説明

リング製本装置及びこのリング製本装置を備えた画像形成システム

【課題】冊子の端面が揃って見栄えの良いリング製本ができるリング製本装置、及びこのリバイ製本装置を備えた画像形成システムを提供すること。
【解決手段】用紙束の一辺に設けるリングバインダ用の穴の穿孔位置を、用紙束を構成する用紙の1枚毎、或いは複数枚毎に変更して設定する設定手段と、前記設定手段で設定された穿孔位置に複数の穴を穿孔する穿孔手段と、穿孔された複数の用紙を収容し整列して用紙束とする用紙収容手段と、整列された用紙束にリングバインダを装着してリング製本を行うリング製本手段と、を備え、用紙束の辺を揃えたリング製本を行うことを特徴とするリング製本装置、及びこのリング製本装置を備えた画像形成システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷された用紙束をリングバインダで綴じるリング製本装置及びこのリング製本装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成システムは、単に印刷を行うだけでなく、種々の後処理を行う後処理装置を備え、事務処理の効率化を図るようになってきた。後処理としては、例えば、パンチ処理、ステープル処理、表紙や挿入紙を挿入するインサータ処理、中折りや三折りなどの折り処理、製本処理などがある。
【0003】
製本処理の一つにリング製本処理があり、このリング製本処理は、用紙束にあけられた複数の穴に、例えば特許文献1に表されるリングバインダを装着してリングを閉じることにより用紙束をリング綴じし、図8に示すような冊子を作成するものである。
【0004】
また、特許文献2は、リング製本に用いるリングバインダ(綴じ具)の他の例を開示している。特許文献2に開示されるリングバインダは、1本の背骨部と背骨部から伸びる複数の指状部を有しており、用紙束のパンチ穴に指状部を挿入し、丸めて背骨部に接続することで丸いリング状のバインダとする構造である。このリングバインダは、冊子の厚さに応じて指状部を背骨部に接続する位置を変更でき、リングバインダの径を適切な大きさとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−30319号公報
【特許文献2】特表2008−505787号公報
【特許文献3】特開2006−15615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、リング製本装置でリングバインダを通す穴の位置は用紙の端部から一定の位置であった。このため、バインド前の用紙束は、図9(a)に示すように、穴位置が揃っているが、リングバインダで製本すると、図9(b)のように、リングバインダの曲率に沿って各用紙の穴位置がずれてしまう。このため、冊子BKの反対側の端面Fは中央が膨らんだ形状となり、見栄えが悪い。
【0007】
特許文献3は、各種アルバムをリング製本する際に、リング径、冊子厚み、冊子大きさ等によってアルバム毎に穴位置を変更する技術を開示している。これにより作製するアルバムに応じた穴位置として用紙をめくりやすくするものである。しかしながら、1つの種類のアルバムの各用紙の穴位置は同一であるため、図9(b)のようにアルバムの反対側の端面Fはやはり中央が膨らんだ形状となる。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑み、冊子の端面が揃って見栄えの良いリング製本ができるリング製本装置、及びこのリング製本装置を備えた画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は以下の構成により達成できる。すなわち、
1.用紙束の一辺に設けるリングバインダ用の穴の穿孔位置を、用紙束を構成する用紙の1枚毎、或いは複数枚毎に変更して設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された穿孔位置に複数の穴を穿孔する穿孔手段と、
穿孔された複数の用紙を収容し整列して用紙束とする用紙収容手段と、
整列された用紙束にリングバインダを装着してリング製本を行うリング製本手段と、
を備え、用紙束の辺を揃えたリング製本を行うことを特徴とするリング製本装置。
【0010】
さらに詳しくは、
2.前記設定手段は、用紙束を構成する用紙の枚数と厚み及びリングバインダのパラメータを取得する取得手段と、該取得手段で取得した数値に基づいて用紙の1枚毎、或いは複数枚毎に穿孔位置を算出する算出手段とを有することを特徴とする前記1に記載のリング製本装置。
3.前記リングバインダのパラメータは、リングバインダの内径の曲率データであることを特徴とする前記1または2に記載のリング製本装置。
4.前記用紙束の穿孔位置は、リングバインダの内径に沿った円弧状に設定されることを特徴とする前記1から3のいずれか一項に記載のリング製本装置。
5.リングバインダの内径と用紙の穴の縁との間に設けるクリアランスの用紙面に沿った方向の距離をBとしたとき、1mm<B<3mmであることを特徴とする前記1から4のいずれか一項に記載のリング製本装置。
6.前記穿孔手段が、穿孔位置に向けて用紙を搬送する搬送ローラと、穿孔位置の上流に設けられたセンサとを有し、該センサが用紙先端を検出してから用紙を停止させるまでの距離を前記設定手段で設定された穿孔位置に応じて変更することを特徴とする前記1から5のいずれか一項に記載のリング製本装置。
7.前記穿孔手段が、用紙搬送方向に移動可能なストッパを備え、該ストッパが前記設定手段で設定された穿孔位置に応じて移動した位置で用紙を停止させ、この位置で穿孔を行うことを特徴とする前記1から5のいずれか一項に記載のリング製本装置。
8.前記穿孔手段が、前記設定手段で設定された穿孔位置に応じて用紙搬送方向に移動可能に構成され、移動した位置で用紙を穿孔することを特徴とする前記1から5のいずれか一項に記載のリング製本装置。
9.用紙に画像を形成する画像形成装置と、該画像形成装置で画像が形成された用紙の束に対してリング製本を行う前記1から8のいずれか一項に記載のリング製本装置と、を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の効果】
【0011】
以上の本発明によれば、冊子の端面がフラットに揃って見栄えの良いリング製本ができるリング製本装置、及びこのリバイ製本装置を備えた画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用する画像形成システムを示す断面図。
【図2】本発明を適用するリング製本装置を示す拡大断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態のリング製本装置を拡大して示す部分断面図。
【図4】本発明によってリング製本された冊子を示す断面図と部分拡大図。
【図5】本発明に係る制御を示すフローチャート。
【図6】本発明に用いるデータのテーブルの一例を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態を示すリング製本装置の部分拡大図。
【図8】リング製本された冊子を示す斜視図。
【図9】従来技術でリング製本された冊子の状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明を適用する画像形成システムを示す断面図である。この画像形成システムは、図の右より大容量給紙装置LT、画像形成装置IF、表紙や仕切紙を用紙束に挿入するインサータ装置IN、リング製本装置LG、各種後処理を行うフィニッシャ装置FNを連結したシステムである。
【0014】
画像形成装置IFは、電子写真方式やオフセット印刷方式などで画像形成を行う機器であり、表示入力手段であるオペレーションパネルOPを有している。また、大容量給紙装置LTは、複数の給紙段を有し、用紙を画像形成装置IFに供給する。用紙は、画像形成装置IFに内蔵される給紙段からも給紙可能である。
【0015】
インサータ装置INは、上部の2段と内部に1段のあわせて3つの給紙トレイIT1、IT2、IT3を備え、色や厚みの異なる表紙用や仕切り用の用紙をセットでき、オペレーションパネルOPから入力された指示に基づいて用紙束の所定位置に上記の用紙を挿入する。
【0016】
また、フィニッシャ装置FNは、ファイル用の2穴パンチを行うパンチ部FN1、平綴じを行う平綴じ部FN2、中綴じを行う中綴じ部FN3、用紙を中折りや三折りする折り部FN4を備え、用紙に各種の後処理を行った後、昇降トレイT1または下部トレイT2に排紙するものである。
【0017】
それぞれの装置は、制御部CL1〜CL5を有し、通信ラインで交信しながら画像形成及び後処理を行う。
【0018】
以上の画像形成システムは例示であって、他の構成であってもよいことは勿論である。
【0019】
図2は、本発明を適用するリング製本装置LGを拡大して示す断面図であり、この図を用いてまずリング製本装置の概略を説明する。
【0020】
図において、水平搬送路1が中央上部を横切って設けられ、上流からの用紙を搬送し、下流のフィニッシャ装置FNに引き渡すようになっている。装置の上部には給紙トレイ2が設けられ、オフラインリング製本を行うときに、この給紙トレイ2から用紙を順次給紙して水平搬送路1に合流させる。また、装置上部には排紙トレイ3も設けられ、フィニッシャ装置FNで後処理を行わない用紙を、この排紙トレイ3に排紙できるようになっている。
【0021】
水平搬送路1の中央から下方に分岐する製本搬送路10が、リング製本を行う用紙を搬送する搬送路である。用紙は、この製本搬送路10を通り、斜めに配置されたトレイ11上を一旦上方に搬送され、製本搬送路10から用紙後端が外れると後述する穿孔位置制御に従って下方に搬送される。
【0022】
なお、このようなスイッチバック搬送を行うのは、次のような理由からである。すなわち、リング製本される冊子は、冊子の用紙の両面に印刷されて見開きで見られることが多い。両面印刷では、裏面印刷の時に用紙を裏返すため、用紙の先端と後端が入替わっている。このため、用紙の先端と後端を元に戻すべく、スイッチバック搬送を行って穴の穿孔を行うべき用紙の縁を先頭側にするのである。
【0023】
しかしながら、単純に用紙を水平搬送路1から製本搬送路10に送り込むストレート搬送にすることも可能である。この場合は、画像形成装置IFやインサータ装置IN、或いはリング製本装置の製本搬送路10の上流に、用紙の先端と後端を入替える反転搬送路を設け、両面印刷時はこの反転搬送路を通すようにしても良い。
【0024】
停止した用紙には、穿孔装置12によりリング製本用の複数の穴があけられる。穿孔装置12は、ダイとパンチとパンチを駆動するカム及びパンチ屑を収容する容器とを有する公知の機構であり、用紙にリングバインダのリングの数だけの穴をあけることができる。
【0025】
穿孔が済んだ用紙は、第2のトレイ13に沿って下方に移動して図示しないストッパに当たって停止し、所定枚数の用紙が溜まると、この用紙束の端部をグリッパ14が保持する。グリッパ14は、片方のグリッパが固定で他方のグリッパが可動に構成され、可動側のグリッパが移動して用紙束を挟み込む。
【0026】
図の中央右側には、2つのカートリッジ15、16が配置される。このカートリッジ15、16にはサイズの異なるリングバインダLBが収容されており、図示しない移動機構により水平方向に移動可能に構成され、いずれかのカートリッジが取り出し位置に移動されるようになっている。実線のカートリッジの右側に示す点線は左側のカートリッジ15が取り出し位置に移動した状態を示している。
【0027】
取り出し位置の下にリングバインド機構17が位置しており、このリングバインド機構17は、軸18の周りに回動されて取り出し位置とバインド位置の間を移動する。
【0028】
リングバインド機構17は取り出し位置において1つのリングバインダLBをカートリッジから取り出し、バインド位置に移動してグリッパ14で保持される用紙束の端部にリングバインダを装着する。装着の方法は、特許文献1に記載の方法など公知の方法によって行われる。
【0029】
リングバインダを装着された冊子は、グリッパ14の下方のベルト搬送装置19(破線位置)に沿って移動し、ストッパSP1に当たって止まる。そして、ベルト搬送装置19が図の実線位置に回動し、ベルトが反時計方向に駆動されて冊子を第2のベルト搬送装置20に引き渡す。第2のベルト搬送装置20は、冊子を搬送し、昇降可能な排出トレイ21に排出する。トレイ21を含む図示の枠線の部分は、装置手前側に引き出せるように構成されており、リング製本された冊子を取り出せるようになっている。
【0030】
さて、本発明は、リング製本した冊子の端面が揃って見栄えの良い冊子とできるリング製本装置を提供するものである。図4(a)は、本発明によりリング製本した冊子BKを示す図であり、冊子BKの右側の端面F、すなわちリングバインダを装着する側の端面と反対側の端面Fはフラットに揃って見栄えに良い状態になっている。このようなリング製本を行うために、本発明では、リングバインダ用の穴の穿孔位置を用紙の1枚毎、或いは複数枚毎に変更する。従って、各用紙のリングバインダ用の穴の縁を結んだ包絡線は、円弧状に湾曲した穴となる。
【0031】
このように用紙の1枚毎、或いは複数枚毎に穿孔位置を変更する第1の実施形態を図3を用いて説明する。
【0032】
図3は、図2のリング製本装置の穿孔装置部分をさらに拡大して示す部分断面図である。図3において、水平搬送路1から製本搬送路10への分岐点には、切換ゲートGが設けられており、モードに応じて搬送経路を切り替える。
【0033】
製本搬送路10は、S字状に湾曲したガイド板と搬送ローラ10aを有し、用紙をトレイ11に導く。製本搬送路10の出口には、トレイ11に面してセンサSSが設けられ、用紙の端部を検知する。トレイ11には、搬送ローラ11a、11bが設けられており、この搬送ローラ11a、11bは、パルスモータで駆動され、正転方向と逆転方向と回転し、パルス数制御による用紙の停止位置制御を行う。
【0034】
図3の構成で、用紙が送られてくると、用紙は、搬送ローラ11a、11bによりトレイ11に沿って上方に送られ、用紙の後端がセンサSSで検出されると、一旦停止する。そして、搬送ローラ11a、11bが逆転方向に回転し駆動パルス数制御によって、用紙を後述する穴の穿孔位置の情報に基づく位置まで搬送する。用紙が所定の位置に来ると搬送ローラ11a、11bは停止し、穿孔装置12(パンチ12a、ダイ12b)が作動して用紙にリングバインダ用の穴を穿孔する。この動作を用紙1枚毎、或いは複数枚毎に用紙の停止位置を変えて行う。
【0035】
このようにして穴を穿孔された用紙は、第2のトレイ13に沿って下方に移動し図示しないストッパに当たって停止し、所定枚数の用紙が溜まると、上述したリングバインド機構17によりリング製本される。リング製本された冊子BKは、図4(a)に示すように、リングバインダと反対側の端面Fがフラットに揃って見栄えの良い冊子となる。
【0036】
本発明は、以上のように穴の穿孔位置を用紙1枚毎、或いは複数枚毎に変えて行うのであるが、その際の穿孔位置の設定・変更の考え方について図4(b)を用いて説明する。
【0037】
いま、本発明に従ってリング製本された冊子BKが、リングバインダの中心と冊子の端部の中点とが、点Pで一致しているとする。冊子の表紙(あるいはウラ表紙)の用紙に対する穴の穿孔位置(用紙端部から穴の端までの距離)をAMIN、冊子の厚み方向中央の用紙(点Pにある用紙)に対する穴の穿孔位置をAMAX、リングバインダの内径を2r、冊子の厚さを2Tとすると、
MIN=(T/tanθ)−B
MAX=r−B
で表すことができる。ここで、θは、用紙の表紙(あるいはウラ表紙)がリングバインダの内径と交わる位置Qと点Pを結ぶ線が、点Pから水平に延びる線となす角度、Bは、リングバインダの内径と用紙の穴の縁との間に設けるクリアランスの用紙面に沿った方向の距離である。
【0038】
図より、sinθ=T/r であるから、tanθ=T/√(r−T)となり、これらの式より、AMINとAMAXとを求め、その間の各用紙に対する穿孔位置を穴の包絡線が、リングバインダの内径とほぼ同じになるように補間演算で求めればよい。
【0039】
一方、任意の用紙の穿孔位置(用紙端部から穴の端までの距離)をA、当該用紙の冊子端部中点からの距離をT、この用紙がリングバインダの内径と交わる位置Qと点Pを結ぶ線がなす角度をθとすれば、
=(T/tanθ)−B
となる。この式から各用紙の穴の穿孔位置を求めても良い。
【0040】
なお、上記説明で、リングバインダの中心と冊子の端部の中点とが、点Pで一致しているとしたのは、リング製本された冊子は見開きで使用されることが多いので、リングバインダの中心に左右に見開きのページ端面が位置するのが最も好適であるからである。
【0041】
また、上記クリアランスBは、リングバインダの種類等に応じて適宜設定してよいが、通常用いられるリングバインダの寸法を考えれば、1mm<B<3mmが好適である。
【0042】
実際には、使用可能なリングバインダの内径に対して製本できる冊子の厚さはある一定の範囲で決まるので、リングバインダの種類(内径)と冊子の厚さに応じた各用紙の穴の穿孔位置をテーブル化して記憶しておき、このテーブルから穴の穿孔位置情報を呼び出して穿孔すればよい。また、冊子の厚さは、使用する用紙の紙種(厚さ、又は坪量)と枚数から決定できる。
【0043】
図5は、以上のような穿孔位置可変のリング製本処理を行う制御の概要を示すフローチャートである。このフローチャートは、リング製本に係る制御をまとめて示しているが、実際は、画像形成装置IFの制御部CL1とリング製本装置LGの制御部CL4が行う制御である。制御部CL1には、オペレーションパネルOPからの上方が入力され、両者が設定手段となる。
【0044】
図5のフローチャートの制御が始まると、まずステップS1のサブルーチンで、リング製本装置LGの初期化やリング製本を行うため切換ゲートG(図3参照)を製本搬送路10側に切換えるなどの制御が行われ、リング製本を行う態勢を整える。
【0045】
次に、ステップS2で、リング製本でリングバインダと反対側の冊子端面をフラットにする条件設定をするかどうか判断する。この判断は、画像形成装置IFのオペレーションパネルOPの条件設定画面での入力を検査して行われる。
【0046】
ステップS2で条件設定を行う場合(Yes)は、ステップS3に進んで冊子に用いる用紙の枚数と紙種(厚さ、又は坪量)を設定し、設定された用紙の枚数と紙種(厚さ、又は坪量)から冊子の厚みを計算する。そして、次のステップS4で、使用するリングバインダの種類(種類を示す記号、或いは内径)を設定する。ステップS3、ステップS4での設定も上記条件設定画面で行う。
【0047】
ステップS3から得られた冊子の厚みとステップS4で設定されたリングバインダの種類から、ステップS5でリングバインダが使用可能かどうかを判定する。これは、オペレータが選択したリングバインダの種類では、良好なリング製本が出来ない場合があるからである。
【0048】
ステップS5でNoの場合はステップS3に戻って再度設定のやり直しを行う。やり直しても適切なリングバインダがない場合は、違う種類のリングバインダのカートリッジをリング製本装置LGに装着して上記のステップを繰り返すようにすればよい。
【0049】
ステップS5でYesとなると、ステップS6に進んで、穴の穿孔位置を算出する。この算出は、制御部CL4のメモリに収納されたテーブルの選択で行う。
【0050】
図6は、テーブルの一例を示している。例えば、冊子の本体用紙が坪量104.7g/m(上質紙で厚さ0.11mm)の用紙を50枚使用し、オモテ表紙とウラ表紙に夫々坪量209.4g/m(上質紙で厚さ0.23mm)の用紙を用いてリング製本を行う場合、冊子の厚みは約6mmとなる。この冊子に対し、内径10mmのリングバインダを選択してリング製本するとする。図6の例では、穿孔位置の変更量を0.1mmずつとし、オモテ表紙、ウラ表紙に近づくに従って少ない枚数で変更している。
【0051】
図6に示すテーブルは、A=AMIN=2mm、AMAX=3mm、B=2mmで設定してあるが、これは一例に過ぎず、例えば、変更量をさらに細かくするとか、変更量を段階的に増減して同じ変更量の用紙の数を合わせるとかに換えてもよい。このようなテーブルがリングバインダの種類と冊子の厚さに応じて複数用意され、メモリに格納されている。
【0052】
図5のフローチャートに戻って、ステップS6の次にステップS7で画像形成装置IFに印刷を開始させ、ステップS8で、画像形成装置IFから送られてくる用紙の夫々を、図6の穿孔位置に設定して穿孔を行う。全ての用紙への穿孔が終了すると、ステップS9で用紙束を製本位置に移動させて、ステップS10でリング製本処理を行う。
【0053】
一方、ステップS2でNoの場合は、端面をフラットにする処理を行わない場合であり、例えば、冊子の厚さが薄く端面フラット化が不要な場合や、社内文書で見栄えまで気にしない場合である。このときは、ステップS11に進み、使用するリングバインダの種類(種類を示す記号、或いは内径)を設定して、ステップS12で印刷を開始し、ステップ13で穿孔位置を固定して穿孔を行う。全ての用紙の穿孔が終了すれば、ステップS9、ステップS10で処理を行う。
【0054】
以上のようにリング製本する用紙の穴の穿孔位置を変更するので、リング製本された冊子の端面はフラット化でき、見栄えの良い冊子とできるのである。
【0055】
以上説明した穿孔位置の変更は、穿孔装置での用紙の停止位置を、パルスモータの駆動制御による搬送ローラの停止位置制御で行ったが、他の方法も可能である。以下に第2の実施形態を説明する。
【0056】
図7は、穿孔装置12における用紙の停止を、位置変更可能なストッパSP2で行う実施形態である。具体的には、ダイ12bの間から用紙搬送路に伸びるストッパSP2が穿孔装置12に設けられている。パンチとダイは紙面垂直方向に複数並んでおり、ストッパSP2はこの間に複数設けられる。このストッパSP2は、用紙を停止させる侵入位置と用紙搬送路から退避する退避位置の間を矢印Aのように回動可能であり、かつストッパSP2全体を、用紙搬送路と平行に矢印A方向に移動可能に保持する移動部材12c上に設けられている。矢印Aの回動、矢印Bの平行移動を行う機構は、図示を省略してあるが、公知の機構を用いることができる。
【0057】
上記の構成で、各用紙に対する穴の穿孔位置が変更されると、移動部材12cが用紙搬送方向と平行に前後に移動してストッパSP2の位置を変更し、これによって穿孔位置を調整するものである。穿孔位置を変更する設定は、上述した図5のフローチャート、及び図6のテーブルを用いて同様に行うことができる。なお、ストッパSP2を穿孔装置12の内部に設けたが、穿孔装置12のサイズが小さく出来る場合は、穿孔装置の外側に設けることも可能である。
【0058】
また、更なる変形例として、穿孔装置12全体を用紙搬送方向に移動させるように構成しても良い。なお、請求項に記載の穿孔手段は、上述の第1の実施形態におけるトレイ11、用紙を穿孔位置に停止させる搬送ローラ11a、11b、センサSS、及び穿孔装置12、第2の実施形態の可動ストッパSP2を有する穿孔装置12、或いは変形例の全体が可動の穿孔装置12が対応する。
【0059】
以上は、リングバインダ用の穴の穿孔位置を変更する実施形態であるが、他の変形として穴の大きさを変更することもできる。すなわち、穴の大きさを、用紙束の中央を大きく、オモテ表紙、ウラ表紙に向かうに従って小さくするようにすれば、穴のリングバインダ外径側の穴の縁が円弧状となり、冊子の端面はフラットにできる。
【0060】
さらに、これまで説明してきたリングバインダは、特許文献1に記載のものであるが、本発明を特許文献2に開示のリングバインダにも適用できることは勿論である。この際、特許文献2のリングバインダは、冊子の厚さに応じて指状部を背骨部に接着する位置を変更できるので、冊子の厚さに応じたリングバインダの径にできる。従って、この場合は、まず冊子の厚さからリングバインダの径(指状部を背骨部に接着する位置)を定め、その後上記と同様に穴の穿孔位置を設定すればよい。
【符号の説明】
【0061】
IF 画像形成装置
OP オペレーションパネル
LG リング製本装置
LB リングバインダ
BK 冊子
10 製本搬送路
11、13 トレイ
11a、11b 搬送ローラ
SS センサ
12 穿孔装置
12a パンチ
12b ダイ
12c 移動部材
SP1、SP2 ストッパ
14 グリッパ
15、16 カートリッジ
17 リングバインド機構
19、20 ベルト搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束の一辺に設けるリングバインダ用の穴の穿孔位置を、用紙束を構成する用紙の1枚毎、或いは複数枚毎に変更して設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された穿孔位置に複数の穴を穿孔する穿孔手段と、
穿孔された複数の用紙を収容し整列して用紙束とする用紙収容手段と、
整列された用紙束にリングバインダを装着してリング製本を行うリング製本手段と、
を備え、用紙束の辺を揃えたリング製本を行うことを特徴とするリング製本装置。
【請求項2】
前記設定手段は、用紙束を構成する用紙の枚数と厚み及びリングバインダのパラメータを取得する取得手段と、該取得手段で取得した数値に基づいて用紙の1枚毎、或いは複数枚毎に穿孔位置を算出する算出手段とを有することを特徴とする請求項1に記載のリング製本装置。
【請求項3】
前記リングバインダのパラメータは、リングバインダの内径の曲率データであることを特徴とする請求項1または2に記載のリング製本装置。
【請求項4】
前記用紙束の穿孔位置は、リングバインダの内径に沿った円弧状に設定されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のリング製本装置。
【請求項5】
リングバインダの内径と用紙の穴の縁との間に設けるクリアランスの用紙面に沿った方向の距離をBとしたとき、1mm<B<3mmであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のリング製本装置。
【請求項6】
前記穿孔手段が、穿孔位置に向けて用紙を搬送する搬送ローラと、穿孔位置の上流に設けられたセンサとを有し、該センサが用紙先端を検出してから用紙を停止させるまでの距離を前記設定手段で設定された穿孔位置に応じて変更することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のリング製本装置。
【請求項7】
前記穿孔手段が、用紙搬送方向に移動可能なストッパを備え、該ストッパが前記設定手段で設定された穿孔位置に応じて移動した位置で用紙を停止させ、この位置で穿孔を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のリング製本装置。
【請求項8】
前記穿孔手段が、前記設定手段で設定された穿孔位置に応じて用紙搬送方向に移動可能に構成され、移動した位置で用紙を穿孔することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のリング製本装置。
【請求項9】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、該画像形成装置で画像が形成された用紙の束に対してリング製本を行う請求項1から8のいずれか一項に記載のリング製本装置と、を備えたことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−45879(P2012−45879A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191891(P2010−191891)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】