説明

リモコン装置

【課題】蓄電手段を有さずに照明器具の照明制御が可能で、しかも照明器具のID情報を確実に設定できるリモコン装置を提供することである。
【解決手段】可視光受信部16は、周囲の光を受信して発電する太陽電池13の出力電圧が所定値以上のとき動作し、照明器具11の可視光に重畳されたID情報を受信し、演算制御部14は、設定モードであるときに可視光受信部16で受信した照明器具11のID情報を記憶部15に記憶するとともに、ボタン18は押圧操作されたときに発電して、照明器具11への点消灯指令信号や調光制御指令信号を発生し、送受信部17を介して照明器具11に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具の点灯消灯や調光制御を行うとともに照明器具のID情報を受信して設定するリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具のリモコン装置は、照明器具の点灯消灯や調光制御などを遠隔で行うものであり、リモコン装置は操作対象の照明器具と対応関係を持たせるようにしている。例えば、受信機能を有する照明器具とリモコン装置にそれぞれ送受信信号のチャンネルをディップスイッチ等の設定手段で設定しておき、照明器具の設定チャンネルとリモコン装置の設定チャンネルが一致する場合にはリモコン装置によって操作対象の照明器具を操作できるようにしている。また、リモコン装置の電源としては乾電池などが用いられている。
【0003】
リモコン装置として、電源供給手段に太陽電池と蓄電手段とを備え、通常生活レベルの照度でほぼ一日中太陽電池が電力発電を行い、この電力を蓄電手段に貯え、実際の器具の動作に必要な僅かな時間だけ、貯えられた電力を放出することで、電池の交換を不要としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−351064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のものでは、太陽電池と蓄電手段とを備えているので、実際の器具の動作に必要な僅かな時間だけ貯えられた電力を放出することで電池の交換を不要とできるが、蓄電手段が必要となりリモコン装置が大形化するとともにコスト高となる。
【0006】
一方、操作対象の器具が照明器具である場合は、リモコン装置の電源として太陽電池だけを用いたものであっても、照明器具が点灯状態である場合には、太陽電池で発電できるので蓄電手段は必要としないが、照明器具が消灯状態である場合には電力が不足して点灯指令を出力することができないので、蓄電手段を省略する場合には、その場合の電力を確保できるようにしておくことが要請される。
【0007】
また、操作対象の器具が照明器具である場合は、通常、操作対象が複数となるので、操作対象の照明器具を識別するために、そのID情報をリモコン装置に設定しておく必要がある。これは、リモコン装置から無線信号で照明器具を操作する場合には、無線信号には方向性がないので、無線信号の受信エリア内において複数の照明器具がある場合には、操作対象の照明器具を識別できないからである。
【0008】
本発明の目的は、蓄電手段を有さずに照明器具の照明制御が可能で、しかも照明器具のID情報を確実に設定できるリモコン装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明に係るリモコン装置は、周囲の光により発電する太陽電池と;前記太陽電池の出力電圧が所定値以上となると動作し照明器具の可視光に重畳されたID情報を受信する可視光受信部と;前記可視光受信部で受信した照明器具のID情報を記憶する記憶部と;前記照明器具の制御信号を無線で送信する送信部と;押圧操作されたときにこの押圧操作によって発電し、この発電した電力を用いて前記記憶部に記憶した照明器具のID情報と前記制御信号とを前記送信部を介して送信させる操作部と;を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の意味及び定義は以下による。
【0011】
送信部から送信される無線信号は、例えば、照明器具の点消灯指令信号や調光制御指令信号であり、例えば赤外線信号や特定の周波数の電磁波信号である。
「押圧操作によって発電」とは、例えば、ボタンの機械的な押圧操作に連動して導体を磁界中で移動させて発電したり、圧電素子等で発電したり、機械的な押圧操作によって発電することができる全ての構成を許容する。
【0012】
太陽電池とは光のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置であり、照明器具の周囲の光を受けて発電する。通常は、照明器具が点灯した状態での可視光を受信して発電するが、外光によって発電してもよい。
【0013】
「太陽電池の出力電圧が所定値以上のとき」とは、少なくとも可視光受信部が動作可能な電圧をいうが、光の受信状態等に起因して発電状態が不安定になっても十分に動作を継続できるように可視光受信部が動作可能な電圧よりも若干高い電圧に設定しておくことが好ましい。なお、照明器具が点灯した状態で発電したときの出力電圧を満たす電圧であっても良く、この場合には、照明器具が点灯した状態で可視光受信部は動作可能である。可視光受信部とは、照明器具の可視光に重畳されたID情報を受信するものである。
【0014】
請求項2の発明に係るリモコン装置は、請求項1の発明において、前記記憶部にID情報を記憶したことを報知する報知手段を有することを特徴とする。
【0015】
報知手段は、例えば、ランプやLEDなどの表示手段、あるいは音出力手段、振動発生手段などであり、操作者に対して記憶部にID情報を記憶したことを報知するものである。
【0016】
請求項3の発明に係るリモコン装置は、請求項1または2の発明において、前記記憶部に前記ID情報を記憶したときは、前記照明器具にその旨の通知信号を送信することを特徴とする。
【0017】
本発明は、記憶部にID情報を記憶したことを照明器具に通知し、例えば、照明器具の点滅点灯などで操作者に報知するようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、太陽電池の出力電圧が所定値以上であるときに可視光受信部で受信した照明器具のID情報を記憶部に記憶し、操作部を押圧操作したときにこの押圧操作によって発電して、この発電した電力を用いて制御信号を照明器具に送信するので、蓄電手段を有していなくても照明器具のID情報を設定でき照明器具を制御することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、記憶部にID情報を記憶したときは、その旨を報知するので、操作者はID情報が設定されたことを容易に確認できる。
【0020】
請求項3の発明によれば、記憶部にID情報を記憶したときは照明器具にその旨の通知信号を送信し、例えば、そのときに照明器具が点滅点灯することで、操作者はID情報が設定されたことを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係るリモコン装置の実施例1の説明図。
【図2】本発明の実施例1のリモコン装置に照明器具のID情報を設定する場合の操作内容を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施の形態に係るリモコン装置の実施例2の構成図。
【図4】本発明の実施例2のリモコン装置に照明器具のID情報を設定する場合の操作内容を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係るリモコン装置の実施例1の説明図であり、図1(a)は照明器具と無線信号にて送受信を行っている状態を示す斜視図、図1(b)は本発明の実施の形態に係るリモコン装置の実施例1の構成図である。
【0023】
図1(a)に示すように、照明器具11はリモコン装置12から送信された無線信号を受信する。照明器具11は図示省略の受信部を有し、リモコン12からの無線信号を受信し、無線信号の受信内容に応じて、照明器具を点灯消灯あるいは調光制御を行う。また、照明器具11は、自己を識別するための固有のID情報を有し、その点灯時の可視光にそのID情報を重畳して送信している。
【0024】
図1(b)に示すように、リモコン装置12は、周囲の光を受信して発電する太陽電池13を有し、太陽電池13で発電した電力は、演算制御部14、記憶部15、可視光受信部16への電源として供給される。また、リモコン装置12には操作部としてのボタン18が設けられている。
【0025】
ボタン18は発電機能を有しており、例えば、ボタンの機械的な押圧操作に連動して導体を磁界中で移動させて発電する機構を有している。このボタンの押圧操作により発電した電力を用いて、照明器具11への点消灯指令信号や調光制御指令信号を発生し、送信部17を動作させて送信部17から無線信号を送信する。
【0026】
このように、ボタン18に発電機能を持たせ、送信部17から点灯指令を出力できる程度の電力を発電できるようにしているので、操作対象の照明器具11が消灯していたとしても送信部17から制御信号を送信することができる。なお、ボタン18で発電した電力が不足する場合には太陽電池13で発電した電力を使用してもよい。
記憶部15に既に操作対象の照明器具11のID情報が記憶されており、照明器具11の点灯消灯を行う場合について説明する。
【0027】
ボタン18は、押した状態と離した状態の2つの位置がある押しボタンで構成されている。
【0028】
演算制御部14は、ボタン18が押された状態と押されていない状態を判別可能に構成されている。すなわち、ボタン18を押した状態を維持すると演算制御部14は長押しされていると認識することができる。
【0029】
そして、ボタン18を押した後に所定時間内に離すと演算制御部14は操作モードと認識し、記憶部に記憶しているID情報とともに照明器具を制御するための制御信号を送信する。ここで、操作モードとは照明器具の点消灯や調光制御を行うモードである。例えば、制御信号が点消灯信号である場合にはボタン18を所定時間内に押圧操作したときは照明器具11が点灯され、ボタン18を再度所定時間内に押圧操作したときは照明器具が消灯される。このように、ボタン18が押圧操作されて演算制御部14が操作モードであると認識すると点灯操作と消灯操作は交互に繰り返される。
【0030】
次に、記憶部15に操作対象の照明器具11のID情報が記憶されていない状態で操作対象の照明器具11のID情報を受信して記憶部15に記憶させる場合、あるいは記憶部15に既に操作対象の照明器具11のID情報が記憶されているが操作対象の照明器具11のID情報を変更する場合について説明する。
【0031】
演算制御部14は、太陽電池13の出力電圧が所定値以上であるかどうかを判定し、太陽電池13の出力電圧が所定値以上であるときは可視光受信部16を動作させる。これにより、可視光受信部16は、太陽電池13の出力電圧が所定値以上のとき動作し、照明器具11の可視光に重畳されたID情報を受信する。
【0032】
この状態で、ボタン18が押圧操作されると演算制御部14は、この押圧操作によって設定モードになるか否かを判断する。すなわち、上述した操作モード時の所定期間よりも長い期間長押しされている場合には設定モードと判断し、可視光受信部16で受信した照明器具11のID情報を記憶部15に記憶する。ここで、設定モードとは、照明器具を識別するID情報の入力操作を行うモードである。
【0033】
このように、演算制御部14は、操作モードであるか設定モードであるかをボタン18の操作内容に基づいて判定するとともに、同操作に基づいて各モードの制御を行う。このため、操作者は操作時と設定時においてボタン18の押圧操作の方法を変えるだけで容易に照明制御作業と設定作業を行うことができる。また、各モードへ移行したことを確認してから操作を行う必要がない。
【0034】
なお、演算制御部14が設定モードであると認識する方法としてはボタン18を連続してオン状態にする操作(連続押圧操作)の他に、ボタン18を短時間中に複数回押圧操作(複数連打操作)してもよいし、操作モードの専用ボタン及び設定モードの専用ボタンを用意し、操作モードの専用ボタンが操作されたときに操作モードと判定するようにしてもよい。
【0035】
送信部17は、リモコン装置12から照明器具11へ無線信号を送信するものであり、リモコン装置12から送信部17を介して照明器具11に点灯消灯指令あるいは調光制御指令を送信する。
【0036】
図2は、実施例1のリモコン装置12に照明器具11のID情報を設定する場合の操作内容を示すフローチャートである。まず、設定対象となる照明器具11を点灯する(S1)。これは、例えば壁スイッチなどの監視端末器で点灯する。リモコン装置12を設定対象の照明器具11の下に持ってくる(S2)。これにて、太陽電池13により発電した電力がリモコン12を構成する各要素、すなわち、演算制御部14、記憶部15、可視光受信部16に電源として供給される。
【0037】
太陽電池13の出力電圧が所定値以上の場合には、演算制御部14は可視光受信部16を動作させる。これより、可視光受信部16は可視光に重畳したID情報を受信する(S3)。
【0038】
次に、ボタン18を設定モードで操作する(S4)。演算制御部14は、ボタン18が設定モードで操作されたことを認識し、可視光受信部16で受信した照明器具のID情報を記憶部15に記憶する(S5)。
【0039】
このように、太陽電池13の出力電圧が所定値以上で、かつボタン18が設定モードで操作されたときに可視光受信部16で受信した照明器具11のID情報を記憶部15に記憶する。これにより、リモコン装置12に照明器具11のID情報が設定される。従って、太陽電池13を電源とした場合であっても照明器具11のID情報を確実に設定できる。
【0040】
そして、記憶部15に照明器具11のID情報を記憶した後は、ボタン18をオンオフ操作することで、記憶部15に記憶したID情報とともに点消灯指令を送信部17から送信することになる。これにより、ID情報に対応する照明器具11がその点消灯信号を受信して点消灯することになる。
【0041】
次に、本発明の実施の形態に係るリモコン装置の実施例2を説明する。図3は本発明の実施の形態に係るリモコン装置の実施例2の構成図である。この実施例2は、図1に示した実施例1に対し、記憶装置に記憶したことを報知する報知手段19を追加して設けたものである。
【0042】
報知手段19は、例えばランプやLEDなどの表示手段で構成され、記憶部15にID情報が記憶されたときは所定時間だけ点灯する。すなわち、演算制御部14は、記憶部15にID情報が記憶されたことを確認したときは、報知手段19を所定時間だけ起動し、その旨を操作者に報知する。報知手段19としては、表示手段だけでなく音出力手段や振動発生手段などを用いてもよい。
【0043】
図4は、実施例2のリモコン装置12に照明器具11のID情報を設定する場合の操作内容を示すフローチャートである。図2に示した実施例1のリモコン装置12の場合にステップS6が追加されている。設定対象となる照明器具11を点灯し(S1)、リモコン装置12を設定対象の照明器具11の下に持ってくる(S2)。これより、可視光受信部16は可視光に重畳したID情報を受信する(S3)。次に、ボタン18を設定モードで操作すると(S4)、演算制御部14は、ボタン18が設定モードであるので、可視光受信部16で受信した照明器具のID情報を記憶部15に記憶する(S5)。そして、演算制御部14は、記憶部15にID情報が記憶されると、報知手段19を所定時間だけ起動しその旨を操作者に報知する(S6)。これにより、操作者はID情報が設定されたことを容易に確認できる。
【0044】
ここで、報知手段19に代えて、または報知手段19とともに記憶部15にID情報を記憶したことを照明器具11に通知するようにしてもよい。すなわち、演算制御部14は、記憶部15にID情報を記憶したことを確認すると、送受信部17を介して照明器具11にその旨を通知する。この通知としては、例えば、送信部17を介して照明器具11のID情報と点滅点灯指令とを送信する。これにより、そのID情報の照明器具11は点滅点灯する。これにより、操作者に対して記憶部15にID情報を記憶したことを報知できる。
【符号の説明】
【0045】
11…照明器具、12…リモコン装置、13…太陽電池、14……演算制御部、15…記憶部、16…可視光受信部、17…送信部、18…操作部としてのボタン、19…報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の光により発電する太陽電池と;
前記太陽電池の出力電圧が所定値以上となると動作し照明器具の可視光に重畳されたID情報を受信する可視光受信部と;
前記可視光受信部で受信した照明器具のID情報を記憶する記憶部と;
前記照明器具の制御信号を無線で送信する送信部と;
押圧操作されたときにこの押圧操作によって発電し、この発電した電力を用いて前記記憶部に記憶した照明器具のID情報と前記制御信号とを前記送信部を介して送信させる操作部と;
を備えたことを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
前記記憶部にID情報を記憶したことを報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1記載のリモコン装置。
【請求項3】
前記記憶部に前記ID情報を記憶したときは、前記照明器具にその旨の通知信号を送信することを特徴とする請求項1または2のいずれか一記載のリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−204507(P2011−204507A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71389(P2010−71389)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】