説明

リングセルを使用して荷重負担能力を試験する方法および装置

杭の荷重負担能力を試験するための環状アセンブリまたはリングセルを提供する。環状アセンブリのリングセル壁を型打ち材料で作製することができる。リングセル壁は、外側リング壁および内側リング壁であることができる。または、リングセル壁は、外側リング壁、内側リング壁および上壁を含むU字形断面を有することができる。流体供給ラインを介して拡張ゾーンの中に流体を提供することができる。拡張ゾーンは、流体で満たすためのブラダーを有する空間であることができる。もう一つの態様で、拡張ゾーンは、膜で分けられた、高圧に耐え得る充填材の間の空間であることができる。試験中、拡張ゾーン中の流体の圧力をモニタリングすることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、図面、表または図を含むその全体が参照により本明細書に組み入れられる2006年12月19日出願の米国特許出願第60/875,665号の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明の態様は、リング荷重セルを使用してコンクリート立坑の荷重負担能力を試験する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
穿孔立坑または橋脚は、他のタイプの深基礎の経済的な代替物となるので、多くの場合、深基礎産業で使用されている。穿孔橋脚は、通常、円柱形のボーリング孔を地面に掘った後、補強スチールおよび流体コンクリートをそのボーリング孔に入れることによって形成される。掘削は、掘削泥水、ケースメントなどの使用によって支援することができる。コンクリートが硬化すると、荷重負担結果に適した構造橋脚が得られる。このような橋脚は、直径が数フィートであり、深さが50フィートまたはそれ以上であることができる。通常、軸および引張り圧縮荷重を支えるように設計されている。
【0004】
ビルまたは他の巨大構造の基礎を形成するためには、普通はコンクリート製である杭が一般に使用される。杭は、剛性または可撓性の杭と考えることができる。杭基礎の目的は、荷重を移し、分散させることである。杭を、インパクト打込み、ジャッキングもしくは他の押込み、圧力(オーガキャスト杭の場合など)またはインパクト注入をはじめとする多様な方法によって挿入または建造し、場合によっては様々なタイプの補強とともに、任意の組み合わせで定位置に流し込むことができる。土壌タイプおよびビルまたは他の巨大構造の構造補強に依存して、広い範囲の杭タイプを使用することができる。杭タイプの例は、木、スチールパイプ杭、プレキャストコンクリート杭およびボーリング杭とも知られるキャストインプレースコンクリート杭、オーガキャスト杭または穿孔立坑を含む。オーガキャスト杭とは、中空のオーガを地面に穿孔した後、下端にある加圧注入セメント質グラウトを援用して引き抜いて、ほぼ円柱形のグラウトコラムを地中に残し、その中に必要なスチール補強を降ろす、一般的な形態のボーリング杭である。グラウトが固化すると、杭は完成する。杭は、平行辺形であってもよいし、テーパ状であってもよい。スチールパイプ杭は、地面に打ち込むことができる。その後、スチールパイプ杭をコンクリートで満たすこともできるし、そのまま残すこともできる。プレキャストコンクリート杭は、地面に打ち込むことができる。多くの場合、プレキャストコンクリートは、打込みおよび取扱いの応力に耐えるためにプレストレス処理されている。キャストインプレースコンクリート杭は、地面に打ち込まれている細いシェルパイプに流し込まれたコンクリートの立坑として形成することができる。ボーリング杭の場合、立坑を地面にボーリングした後、補強およびコンクリートで満たすことができる。コンクリートで満たす前にケーシングを立坑に挿入すると、ケーシング付き杭を形成することができる。ケーシング付きおよびケーシングなしのボーリング杭、およびオーガキャストは、非変位型杭とみなすことができる。
【0005】
完成した構造基礎要素、たとえば橋脚または杭は、従来、端受け(qb)および表面摩擦(fs)の関数である側受けの成分を特徴とする軸荷重負担能力を有する。要素の上端に加えられた荷重は、要素の側壁および要素の下部に伝達される。端受け力は、そこで支持することができる最大荷重の測度であり、要素の直径および立坑の底の地盤材料(土壌、岩石など)の組成を含む多数の要因に依存する。側受け力は、橋脚/杭の側面と地盤材料との間で発生する表面摩擦によって支持することができる荷重の量の測度である。これは、基礎要素および長さ(深さ)が異なることができる要素の側面を形成する地盤材料の組成を含む多数の要因に依存する。一般に、端受け力と側受け力との和が、基礎上の完成したビルまたは橋にとって破壊的な動きを生じさせかねない沈みまたは滑りのない要素によって支持することができる合計荷重を表す。
【0006】
特定の橋脚または打ち込まれた杭に関する最大端受けおよび側受けを知ることが望ましいが、そのような計測を高い信頼度で実施することは困難である。基礎工学の原理は、基礎要素の直径および深さ、要素の端部およびその側面における地盤材料ならびに他の要因に基づいて端受けおよび荷重受け力を基礎要素に割り当てることにより、これらの難題を説明する。かつ、通常、計算された端受けおよび側受け力に安全係数が適用される。これらの安全係数は、側受けおよび端受けに悪影響を及ぼすおそれのある未知の要因の多数、たとえば地盤材料の応力状態および性質、穿孔プロセスによって発生するボーリング孔粗さ、穿孔中のボーリング孔/立坑界面における地盤材料劣化、コンクリートの投入前のボーリング孔が開いたままである期間の長さ、穿孔流体の残留効果、コンクリート投入によって生じるボーリング孔壁応力ならびに他の建造関連の詳細を説明するように選択される。たとえば、表面摩擦によって支持されると計算される量を半分に減らすために、安全係数2を側受けに適用することが一般的である。同様に、計算された端受け力には、前記の設計不確かさおよびその他を反映させて、多くの場合、安全係数3が適用される。荷重抵抗係数設計法(LRFD)が、加えられる荷重および材料性質の既知の可変性に基づく荷重および抵抗係数を組み込むことによって安全で効率的な構造基礎を設計するために使用される代替解析法である。
【0007】
安全係数またはLRFD係数の使用は、穿孔立坑橋脚建造および杭打ちにおける不確かさの多くを賢明に説明するが、多くの場合、そのような基礎要素が控えめ過ぎる安全荷重能力を割り当てられる結果を招く。それを補うために、建造者は、構造荷重を安全に支持するために必要であるよりも大きい、深いおよび/または多くの要素を建造して、適当な基礎を建造する時間、労力および費用を不必要に増大させる。
【0008】
部分的な解決手段として、穿孔立坑橋脚の端受け力および表面摩擦を直接計測することが知られている。これは通常、生産現場で、一つまたは複数の試験杭を使用することによって達成される。
【0009】
Osterberg (米国特許第4,614,110号(特許文献1)および米国特許第5,576,494号(特許文献2))は、コンクリート橋脚が流し込まれる前に立坑の底に設置される平行板ベべローズを開示している。ベローズは、橋脚と同軸のパイプを通して送られる流体によって加圧される。表面摩擦は、ベローズ中の圧力の関数として橋脚の垂直変位(上ベローズ板の動きに相当)を計測することによって測定される。同様に、端受けは、下ベローズ板に固着され、流体パイプを通って地表まで延びるロッドによって示される、下ベローズ板の下向き動に対する圧力を計測することによって測定される。荷重試験が完了すると、ベローズは加圧解除される。その後、ベローズは、棄てることもできるし、セメントグラウトで満たすこともでき、後者の場合、本質的に橋脚の下端の延長部となる。
【0010】
その場合、非機能性の試験セルが橋脚のベースとして働き、それにより、立坑の結着性を損なわせるおそれがある。実際には、非機能性の試験セルをベースに含まない近隣の立坑のほうが好まれるため、「Osterbergセル」を用いる穿孔立坑は、多くの場合、試験後に棄てられる。試験に使用されたという理由で形成された立坑を棄てることは時間、材料、労力および金銭の点で無駄が多いため、試験後の立坑の使用に関して妨げになりにくい試験セルの必要性がなおも存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,614,110号
【特許文献2】米国特許第5,576,494号
【発明の概要】
【0012】
簡単な概要
本発明の態様は、リングまたは環状の荷重セルを使用して一つまたは複数の杭または立坑の荷重負担能力を試験するための装置および方法に関する。本発明の態様は、試験後に一つまたは複数の杭または立坑の使用に関して妨げを軽減する、一つまたは複数の杭または立坑の荷重負担能力を試験するための装置および方法を提供することができる。
【0013】
特定の態様で、環状アセンブリを生産杭(たとえば、構造の基礎として使用される杭)の中で使用することができる。環状アセンブリは、廉価に製造することができ、杭の流し込み成形中、定位置にありながらコンクリートおよび/またはグラウトがアセンブリを通過することを可能にするため、生産杭の中で使用することができる。
【0014】
ある態様で、建造中、本リングセルは、望むならば、大部分またはすべての生産杭の中に設置することができる。さらなる態様で、本リングセルは、一つまたは複数の杭の中に設置され、試験後、その一つまたは複数の杭の中に残ることができる。一つの態様では、生産杭の少なくとも10%がリングセルを有することができる。他の態様では、生産杭の少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%がリングセルを有することができる。
【0015】
リングセルを有する杭は、試験される杭が使用される杭であるため、低めの安全係数または増大した抵抗係数(RF)を使用して設計することができる。そのような多数の杭および使用される杭の大きな割合を試験することにより、杭の多くが本リングセルの態様を組み込む場合、全体として、杭の群の荷重負担能力のより大きな信頼性を達成することができる。一つの態様で、RFは0.6であることができる。もう一つの態様で、RFは0.9であることができる。
【0016】
ある態様で、リングセルは、荷重を支持するために使用される複数の杭の一定の割合に組み込むことができる。特定の態様では、杭の少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%およびすべてがリングセルを組み込む。試験中、リングセルは、杭の沈下を生じさせる荷重を提供する。特定の態様で、荷重は、杭の所期使用の際に生じると予測される荷重に等しい、またはそれよりも大きい。このようにして、試験中、予測される杭の沈降についての、すべてではないとしても一部分を達成することができる。
【0017】
ある態様で、部品を型打ち材料または予備成形もしくはプレキャスト材料で作製することができるため、リングセルは、廉価に製造することができる。有利には、複数の態様で、リングセル壁は、その湾曲形状のおかげで、型打ち材料によって作製することができる。特に、湾曲形状のリングセルは、許容差がさほど厳密ではないおかげで、部品を、溶接および機械加工ではなく、打抜きすることを可能にする。
【0018】
さらに、リングセルの構成部品は、コストおよび簡単さに関して選択することができる。たとえば、リングセルは、型打ち板金、高強度グラウトのような高圧に耐え得る充填材および/またはゴムもしくは布の膜もしくはブラダーを組み込むことができる。
【0019】
本発明の態様は、立杭および/または杭の一つまたは複数のタイプおよび直径とで使用することができることが注目されるべきである。加えて、本発明の一つまたは複数のリングセルまたは環状アセンブリは、1本の杭立坑で使用することができ、その立坑に沿って様々な地点に配置することができる。本発明は、穿孔立坑または杭の下端またはその近くであってもよい、適当であると考えられる杭内の任意のレベルに置かれることを意図する。通常、試験が立坑または杭の能力を減じないような所定の高さまたは深さが選択される。本発明の特定の態様は、高圧に耐え得る充填材と;充填材との接触のために潤滑される内面を有する外側円柱壁と;充填材との接触のために潤滑される内面を有する内側円柱壁と;加圧下のセルフシール性流体を、充填材の間の膜によって提供される充填材内の分離ゾーンに供給するための一つまたは複数の流体アクセスラインとを含む環状荷重試験アセンブリを組み込む。特定の態様では、セルフシール性高圧流体を使用して、流体が、漏れに押し込まれる場合には、その漏れをシールするようにすることができる。本発明のもう一つの態様では、外壁、内壁および上壁ならびに省略可能な下壁を有する外周円柱と;外周円柱内に嵌る内周円柱と;内周円柱の上面と外周円柱の上壁の下面との間に位置するブラダーと;流体をブラダーに供給するための一つまたは複数の流体アクセスラインとを含む、環状荷重試験アセンブリが提供される。特定の態様では、セルフシール性流体を使用することができる。
【0020】
本発明のさらに別の態様では、高圧に耐え得る充填材と;外周円柱の内面が充填材と接触する、外壁、内壁、上壁および省略可能な下壁を有する外周円柱と;分離ゾーンが充填材と外周円柱の上壁部分の内面との間にある、充填材と接触した膜を含む該分離ゾーンに流体を供給するための一つまたは複数の流体アクセスラインとを含む、環状荷重試験アセンブリが提供される。本発明のもう一つの態様では、環状アセンブリを一つまたは複数の建造杭に挿入して、それにより、杭よりも下の荷重支持材料の荷重負担能力および/または剛性を高める段階、および次いで、荷重試験中に形成した小さな割れ目および裂けをグラウトおよび/またはコンクリートで埋める段階を含む、構造のための杭を提供する方法が提供される。
【0021】
本発明のさらに別の態様では、高圧に耐え得る充填材と;外壁、内壁、上壁を有する外周U字形円柱と;外周円柱の外壁の内面が内周U字形円柱の外壁の外面と接触し、外周U字形円柱の内壁の内面が内周U字形円柱の内壁の外面と接触する、外壁、内壁、および下壁を有する内周U字形円柱と;セルフシール性流体を充填材の間の分離ゾーンに供給するための一つまたは複数の流体アクセスラインとを含む、環状荷重試験アセンブリが提供される。分離ゾーンは、充填材と接触した膜を含むことができる。
【0022】
本発明のもう一つの態様では、環状アセンブリを一つまたは複数の建造杭に挿入して、それにより、杭よりも下の荷重負担材料の荷重負担能力および/または剛性を高める段階、および次いで、荷重試験中に形成した小さな割れ目および裂けをグラウトおよび/またはコンクリートで埋める段階を含む、構造のための杭を提供する方法が提供される。
【0023】
前記の概要説明および以下の発明の詳細な説明はいずれも例示的および説明的であり、請求項に係わる発明のさらなる説明を提供するためのものであることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで、本発明の好ましい態様を詳細に参照し、その例は添付の図面に例示されている。可能な限り、同じまたは同種の部品を指す場合には、図面を通して同じ参照番号を使用する。
【図1A】本発明の特定の態様の断面図及び部分断面図である。
【図1B】本発明の特定の態様の断面図及び部分断面図である。
【図2A】本発明の特定の態様の断面図である。
【図2B】本発明の特定の態様の断面図である。
【図2C】本発明の特定の態様の断面図である。
【図3A】本発明の特定の態様の断面図である。
【図3B】本発明の特定の態様の断面図である。
【図3C】本発明の特定の態様の断面図である。
【図4A】本発明の特定の態様の断面図である。
【図4B】本発明の特定の態様の断面図である。
【図4C】本発明の特定の態様の断面図である。
【図5A】ボーリング孔に関して本発明の態様を示す図である。
【図5B】ボーリング孔に関して本発明の態様を示す図である。
【図5C】ボーリング孔に関して本発明の態様を示す図である。
【図6A】異なる断面積の態様を示す図である。
【図6B】異なる断面積の態様を示す図である。
【図6C】異なる断面積の態様を示す図である。
【図7】杭内にリングセルを組み込む態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な開示
本発明の態様は、リングまたは環状の荷重セルを使用して一つまたは複数の杭または立坑の荷重負担能力を試験するための装置および方法に関する。本発明の態様は、一つまたは複数の杭または立坑の荷重負担能力を試験するための装置および方法を提供することができ、試験された杭の一つまたは複数を生産杭として使用する望ましさを増大させる。本発明の態様は、定位置で流し込み成形された杭または穿孔された立坑杭とで使用することができる。
【0026】
特に、環状アセンブリは、生産杭(たとえば、構造の基礎として使用される杭)の中で使用することができる。環状アセンブリは、廉価に製造することができ、杭の流し込み成形中、定位置にありながらコンクリートおよび/またはグラウトがアセンブリを通過することを可能にするため、生産杭の中で使用することができる。
【0027】
ある態様では、建造中、望むならば、本リングセルを大部分またはすべての生産杭の中に設置することができる。さらなる態様で、本リングセルを一つまたは複数の杭の中に設置し、試験後、一つまたは複数の杭の中に残すことができる。一つの態様では、生産杭の少なくとも10%がリングセルを有することができる。他の態様では、生産杭の少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%または100%がリングセルを有することができる。
【0028】
リングセルを有する杭は、試験される杭が使用される杭であるため、低めの安全係数または増大した抵抗係数(RF)を使用して設計することができる。一つの態様で、RFは0.6であることができる。もう一つの態様で、RFは0.9であることができる。ある態様で、部品を型打ち材料または予備成形もしくはプレキャスト材料で作製することができるため、リングセルは、廉価に製造することができる。有利には、複数の態様で、リングセル壁は、その湾曲形状のおかげで、型打ち材料によって作製することができる。特に、湾曲形状リングセルは、許容差がさほど厳密ではないおかげで、部品を、溶接および機械加工ではなく、打抜きすることを可能にする。
【0029】
さらに、リングセルの構成部品は、コストおよび簡単さに関して選択することができる。たとえば、リングセルは、打抜き板金、高強度グラウトのような高圧に耐え得る充填材および/またはゴムもしくは布の膜もしくはブラダーを組み込むことができる。
【0030】
ブラダーを組み込まない態様の場合には、セルフシール性高圧流体を使用してもよいことが留意されるべきである。このセルフシール性流体は、油圧流体の代替として使用することができ、通常、絡み合い、凝固して不浸透性シールを形成する親和性繊維、結合材ポリマーおよび凝固剤の化学混合物である。態様で使用することができる同様な性質を有する市販化合物はSlime(登録商標)である。
【0031】
本発明の態様は、一つまたは複数のタイプの立坑および杭を用いて使用することができることが注目されべきである。加えて、本発明の一つまたは複数のリングセルまたは環状アセンブリは、1本の杭立坑で使用することができ、その杭に沿って様々な地点に配置することができる。
【0032】
図1Aは本リングセルの態様の断面を示し、図1Bは図1Aの拡大区分Lを示す。図示するリングセルは、環状の外側リング1および環状の内側リング2を組み込む。外側リング1および内側リング2は、外側リング壁、内側リング壁および上壁を含む「U」字形の断面を有することができる。外側リング1は、板金から打ち抜くこともできるし、溶接のような他の製造技術によって形成することもできる。内側リング2もまた、板金から打ち抜くこともできるし、溶接のような他の製造技術によって形成することもできる。ある態様では、ブレードパッキン3、4を使用してリングセルからの流体漏れを防ぐことができる。さらなる態様では、ガスケットまたは他の不浸透性材料3、4を使用して、リングセルからの流体漏れを防ぐことができる。ブラダー5は、油圧流体で満たすことができる。流体がブラダーを満たす場合に、ブラダーは拡張する。ブラダーに供給される流体の量およびその結果としての圧力は、荷重試験中にモニタリングすることができる。一つの態様では、油圧ポンプを使用してブラダーを膨らませることができる。
【0033】
図2Aに示す代替態様で、リングセルは、外側リング1および、内側リングに代わり、充填材6を組み込むことができる。特定の態様で、充填材は、高強度グラウト(HSG)またはエラストマーエポキシ材料であることができる。ゴムまたは布の膜7を外側リング1の上板と充填材との間に配置して分離ゾーンを提供することができる。または、膜7の代わりにブラダー5を使用することもできる。一つまたは複数の油圧流体アクセスライン8が外側リングの上板を通して流体を分離ゾーンに提供することができる。圧力が増大するにつれ、図2Bに示すように膜が充填材を押す。
【0034】
図3Aに示すもう一つの態様では、リングセルは、内側円柱壁10および外側円柱壁11を組み込むことができる。内側円柱壁10および外側円柱壁11は、スチール、高強度ポリマー/プラスチックまたは高圧に耐え得ることが当技術分野で知られている他の適切な材料で作製することができる。内側円柱壁10と外側円柱壁11とは実質的に平行であることができる。HSGのような充填材6を平行な側壁10、11の間に位置することができる。平行な側壁の内面は、流体がブラダー5またはゴムもしくは布の膜7の間の空間を満たす場合に充填材6が摩擦を減らされて側壁から滑ることができるように、潤滑されていることができる。リングセルの上下の部分は、充填材6の上面がリングセルよりも上の杭材料と接触し、充填材6の下面がリングセルよりも下の杭材料と接触するように、杭内に位置付けることができる。一つまたは複数の油圧流体アクセスライン8が充填材6の上部を通して流体を分離ゾーンに提供することができる。圧力が増大するにつれ、図3Bに示すように膜が充填材を押す。リングセルを配置しやすくするため、コンクリートまたは杭を形成するための他の材料をリングセルの中央の開口に流し込むことができる。
【0035】
図4Aに示すさらなる態様で、リングセルは、上板12および下板13または13aを組み込むことができ、その場合、内側および外側の円柱壁10、11ならびに上板12および下板13または13aが、ゴムまたは布の膜によって上部および下部に分けられた高強度グラウト(HSG)またはエラストマーエポキシ材料のような充填材6を取り囲む。流体アクセスラインが上板および充填材の上部を通ってリングセルに入り、ゴムまたは布の膜セパレータに入る。必要ならば、Oリングまたは他のシール18を使用することもできる。一つまたは複数の油圧流体アクセスライン8が外側リングの上板12および上寄りの充填材6を通して流体を分離ゾーンに提供することができる。圧力が増大するにつれ、図4Bに示すように膜が充填材を押す。
【0036】
図5Aに示すさらなる態様で、リングセルは、外壁、内壁、上壁を有する外周U字形円柱1、外壁、内壁および下壁を有する内周U字形円柱2を組み込むことができ、その場合、外周円柱1および内周円柱2が、必ずしもゴムまたは布の膜によってではないが上部および下部に分けられた高強度グラウト(HSG)またはエラストマーエポキシ材料のような充填材6を取り囲む。流体アクセスライン8が上周U字形円柱および上寄り充填材を通ってリングセルに入り、分離区域に入る。セルフシール性流体23を使用する場合には、ゴムまたは布の膜7またはブラダー5は不要であろう。ひとたび流体が加圧下で分離区域に入り始めると、内側U字形円柱は外側U字形円柱に向けて押しやられ、内側U字形円柱壁を外側U字形円柱壁に対してシールしてセルフシール性流体が抜けることを抑止する傾向がある。
【0037】
環状アセンブリのサイズは、立坑またはボーリング孔のサイズに依存することができる。リングセルの外壁は、リングセルが立坑の中にある場合に鉄筋ケージへの近接を可能にするサイズの半径を有することができる。壁のサイズは、正しい力を加えるために要する表面によって決まることができる。上板および/または下板を有する態様は、荷重セルよりも上の杭区分および/または荷重セルよりも下の杭区分にそれらの板を取り付けられることができる。荷重セルの上部分および荷重セルの下部分は、それらの部分が分かれた場合にそれらの相対的横方向の位置が同じままであるように配置される。このようにして、セルの上部分、セルの下部分よりも上の杭区分およびセルよりも下の省略可能な杭区分が、二つの浮動杭区分として働くのではなく、1本の杭として働く。セルが立坑の底に配置される場合には、セルは、地面またはたとえば6インチ〜1フィートもしくは他の適切な厚さであることができるコンクリート片に載ることができる。リングセルの開いた中央は、リングセルよりも下の杭部分を形成するためにコンクリートまたは他の杭材料をリングセルに通過させて注入するための容易なアクセスを可能にする。様々な特定の態様で、リングセルの中央の開口は、リングセルの断面積の少なくとも25%、少なくとも50%および少なくとも75%であることができる。図6Cに示す特定の態様で、リングセルの中央の開口は、その開口へのコンクリートの通過を容易にするため、リングセルの断面積の少なくとも20%であることができる。図6Bに示すもう一つの態様で、開口は、リングセルの断面積の少なくとも40%であり、図6Aに示すさらなる特定の態様で、開口は、リングセルの断面積の少なくとも60%である。
【0038】
複数の態様で、加圧のための流体が、高圧を収容するためのシールの必要性を省くことができる流体ライン8を介してセルフシール性を提供することができる。特定の態様では、アセンブリ中のあらゆる漏れをシールすることができるセルフシール性流体を使用することができる。そのようなシール性流体は、たとえば繊維質であることができる。セルフシール性流体の使用は、より厳密な許容差および/または他のシール機構、たとえばOリングの必要性を軽減することができる。セルフシール性流体の使用は、リングセルの態様の製造および/または運用のコストを減らすことができる。他の態様では、シールが望まれる、または必要である場合、Oリングのようなシール18を使用することができる。そのような例が図4Aに示されている。ブラダーを組み込む態様は、多様な流体、たとえば水を使用することができる。
【0039】
コンクリート杭が環状アセンブリを完全に包囲することができる。コンクリートがリングセルの穴に流し込まれ、環状アセンブリ全体の周囲の容積を満たすことができる。リングセルの外壁は、図2に示す、鉄筋ケージ21に取り付けるための機構を有することができる。機構は一つまたは複数のブラケット9であることができる。
【0040】
杭の試験中、リングセルの拡張によって杭のコンクリートが割れることがある。したがって、小さな割れ目または裂けが杭に現れることがある。これらの裂けをコンクリートおよび/またはグラウトで埋めることができる。これらの割れ目は、当技術分野で公知の技術によって、たとえば供給または通気ラインを介して埋めることができる。ブラダーが使用される環状アセンブリの態様では、試験が完了した後に硬化または固化するグラウトでブラダーを満たすことができる。特定の態様で、リングセルは、穿孔立坑の底またはその近くに位置されることができる。他の態様で、リングセルは、杭の他の部分または杭の多数の場所に位置されることができる。図7を参照すると、リングセル20が杭内に位置されることができる態様が示されている。リングセル20は、たとえばブラケット9によって鉄筋ケージ21に取り付けることができる。一つの態様では、流体供給ライン8が、加圧水または油圧流体の代わりにグラウトをブラダーまたは拡張ゾーンに供給することができる。加圧水が試験に使用されるもう一つの態様では、グラウトがリングセルに供給される場合に、出力ライン(図示せず)を介して水を抜くことができる。さらなる態様では、拡張ゾーンを満たすだけでなく、リングセルよりも上の杭区分とリングセルよりも下の杭区分との間に形成される空隙をたとえばグラウトで埋めることができる。好ましくは、リングセルは、拡張した場合、リングセル拡張時に上に動く傾向があるリングセルの部分(頂部)がリングセルよりも上の杭部分に十分に取り付けられ、リングセル拡張時に下に動く傾向があるリングセルの部分(下部)がリングセルよりも下の杭部分に十分に取り付けられ、上部分および下部分が、上部分に接続された杭部分と下部分に接続された杭部分との相対的横方向動を防ぐのに十分なほど相互接続されたままであるように設計される。このようにして、ひとたびリングセルの拡張ゾーンが、上部分および下部分が拡張後に互いに向けて戻ることを防ぐ材料で満たされると、リングセルは、互いに対して垂直または横に浮動する二つの杭区分としてではなく1本の杭として杭の結着性を保持するために、リングセルよりも上の杭部分およびリングセルよりも下の杭部分に結合される。
【0041】
モニタリングされる一つの計測値は、流体ラインを介して分離/拡張ゾーンに入る使用される流体の量であることができる。量の計測値は、環状アセンブリの開きをモニタリングするための手段を提供することができる。本発明にしたがって、動きを計測するための数多くの技術を使用することができる。一つの態様で、可撓部品の動きは、当技術分野で公知のようにして計測することができる。第二の態様では、ソナーシステムが動きをモニタリングすることができる。第三の態様では、光ベースのシステム(たとえばレーザまたは光電)を使用して距離をモニタリングすることができる。第四の態様では、ブラダーに供給される流体の量および流体の圧力をモニタリングすることができる。ホース拡張のような多様な要因のため、計測値を校正する必要はない。
【0042】
本明細書に記載される例および態様は、例を示すためのものであり、それを鑑みて様々な改変または変更が当業者に暗示され、それらが本出願の本質および範囲に含まれるということが理解されべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、杭に荷重を加える方法:
杭の第一の区分に取り付けられた上部分を該杭の該第一の区分よりも下に配置する段階、
分離ゾーンへの加圧流体の注入により該上部分と下部分とを押し離す傾向がある力が生じかつ該上部分が該杭の該第一の区分を押し上げるように、該分離ゾーンが形成され、
該上部分の上から該下部分の下までの材料の通過を可能にするために、該上部分の断面の少なくとも一部分および該下部分の断面の少なくとも一部分が開き、
該上部分と該下部分との分離が起こる場合には、分離している間該上部分および該下部分が相対的横方向の位置を維持する、
該下部分を該上部分の近くに配置する段階、および
該杭に荷重を加えるために流体を該分離ゾーンに注入する段階。
【請求項2】
下部分が杭の第二の区分よりも上に配置され、
該下部分が該杭の第二の区分に取り付けられている、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
杭の第一の区分、上部分、下部分および該杭の第二の区分が1個の杭として働く、請求項2記載の方法。
【請求項4】
上部分の断面積の少なくとも20%および下部分の断面積の少なくとも20%が開いている、請求項1記載の方法。
【請求項5】
上部分の断面積の少なくとも40%および下部分の断面積の少なくとも40%が開いている、請求項1記載の方法。
【請求項6】
上部分の断面積の少なくとも60%および下部分の断面積の少なくとも60%が開いている、請求項1記載の方法。
【請求項7】
杭の流し込み成形の前に、上部分および下部分が設置され、
杭を流し込み成形するための材料が、該上部分断面の開放部分および該下部分断面の開放部分を通過する、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
流体がセルフシール性である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
加圧流体が拡張ゾーン中のブラダーに注入される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
上部分が、U字形断面を有する環状形であり、
下部分が、該上部分の該U字形断面に対して相補的な断面形状を有する環状形である、
請求項1記載の方法。
【請求項11】
上部分が、U字形側面を形成する内壁および外壁、ならびに分離ゾーンの第一の境界を形成する高圧に耐え得る第一の充填材を含み、
下部分が、該分離ゾーンの第二の境界を形成する高圧に耐え得る第二の充填材を含み、
該上部分と該下部分とが分離する場合に、該上部分の該内壁および該外壁が該分離ゾーンのさらなる境界になる、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
上部分が、U字形断面を有する環状形であり、
下部分が、開口端を有するU字形断面形状を有する環状形であり、
該下部分の該開口端が該U字形上部分に位置され、
加圧流体が分離ゾーンに注入された場合に、該下部分の外壁が該上部分の外壁に押し込まれてシールを形成し、かつ該下部分の内壁が該上部分の内壁に押し込まれてシールを形成する、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
下部分が下板を含み、
該下板が杭の第二の区分に取り付けられている、
請求項2記載の方法。
【請求項14】
杭に加えられる荷重を測定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
杭の第一の区分および該杭の第二の区分に加えられる荷重を測定する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項16】
流体を分離ゾーンに注入する段階の後に、
杭の上区分、該上部分および該下部分が1本の杭として働く、該上部分と該下部分との分離を維持するために硬化可能な材料で該分離ゾーンを満たす段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
杭を流し込み成形した後に、加圧流体が分離ゾーンに注入される、請求項7記載の方法。
【請求項18】
下部分が杭の第二の区分よりも上に配置され、
該杭の第一の区分と該杭の該第二の区分とが上部分の断面の開放部分および該下部分の断面の開口部分を介して隣接し、
分離ゾーンに流体を注入する段階の後に、該上部分の断面の該開放部分および該下部分の断面の該開口部分を介して隣接する該杭部分における、該杭の該第一の区分と該杭の該第二の区分との間の割れ目を埋める段階がさらに含まれる、
請求項15記載の方法。
【請求項19】
下部分が杭の第二の区分よりも上に配置され、
該杭の第一の区分および該杭の該第二の区分が上部分の断面の外周および該下部分の断面の外周で隣接し、
流体を分離ゾーンに注入する段階の後に、該上部分の断面の該外周および該下部分の断面の該外周で隣接する該杭部分における、該杭の該第一の区分と該杭の該第二の区分との間の割れ目を埋める段階がさらに含まれる、
請求項15記載の方法。
【請求項20】
上部分の断面の開放部分が該上部分の断面の中央に配置され、
下部分の断面の開放部分が該下部分の断面の中央に配置される、
請求項1記載の方法。
【請求項21】
以下の段階を含む、使用荷重を支持するための複数の杭を提供する方法:
該杭の少なくとも二つが荷重セルを組み込み、
各荷重セルが、杭の第一の区分よりも下に配置された上部分と該上部分の近くに配置された下部分とを含み、
分離ゾーンへの加圧流体の注入により該上部分と該下部分とを押し離す傾向がある力が生じかつ該上部分が該杭の該第一の区分を押し上げるように、該分離ゾーンが形成され、
該上部分の上から該下部分の下までの材料の通過を可能にするために、該上部分の断面および該下部分の断面の少なくとも一部分が開き、
該上部分と該下部分との分離が起こる場合には、分離している間該上部分および該下部分が相対的横方向の位置を維持する、
使用荷重を支持するための層の中で適所に複数の杭を配置する段階、
荷重セルを組み込む該少なくとも二つの杭の各荷重セルに荷重を加える段階、
該少なくとも二つの杭に加えられた荷重の効果を計測する段階、
使用荷重を支持するための少なくとも一つの設計基準を該複数の杭が満たすかどうかを、加えられた該荷重と該少なくとも二つの杭に加えられた荷重の計測された該効果とに基づいて判定する段階。
【請求項22】
少なくとも一つの設計基準の一つが安全係数である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
荷重セルが複数の杭の少なくとも10%に組み込まれる、請求項21記載の方法。
【請求項24】
荷重セルが複数の杭の少なくとも50%に組み込まれる、請求項21記載の方法。
【請求項25】
荷重セルが複数の杭の少なくとも80%に組み込まれる、請求項21記載の方法。
【請求項26】
荷重セルが複数の杭の少なくとも90%に組み込まれる、請求項21記載の方法。
【請求項27】
荷重セルが複数の杭の少なくとも100%に組み込まれる、請求項21記載の方法。
【請求項28】
複数の杭の抵抗係数(RF)が少なくとも0.6である、請求項21記載の方法。
【請求項29】
複数の杭の抵抗係数(RF)が少なくとも0.9である、請求項21記載の方法。
【請求項30】
以下を含む荷重セル:
杭の第一の区分よりも下に配置された上部分、および
分離ゾーンへの加圧流体の注入により該上部分と下部分とを押し離す傾向がある力が生じかつ該上部分が該杭の該第一の区分に押し上げるように、該分離ゾーンが形成され、
該上部分の上から該下部分の下までの材料の通過を可能にするために、該上部分の断面および該下部分の断面の少なくとも一部分が開き、
該上部分と該下部分との分離が起こる場合には、分離している間該上部分および該下部分が相対的横方向の位置を維持する、
該上部分の近くに配置された該下部分。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−513764(P2010−513764A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543201(P2009−543201)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/088238
【国際公開番号】WO2008/077136
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(509172435)ロードテスト インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】