は、シート105の幾つかの可能な動きを説明するものである。X−Y方向(612)、X−Z方向(614)、及びZ方向(616)の3つのタイプのシートの動きが図示されているが、3軸全てを組み合わせた動きも可能である。更に、例えば、適当なリニア・アクチュエータを使用して、X−Y平面に沿った並進運動が提供される。
【0084】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、X軸、Y軸およびZ軸位置を送信し、椅子600を回転させる。例えば、もし、人104が前傾していれば、椅子110は応答して、トレーニング・プログラムに従ってシート105を調整する。
【0085】
本発明の一つの例示的な実施形態において、シート及び/又は背もたれは垂直軸の周りを回転することができる。任意選択的に、この回転は患者による胴の回転を支援し、又は抵抗するために使用される。任意選択的に、背もたれは複数の部分に分割されており、例えば、背もたれの腰部を静止させたまま、背もたれの肩部を回転することができる。
【0086】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者104を実質的に静止させたまま、シート105は制御装置150によって動かされる。このことは、例えば患者104の姿勢を測定するときには望ましい。
【0087】
本発明の一つの例示的な実施形態において、バランスを保持しようとするときに、患者が椅子110又は椅子のアーム230及び/又は232を使って動かなければならないようにして、患者は椅子又は椅子のアームを動かすことによって運動させられる。患者によって椅子の各部(椅子のアームを含む)に加えられた圧力が測定され、分析される。任意選択的に、このことは、椅子のアームの先端240、242を動いているときに患者に握らせることと、次いで、例えば、椅子のアーム、椅子のアームの先端、及び/又は患者によって加えられる力を計測するためのフットレスト(又はフロアマット)等のシステムの様々な部分に取り付けられたセンサを使用することによって、達成される。
【0088】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子は自由に又は(例えば、ブレーキを使用して)減速した速度で回転及び旋回することが可能であり、患者は制御装置150からの支援無しにバランスを保たなければならない。患者が椅子のバランスを保つために姿勢を修正するときに、リハビリテーション経過を評価して更なるリハビリテーション計画を策定するために、患者の動きを測定し、分析することができる。任意選択的に、患者は椅子のアーム230及び/又は232を使用されているときにも、椅子のバランスを保つ。特に、力の不平衡な印加、(両側に)力が加えられる時間差、及び(例えば、EMGによって測定されるような)背筋及び腹筋の活動、が測定され得る。
【0089】
図10は、本発明の一つの例示的な実施形態における、運動用椅子1000で可能な動作の3つの基本軸1002、1004及び1006を表している。1002は、Z軸方向の椅子の動作である。矢印1004及び1006は、ジンバル上に椅子を備えることによって実現できる、例示的な回転動作を象徴している。
【0090】
図13は、リハビリテーション椅子1300から独立した椅子のアーム1330、1332をもつリハビリテーション椅子1300の例示的な実施形態を表している。椅子のアーム1330、1332が、椅子自体のボール機構1322に類似のボール機構1320、1324に接続されている様子が示されている。任意選択的に、この椅子は、背中を強化するためのCPMを患者に提供する膝支持具1340と共に提供される。CPMは背痛を治療するために使用されるが、詳細は後述する。この椅子1300は、椅子110及び600について説明したように、任意選択的にアタッチメントと一緒に使用される。
【0091】
代替的に、椅子1300は、一定の手順に従って患者が手及び/又は脚を動かすことを要求されている間、患者が臀部のみで支持される位置に移動させるために使用される。任意選択的に、加えられる力を測定するために、腕及び脚の支持具が提供される。任意選択的に、椅子1300は、患者が立位又は座位から開始しても、横たわって運動できるように平らになる背もたれをもつ。
【0092】
(「前方リーチ」法)
図7におけるフローチャート700は、バランス・トレーニングのために使用される方法(「前方リーチ」法)を表す。なお、「前方リーチ」とは、この方法に対する単なる名称に過ぎず、実際には、患者のリーチは任意の方向(例えば、上、横、等)で行うことができる。この方法は図2の椅子を使って説明する。動作702にて、患者104は椅子110の上に配置される。動作704にて、トレーニング・プログラムが決定される。この場合、実行されるプログラムは「前方リーチ」法である。動作706にて、椅子の各部が運動のための初期位置に移動される。例えば、患者が標的にリーチするところには、椅子のアームは、不要又は望ましくないため、取り外される。
【0093】
患者は開始位置へ手を移動し、可能な限り遠くかつ速くリーチするように指示される(動作705)。椅子が実行する測定(動作712)に応じて、椅子は支援又は抵抗(動作715)を提供する。例えば、椅子システムは人の体部位の位置及び向きを測定し(動作712)、椅子システムはこれらの測定結果に応じて椅子システムを介して人に力を加える(動作715)。任意選択的に、椅子の運動能力は一定の望ましい可動域に制限される。例えば、横方向への動作無しに、前後方向への動作のみが許容される。
【0094】
リーチしている間に、グラフィック、及び/又は音声、及び/又は映像のフィードバックを人に与えることもできる(動作715)。動作715にて、システム100によって分析が行われる。分析は、トレーニング・プログラムを修正するために、及び/又は椅子の各部を動かすために、及び/又は人104に別のフィードバックを提供するために、使用される。治療プログラムは、例えば、標的の数Nと、各標的に対して人がリーチしなければならない回数Mを含んでいてもよい。例えば、標的は広い可動域にわたって配置される(例えば、真上から真正面へ、横へ)。任意選択的に、標的は互いに近接して集団をなしている。標的は患者のリハビリテーションの必要性に基づいて与えられる。標的の配置を変えることに加えて、本発明の一つの例示的な実施形態において、患者は可変の速度及び/又は力で標的にリーチするように指示される。患者の身体の特定の部位に対するリハビリテーションに集中するために、「不正行為」または健康な体部位からの望ましくない支援を防ぐため、患者の体部位は拘束されることがあり、又は患者は体部位を動かさないように指示されることがある。センサは、任意選択的に「不正行為」を監視するために使用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーションは抵抗トレーニング(例えば、錘の使用)を含む。
【0095】
患者104は、手をアームレスト上に置いたまま、標的に向けてゆっくり動かして、運動を開始する(動作708)ように指示される(動作705)。標的は、任意選択的に椅子に取り付けられた実質的に鉛直な板の上に、人がリーチできる距離で、人の前方に配置される。センサは手の上に設置される。本発明の一つの例示的な実施形態において、板は照明(標的の位置を示す)と力を測定するためのセンサを含む。任意選択的に、板は位置センサ及び/又は板を既知の位置へ移動させるためのアクチュエータを含む。任意選択的に、例えば、もしセンサが板全体にではなく、標的自身に提供されるならば、板はその上を標的が移動できる軌道を含む。患者がそれ以上標的に向かって動けなくなるまで、又は標的に到達するまで、患者は標的に向かって動く。本発明の一つの例示的な実施形態において、人は(例えば、手の上に取り付けられた近接センサ又は位置センサを使用して)彼の手が標的にどの程度近いか、腕の移動速度について、及び動きの滑らかさ、についてのフィードバック(動作715)を得る。本発明の一つの例示的な実施形態において、標的は、例えば、力センサ及び/又は位置センサを含む、ロボットアームの先端である。動作716にて、患者が運動を継続すべきかどうかが決定される。
【0096】
筆記課題の例では、例えば、既知の書き込み検出ホワイトボードのような、位置及び接触/圧力センサを有するペンが使用される。
【0097】
次に図8を見ると、リハビリテーション椅子800を使用して前方にリーチしている人が、本発明の一つの例示的な実施形態により図示されている。この場合、標的Nはボトル810である。例示的な運動において、患者804は最初にボトル810に向けてゆっくりリーチするように指示される。ボトルに向けてゆっくりリーチすることに成功した後、患者は徐々に速く、かつ任意選択的により遠くへ、ボトルに向けてリーチするように指示される。任意選択的に、椅子800は、わずかに前方に回転することにより、患者がボトルにリーチすることを支援する。任意選択的に、患者を「押し」てボトルの方により近づけるために、ジョイントで連結された背もたれが使用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者804がボトル810に向けてリーチするときの患者及び椅子の状態を監視するためにセンサが使用される。患者のバランス及び筋力の欠如を検出するために、センサの測定結果の分析が使用される。これらの欠如は、次いで、ここに記載の器械及び方法を任意選択的に使用して、特別にリハビリテーションされる。
【0098】
本発明の一つの例示的な実施形態において、バランスを保持しながら、ボトルから液体を注ぐ又は注ぐ真似をする等の運動を行うことにより、患者は運動制御を精緻化するように動機付けもなされる。
【0099】
(例示的な「正しいバランス」法)
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者には、複数の体部位によってもたらされる力の測定結果、及び任意選択的にバイオフィードバックを使用して、どのように正しいバランスを達成するのかが教えられる。任意選択的に、患者は一つ以上の体肢の様々な組み合わせを使用して、バランスのとれた状態を達成するためにリハビリテーションされる。例えば、患者は、同時に両足を使わずに片足だけでバランスをとるためのバランス・リハビリテーションを受けることができる。ここに記載するように、患者の動作及び/又はバランスは、患者やその周囲、及び運動器械やその周囲に配置される複数のセンサを利用して測定可能である。任意選択的に、患者のバランスが正確にとれているかどうかを決定するために、全ての測定された力のベクトル和を計算することができる。正しいバランスと考えられるものは、既製の目標バランス・プロフィールによって、患者の健康なプロフィールとの比較によって、他人の健康なプロフィールとの比較によって、及び/又は、患者のバランスの基準を定める何らかの別の合理的な方法によって決定される。任意選択的に、経過を測定するために、及び、リハビリテーション計画で支援するために、患者のバランス・プロフィールが長期間にわたって追跡される。
【0100】
本発明の一つの例示的な実施形態において、ここに記載のセンサによって得られた測定値は、患者が特定の部位に力を多く及ぼし過ぎているかどうか、又は十分な力を出していないかどうかを決定するために使用される。例えば、もし患者が左足に頼り過ぎていて、右足に十分に頼っておらず、そのため完全にバランスがとれていなければ、センサはバランス喪失を測定し、システムは患者がバランス状態になることを支援しようと試みる。任意選択的に、患者がバランス喪失状態にあることをシステム100が決定したときに、バランスの崩れた状態を修正するのに役立つ方法で患者が応答することを促すために、システム100は患者にフィードバックを提供する。フィードバックは、任意選択的に音声形式で、及び/又はビデオ・ディスプレイ上で患者に提供される。本発明の一部の実施形態において、フィードバックは振動その他の触刺激の形式で届けられる。任意選択的に、フィードバックは、バランスのとれた状態を達成するために適切に使われていない身体の特定の部位を対象にする。
【0101】
(付加的な椅子の詳細)
上述のように、本発明の例示的な実施形態における患者のリハビリテーションの経過を正確に測定するために、様々なセンサを患者及び/又は様々な椅子の構成要素に貼り付けることができる。この目的のために、多種多様なセンサが、単独で又は組み合わせて使用される。センサは大まかに2つのタイプに分類できる。第1は患者に関連するセンサ(例えば、体部位の位置、生理学的反応)であり、もう一方のセンサは椅子の配置(椅子の構成要素の位置/向き)を測定するために使用される。
【0102】
リハビリテーションの間に患者に関する情報を収集するために、センサは任意選択的に患者の身体に取り付けられる。例えば、位置センサが、腕、胸、頭部、脚、手、及び/又は足部等の体部位に任意選択的に取り付けられる。これらの位置センサは、運動の間に様々な体部位の位置を決定するために使用される。これらの位置測定結果の分析は、弱い体部位に対する強い体部位による過補償等を含めた、全体的な患者の動きを認識することを支援する。「前方リーチ」リハビリテーション法と共に、例えば、位置センサは患者のリーチ動作の確度及び精度を測定することができる。
【0103】
任意選択的に患者のリハビリテーション中に使用される他のタイプのセンサは、感圧センサである。特定の位置(例えば、椅子のアームの先端242)に患者の及ぼした圧力の測定を通して、安定性及び/又は身体制御のために患者がその体部位にどの程度依存しているのかが決定できる。圧力センサは、任意選択的に手、脚、足部、腕、後部、頭部、及び胴で使用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、修正された圧力データの分析は、バランスが欠如したところで、患者がバランスを保っているか否かを説明する。例えば、「同伴」法と共に使用される圧力センサは、患者のバランスが欠如しているかどうか、椅子の運動の間に患者が特定の椅子のアームの先端に過度の大きさの圧力を及ぼしているどうかが決定される。この過度の大きさの圧力は、その方向に動いているときに患者が適切にバランスをとることができず、その結果、バランスを保つために椅子のアームの先端にもたれたことを示す傾向にあろう。患者のリハビリテーション・プログラムは、従って、バランスの欠如を克服する方向へバランスを移動させるように作られるかもしれない。力は任意選択的に圧力センサを使用して測定される。「前方リーチ」法と共に使用することで、標的に向かって伸展する患者は、どの程度の圧力(すなわち、力)を患者が標的に及ぼし得るかを検出する圧力センサを作動させることができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、圧力センサは筋力とバランスの両方を一緒に測定するために使用することができる。
【0104】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者のリハビリテーションに対する生理学的反応を監視するために、筋肉緊張及び筋電図(「EMG」)センサ等の別のセンサが使用される。これらのセンサから取得された測定値は、患者のどの部位が更なるリハビリテーションを必要としているかを特定し、その後のリハビリテーション計画の立案を可能にする。任意選択的に、脈拍測定値又は呼吸数センサが使用される。
【0105】
患者監視用のセンサに加えて又はその代替として、本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子の動作を監視するためのセンサが任意選択的に提供される。例えば、リハビリテーション椅子の任意の構成要素に加えられるパワー及び/又は力の位置を追跡するために、任意選択的にリハビリテーション椅子のその構成要素にセンサが付着される。この目的のセンサの一つのタイプは、磁気式の位置追跡センサである。また、超音波式又は光学式の位置センサも知られている。椅子からのセンサ測定値が患者からのセンサ測定値と比較されることは、特に有用である。このデータの比較分析は、椅子の特定の動きに対する患者の応答を示す。これらの椅子の動きに対する患者の応答の欠如は、更なるリハビリテーションの必要な部位を示す。
【0106】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子の原動力は、ボール機構222に動作可能に連結している、少なくとも一つのモータによって提供される。任意選択的に、ボール機構222の特定の(又は全ての)方向への動きを阻止するために、少なくとも一つのブレーキが提供される。更に、Z軸に沿った椅子の動作を支援するために、任意選択的にモータが提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、ボール機構222に伝えられる動きの量を決定するために、位置エンコーダがモータと共に使用される。
【0107】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子の速度及び方向性は可変である。図6に示されるように、椅子は任意選択的にx、y、及びz軸方向に動く。停止から比較的に高速な運動までを椅子に提供するために、モータの速度は調節可能となっている。椅子の回転速度のアクティブ制御に加えて、椅子を完全に自由にすることもでき、あるいは間欠的な運動のみを提供することもできる。任意選択的に、椅子は、患者の運動に追加の支持具を提供する。本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、比較的に小さな重力をシミュレートする抵抗(例えば、ブレーキ又はモータの使用)を含んで、椅子は重力に対してゆっくり応答する。任意選択的に、利用者の動作に対する応答は、通常か、通常よりも速い速度とすることもできる。任意選択的に、椅子のバランス喪失(例えば、回転運動)に関する安全上の制限も提供される。代替的に又は付加的に、それ以下においては椅子がバランスを失わない閾値がある。
【0108】
(椅子の使用)
なお、本明細書に記載にリハビリテーション装置は、家庭、老人ホーム、病院、及びリハビリテーションセンターで使用することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、トレーニングは、ゲーム、及び/又は競争、及び/又はトーナメントを使用して行うことができる。任意選択的に、図1では、複数の椅子システムがネットワーク(例えば、LAN又はインターネット155)によって相互接続されている。
【0109】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーションは支援があっても無くてもよい。例えば、いったん患者が座れば、彼は支援無しに運動することができる。一部の患者は支援、及び/又は拘束を必要とする。任意選択的に、リハビリテーション・セッションの監視及び/又は管理は、例えば、電話回線又はインターネットを介して、おそらくはセンターから遠隔で行われる。
【0110】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子は患者の能力の検査のために使用される。任意選択的に、そのような椅子は、リハビリテーションを終えた患者の継続管理のために使用される。
【0111】
任意選択的に、リハビリテーションの間、患者の経過が記録され続ける。恐らくは、経過不良は、治療できる根本的な器官の問題に関連付けられるか、医師に報告される。
【0112】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子システムの第1の使用は、利用者特定情報を入力して、及び/又は、患者の能力を検査して、椅子システムを患者に合わせて調整することを含む。任意選択的に、椅子は、例えば、高さ、幅、及び/又は背もたれの角度が調整可能である。任意選択的に、一定の身体的変形、及び/又は体形に適合させるために、クッションが提供される。初期の運動のセットが決定され、このセットは経過及び/又は時間に従って拡張され及び/又は変更される。任意選択的に、例えば、本をテーブルから持ち上げる能力などの、一つ以上の評価基準が定義され、一度合格すると、リハビリテーションは完了したと見なされる(あるいは別の段階に移る)。また、歩行訓練の一部として、一度バランスが十分に良くなれば、患者を立位のみでトレーニングをしてもよい。任意選択的に、身体的負荷の少ない状態でバランス・トレーニングを可能にするときには、座位が維持される。
【0113】
本発明の一つの例示的な実施形態において、少なくとも部分的には水中で患者をリハビリテーションするために椅子が使用される。このことは、防水部品、及び/又は有線接続ではなく無線接続の使用を必要とする。
【0114】
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、歩行訓練のために、患者の足部はx−z平面内を動くことのできるペダルの上に置かれる。任意選択的に、ペダルはx−z平面内を回転する(または回転に抵抗する、又は回転を支援する)こともできる。任意選択的に、2つのペダルは、歩行をシミュレートするように動く。
【0115】
(椅子の変形)
本発明の一部の実施形態は、異なるデザイン、及び/又は設定、及び/又は動作を有していてもよい。本発明の一つの例示的な実施形態において、シート105は様々な形状及び傾斜を有する。任意選択的にシートは背もたれをもつ。任意選択的に、背もたれは高さ調節可能である。任意選択的に、背もたれはシートに対して傾斜し、動く。任意選択的に、背もたれは頭部支持具を有する。任意選択的に、シートと背もたれは、独立して又は従属的に動く。本発明の一つの例示的な実施形態において、背もたれは複数のセグメントがジョイントで連結されており、前記セグメントは患者の背中の特定の部位に方向性のある支持を提供することができる。支持具は、任意選択的に、運動中の患者の動作に応じて提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、関節接合は椅子のセグメントの間にある動力で動くジョイントによって支持される。セグメントは、例えば、椅子の背もたれに鉛直に、及び/又は水平に配置される。本発明の一つの例示的な実施形態において、動力で動くジョイントは、ジョイントを回転するためのモータを含む。各セグメントに位置及び/又は方向センサが提供されること加えて又はその代替として、任意選択の位置エンコーダがモータに提供される。上述の例示的な実施形態は、患者が立って又は座って運動しているときに、患者を支持するために任意選択的に使用される。
【0116】
本発明の一つの実施形態において、椅子から体重の一部を取り除くために、患者はリハビリテーション椅子の上に吊るされたハーネスに固定される。任意選択的に、ハーネスは運動中の患者に追加の支持具を提供するために使用される。任意選択的に、ハーネスは、リハビリテーション中に患者が地面に落下するのを防止するための安全装置としても使用される。
【0117】
本発明の一つの例示的な実施形態において、シートは人104の身体パラメータ(例えば患者の身長及び/又は体重など)に適合するように調整することができる。
【0118】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は足部支持具と共に使用される。任意選択的に、足部支持具はセンサ(例えば、圧力センサ)又は取り付け手段(ストラップ等)を含む。任意選択的に、例えば、足部を上げるために、又は一つ以上の向きに足部を回転させるために、足部支持具は可動である。
【0119】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子はフロアマットと共に使用される。任意選択的に、フロアマットはセンサ(例えば、圧力センサ)を含む。
【0120】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は、膝支持具と共に使用される。膝支持具は、足部支持具について記載したような特徴を含み、膝を曲げるためのモータ、及び/又は膝の位置を知らせ、及び/又は膝の位置を強制するセンサ、を任意選択的に含む。
【0121】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は、足部支持具について記載したような特徴を含む、脚支持具と共に使用される。
【0122】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は少なくとも一つの腕支持具と共に使用される。腕支持具は、例えば、二次元又は三次元の関節接合、及び/又は回転動作の基礎となるボール機構を使用した、足部支持具について記載したような特徴を含んでいる。
【0123】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者はバランスを保ちながらボールを蹴る練習をすることができるように、ボール・アタッチメントが提供される。他のアタッチメント(場合によっては、物理的に取り付けられることのない)が同様に提供される。任意選択的に、接着剤その他の取付手段を有する無線位置センサが提供され、患者が日用品を使った練習ができるように、このセンサは本や薬缶などの日用品に付着することができる。任意選択的に、「リーチ」法は、システムによって投げられ、利用者がキャッチしなければならないボールによってサポートされる。任意選択的に、同様の動作を提供するために、ロボットアームがある位置へ移動し、次いで時間窓が経過した後に立ち去る。
【0124】
本発明の一つの例示的な実施形態において、フット・パッド/ラグ、アームレスト、シート・クッション、背もたれ、の一つ以上に圧力センサが提供される。任意選択的に、そのような圧力センサは、活動中の患者によって加えられる圧力を表示する。任意選択的に、患者の接触点を推定できるように、センサは正確な加圧点を(例えば、5cm以内で)表示する。代替的に又は付加的に、患者の体部位をパッドに連結するために、固定手段が提供される。代替的に又は付加的に、患者の体部位上に設置された位置センサは、体部位と圧力センサとの相対位置の表示を生成する。
【0125】
任意選択的に、圧力センサは、トルクセンサを含む。このトルクセンサは、圧力の大きさのみならず、力が印加される(圧力センサ面内の)方向も検出するために使用することができる。
【0126】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は、(任意選択的に、目盛り表示の付いた)手動で作動するブレーキを備えている。患者は、任意選択的に、高い摩擦(すなわち、より安定している)でリハビリテーションを開始し、患者が(例えば、物に向けてリーチする)運動中に安定性を改善すると、筋力とバランスを改善するために、次に患者は椅子の摩擦を徐々に増やす。上述のように、椅子の安定性は椅子の角度によって一定である必要はない。運動の間、終始一定しないこともある。例えば、まず、患者によって加えられるバランスを欠いた力が無視される、比較的に大きな安全地帯が提供される。しばらくして、患者がそのようなバランスを欠いた力を加えないように、より注意深くなる、又はそれを修正するように準備する、ことが必要となるように、例えば、前回のパフォーマンスに基づいて、ゾーンの大きさが減少する。
【0127】
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、メッセージを提供するために、又は(例えば、安定性を失いつつあることの)フィードバックのために、リハビリテーション椅子は振動する。
【0128】
本発明の一部の実施形態において、一部の部品は類似の部品と交換可能である。例えば、シート105は、幾つかの別のタイプのシート(例えば、自転車のシート等)と取り替えることができる。
【0129】
(制御装置)
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150はプログラムに従って椅子110を制御する。任意選択的に又は付加的に、制御装置はパーソナルコンピュータ又は専用の埋込式コンピュータである。本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置は、例えば椅子のアーム230及び/又は232などの、椅子の可動部を制御する。制御装置は、例えば、図5のフローチャート500に記載されるような、リハビリテーション方法を実行する。プログラムは予め用意されていてもよく、予備試験を実施した後で案出されてもよい。
【0130】
リハビリテーション方法は、例えば、メニュー及び利用者入力装置を使用して、選択されてもよい。任意選択的に、例えば、年齢や性別などの、様々なパラメータを、利用者入力装置によって与えることができる。
【0131】
制御装置は、プログラムに従って、椅子110の可動部の動きを制御することができる。例えば、制御装置は、椅子に座っている人が座位から立位になるのを支援するために、彼を持ち上げるように椅子110のシートを動かす。
【0132】
本発明の一つの例示的な実施形態において、人104にセンサを付ける必要が無いように、リハビリテーション椅子110はセンサその他の測定手段を有する。椅子は、椅子の各部及び/又は人の各部位の位置及び/又は向きのデータを生成可能であってもよい。例えば、人104の全身及び/又は身体の各部位に対する、X軸、Y軸、及びZ軸位置。椅子は、例えば、人間の体部位によって加えられる圧力、即ち人104の体重等の別の測定のデータが生成可能であってもよい。矢印194で示されるように、データはリハビリテーション椅子110から制御装置150へ転送される。データはまた、矢印192で示されるように、データ収集システム140から制御装置150へ転送されてもよい。
【0133】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、リハビリテーション椅子110及びデータ収集システム140からの入力データを処理する。任意選択的に、利用者と対話をするために、様々な利用者入力装置170が使用される。任意選択的に、コンピュータは、例えばディスプレイ160、ビデオユニット162、オーディオユニット164などの出力装置に出力する。オーディオユニットは、聴覚的及び/又は言語的指示、及び/又はフィードバック、を提供するために使用されてもよい。遠隔地のコンピュータに接続するための外部接続が、任意選択的に提供される。任意選択的に、制御装置はLAN、WAN、及び/又はインターネット等のネットワークと通信している。
【0134】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、次の課題のうちの少なくとも一つを実行する。様々なプログラムを実行する。椅子100を制御する。椅子110の各部の動作を制御する。X軸、Y軸、及びZ軸位置及び回転を椅子110に転送する。
【0135】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置は装置110又はその各部を、予め用意されたプログラムに従って制御する。任意選択的に、制御装置は、複数の装置及び/又はリハビリテーション・システムを制御する。プログラムは、多くの予備試験の後に準備される。プログラムはリハビリテーション方法を実行する。操作者又は人104は、メニュー及び利用者入力装置を使用して、リハビリテーション方法を選択することができる。任意選択的に、例えば、年齢や性別などの、様々なパラメータを、利用者入力装置170を使用して与えることができる。
【0136】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション・プログラムの全体を通して患者のパフォーマンスが追跡される。任意選択的に、制御装置150が追跡を行う。センサ130が患者及び椅子に関するデータを収集すると、結果は制御装置150がアクセス可能なデータベースに記憶される。制御装置150は、次にデータベースに記憶されたデータをソート及び処理するために使用される。なお、装置100の一部の実施はコンピュータを含まない。一部の実施は電力を必要としない。ある例では、機械式コンピュータ(例えば、アームの動きを導く機械式のカム従動子)が装置パラメータを制御するために使用される。任意選択的に、上述のように、椅子は手動で操作される。
【0137】
(痛み)
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば筋肉の緊張、呼吸数又は脈拍数に基づいて自動的に、又は、例えば利用者入力(例えば、声又はスイッチなど)に基づいて手動で、椅子システムは痛みを検出することができる。本発明の一部の実施形態において、急停止及び/又は運動動作の変化は、痛みの指標として解釈される。
【0138】
本発明の一つの例示的な実施形態において、可動域及び/又は痛みが現れる筋肉運動と痛みのレベルを調査するために、椅子システム(又は、ロボットアームなどの別のリハビリテーション装置)が使用される。任意選択的に、患者は痛みを回避する動作を教わる。
【0139】
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、無痛限界を拡張しようと、又はセッション中の痛みの程度を制限しようと試みるために、リハビリテーション動作の軌道は痛みを考慮して選択される。任意選択的に、患者の無痛の可動域(及び力の範囲)を拡張するために、患者を痛みの閾値寸前で作業させるようにトレーニング・セッションが構成される。当然ながら、バランスに関連する多くの活動は、広範な筋肉を動かすため、予期しない痛みを起こしやすい。患者にこれらの動作がどのようなものかを(例えば、安全な状況下で)示すことによって、患者はそのように筋肉を動かすことを回避できるようになる。代替的に、リハビリテーションは、特定の筋肉(例えば、萎縮していないもの)の所要の運動量を含み、また患者は彼が経験することになる痛みの程度が予め決定された必要なものであることを承知している。
【0140】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が不必要かつ(例えば、不安定な関節に)痛みや身体的損傷を起こすような方法で体部位を動かす場合、位置その他のセンサがフィードバックを提供するために使用される。任意選択的に、安全警告のみならず、痛みの警告も提供される。任意選択的に、リハビリテーション・システムは指摘されたものを除いて痛い動作を防ぐため、おそらくは患者のシステムへの信頼が向上する。
【0141】
(バランス・トレーニング)
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者は椅子110、600、1300の中でリハビリテーションされる。患者のバランスを改善するために、椅子は最初に、その上に椅子が載るボール機構が回転または旋回しないように構成される。患者が運動を開始し、(例えば「同伴」及び「前方リーチ」等の運動を実行しながら)リハビリテーションの予定が進捗するにつれて、椅子には徐々に広がる可動域が与えられる。理想的には、患者はリハビリテーション椅子の上で、ブレーキ又は椅子のモータからの支援無しに、バランスを保つことができる。椅子の可動域を広げることが適切かどうかを決定するために、上述の及び本文書の別の箇所に記載するタイプのセンサによって、患者は監視される。
【0142】
パフォーマンスの基礎レベルを決定するために、健常者のパフォーマンスがこれらのセンサを使用して測定される。別の方法では、健常者の検査にかかわらずに、パフォーマンスの目標レベルを決定することができる。麻痺患者が運動を行うときに、センサは患者のパフォーマンスを測定する。本発明の一つの例示的な実施形態において、様々な体部位の測定が行われ、次にそれらの相対的な使用状態を評価するために、体部位の測定値が互いに比較される。任意選択的に、患者の複数の体肢及び/又は体部位が測定される。運動の測定結果は目標実行回数と比較され、不足が記録される。次に、リハビリテーション・プログラムが、これらの不足に基づいて調整される。例えば、もし患者が起立しようと試みると、各足部の下の圧力センサは、患者の及ぼす圧力を測定する。理想的には、立位においては、2つの足部によって及ぼされる圧力は同じである。しかしながら、もし片足を庇っていれば、それは患者に更なるリハビリテーションが必要であることの表れであることが多い。本発明の例示的な実施形態において、同じ技術が、腕と手の関与する運動、又はマクロ運動(例えば、リーチ)に適用される。
【0143】
本発明の一部の実施形態において、患者が軽い錘及び/又はボールをキャッチし、又は投げる必要のある、「リーチバランス」法が使用される。これらの活動は、その人のバランスを変化させることを必要とする。本発明の一つの例示的な実施形態において、器械の制御する装置によって、ボールが患者に向けて自動的に投げられる。ボールが患者の付近にくると、患者は手を伸ばして、空中を飛ぶボールを捕ろうとする。このタイプの活動は、典型的には患者を中心から外し、従ってバランスの練習になる。患者の治療上の必要によっては、ボールは特定の方向から患者に向けて投げられる。別の方法では、バランスをリハビリテーションするために、患者が特定の方向にボールを投げることもできる。任意選択的に、この運動はリハビリテーション椅子110に座りながら行われる。
【0144】
本発明の一部の実施形態において、リハビリテーション椅子は患者をバランスの崩れた位置へ移動させ、患者はバランスを確立するために姿勢を修正することが期待される。任意選択的に、アームレスト及び/又はフットレストがバランスの崩れた位置への移動を開始し、患者はバランスを確立するために姿勢を修正することが期待される。修正速度、修正する運動の方向に関して、患者の動きは、もし修正が完了している等すれば、リハビリテーション・システムと連結して使用されるセンサで測定することができる。任意選択的に、バランス修正における任意の不足が特別に訓練される。
【0145】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション・システムは、バランス状態を回復するために、患者の自然な運動に追加の運動を提供する。このことは、患者の位置と動きを感知して、これらの測定結果を既知のバランス状態と比較し、また、バランス条件が満たされるかどうかを予測することによって達成され、次いで、計算された患者による修正不足又は過修正を補償するために、適切な原動力を椅子に供給する。
【0146】
例えば、フィードバックを示すために、及び/又は指示を示すために、及び/又は活動をより興味深いものにするために、及び/又は痛みを和らげるように患者の気を散らすために、本発明の一部の実施形態においてバーチャル・リアリティ(VR)タイプのディスプレイ又はテレビ・ディスプレイが提供される。人は画面上の指示及び/又はフィードバックに反応することができ、これが患者の筋肉を強化し、バランスを改善し、一部の動作を改善することができる。
【0147】
一部の例示的な実施形態において、バランスを改善して眩暈を軽減させるために、動性錯覚を生み出す映像ベースの運動と組み合わされた椅子システムが使用される。
【0148】
本発明の一つの例示的な実施形態において、自転車に乗ることをシミュレートするために、椅子と連結したフットペダルが使用される。患者がペダルを踏んでバランス状態を保つことができるかどうかを決定するために、センサが使用される。
【0149】
本発明の一つの例示的な実施形態において、バランス運動は、立ちながら又は座りながら(例えば、感圧パッドを備えた)テーブルの上にもたれることを含む。不規則な圧力は、リハビリテーション可能なバランスに関する問題を示唆することがある。任意選択的に、一つ以上の振動その他の刺激パッチ/ユニットが体部位に取り付けられ、患者に活動を変えるように促す刺激を発生する。任意選択的に、リハビリテーション・システムのロボットアームは、例えば、動くこと又は振動することによって、そのような(例えば、ハンドルではなく、その上にもたれるためのパッド・アタッチメントを使用した)フィードバックを提供する。
【0150】
別の例示的な運動は、座らせながら片脚を持ち上げることである。別の例示的な運動は、例えば、後述の部分的に支持する椅子を使って、片足で立つことである。
【0151】
(脚の持ち上げと背中の治療)
図11及び12に、本発明の一つの例示的な実施形態による、椅子ベースのリハビリテーション装置1200を示す。装置1200は、シート201、ベース205、ボール機構203、足部支持具1220及び1222、及び膝支持具1240及び1242からなる。任意選択的に、膝支持具は一体形である。装置1200は、患者を座らせたままで、背筋のCPMを実行する。この装置は、背中の可動性を改善し、背痛を軽減し、また筋肉の緊張を緩和するために使用することができる。典型的には、座位での背中の治療は、横たわりながらの背中の治療よりも望ましい。横たわりながら(従って、姿勢を変えるときに背中により多く圧力を加えて)運動することは、更なる背中の不快症状及び/又は損傷を起こし得る。本発明の一つの例示的な実施形態において、膝支持具1240、1242及び任意選択的に足部支持具1220、1222を、一緒に又は別々に上げ降ろしすることによって、リハビリテーション装置上でCPMが行われる。支持具を上げ下ろしすることが、任意選択的に、患者のリハビリテーションが必要とするだけ、多くの回数、及び/又は、多くのセッションで繰り返される。
【0152】
本発明の一つの例示的な実施形態において、CPM(又は別の運動)が適切に管理されているかどうか、及び/又は(例えば、EMG感知を使用して)CPMの筋肉への効果、を評価するために、様々なセンサが使用される。
【0153】
任意選択的に、患者に運動を提供するために、リハビリテーション椅子1200は回転する。椅子1200は、x軸、y軸、及びz軸の周りを三次元で回転可能である。回転は、1軸、2軸、又は3軸全ての組み合わせに沿って実現される。本発明の一つの例示的な実施形態において、膝支持具1240、1242及び/又は足部支持具1220、1222は、椅子1200が回転している間に動作する。そのような運動は、脊柱を動かし、背中及び/又は胃の筋肉を運動させ、及び/又は、それらの可動域を拡張させるようにデザインされた軽度の運動とすることができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、そのような動作は、例えば、身体に支持を提供する筋肉をストレッチし又は動かすことによって、疼痛を治療するために使用することができる。任意選択的に、疼痛を和らげるために、椅子はヒータと振動器を含む。
【0154】
本発明の一つの例示的な実施形態において、CPM運動は、任意選択的にCPMに同期する、手及び腕の運動を伴う。図13に示す構成要素1330及び1332などの腕支持具が提供されることによって、手及び腕を運動することができる。加えて、脊柱の屈曲を起こす脚の動作は、(例えば、支援された、又は抵抗を受けた)非他動的なものとすることもできる。
【0155】
本発明の一つの例示的な実施形態において、背中の不具合の治療に役立てるために、非CPM運動も使用される。例えば、ここに記載の「前方リーチ」運動は、バランスをリハビリテーションするのみならず、背中の筋力を作るためにも使用することができる。任意選択的に、非CPM運動は手及び腕の運動を伴う。図13における構成要素1330や1332などの腕支持具を提供することによって、手及び腕を運動することができる。
【0156】
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、筋肉を過度に緊張させることを防ぐために、患者に修正動作を教えるために、椅子1200又は別の椅子が使用される。ある例では、リーチ動作が利用者によって要求され、利用者はその動作中に(例えば、音声又は言語のメッセージを使用して)動作が正しいかどうか及び/又は何が誤っているのかを知らされる。任意選択的に、どの動作が間違っているのかを患者に明確に指摘するために、刺激ユニットが提供される。
【0157】
別の例では、様々な典型的な日常の動作(例えば、胴をひねる、物を持ち上げる、リーチする、及び/又は力を加える等)が例を挙げて患者に教えられる。任意選択的に、もし動作の一つが痛みを起こせば、システムは患者からフィードバックを受け取る。そのような場合、システム及び/又は療法士は、「正しい」動作を再構成する。正しい動作はまた、筋肉を一定の順序で動かすトレーニングすること、及び/又は、筋肉、関節、その他の体部位へ多くの緊張を加えることを控えること、を含んでいてもよい。例えば、患者に例を挙げて教えることによって、任意選択的にこれら全てが教えられる。
【0158】
(起立と着席)
しばしば椅子を使って実行される活動は、起立と着席である。年を取ると、及び/又は、認知に関する及び/又は身体的な損傷を患うと、これらの課題は困難になる場合がある。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子リハビリテーション・システムは、着席及び起立の修正軌道を、最初から最後まで患者に案内することができる。患者が様々な物(例えば、テーブルやアームレスト等)に寄り掛かるときにも、そのような案内は、位置、速度、及び力のフィードバックを含むことができる。代替的に又は付加的に、椅子は、実際に患者を軌道に沿って移動させる、椅子のアーム、シート座部、及び背もたれ等の可動部を提供することができる。患者が痛みを訴えるために、痛みスイッチが任意選択的に提供される。例えば、アームレストを動かすこと、椅子の支援の程度を変更すること、及び/又は患者が辿ることが可能な及び/又は許される軌道に制限を設けること等によって、様々な着席及び起立運動が提供され得る。
【0159】
次に、図9Aを参照すると、リハビリテーション椅子900に深く腰掛けた患者904が示されている。本発明の一つの例示的な実施形態において、支持のために、患者の手は椅子のアームの先端940及び/又は942を握る。患者の足部は床面にぴったりついている。患者は、深く腰掛けた位置から立位へと起立することを望む。図9Bは、椅子900が、患者904をゆっくり立位に引き上げるために、シート905がどのように後部を傾けるかを説明するものである。任意選択的に、シート905は、シート905の後部を傾けると共に、Z軸方向に上昇する。図9Cは、シート905によってそっと立位まで動かされ、床にぴたりと着いた両足で立つ患者を説明するものである。任意選択的に、支持のために、患者は椅子のアーム936及び/又は983に寄り掛かる。任意選択的に、椅子のアームは実際に患者を動かす。代替的に、椅子のアームは力のレベルを測定する。任意選択的に、椅子のアームにはアームレスト(図示せず)が提供される。任意選択的に、椅子900は椅子のアームをもたない。任意選択的に、椅子900は、患者904がシート905から下りるのを支援するために患者に圧力をかけることのできる、ジョイントで連結された背もたれを有する。本発明の一部の実施形態において、患者の背中に対するシートの位置的な関係を修正するために、ジョイントで連結された背もたれが使用される。
【0160】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が立位へ移動するときに患者と椅子の状態を監視するためにセンサが使用される。様々な点(例えば、床及び/又はフットレスト、椅子のアーム、椅子のアームの先端など)に患者が力を及ぼすと、この力が測定される。センサ測定値の分析結果は、患者のバランス及び筋力の欠如を検出し、患者の「起立特性」を定量化するために使用される。特性を改善するために、任意選択的にここに記載の器械及び方法を使用して、これらの欠如が特にリハビリテーションされる。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者の運動を容易にするために回転するシート905を備えた椅子900が提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、回転する椅子での起立及び/又は着席によって患者は運動する。任意選択的に、能力の欠如の特定のために、起立及び着席の間に患者によって及ぼされる力が測定される。
【0161】
(支持椅子)
図14A〜14Cは、本発明の一つの例示的な実施形態における、支持椅子1400を説明する。図14Aにおいて、椅子は下げられている。図14Bは、図14Aにおけるよりも高い位置にある椅子1400を示している。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子1400は患者の個々の必要に応じて上下に移動する。支持椅子は胴支持具1404(例えば、ストラップ)を任意選択的に備えることができる。図14Cは、椅子のシートがほとんど直立位置にあり、本発明の一部の例示的な実施形態において患者が座位から立位に移ることを支援する、支持椅子1400を説明するものである。任意選択的に、患者を半腹臥位又は横臥位で支持するために、椅子の背もたれは後ろに曲げることができる。
【0162】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が半座位でバランス活動を行っているときに、部分支持具を備える支持椅子が使用される。運動の例には、立ちながら(又は、椅子を壁のようにして、椅子にもたれながら)ボールを蹴ること、及び片足で立つことが含まれる。
【0163】
(日常生活活動におけるトレーニング)
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション・椅子・システムが、テーブルでの食事、読書、歯磨き、あるいは皿洗いなどの日常生活を達成するために、患者をリハビリテーションするのを支援するために使用される。これらの活動の全てにおいて、バランス上の問題又は力を正確に加える上での問題を潜在的にもたらしながら、患者は重心から離れて力を加える。
【0164】
使用時に、患者の手は椅子システム110の可動先端(例えば、240)にストラップで縛られ、フォークを拾い上げる等の日常活動を行おうとし、導かれる。任意選択的に、例えば、椅子のバランスをゆっくり崩すことにより、患者のバランスへの動作の効果が患者に示される。任意選択的に、胴支持は選択可能であって、電子的に解除可能であり、正しい修正行動をとっていないときに、バランス喪失が胴の姿勢に与える影響を患者に示すために、ゆっくり解除される。
【0165】
任意選択的に、適切な(例えば、接触及び/又は圧力)センサを有する追加のテーブル部が提供される。任意選択的に、書くためのホワイトボードが提供される。
【0166】
本発明の一つの例示的な実施形態において、日常生活に関する活動を行うことを患者にトレーニングすること、そのような活動を行うための現在の患者の能力を検査すること、及び/又は、患者の能力を監視すること、の一つ以上のために装置110が使用される。
【0167】
(アタッチメント)
上述のように、装置100の一部の実施は、様々なアタッチメント120を含む。アタッチメントは、例えば、ECG、カメラ、(任意選択的に圧力センサを備えた)カーペット、(任意選択的に痛みを報告するための)ハンドル、様々な操作を支援する(例えば患者が立つことを助けるための)装置、作業領域(例えば、水平なテーブルなど)、垂直方向の到達標的、人104が握るためのもので、任意選択的にリハビリテーション椅子のアームの先端240及び242に接続される、様々なタイプのハンドル及びグリップ、等の医療用の周辺装置を含む。本発明の一部の例示的な実施形態において、患者の身体の選択された部位を動かなくするために、拘束手段が用いられる。例えば、拘束手段は、患者が手首を曲げ(そして、水平位から垂直位へ手を上げ下げし)ようとしているときに、患者の腕をアームレスト250に拘束するために使用することができる。任意選択的に、固定式又はジョイントで連結されたヘッドレストが提供される。任意選択的に、ヘッドレストは東武の回転を防止及び/又は促進する手段を含んでいる。
【0168】
(安全性)
椅子110は、任意選択的に、安全手段(例えば、ブレーキ、ヒューズ、非常ボタン又はスイッチ等)を含んでいる。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者を負傷させないために、一つ以上の安全機能が提供される。例えば、次の安全機構の一つ以上を使用することができる。
a)デッドマンスイッチ 患者がこのスイッチを解除する(若しくは適当なボタンを押す)と、装置100の動きが凍結し、及び/又は、全ての力と抵抗がゼロになる。代替として、別の「セーフ・ハーバー(safe harbor)」状態を定義することもできる。
b)音声起動 患者がシステムを停止できるようにするために、音声起動及び/又は音声停止が提供される。
c)分析 任意選択的に、閾値が近づいているかどうか、又は患者がストレスを受けているかどうかを決定するために、実際の動き及び/又は患者によって加えられる力が分析される。
d)機械式ヒューズ 一定の閾値を超えた力が椅子の一部に加えられると、このヒューズは、ひきちぎれるか、はじける。
【0169】
(追加処理)
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、力、位置、速度及び/又は加速度を表示する信号を生成する。任意選択的に、これらの信号は更に分析される。ある例では、おそらくは患者が不十分なところを示す信号が、身体の生化学モデルに提供される。別の例では、バランス喪失の周波数挙動を抽出するために、分析にはFFTその他の手段を適用することが含まれる。一部の例では、そのような周波数挙動は、問題の原因、問題の物理的位置、問題の認知に関する原因を指示する、及び/又は、克服するための運動を示唆する可能性がある。例えば、バランス喪失の原因となりうる振戦の一種は、特定の筋肉を使い過ぎることによって起こる場合がある。たとえ明確な結論が出されなくても、そのような情報は、個々の体部位又は能力の更なる調査にとって有用である。
【0170】
任意選択的に、力及び/又はバランスの問題を示す患者のモデルが、利用者及び/又は療法士に提示される。
【0171】
(変形)
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子システム100は、モジュール式の部品からなる。例えば、ボール機構220及び224は、任意選択的に互換性がある。任意選択的に、リハビリテーション椅子は椅子のアームレスト250及び252が無くても使用することができる。
【0172】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーションは、リハビリテーション椅子の代わりに又はこれに加えて、踏み台(例えば、ワブルボード)の上でも行うことができる。
【0173】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子110の回転能力は、患者に眩暈を起こさせ、及び/又は、眩暈し易さを検査するために使用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子のシートは小さな円弧形又は円形に動く。時間と共に速度を増してもよい。患者が眩暈状態においてバランスを回復しようとすると、患者の運動はセンサによって測定され、次いで患者のバランス回復能力の欠如を検出するために分析される。欠如は、患者の僅かなバランス回復能力を元の状態に戻すために必要なリハビリテーションの標的である。代替的に又は付加的に、椅子は並進運動のための手段(眩暈を起こすため又は別の運動のためにも使用できる)を含んでいる。任意選択的に、眩暈し易さをトレーニング及び/又は検査するために、椅子の動作に調和した又は調和しない映像を表示するディスプレイが使用される。
【0174】
本発明の一つの例示的な実施形態において、標準的な椅子の上でリハビリテーション及び/又はバランスのリハビリテーションを提供することができるように、踏み台は既存の椅子の下に収めるのに適しており、場合によってはレッグレストを備えている。有線又は無線センサ一式が備えられていてもよい。当然ながら、ここに記載される運動の一部は、立ったまま、任意選択的に多くの既知の動くプラットフォームの一つの上で、任意選択的に、支持、運動感覚のフィードバック、及び/又は誘導用の一つ以上のロボットアームを提供して行われても良い。同様に、ロボットアーム・モジュール又は脚上昇モジュールが、既存の「標準的な」椅子に(例えば、ストラップを使用して)掛け金をかけることができる形状で提供されてもよい。
【0175】
バランス保持及び着席のトレーニング、及び疼痛のためのトレーニングは、上述の個々の例によって限定されるものではない。例えば、米国特許出願第60/566,079号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載の精密運動制御リハビリテーション方法を補完するために、特にバランスを使用することができる。精密運動制御のために、患者は精密運動制御に専念しながら、バランスを保たなければならない。座りながら、精密運動制御の課題が実行されることがある。
【0176】
バランス・リハビリテーションは、神経リハビリテーションと組み合わせることもできる。例えば、米国特許出願第60/604,615号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、行動が開始されるべきときを決定するために神経感知を使用する。バランス関連活動のためのフィードバックとしてEEG信号を使用することができる。
【0177】
EMGを使ってバランス・トレーニングを利用することができる。例えば、米国特許出願第60/566,078号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)がある。EMGを行うかどうかに加えて、又はEMGをいつ行うべきかを決定するために、バランス感知を利用することができる。
【0178】
例えば、米国特許出願第60/633,428号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載されるような歩行訓練と共に、バランス・トレーニングを利用することができる。ある例では、座位バランス・トレーニングが、歩行訓練に先立って、又は歩行訓練の補助として利用される。
【0179】
例えば、米国特許出願第60/633,429号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載されるようなバランス・トレーニングのために、音楽を使用することができる。ある例では、身体の両体側間のバランスを示すために音楽が使用される。過大な力を加えている体部位を示すために、過大な音のチャネルが使用されても良い。揺れが周期的な音を発生して、バランスを喪失すると警報が大きさを増す一方で、バランス状態を示すために無音を使用してもよい。
【0180】
本発明を、例として提供され、本発明の範囲を限定するためのものではない、その実施形態の詳細な説明を用いて説明してきた。記載される実施形態は様々な特徴を含むが、その全てが本発明の全ての実施形態において必要とされるものではない。本発明の一部の実施形態は、その特徴又はその特徴の組み合わせの一部のみを利用し、又はその特徴の組み合わせを含む。記載されている本発明の実施形態の変形及び本発明の実施形態は、特徴の異なる組み合わせからなる記載された実施形態における顕著な特徴の異なる組み合わせが、当業者に想到されるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明の一つの例示的な実施形態による、椅子ベースのリハビリテーション・システムを示す図である。
【図2】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を概略的に示す図である。
【図3】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用した方法のフローチャートである。
【図4】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子でトレーニングされている人を説明する図である。
【図5】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用する方法のフローチャートである。
【図6】本発明の一つの例示的な実施形態による、基本的な椅子をベースとしたリハビリテーション装置を概略的に示す図である。
【図7】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用する方法のフローチャートである。
【図8】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子でトレーニングされている人を説明する図である。
【図9A】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である
【図9B】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である
【図9C】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である。
【図10】本発明の一つの例示的な実施形態における、様々な運動の範囲を示すリハビリテーション椅子を説明する図である。
【図11】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である。
【図12】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である。
【図13】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子の変形を説明する図である。
【図14A】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用して、人が座位から立位に動くのを補助することを説明する図である。
【図14B】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用して、人が座位から立位に動くのを補助することを説明する図である。
【図14C】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用して、人が座位から立位に動くのを補助することを説明する図である。
【関連発明】
【0001】
本願は、2004年2月5日に出願された米国仮出願第60/542,022号、2004年4月29日に出願された米国仮出願第60/566,079号、2004年12月7日に出願された米国仮出願第60/633,428号、2004年12月7日に出願された米国仮出願第60/633,429号、及び2004年12月7日に出願された米国仮出願第60/633,442号の米国特許法119条(e)に基づく利益を主張するものであり、これらの開示内容は参照により本願に取り込まれるものである。
【0002】
本願はまた、本願と同一の出願人によって同日に出願された、「歩行リハビリテーション方法及び器械」、「音楽リハビリテーション」、「神経筋刺激」、「精密運動制御リハビリテーション」、「リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械」、「リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械」、「リハビリテーション並びにトレーニングのための方法及び器械」と題し、それぞれ代理人整理番号第414/04391号、414/04396号、414/04400号、414/04401号、414/04213号、414/04213号、414/04404、及び414/04405号を有するPCT出願にも関連する。これらの出願の開示内容は参照により本願に組み込まれるものである。
【技術分野】
【0003】
本発明は、例えば、理学リハビリテーション、及び/又はバランス障害のリハビリテーション、及び/又は体部位のトレーニング、及び/又は疼痛治療、及び/又は運動等の体部位のマニピュレーションに関連する。
【背景技術】
【0004】
事故や負傷あるいは脳卒中の後、一部の身体機能が損傷を受けていると、損傷を受けた身体機能の一部または全てを取り戻すために、しばしばリハビリテーション過程が必要となる。
【0005】
リハビリテーションは、理学リハビリテーションと認知リハビリテーションの一方若しくは両方を含む。理学リハビリテーションは、損傷した体部位(筋肉など)の物理的機能を回復させようとするものである。認知リハビリテーションは、身体を制御するための認知能力を回復させようとするものである。
【0006】
理学リハビリテーションは、現在は主に、一定の運動を行う患者を観察・指導する理学療法士の個別の対応によって提供されている。従って、リハビリテーションの費用は高く、患者が治療施設を退院した後のコンプライアンスは比較的に低い。
【0007】
幾つかの家庭用理学療法装置が知られており、例えば、脊柱の連続他動運動(「CPM」)を提供し、また背中の疼痛を緩和するためにも使用される、「バックライフ」と称される製品(2004年11月において、(www.backlife.com)に記載されている)などがある。
【0008】
事故や脳卒中あるいは負傷がバランス障害を引き起こすことがある。バランス障害は、前庭器(内耳の中央に位置する)への損傷、中枢神経系(「CNS」)への損傷、及び/又は、姿勢及び筋力の障害によって生じる。
【0009】
バランス障害を発見して分類するための、観察による、あるいはコンピュータ制御によるバランス検査が開発されている。バランス障害を治療するためには、バランス・トレーニング運動が利用される。既知のバランス・トレーニング運動には、「座位から立ち上がる」、「片脚で立つ」、及び「床から物を拾えるように前に屈む」というものである。バランス・トレーニングは、膨張式バランス・ディスク、フォーム・ローラー、ワブルボード、フォームパッド、ミニ・トランポリン、その他の不安定な表面といった簡単な用具を利用することができる。ワブルボードを利用した運動は、例えば「ワブルボードの上でバランスを保ちながら、小さな軽いボールを捕って投げる」というものでもよい。
【0010】
次の3つの特許、米国特許第5,269,318号、米国特許第5,476,103号、及び「バランス障害の診断及びリハビリテーションのための方法及び器械」と題するWIPO公報第WO 98/46127号は、バランス検査及び/又は運動の協調に関連する。
【0011】
幾つかの企業がバランス測定及び/又はバランス治療装置を開発した。ニューロコム社(www.neurocom.com)は、幾つかのリハビリテーション用装置を有している。ニューロコム社のスマート・バランス・マスターは、体平衡(posturograpy)トレーニング装置である。これはコンピュータ・モニタに連結された動くプラットフォームを利用している。(www.medfitsystems.com)に掲載のK.A.T.(Kinesthetic Ability Trainer:運動感覚トレーニング装置)は、バランス検査及び/又はバランス・トレーニングに使用される。別の既知の装置としては、マイクロメディカル・テクノロジーズ社(www.micromedical.com)のバランスクエストとシステム2000がある。システム2000は、回転前庭椅子である。
【0012】
「バランス・トレーニング装置」と題する米国出願公開第2002/115536号には、シートを有し、乗馬運動を行う装置が記載されている。
【0013】
リハビリテーション・システムは、Motek B. V.に付与された米国特許第6,774,885号、及び(www.e-motek.com)にも記載されている。CAREN(コンピュータ支援リハビリテーション環境)が米国特許第6,774,885号に記載されている。CARENは、バランス及び協調障害の検査及び分析を支援する。
【0014】
「バランス板を備えた対話式装置」と題する特許第EP 0 862 930号には、平衡能力のトレーニング及びリハビリテーションのためのバランス板が記載されている。
【0015】
本特許出願において言及する全ての特許その他の出願公開の開示内容は、参照により本願に取り込まれるものである。
【発明の開示】
【0016】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、患者が座位のまま行うリハビリテーションに関する。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が座っているときに、患者の身体部分を感知し及び/又は動かすリハビリテーション椅子システムが提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子は選択的に不安定になっている。任意選択的に、椅子はバランス能力をリハビリテーションするために使用される。
【0017】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子システムは、人間が座ることに適したシートと、前記シートに対して動くことに適合している少なくとも一つの伸展装置(例えば、伸長可能な及び/又はロボットアームのようなジョイントをもつ要素)と、前記人間のバランス状態の指標を生成する少なくとも一つのセンサと、センサを使用してバランス状態を測定しながら伸展装置を動かすことに適合している制御装置と、からなる。
【0018】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーションはバランスを失わずに体部位を動かすことを含む。任意選択的に、椅子システムはバランスを失わないように患者を支援する。
【0019】
本発明の一部の実施形態の一つの特有な特徴は、バランス・トレーニングが実際の運動感覚のフィードバックを提供する標的を含むことである。ある例では、標的は動くロボットアームである。このロボットアームに一度到達すると、これを握り、またこれに寄り掛かることができる。そのような運動に関連する力も測定することができる。代替的に又は付加的に、バランス又は非バランス活動中に、患者と椅子の可動部間の直接的な機械的接触が患者に彼の運動感覚を教えることを支援してもよく、及び/又は支持を提供してもよい。代替的に又は付加的に、身体的動作の使用は、脳卒中と関連する様々な認知に関する問題を回避するために有用である。
【0020】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、例えば小さな診療所や、家庭、オフィス、野外、又は仕事場などの場所で使用する持ち運びのできるリハビリテーション・システムに関連する。
【0021】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子システムはプログラムに従って制御される。任意選択的に、複数の患者の測定結果と検査結果を使用して、プログラムが案出される。
【0022】
本発明の一つの例示的な実施形態において、複数の異なるトレーニング・プログラムを再定義(設定)することができる。任意選択的に、プログラムは患者のパラメータに合わせて作られている。例示的なパラメータには、身体の大きさや年齢がある。
【0023】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、バランス障害の治療及び/又はリハビリテーションに関連する。本発明の一つの例示的な実施形態において、そのような障害は、問題のある体部位に特有の運動、各体部位を協調させる運動、及び/又は、複雑さが軽減されたバランス課題が椅子によってサポートされる運動、を使用したリハビリテーションによって治療される。
【0024】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、複数の負荷領域(例えば、足部に加えて少なくとも一つの負荷領域)が測定される、バランスのリハビリテーションに関連する。本発明の一つの例示的な実施形態において、傾いた腕に加わる負荷が測定される。代替的に又は付加的に、臀部に加わる負荷が測定される。
【0025】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、対話式リハビリテーションに関連する。対話式リハビリテーションでは、複雑な課題が連続的な副課題に分けられ、副課題の最中にフィードバックを提供することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、人がより遠くに到達するほどバランス保持がより複雑になる到達課題が提供される。到達が向上すると、バランスに関連するフィードバックが任意選択的に提供される。
【0026】
本発明の一部の実施形態の一つの態様は、背痛などの身体の疼痛の治療及び/又は予防に関連する。本発明の一つの例示的な実施形態において、支持された姿勢のまま、背中、及び/又は関連する筋肉、及び/又は骨の各部を運動させるために、椅子システムを使用することができる。任意選択的に、そのような運動は腰部の手術後の患者に適している。任意選択的に、脊柱のCPM動作がサポートされる。
【0027】
このようにして、本発明の一つの例示的な実施形態により、その上に人間が座ることに適合したシートと、前記シートに対して動くことに適合した少なくとも一つの伸展装置と、前記人間のバランス状態の指標を生成する少なくとも一つのセンサと、前記センサを使用して前記バランス状態を測定している間に前記伸展装置を動かすように構成された制御装置と、からなるリハビリテーション椅子システムが提供される。
【0028】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、リハビリテーションを必要とする人間の体部位を特定することと、体肢に連結されることに適合した可動部を含む椅子システムを使用して前記体部位の少なくとも一つを運動させることと、からなるリハビリテーション方法も提供される。任意選択的に、必要なリハビリテーションと運動は、バランス・リハビリテーションを目的とする。
【0029】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、その上に人間が座るのに適合したシートと、前記シートに対して動くことに適合した少なくとも一つの伸展装置と、前記人間のバランス状態の指標を生成する少なくとも一つのセンサと、前記少なくとも一つのセンサを使用して前記バランス状態を測定している間に前記伸展装置を動かすように構成された制御装置と、からなるリハビリテーション椅子システムも提供される。任意選択的に、前記伸展装置は前記シートに機械的に連結されている。代替的に又は付加的に、前記制御装置は前記バランス状態に応じて前記伸展装置を動かす。代替的に又は付加的に、前記制御装置は前記伸展装置を動かして、バランス状態の応答変化を測定する。代替的に又は付加的に、前記シートは該シートの面外で回転することに適合している。
【0030】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記シートは背もたれを備える。任意選択的に、前記背もたれはジョイントで連結されている。代替的に又は付加的に、前記背もたれは、その垂直軸の周りを回転する。
【0031】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記シートは、前記回転に抵抗することに適合している。
【0032】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記シートは、動力で少なくとも10cm持ち上がることに適合している。
【0033】
本発明の一つの例示的な実施形態において、システムは、人間の少なくとも一つの脚を、その脚が置かれている床から持ち上げることに適合している、少なくとも一つの脚移動装置を備える。任意選択的に、システムは、少なくとも一つの第2の脚を前記床から持ち上げることに適合している、少なくとも一つの第2の脚移動装置を備える。任意選択的に、前記複数の脚移動装置は、一緒に固定されることに適合している。代替的に又は付加的に、前記複数の脚移動装置は、独立に動くことができる。
【0034】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのバランスセンサは、人間の足部用の少なくとも一つの圧力マットを含む。
【0035】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子のアームレストのための少なくとも一つの圧力センサを含む。
【0036】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、臀部用のシート上に配置される少なくとも一つの圧力センサを含む。
【0037】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子の近くにあるテーブル上に配置される少なくとも一つの圧力センサを含む。
【0038】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、椅子に座っている人に対して対称的に配置される少なくとも2つの圧力センサを含む。
【0039】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記少なくとも一つのセンサは、少なくとも4つの空間的に分離した圧力センサを含む。
【0040】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記制御装置は、その制御装置内に記憶されたリハビリテーション計画に従って前記伸展装置を駆動する。
【0041】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記制御装置は、その制御装置内に記憶されたリハビリテーション計画に従って前記シートを駆動する。
【0042】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、回転角(φ)及び仰角(θ)に対する共通の回転中心をもつジョイントと、前記ジョイント上に備え付けられたシートと、前記リハビリテーション計画に従って、前記シートを駆動することと、前記シートの回転を測定することと、のうち少なくとも一つを実行することに適合している制御装置と、からなるリハビリテーション・システムも提供される。
【0043】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、その上に人間が座ることに適合した椅子と、前記椅子に座っている人間の少なくとも一つの脚を持ち上げることに適合しているリフト機構と、前記人間の脊柱が操作されるように、前記人間の前記少なくとも一つの脚を繰り返し持ち上げるように前記リフト機構を制御することに適合している制御装置と、からなるリハビリテーション・システムも提供される。
【0044】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、ロボット支援装置に連結された椅子に人を座らせることと、前記装置のロボット支援を伴って、前記人に対して少なくとも一つのリハビリテーション運動を実行することと、からなり、前記運動はバランスをリハビリテーションするようにデザインされており、前記ロボット支援は、前記ロボット支援によって推進力を提供することと、前記ロボット支援によって動作に障害を提供すること、のうち少なくとも一つを含む、人のリハビリテーション方法も提供される。任意選択的に、前記運動は1つ以上の手をリーチすることを含む。代替的に又は付加的に、前記運動は、物を持ち上げることと、置くことを含む。
【0045】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記運動は、身体から離れて伸展した手のマニピュレーションを含む。
【0046】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記運動は、運動の複雑さが増すときに、フィードバックを使用した対話式運動を含む。
【0047】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記実行は複数の体部位を監視することを含む。
【0048】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記方法は、前記運動を実行している間に、前記人の両体側間のバランスを監視することを含む。
【0049】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記方法は、前記人の器官の位置を監視することと、前記人のバランスへの前記器官の支援を決定するために分析することと、を含む。任意選択的に、前記器官は腕を含む。代替的に又は付加的に、前記器官は胴を含む。代替的に又は付加的に、前記器官は脚を含む。
【0050】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記器官の位置を監視することは、前記器官の動きを監視することを含む。
【0051】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記器官の位置を監視することは、他の体部位の動作に対する前記器官の抵抗を監視することを含む。
【0052】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は、体部位を動かすことを含む。
【0053】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は、体部位の動作に抵抗することを含む。
【0054】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は、バランスの喪失を防ぐことを含む。
【0055】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は、バランスの喪失を促すことを含む。
【0056】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記運動は立ち上がりを含む。
【0057】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記ロボット支援は前記人を持ち上げる。
【0058】
本発明の一つの例示的な実施形態において、前記運動は胴のトレーニングを含む。
【0059】
また、本発明の一つの例示的な実施形態により、バランスを必要とする課題を人が行うことと、前記人が力を加える複数の空間的に分離した負荷領域(少なくとも一つの足部以外の負荷領域を含む)における力を測定することによって前記課題のパフォーマンスを監視することと、からなる、バランス・リハビリテーション方法が提供される。
【0060】
図面と共に、以下の例示的な実施形態の記載を参照して、本発明の非限定的な実施形態を説明する。図は概して一定の縮尺で記載されておらず、どの寸法も例示でしかなく、必ずしもこれに限定されるものではない。図において、一つ以上の図に現れる同一の構造、要素、又は部分は、それが現れる全ての図において、可能な限り同じ又は類似の番号が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
(概要)
以下の説明には、リハビリテーション器械及びリハビリテーション方法の双方が含まれる。本発明の一つの例示的な実施形態におけるリハビリテーション器械と、その器械を使用して行われる任意選択の方法を説明する。なお、ある方法に対する特定の器械の実施形態の使用は、その特定の方法を説明するためのものであり、その器械又は方法を器械の実施形態と方法の実施形態の特定の組み合わせに限定するものと解釈されるべきではない。
【0062】
(リハビリテーション椅子システム)
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション器械は椅子であるが、ワブルボードや踏み台などの他のリハビリテーション器械が任意選択的に使用される。図1は、本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子システム100の概略的な外観である。人すなわち患者104がリハビリテーション椅子110に座っている。椅子システム100は、リハビリテーションの目的及び/又は疼痛治療のために、人104の様々な体部位をトレーニングするために使用することができる。ここに記載するように、椅子システム100は、回復、及び/又はトレーニング、及び/又は、人104の腕や脚などの体部位の動きの改善を支援するために使用することができる。任意選択的に、センサ103が患者に付けられる。
【0063】
システム100はデータを取得し、制御装置150へ転送する。椅子の可動部及び/又は人の体部位の位置や向きなどのデータを椅子110によって取得し、その椅子によって制御装置へ転送することができる。データは、人に取り付けられたセンサ130から、データ取得ユニット140によって取得され、制御装置150へ転送される。
【0064】
制御装置は様々なプログラムを実行し、それへ転送されたデータを処理する。次に制御装置は、例えば、椅子の各部を特定の位置へ動かすことによる椅子の物理的な更新等の、フィードバックを提供する。制御装置はまた、例えばディスプレイ160を更新する等、他のフィードバックも提供することができる。制御装置150に関する追加情報は、後述の「制御装置」の節で説明する。
【0065】
(椅子システムを使用したリハビリテーション)
図2は、本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子110を説明するものである。この椅子を構成する部品については、椅子を使用する方法を説明する際などに後述する。
【0066】
図3のフローチャート300と図1は、本発明の一つの例示的な実施形態におけるリハビリテーションの方法を示す。更に後に、複数の椅子のデザインと、これらの椅子を使用して実施される様々なリハビリテーション方法を述べる。例えば、後述のリハビリテーション方法は、患者の腕を動かして、このような方法で患者の腕をトレーニングすることを支援する。
【0067】
動作302にて、様々な患者104パラメータ及び/又は椅子110パラメータの測定が行われる。測定は、様々なセンサの使用を伴う。センサは椅子110の一部であってもよく、例えば、椅子がバランスの崩れた姿勢にあることを表示する。任意選択的に、130のようなセンサは、人104に取り付けられて、例えば、身体位置及び/又は出された力を表示する。
【0068】
本発明の一つの例示的な実施形態において、人のバランス状態は患者のバランスのタイプ及び/又は特性を表示する指標から導き出すこともできる。ある例では、「バランスが崩れた」状況は、椅子110が人を不規則に支持しているときに認定される。別の例では、バランス状態は身体の各部位に加えられた力のバランスを表示する。別の例では、バランス状態は、様々な支持具(背もたれやフットレストなど)のバランスを保つ上での役割の表示を含む。別の例では、バランス状態は、相対的な重心の表示と、安定性を示すための支持具(例えば、椅子のシート)を含む。別の例では、バランス状態は、タイプ、大きさ、組織、及び/又は、(例えば、異なる支持位置の間の負荷の移動における)人の調和した動作の存在、に基づいた安定性を表示する。
【0069】
動作304にて、システム100の様々な要素(例えば、患者のためのトレーニング・プログラム及び/又は椅子の各部の一定の位置への移動など)を更新するために、測定結果が使用される。椅子の各部の移動は、人が課題を実行すること、及び/又は、人にバイオフィードバックを提供することを支援することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子の各部の移動は、患者に到達標的を設定するために、又は患者が脱落することを防ぐために、使用される。
【0070】
動作306にて、患者の体部位は、別々に又は一緒に、運動(トレーニング)される。通常、トレーニングはプログラムに従って行われる。任意選択的に、プログラムは制御装置150上で実行される。プログラムは予め用意されていてもよく、予備試験を行いながら案出されても良い。ある例では、プログラムは(非常に単純化された形態で)、「最初に支持無しに真っ直ぐ座ってトレーニングし、次いでバランスの崩れた椅子で第2のトレーニングをする。詳細は後述する。
【0071】
動作308にて、患者が運動を継続すべきか決定される。リハビリテーション・セッションは、かなり長い期間(例えば、数週間あるいは数ヶ月間、毎日あるいは週に2度)継続されてもよい。この期間にわたって、行われる運動のタイプ、複雑さ、及び/又は難しさが変えられる。
【0072】
図4は、椅子110を使用して、人104の片腕をトレーニングする様子を説明するものである。トレーニング方法及び(腕の動作、脚の動作などの)動作は後述する。
【0073】
(「同伴」法)
図5のフローチャート500は、バランス・トレーニング及び患者の背中のリハビリテーションのために使用できる方法(「同伴」法)を表している。この方法は、図2の椅子と共に説明する。動作502にて、患者104は椅子110の上に配置される。患者はシート105の上に座り、患者の腕はアームレスト250及び252の上に置かれる。図2中のアームレスト250は、任意選択的に様々なハーネス256、258、及び各患者個人の必要に応じて任意で使用されるハーネス支持具257から構成される。アームレストは、任意選択的に、少なくとも部分的に患者の手を支持できるように、(例えば空気ばねを使用して)浮かされている。患者は、バランスを保ちながら、椅子のアームの動きと一緒に動くことが要求される。椅子は安定していても不安定であってもよく、様々なレベルの支持が提供される(例えば、高い又は低い背もたれ、椅子のアーム、フットレスト、(胴用、腕用、及び/又は脚用)ストラップ、及び/又はハーネス)。
【0074】
動作504にて、(例えば「同伴」法を実行する)トレーニング・プログラムが決定される。
【0075】
動作505にて、人は何をすべきか指示を受ける。指示は、音声及び/又は映像(恐らくは、実行される動作に応じてシステム100によって実行時に生成されるコンピュータ生成映像)であってもよい。任意選択的に、指示はバーチャル・リアリティ表現を使用して患者に伝えられる。本発明の一つの例示的な実施形態において、システム100は、利用者を乗せて、又は乗せずに、実演をするために使用される。
【0076】
動作506にて、椅子230及び232は、椅子のアームを握る若しくは掴むことのできる位置にある患者の両腕を前に動かす。患者104は椅子のアームを先端で掴む(動作508)。椅子のアームの先端240は、椅子のアーム230に取り付けられ、椅子のアームの先端242はアーム232に取り付けられている。任意選択的に、様々なハンドル、拘束手段、センサ、及び/又は運動要素が、椅子のアーム230及び/又は232に取り付けられている。本発明の一つの例示的な実施形態において、力場の感覚を与える要素が提供される。別の例では、腕を動かす別の要素が提供される。本発明の一部の実施形態において、感覚アタッチメントには、患者に変化する触覚(例えばくすぐったい感じ)を提供するものが含まれる。任意選択的に、患者は、例えば、粗さ及び/又は滑らかさ識別すること等、表面の質感に関する治療のための感覚アタッチメントを使用する。
【0077】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子のアームのそれぞれは、椅子のアームの動きを可能にするボール機構に接続されている(図2参照)。特に、椅子のアーム230は、ボール機構224に接続され、椅子のアーム232はボール機構220に接続されている。本発明の一つの例示的な実施形態において、ボール機構は変化する力を印加するブレーキを含む。任意選択的に、ブレーキはリングであって、そのリングはボールの中心に近づけられると、ボールに選択可能な力を印加する。任意選択的に、ボールは一つ以上のモータ(例えば、ステッピングモータ及び/又はサーボモータ)を使用して動かされる。ボール上のハンドルは、任意選択的にリニア・アクチュエータを使用して動かされる。椅子のアームの位置を決定するためのエンコーダ、及び/又は、椅子のアームの力を決定するための力センサが、任意選択的に提供される。代替的に、ロボット関節アームが使用されてもよい。
【0078】
椅子のアームは、ボール機構220及び224によって、X、Y、Z軸方向の動きが提供される。例えば、患者104は、ボート漕ぎ動作をシミュレートするために、椅子のアーム230、232を使用することができる。任意選択的に、クロスカントリー・スキーの動作をシミュレートするために、椅子のアーム230、232を使用することができる。椅子のアームは、互いに逆向きに(例えば、歩行動作において、右腕を前に、左腕を後ろに)動かすことができる。当然ながら、椅子のアーム230、232は、任意選択的に、互いに独立に作動して動く。任意選択的に、椅子のアームは関節アームであり、3次元空間の動きをサポートする。本発明の一つの例示的な実施形態において、最大で6自由度をもつ、少なくとも一つの椅子のアームが提供される。任意選択的に、少なくとも一つの椅子のアームは望遠鏡のように伸縮して、アームの先端240、242の高さを調節する。代替的に、椅子のアームは、互いに鏡像をなして(例えば、一方の椅子のアームが他方の椅子のアームの動きをもたらす主従関係で)動作するように設定することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置又は機械的な連係によって、主従関係が実現される。
【0079】
「同伴」法では、動作510にて、少なくとも一つの椅子のアーム230及び/又は232が、患者104に対して動く。椅子のアームが動くとき、患者は椅子のアームの先端をしっかりつかみ続けるように指示される。アームは、患者に対して、任意の方向に(遠くに又は近くに、上下に、左右に、又はこれらを任意に組み合わせた方向に)動くことができる。椅子のアームの動作は速くすることも遅くすることもでき、動作のスピードは可変である。本発明の一つの例示的な実施形態において、後述のように、椅子110も動くことができ、椅子のアーム230及び/又は232に対して更に多様な動作を提供するために利用される。一部の例では、患者は一定のレベルの力及び/又は変化するレベルの力を印加する及び/又は維持するように指示される。そのような力のレベルは、椅子のアームの応答によって示されてもよい。その応答は、ある軌道上の動作は(任意選択的に抵抗を与えて)許容するが、他の方向への動作は許容しないものであってもよい。
【0080】
患者が動くアームと「同伴」するために動くと、任意選択的に患者と椅子の両方に取り付けられたセンサ130は、椅子及び椅子のアームに対する患者の動きを動作512で記録する。本発明の一つの例示的な実施形態において、センサは椅子の各部(例えば、椅子のアーム230、及び/又はアーム232、及び/又は先端240、及び/又は先端242)の位置を決定する。
【0081】
動作514にて、システム100により分析が行われる。分析結果は、トレーニング・プログラムを修正するために、及び/又は、様々な椅子の各部を動かすために、及び/又は、人104にフィードバックを提供するために、使用することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、バランス及び協調運動が起こると、そのパターンを分析する。このことは、椅子システム100が、直ちに患者の動きに干渉し、支配し、及び/又は修正することを可能にする。例えば、患者104が寄りかかり過ぎていないか、すなわち、継続が許可されれば患者が椅子から落下し、恐らくは更に負傷するほど椅子のアームに過度の大きさの圧力を与えていないか、をセンサ130は検出する。上述のような場合、患者を椅子の奥に座らせるために、後ろに傾けることによって椅子を補正することができ、その結果、患者の落下が回避される。センサの読取りに基づいて椅子の動きの修正を提供することに加えて、患者及び監督医療従事者は、患者の経過を評価して、更なるリハビリテーション計画を決定するために、センサの読取りを調査し、分析することができる。なお、修正運動は、椅子のアーム230及び/又は232によって開始することもできる。動作516にて、患者が運動を継続すべきか決定される。
【0082】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150はプログラムに従って椅子110を制御する。制御装置は、例えば、椅子のアーム230及び/又は232のような可動部を制御する。制御装置は、フローチャート500の方法のような、リハビリテーション方法を実行する。
【0083】
(シートの動作)
図6は、本発明の一つの例示的な実施形態による、椅子110の一つの変形である基本的な椅子600の概略的な外観である。椅子110及び600の双方は、シート105、ベース214、任意選択のボール機構、又はシートに接続してシートの動きを制御する、別の回転可能なボールベアリングの配置(例えば、二重ジンバル)222を備える。図6は、ブレーキ機構620も示している。ブレーキ機構は、特定の軸に沿った椅子の動きを制御するために使用される。例えば、もし、X軸に沿った動きが望ましくなければ、その方向の椅子の動きを防ぐために、ボール機構222の表面にブレーキを当てることができる。一般に、ブレーキはモータほど高価ではなく、必要な電力も少ない。図6は、シート105の幾つかの可能な動きを説明するものである。X−Y方向(612)、X−Z方向(614)、及びZ方向(616)の3つのタイプのシートの動きが図示されているが、3軸全てを組み合わせた動きも可能である。更に、例えば、適当なリニア・アクチュエータを使用して、X−Y平面に沿った並進運動が提供される。
【0084】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、X軸、Y軸およびZ軸位置を送信し、椅子600を回転させる。例えば、もし、人104が前傾していれば、椅子110は応答して、トレーニング・プログラムに従ってシート105を調整する。
【0085】
本発明の一つの例示的な実施形態において、シート及び/又は背もたれは垂直軸の周りを回転することができる。任意選択的に、この回転は患者による胴の回転を支援し、又は抵抗するために使用される。任意選択的に、背もたれは複数の部分に分割されており、例えば、背もたれの腰部を静止させたまま、背もたれの肩部を回転することができる。
【0086】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者104を実質的に静止させたまま、シート105は制御装置150によって動かされる。このことは、例えば患者104の姿勢を測定するときには望ましい。
【0087】
本発明の一つの例示的な実施形態において、バランスを保持しようとするときに、患者が椅子110又は椅子のアーム230及び/又は232を使って動かなければならないようにして、患者は椅子又は椅子のアームを動かすことによって運動させられる。患者によって椅子の各部(椅子のアームを含む)に加えられた圧力が測定され、分析される。任意選択的に、このことは、椅子のアームの先端240、242を動いているときに患者に握らせることと、次いで、例えば、椅子のアーム、椅子のアームの先端、及び/又は患者によって加えられる力を計測するためのフットレスト(又はフロアマット)等のシステムの様々な部分に取り付けられたセンサを使用することによって、達成される。
【0088】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子は自由に又は(例えば、ブレーキを使用して)減速した速度で回転及び旋回することが可能であり、患者は制御装置150からの支援無しにバランスを保たなければならない。患者が椅子のバランスを保つために姿勢を修正するときに、リハビリテーション経過を評価して更なるリハビリテーション計画を策定するために、患者の動きを測定し、分析することができる。任意選択的に、患者は椅子のアーム230及び/又は232を使用されているときにも、椅子のバランスを保つ。特に、力の不平衡な印加、(両側に)力が加えられる時間差、及び(例えば、EMGによって測定されるような)背筋及び腹筋の活動、が測定され得る。
【0089】
図10は、本発明の一つの例示的な実施形態における、運動用椅子1000で可能な動作の3つの基本軸1002、1004及び1006を表している。1002は、Z軸方向の椅子の動作である。矢印1004及び1006は、ジンバル上に椅子を備えることによって実現できる、例示的な回転動作を象徴している。
【0090】
図13は、リハビリテーション椅子1300から独立した椅子のアーム1330、1332をもつリハビリテーション椅子1300の例示的な実施形態を表している。椅子のアーム1330、1332が、椅子自体のボール機構1322に類似のボール機構1320、1324に接続されている様子が示されている。任意選択的に、この椅子は、背中を強化するためのCPMを患者に提供する膝支持具1340と共に提供される。CPMは背痛を治療するために使用されるが、詳細は後述する。この椅子1300は、椅子110及び600について説明したように、任意選択的にアタッチメントと一緒に使用される。
【0091】
代替的に、椅子1300は、一定の手順に従って患者が手及び/又は脚を動かすことを要求されている間、患者が臀部のみで支持される位置に移動させるために使用される。任意選択的に、加えられる力を測定するために、腕及び脚の支持具が提供される。任意選択的に、椅子1300は、患者が立位又は座位から開始しても、横たわって運動できるように平らになる背もたれをもつ。
【0092】
(「前方リーチ」法)
図7におけるフローチャート700は、バランス・トレーニングのために使用される方法(「前方リーチ」法)を表す。なお、「前方リーチ」とは、この方法に対する単なる名称に過ぎず、実際には、患者のリーチは任意の方向(例えば、上、横、等)で行うことができる。この方法は図2の椅子を使って説明する。動作702にて、患者104は椅子110の上に配置される。動作704にて、トレーニング・プログラムが決定される。この場合、実行されるプログラムは「前方リーチ」法である。動作706にて、椅子の各部が運動のための初期位置に移動される。例えば、患者が標的にリーチするところには、椅子のアームは、不要又は望ましくないため、取り外される。
【0093】
患者は開始位置へ手を移動し、可能な限り遠くかつ速くリーチするように指示される(動作705)。椅子が実行する測定(動作712)に応じて、椅子は支援又は抵抗(動作715)を提供する。例えば、椅子システムは人の体部位の位置及び向きを測定し(動作712)、椅子システムはこれらの測定結果に応じて椅子システムを介して人に力を加える(動作715)。任意選択的に、椅子の運動能力は一定の望ましい可動域に制限される。例えば、横方向への動作無しに、前後方向への動作のみが許容される。
【0094】
リーチしている間に、グラフィック、及び/又は音声、及び/又は映像のフィードバックを人に与えることもできる(動作715)。動作715にて、システム100によって分析が行われる。分析は、トレーニング・プログラムを修正するために、及び/又は椅子の各部を動かすために、及び/又は人104に別のフィードバックを提供するために、使用される。治療プログラムは、例えば、標的の数Nと、各標的に対して人がリーチしなければならない回数Mを含んでいてもよい。例えば、標的は広い可動域にわたって配置される(例えば、真上から真正面へ、横へ)。任意選択的に、標的は互いに近接して集団をなしている。標的は患者のリハビリテーションの必要性に基づいて与えられる。標的の配置を変えることに加えて、本発明の一つの例示的な実施形態において、患者は可変の速度及び/又は力で標的にリーチするように指示される。患者の身体の特定の部位に対するリハビリテーションに集中するために、「不正行為」または健康な体部位からの望ましくない支援を防ぐため、患者の体部位は拘束されることがあり、又は患者は体部位を動かさないように指示されることがある。センサは、任意選択的に「不正行為」を監視するために使用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーションは抵抗トレーニング(例えば、錘の使用)を含む。
【0095】
患者104は、手をアームレスト上に置いたまま、標的に向けてゆっくり動かして、運動を開始する(動作708)ように指示される(動作705)。標的は、任意選択的に椅子に取り付けられた実質的に鉛直な板の上に、人がリーチできる距離で、人の前方に配置される。センサは手の上に設置される。本発明の一つの例示的な実施形態において、板は照明(標的の位置を示す)と力を測定するためのセンサを含む。任意選択的に、板は位置センサ及び/又は板を既知の位置へ移動させるためのアクチュエータを含む。任意選択的に、例えば、もしセンサが板全体にではなく、標的自身に提供されるならば、板はその上を標的が移動できる軌道を含む。患者がそれ以上標的に向かって動けなくなるまで、又は標的に到達するまで、患者は標的に向かって動く。本発明の一つの例示的な実施形態において、人は(例えば、手の上に取り付けられた近接センサ又は位置センサを使用して)彼の手が標的にどの程度近いか、腕の移動速度について、及び動きの滑らかさ、についてのフィードバック(動作715)を得る。本発明の一つの例示的な実施形態において、標的は、例えば、力センサ及び/又は位置センサを含む、ロボットアームの先端である。動作716にて、患者が運動を継続すべきかどうかが決定される。
【0096】
筆記課題の例では、例えば、既知の書き込み検出ホワイトボードのような、位置及び接触/圧力センサを有するペンが使用される。
【0097】
次に図8を見ると、リハビリテーション椅子800を使用して前方にリーチしている人が、本発明の一つの例示的な実施形態により図示されている。この場合、標的Nはボトル810である。例示的な運動において、患者804は最初にボトル810に向けてゆっくりリーチするように指示される。ボトルに向けてゆっくりリーチすることに成功した後、患者は徐々に速く、かつ任意選択的により遠くへ、ボトルに向けてリーチするように指示される。任意選択的に、椅子800は、わずかに前方に回転することにより、患者がボトルにリーチすることを支援する。任意選択的に、患者を「押し」てボトルの方により近づけるために、ジョイントで連結された背もたれが使用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者804がボトル810に向けてリーチするときの患者及び椅子の状態を監視するためにセンサが使用される。患者のバランス及び筋力の欠如を検出するために、センサの測定結果の分析が使用される。これらの欠如は、次いで、ここに記載の器械及び方法を任意選択的に使用して、特別にリハビリテーションされる。
【0098】
本発明の一つの例示的な実施形態において、バランスを保持しながら、ボトルから液体を注ぐ又は注ぐ真似をする等の運動を行うことにより、患者は運動制御を精緻化するように動機付けもなされる。
【0099】
(例示的な「正しいバランス」法)
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者には、複数の体部位によってもたらされる力の測定結果、及び任意選択的にバイオフィードバックを使用して、どのように正しいバランスを達成するのかが教えられる。任意選択的に、患者は一つ以上の体肢の様々な組み合わせを使用して、バランスのとれた状態を達成するためにリハビリテーションされる。例えば、患者は、同時に両足を使わずに片足だけでバランスをとるためのバランス・リハビリテーションを受けることができる。ここに記載するように、患者の動作及び/又はバランスは、患者やその周囲、及び運動器械やその周囲に配置される複数のセンサを利用して測定可能である。任意選択的に、患者のバランスが正確にとれているかどうかを決定するために、全ての測定された力のベクトル和を計算することができる。正しいバランスと考えられるものは、既製の目標バランス・プロフィールによって、患者の健康なプロフィールとの比較によって、他人の健康なプロフィールとの比較によって、及び/又は、患者のバランスの基準を定める何らかの別の合理的な方法によって決定される。任意選択的に、経過を測定するために、及び、リハビリテーション計画で支援するために、患者のバランス・プロフィールが長期間にわたって追跡される。
【0100】
本発明の一つの例示的な実施形態において、ここに記載のセンサによって得られた測定値は、患者が特定の部位に力を多く及ぼし過ぎているかどうか、又は十分な力を出していないかどうかを決定するために使用される。例えば、もし患者が左足に頼り過ぎていて、右足に十分に頼っておらず、そのため完全にバランスがとれていなければ、センサはバランス喪失を測定し、システムは患者がバランス状態になることを支援しようと試みる。任意選択的に、患者がバランス喪失状態にあることをシステム100が決定したときに、バランスの崩れた状態を修正するのに役立つ方法で患者が応答することを促すために、システム100は患者にフィードバックを提供する。フィードバックは、任意選択的に音声形式で、及び/又はビデオ・ディスプレイ上で患者に提供される。本発明の一部の実施形態において、フィードバックは振動その他の触刺激の形式で届けられる。任意選択的に、フィードバックは、バランスのとれた状態を達成するために適切に使われていない身体の特定の部位を対象にする。
【0101】
(付加的な椅子の詳細)
上述のように、本発明の例示的な実施形態における患者のリハビリテーションの経過を正確に測定するために、様々なセンサを患者及び/又は様々な椅子の構成要素に貼り付けることができる。この目的のために、多種多様なセンサが、単独で又は組み合わせて使用される。センサは大まかに2つのタイプに分類できる。第1は患者に関連するセンサ(例えば、体部位の位置、生理学的反応)であり、もう一方のセンサは椅子の配置(椅子の構成要素の位置/向き)を測定するために使用される。
【0102】
リハビリテーションの間に患者に関する情報を収集するために、センサは任意選択的に患者の身体に取り付けられる。例えば、位置センサが、腕、胸、頭部、脚、手、及び/又は足部等の体部位に任意選択的に取り付けられる。これらの位置センサは、運動の間に様々な体部位の位置を決定するために使用される。これらの位置測定結果の分析は、弱い体部位に対する強い体部位による過補償等を含めた、全体的な患者の動きを認識することを支援する。「前方リーチ」リハビリテーション法と共に、例えば、位置センサは患者のリーチ動作の確度及び精度を測定することができる。
【0103】
任意選択的に患者のリハビリテーション中に使用される他のタイプのセンサは、感圧センサである。特定の位置(例えば、椅子のアームの先端242)に患者の及ぼした圧力の測定を通して、安定性及び/又は身体制御のために患者がその体部位にどの程度依存しているのかが決定できる。圧力センサは、任意選択的に手、脚、足部、腕、後部、頭部、及び胴で使用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、修正された圧力データの分析は、バランスが欠如したところで、患者がバランスを保っているか否かを説明する。例えば、「同伴」法と共に使用される圧力センサは、患者のバランスが欠如しているかどうか、椅子の運動の間に患者が特定の椅子のアームの先端に過度の大きさの圧力を及ぼしているどうかが決定される。この過度の大きさの圧力は、その方向に動いているときに患者が適切にバランスをとることができず、その結果、バランスを保つために椅子のアームの先端にもたれたことを示す傾向にあろう。患者のリハビリテーション・プログラムは、従って、バランスの欠如を克服する方向へバランスを移動させるように作られるかもしれない。力は任意選択的に圧力センサを使用して測定される。「前方リーチ」法と共に使用することで、標的に向かって伸展する患者は、どの程度の圧力(すなわち、力)を患者が標的に及ぼし得るかを検出する圧力センサを作動させることができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、圧力センサは筋力とバランスの両方を一緒に測定するために使用することができる。
【0104】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者のリハビリテーションに対する生理学的反応を監視するために、筋肉緊張及び筋電図(「EMG」)センサ等の別のセンサが使用される。これらのセンサから取得された測定値は、患者のどの部位が更なるリハビリテーションを必要としているかを特定し、その後のリハビリテーション計画の立案を可能にする。任意選択的に、脈拍測定値又は呼吸数センサが使用される。
【0105】
患者監視用のセンサに加えて又はその代替として、本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子の動作を監視するためのセンサが任意選択的に提供される。例えば、リハビリテーション椅子の任意の構成要素に加えられるパワー及び/又は力の位置を追跡するために、任意選択的にリハビリテーション椅子のその構成要素にセンサが付着される。この目的のセンサの一つのタイプは、磁気式の位置追跡センサである。また、超音波式又は光学式の位置センサも知られている。椅子からのセンサ測定値が患者からのセンサ測定値と比較されることは、特に有用である。このデータの比較分析は、椅子の特定の動きに対する患者の応答を示す。これらの椅子の動きに対する患者の応答の欠如は、更なるリハビリテーションの必要な部位を示す。
【0106】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子の原動力は、ボール機構222に動作可能に連結している、少なくとも一つのモータによって提供される。任意選択的に、ボール機構222の特定の(又は全ての)方向への動きを阻止するために、少なくとも一つのブレーキが提供される。更に、Z軸に沿った椅子の動作を支援するために、任意選択的にモータが提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、ボール機構222に伝えられる動きの量を決定するために、位置エンコーダがモータと共に使用される。
【0107】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子の速度及び方向性は可変である。図6に示されるように、椅子は任意選択的にx、y、及びz軸方向に動く。停止から比較的に高速な運動までを椅子に提供するために、モータの速度は調節可能となっている。椅子の回転速度のアクティブ制御に加えて、椅子を完全に自由にすることもでき、あるいは間欠的な運動のみを提供することもできる。任意選択的に、椅子は、患者の運動に追加の支持具を提供する。本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、比較的に小さな重力をシミュレートする抵抗(例えば、ブレーキ又はモータの使用)を含んで、椅子は重力に対してゆっくり応答する。任意選択的に、利用者の動作に対する応答は、通常か、通常よりも速い速度とすることもできる。任意選択的に、椅子のバランス喪失(例えば、回転運動)に関する安全上の制限も提供される。代替的に又は付加的に、それ以下においては椅子がバランスを失わない閾値がある。
【0108】
(椅子の使用)
なお、本明細書に記載にリハビリテーション装置は、家庭、老人ホーム、病院、及びリハビリテーションセンターで使用することができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、トレーニングは、ゲーム、及び/又は競争、及び/又はトーナメントを使用して行うことができる。任意選択的に、図1では、複数の椅子システムがネットワーク(例えば、LAN又はインターネット155)によって相互接続されている。
【0109】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーションは支援があっても無くてもよい。例えば、いったん患者が座れば、彼は支援無しに運動することができる。一部の患者は支援、及び/又は拘束を必要とする。任意選択的に、リハビリテーション・セッションの監視及び/又は管理は、例えば、電話回線又はインターネットを介して、おそらくはセンターから遠隔で行われる。
【0110】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子は患者の能力の検査のために使用される。任意選択的に、そのような椅子は、リハビリテーションを終えた患者の継続管理のために使用される。
【0111】
任意選択的に、リハビリテーションの間、患者の経過が記録され続ける。恐らくは、経過不良は、治療できる根本的な器官の問題に関連付けられるか、医師に報告される。
【0112】
本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子システムの第1の使用は、利用者特定情報を入力して、及び/又は、患者の能力を検査して、椅子システムを患者に合わせて調整することを含む。任意選択的に、椅子は、例えば、高さ、幅、及び/又は背もたれの角度が調整可能である。任意選択的に、一定の身体的変形、及び/又は体形に適合させるために、クッションが提供される。初期の運動のセットが決定され、このセットは経過及び/又は時間に従って拡張され及び/又は変更される。任意選択的に、例えば、本をテーブルから持ち上げる能力などの、一つ以上の評価基準が定義され、一度合格すると、リハビリテーションは完了したと見なされる(あるいは別の段階に移る)。また、歩行訓練の一部として、一度バランスが十分に良くなれば、患者を立位のみでトレーニングをしてもよい。任意選択的に、身体的負荷の少ない状態でバランス・トレーニングを可能にするときには、座位が維持される。
【0113】
本発明の一つの例示的な実施形態において、少なくとも部分的には水中で患者をリハビリテーションするために椅子が使用される。このことは、防水部品、及び/又は有線接続ではなく無線接続の使用を必要とする。
【0114】
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、歩行訓練のために、患者の足部はx−z平面内を動くことのできるペダルの上に置かれる。任意選択的に、ペダルはx−z平面内を回転する(または回転に抵抗する、又は回転を支援する)こともできる。任意選択的に、2つのペダルは、歩行をシミュレートするように動く。
【0115】
(椅子の変形)
本発明の一部の実施形態は、異なるデザイン、及び/又は設定、及び/又は動作を有していてもよい。本発明の一つの例示的な実施形態において、シート105は様々な形状及び傾斜を有する。任意選択的にシートは背もたれをもつ。任意選択的に、背もたれは高さ調節可能である。任意選択的に、背もたれはシートに対して傾斜し、動く。任意選択的に、背もたれは頭部支持具を有する。任意選択的に、シートと背もたれは、独立して又は従属的に動く。本発明の一つの例示的な実施形態において、背もたれは複数のセグメントがジョイントで連結されており、前記セグメントは患者の背中の特定の部位に方向性のある支持を提供することができる。支持具は、任意選択的に、運動中の患者の動作に応じて提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、関節接合は椅子のセグメントの間にある動力で動くジョイントによって支持される。セグメントは、例えば、椅子の背もたれに鉛直に、及び/又は水平に配置される。本発明の一つの例示的な実施形態において、動力で動くジョイントは、ジョイントを回転するためのモータを含む。各セグメントに位置及び/又は方向センサが提供されること加えて又はその代替として、任意選択の位置エンコーダがモータに提供される。上述の例示的な実施形態は、患者が立って又は座って運動しているときに、患者を支持するために任意選択的に使用される。
【0116】
本発明の一つの実施形態において、椅子から体重の一部を取り除くために、患者はリハビリテーション椅子の上に吊るされたハーネスに固定される。任意選択的に、ハーネスは運動中の患者に追加の支持具を提供するために使用される。任意選択的に、ハーネスは、リハビリテーション中に患者が地面に落下するのを防止するための安全装置としても使用される。
【0117】
本発明の一つの例示的な実施形態において、シートは人104の身体パラメータ(例えば患者の身長及び/又は体重など)に適合するように調整することができる。
【0118】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は足部支持具と共に使用される。任意選択的に、足部支持具はセンサ(例えば、圧力センサ)又は取り付け手段(ストラップ等)を含む。任意選択的に、例えば、足部を上げるために、又は一つ以上の向きに足部を回転させるために、足部支持具は可動である。
【0119】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子はフロアマットと共に使用される。任意選択的に、フロアマットはセンサ(例えば、圧力センサ)を含む。
【0120】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は、膝支持具と共に使用される。膝支持具は、足部支持具について記載したような特徴を含み、膝を曲げるためのモータ、及び/又は膝の位置を知らせ、及び/又は膝の位置を強制するセンサ、を任意選択的に含む。
【0121】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は、足部支持具について記載したような特徴を含む、脚支持具と共に使用される。
【0122】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は少なくとも一つの腕支持具と共に使用される。腕支持具は、例えば、二次元又は三次元の関節接合、及び/又は回転動作の基礎となるボール機構を使用した、足部支持具について記載したような特徴を含んでいる。
【0123】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者はバランスを保ちながらボールを蹴る練習をすることができるように、ボール・アタッチメントが提供される。他のアタッチメント(場合によっては、物理的に取り付けられることのない)が同様に提供される。任意選択的に、接着剤その他の取付手段を有する無線位置センサが提供され、患者が日用品を使った練習ができるように、このセンサは本や薬缶などの日用品に付着することができる。任意選択的に、「リーチ」法は、システムによって投げられ、利用者がキャッチしなければならないボールによってサポートされる。任意選択的に、同様の動作を提供するために、ロボットアームがある位置へ移動し、次いで時間窓が経過した後に立ち去る。
【0124】
本発明の一つの例示的な実施形態において、フット・パッド/ラグ、アームレスト、シート・クッション、背もたれ、の一つ以上に圧力センサが提供される。任意選択的に、そのような圧力センサは、活動中の患者によって加えられる圧力を表示する。任意選択的に、患者の接触点を推定できるように、センサは正確な加圧点を(例えば、5cm以内で)表示する。代替的に又は付加的に、患者の体部位をパッドに連結するために、固定手段が提供される。代替的に又は付加的に、患者の体部位上に設置された位置センサは、体部位と圧力センサとの相対位置の表示を生成する。
【0125】
任意選択的に、圧力センサは、トルクセンサを含む。このトルクセンサは、圧力の大きさのみならず、力が印加される(圧力センサ面内の)方向も検出するために使用することができる。
【0126】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子は、(任意選択的に、目盛り表示の付いた)手動で作動するブレーキを備えている。患者は、任意選択的に、高い摩擦(すなわち、より安定している)でリハビリテーションを開始し、患者が(例えば、物に向けてリーチする)運動中に安定性を改善すると、筋力とバランスを改善するために、次に患者は椅子の摩擦を徐々に増やす。上述のように、椅子の安定性は椅子の角度によって一定である必要はない。運動の間、終始一定しないこともある。例えば、まず、患者によって加えられるバランスを欠いた力が無視される、比較的に大きな安全地帯が提供される。しばらくして、患者がそのようなバランスを欠いた力を加えないように、より注意深くなる、又はそれを修正するように準備する、ことが必要となるように、例えば、前回のパフォーマンスに基づいて、ゾーンの大きさが減少する。
【0127】
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、メッセージを提供するために、又は(例えば、安定性を失いつつあることの)フィードバックのために、リハビリテーション椅子は振動する。
【0128】
本発明の一部の実施形態において、一部の部品は類似の部品と交換可能である。例えば、シート105は、幾つかの別のタイプのシート(例えば、自転車のシート等)と取り替えることができる。
【0129】
(制御装置)
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150はプログラムに従って椅子110を制御する。任意選択的に又は付加的に、制御装置はパーソナルコンピュータ又は専用の埋込式コンピュータである。本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置は、例えば椅子のアーム230及び/又は232などの、椅子の可動部を制御する。制御装置は、例えば、図5のフローチャート500に記載されるような、リハビリテーション方法を実行する。プログラムは予め用意されていてもよく、予備試験を実施した後で案出されてもよい。
【0130】
リハビリテーション方法は、例えば、メニュー及び利用者入力装置を使用して、選択されてもよい。任意選択的に、例えば、年齢や性別などの、様々なパラメータを、利用者入力装置によって与えることができる。
【0131】
制御装置は、プログラムに従って、椅子110の可動部の動きを制御することができる。例えば、制御装置は、椅子に座っている人が座位から立位になるのを支援するために、彼を持ち上げるように椅子110のシートを動かす。
【0132】
本発明の一つの例示的な実施形態において、人104にセンサを付ける必要が無いように、リハビリテーション椅子110はセンサその他の測定手段を有する。椅子は、椅子の各部及び/又は人の各部位の位置及び/又は向きのデータを生成可能であってもよい。例えば、人104の全身及び/又は身体の各部位に対する、X軸、Y軸、及びZ軸位置。椅子は、例えば、人間の体部位によって加えられる圧力、即ち人104の体重等の別の測定のデータが生成可能であってもよい。矢印194で示されるように、データはリハビリテーション椅子110から制御装置150へ転送される。データはまた、矢印192で示されるように、データ収集システム140から制御装置150へ転送されてもよい。
【0133】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、リハビリテーション椅子110及びデータ収集システム140からの入力データを処理する。任意選択的に、利用者と対話をするために、様々な利用者入力装置170が使用される。任意選択的に、コンピュータは、例えばディスプレイ160、ビデオユニット162、オーディオユニット164などの出力装置に出力する。オーディオユニットは、聴覚的及び/又は言語的指示、及び/又はフィードバック、を提供するために使用されてもよい。遠隔地のコンピュータに接続するための外部接続が、任意選択的に提供される。任意選択的に、制御装置はLAN、WAN、及び/又はインターネット等のネットワークと通信している。
【0134】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、次の課題のうちの少なくとも一つを実行する。様々なプログラムを実行する。椅子100を制御する。椅子110の各部の動作を制御する。X軸、Y軸、及びZ軸位置及び回転を椅子110に転送する。
【0135】
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置は装置110又はその各部を、予め用意されたプログラムに従って制御する。任意選択的に、制御装置は、複数の装置及び/又はリハビリテーション・システムを制御する。プログラムは、多くの予備試験の後に準備される。プログラムはリハビリテーション方法を実行する。操作者又は人104は、メニュー及び利用者入力装置を使用して、リハビリテーション方法を選択することができる。任意選択的に、例えば、年齢や性別などの、様々なパラメータを、利用者入力装置170を使用して与えることができる。
【0136】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション・プログラムの全体を通して患者のパフォーマンスが追跡される。任意選択的に、制御装置150が追跡を行う。センサ130が患者及び椅子に関するデータを収集すると、結果は制御装置150がアクセス可能なデータベースに記憶される。制御装置150は、次にデータベースに記憶されたデータをソート及び処理するために使用される。なお、装置100の一部の実施はコンピュータを含まない。一部の実施は電力を必要としない。ある例では、機械式コンピュータ(例えば、アームの動きを導く機械式のカム従動子)が装置パラメータを制御するために使用される。任意選択的に、上述のように、椅子は手動で操作される。
【0137】
(痛み)
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば筋肉の緊張、呼吸数又は脈拍数に基づいて自動的に、又は、例えば利用者入力(例えば、声又はスイッチなど)に基づいて手動で、椅子システムは痛みを検出することができる。本発明の一部の実施形態において、急停止及び/又は運動動作の変化は、痛みの指標として解釈される。
【0138】
本発明の一つの例示的な実施形態において、可動域及び/又は痛みが現れる筋肉運動と痛みのレベルを調査するために、椅子システム(又は、ロボットアームなどの別のリハビリテーション装置)が使用される。任意選択的に、患者は痛みを回避する動作を教わる。
【0139】
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、無痛限界を拡張しようと、又はセッション中の痛みの程度を制限しようと試みるために、リハビリテーション動作の軌道は痛みを考慮して選択される。任意選択的に、患者の無痛の可動域(及び力の範囲)を拡張するために、患者を痛みの閾値寸前で作業させるようにトレーニング・セッションが構成される。当然ながら、バランスに関連する多くの活動は、広範な筋肉を動かすため、予期しない痛みを起こしやすい。患者にこれらの動作がどのようなものかを(例えば、安全な状況下で)示すことによって、患者はそのように筋肉を動かすことを回避できるようになる。代替的に、リハビリテーションは、特定の筋肉(例えば、萎縮していないもの)の所要の運動量を含み、また患者は彼が経験することになる痛みの程度が予め決定された必要なものであることを承知している。
【0140】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が不必要かつ(例えば、不安定な関節に)痛みや身体的損傷を起こすような方法で体部位を動かす場合、位置その他のセンサがフィードバックを提供するために使用される。任意選択的に、安全警告のみならず、痛みの警告も提供される。任意選択的に、リハビリテーション・システムは指摘されたものを除いて痛い動作を防ぐため、おそらくは患者のシステムへの信頼が向上する。
【0141】
(バランス・トレーニング)
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者は椅子110、600、1300の中でリハビリテーションされる。患者のバランスを改善するために、椅子は最初に、その上に椅子が載るボール機構が回転または旋回しないように構成される。患者が運動を開始し、(例えば「同伴」及び「前方リーチ」等の運動を実行しながら)リハビリテーションの予定が進捗するにつれて、椅子には徐々に広がる可動域が与えられる。理想的には、患者はリハビリテーション椅子の上で、ブレーキ又は椅子のモータからの支援無しに、バランスを保つことができる。椅子の可動域を広げることが適切かどうかを決定するために、上述の及び本文書の別の箇所に記載するタイプのセンサによって、患者は監視される。
【0142】
パフォーマンスの基礎レベルを決定するために、健常者のパフォーマンスがこれらのセンサを使用して測定される。別の方法では、健常者の検査にかかわらずに、パフォーマンスの目標レベルを決定することができる。麻痺患者が運動を行うときに、センサは患者のパフォーマンスを測定する。本発明の一つの例示的な実施形態において、様々な体部位の測定が行われ、次にそれらの相対的な使用状態を評価するために、体部位の測定値が互いに比較される。任意選択的に、患者の複数の体肢及び/又は体部位が測定される。運動の測定結果は目標実行回数と比較され、不足が記録される。次に、リハビリテーション・プログラムが、これらの不足に基づいて調整される。例えば、もし患者が起立しようと試みると、各足部の下の圧力センサは、患者の及ぼす圧力を測定する。理想的には、立位においては、2つの足部によって及ぼされる圧力は同じである。しかしながら、もし片足を庇っていれば、それは患者に更なるリハビリテーションが必要であることの表れであることが多い。本発明の例示的な実施形態において、同じ技術が、腕と手の関与する運動、又はマクロ運動(例えば、リーチ)に適用される。
【0143】
本発明の一部の実施形態において、患者が軽い錘及び/又はボールをキャッチし、又は投げる必要のある、「リーチバランス」法が使用される。これらの活動は、その人のバランスを変化させることを必要とする。本発明の一つの例示的な実施形態において、器械の制御する装置によって、ボールが患者に向けて自動的に投げられる。ボールが患者の付近にくると、患者は手を伸ばして、空中を飛ぶボールを捕ろうとする。このタイプの活動は、典型的には患者を中心から外し、従ってバランスの練習になる。患者の治療上の必要によっては、ボールは特定の方向から患者に向けて投げられる。別の方法では、バランスをリハビリテーションするために、患者が特定の方向にボールを投げることもできる。任意選択的に、この運動はリハビリテーション椅子110に座りながら行われる。
【0144】
本発明の一部の実施形態において、リハビリテーション椅子は患者をバランスの崩れた位置へ移動させ、患者はバランスを確立するために姿勢を修正することが期待される。任意選択的に、アームレスト及び/又はフットレストがバランスの崩れた位置への移動を開始し、患者はバランスを確立するために姿勢を修正することが期待される。修正速度、修正する運動の方向に関して、患者の動きは、もし修正が完了している等すれば、リハビリテーション・システムと連結して使用されるセンサで測定することができる。任意選択的に、バランス修正における任意の不足が特別に訓練される。
【0145】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション・システムは、バランス状態を回復するために、患者の自然な運動に追加の運動を提供する。このことは、患者の位置と動きを感知して、これらの測定結果を既知のバランス状態と比較し、また、バランス条件が満たされるかどうかを予測することによって達成され、次いで、計算された患者による修正不足又は過修正を補償するために、適切な原動力を椅子に供給する。
【0146】
例えば、フィードバックを示すために、及び/又は指示を示すために、及び/又は活動をより興味深いものにするために、及び/又は痛みを和らげるように患者の気を散らすために、本発明の一部の実施形態においてバーチャル・リアリティ(VR)タイプのディスプレイ又はテレビ・ディスプレイが提供される。人は画面上の指示及び/又はフィードバックに反応することができ、これが患者の筋肉を強化し、バランスを改善し、一部の動作を改善することができる。
【0147】
一部の例示的な実施形態において、バランスを改善して眩暈を軽減させるために、動性錯覚を生み出す映像ベースの運動と組み合わされた椅子システムが使用される。
【0148】
本発明の一つの例示的な実施形態において、自転車に乗ることをシミュレートするために、椅子と連結したフットペダルが使用される。患者がペダルを踏んでバランス状態を保つことができるかどうかを決定するために、センサが使用される。
【0149】
本発明の一つの例示的な実施形態において、バランス運動は、立ちながら又は座りながら(例えば、感圧パッドを備えた)テーブルの上にもたれることを含む。不規則な圧力は、リハビリテーション可能なバランスに関する問題を示唆することがある。任意選択的に、一つ以上の振動その他の刺激パッチ/ユニットが体部位に取り付けられ、患者に活動を変えるように促す刺激を発生する。任意選択的に、リハビリテーション・システムのロボットアームは、例えば、動くこと又は振動することによって、そのような(例えば、ハンドルではなく、その上にもたれるためのパッド・アタッチメントを使用した)フィードバックを提供する。
【0150】
別の例示的な運動は、座らせながら片脚を持ち上げることである。別の例示的な運動は、例えば、後述の部分的に支持する椅子を使って、片足で立つことである。
【0151】
(脚の持ち上げと背中の治療)
図11及び12に、本発明の一つの例示的な実施形態による、椅子ベースのリハビリテーション装置1200を示す。装置1200は、シート201、ベース205、ボール機構203、足部支持具1220及び1222、及び膝支持具1240及び1242からなる。任意選択的に、膝支持具は一体形である。装置1200は、患者を座らせたままで、背筋のCPMを実行する。この装置は、背中の可動性を改善し、背痛を軽減し、また筋肉の緊張を緩和するために使用することができる。典型的には、座位での背中の治療は、横たわりながらの背中の治療よりも望ましい。横たわりながら(従って、姿勢を変えるときに背中により多く圧力を加えて)運動することは、更なる背中の不快症状及び/又は損傷を起こし得る。本発明の一つの例示的な実施形態において、膝支持具1240、1242及び任意選択的に足部支持具1220、1222を、一緒に又は別々に上げ降ろしすることによって、リハビリテーション装置上でCPMが行われる。支持具を上げ下ろしすることが、任意選択的に、患者のリハビリテーションが必要とするだけ、多くの回数、及び/又は、多くのセッションで繰り返される。
【0152】
本発明の一つの例示的な実施形態において、CPM(又は別の運動)が適切に管理されているかどうか、及び/又は(例えば、EMG感知を使用して)CPMの筋肉への効果、を評価するために、様々なセンサが使用される。
【0153】
任意選択的に、患者に運動を提供するために、リハビリテーション椅子1200は回転する。椅子1200は、x軸、y軸、及びz軸の周りを三次元で回転可能である。回転は、1軸、2軸、又は3軸全ての組み合わせに沿って実現される。本発明の一つの例示的な実施形態において、膝支持具1240、1242及び/又は足部支持具1220、1222は、椅子1200が回転している間に動作する。そのような運動は、脊柱を動かし、背中及び/又は胃の筋肉を運動させ、及び/又は、それらの可動域を拡張させるようにデザインされた軽度の運動とすることができる。本発明の一つの例示的な実施形態において、そのような動作は、例えば、身体に支持を提供する筋肉をストレッチし又は動かすことによって、疼痛を治療するために使用することができる。任意選択的に、疼痛を和らげるために、椅子はヒータと振動器を含む。
【0154】
本発明の一つの例示的な実施形態において、CPM運動は、任意選択的にCPMに同期する、手及び腕の運動を伴う。図13に示す構成要素1330及び1332などの腕支持具が提供されることによって、手及び腕を運動することができる。加えて、脊柱の屈曲を起こす脚の動作は、(例えば、支援された、又は抵抗を受けた)非他動的なものとすることもできる。
【0155】
本発明の一つの例示的な実施形態において、背中の不具合の治療に役立てるために、非CPM運動も使用される。例えば、ここに記載の「前方リーチ」運動は、バランスをリハビリテーションするのみならず、背中の筋力を作るためにも使用することができる。任意選択的に、非CPM運動は手及び腕の運動を伴う。図13における構成要素1330や1332などの腕支持具を提供することによって、手及び腕を運動することができる。
【0156】
本発明の一つの例示的な実施形態において、例えば、筋肉を過度に緊張させることを防ぐために、患者に修正動作を教えるために、椅子1200又は別の椅子が使用される。ある例では、リーチ動作が利用者によって要求され、利用者はその動作中に(例えば、音声又は言語のメッセージを使用して)動作が正しいかどうか及び/又は何が誤っているのかを知らされる。任意選択的に、どの動作が間違っているのかを患者に明確に指摘するために、刺激ユニットが提供される。
【0157】
別の例では、様々な典型的な日常の動作(例えば、胴をひねる、物を持ち上げる、リーチする、及び/又は力を加える等)が例を挙げて患者に教えられる。任意選択的に、もし動作の一つが痛みを起こせば、システムは患者からフィードバックを受け取る。そのような場合、システム及び/又は療法士は、「正しい」動作を再構成する。正しい動作はまた、筋肉を一定の順序で動かすトレーニングすること、及び/又は、筋肉、関節、その他の体部位へ多くの緊張を加えることを控えること、を含んでいてもよい。例えば、患者に例を挙げて教えることによって、任意選択的にこれら全てが教えられる。
【0158】
(起立と着席)
しばしば椅子を使って実行される活動は、起立と着席である。年を取ると、及び/又は、認知に関する及び/又は身体的な損傷を患うと、これらの課題は困難になる場合がある。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子リハビリテーション・システムは、着席及び起立の修正軌道を、最初から最後まで患者に案内することができる。患者が様々な物(例えば、テーブルやアームレスト等)に寄り掛かるときにも、そのような案内は、位置、速度、及び力のフィードバックを含むことができる。代替的に又は付加的に、椅子は、実際に患者を軌道に沿って移動させる、椅子のアーム、シート座部、及び背もたれ等の可動部を提供することができる。患者が痛みを訴えるために、痛みスイッチが任意選択的に提供される。例えば、アームレストを動かすこと、椅子の支援の程度を変更すること、及び/又は患者が辿ることが可能な及び/又は許される軌道に制限を設けること等によって、様々な着席及び起立運動が提供され得る。
【0159】
次に、図9Aを参照すると、リハビリテーション椅子900に深く腰掛けた患者904が示されている。本発明の一つの例示的な実施形態において、支持のために、患者の手は椅子のアームの先端940及び/又は942を握る。患者の足部は床面にぴったりついている。患者は、深く腰掛けた位置から立位へと起立することを望む。図9Bは、椅子900が、患者904をゆっくり立位に引き上げるために、シート905がどのように後部を傾けるかを説明するものである。任意選択的に、シート905は、シート905の後部を傾けると共に、Z軸方向に上昇する。図9Cは、シート905によってそっと立位まで動かされ、床にぴたりと着いた両足で立つ患者を説明するものである。任意選択的に、支持のために、患者は椅子のアーム936及び/又は983に寄り掛かる。任意選択的に、椅子のアームは実際に患者を動かす。代替的に、椅子のアームは力のレベルを測定する。任意選択的に、椅子のアームにはアームレスト(図示せず)が提供される。任意選択的に、椅子900は椅子のアームをもたない。任意選択的に、椅子900は、患者904がシート905から下りるのを支援するために患者に圧力をかけることのできる、ジョイントで連結された背もたれを有する。本発明の一部の実施形態において、患者の背中に対するシートの位置的な関係を修正するために、ジョイントで連結された背もたれが使用される。
【0160】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が立位へ移動するときに患者と椅子の状態を監視するためにセンサが使用される。様々な点(例えば、床及び/又はフットレスト、椅子のアーム、椅子のアームの先端など)に患者が力を及ぼすと、この力が測定される。センサ測定値の分析結果は、患者のバランス及び筋力の欠如を検出し、患者の「起立特性」を定量化するために使用される。特性を改善するために、任意選択的にここに記載の器械及び方法を使用して、これらの欠如が特にリハビリテーションされる。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者の運動を容易にするために回転するシート905を備えた椅子900が提供される。本発明の一つの例示的な実施形態において、回転する椅子での起立及び/又は着席によって患者は運動する。任意選択的に、能力の欠如の特定のために、起立及び着席の間に患者によって及ぼされる力が測定される。
【0161】
(支持椅子)
図14A〜14Cは、本発明の一つの例示的な実施形態における、支持椅子1400を説明する。図14Aにおいて、椅子は下げられている。図14Bは、図14Aにおけるよりも高い位置にある椅子1400を示している。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子1400は患者の個々の必要に応じて上下に移動する。支持椅子は胴支持具1404(例えば、ストラップ)を任意選択的に備えることができる。図14Cは、椅子のシートがほとんど直立位置にあり、本発明の一部の例示的な実施形態において患者が座位から立位に移ることを支援する、支持椅子1400を説明するものである。任意選択的に、患者を半腹臥位又は横臥位で支持するために、椅子の背もたれは後ろに曲げることができる。
【0162】
本発明の一つの例示的な実施形態において、患者が半座位でバランス活動を行っているときに、部分支持具を備える支持椅子が使用される。運動の例には、立ちながら(又は、椅子を壁のようにして、椅子にもたれながら)ボールを蹴ること、及び片足で立つことが含まれる。
【0163】
(日常生活活動におけるトレーニング)
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション・椅子・システムが、テーブルでの食事、読書、歯磨き、あるいは皿洗いなどの日常生活を達成するために、患者をリハビリテーションするのを支援するために使用される。これらの活動の全てにおいて、バランス上の問題又は力を正確に加える上での問題を潜在的にもたらしながら、患者は重心から離れて力を加える。
【0164】
使用時に、患者の手は椅子システム110の可動先端(例えば、240)にストラップで縛られ、フォークを拾い上げる等の日常活動を行おうとし、導かれる。任意選択的に、例えば、椅子のバランスをゆっくり崩すことにより、患者のバランスへの動作の効果が患者に示される。任意選択的に、胴支持は選択可能であって、電子的に解除可能であり、正しい修正行動をとっていないときに、バランス喪失が胴の姿勢に与える影響を患者に示すために、ゆっくり解除される。
【0165】
任意選択的に、適切な(例えば、接触及び/又は圧力)センサを有する追加のテーブル部が提供される。任意選択的に、書くためのホワイトボードが提供される。
【0166】
本発明の一つの例示的な実施形態において、日常生活に関する活動を行うことを患者にトレーニングすること、そのような活動を行うための現在の患者の能力を検査すること、及び/又は、患者の能力を監視すること、の一つ以上のために装置110が使用される。
【0167】
(アタッチメント)
上述のように、装置100の一部の実施は、様々なアタッチメント120を含む。アタッチメントは、例えば、ECG、カメラ、(任意選択的に圧力センサを備えた)カーペット、(任意選択的に痛みを報告するための)ハンドル、様々な操作を支援する(例えば患者が立つことを助けるための)装置、作業領域(例えば、水平なテーブルなど)、垂直方向の到達標的、人104が握るためのもので、任意選択的にリハビリテーション椅子のアームの先端240及び242に接続される、様々なタイプのハンドル及びグリップ、等の医療用の周辺装置を含む。本発明の一部の例示的な実施形態において、患者の身体の選択された部位を動かなくするために、拘束手段が用いられる。例えば、拘束手段は、患者が手首を曲げ(そして、水平位から垂直位へ手を上げ下げし)ようとしているときに、患者の腕をアームレスト250に拘束するために使用することができる。任意選択的に、固定式又はジョイントで連結されたヘッドレストが提供される。任意選択的に、ヘッドレストは東武の回転を防止及び/又は促進する手段を含んでいる。
【0168】
(安全性)
椅子110は、任意選択的に、安全手段(例えば、ブレーキ、ヒューズ、非常ボタン又はスイッチ等)を含んでいる。本発明の一つの例示的な実施形態において、患者を負傷させないために、一つ以上の安全機能が提供される。例えば、次の安全機構の一つ以上を使用することができる。
a)デッドマンスイッチ 患者がこのスイッチを解除する(若しくは適当なボタンを押す)と、装置100の動きが凍結し、及び/又は、全ての力と抵抗がゼロになる。代替として、別の「セーフ・ハーバー(safe harbor)」状態を定義することもできる。
b)音声起動 患者がシステムを停止できるようにするために、音声起動及び/又は音声停止が提供される。
c)分析 任意選択的に、閾値が近づいているかどうか、又は患者がストレスを受けているかどうかを決定するために、実際の動き及び/又は患者によって加えられる力が分析される。
d)機械式ヒューズ 一定の閾値を超えた力が椅子の一部に加えられると、このヒューズは、ひきちぎれるか、はじける。
【0169】
(追加処理)
本発明の一つの例示的な実施形態において、制御装置150は、力、位置、速度及び/又は加速度を表示する信号を生成する。任意選択的に、これらの信号は更に分析される。ある例では、おそらくは患者が不十分なところを示す信号が、身体の生化学モデルに提供される。別の例では、バランス喪失の周波数挙動を抽出するために、分析にはFFTその他の手段を適用することが含まれる。一部の例では、そのような周波数挙動は、問題の原因、問題の物理的位置、問題の認知に関する原因を指示する、及び/又は、克服するための運動を示唆する可能性がある。例えば、バランス喪失の原因となりうる振戦の一種は、特定の筋肉を使い過ぎることによって起こる場合がある。たとえ明確な結論が出されなくても、そのような情報は、個々の体部位又は能力の更なる調査にとって有用である。
【0170】
任意選択的に、力及び/又はバランスの問題を示す患者のモデルが、利用者及び/又は療法士に提示される。
【0171】
(変形)
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子システム100は、モジュール式の部品からなる。例えば、ボール機構220及び224は、任意選択的に互換性がある。任意選択的に、リハビリテーション椅子は椅子のアームレスト250及び252が無くても使用することができる。
【0172】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーションは、リハビリテーション椅子の代わりに又はこれに加えて、踏み台(例えば、ワブルボード)の上でも行うことができる。
【0173】
本発明の一つの例示的な実施形態において、リハビリテーション椅子110の回転能力は、患者に眩暈を起こさせ、及び/又は、眩暈し易さを検査するために使用される。本発明の一つの例示的な実施形態において、椅子のシートは小さな円弧形又は円形に動く。時間と共に速度を増してもよい。患者が眩暈状態においてバランスを回復しようとすると、患者の運動はセンサによって測定され、次いで患者のバランス回復能力の欠如を検出するために分析される。欠如は、患者の僅かなバランス回復能力を元の状態に戻すために必要なリハビリテーションの標的である。代替的に又は付加的に、椅子は並進運動のための手段(眩暈を起こすため又は別の運動のためにも使用できる)を含んでいる。任意選択的に、眩暈し易さをトレーニング及び/又は検査するために、椅子の動作に調和した又は調和しない映像を表示するディスプレイが使用される。
【0174】
本発明の一つの例示的な実施形態において、標準的な椅子の上でリハビリテーション及び/又はバランスのリハビリテーションを提供することができるように、踏み台は既存の椅子の下に収めるのに適しており、場合によってはレッグレストを備えている。有線又は無線センサ一式が備えられていてもよい。当然ながら、ここに記載される運動の一部は、立ったまま、任意選択的に多くの既知の動くプラットフォームの一つの上で、任意選択的に、支持、運動感覚のフィードバック、及び/又は誘導用の一つ以上のロボットアームを提供して行われても良い。同様に、ロボットアーム・モジュール又は脚上昇モジュールが、既存の「標準的な」椅子に(例えば、ストラップを使用して)掛け金をかけることができる形状で提供されてもよい。
【0175】
バランス保持及び着席のトレーニング、及び疼痛のためのトレーニングは、上述の個々の例によって限定されるものではない。例えば、米国特許出願第60/566,079号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載の精密運動制御リハビリテーション方法を補完するために、特にバランスを使用することができる。精密運動制御のために、患者は精密運動制御に専念しながら、バランスを保たなければならない。座りながら、精密運動制御の課題が実行されることがある。
【0176】
バランス・リハビリテーションは、神経リハビリテーションと組み合わせることもできる。例えば、米国特許出願第60/604,615号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)は、行動が開始されるべきときを決定するために神経感知を使用する。バランス関連活動のためのフィードバックとしてEEG信号を使用することができる。
【0177】
EMGを使ってバランス・トレーニングを利用することができる。例えば、米国特許出願第60/566,078号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)がある。EMGを行うかどうかに加えて、又はEMGをいつ行うべきかを決定するために、バランス感知を利用することができる。
【0178】
例えば、米国特許出願第60/633,428号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載されるような歩行訓練と共に、バランス・トレーニングを利用することができる。ある例では、座位バランス・トレーニングが、歩行訓練に先立って、又は歩行訓練の補助として利用される。
【0179】
例えば、米国特許出願第60/633,429号(その開示内容は参照により本願に取り込まれる)に記載されるようなバランス・トレーニングのために、音楽を使用することができる。ある例では、身体の両体側間のバランスを示すために音楽が使用される。過大な力を加えている体部位を示すために、過大な音のチャネルが使用されても良い。揺れが周期的な音を発生して、バランスを喪失すると警報が大きさを増す一方で、バランス状態を示すために無音を使用してもよい。
【0180】
本発明を、例として提供され、本発明の範囲を限定するためのものではない、その実施形態の詳細な説明を用いて説明してきた。記載される実施形態は様々な特徴を含むが、その全てが本発明の全ての実施形態において必要とされるものではない。本発明の一部の実施形態は、その特徴又はその特徴の組み合わせの一部のみを利用し、又はその特徴の組み合わせを含む。記載されている本発明の実施形態の変形及び本発明の実施形態は、特徴の異なる組み合わせからなる記載された実施形態における顕著な特徴の異なる組み合わせが、当業者に想到されるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明の一つの例示的な実施形態による、椅子ベースのリハビリテーション・システムを示す図である。
【図2】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を概略的に示す図である。
【図3】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用した方法のフローチャートである。
【図4】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子でトレーニングされている人を説明する図である。
【図5】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用する方法のフローチャートである。
【図6】本発明の一つの例示的な実施形態による、基本的な椅子をベースとしたリハビリテーション装置を概略的に示す図である。
【図7】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用する方法のフローチャートである。
【図8】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子でトレーニングされている人を説明する図である。
【図9A】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である
【図9B】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である
【図9C】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である。
【図10】本発明の一つの例示的な実施形態における、様々な運動の範囲を示すリハビリテーション椅子を説明する図である。
【図11】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である。
【図12】本発明の一つの例示的な実施形態による、トレーニング方法及びリハビリテーション椅子の変形を説明する図である。
【図13】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子の変形を説明する図である。
【図14A】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用して、人が座位から立位に動くのを補助することを説明する図である。
【図14B】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用して、人が座位から立位に動くのを補助することを説明する図である。
【図14C】本発明の一つの例示的な実施形態による、リハビリテーション椅子を使用して、人が座位から立位に動くのを補助することを説明する図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上に人間が座ることに適合したシートと、
前記シートに対して動くことに適合した少なくとも一つの伸展装置と、
前記人間のバランス状態の指標を生成する少なくとも一つのセンサと、
前記少なくとも一つのセンサを使用して前記バランス状態を測定しながら前記伸展装置を動かすことに適合した制御装置と、
からなる、リハビリテーション椅子システム。
【請求項2】
前記伸展装置は前記シートに機械的に連結されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御装置は前記バランス状態に応じて前記伸展装置を動かす、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御装置は前記伸展装置を動かして、バランス状態の応答する変化を測定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記シートは、該シートの面外で回転することに適合している、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記シートは背もたれを備えている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記背もたれはジョイントで連結されている、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記背もたれは、その垂直軸の周りを回転する、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記シートは前記回転に抵抗することに適合している、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記シートは動力で少なくとも10cm持ち上がることに適合している、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも一つの人間の脚を該脚が置かれている床から持ち上げることに適合した少なくとも一つの脚移動装置を備えている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも第2の脚を前記床から持ち上げることに適合した第2の脚移動装置を備えている、
ことを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の脚移動装置は一緒に固定されることに適合している、
ことを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の脚移動装置は独立に動くことができる、
ことを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも一つのバランスセンサは、前記人間の足部のための少なくとも一つの圧力マットを備えている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子のアームレストのための少なくとも一つの圧力センサを備えている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも一つのセンサは、臀部用のシート上に配置される少なくとも一つの圧力センサを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子の近くにあるテーブルの上に配置される少なくとも一つの圧力センサを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子に座っている人に対して対称的に配置される少なくとも2つの圧力センサを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも一つのセンサは、少なくとも4つの空間的に分離した圧力センサを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御装置は、該制御装置内に記憶されたリハビリテーション計画に従って前記伸展装置を駆動する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御装置は、該制御装置内に記憶されたリハビリテーション計画に従って前記シートを駆動する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
回転角(φ)及び仰角(θ)に対する共通の回転中心をもつジョイントと、
前記ジョイント上に備え付けられたシートと、
リハビリテーション計画に従って前記シートを駆動することと、前記シートの回転を測定することと、のうち少なくとも一つを実行することに適合している制御装置と、
からなる、リハビリテーション・システム。
【請求項24】
その上に人間が座ることに適合した椅子と、
前記椅子に座っている人間の少なくとも一つの脚を持ち上げることに適合している脚リフト機構と、
前記人間の脊柱をマニピュレーションするように、前記人間の前記少なくとも一つの脚を繰り返し持ち上げるよう前記脚リフト機構を制御することに適合した制御装置と、
からなる、リハビリテーション・システム。
【請求項25】
ロボット支援装置に連結された椅子に人を座らせることと、
前記装置のロボット支援を伴って、前記人に対して少なくとも一つのリハビリテーション運動を実行することと、
からなり、
前記運動はバランスをリハビリテーションするようにデザインされており、前記ロボット支援は、前記ロボット支援によって原動力を提供することと、前記ロボット支援によって動作に障害を提供すること、のうち少なくとも一つを含む、人のリハビリテーション方法。
【請求項26】
前記運動は1つ以上の手をリーチすることを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記運動は、物を持ち上げて置くことを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記運動は、身体から離れて伸展した手のマニピュレーションを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記運動は、運動の複雑さが増すときに、フィードバックを使用した対話型運動を含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記実行は複数の体部位を監視することを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記運動を実行しながら、前記人の体側間のバランスを監視することを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記人の器官の位置を監視することと、
前記人のバランスへの前記器官の支援を決定するために該位置を分析することと、
を含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記器官は腕を含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記器官は胴を含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記器官は脚を含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記器官の位置を監視することは、前記器官の運動を監視することを含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記器官の位置を監視することは、別の体部位の動作に対する前記器官の抵抗を監視することを含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記ロボット支援は、体部位を動かすことを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
前記ロボット支援は、体部位の動作に抵抗することを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
前記ロボット支援は、バランスの喪失を防ぐことを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
前記ロボット支援は、バランスの喪失を誘発することを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
前記運動は立ち上がりを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項43】
前記ロボット支援は前記人を持ち上げる、
ことを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記運動は胴トレーニングを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項45】
バランス保持を要求する課題を人が実行することと、
少なくとも一つの足部以外の荷重領域を含むんだ、前記人が力を加える複数の空間的に分離した荷重領域における力を測定することによって、前記課題の実行を監視することと、
からなる、バランス・リハビリテーション方法。
【請求項1】
その上に人間が座ることに適合したシートと、
前記シートに対して動くことに適合した少なくとも一つの伸展装置と、
前記人間のバランス状態の指標を生成する少なくとも一つのセンサと、
前記少なくとも一つのセンサを使用して前記バランス状態を測定しながら前記伸展装置を動かすことに適合した制御装置と、
からなる、リハビリテーション椅子システム。
【請求項2】
前記伸展装置は前記シートに機械的に連結されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御装置は前記バランス状態に応じて前記伸展装置を動かす、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御装置は前記伸展装置を動かして、バランス状態の応答する変化を測定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記シートは、該シートの面外で回転することに適合している、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記シートは背もたれを備えている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記背もたれはジョイントで連結されている、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記背もたれは、その垂直軸の周りを回転する、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記シートは前記回転に抵抗することに適合している、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記シートは動力で少なくとも10cm持ち上がることに適合している、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも一つの人間の脚を該脚が置かれている床から持ち上げることに適合した少なくとも一つの脚移動装置を備えている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも第2の脚を前記床から持ち上げることに適合した第2の脚移動装置を備えている、
ことを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の脚移動装置は一緒に固定されることに適合している、
ことを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の脚移動装置は独立に動くことができる、
ことを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも一つのバランスセンサは、前記人間の足部のための少なくとも一つの圧力マットを備えている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子のアームレストのための少なくとも一つの圧力センサを備えている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも一つのセンサは、臀部用のシート上に配置される少なくとも一つの圧力センサを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子の近くにあるテーブルの上に配置される少なくとも一つの圧力センサを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも一つのセンサは、前記椅子に座っている人に対して対称的に配置される少なくとも2つの圧力センサを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記少なくとも一つのセンサは、少なくとも4つの空間的に分離した圧力センサを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記制御装置は、該制御装置内に記憶されたリハビリテーション計画に従って前記伸展装置を駆動する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御装置は、該制御装置内に記憶されたリハビリテーション計画に従って前記シートを駆動する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
回転角(φ)及び仰角(θ)に対する共通の回転中心をもつジョイントと、
前記ジョイント上に備え付けられたシートと、
リハビリテーション計画に従って前記シートを駆動することと、前記シートの回転を測定することと、のうち少なくとも一つを実行することに適合している制御装置と、
からなる、リハビリテーション・システム。
【請求項24】
その上に人間が座ることに適合した椅子と、
前記椅子に座っている人間の少なくとも一つの脚を持ち上げることに適合している脚リフト機構と、
前記人間の脊柱をマニピュレーションするように、前記人間の前記少なくとも一つの脚を繰り返し持ち上げるよう前記脚リフト機構を制御することに適合した制御装置と、
からなる、リハビリテーション・システム。
【請求項25】
ロボット支援装置に連結された椅子に人を座らせることと、
前記装置のロボット支援を伴って、前記人に対して少なくとも一つのリハビリテーション運動を実行することと、
からなり、
前記運動はバランスをリハビリテーションするようにデザインされており、前記ロボット支援は、前記ロボット支援によって原動力を提供することと、前記ロボット支援によって動作に障害を提供すること、のうち少なくとも一つを含む、人のリハビリテーション方法。
【請求項26】
前記運動は1つ以上の手をリーチすることを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記運動は、物を持ち上げて置くことを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記運動は、身体から離れて伸展した手のマニピュレーションを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記運動は、運動の複雑さが増すときに、フィードバックを使用した対話型運動を含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記実行は複数の体部位を監視することを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記運動を実行しながら、前記人の体側間のバランスを監視することを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記人の器官の位置を監視することと、
前記人のバランスへの前記器官の支援を決定するために該位置を分析することと、
を含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記器官は腕を含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記器官は胴を含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記器官は脚を含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記器官の位置を監視することは、前記器官の運動を監視することを含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記器官の位置を監視することは、別の体部位の動作に対する前記器官の抵抗を監視することを含む、
ことを特徴とする、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記ロボット支援は、体部位を動かすことを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
前記ロボット支援は、体部位の動作に抵抗することを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
前記ロボット支援は、バランスの喪失を防ぐことを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
前記ロボット支援は、バランスの喪失を誘発することを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
前記運動は立ち上がりを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項43】
前記ロボット支援は前記人を持ち上げる、
ことを特徴とする、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記運動は胴トレーニングを含む、
ことを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項45】
バランス保持を要求する課題を人が実行することと、
少なくとも一つの足部以外の荷重領域を含むんだ、前記人が力を加える複数の空間的に分離した荷重領域における力を測定することによって、前記課題の実行を監視することと、
からなる、バランス・リハビリテーション方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【公表番号】特表2007−526030(P2007−526030A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552009(P2006−552009)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000136
【国際公開番号】WO2005/074369
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506085468)モトリカ インク (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000136
【国際公開番号】WO2005/074369
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506085468)モトリカ インク (11)
【Fターム(参考)】
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