説明

リファイナープレート、リファイナーおよびリファイニング方法

【課題】
ケーシングに与える摩耗作用と損傷を減少する手段、特に、リファイナー材料の衝撃によってディスパージャーケーシングに惹起される摩耗作用と損傷とを減少するリファイナープレートを含むリファイナーを提供する。
【解決手段】
ローター歯の同心円状列を含んでいるロータープレートを含むローターディスクと、
前記ローターディスクと相対するように配置されたステーターディスクであって、ステータープレート含むステーターディスクと、
を含むリファイナーであって、
前記ステータープレートが、ローター歯の列と嵌合するステーター歯の同心円状の列を含み、
前記ステーター歯の列が、歯の間を流れる粒子を逸らすため傾斜しているリーディング側壁を有する外列を含むことを特徴とするリファイナーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、リサイクルまたは回収された紙や包装材のような繊維材から夾雑物を除去するためのリファイナーに関する。特に、本発明は、リファイナーステータープレート、特にステータープレートに備えられた歯の外列に関する。
【背景技術】
【0002】
リファイナープレートは、繊維材に機械的仕事を加えるために使用される。(バーを有するプレートと対照的に)歯を有するリファイナープレートは、一般に、化学薬剤の添加、不添加を問わず、繊維材を離解したり、分散したり、混合したりするのに使われるリファイナーに使用される。本明細書に開示のリファイナープレートは、普通、特にディスパージャー(離解機;disperger)、一般にリファイナー用のすべての歯付きプレートに適用可能である。
【0003】
離解操作は、主に、中古の紙やボードを回収し、原料として再利用し、新しい紙またはボードを生産するための脱墨システムに使用される。離解操作は、繊維からインクを除去し、インクと汚れ粒子を離解・減少し、以降の工程での更なる除去操作に好適なサイズにし、粒子を可視限界以下のサイズに粉砕するために使用される。ディスパージャーは、また、リファイナーに供給された繊維材にしばしば存在する粘着物や塗装粒子やワックス(これらは「粒子」と総称される)を破砕するためにも使用される。粒子は、ディスパージャーにより繊維材から剥離され、リファイナーを流れる繊維材と液体の懸濁物に同伴されて運ばれ、粒子浮上現象で懸濁物から分離されたり、懸濁物から洗い流されたりする。さらに、ディスパージャーは、繊維を機械的に処理し、繊維強度を維持または改良したり、漂白薬剤と繊維パルプとを混合したりするために使用される。
【0004】
一般に、リサイクルされた繊維材を処理するのに使用される機械的ディスパージャーには二つのタイプがある。ニーダーと回転ディスクとである。本開示では、リファイナーステータープレートに歯を備えたディスク型ディスパージャープレートに焦点を合わせる。ディスク型ディスパージャーは、パルプおよびチップリファイナーと類似である。リファイナーディスク上には、普通、円環状プレートが、またはプレートセグメントを配列したものが円板状ディスクを形成するように配置される。ディスク型ディスパージャーでは、パルプは、供給スクリューを使ってリファイナーの中心部分に供給され、回転ディスク(ローター)と固定ディスク(ステーター)の間隙に形成された離解ゾーンを通って円周方向に移動し、最後にパルプはディスクの外周の離解ゾーンから排出される。
【0005】
ディスク型ディスパージャーの一般構造は、二枚の円板状ディスク各々が相対して設置され、片側のディスク(ローター)が通常最高1800rpmのスピード、時にはこれより高速で回転する構造である。他の側のディスクは固定ディスク(ステーター)である。別法としては、両方のディスクが逆方向に回転する構造のものもある。
【0006】
各ディスクの面には、列の正接方向に取り付けられた歯(ピラミッドとも称される)を有するプレートが取り付けられている。プレートは、単一の円環状のプレートでもよく、あるいは複数のプレートセグメントを円環状に配列したものでもよい。各列の歯は、一般に、ディスクの中心から共通の半径上にある。ローターの歯列とステーターの歯列とは、リファイナーまたはディスパージャー内で相対しているとき、ローターの歯列とステーターの歯列とは相互に差し込まれた状態になっている。ローターの歯列とステーターの歯列とは、両ディスクの間にある離解ゾーンの面を横切っている。相互に差し込まれた状態の歯列の間には、たくさんのチャネルが形成される。これらのたくさんのチャネルが、両ディスク間に離解ゾーンを規定ずる。
【0007】
繊維状パルプがローターとステーターの連続した歯列間を通過して移動するとき、パルプはローター歯列とステーター歯列の間を交互に流れる。パルプは、ディスクの中心にあるセンター入口からディスクの外周にある周囲出口へと移動する。繊維がローター歯列からステーター歯列に、またその逆方向にと通過するとき、繊維は、ローター歯列がステーター歯列の間で回転するにつれて、衝撃力を受ける。ローター歯とステーター歯間の隙間は、一般に、1mm〜12mmのオーダーである。繊維は歯の衝撃力では切断されはしないが、厳しく、交互に折り曲げられる。繊維が受けた衝撃力により、インクやトナー粒子は破壊され、繊維から脱落し、小さな粒子に破砕され、粘着性粒子も破壊され、繊維から脱落する。
【0008】
二つのタイプのプレートが、普通、ディスク型ディスパージャーに用いられる。(1)嵌合した歯のパターンを有するピラミッド型設計(歯型設計とも称される)と(2)リファイナーバー型設計とである。新規なピラミッド状歯型設計がリファイナープレート用に開発されたので、本明細書にこれを開示する。
【0009】
図1A、図1Bおよび図1Cは、従来の歯パターンを有するピラミッド型プレートセグメントの例を示すものである。性能強化されたピラミッド歯を備えたプレートセグメントの一例は、「溝付きピラミッド歯ディスパージャープレート」と称される公知の米国特許出願公開第2005/0,194,482号明細書に示されている。ピラミッド歯プレートの場合、繊維材は、図1Cに示されるように、相対するプレートの歯の間に形成された小さなチャネルを通過して半径方向に強制的に移動させられる。パルプ繊維は、ディスパージャー通路を通過する際に繊維と繊維間および繊維とプレート間の強烈な摩擦で引き起こされる高い剪断力、例えば、衝撃力を受ける。
【0010】
図1A、図1Bおよび図1Cを参照する。リファイナーまたはディスパージャー10は、相対するディスパージャーディスク12と13の各面に取り付け可能なディスパージャープレート14と15を含む。ディスク12と13は、図1Cにその一部分が示されているだけであるが、各々回転軸である中心軸19と、半径32と、実質的に円形の外周とを有する。
【0011】
プレートはセグメント化しても、しなくても差し支えない。セグメント化プレートは、一般にディスパージャーディスクにプレートセグメントを円環状に配列したものである。非セグメント化プレートは、ディスパージャーディスクにワンピースの円環状プレートを取り付けたものである。プレートセグメント14は、ローターディスク12に用いられるもので、プレートセグメント15は、ステーターディスク13に用いられるものである。ロータープレートセグメント14は、ローターディスク12の面に円環状に配列され、ロータープレートを形成する。これらのセグメントは、便利な方法、または従来の方法で、例えば、孔17を通るボルト(図示せず)で固定し得る。ディスパージャープレートセグメント14と15は、横方向に並んで配置され、各ディスク12と13の面に取り付けられたプレートを形成する。
【0012】
各ディスパージャープレートセグメント14と15は、取り付けられたディスクの中心19側に位置する内端22と、ディスクの外周側に位置する外端24とを有する。各プレートセグメント14と15は、基板の面にピラミッドまたは歯28からなる同心円状列26を有する。ローターディスク12とそのプレートセグメント14を回転すると、精製されるべき材料、例えば、繊維に遠心力が加わり、供給された繊維は、プレートの内端22から外端24に向かって半径方向外側に移動する。精製された材料は、相対するプレートセグメント14と15の隣接した歯28の間に形成された離解ゾーンチャネル30を主として通過する。精製された材料は、離解ゾーンからリファイナー10のケーシング31中へと半径方向外側に流れる。
【0013】
同心円状の列26は各々、ディスク中心19から共通の半径距離(半径32を参照)に位置し、相互に嵌合するような状態に配置され、ローターとステーターの歯28が両ディスク間の面を横切ることが可能なようになっている。ステーターの中心からディスクの外周方向に通過する繊維は、ローター歯28がステーター歯28の近くを通過するとき衝撃力を受ける。ローター歯28とステーター歯28の間のチャネル間隙は、1mm〜12mmのオーダーであるので、ローターディスク12の歯とステーターディスク13の歯の間のチャネルを通過するとき、繊維は切断されたり、ねじ切られたりはせず、厳しく、交互に折り曲げられる。繊維を折り曲げることにより、繊維に付着していたインクとトナー粒子は、より小さい粒子に破砕され、繊維に付着していた粘着性粒子も壊されて脱落する。
【0014】
図2Aと図2Bは、ステータープレートの外列に使用される歯の標準幾何学的形状34の上面図と側面斜視図をそれぞれ示す。歯34は、歯の頂部38まで先細りになる狭窄側面36を備えるピラミッド設計となっている。標準歯28の両側面は各々ディスクプレートの半径32に実質的に並行である。
【0015】
ディスパージャープレートの主要な役割は、繊維がディスク間のチャネルを通過する際に繊維にエネルギーパルス(衝撃力)を加えることである。今まで広く受け入れられてきた歯付きプレートには、一般に、ピラミッド歯の幾何学形状として四角を採用し、歯の端部の長さと歯の設置状況に関してバリエーションを持たせて、所望の結果を達成したものが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ディスク間を通過するリファイナー材料は、ローターディスクが与える遠心力によって高速度に加速され得る。リファイナー材料の中には高速度でディスク12とディスク13から排出され、半径方向に激しく振られてリファイナーケーシング31に流入するものがある。リファイナー材料が高速でケーシングに衝突すると、ケーシングに対して摩耗作用と共に破壊的なキャビテーションが惹起される。リファイナーとディスパージャーケーシングに与える摩耗作用と損傷を減少する手段、特に、リファイナー材料の衝撃によってディスパージャーケーシングに惹起される摩耗作用と損傷と減少する手段に対するニーズの存在が長い間感じられている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、ステータープレートの最も外側の列に対し、修正された幾何学的形状のステーター歯、例えば、傾斜歯などを提供するものである。修正された幾何学的形状の歯は、リファイナープレートから排出される高速粒子によるケーシングへの衝撃力を低減することによってケーシングの長寿命を達成しようとするものである。
【0018】
複数の同心円状の歯列を有するリファイナーステータープレートが開発されてきたが、このプレートでは、外列がプレートセグメントの外周またはその近くに位置するようになっている。外列の歯は、プレートセグメントの半径に対しある角度を成して位置するリーディング(前端;leading)側壁を含む。この場合、プレートは、ディスパージャー用のステータープレートであることが好ましい。外列の側壁の角度は、ロータープレートの回転方向と反対でも差し支えない。側壁の角度は、半径に対して10〜60°の範囲、好ましくは15〜45°の範囲である。側壁は、平面でも、真っ直ぐな半径方向内側の表面と傾斜した半径方向外側の表面とから成るV字形表面でも、あるいはその長さに沿って曲面状となっている表面でもよい。
【0019】
さらに、ステーター外列の歯の傾斜側壁は、ステーター外列の隣接歯との間のギャップと少なくとも等しい距離だけ半径に対して直角(すなわち、正接方向)に突き出ているように配置される。さらに、傾斜側壁は、傾斜壁部分と半径方向に並行する壁部分とを含み得る。さらに、外列の歯は、実質的に垂直の後壁を含み得る。
【0020】
同心円状のローター歯列を含んでいるロータープレートを含むローターディスクと、ディスパージャーのローターディスクと相対するように配置されたステーターディスクとを含むリファイナーまたはディスパージャーが開発された。前記ステーターディスクは、ステータープレートを含み、前記ステータープレートは、ローター歯と嵌合するステーター歯の同心円状の列を含み、ステーター歯の外列は、外列の歯の間を流れる粒子を逸らすため、ローターディスクの回転方向と反対方向に傾斜している側壁を含む。
【0021】
リファイナーの相対するディスク間でパルプ材料を精製する方法が、開発された。本方法は、パルプ材料を少なくとも片側のディスクの入口に供給するステップと、片側のディスクを他側のディスクに相対的に回転し、その間にパルプ材料が遠心力で両ディスク間を移動するステップと、他側のディスクの歯の列と嵌合する回転ディスクの歯の列で惹起された衝撃力をパルプ材料に加えることによってパルプ材料を精製するステップと、パルプ材料が他のディスクの歯の外列を通過して流れるときパルプ材料を逸らして流すステップとから成る方法であって、前記ディスクの外列に含まれる歯が、歯間を半径方向に移動するパルプ材料を逸らすように傾斜している側壁を有することを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ディスク型ディスパージャーに従来から用いられている歯付きステータープレートセグメントのそれぞれ正面図(図1A)と側断面図(図1B)であり、ステーターディスパージャープレートとローターディスパージャープレートと、ディスクと、ディスク間にあるチャネルの側断面図(図1C)である。
【0023】
【図2】ステーターディスパージャープレートの外歯列の従来の歯の幾何学的形状のそれぞれ上面図(図2A)と側面斜視図(図2B)である。
【0024】
【図3】ステーターディスパージャープレートの外列に対する傾斜歯のそれぞれ上面図(図3A)と側面斜視図(図3B)で、歯の両側壁がディスクの半径に関して各々傾斜しているのを示す図である。
【0025】
【図4】外列歯に対して傾斜歯形状を採用するステーターディスパージャープレートセグメントのそれぞれ正面図(図4A)と側断面図(図4B)である。
【0026】
【図5】ステータープレートの外列用の別の傾斜歯の幾何学的形状の上面斜視図である。
【0027】
【図6】ステータープレートの外列用の別の傾斜歯の幾何学的形状の上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
歯付きリファイナーステータープレート用の歯の新規な配置が開発された。この配置では、外周列の歯が傾斜されており、離解ゾーンを移動するリファイナー材料、例えば、パルプが逸らされて流れるようになっている。流れを逸らすことにより、そうしなければ、リファイナーディスクの間から高速でラジアル方向ラインに沿って移動してケーシングに入るリファイナー材料粒子の速度が減少する。ステーター外列歯のこの新規な配置は、どのようなタイプの歯付きリファイナープレートにも適用でき、特にディスクタイプディスパージャーに適用可能である。
【0029】
ステーター外列歯を傾斜形状とすることによって、離解ゾーンを出てディスクの間から排出されるパルプの供給を制御する。特に、歯の外列にあるステーター歯の先端の側壁を、歯が傾斜するように角度を付け、ステーター歯の外列の間の実質的に半径方向ラインに沿って移動する粒子を逸らすようにする。リファイナー材料を逸らすように流すと、排出されるリファイナー材料の速度が減少し、リファイナー材料がリファイナーケーシングの壁に与える衝撃力が最小限に抑えられる。
【0030】
ステーターの外列歯を傾斜させると、ステーター歯の最後列から直接的に半径方向通路に従ってケーシングに流れ込むことが防止される。ケーシング中のパルプが高速であると、ケーシング壁損傷の恐れがある。ステーターの外列にある歯の傾斜角度とこれらの歯の傾斜部分の長さは、リファイナー材料、例えば、パルプが、離解ゾーンを通過してステーター歯の最後列の傾斜側壁で逸らされるように選択される。外列の歯は、少なくとも歯の一部分に沿って角度を付けて傾斜され、歯の傾斜部分は、隣接した歯の間のギャップに少なくとも等しい距離だけ接線方向に突き出る。傾斜を付けることにより、リファイナー材料がディスクからラジアル方向に高速で流出し、リファイナーケーシングに衝突することが防止される。
【0031】
図3Aと図3Bは、それぞれ傾斜ステーター歯40の上面図と側斜視図を示す。ここでは歯の側部がディスク中心から延びる半径32に関して傾斜している。ステーター歯40は、ステータープレートの外列に位置しているのが好ましい。歯40の側壁42の一方または両方は、ディスク半径32に対してある角度44を成す。さらに、側壁42は歯の頂部46に向かって先細りにする。歯のベース48はプレート基板に位置する。歯の前壁50は半径方向内向きで、歯の後壁52は半径方向外向きである。前面と後面は、各々列とプレートに対して実質的に正接方向になるように位置させ得る。前壁は歯の頂部に向かって傾斜した形状とし得る。後壁は、一般にプレート基板に直角であることが好ましい。
【0032】
ステーター歯の外列を傾斜(角度44)させると、ステーター歯の外列を通過するとき、リファイナー材料が逸らされる。この逸らせ機能は、リファイナー材料、パルプおよび同伴粒子がディスク間のチャネルを出て、ディスパージャーまたはリファイナーのケーシングに入る前に流れ速度を遅くする目的で付与される。リファイナーを流れる材料の速度を減少することによって、同材料がケーシングに衝突してケーシングに与える損傷が減少される。
【0033】
図4Aと図4Bは、ディスパージャーディスク上に取り付けられる例示的ステータープレート54のそれぞれ前面図と側断面図である。ステータープレート54はロータープレートと相対して設けられ、離解ゾーンが相対するプレートの間のチャネルによって形成される。ロータープレートの回転方向(矢印55)は、反時計回りである(図4Aの観点からは時計回りに見えるが、この図はステータープレートセグメントを示すからである)。
【0034】
ステーターディスパージャープレートセグメント54は、歯68の列56、58、60、62、64、および66を含む。内側の列の歯(56、58、60、62、および64)は、図2Aと図2Bに示されるようなピラミッドの形状を有し得る。内側列の歯の側壁は、ディスクの半径方向と一致させることも、あるいは半径方向に対して傾斜させてもよい。同様に、ロータープレート(図示せず)は、リファイナーにロータープレートとステータープレートの両プレートが配置されるとき、ステーター歯列と嵌合状態になる歯列を有し得る。
【0035】
ステーター歯40の外列66は、ローターの回転方向55と同じ方向に、または反対方向に傾斜した側壁角度を有する。ステーター歯の最後列が回転方向に対して傾斜しているか、あるいは反対方向に傾斜しているかは、ケーシング保護に関しては違いがない筈である。ステーター歯の外列を回転方向と反対方向に傾斜することは、歯を「抑制」位置に置くことであり、回転の同方向に歯を傾斜することは、「供給」位置に置くことである。さらに、歯40の側壁角度は、プレートとディスク半径に関して10°〜60°の間であり、15°〜45°の範囲が好ましい。ステーター歯40の最後列66の側壁の角度(図3Aの44)の選択は、列を通過して移動するリファイナー材料を逸らして流し、あまり邪魔されないで流れ得るように行われる。
【0036】
後壁(図3Bの52)は、ステータープレートの外周端24まで延びる。歯40の側壁は、後壁がステータープレート54の基板72に実質的に直角である結果として延長される。側壁を延長することは、リファイナー材料を逸らすためのさらなる側壁領域を提供することになる。側壁の長さと角度は、急速に移動する粒子が歯の間のギャップを通って半径方向に沿って移動するときに、歯の側壁に衝突しないような十分なものでなければならない。従って、正接方向に伸びる側壁の突起の幅は、ステーター列の最後列の歯間のギャップと少なくとも同じ幅でなければならない。
【0037】
外列ステーター歯40の両サイドの側壁は、半径に関して同じ角度を成すことが好ましい。リーディング側壁(ローターの回転方向に面する)によって、パルプは逸らされる。トレーリング(後端;trailing)側壁は、歯の反対側にあって、隣接ステーター歯のリーディング側壁に面して位置する。歯の両サイドの面が同じ角度に維持されることによって、歯の間のギャップが歯の長さに沿って確実に一定となる。従って、ステーター歯のリーディング側壁とトレーリング側壁とは対称形状であることが好ましい。
【0038】
図5は、ステータープレートの最後列用の別型の歯70の上面斜視図を示す。この別型の歯は、傾斜した部分が二段になった側壁72を有し、半径方向側壁部分78と傾斜した壁部分80とを含む。半径方向側壁部分78は、ステータープレートの半径方向と実質的に並行している。傾斜した壁部分80は、10°〜60℃、好ましくは15°〜45°だけ半径方向と角度を成している。傾斜した壁部分80の長さと角度は、半径に沿って、かつステーター歯の最後列の歯の間に移動するすべての精製された材料を逸らすように定められる。特に、傾斜した壁部分80の長さの正接方向突起81は、ステーター最後列の隣接した歯の間のギャップの幅と同じ幅を有する。
【0039】
図6は、ステータープレートの最後列用のさらに別型の歯84の上面斜視図を示す。このさらに別型の歯は、実質的に半径方向側壁部88として始まり、次第に傾斜した壁部分90に変化していく曲面状側壁86を有する。半径方向内側の側壁部88は、ステータープレートの半径方向と実質的に並行している。側壁86の長さと曲面度は、半径に沿って、かつステーター歯の最後列の歯の間に移動するすべての精製された材料を逸らすように定められる。特に、側壁86の長さの正接方向突起は、ステーター最後列の隣接した歯の間のギャップの幅と同じ幅を有しなければならない。
【0040】
以上、本発明は、現在最も実用的で、好ましい態様であると考えられるものについて記載したけれども、本発明は、開示された態様に限定されることなく、むしろ反対に、前記本発明の精神と目的内に含まれる多岐にわたる修正や等価の態様も網羅するものである。
【符号の説明】
【0041】
10…リファイナー(ディスパージャー)、12…ローターディスク、13…ステーターディスク、14…ロータープレートセグメント、15…ステータープレートセグメント、17…孔、19…中心軸、22…内端、24…外端、26,56,58,60,62,64、66…列、28,34,40,70,84…歯、30…チャネル、31…ケーシング、32…半径、36…狭い側面、42,72,78,80,86,88…側壁、44…傾斜角度、48…ベース、50…前壁、52…後壁、55…矢印、81…突起、90…傾斜壁。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローター歯の同心円状列を含んでいるロータープレートを含むローターディスクと、
前記ローターディスクと相対するように配置されたステーターディスクであって、ステータープレート含むステーターディスクと、
を含むリファイナーであって、
前記ステータープレートが、ローター歯の列と嵌合するステーター歯の同心円状の列を含み、
前記ステーター歯の列が、歯の間を流れる粒子を逸らすため傾斜しているリーディング側壁を有する外列を含むことを特徴とするリファイナー。
【請求項2】
前記リファイナーが、ディスパージャーである請求項1に記載のリファイナー。
【請求項3】
前記リーディング側壁が、プレート半径方向に対して10°〜60°の範囲の角度を成す請求項1に記載のリファイナー。
【請求項4】
前記リーディング側壁が、プレート半径方向に対して15°〜45°の範囲の角度を成す請求項1に記載のリファイナー。
【請求項5】
前記リーディング側壁が、平面、半径方向内側表面と傾斜した外側表面とを含むV字形表面、および曲面の内の少なくとも一つの表面形状を有する請求項1に記載のリファイナー。
【請求項6】
前記リーディング側壁が、外列の隣接する歯間のギャップと少なくとも等しい距離だけ正接方向に突き出ている半径方向外側部分を含む請求項1に記載のリファイナー。
【請求項7】
前記リーディング側壁各々が、傾斜した壁部分と半径方向に並行する壁部分とを含み、前記傾斜した壁部分が、前記半径方向に並行する壁部分の半径方向外側の部分である請求項1に記載のリファイナー。
【請求項8】
前記外列の歯が、実質的に直角の後壁を有し得る請求項1に記載のリファイナー。
【請求項9】
リファイナーの相対するディスク間の材料のリファイニング方法であって、
リファイニング材料を前記ディスクの少なくとも片側の入口に供給するステップと、
片側のディスクを他側のディスクに相対的に回転し、その間にパルプ材料が遠心力でディスク間を移動するステップと、
前記他側のディスクの歯の列と嵌合する回転ディスクの歯の列によって惹起された衝撃力を前記材料に加えるステップと、
リファイニング材料が前記他のディスクの歯の外列を通過して流れるとき、前記材料を逸らすステップとから成る方法であって、
両ディスクの前記外列が、歯間を半径方向に移動するパルプ材料を逸らすように傾斜しているリーディング側壁を有する歯を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記リーディング側壁が、プレート半径方向に対して10〜60°の範囲の角度を成す請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記材料を逸らすステップが、歯の外列を通過し、実質的に半径方向通路に沿って移動するパルプを逸らすステップを含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記リーディング側壁が、外側ステータ列の隣接する歯間のギャップと少なくとも等しい距離だけ正接方向に突き出ているように配置されている請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−256515(P2011−256515A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154449(P2011−154449)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【分割の表示】特願2006−230036(P2006−230036)の分割
【原出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(502075342)アンドリッツ インコーポレーテッド (27)
【Fターム(参考)】