説明

リポペプチド組成物および関連する方法

本開示は、固体状態の場合に相対的に短い再構成時間および改善された化学的安定性を有する、新規の粉末ダプトマイシン製剤を提供する。組成物の例としては、ダプトマイシンおよびショ糖を含むものが挙げられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2009年11月23日に提出された米国仮出願第61/263,784号の利益を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本発明は、非経口投与用薬用組成物を作るために液体希釈剤中で再構成する、改善されたリポペプチド組成物、ならびに固形リポペプチド組成物を作る方法に関する。好ましい改善されたリポペプチド組成物には、水溶液中での再構成速度が増加した、および/またはダプトマイシンの化学的安定性が増加した固形ダプトマイシン調製物が含まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
ダプトマイシンは、複雑な皮膚および皮構造の感染症、および感染性心内膜炎の疑いまたは証明された感染性心内膜炎を伴う菌血症を含む菌血症の治療に適用される環状リポペプチド抗生物質である。注射用ダプトマイシンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む複数のグラム陽性菌の感受性系統により引き起こされた、示された感染症を治療するために静脈内投与できる。注射用のダプトマイシン(CUBICIN(登録商標)、Cubist Pharmaceuticals, Inc., Lexington, MA)は、凍結乾燥した粉末として提供され、この粉末は非経口投与のための薬用組成物として再構成および配合される。再構成されたダプトマイシン組成物は、例えば、医学的に適当な量の薬用希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)と組み合わせることにより、非経口投与用の薬用組成物として配合することができる。希釈剤は同一または異なっていてもよい。ダプトマイシンを含む非経口薬用組成物は、静脈内注入により投与できる。ダプトマイシンを含む凍結乾燥された粉末は、薬用希釈剤中で再構成される際に、その手順によっては、15〜45分かかり得る。
【0004】
ダプトマイシン(図1)は、n‐デカン酸を供給した微生物Streptomyces roseosporusの発酵産物に由来し得る。Biotechnology of Antibiotics第2版, W. R. Strohl編(New York: Marcel Dekker, Inc.), 1997, pp. 415-435(非特許文献1)におけるBaltz。ダプトマイシンを発酵産物中の構造的に類似した成分から分離するための最初の試みは、無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)を含む他の構造的に類似した化合物の特定につながった。無水ダプトマイシン(図2)は、発酵産物中の構造的に類似した成分よりダプトマイシンを分離するための手法を実施している最中に形成され得る。無水スクシンイミド型の再水和は、β‐アスパルチル基を含む第二の分解生成物を作り出し、これはダプトマイシンのβ異性体型と示される(図3)。Kirschら(Pharmaceutical Research, 6:387-393, 1989(非特許文献2)、「Kirsch」)は、ダプトマイシンの精製において作り出されたダプトマイシンのベータ異性体および無水ダプトマイシンを開示する。pHの条件および温度条件を操作することにより、無水ダプトマイシンおよびβ異性体の量を最小化する方法をKirschは記述した。しかしながら、ダプトマイシンを安定化させ、ダプトマイシンの無水ダプトマイシンへの変換とそれに続くβ異性体への異性化を防ぐことはKirschにはできなかった。Kirschは、無水ダプトマイシンおよびβ‐異性体に関連しないほかの分解生成物へのダプトマイシンの分解を防ぐこともできなかった。
【0005】
米国特許第6,696,412号(特許文献1)は、ダプトマイシンが得られる元となる発酵産物中に存在する幾つかの追加の化合物を開示し、純度を高めたダプトマイシンを精製する方法を提供する。追加の化合物には、ダプトマイシンのラクトン加水分解生成物が含まれ、それは図4の化学構造を有する。ダプトマイシンの精製方法は、ダプトマイシンミセルを形成する工程、濾過により低分子量の夾雑物を取り除く工程、および次にダプトマイシン含有ミセルの濾液を非ミセル状態に変換した後アニオン交換および逆浸透透析濾過を行うことにより高純度のダプトマイシンを得、次にこれを凍結乾燥する工程を含み得る。
【0006】
凍結乾燥されたダプトマイシン粉末中のダプトマイシンの化学的安定性の一つの指標は、無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)を含む構造的に類似した化合物の量に対する再構成されたダプトマイシン組成物中に存在するダプトマイシンの量(図1)である。これら構造的に類似した化合物の量に対するダプトマイシンの量は、水性希釈剤中で再構成後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定可能である。ダプトマイシンの純度および構造的に類似の化合物の量(例えば、図2〜4)は、HPLCから(例えば、本明細書中の実施例4に従って)得られるピーク面積より測定することができ、それにより、固体状態でのダプトマイシンの化学的安定性の一つの指標が提供される。また、液体形態における再構成されたダプトマイシンの化学的安定性の一つの指標として、ダプトマイシンの純度および化学的安定性は、液体の再構成ダプトマイシン組成物において経時的に測定することもできる。
【0007】
薬用希釈剤中で速やかに(例えば約5分未満で)再構成し、薬用組成物として配合可能な再構成されたリポペプチド組成物を形成する固形リポペプチド組成物が必要とされている。例えば、バイアルに入った500mgの凍結乾燥された注射用ダプトマイシン(CUBICIN(登録商標))を再構成するためには、凍結乾燥された粉末を10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液と混合し、10分間(またはそれ以上)静置させ、次に穏やかに「数分間」回転または渦が巻くように回すことにより、調製前に再構成されたダプトマイシン組成物を作り、これにより非経口ダプトマイシン薬用組成物を調製する。
【0008】
また、貯蔵寿命の延長、より多様な貯蔵条件(例えば、より高い温度または湿度)に対する向上した耐性、および非経口投与用の液体製剤として再構成した後の化学的安定性の増大という利点を提供する固体および/または再構成された形態における改善された化学的安定性(即ち、時間とともにダプトマイシン純度の合計比率(%)が上昇する性質)を有する固形ダプトマイシン組成物も必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,696,412号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Biotechnology of Antibiotics第2版, W. R. Strohl編(New York: Marcel Dekker, Inc.), 1997, pp. 415-435
【非特許文献2】Pharmaceutical Research, 6:387-393, 1989
【発明の概要】
【0011】
概要
本発明は、薬用組成物を作るために水性希釈剤中で再構成するための固形リポペプチド組成物に関する。リポペプチド組成物は、薬学的に許容されるリポペプチドを含む水溶液を固形リポペプチド組成物に(例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、等により)変換することで調製される。その後、固形リポペプチド組成物は、非経口投与用の医薬品を作るために、薬学的に許容される水性希釈剤中で再構成してもよい。
【0012】
第一の態様において、水性希釈剤中で固形リポペプチド組成物を再構成するための時間は、固形リポペプチド組成物を形成するために溶液を凍結乾燥する前に、リポペプチド水溶液のpHを上昇させる(好ましくはpH約6.5〜7.5まで、最も好ましくは約7.0までとする)ことにより予想外に短縮できる。例えば、pH約7.0でダプトマイシン溶液(糖またはグリシンを含まない)を凍結乾燥することにより調製された固形ダプトマイシン組成物は、pH約4.7で凍結乾燥された以外の点では同程度のダプトマイシン製剤よりも、0.9%塩化ナトリウム水溶液中で相対的に速く再構成された。
【0013】
水性希釈剤中の特定の固形リポペプチド組成物の再構成速度は、溶液を固形リポペプチドに変換する前にリポペプチドをグリシンまたは糖(好ましくは、非還元糖)と混合することによっても加速された。例えば、ダプトマイシンおよび非還元糖またはグリシンをpH約7.0で含む溶液から作られた表6に記載の凍結乾燥された薬用ダプトマイシン組成物500mgは、0.9%塩化ナトリウム水溶液中において2分未満で再構成され、多くの組成物は1分未満で再構成された。
【0014】
固形の薬用リポペプチド調製物は下記の工程により得られる生成物であり得る:(a)リポペプチドの等電点より高い(例えば、ダプトマイシンの場合約3.8より高い)pHでリポペプチドの水溶液を作る工程;(b)グリシンまたは糖(好ましくは非還元糖)を、リポペプチドを含む水溶液に溶解することにより、液体リポペプチド製剤を作る工程;(c)液体リポペプチド製剤のpHを約6.5〜7.5に調製する工程;および(d)液体リポペプチド製剤を固形の薬用リポペプチド組成物に変換する工程(例えば、凍結乾燥)。例えば、約2分未満で0.9%塩化ナトリウム水溶液希釈剤中で再構成する凍結乾燥されたダプトマイシン薬用調製物は、以下の工程により調製できる:(a)ダプトマイシンの水溶液をpH約4.5〜5.0(例えば、pH約4.7)で作り;(b)リン酸、クエン酸、マレイン酸、またはその組み合わせを含む緩衝剤をダプトマイシン水溶液に加え、緩衝ダプトマイシン製剤を作る工程;(c)緩衝ダプトマイシン製剤に一つまたは複数の糖を溶解することにより、約2.5%w/v〜約25%w/v(例えば、約3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、または24%)の糖を含み、糖がトレハロース、ショ糖、マンニトール、およびその組み合わせからなる群より選択される、緩衝ダプトマイシン糖製剤を作る工程;(d)緩衝ダプトマイシン糖製剤のpHを約6.5〜7.5(例えば、7.0)に調節する工程;(e)固形の薬用ダプトマイシン組成物を作るために緩衝ダプトマイシン糖製剤を凍結乾燥する工程。好ましくは、糖は、ショ糖、ショ糖およびマンニトール、またはトレハロースを含む。
【0015】
第二の態様において、本発明は、(実施例4に記載の方法に従ってHPLCで測定された)時間経過に伴うダプトマイシン純度の合計比率(%)の上昇として測定される、ダプトマイシンの化学的安定性が改善されたダプトマイシン組成物を提供する。驚くべきことに、特定の好ましい組成物と共に固形調製物に含まれるダプトマイシン(例えば、ショ糖またはトレハロースと組み合わせたダプトマイシン)は、糖またはグリシンを含まないダプトマイシン固形調製物中のダプトマイシンよりも化学的に安定であった。固体の状態におけるダプトマイシンの化学的安定性は、それぞれ実施例4に従って得られた複数の固形ダプトマイシン調製物よりダプトマイシン純度の合計を測定し、その値を比較することにより測定された。実施例4に従って得られた2つの試料の間でより高い相対的ダプトマイシン合計純度の測定値からより高い化学的安定性を測定した。例えば、ショ糖等の一つまたは複数の非還元糖を含む固形ダプトマイシン組成物より測定されたダプトマイシンの化学的安定性は、0.9%塩化ナトリウム水溶液中で再構成される前の6ヶ月の保存期間の間に、思いがけなく10%と90%よりも高い値の間まで増加された(糖を全く含まない固形ダプトマイシン組成物より測定されたダプトマイシンの化学的安定性との比較)。
【0016】
更に驚くべきことに、一つまたは複数の特定の非還元糖(例えばショ糖)を含むダプトマイシン調製物において、糖またはグリシンを含まない同等のダプトマイシン製剤と比較して、再構成されたダプトマイシン溶液中、様々な温度で14日間まで相対的に高いダプトマイシンの化学的安定性が観察された。例えば、再構成された溶液中のダプトマイシンの化学的安定性は、14日間の期間に、特定の非還元糖(例えば、ショ糖)と共にダプトマイシンを含む組成物においては、思いがけなく増加した。
【0017】
固形の薬用ダプトマイシン調製物の好ましい例としては、一つまたは複数の非還元糖またはグリシンを約2.5%〜25.0%含むものが挙げられる。固形の薬用ダプトマイシン調製物のその他の好ましい例としては、ショ糖、マンニトール、およびトレハロースからなる群より選択される糖を約2.5%〜25.0%含むものが挙げられる。特に好ましい固形の薬用ダプトマイシン調製物は、基本的にダプトマイシン、ショ糖、リン酸ナトリウム緩衝剤(例えば、二塩基性リン酸ナトリウム、Na2HPO4)、および約8%までのほかの材料(例えば、実施例4に従ったHPLC測定によると、214nmにおけるピーク面積)からなる。
【0018】
固形の薬用ダプトマイシン調製物は、ダプトマイシンの等電点より高いpH(例えばpH約3.7以上)でダプトマイシンおよび非還元糖(例えば、溶液中15〜20%w/vショ糖)を含む水溶液を変換することにより得ることが可能である。好ましくは、ダプトマイシンおよび非還元糖(例えば、ショ糖)を含む水溶液のpHは、固形の薬用ダプトマイシン調製物(例えば、粉末)に変換された場合、約4.5〜8.0である(例えば、pH値4.5〜7.5、4.7〜7.5、5.0〜7.5、5.5〜7.5、4.7〜7.0、5.0〜7.0、5.5〜7.0、6.0〜7.0、および6.5〜7.0、およびその間の値)。水性希釈剤中での再構成時間が約2分以下である凍結乾燥されたダプトマイシン薬用調製物は、好ましくは、以下の工程により調製される:(a)pHが約4.7〜5.0のダプトマイシン水溶液を作る工程;(b)ダプトマイシンの水溶液にリン酸、クエン酸、TRIS、マレイン酸、またはその組み合わせを含む緩衝剤を加える工程;(c)ダプトマイシンを含む水溶液に糖(例えば、ショ糖などの非還元糖)を溶解することにより緩衝ダプトマイシン糖製剤を作る工程;(d)緩衝ダプトマイシン糖製剤のpHを約6.5〜8.0(例えば、6.5〜7.5、6.5〜7.0、6.5、7.0、7.5、8.0、7.0〜8.0、7.0〜7.5およびその間の値のpH値を含む)に調節する工程;ならびに(e)固形の薬用ダプトマイシン調製物を作るために緩衝ダプトマイシン糖製剤を凍結乾燥する工程。
【0019】
特に明確にされない限り、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似のまたは同等の方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。本明細書に言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照により援用される。矛盾が生じた場合には、定義をはじめとして、本明細書が優先される。加えて、材料、方法、および実施例は例示的であるにすぎず、限定的であることは意図されない。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1はダプトマイシンの化学構造を示す図である。
【図2】図2は無水ダプトマイシンの化学構造を示す図である。
【図3】図3はダプトマイシンのベータ異性体の化学構造を示す図である。
【図4】図4はダプトマイシンのラクトン加水分解生成物の化学構造を示す図である。
【図5】図5は好ましいダプトマイシン組成物の例を記載した表6を示す図である。これらの組成物は、溶液として調製され、次に凍結乾燥することにより、2分未満で水性薬用希釈剤中で再構成される固形の薬用ダプトマイシン調製物を提供する(1分未満で再構成する組成物も含まれる)。表6において、「再構成時間」とは、「製剤(固体状態)」の列に記載された凍結乾燥されたダプトマイシン組成物約500mgが10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に室温(約25℃)で溶解するために必要な時間を意味する。
【図6】図6は他のダプトマイシン組成物の例を記載した表7を示す図である。これらの組成物は、溶液として調製され、次に凍結乾燥することにより、2分未満またはそれ以上で水性薬用希釈剤中で再構成される固形の薬用リポペプチド調製物を提供する。表7において、「再構成時間」とは、凍結乾燥されたダプトマイシン溶液約500mgが10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に室温(約25℃)で溶解するために必要な時間を意味する。
【図7】図7は糖を含むダプトマイシン組成物の例を記載した表8を示す図である。
【図8】図8は実施例4に従って様々なダプトマイシン製剤について測定および計算した合計ダプトマイシン純度のパーセント変化を表す表9を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
再構成が加速されたリポペプチド組成物
本発明の第一の態様においては、水性薬用希釈剤中で5分未満の再構成時間を有する固形の薬用リポペプチド調製物が提供される。例えば、グリシンまたは糖を含むダプトマイシン溶液の凍結乾燥により調製される固形のダプトマイシン薬用リポペプチド調製物500mgは、10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に室温(約25℃)において4分以内(4分、3分、2分、1分および1分未満の溶解時間も含まれる)で溶解させることができる。
【0023】
思いがけないことに、pH約7.0で液体リポペプチド製剤より得られた特定の固体の薬用リポペプチド調製物は、水性薬用希釈剤中で、より低いpH(例えば4.7)で類似の液体リポペプチド製剤から得られること以外は同一の固形の薬用リポペプチド調製物よりも速い速度で再構成した。例えば、pH値が4.7および7.0で同一の組成(糖またはグリシンを含まない)の2種のダプトマイシン水溶液を凍結乾燥すると、0.9%塩化ナトリウム水溶液の希釈剤中において5.0分で再構成した粉末(pH4.7の場合)、それに対して1.4分で再構成した粉末(pH7.0の場合)が作られた(表6および表7を参照のこと)。更に、ダプトマイシン製剤にグリシンまたは糖(好ましくは、1つまたは複数の非還元糖)を加えることにより、得られた固形の薬用リポペプチド調製物の再構成速度が増した。
【0024】
加速された再構成速度を有する固形の薬用リポペプチド調製物は、適当なpH(例えば4.7〜7.0)および温度(例えば、2〜10℃)のリポペプチド水溶液より入手可能である。一般的に、固形の薬用リポペプチド調製物は、リポペプチドの等電点よりも高いpHで、リポペプチドの水溶液から作ることができる。好ましくは、リポペプチドは、ダプトマイシンを含む(図1)。固形の薬用ダプトマイシン調製物の好ましい調製方法は実施例2aおよび2bに記載されている。固形の薬用ダプトマイシン調製物は、ダプトマイシンの等電点よりも高いpH(例えば、pH値4.5、4.7、および本明細書に開示されている他の更に高いpH値を含む、約3.7〜3.8より高いpH)において2〜10℃で、ダプトマイシンの水溶液から調製できる。ダプトマイシンは、pH3.0において、その後、約2〜10℃で水酸化ナトリウム(例えば、3.0Nおよび10.0Nを含む、3.0〜10.0N)を加えることにより所望のpHに調節されたpHにおいて、125〜130mg/mLの濃度で、凍結された注射用蒸留水(sWFI)の溶液として得ることができる。pHは、例えば水酸化ナトリウム、塩酸、リン酸、および/または酢酸を加えることにより調整できる。
【0025】
緩衝剤は、pHが約4.7よりも高いリポペプチド水溶液に任意に加えられる。緩衝剤は、例えばリン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、もしくは炭酸塩部分、またはその組み合わせ、および薬学的に適当な対イオンを含む剤を含み得る。緩衝剤の量は、緩衝剤対ダプトマイシンのモル比に基づいて選択することができる(例えば、表6に説明されている)。緩衝剤は、無水の状態または水溶液の状態で加えることができる。緩衝剤の具体的な例としては、リン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、ホウ酸のナトリウム塩またはカリウム塩、クエン酸のナトリウム塩またはカリウム塩、炭酸のナトリウム塩またはカリウム塩、リン酸ナトリウム(例えば、二塩基性リン酸ナトリウム)、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、およびマレイン酸塩が挙げられる。一つの局面において、緩衝剤は、二塩基性リン酸ナトリウム(Na2HPO4)、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ヒスチジン塩酸塩、TRIS、およびマレイン酸塩より選択される。ダプトマイシン水溶液においては、緩衝液は、pH約4.5〜6.0(好ましくはpH約5.0)のダプトマイシン水溶液に約50mMのリン酸緩衝剤(例えば、二塩基性リン酸ナトリウム)を加えたものが好ましい。緩衝剤を加える前に冷却した状態(2〜10℃)で3N水酸化ナトリウムを加えることにより、酸性リポペプチド水溶液のpH(例えば、pH約3.0)を緩衝剤添加前に上昇させることができる。
【0026】
リポペプチド水溶液には、その溶液を薬用リポペプチド調製物に(例えば、凍結乾燥により)変換する前に、一つまたは複数の糖(例えば、非還元糖)および/またはグリシンを加えることができる。グリシンまたは糖をリポペプチド水溶液と組み合わせる際の量および方法は、好ましくは、後にpH約6.5〜7.5に(例えば、3N水酸化ナトリウムを約2〜10℃で加えることにより)調節することが可能なリポペプチド溶液が提供されるように選択する。液体ダプトマイシン製剤の場合、グリシンおよび/または一つもしくは複数の糖は、好ましくは適切な温度(例えば、2〜10℃)で撹拌することにより組み合わせる。ダプトマイシン水溶液は、グリシン、トレハロース、ショ糖、マンニトール、ラクトース、マルトース、果糖、デキストロース、およびその組み合わせと共にpH約5.0以上で調整できるが、糖は好ましくは、非還元糖である。リポペプチド対グリシンおよび/または一つもしくは複数の糖の総量のモル比は、水性溶媒中で更に速い再構成速度を有する固形組成物が得られるように選択することができる(例えば、表6に記載の組成物など)。例えば、液体のダプトマイシン糖溶液は、好ましくはダプトマイシンとショ糖をダプトマイシン:ショ糖モル比が[1.00:1.12]〜約[1.00:8.98]となるように含む。
【0027】
リポペプチド、糖またはグリシン、および緩衝剤を組み合わせた後であり、液体のリポペプチド溶液を固形の薬用調製物に変換する前に、リポペプチド溶液のpHは約6.5〜7.5に調節することができる。好ましくは、リポペプチドは、ダプトマイシンを含み、液体ダプトマイシン製剤は、固体状態に変換される前であって、緩衝剤およびグリシンおよび/または糖を加えた後にpH約6.5〜7.0、最も好ましくはpH約7.0に調節される。図5(表6)は、水性希釈剤において速やかに再構成(溶解)する固形の薬用リポペプチド調製物を提供するために凍結乾燥された好ましい液体ダプトマイシン組成物の例を記述するものである。表6中のグリシンおよび非還元糖を含む各組成物については、500mgの固形ダプトマイシン糖組成物が0.9%塩化ナトリウム水溶液に1分未満で溶解した。対照的に、液体ダプトマイシン組成物よりpH約4.7で得られた表7(図3)に記載された多くの固形の薬用調製物は、表6の組成物よりも再構成するための時間が長かった(例えば、表7に記載の固形の薬用ダプトマイシン組成物500mgは、10mLの0.9%塩化ナトリウム水性希釈剤に25℃で再構成する際に2分以上かかった)。
【0028】
固形の薬用リポペプチド組成物は、凍結乾燥、噴霧乾燥、または流動層乾燥を含む任意の適切な方法により液体リポペプチド製剤に変換できる。実施例3は、表6にも示される再構成時間を測定する前に、表6の特定の液体ダプトマイシン製剤を固形の薬用ダプトマイシン調製物に変換するために用いられる凍結乾燥方法を説明するものである。固形ダプトマイシン組成物は、凍結乾燥、フリーズドライ、噴霧乾燥、流動層乾燥、噴霧凝結、沈殿または結晶化させた粉末または非晶体であってよい。一つの局面において、粉末は、凍結乾燥または噴霧乾燥された粉末である。本発明の別の局面において、粉末は凍結乾燥された粉末である。
【0029】
固体薬用ダプトマイシン調製物中のダプトマイシン対糖のモル比は、好ましくは約[1:1.12]〜約[1:21.32]の範囲である。例えば、固形の薬用ダプトマイシン調製物はショ糖を、ダプトマイシン対糖のモル比が約[1:1.12]〜約[1:8.98]となるように含むことができ、ダプトマイシン:ショ糖のモル比の例としては[1:4.49]〜[1:8.98]、[1:6.73]〜[1:8.98]、[1:1.12]、[1:1.344]、[1:1.792]、[1:2.24]、[1:2.688]、[1:3.136]、[1:3.584]、[1:4.032]、[1:4.49]、[1:4.928]、[1:5.376]、[1:5.824]、[1:6.272]、[1:6.73]、[1:7.168]、[1:7.616]、[1:8.064]、[1:8.512]、または[1:8.98]が含まれる。一つの局面において、賦形剤はマンニトールであり、ダプトマイシン対マンニトールのモル比は約[1:2.52]〜約[1:5.04]である。別の局面においてダプトマイシン対マンニトールのモル比は、[1:2.52]、[1:3.36]、[1:4.20]、または[1:5.04]である。別の局面において、賦形剤はショ糖であり、ダプトマイシン対ショ糖のモル比は、約[1:1.12]〜約[1:8.98]である。別の局面において、ダプトマイシン対ショ糖のモル比は、[1:4.49]〜約[1:8.98]である。また、別の局面において、ダプトマイシン対ショ糖のモル比は、約[1:6.73]〜約[1:8.98]である。別の局面において、ダプトマイシン対ショ糖のモル比は、[1:1.12]、[1:1.344]、[1:1.792]、[1:2.24]、[1:2.688]、[1:3.136]、[1:3.584]、[1:4.032]、[1:4.49]、[1:4.928]、[1:5.376]、[1:5.824]、[1:6.272]、[1:6.73]、[1:7.168]、[1:7.616]、[1:8.064]、[1:8.512]、または[1:8.98]である。別の局面において賦形剤はトレハロースであり、ダプトマイシン対トレハロースのモル比は[1:2.13]〜約[1:21.32]である。別の局面において、ダプトマイシン対トレハロースのモル比は[1:2.13]、[1:2.556]、[1:3.408]、[1:4.26]、[1:5.112]、[1:5.964]、[1:6.816]、[1:7.668]、[1:8.53]、[1:9.372]、[1:10.224]、[1:11.076]、[1:11.928]、[1:12.78]、[1:13.632]、[1:14.484]、[1:14.91]、[1:15.336]、[1:16.188]、[1:17.04]、[1:17.892]、[1:18.744]、[1:19.592]、[1:20.448]、または[1:21.32]である。
【0030】
固形の薬用リポペプチド組成物は、非経口投与用の薬用組成物を得るために、再構成および一つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤と組み合わせることができる。再構成された液体組成物中のダプトマイシン対希釈剤の比率は、好ましくは25mg/mL〜200mg/mLの間である。例えば、ダプトマイシンを含む凍結乾燥された組成物は、それに0.9%塩化ナトリウム水溶液を加えることによりバイアル中で再構成することができる。再構成されたダプトマイシン溶液は医学的に適切な希釈剤と組み合わせ、静脈内投与することができる。薬学的に許容される希釈剤としては、注射用蒸留水(sWFI)、0.9%塩化ナトリウム滅菌注射液(sSCI)、注射用静菌水(bWFI)、およびリンゲル溶液が挙げられる。適切な希釈剤の更なる例は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第17版、A.R Gennaro編、Mack Publishing Co., Easton, PA, 1985に記載されている。希釈剤は注射用蒸留水または塩化ナトリウム滅菌注射液であり得る。好ましい希釈剤は、sWFIまたは乳酸化リンゲル注射液である。好ましくは、希釈剤の添加はゆっくりではなく、45度の角度で回転させながら行う。更に、希釈剤の添加後、ダプトマイシンを入れた容器は、好ましくは、撹拌前に10分間静置させない。
【0031】
任意に、希釈剤は更に薬学的に許容される保存料を含む。ひとつの局面において、保存料は、ベンジルアルコール、クロロブタノール、m-クレゾール、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノール、プロピルパラベン、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウム、クロロクレゾール、フェニル第二水銀塩、およびヒドロキシ安息香酸メチル。
【0032】
一つの再構成方法は、表6の凍結乾燥されたダプトマイシン組成物を入れた容器に希釈剤を速やかに加える工程、および次に必要であれば容器を渦が巻くように回す工程を含む。希釈剤は、好ましくはsWFIまたはsSCIである。例えば、希釈剤は、1〜60秒間、より好ましくは1〜30秒間かけて加えることができ、最も好ましくは希釈剤は20秒未満で加えられる。組成物中のダプトマイシンの重量に対する希釈剤の量は、好ましくは、25 mg/mL〜200 mg/mLの範囲内である。
【0033】
ダプトマイシンを含む非経口薬用組成物は、認められた効能に従って静脈内注入により投与できる。例えば、注射用ダプトマイシンは、24時間ごとに1回、7〜14日間、複雑な皮膚および皮構造の感染症の治療のために、0.9%塩化ナトリウム中で静脈内投与できる。
【0034】
ダプトマイシンの化学的安定性が向上した組成物
予想外に、固形の薬用調製物においてダプトマイシンを一つまたは複数の非還元糖(例えば、ショ糖、トレハロース、ショ糖およびマンニトール)と組み合わせることにより、ダプトマイシンの化学的安定性が固体および再構成された液体相の両方で向上した。ダプトマイシンの化学的安定性は、既知の条件下(例えば、一定温度で)既知の期間(例えば、12ヶ月まで)保存された複数の固形試料の合計ダプトマイシン純度の測定値を比較することにより測定された。各資料のダプトマイシン合計純度は、実施例4に従って、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により(表3に示されたパラメータを用いて)測定された。更に、再構成されたダプトマイシン溶液中のダプトマイシン(図1)の量は、無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)からなる群より選択された物質の量に対して相対的に測定された。同様に、再構成されたダプトマイシン溶液中のダプトマイシンの化学的安定性を決定するために、再構成されたダプトマイシン溶液中のダプトマイシン純度のHPLC測定および算出は、再構成されたダプトマイシン溶液の調製後14日間まで様々な時間間隔で実施例4に従って繰返された。
【0035】
一つの局面において、ダプトマイシンの安定性が増加した固形の薬用ダプトマイシン調製物は、ダプトマイシンおよび非還元糖を、実施例4に従って合計ダプトマイシン純度より測定される固形ダプトマイシン製剤におけるダプトマイシンの総合安定性を向上させるのに有効な量で含み得る。別の局面において、ダプトマイシンの安定性が増加した固形の薬用ダプトマイシン調製物は、ダプトマイシンおよび非還元糖を、固体および/または液体にて再構成された状態として、ダプトマイシン調製物中の無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)からなる群より選択される物質の量(実施例4による測定)を、グリシンまたは糖を含まないダプトマイシン調製物の安定性と比較して、減少させるのに有効な量で含むことができる。
【0036】
ダプトマイシンの安定性が増加した固形の薬用ダプトマイシン調製物は、ダプトマイシンおよび一つの糖を、固形のダプトマイシン調製物中のダプトマイシンの合計純度の変化から測定されたダプトマイシンの化学的安定性を、グリシンまたは糖を含まないダプトマイシン調製物のものよりも向上させるために有効な量で含み、ここでダプトマイシンの純度は実施例4に従って測定される。
【0037】
実施例5に記述されているように、リポペプチドの化学的安定性が向上した固形リポペプチド組成物は、非還元糖(例えば、ショ糖またはトレハロース)または非還元糖の組み合わせ(例えば、ショ糖およびトレハロース)を含む。各固形ダプトマイシン薬用調製物におけるダプトマイシンの純度は、実施例4に従い、再構成後に測定される(または、再構成された溶液は凍結され実施例4に従ったダプトマイシン純度は、再構成された溶液を解凍した後に測定された)。非還元糖を含む固形の薬用ダプトマイシン調製物は、再構成後には無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)からなる群より選択される物質より多い量のダプトマイシン(図1)を有してもよい。非還元糖を含む固形の薬用ダプトマイシン調製物の好ましいものは、非還元糖を含まない固形ダプトマイシン調製物と比較して増加したダプトマイシン純度(および向上した保存性)を少なくとも6ヶ月間有する。実施例5に記述されているように、固形ダプトマイシン調製物を様々な期間(例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、および6ヶ月)と様々な温度域(例えば、2〜8℃、25℃、および40℃)でバイアルに貯蔵し、次に固形調製物を再構成した後、実施例4に記載のとおり、再構成された液体組成物中のダプトマイシンおよび構造的にダプトマイシンと構造的に類似している物質の量を測定した。
【0038】
実施例6に記述されているように、非還元糖を含む再構成された液体の薬用ダプトマイシン調製物中のダプトマイシンは、糖を全く含まない再構成されたダプトマイシン調製物のものと比較して、予想外に改善された化学的安定性を示した。非還元糖を含む再構成されたダプトマイシン製剤における向上した化学的安定性は、5℃、25℃、および40℃で保存された試料について最大14日間までの実施例4に従った合計ダプトマイシン純度の測定値の差から測定された。例えば、冷蔵され(例えば、2〜10℃)再構成された約15.0〜20.0%のショ糖を含むダプトマイシン調製物中のダプトマイシンの純度(実施例4に従って測定および計算)は、糖を全く含まない再構成されたダプトマイシン製剤と比較して14日間にわたって予想外に高かった。再構成されたダプトマイシン調製物は、非経口投与用の薬用組成物(例えば、袋や注射器など静脈内投与用の容器で作られるまたは保存されるもの)を得るために、一つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤と組み合わせることができる。
【0039】
再構成された溶液中のダプトマイシンの化学的安定性を評価するために、最大14日間を含む、再構成後(凍結されている場合は解凍後)の複数の期間において(3、7、および14日間)、ダプトマイシンの純度を測定した。再構成された液体組成物中のダプトマイシンの化学的安定性は、実施例4に従ってダプトマイシンの純度を測定することにより、実施例6に記載のとおり様々な期間の後測定された。向上したダプトマイシンの化学的安定性を有する組成物は、より低いダプトマイシンの化学的安定性を示す組成物よりも、図2〜4に示すダプトマイシンと構造的に類似している物質の検出総量に対するダプトマイシンの検出量(実施例4の方法により測定)が高かった。
【0040】
化学的安定性が改善された固形ダプトマイシン調製物(固体および/または再構成された液体の状態)は、ショ糖およびトレハロース等の非還元糖、ならびにショ糖およびマンニトールなどの非還元糖の組み合わせとダプトマイシンを組み合わせることにより調製された。
【0041】
一部の態様において、固形および液体ダプトマイシン調製物は、実施例4による測定に基づく純度が少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、または少なくとも98%のダプトマイシンを含む。固形の薬用ダプトマイシン調製物は、好ましくは、表3に記載の214nmで検出された合計HPLCピーク面積の少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、または少なくとも98%が、実施例4の方法に従って固形の薬用ダプトマイシン調製物から再構成された状態のダプトマイシンより得られることを特徴とする。
【0042】
一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、重量パーセントで調製物の少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、または少なくとも98%がダプトマイシンおよびグリシンまたは一つもしくは複数の非還元糖からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約2分未満で約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)に溶解することを特徴とする。
【0043】
粉末および再構成された状態において増大したダプトマイシンの安定性ならびに増大した再構成能力を有する好ましい固形ダプトマイシン調製物には、ダプトマイシン、ショ糖、およびリン酸緩衝剤を含む固形ダプトマイシン調製物が含まれ、ここで:
a.固形ダプトマイシン調製物は、表3に記載のとおり、再構成されたダプトマイシン溶液の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)から214nmで測定された全曲線下面積で割られたダプトマイシンの214nmにおける吸光度(曲線下面積)の割合から計算される、少なくとも92%純粋なダプトマイシンを含み;
b.固形ダプトマイシン調製物は下記の工程により得られる:
i.pH約7.0において、105 mg/mL(10.5%w/v)のダプトマイシン、7.1 mg/mL(50mM)の二塩基性リン酸ナトリウム緩衝剤、および150 mg/mL(15%w/v)のショ糖を含むダプトマイシン水溶液を作る工程;および
ii.水性ダプトマイシン製剤を固体ダプトマイシン調製物に変換する工程。
【0044】
好ましい固形ダプトマイシン調製物は、約2.5〜25.0%w/vの一つ以上の非還元糖(例えば、ショ糖、トレハロース、およびマンニトール)、ならびに任意に更に一つまたは複数の二塩基性リン酸ナトリウムなどの緩衝剤を含むダプトマイシン溶液から得られる。特に好ましい固形ダプトマイシン調製物は、ダプトマイシンおよびショ糖を含む(および任意で更に約50mM二塩基性リン酸ナトリウムを含む)液体溶液をpH約4.5〜7.0(例えば、pH値4.7〜7.0を含む)で凍結乾燥または噴霧乾燥することにより調製することができる。
【0045】
固形ダプトマイシン調製物を含む製造品(例えば、自動的に穴がふさがる、穴を開けることができる膜など、水性希釈剤をバイアル内に注入する手段を備えた封入された密封バイアル)も提供され、更に非経口投与用に製剤化されたダプトマイシン製品を含む製品であって水性希釈剤に溶解された固形ダプトマイシン調製物(例えば、ダプトマイシン製品の静脈内投与に適応している袋または注射器)も含む製品も提供される。
【0046】
500mgの固形の薬用ダプトマイシン組成物は、好ましくは、10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に25℃で1分以内に溶解する。ダプトマイシン水溶液のpHは、ダプトマイシンを含む水溶液に非還元糖を溶解する前に、少なくともpH4.7に調節することができる。任意で、ダプトマイシン調製物は、ダプトマイシンを含む水溶液中に非還元糖を溶解する前に、ダプトマイシン水溶液に緩衝剤を加えることにより調製される。液体ダプトマイシン製剤は、ダプトマイシン濃度が約105mg/mLであってよい。液体ダプトマイシン製剤中の糖は、トレハロース、ショ糖、マンニトール、ラクトース、マルトース、果糖、デキストロース、およびその組み合わせからなる群より選択されてもよい。一つの好ましい例において、500mgの固形の薬用ダプトマイシン組成物は、10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に25℃で1分以内に溶解し、固形の薬用ダプトマイシン調製物は、下記の工程により調製される:
a.pH約4.7〜5.0でダプトマイシン水溶液を作る工程;
b.リン酸、クエン酸、マレイン酸、またはその組み合わせを含む緩衝剤をダプトマイシンの水溶液に加える工程;
c.ダプトマイシンを含む水溶液に非還元糖を溶解することにより緩衝ダプトマイシン糖製剤を作る工程;
d.緩衝ダプトマイシン糖製剤のpHを約7.0に調節する工程;および
e.緩衝ダプトマイシン糖製剤を凍結乾燥し、固形の薬用ダプトマイシン組成物を作る工程。
【0047】
固形の薬用ダプトマイシン調製物の他の例は、下記の工程により調製できる:
a.pH約4.7〜5.0でダプトマイシン水溶液を作る工程;
b.リン酸、クエン酸、マレイン酸、またはその組み合わせを含む緩衝剤をダプトマイシンの水溶液に加える工程;
c.ダプトマイシンを含む水溶液に糖を溶解することによりダプトマイシン糖製剤を作る工程であって、糖がトレハロース、ショ糖、マンニトール、ラクトース、マルトース、果糖、デキストロース、およびその組み合わせからなる群より選択される工程;
d.ダプトマイシン糖製剤のpHを約7.0に調節する工程;および
e.ダプトマイシン糖製剤を凍結乾燥し、固形の薬用ダプトマイシン組成物を作る工程。
【0048】
0.9%塩化ナトリウム水性希釈剤において再構成にかかる時間が加速された凍結乾燥されたダプトマイシン薬用調製物を製造する方法は、下記の工程を含み得る:
a.pH約4.7〜5.0でダプトマイシン水溶液を作る工程;
b.リン酸、クエン酸、マレイン酸、またはその組み合わせを含む緩衝剤をダプトマイシンの水溶液に加える工程;
c.ダプトマイシンを含む水溶液中に糖を溶解することにより約2.5%〜約25%の糖を含む緩衝ダプトマイシン糖製剤を作る工程であって、糖がトレハロース、ショ糖、マンニトール、ラクトース、マルトース、果糖、デキストロース、およびその組み合わせからなる群より選択される工程;
d.緩衝ダプトマイシン糖製剤のpHを約6.5〜7.5に調節する工程;および
e.緩衝ダプトマイシン糖製剤を凍結乾燥し、固形の薬用ダプトマイシン組成物を作る工程。
好ましくは、500mgの凍結乾燥されたダプトマイシン組成物は、10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に25℃で1分以内に溶解する。緩衝ダプトマイシン糖製剤は、好ましくはリン酸塩および約2.5%〜約25%の糖を含む。
【実施例】
【0049】
以下の実施例は例示的なものであり、本明細書に記載の発明を限定するものではない。
【0050】
改善されたダプトマイシン固形調製物は、(a)実施例2aおよび2bに記載のとおり、ダプトマイシンおよび一つもしくは複数の糖またはグリシンを含む溶液から固形の薬用調製物を作る工程、および(b)実施例3に記載のとおり、ダプトマイシン溶液を固形の薬用調製物に(例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥により)変換する工程から得られた。その後、固形の薬用調製物は、水性希釈剤を加え、固形の薬用調製物を約4分以内で溶解することにより再構成できる。好ましくは、固形の薬用ダプトマイシン調製物は水性希釈剤に25℃で約1分以内に溶解する(任意に静かに撹拌される)。
【0051】
CUBICIN(登録商標)(即ち、グリシンまたは糖を含まないダプトマイシン)という商標で販売されている注射用ダプトマイシンのための添付文書によると:
「CUBICIN 500mgバイアルの内容物は、下記のとおり無菌操作を用いて再構成されるべきである。
注意:泡立ちを最小にするため、再構成の最中またはその後にバイアルを激しく撹拌または振盪することは避ける。
1.ゴム栓の中心部分を露出するために、CUBICINバイアルからポリプロピレンフリップオフキャップを取り外す。
2.目移し針をバイアルの壁面に向けて、ゴム栓の中心からCUBICINバイアルへ10mLの0.9%塩化ナトリウム注射液をゆっくりと移す。
3.CUBICIN生成物全部が確実に接液するようにバイアルを静かに回転させる。
4.生成物を10分間静置する。
5.必要に応じてバイアルの内容物を数分間静かに回転または渦が巻くように回し、完全に再構成された溶液を得る。」
【0052】
対照的に、改善されたダプトマイシン固形調製物は、糖またはグリシンを含まないダプトマイシンよりも水性希釈剤中で速く再構成する。特に好ましい固形調製物は、水性希釈剤中25℃において2分未満で再構成でき、より好ましくは、25℃において約1分未満で再構成できる。表6(図5)および表5(図6)は、500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLの0.9%塩化ナトリウム水性希釈剤に約25℃において溶解するために要した時間を測定することにより得た様々な固形ダプトマイシン調製物の再構成時間を示す。
【0053】
加えて、実施例は、実施例5に記載の固体状態および実施例6に記載の再構成された液体状態においてダプトマイシンのより高い化学的安定性を提供する、改善されたダプトマイシン固形調製物を記述する。改善されたダプトマイシン調製物は、無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)からなる群より選択される物質と比較してより多くのダプトマイシンを含むことができ、これは実施例4のHPLC法により測定される。好ましくは、固形ダプトマイシン調製物は、以下の工程により得られる:液体ダプトマイシン溶液を固体状態に変換する工程;次に実施例4に従って固体状態のものを再構成する工程;および再構成された液体について、表3のHPLCパラメータに従って214nmにおける合計HPLCピーク面積を測定する工程であって、ピークの少なくとも92%が再構成された溶液中のダプトマイシンから得られるものである、工程。固形ダプトマイシン調製物はダプトマイシン、ならびにショ糖、トレハロース、およびマンニトールからなる群より選択される一つまたは複数の糖、薬学的に許容される塩(例えば、塩化ナトリウム)、二塩基性リン酸ナトリウムなどの一つまたは複数の緩衝剤、および実施例4に従って作られた再構成された液体中の、表3のHPLCパラメータに従った214nmにおける合計HPLCピーク面積の8%を提供する物質からなり得る。
【0054】
表8(図7)は様々なダプトマイシン薬用組成物を記載する。表8において「存在する成分のそれぞれのモル比」という表現は、ダプトマイシン対 [B]、[C]、および(存在する場合)[D]として掲載されている他の成分のモル比をその順番で意味する。例えば、組成物がダプトマイシン[A]および一つの賦形剤[B]を含む場合、モル比は、[A]:[B]として表示される。組成物が2つの賦形剤[B]および[C]を含む場合、モル比はダプトマイシン[A]:賦形剤[B]:賦形剤[C]などとして表現される。組成物がダプトマイシン[A]、ならびに賦形剤[B]および緩衝剤[D]を含む場合、モル比は[A]:[B]:[D]として表現される。
【0055】
表6(図5)は、2分未満で水性希釈剤中において再構成するダプトマイシン組成物の非限定的な例を提供する。表7(図6)は、約2分以上かけて水性希釈剤中で再構成する他のダプトマイシン組成物の例を提供する。表6および表7中の糖またはグリシンを含まないダプトマイシン組成物は、方法A(実施例1a)または方法B(実施例1b)のいずれかの後に実施例3に従った凍結乾燥を行うことにより得られた。表6および表7中の糖またはグリシンを含むダプトマイシン組成物は、方法A(実施例2a)または方法B(実施例2b)のいずれかの後に実施例3に従った凍結乾燥を行うことにより得られた。表6および7に記載のモル比は、表1に記載の分子量に従って計算された。
【0056】
(表1)ダプトマイシンおよび賦形剤の分子量

【0057】
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照すれば更に理解されよう。これらの実施例はあくまで例示を目的として提供したものであり、どのような形ででも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0058】
実施例1A:比較調製法A(糖またはグリシンを含まずpH4.7にてダプトマイシンを凍結乾燥)
糖またはグリシンを含まない比較用ダプトマイシン製剤の配合は、冷却条件下(2〜10℃)で実施された。ダプトマイシン有効薬用成分(API)は、濃度範囲が125〜130 mg/mL、pHが3.0の凍結した液体として供給された。配合を行うには先ず液体ダプトマイシンAPIを得(例えば、pH約3.0で提供された凍結ダプトマイシンAPIの解凍)、次に3N NaOHを用いてpHを標的pHである約4.7に調製した。バルク溶液を更に標的濃度である105 mg/mLまでsWFIで希釈し、これを混ぜることにより溶液の均一性を確保した(これも2〜10℃で行った)。バルク溶液には、0.2μm濾過を行い、これを10mLバイアルに充填し、次に実施例3に概要が示されているとおり現在の凍結乾燥サイクルに従って凍結乾燥を行った。薬用製剤には窒素下で栓をつけ、密封した。
【0059】
実施例1B:比較調製法B(糖またはグリシンを含まずpH7.0にてダプトマイシンを凍結乾燥)
バルク製剤の配合は冷却条件下(2〜10℃)で実施された。ダプトマイシンAPIは、濃度範囲が125〜130mg/mL、pHが3.0の凍結した液体として供給された。バルク製剤の配合にはAPIを解凍する工程、次に3N NaOHを用いて冷却条件下(2〜10℃)でpHを標的pHである約7.0に調製する工程、その後標的濃度である105mg/mLまでsWFIで希釈し、これを混ぜることにより溶液の均一性を確保する工程が用いられた。製剤化された医薬品には、0.2μm濾過を行い、これを10mLバイアルに充填し、次に実施例3に概要が示されているとおり改変された凍結乾燥サイクルに従って凍結乾燥を行った。薬用製剤には窒素下で栓をつけ、密封した。
【0060】
実施例2A:調整方法A(pH4.7における凍結乾燥)
改善されたダプトマイシン製剤の配合は、冷却条件下(2〜10℃)で実施された。ダプトマイシン有効薬用成分(API)は、濃度範囲が125〜130mg/mL、pHが3.0の凍結した液体として供給された。配合を行うには先ず液体ダプトマイシンAPIを得(例えば、pH約3.0で提供された凍結ダプトマイシンAPIの解凍)、次に3N NaOHを用いてpHを標的pHである約4.7に調製し、その後糖(例えば、ショ糖)を加えた。バルク溶液を更に標的濃度である105mg/mLまでsWFIで希釈し、これを混ぜることにより溶液の均一性を確保した(これも2〜10℃で行った)。バルク生成物溶液には、0.2μm濾過を行い、これを10mLバイアルに充填し、次に実施例3に概要が示されているとおり現在の凍結乾燥サイクルに従って凍結乾燥を行った。薬用製剤には窒素下で栓をつけ、密封した。糖は粉末または適当な溶液、例えばsWFI、として加えられた。
【0061】
実施例2B:調整方法B(pH7.0における凍結乾燥)
改善されたダプトマイシン製剤の配合は、冷却条件下(2〜10℃)で実施された。ダプトマイシンAPIは、濃度範囲が125〜130 mg/mL、pHが3.0の凍結した液体として供給された。バルク製剤の配合にはAPIを解凍する工程、次に冷却条件下(2〜10℃)で3N NaOHを用いてpHを標的pHである約4.7に調製する工程、次に緩衝剤(例えば、リン酸およびクエン酸)を添加し、その後のグリシンまたは糖(ショ糖、トレハロース、マンニトール)を添加する工程が用いられた。賦形剤(糖、緩衝剤)が完全に溶解したら、溶液のpHは3N NaOHを用いて4.7から7.0に調節され、標的濃度である105mg/mLまでsWFIで希釈し、これを混ぜることにより溶液の均一性を確保した。製剤化された医薬品には、0.2μm濾過を行い、これを10mLバイアルに充填し、次に実施例3に概要が示されているとおり改変された凍結乾燥サイクルに従って凍結乾燥を行った。薬用製剤には窒素下で栓をつけ、密封した。
【0062】
実施例3:方法AおよびBにより調製された組成物の凍結乾燥
生成物の入ったバイアルは5±4℃で凍結乾燥機に入れられ、各棚に無作為に分散して置いた。組成物は乾燥するまで凍結乾燥し、窒素で埋め戻し、真空下で栓をつけた。栓の取り付けが完了したら、凍結乾燥ユニットに濾過した窒素を用いてブリードさせ大気圧に戻し、生成物の入ったバイアルはアルミニウムシールで蓋をするためにユニットから取り出された。様々な製剤のためのサイクルパラメータは、表2にまとめられている。
【0063】
(表2)様々な組成物用の凍結乾燥サイクルパラメータのまとめ

1NLT=以上
【0064】
実施例4:ダプトマイシンおよびダプトマイシンと構造的に類似している物質の量の測定
記述の無い限り、ダプトマイシンおよびダプトマイシンと構造的に類似している三種の化合物(図2〜4)の量は、紫外(UV)検出装置を備えた高速液体クロマトグラフィー機器であるAgilent 1100または1200を用いて、ダプトマイシンを含む再構成された水溶液におけるHPLC解析を用いて測定された。ピーク面積は、Waters Empower2 FR5 SPF Build 2154ソフトウェアを用いて測定した。記述の無い限り、固形ダプトマイシン調製物のパーセント純度は、500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLの水性希釈剤中で再構成することにより再構成されたダプトマイシン溶液を作り、次に再構成された試料の214nmにおける吸光度を表3のHPLCパラメータを使用したHPLCで測定することにより決定された。固形ダプトマイシン調製物中のダプトマイシンのパーセント純度は、表3および下記の式のとおり、再構成されたダプトマイシン溶液のHPLCから214nmで測定された全曲線下面積で割られたダプトマイシンの214nmで測定された吸光度(曲線下面積)の割合からから計算された。純度92%ダプトマイシンサンプルにおいては、面積%が0.05以上の全てのピークから得られた合計ピーク面積の92%がダプトマイシンによるものであった。
【0065】
更に、ダプトマイシンと構造的に類似している3種の物質の量は、表3に従って、214nmでHPLCを用いて検出することができる:無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)。記述の無い限り、固形ダプトマイシン調製物中のこれらの物質の量は、表3に従ってHPLCにより測定されるものであり、500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLの水性希釈剤中で再構成することにより再構成されたダプトマイシン溶液を作り、再構成されたダプトマイシンの214nmにおける吸光度を表3に記載のパラメータを使用したHPLCで測定した。
【0066】
(表3)

【0067】
ダプトマイシンの純度は、HPLCデータに基づいて計算され、計算は下記のように行われた:
・下記の式を用いてダプトマイシンと構造的に類似している各物質の面積%を計算した:
214nmでの吸光度を用いて決定された、ダプトマイシンと構造的に類似している全ての物質およびダプトマイシンの面積%
ダプトマイシンおよび0.05面積%以上の他のピークの全てについてその面積を計算する
%面積=(Ai/Atot)x 100%
ここで、
%面積=個々のピークの面積%
Ai=個々のピークのピーク;および
Atot=ダプトマイシンを含む合計試料ピーク面積。
・下記の式を用いてダプトマイシンと構造的に類似している物質全部の面積%を計算した:
ダプトマイシンと構造的に類似している物質全部の面積%は、報告された個々の物質から得られた面積%値の全ての合計に等しい(全ての不純物の合計=/>0.05%)。
・*以下の式を用いて面積%に換算したダプトマイシンの%純度を計算する:
%ダプトマイシン=100%−ダプトマイシンと構造的に類似している全部の物質の%。
【0068】
実施例5:固形の薬用組成物中のダプトマイシンの化学的安定性の測定
これは、糖またはグリシンを含まないダプトマイシン組成物および特定の還元糖を含むダプトマイシン組成物と比較して、ショ糖、マンニトール、トレハロース、およびグリシンを含む特定の好ましい組成物中の固形の薬用ダプトマイシン組成物のダプトマイシンの増大した化学的安定性を示す実施例である。
【0069】
様々な固形の薬用ダプトマイシン組成物の化学的安定性は、様々な温度(2〜8℃、25℃、および40℃)でバイアル内に組成物を入れることにより評価した。固形の薬用ダプトマイシン組成物は、実施例2a(pH4.7における方法A)または実施例2b(pH7.0における方法B)に従って調製された液体組成物を凍結乾燥または噴霧乾燥することにより得られた。凍結乾燥は、実施例3に従って実施された。約500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に溶解することにより作られた再構成された溶液において、ダプトマイシンおよびダプトマイシンに関連した三種の不純物は、実施例4のHPLC法を用いて測定された。実施例4に従って計算された合計ダプトマイシン純度は、40℃で維持された様々な固形の薬用ダプトマイシン組成物の入ったバイアルの0、1、2、3、および6ヶ月目の測定に関してプロットを行った。毎月の合計ダプトマイシン純度のプロットに最も適合した直線回帰の傾斜は、各固形の薬用ダプトマイシン製剤について計算された(傾斜は%合計ダプトマイシン純度/月)。
【0070】
表4のデータは、ショ糖を含まない注射用の再構成された固形ダプトマイシンより得られた傾斜に標準化された、各固形ダプトマイシン調製物の傾斜の比率を示すものである。表4によると、カラムAにおける比率は、実施例2a中の方法Aに従って調製された固形調製物より得られ(即ち、pH4.7でダプトマイシンを含む溶液より得られ)、一方カラムBにおける比率は、実施例2b中の方法Bに従って調製された固形調製物より得られた(即ち、ダプトマイシンをpH7.0で含み、更に50mMのリン酸ナトリウム緩衝剤を含む溶液より得られた)。「*」の印が付いている比率は、元々噴霧乾燥により固体に変換された固形ダプトマイシン調製物から得られたものであり;他のサンプルは全て元々凍結乾燥により固体に変換された固形ダプトマイシン調製物より得られたものである(実施例3)。表4において「NT」と記された値は未試験のものである。表4中の全ての比率は、40℃で0(即ち、固形材料が作られた後)、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、および6ヶ月保存された際に測定した、図2〜4に示したダプトマイシンと構造的に類似している物質に対するダプトマイシン(図1)の合計純度の測定値の直線回帰から得られ、ここでダプトマイシンおよびダプトマイシンと構造的に類似している物質の量は実施例4に従って検出され計算された。表4中の比率は、注射用ダプトマイシンに対するダプトマイシンの合計純度の割合の変化を示す(方法Aおよび方法Bの調製物については1.00に標準化した)。1.00以下の比率は、ダプトマイシン合計純度が減少する速度の低下、または注射剤用ダプトマイシンのショ糖非存在下におけるダプトマイシンの化学的安定性と比較して、製剤中のダプトマイシンの増大した化学的安定性を示す。従って、表4中の比率が低いほど、図2〜4のダプトマイシンに構造的に類似している物質と比較して、相当する製剤中のダプトマイシンは更に安定である。
【0071】
(表4)注射用ダプトマイシンに対する1ヶ月あたりのダプトマイシン合計純度の%変化の比率(6ヶ月)

NT=未試験
*=凍結乾燥ではなく、噴霧乾燥による調製
【0072】
表4中のデータは、15%ショ糖を含む固形の薬用ダプトマイシン組成物中のダプトマイシンが、方法A(実施例2a)に従って調製された製剤中の注射用ダプトマイシンと比較してその化学的安定性が約84%増加し、方法B(実施例2b)に従って調製された製剤中の注射用ダプトマイシンと比較してその化学的安定性が96%増加することを示す。同様に、20.0%ショ糖を含む固形の薬用ダプトマイシンは、ショ糖を含まないダプトマイシン(即ち、注射用ダプトマイシン)と比較してダプトマイシンの化学的安定性が約78%(方法A)および87%(方法B)増大した。従って、15〜20%のショ糖を凍結乾燥されたダプトマイシン組成物に組み合わせる工程は、ダプトマイシンの化学的安定性を少なくとも78%、最大96%まで増大した。対照的に表4は、ダプトマイシンが、ダプトマイシンならびにラクトース、マルトース、果糖、および/またはデキストロースを含む製剤においては、約2〜9倍不安定であることを示す。従って、表4は、実施例2aおよび2bの方法(それぞれ方法AおよびB)により調製されたダプトマイシンは、非還元糖またはグリシンを組み合わせた場合には(糖またはグリシンを含まないダプトマイシンと比較して)安定化される一方、還元糖を含む製剤においてはダプトマイシンの安定性が低下することを示す。
【0073】
図8は実施例4に従って様々なダプトマイシン製剤について測定および計算した合計ダプトマイシン純度のパーセント変化を示す表9を示す図である。表9に挙げられている「PO4」とは、二塩基性リン酸ナトリウム緩衝剤を含む製剤を意味する。表9に挙げられている「pH」の値は、製剤が配合された時のpHを意味する(即ち、表9のデータを得るために試験された固形ダプトマイシン製剤を作るために凍結乾燥したダプトマイシン製剤溶液のpH)。NT=未試験。
【0074】
表9のデータを得るために、実施例4の方法に従って固形ダプトマイシン製剤を再構成し、ダプトマイシンの純度を測定する前に各固形ダプトマイシン製剤を40℃で様々な期間(1、2、3、または6ヶ月)維持した。
【0075】
表9は、以下の工程により計算されたダプトマイシン安定比を示す:
1.実施例1bに従って配合された対照サンプル(糖またはグリシンを含まない、商用製品である注射用ダプトマイシン)を調製し、製剤化後、実施例4に従って対照サンプルの合計パーセントダプトマイシン純度を測定する工程;
2.特定の期間40℃で対照サンプルを保存した後、実施例4に従って対照サンプルの合計パーセントダプトマイシン純度を測定し、製剤化後の合計ダプトマイシン純度からその期間保存した後の合計パーセントダプトマイシン純度を差し引き、合計対照パーセント純度損失を提供する工程;
3.ある期間(例えば、1ヶ月、2ヶ月、など)40℃で製剤を保存した後、実施例4に従って各製剤の合計パーセントダプトマイシン純度を測定し、製剤化後の対照サンプルの合計ダプトマイシン純度からその期間保存した後の合計パーセント純度を差し引き、合計製剤ダプトマイシンパーセント純度損失を提供する工程;および
4.ある貯蔵期間後の合計対照パーセント純度損失(工程2より得られる)で同じ貯蔵期間後各製剤より得られた合計製剤ダプトマイシンパーセント純度損失(工程3より得られる)を割算することにより40℃におけるダプトマイシン安定比を計算する工程:

【0076】
各ダプトマイシン安定比を計算するために工程2〜4は繰返される。ダプトマイシン安定比は製剤と同じ期間保存された別の対照サンプルを用いて計算される。例えば、40℃で1ヶ月貯蔵した製剤について計算されたダプトマイシン安定比の値は、製剤について工程3で得られた値を、40℃で1ヶ月所蔵した(即ち、工程3で分析された製剤の場合と同じ貯蔵期間および貯蔵条件)対照について工程2から得られた値で割算することにより得られた。同様に、2ヶ月の時点におけるダプトマイシン安定比の値は、工程3で使用された製剤と同様の条件下で2ヶ月貯蔵された対照サンプルを用いて計算される。
【0077】
表9において1.000未満のダプトマイシン安定比は、40℃における相当する貯蔵期間後、糖またはグリシンを含まないダプトマイシンの対照サンプル(工程1に従って配合)よりもサンプル製剤において、高い合計ダプトマイシンパーセント純度として測定される(実施例4により測定)、より高いダプトマイシンの化学的安定性を相当する製剤が有することを示す。好ましい組成物は、ダプトマイシン安定比が0.800未満であり、より好ましくは0.500未満、最も好ましくは0.300未満のダプトマイシン安定比を有する。
【0078】
表9のデータは、糖を含まないダプトマイシンよりも、非還元糖を含み緩衝剤とpH7.0で配合されたダプトマイシン組成物の方が、ダプトマイシンが一般的に、更に化学的に安定であることを示す(水性希釈剤において再構成後、実施例4に従ってダプトマイシンの改善した純度より測定)。特に、方法A(実施例2a)または方法B(実施例2b)に従って配合された15%ショ糖を含む製剤は、試験されたサンプルの中でも非常に高レベルのダプトマイシン化学的安定性を提供し、糖またはグリシンを含まない比較製剤0のダプトマイシンに見られるレベルよりも著しく高いレベルのダプトマイシンの化学的安定性を12ヶ月間に渡って提供した。ショ糖‐マンニトール製剤も、糖またはグリシンを含まないダプトマイシン比較製剤0に対するダプトマイシンの化学的安定性の改善を提供した。例えば、全て方法A(実施例2a)に従って配合された10%ショ糖/3%マンニトール、10%ショ糖/6%マンニトール、および15%ショ糖/6%マンニトールは、方法A(実施例2a)に従って配合された15%ショ糖/6%マンニトール製剤と比較して、著しく改善されたダプトマイシンの安定性を提供した。方法B(実施例2b)に従って調製された5%グリシン製剤も顕著なダプトマイシンの安定性を提供し、一方で方法A(実施例2a)より得られた相当する5%グリシン製剤は糖またはグリシンを伴わないダプトマイシン(製剤0)よりも安定性が低かった。表9のショ糖を含む全てのダプトマイシン製剤は比較製剤0における糖またはグリシンを伴わないダプトマイシンと比較すると、増加したダプトマイシンの化学的安定性を示した(実施例4による測定)。
【0079】
実施例6:液状再構成薬用組成物におけるダプトマイシンの化学的安定性の測定
本実施例は、ショ糖を含まない同等の組成物と比較してショ糖を含む相当する組成物において、再構成された薬用ダプトマイシン組成物中のダプトマイシンが増加した化学的安定性を有することを示す。
【0080】
様々な液状薬用ダプトマイシン組成物の化学的安定性は、バイアルに入れた組成物を様々な温度に置くことにより評価した(5℃および40℃)。液状再構成薬用ダプトマイシン組成物は、約500mgの固形ダプトマイシン調製物を10mLのsWFI中で再構成することにより得られた。各固形ダプトマイシン調製物は、実施例1(pH4.7において方法A)または実施例2(pH7.0において方法B)に従って調製された液体組成物を凍結乾燥または噴霧乾燥することにより得られた。凍結乾燥は、実施例3に従って実施された。ダプトマイシンの量およびダプトマイシンに関連した不純物の量は、溶解することにより作られた再構成溶液において、実施例4のHPLC法を用いて測定された。5℃または40℃で保持された様々な固形の薬用ダプトマイシン組成物を含むバイアルについて0、3、7および14日目の測定に関して、実施例4に従って%ダプトマイシンを測定および計算した。
【0081】
表5のデータは、ショ糖を含まない再構成された注射用固形ダプトマイシンから得られた%ダプトマイシンに標準化された各測定における%ダプトマイシンの量を示す。表5によると、各サンプルは、「方法」の欄に記載のように、実施例1の方法A(即ち、pH4.7でダプトマイシンを含む溶液より得られる方法)または実施例2の方法B(pH7.0でダプトマイシンを含む溶液であって、更に50mMのリン酸ナトリウム緩衝剤を含む溶液より得られる方法)により調製された固形の薬用ダプトマイシン組成物より各サンプルが再構成された。再構成された液体の温度は、「温度(℃)」の欄に摂氏で示されている。表5の1.000未満の数値は、特定の温度において、0日目の注射用ダプトマイシンよりも低い%ダプトマイシン純度を示す。全ての記入値は、相当する温度における注射用ダプトマイシン測定値に対して標準化されている(例えば、5℃で得られた全ての測定値は、5℃で注射用ダプトマイシンについて測定された%ダプトマイシンに対して標準化された)。従って、図2〜4のダプトマイシンと構造的に類似している物質に関して、相当する製剤における再構成された液体状態の場合、表5における数値が1.000に近いほど、ダプトマイシンはより安定である。
【0082】
(表5)再構成された溶液中で測定された%ダプトマイシン

NT=未試験
【0083】
表5中のデータは、15%ショ糖を含む液状再構成薬用ダプトマイシン組成物中の%ダプトマイシンの合計が、25℃において14日経過した注射用ダプトマイシン(ショ糖を含まない)よりも顕著に安定であることを示す(ショ糖含有製剤が0.9184であるのに対して、ショ糖を含まない注射製剤用ダプトマイシンは0.7410である)。これは、主にダプトマイシン、約15%ショ糖、および50mMリン酸ナトリウムからなる再構成された組成物の存在下、再構成された溶液においてダプトマイシンの化学的安定性が約23%増加したことを示す。従って、ダプトマイシンの15%ショ糖含有製剤は、再構成された後の室温におけるダプトマイシンの化学的安定性が驚くほど増大され、貯蔵期間が改善されていることが示された。
【0084】
追加の例示的態様
実施例に支持される本発明の幾つかの具体的な態様は以下を含む:
【0085】
1.ダプトマイシン、ならびにグリシンもしくは非還元糖を含む固形の薬用組成物であって、該組成物が増加した再構成速度を有し、増加した再構成速度が、500mgの組成物が10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液中、25℃で穏やかに渦が巻くように回転される条件下5分以内、具体的には2分未満または1分未満の間に溶解することに特徴付けられる、組成物。
【0086】
2.組成物が凍結乾燥されたダプトマイシンと比較して増大した再構成における化学的安定性を有し、再構成が0.9%塩化ナトリウム水溶液中25℃で起こり、増大した再構成における化学的安定性が、無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、および/またはダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)に対するダプトマイシンの量が凍結乾燥されたダプトマイシンにおける相当する量よりも多いことに特徴付けられる、具体的態様1に記載の薬用組成物。
【0087】
3.組成物が凍結乾燥されたダプトマイシンと比較して増大した貯蔵における化学的安定性を有し、両方の試料を窒素雰囲気下40℃で少なくとも3ヶ月間組成物を貯蔵した後0.9%塩化ナトリウム水溶液中で再構成した場合に、増大した貯蔵における化学的安定性が、無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、および/またはダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)に対するダプトマイシンの量が凍結乾燥されたダプトマイシンにおける相当する量よりも多いことに特徴付けられる、具体的態様1〜2のいずれか一つに記載の薬用組成物。
【0088】
4.組成物が、以下の工程を含むプロセスより作られる、具体的態様1〜4のいずれか一つに記載の薬用組成物:
a.ダプトマイシン、緩衝剤、ならびに非還元糖もしくはその組み合わせ、またはグリシンからなるダプトマイシン水溶液を作り、pHを約5〜8、具体的には6.5〜7.5または約7に調製する工程;および
b.ダプトマイシン水溶液を固形組成物に変換、特に凍結乾燥により変換する工程。
【0089】
5.組成物が非還元糖またはその混合物を、該非還元糖を含まない実質的に同一の組成物と比較してダプトマイシンの分解速度を減少させるのに有効な量含む組成物であって、分解速度が窒素雰囲気下40℃で少なくとも3ヶ月間組成物を貯蔵した後の各々におけるダプトマイシンの減少と定義される、具体的態様1〜5のいずれか一つに記載の薬用組成物。
【0090】
6.糖が非還元性二糖類、凍結乾燥後は実質的に無定形である糖類、ショ糖、デキストラン、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、またはその組み合わせより選択される、具体的態様1〜6のいずれか一つに記載の薬用組成物。
【0091】
7.糖またはグリシンが、組成物全体の重量に基づいて約1〜40重量%、具体的には約5〜20重量%または約15重量%の量で使用される、具体的態様1〜7のいずれか一つに記載の薬用組成物。
【0092】
8.ダプトマイシンならびにショ糖、トレハロース、マンニトール、もしくはその混合物より選択される糖を、凍結乾燥したダプトマイシンを0.9%塩化ナトリウム水溶液中で再構成することにより得られる溶液と比較してダプトマイシンの分解速度を減少させるのに有効な量含む液体薬用組成物であって、分解速度が25℃で少なくとも7日間液体組成物を貯蔵した後の各々におけるダプトマイシンの減少と定義される、組成物。
【0093】
9.具体的態様1〜8のいずれか一つに記載の組成物を調製する方法であって、下記の工程を含む方法:
a.ダプトマイシン調製物を提供する工程;
b.ソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより任意で選択される、少なくとも一つの賦形剤を加える工程;
c.所望のpHを得るためにpH調整剤を任意で加える工程;
d.工程cの溶液をsWFIで任意で希釈する工程;
e.工程dの溶液を任意で濾過する工程;および
f.組成物を粉末状のものに変換する工程。
【0094】
10.ダプトマイシンおよびグリシンまたは非還元糖を含む固形の薬用組成物であって、組成物が増加した再構成速度を有し、増加した再構成速度が、500mgの組成物が10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液中、25℃で穏やかに渦が巻くように回転される条件下5分以内、具体的には2分未満または1分未満の間に溶解することに特徴付けられ;固形の薬用組成物の更なる特徴として、0.9%塩化ナトリウム水性希釈剤中のダプトマイシンおよびダプトマイシン関連化合物を凍結乾燥することにより得られる固形の薬用ダプトマイシン調製物と比較して、窒素雰囲気下40℃で1ヶ月貯蔵された後、ダプトマイシン調製物は、より低い量の、無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)からなる群より選択される一つまたは複数の物質を含有し、ここで物質の量は、実施例4の方法に従って214nmでHPLCにより検出される、組成物。
【0095】
具体的な態様1〜10のいずれか一つは、ダプトマイシン安定比が1.000未満、0.900未満、0.800未満、0.700未満、0.600未満、0.500未満、0.400未満、0.300未満、0.200未満、または0.100未満である固形ダプトマイシン調製物に関係し得、ダプトマイシン安定比は、実施例5に従って40℃で計算される。
【0096】
他の組成物には、粉末やダプトマイシン、ならびにソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより選択される少なくとも一つの賦形剤を含む薬用組成物が含まれる。
【0097】
a.500mgのダプトマイシン;
b.714.3 mgのショ糖;および
c.35.5 mgの二塩基性リン酸ナトリウム
を含み、組成物がpH約7で配合される、請求項1記載の組成物。
【0098】
a.500mgのダプトマイシン;
b.476.2 mgのショ糖;
c.142.9 mgのマンニトール;および
d.35.5 mgの二塩基性リン酸ナトリウム
を含み、組成物がpH約7で配合される、請求項1記載の組成物。
【0099】
a.500mgのダプトマイシン;
b.476.2 mgのショ糖;
c.285.8 mgのマンニトール;および
d.35.5 mgの二塩基性リン酸ナトリウム
を含み、組成物がpH約7で配合される、請求項1記載の組成物。
【0100】
一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシンおよびショ糖からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH7.0未満において約1分未満で溶解することを特徴とする。一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシン、ショ糖、およびリン酸ナトリウム緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解することを特徴とする。一つの固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシン、ショ糖、および緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解し、ダプトマイシン調製物が、15〜20%w/vのショ糖を含むダプトマイシン溶液をダプトマイシン調製物に変換することにより(例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥を用いて)得られることを特徴とする。一つの固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシン、ショ糖、および二塩基性リン酸ナトリウムからなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解し、ダプトマイシン調製物が、15〜20%w/vのショ糖および50mM二塩基性リン酸ナトリウムを含むダプトマイシン溶液をダプトマイシン調製物に変換することにより(例えば、凍結乾燥または噴霧乾燥を用いて)得られることを特徴とする。
【0101】
一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、214nmで検出されたHPLCピーク面積の少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、または少なくとも98%(実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシンにより提供されたものであり、組成物はダプトマイシン、実施例3に従ったHPLCにより214nmで検出されたその他の材料、グリシン、または一つもしくは複数の糖、およびリン酸ナトリウム緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解することを特徴とする。
【0102】
一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシンおよびトレハロースからなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH7.0未満において約1分未満で溶解することを特徴とする。一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシン、トレハロース、およびリン酸ナトリウム緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解することを特徴とする。
【0103】
一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%(例えば、実施例4に従ってHPLCを用いて重量/体積として再構成後に測定された)は、ダプトマイシンおよびグリシンからなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH7.0未満において約1分未満で溶解することを特徴とする。
【0104】
一部の固形ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%は、ダプトマイシン、マンニトール、およびショ糖からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH7.0未満において約1分未満で溶解することを特徴とする。一部の固形の薬用ダプトマイシン調製物において、調製物の少なくとも92重量%、少なくとも93重量%、少なくとも94重量%、少なくとも95重量%、少なくとも96重量%、少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%は、ダプトマイシン、マンニトール、ショ糖、およびリン酸ナトリウム緩衝剤からなり、ここで薬用ダプトマイシン調製物は、約500mgの固形の薬用ダプトマイシン調製物が約10mLの水性希釈剤(例えば、0.9%塩化ナトリウム水溶液)にpH約7.0において約1分未満で溶解することを特徴とする。
【0105】
非経口投与用のダプトマイシン薬用組成物を作る方法も提供される。該方法は、非経口投与用の組成物を作るために、非還元糖またはグリシンを含む固形ダプトマイシン組成物を薬学的に許容される希釈剤中で再構成する工程を含み得る。
【0106】
本発明の組成物は、様々な方法により作ることができる。一つの局面において、組成物は下記の工程により作られる:
a.ダプトマイシン調製物を供給する工程;
b.ソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより選択される、少なくとも一つの賦形剤を加える工程;
c.所望のpHを得るためにpH調整剤を加える工程;
d.工程cの溶液をsWFIで希釈する工程;
e.工程dの溶液を濾過する工程;および
f.組成物を粉末状のものに変換する工程。
【0107】
本発明の別の局面においては、例えばpH7において緩衝剤と組み合わせた請求項1記載の組成物を調製する方法が提供される。このプロセスは下記の工程を含む:
a.ダプトマイシン調製物を供給する工程;
b.pH約4.7〜6.0の溶液を得るためにpH調整剤を加える工程;
c.緩衝剤を加える工程;
d.ソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより選択される、少なくとも一つの賦形剤を加える工程;
e.pH約7.0を得るためにpH調整剤を加える工程;
f.バルク溶液をsWFIで希釈する工程;
g.工程fの溶液を濾過する工程;および
h.固形ダプトマイシン組成物を得るために、組成物を粉末の状態に変換する工程。
【0108】
本発明の別の局面においては、例えばpH7において緩衝剤と組み合わせた請求項1記載の組成物を調製する方法が提供される。このプロセスは下記の工程を含む:
a.ダプトマイシン調製物を供給する工程;
b.pH約4.7〜6.0の溶液を得るためにpH調整剤を加える工程;
c.緩衝剤を加える工程;
d.ソルビトール、マンニトール、ショ糖、グリシン、トレハロース、ラクトース、マルトース、果糖、およびデキストロースより選択される、少なくとも一つの賦形剤を加える工程;
e.pH約7.0を得るためにpH調整剤を加える工程;
f.バルク溶液をsWFIで希釈する工程;
g.工程fの溶液を濾過する工程;および
h.請求項1記載の組成物を得るために、組成物を粉末の状態に変換する工程。
【0109】
本発明の複数のその他の態様が説明されている。しかしながら、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができるものと理解される。従って、他の態様は下記の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実施例1aに従って配合されたダプトマイシン調製物と比較して、粉末でかつ再構成された形態においてダプトマイシン安定性の増大を示し、改善された再構成能力を有する固形ダプトマイシン調製物であって、ダプトマイシン、ショ糖、およびリン酸緩衝剤を含み、以下を特徴とする前記ダプトマイシン調製物:
a.固形ダプトマイシン調製物が、表3および実施例4に記載のとおり、再構成されたダプトマイシン溶液の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)から214nmで測定された全曲線下面積で割られたダプトマイシンの吸光度(曲線下面積)の割合からの計算による、少なくとも92%純粋なダプトマイシンである、ならびに
b.下記の工程によりダプトマイシン調製物が得られる:
i.pH約7.0において、105 mg/mL(10.5%w/v)のダプトマイシン、7.1 mg/mL(50mM)の二塩基性リン酸ナトリウム緩衝剤、および150 mg/mL(15%w/v)のショ糖を含むダプトマイシン水溶液を作る工程;および
ii.水性ダプトマイシン製剤を固体ダプトマイシン調製物に変換する工程。
【請求項2】
ダプトマイシンと、グリシン、一つまたは複数の糖、および2つ以上の非還元糖の組み合わせからなる群より選択される物質とを含む固体ダプトマイシン調製物であって;500mgの固形の薬用ダプトマイシン組成物が10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に25℃において4分以下で溶解することを特徴とする、前記ダプトマイシン調製物。
【請求項3】
前記糖が非還元糖であり、前記ダプトマイシン調製物が更に緩衝剤を含む、請求項1記載のダプトマイシン調製物。
【請求項4】
以下を特徴とする、請求項2〜3のいずれか一項記載のダプトマイシン調製物:
a.表3および実施例4に記載のとおり、再構成されたダプトマイシン溶液の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)から214nmで測定された全曲線下面積で割られたダプトマイシンの吸光度(曲線下面積)の割合からの計算による、少なくとも92%純粋なダプトマイシン;および
b.500mgの固形の薬用ダプトマイシン組成物が10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に、25℃でpHが4.7および7.0の間の時、1分以内で溶解することを特徴とする、前記ダプトマイシン。
【請求項5】
前記糖がショ糖、トレハロース、およびマンニトールより選択される、請求項2〜4のいずれか一項記載のダプトマイシン調製物。
【請求項6】
糖がショ糖を含む、以下の工程により得られる、請求項2〜4のいずれか一項記載のダプトマイシン調製物:
a.ダプトマイシンおよび約15.0%〜約20%w/vのショ糖を含む、pH約4.7〜7.0のダプトマイシン水溶液を作る工程;および
b.水性ダプトマイシン製剤を固形の薬用ダプトマイシン調製物に変換する工程。
【請求項7】
前記ダプトマイシン水溶液のpHが約7.0である、請求項6記載のダプトマイシン調製物。
【請求項8】
下記の工程により得られる、請求項6〜7のいずれか一項記載のダプトマイシン調製物:
a.ダプトマイシン、二塩基性リン酸ナトリウム緩衝剤、および約15.0%w/vのショ糖を含む、pH約7.0のダプトマイシン水溶液を作る工程;および
b.水性ダプトマイシン製剤を固形の薬用ダプトマイシン調製物に変換する工程。
【請求項9】
下記の工程:
a.ダプトマイシン、50mMのリン酸含有緩衝剤、および約15.0%のショ糖を含む、pH約7.0のダプトマイシン水溶液を作る工程;および
b.水性ダプトマイシン製剤を固形の薬用ダプトマイシン製剤に変換する工程;
より得られる、固形の薬用ダプトマイシン調製物であって、500mgの固形の薬用ダプトマイシン組成物が10mLの0.9%塩化ナトリウム水溶液に25℃において約2分以下で溶解することを特徴とする、前記固形の薬用ダプトマイシン調製物。
【請求項10】
表3および実施例4に記載のとおり、再構成されたダプトマイシン溶液の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)から214nmで測定された全曲線下面積で割られたダプトマイシンの吸光度(曲線下面積)の割合からの計算による、少なくとも92%純粋なダプトマイシンである、請求項9記載の固形の薬用ダプトマイシン調製物。
【請求項11】
一ヶ月窒素下において40℃で保存すると、0.9%塩化ナトリウム水性希釈剤中のダプトマイシン関連化合物およびダプトマイシンを凍結乾燥することにより得られた固形の薬用ダプトマイシン調製物の場合と比較して、ダプトマイシン調製物が無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)からなる群より選択される一つまたは複数の物質を、より少ない量有することを更に特徴とし、該物質の量が実施例4に記載の方法に従って実施される214nmでのHPLCにより検出される、請求項1〜10のいずれか一項記載の固形の薬用ダプトマイシン調製物。
【請求項12】
下記の工程より得られる、ダプトマイシンの化学的安定性が増大された液体の薬用ダプトマイシン調製物:
a.ダプトマイシン、50mMのリン酸含有緩衝剤、および約15.0%のショ糖をpH約7.0で含む、ダプトマイシン水溶液を作る工程;
b.水性ダプトマイシン製剤を固形の薬用ダプトマイシン調製物に変換する工程;および、その後
c.液体の薬用ダプトマイシン調製物を作るために、水性希釈剤で固形の薬用ダプトマイシン調製物を再構成する工程。
【請求項13】
液体の薬用ダプトマイシン調製物が静脈内投与用に製剤化された、請求項12記載の液体の薬用ダプトマイシン調製物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項記載の薬用ダプトマイシン調製物を含む、製造品。
【請求項15】
固形の薬用ダプトマイシン調製物を製造する方法であって、該調整物が水性希釈剤における再構成後3〜14日間、固形のダプトマイシン調製物におけるダプトマイシンと構造的に類似している物質の形成速度の低下により測定されたダプトマイシンの増大した化学安定性を有し、
ダプトマイシンと構造的に類似している該物質が、無水ダプトマイシン(図2)、ダプトマイシンのベータ異性体(図3)、およびダプトマイシンのラクトン加水分解生成物(図4)からなる群より選択され、
ダプトマイシンと構造的に類似している該物質の形成速度が実施例4に従って測定され、かつ
該方法が、
a.ダプトマイシンおよび約5.0%〜20.0%w/vのショ糖を含む、pH約4.5〜7.5のダプトマイシン水溶液を作る工程;および
b.水性ダプトマイシン製剤を固形の薬用ダプトマイシン調製物に変換する工程;
を含む、前記固形の薬用ダプトマイシン調製物を製造する方法。
【請求項16】
ダプトマイシン水溶液が、約7.0のpHを有し、かつダプトマイシン、15%w/vのショ糖、および50nMのリン酸ナトリウム緩衝剤を含み、さらに凍結乾燥により固形の薬用ダプトマイシン調製物に変換される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
実施例4の方法により測定された固形の薬用ダプトマイシン調製物におけるダプトマイシンの%純度が、実施例4に記載の方法により測定されたショ糖を含まない固形の薬用ダプトマイシン調製物中のダプトマイシンの%純度に対して、40℃において6ヶ月後に、少なくとも10%増加していることを特徴とする、請求項15〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
実施例5に従って計算された40℃におけるダプトマイシン安定比が1.000未満である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
実施例5に従って計算された40℃におけるダプトマイシン安定比が1.000未満である、請求項1〜11のいずれか一項記載の固形の薬用ダプトマイシン調製物。
【請求項20】
実施例5に従って計算された40℃におけるダプトマイシン安定比が0.500未満である、請求項1〜11のいずれか一項記載の固形の薬用ダプトマイシン調製物。
【請求項21】
実施例5に従って計算された40℃におけるダプトマイシン安定比が0.300未満である、請求項1〜11のいずれか一項記載の固形の薬用ダプトマイシン調製物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図7−7】
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【図7−8】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図8−3】
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【公表番号】特表2013−511557(P2013−511557A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540161(P2012−540161)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057910
【国際公開番号】WO2011/063419
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(501120775)キュービスト ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】