説明

リモコンユニット及びトイレ設備

【課題】太陽電池の発電効率が良好なリモコンユニットと、このリモコンユニットを用いたトイレ設備を提供する。
【解決手段】太陽電池3を有するリモコン1と、該太陽電池3に向って斜め方向から光を照射する光源手段とを備えたリモコンユニットにおいて、該光源手段は、太陽電池の単位面積当りの受光光量を均等化させる形態にて設けられていることを特徴とするリモコンユニット。具体的には、LED8からの光をレンズ9によってLED8に近いS側が低強度となりLED8から遠いS側ほど高強度となるように屈折させて太陽電池3に照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池を備えたリモコンユニットと、このリモコンユニットを備えたトイレ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池及び該太陽電池で得られた電力で充電される電池を備えたリモコンユニットとして、実開平2−136448には、充電用赤外発光部を室内の天井部に設け、この赤外発光部からの赤外光をリモコンの太陽電池に入光させることが記載されている。
【0003】
なお、太陽電池を備えたトイレルーム用リモコンは公知である(例えば特開平8−223652号公報)。同公報には、太陽電池を上向きに設けることにより受光光量を増大させ、発電効率を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−136448号公報
【特許文献2】特開平8−223652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように光源を天井に設けた場合、リモコンの太陽電池には光が斜めに入射する。この場合、太陽電池の上部よりも下部の方が光源から遠いので、下部側における太陽電池単位面積当りの受光エネルギーが小さく、太陽電池単位面積当りの発電量が少ない。
【0006】
特許文献2のリモコンは、太陽電池をリモコンのケース外に指向方向変更可能に設置し、受光光量が最大となる方向に太陽電池を指向させるものであるが、太陽電池がリモコン外部に配置されているため、悪戯を受けるおそれがある。
【0007】
本発明は、太陽電池の発電効率が良好なリモコンユニットと、このリモコンユニットを用いたトイレ設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)のリモコンユニットは、太陽電池を有するリモコンと、該太陽電池に向って斜め方向から光を照射する光源手段とを備えたリモコンユニットにおいて、該光源手段は、太陽電池の単位面積当りの受光光量を均等化させる形態にて設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2のリモコンユニットは、請求項1において、前記光源手段はレンズを備えており、該レンズによって太陽電池の単位面積当りの受光光量が均等化されることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3のリモコンユニットは、請求項1において、前記光源手段は複数の発光部を備えており、太陽電池における各発光部からの光の照射エリアを分布させることにより太陽電池の単位面積当りの受光光量が均等化されることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4のリモコンユニットは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記太陽電池は、光源手段に近い側と遠い側とを結ぶ方向の幅員がそれと垂直方向の幅員よりも大きく、光源手段からの光束の光軸垂直方向の断面形状は、太陽電池の光源手段に近い側と、遠い側と、光源手段とを含む面内の光束幅が、それと垂直方向の光束幅よりも大きい形状であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5のリモコンユニットは、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリモコンユニットを有するトイレ設備であって、前記光源手段は便器後部上面のケーシングに設置されており、前記リモコンはトイレルームの壁面に設置されており、該リモコンは光源手段よりも便器前後方向における前方に配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6のリモコンユニットは、請求項5において、前記太陽電池は、リモコンの正面視において左右方向に並列された複数枚の縦長の太陽電池パネルよりなり、各太陽電池パネルが光源手段を指向するように壁面に対し斜め方向に配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のリモコンユニット及びトイレ設備では、光源手段からの光が太陽電池に対し均等化されるようにして照射されるので、太陽電池の発電効率が向上する。
【0015】
光源手段からの光が均等化されて照射されるようにするためには、光源手段にレンズを設けてもよく、光源手段に複数の発光部を設け、各発光部からの光の照射エリアを分布させるようにしてもよい。
【0016】
トイレルームのリモコンなどのように、リモコンの太陽電池が横長になっていることがある。このような場合には、光源手段からの光束の光軸垂直方向の断面形状を横長とすることが好ましい。これにより、光源手段からの光が効率よく太陽電池に照射されるようになる。
【0017】
トイレルームの壁面のリモコンに対し便器後部上面のケーシングから光を照射する場合、リモコンの太陽電池を複数枚の縦長の太陽電池パネルにて構成し、各太陽電池パネルを光源手段を指向させるように壁面に対し斜めに配置してもよい。このように、各太陽電池パネルを光源手段を指向するように配向させることにより、太陽電池の受光光量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係るリモコンの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】太陽電池の回動機構を示す斜視図である。
【図4】太陽電池の受光光量分布の説明図である。
【図5】別の実施の形態における太陽電池の受光光量の説明図である。
【図6】異なる実施の形態に係る太陽電池の受光光量の説明図である。
【図7】実施の形態に係るリモコンを備えたトイレルームの斜視図である。
【図8】図7の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0020】
第1図〜第3図は第1の実施の形態に係るリモコンユニットのリモコンを示すものであり、第1図はリモコンの斜視図、第2図は第1図のII−II線断面図、第3図は太陽電池の回動機構を示す斜視図である。また、第4図はこのリモコンの受光光量の分布の説明図である。第7、8図は、このリモコンをトイレルームの壁面に設置し、温水洗浄装置等をリモートコントロールするよう構成したトイレ設備の説明図である。
【0021】
第7図の通り、洋風便器10の後部上面にケーシングとして便座ボックス12が設置され、この便座ボックス12に便座14及び便蓋16が起倒自在に枢支されている。なお、便座ボックスの代りにロータンクカバーが設けられてもよい。この便座ボックス12の右側面(便器着座者にとっての右側面。以下、同様。)には手動式フラッシュハンドル18が設けられている。また、この便座ボックス12の左側の上角縁には、可視光透過材料よりなる光照射部20と、赤外線透過材料よりなるセンサ配置部22とが設けられている。センサ配置部22内には人体検知手段センサ(図示略)が配置されている。便座ボックス12内の電気回路は、図示しないコード、プラグを介して商用電源(AC100V)から給電される。この洋風便器10は、図示しないホース及び止水栓を介して水道水が供給可能とされている。光照射部20内には、後に詳述する通り、光源手段としてLEDとレンズが設置されている。
【0022】
トイレルームの左側の壁面にはリモコン1が着脱自在に掛止されている。第1図の通り、このリモコン1の前面下半部に、臀部を洗浄するためのシャワースイッチ1a及びビデスイッチ1b、温風を吹き出すための乾燥スイッチ1c、洗浄強さを調節する洗浄強さ調節ダイヤル1d、洗浄及び乾燥を停止させるストップスイッチ1sが設けられている。さらに、このリモコン1の前面下半部には、便座ボックス12の光照射部20からの信号を受信する受信手段1gが設けられている。
【0023】
リモコン1の前面上半部の透光パネル2の裏側には、太陽電池3が設けられている。リモコン1の上面には、洋風便器10に大量(例えば約6L)の洗浄水を供給する大用フラッシュスイッチ1e、少量(例えば5L)の洗浄水を供給する男子小用フラッシュスイッチ1fが設けられている。リモコン1の前面上部には、制御信号の発信部1hが設けられている。
【0024】
図示は省略するが、リモコン1内には、太陽電池3で発電された電力を蓄電するためのキャパシタ等の蓄電手段のほか、制御回路及び信号送信部が設置されている。この制御回路や送信部等はキャパシタから給電される。
【0025】
シャワースイッチ1aを押すと、便座ボックス12に設けられたシャワーノズル(図示略)が前進し、その先端から温水が噴出し、使用者臀部のシャワー洗浄(肛門洗浄)が行われる。ビデスイッチ1bを押すと、同様に便座ボックス12の本体部に設けられているビデノズル(図示略)が前進し、その先端から温水が噴出して人体臀部の温水洗浄(ビデ洗浄)が行われる。洗浄強さ調節ダイヤル1dを回すことにより、洗浄強さ(温水噴出量)が調節される。乾燥スイッチ1cを押すと、便座ボックス12内の温風ファンが作動し、人体臀部に温風が吹き付けられて乾燥が行われる。
【0026】
ストップスイッチ1sを押すと、これらシャワーノズル、ビデノズルまたは温風ファンの作動が停止される。フラッシュスイッチ1e(大用)又は1f(小用)を操作することにより、洋風便器10の便鉢内に水が供給され、便器洗浄が行われる。
【0027】
トイレ室内に人が居ないときには、光照射部20は光を照射せず、リモコン1はスリープモードとなっている。このスリープモードにあっては、スイッチ類1a〜1f、1sが操作不能な状態(スイッチが押されても信号を送信しない状態)となっている。これにより、リモコン1のエネルギー消費量が低減される。
【0028】
人が入室すると、便座ボックス12の光照射部20からリモコン1に向けて光が照射される。この光をリモコン1の太陽電池3が受光して発電し、この電力をキャパシタが蓄電する。
【0029】
また、リモコン1がこの光を受信すると、リモコン1がウェークアップモードとなる。このウェークアップモードにあっては、スイッチ1a〜1f、1sが操作可能な状態(スイッチが押されたときに信号を送信する状態)となっている。
【0030】
このウェークアップモードにおいて、使用者がリモコン1の各スイッチ1a〜1f、1sを操作することにより、便座ボックス12の各機器が上記のように作動する。
【0031】
使用者がトイレ室から退室し、便座ボックス12の人体検知センサが人体を非検知となると、光照射部20からの光照射が停止し、リモコン1が上記スリープモードに切り換わる。このように人体非検知時には、光照射を停止し、リモコンをスリープモードとするので、省電力化を図ることができる。
【0032】
次に、このリモコン1の太陽電池の受光機構について詳細に説明する。このリモコン1はトイレルームなどの部屋の壁に取り付けられる長方形の盤状のものであり、前述の通り、その前面の上部に透光パネル2が設けられ、該透光パネル2の裏側に複数枚(この実施の形態では6枚)の太陽電池パネル3aが設置されている。
【0033】
各太陽電池パネル3aは縦長の長方形板状であり、第3図の通り上下の端面から軸4が突設され、各軸4がリモコン1のケーシングの軸受部(図示略)に回動可能に支持されている。各太陽電池パネル3aの上側の軸4の先端にピニオン5が設けられ、該ピニオン5がラック6に噛合している。ラック6は、リモコン1のハウジングに設けられた案内溝(図示略)に上下動可能に支持されている。
【0034】
リモコン1の上端面には、このラック6の突片6a(第3図)に連結された操作片7(第1図)が左右方向移動可能に配置されている。この操作片7を左右に動かすことにより、ラック6が左右に移動し、ピニオン5が回転し、各太陽電池パネル3aの指向方向角度θが変更される。
【0035】
なお、6枚の太陽電池パネル3aを並列してなる太陽電池3の横幅は、太陽電池3の上下寸法よりも大であり、太陽電池3は上下よりも左右に長い形状となっている。
【0036】
このように構成されたリモコンにおいては、各太陽電池パネル3aが光照射部を指向して設置されているので、各太陽電池パネル3aの受光光量が多い。
【0037】
次に、この光照射部20内に配置された光源手段の構成と太陽電池3の受光光量分布について説明する。
【0038】
この光源手段は、第4図(a)の通り、LED8とレンズ9とを備えている。レンズ9は、レンズ9を透過した直後の光軸と垂直な断面における水平方向の光強度分布が第4図(b)となる光学特性のものである。第4図(a),(b)の通り、太陽電池3のうちLED8に近い側(近点)Tを目指す光Sは、太陽電池3のうちLEDから遠い側(遠点)Tを目指す光Sよりも強度が小さい。
【0039】
一般に光源から出射された光の強度は、距離の2乗に反比例して小さくなるので、第4図(b)における光強度はS側で最も小さくなり、S側で最も大きくなるようにしてある。この結果、太陽電池3の受光面にあっては、第4図(c)の通り、LEDに近いT側からLEDから遠いT側にかけて受光光量がほぼ一定となる。
【0040】
なお、この実施の形態では、レンズ9を透過した光束の光軸垂直方向の断面形状は、第4図(d),(e)の通り横長の楕円形状である。これは、太陽電池3が横長であるためであり、第4図(e)の通り照射光束内に太陽電池3の全体が配置される。太陽電池3の外周囲を照射する光量が少ないので、LEDからの光を効率よく太陽電池3に照射することができる。
【0041】
第5図(a)は別の実施の形態に用いられる光源手段の構成を示す平面図である。
【0042】
この実施の形態では2個のLED8A,8Bが並置されている。一方のLED8Aからの光の照射範囲はA〜Aである。Aは太陽電池3の近点T側よりも若干外側であり、Aは太陽電池3の遠点T付近となっている。
【0043】
他方のLED8Bからの光の照射範囲はB〜Bである。Bは、T,Tの中間よりも若干T側であり、BはTよりも若干外側である。
【0044】
太陽電池3の受光面におけるLED8Aから光の受光強度分布は第5図(b)のAの通りであり、LED8Bから光の受光強度分布は第5図(b)のBの通りであり、LED8A,8Bからの光の合計受光強度分布は第5図(b)のA+Bの通りである。この受光強度分布Aは、近点T側の最大値Amaxから遠点T側までの最小値Aminまで大きく低下しており、Amax−Aminは大きいものとなっている。
【0045】
これに対し、受光強度A+Bの最大値と最小値との差は、Amax−Aminに比べて小さくなっており、太陽電池3における受光光量分布が均等化されている。
【0046】
第5図(a),(b)では、LEDを2個水平方向に並列しているが、3個以上並列すれば、太陽電池3の受光強度分布はさらに均等化される。第5図(c)は5個のLEDを、各LEDの照射範囲が少しずつ第5図(a)の右側にずれるように並列した場合の受光強度分布図であり、受光光量分布がさらに均等化されている。
【0047】
本発明では、第6図のようにLED8を上下左右に複数個配設したLEDアッセンブリ30を用いてもよい。LEDアッセンブリ30によれば、太陽電池3の受光光量が上下左右で均等化される。
【0048】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0049】
上記実施の形態では、便座ボックス12とそのリモコンとからなるリモコンユニットを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、キッチンの給湯器、エアコン、テレビなどの壁付けリモコン等にも適用可能である。
【0050】
本発明では、リモコンの透光パネルの表面に、斜めに入射する光を透光パネルの表面で反射させることなく取り込み、太陽電池に向けて透過させるための多数の微細な凹凸形状部を設けてもよい。このような凹凸形状としては、プリズム形、四角推形などの多角推形、円錐形などが例示される。プレート面を平坦とした場合の平坦面と、該凹凸形状の斜面との交差角度は5〜85°特に30〜80°程度であることが好ましい。
【符号の説明】
【0051】
1 リモコン
3 太陽電池
3a 太陽電池パネル
5 ラック
7 操作片
10 洋風便器
12 便座ボックス
20 光照射部
30 LEDアッセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池を有するリモコンと、該太陽電池に向って斜め方向から光を照射する光源手段とを備えたリモコンユニットにおいて、
該光源手段は、太陽電池の単位面積当りの受光光量を均等化させる形態にて設けられていることを特徴とするリモコンユニット。
【請求項2】
請求項1において、前記光源手段はレンズを備えており、該レンズによって太陽電池の単位面積当りの受光光量が均等化されることを特徴とするリモコンユニット。
【請求項3】
請求項1において、前記光源手段は複数の発光部を備えており、太陽電池における各発光部からの光の照射エリアを分布させることにより太陽電池の単位面積当りの受光光量が均等化されることを特徴とするリモコンユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記太陽電池は、光源手段に近い側と遠い側とを結ぶ方向の幅員がそれと垂直方向の幅員よりも大きく、
光源手段からの光束の光軸垂直方向の断面形状は、太陽電池の光源手段に近い側と、遠い側と、光源手段とを含む面内の光束幅が、それと垂直方向の光束幅よりも大きい形状であることを特徴とするリモコンユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリモコンユニットを有するトイレ設備であって、
前記光源手段は便器後部上面のケーシングに設置されており、前記リモコンはトイレルームの壁面に設置されており、
該リモコンは光源手段よりも便器前後方向における前方に配置されていることを特徴とするリモコンユニット。
【請求項6】
請求項5において、前記太陽電池は、リモコンの正面視において左右方向に並列された複数枚の縦長の太陽電池パネルよりなり、各太陽電池パネルが光源手段を指向するように壁面に対し斜め方向に配置されていることを特徴とするリモコンユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−4799(P2012−4799A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137302(P2010−137302)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】