説明

リハビリテーション補助用具

【課題】リハビリテーションとしての単純な作業活動でありながら患者が飽きずに持続でき、なおかつ患者が自らの創意工夫を発揮できるリハビリテーション補助用具を提供する。
【解決手段】平面状の基体の両面に人体8及び服飾品の絵もしくは写真を印刷し、一方の面に印刷した絵もしくは写真の外形及び印刷位置は、もう一方の面に印刷した絵もしくは写真の外形及び印刷位置と対称の関係にあり、前記人体8に異なる服飾品を装着して種々着せ換え行為を行うことによりリハビリテーションに供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活に支障をきたしている、あるいはきたすことが予想される人を対象としたリハビリテーションの補助を目的とした用具に関する。
【背景技術】
【0002】
身体や心に障害を持つ患者のリハビリテーションとして、従来より様々な作業療法があり、その一つとして指の動きを良くする、精神面を活性化する(やる気が起きる)等の改善を図るために、単純な用具を用いたり、あるいは手工芸を用いた作業活動がある(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−93749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示されている「リハビリテーションを目的とした人形」の如く単純な作業活動は、対象となる患者が老人から子供までと幅が広く、多くの患者が参加できるという利点がある一方で、単純な作業活動であるゆえに飽きてしまい、リハビリテーションが持続しないという問題点があった。
【0005】
また、手工芸では作業内容が複雑すぎたり、あるいはその手工芸の内容によって興味を抱く対象者が限られたりした。
【0006】
そこで、本発明は、単純な作業でありながら、老人から子供まで多くの患者が飽きずに興味を抱いてリハビリテーションを持続させ、なおかつ患者が自らの創意工夫を発揮し、さらに自発的に作業活動に参加するリハビリテーション補助用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、人体を表面と裏面に描出した平面状の基体と、前記基体に装着され且つ表面と裏面に異なる図柄が描出された装飾体とからなり、前記装飾体を異なる態様で複数種用意し、前記基体に装着することにより訓練を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記装飾体の一部は基体に描出された人体の頭部に挿入されて肩部に懸架される衣服の形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平面状の基体に対して異なる図柄の装飾体を着脱することにより、指先の訓練が行われ、しかも、飽きることなく持続させることが可能である。
【0010】
しかも、基体に対して懸架可能な装飾体を用い肩部に装着すると、よりこの補助用具を現実の人体の着せ換えに対応させることができ、リハビリテーションの効果が一層高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係るリハビリテーション補助用具について、添付の図に基づいて説明する。
【0012】
図1には、切断可能な紙体2の両面である表面4と裏面6が示されている。
【0013】
本実施の形態では、表面4には基体としての人体8、装飾品としてショルダーバッグ10、鬘12、帽子14が印刷されている。
【0014】
裏面6には、人体8の後ろ姿16、ショルダーバッグ10の裏面18、鬘12の裏面20、帽子14の裏面22が各々印刷されている。このとき鬘12は前髪12aと後ろ髪12bが頭頂部を接点にして対を成しており、帽子14も前面14aと後面14bが頭頂部を接点にして対を成している。
【0015】
また、これら表面4と裏面6に印刷された絵もしくは写真は、切り取った時にずれが生じないように、その外形と印刷位置が表面4と裏面6において互いに対応した関係にある。
【0016】
もちろん、装飾品としてその他に靴や手袋、マフラー等も印刷して使用することは可能である。
【0017】
また、本実施の形態においては、前記紙体2に人体8を立てる台座24が印刷されており、該台座24には折曲線26a、26b、26cと切込線28が各々印刷されている。
【0018】
次に、本実施の形態の使用方法を説明する。
【0019】
まず、紙体2に印刷された人体8、ショルダーバッグ10、鬘12、帽子14を、各々外形に沿ってハサミで切り取る。
【0020】
さらに台座24を紙体2から切り離した上で切込線28に切り込みを入れ、中央の折曲線26bを山折りにし、折曲線26a、26cは谷折りにして台座とする(図2参照)。
【0021】
次に、人体8に着せる衣服を作る方法を、図3並びに図4を参照して説明する。
【0022】
まず、紙体30をステップ1のように4つに折り畳む。そのうえで、ステップ2の如く人体8の右半身もしくは左半身に合わせて衣服の右半身もしくは左半身の形に切断する。切断した紙片を広げると、ステップ3の如く衣服の前身頃と後ろ身頃が肩32を中心に展開した衣服34となる(図3参照)。
【0023】
次に、図4のステップ4のように、展開した衣服34を、右半身と左半身を合わせるように二つに折る。その上で、肩32を折り曲げ箇所から適当な幅に切り欠いて襟ぐり36を作る。
【0024】
再び、衣服34をステップ5のように展開し、そして肩32で二つに折り曲げるとステップ6の如く人体8に着せる衣服34の完成である。
【0025】
図5のように、完成した衣服34の襟ぐり36を、前記人体8の頭部に通して着せ、さらに紙体2から切り取ったショルダーバッグ10のショルダー紐を人体8の腕に通し、鬘12を頭頂部で二つに折って人体8の頭に乗せ、次に帽子14を頭頂部で二つに折って鬘12の上から乗せる。
【0026】
そして、それらの衣服等を装着した人体8を、前記台座24の切込線28にを差し込んで立たせると完成となり、これら一連の作業活動が患者のリハビリテーションとなる。
【0027】
本実施の形態によれば、患者独自のデザインと創意工夫で様々な種類の衣服が作製できることは明らかであり、さらに予め様々な衣服の作り方を示した説明書を用意しておけば、誰でもそれを参考にバリエーションの豊富な、例えばワンピース、シャツ、エプロンの如き衣服を作ることができるので飽きることはない。
【0028】
また、製作したそれらの衣服に、リボンやポケット、さらには毛糸等の別の素材で装飾することもでき、患者本人の創意工夫を多いに発揮することが可能となる。
【0029】
また、それらの衣服や服飾品の組み合わせによって、様々なコーディネートを楽しむこともできる。
【0030】
さらには、切り取り作業に失敗したとしても、身近にある安価な材料であるために簡単にやり直すこともでき、患者に精神的負担を与えずに安心して作業活動ができる。
【0031】
また、リハビリテーションが楽しいと患者の会話も増え、同じリハビリテーションをしている患者同士での友人作りや、リハビリテーションへの積極的な参加も期待できる。
【0032】
さらに、この実施の形態によれば、ハサミのみで作業活動が完了するので、患者への安全配慮という点で優れている。
【0033】
また、これらの作業活動を進める上で、患者の反応や状態を作業療法士等が観察して、その内容、例えば、作業開始時の反応、理解度と作業遂行量、作製数と創造性、参加時間量等を作業経過記録表等に記入しておけば、患者の改善具合等が把握しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施の形態にかかるリハビリテーション補助用具の表面と裏面を示した図。
【図2】本実施の形態にかかるリハビリテーション補助用具の使用例を示す斜視図。
【図3】本実施の形態にかかる衣服の製作方法を示す説明図。
【図4】本実施の形態にかかる衣服の製作方法を示す説明図。
【図5】本実施の形態にかかるリハビリテーション補助用具の使用例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0035】
2…紙体 4…表面
6…裏面 8…人体
10…ショルダーバッグ 12…鬘
12a…前髪 12b…後ろ髪
14…帽子 14a…前面
14b…後面 16…人体8の後ろ姿
18…ショルダーバッグ10の裏面 20…鬘12の裏面
22…帽子14の裏面 24…台座
26a〜26c…折曲線 28…切込線
30…紙体 32…肩
34…衣服 36…襟ぐり

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を表面と裏面に模式的に描出した平面状の基体と、
前記基体に装着され且つ表面と裏面に異なる図柄が描出された装飾体とからなり、前記装飾体を異なる態様で複数種用意し、
前記基体に装着することにより訓練を行うことを特徴とするリハビリテーション補助用具。
【請求項2】
請求項1記載のリハビリテーション補助用具において、
前記装飾体の一部は基体に描出された人体の頭部に挿入されて肩部に懸架される衣服の形状であることを特徴とするリハビリテーション補助用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−82929(P2007−82929A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278368(P2005−278368)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(302048588)株式会社サンアート (1)
【Fターム(参考)】