説明

リン光エレクトロルミネセンス素子

本発明は、陰極および陽極、並びに少なくとも1つの発光層を含み、前記層が、ある種の元素を含む少なくとも1種のマトリックス材料A、および三重項状態から光を放射する少なくとも1種のエミッタ材料Bを含む有機エレクトロルミネセンスデバイス。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
最も広い意味で電子工業であるとされ得る一連の様々なアプリケーションにおいて、機能性材料としての有機半導体の利用は、かねてから実現されており、また、近い将来において期待される。可視スペクトル領域において光を放射することができる半導体有機化合物の利用は、例えば、有機エレクトロルミネセンスデバイス(OLED)において、市場への導入が開始されたばかりである。比較的簡単なデバイスについては、「有機ディスプレイ」を有するパイオニア社製のカーラジオまたはコダック社性のデジタルカメラにより確認されるように、OLEDの市場への導入が既に行われている。それにも関わらず、技術上の改良についての大きな要求がなお存在する。
【0002】
つい最近の開発は、蛍光(=一重項発光)に代えてリン光(=三重項発光)を示す有機金属錯体の使用である(M.A.バルドー(Baldo)等、Appl. Phys. Lett. 1999, 75, 4-6)。量子力学的理由のために、このタイプのエミッタを用いると、量子効率、エネルギー効率およびパワー効率の最大で4倍の上昇が可能となる。しかしながら、OLEDにおけるこれらの利点を実行することができる対応するデバイス組成物を、この目的のために見出す必要がある。ここで述べる必要がある実用化のための必須条件は、とりわけ、三重項状態への効率的なエネルギー移行、および従って、効率的な発光、長い駆動寿命、並びに低い使用電圧および駆動電圧である。
【0003】
有機エレクトロルミネセンスデバイスの一般的な構造は、例えば、US 4539507、US 5151629、および EP 01202358 に記載されている。リン光デバイスにおける発光層は、通常、マトリックス材料中にドープされるリン光染料、例えば、トリス(フェニルピリジル)イリジウム(Ir(PPy))から成る。このマトリックス材料は、特有の役割を有する。すなわち、これは正孔および/または電子の電荷輸送/または電荷担体再結合を促進する、または改善する必要があり、および適切な場合には、再結合時に生成されるエネルギーをエミッタに移行させる。この働きは、これまで、主に、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)のような、カルバゾールに基づくマトリックス材料により担われていた。加えて、ケトンおよびイミン( WO 04/093207 )およびホスフィンオキシド、スルホキシド、スルホン等が、最近では、マトリックス材料として、近年述べられている(未公開出願 DE 10330761.3 )。
【0004】
カルバゾールに基づくマトリックス材料は、実際面でのいくつかの不利な点を有する。これらは、とりわけ、デバイスのしばしば短い寿命としばしば高い駆動電圧であり、これは、低いパワー効率をもたらす。さらに、CBPは、青色発光エレクトロルミネセンスデバイスには適しておらず、低い効率をもたらすということが見出されている。加えて、CBPを含むデバイスの構造は、正孔障壁層と電子輸送層をさらに用いる必要があるために、非常に複雑である。これらのさらなる層を用いないと、例えば、アダチ等(Organic Electronics 2001, 2, 37)に記載されるように、非常に低い輝度においてのみ良好な効率は観察されるが、一方、使用に必要な、より高い輝度における効率は、一桁を超えてより低い。つまり、高い電圧が高い輝度のために必要とされ、とりわけパッシブマトリクスアプリケーションにおけるパワー効率は、ここでは非常に低い。
【0005】
WO 00/057676 は、キノキソレート(quinoxolate)、オキサジアゾールおよびトリアゾールの金属錯体の群からのマトリックス材料を述べており、ここで、他のマトリックス材料に対するこれらのマトリックス材料の利点は述べられておらず、述べられる唯一の例は、Alq(トリス(ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)である。
【0006】
WO 04/095598 は、三重項エミッタのためのマトリックス材料として、炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛、セレニウム、チタン、ジルコニウムおよびハフニウムの元素のテトラアリール化合物を記載している。
【0007】
急を要する改善を必要とするOLEDにおけるかなりの問題がなお存在する。
【0008】
1.中でも、とりわけ、OLEDの駆動寿命はなお短く、これまでは、簡単なアプリケーションを市販することのみが可能であったことを意味する。
【0009】
2.OLEDの効率がどうにか条件を満たしていても、特に、携帯アプリケーションのために、ここでの改善がなお所望される。
【0010】
3.必要とされる駆動電圧は、特に、効率的なリン光OLEDにおいては高く、従って、パワー効率を改善するためには、低減させる必要がある。このことは、携帯アプリケーションについて非常に重要である。
【0011】
4.様々な層は、OLEDの構造を複雑且つ技術的に非常に煩雑にする。このことは、特にリン光OLEDに当てはまり、ここでは、他の層に加えて、正孔障壁層もまた、用いる必要がある。従って、より少数の層を有する、より簡単な構造を有するOLEDを、なお良好なまたは改善された性質を伴って得ることを可能にすることは、非常に有利である。
【0012】
これらの理由は、OLEDの製造における改善を必要とする。
【0013】
驚くべきことに、三重項エミッタと組み合わせてある種のマトリックス材料を用いると、大いに延長された寿命および低減された駆動電圧と併せて、とりわけ効率に関して、従来技術に対して有意な改善をもたらす。加えて、これらのマトリックス材料は、別個の正孔障壁層、または別個の電子輸送層および/若しくは電子注入層を用いる必要がないために、OLEDの著しく簡素化された層構造を可能にする。材料によっては、別個の正孔輸送層もまた省略することができ、これは、同様に、かなりの技術的な利点を示す。原子番号≧15を有する少なくとも1種の元素の存在が、効率的なエネルギー移行のために、ここでは必要である。
【0014】
本発明は、陰極および陽極並びに少なくとも1つの発光層を含み、この発光層が、
原子番号≧15を有する少なくとも1種の元素を含む少なくとも1種のマトリックス材料Aを含み、但し、このマトリックス材料は、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ga、InまたはTl元素のいずれをも含まず、且つ希ガス化合物ではなく、さらに、L=X(式中、Lは、置換されたC、P、As、Sb、Bi、S、SeまたはTeを示し、およびXは、少なくとも1つの非結合性電子対を有する)の部分構造を有するマトリックス材料Aは除かれ、元素Se、Ti、ZrおよびHfのテトラアリール化合物は除かれ、およびキノキソレート(quinoxolate)、オキサジアゾールおよびトリアゾールの金属錯体は、マトリックス材料として除かれ、並びに
好ましくは可視領域において、適切な励起時に、三重項状態から光を放射し、20よりも大きい原子番号を有する少なくとも1種の元素を含む少なくとも1種の発光材料Bを含む
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイスに関する。
【0015】
上で用いられる記号「=」は、ルイス表記の意味での二重結合を表す。Xは、例えば、置換されたO、S、SeまたはNを表し得る。
【0016】
マトリックス材料の最も低い三重項エネルギーは、好ましくは、2〜4eVである。最も低い三重項エネルギーを、ここでは、分子の一重項基底状態と最も低い三重項状態との間のエネルギー差として定義する。三重項エネルギーを、種々の分光方法により、または量子化学計算により決定することができる。この三重項状態は、三重項エミッタへのマトリックス材料のエネルギー移行が非常に効率的に進行し、従って、三重項エミッタからの発光の高い効率をもたらすために、有利であると判明した。<2eVの三重項エネルギーは、一般に、赤色発光三重項エミッタについてさえも、効率的なエネルギー移行に十分ではない。その三重項エネルギーが、用いられる三重項エミッタBの三重項エネルギーよりも大きいマトリックス材料Aが好ましい。マトリックス材料Aの三重項エネルギーは、好ましくは、三重項エミッタBのものよりも少なくとも0.1eV大きく、特には、三重項エミッタBのものよりも0.5eV大きい。
【0017】
ディスプレイの高い熱的安定性を確実にするために、ガラス転移温度Tg(純物質として測定)が、90℃よりも高い、特に好ましくは110℃よりも高い、とりわけ130℃よりも高い、アモルファスのマトリックス材料Aが好ましい。
【0018】
蒸着プロセス中、材料が安定であるためには、これらは、好ましくは200℃よりも高い、特に好ましくは300℃よりも高い、高い熱的安定性を好ましくは有する。
【0019】
マトリックス材料Aは、好ましくは、非荷電化合物を含む。これらは、塩よりも好ましく、何故なら、これらは、一般的に、イオン性結晶格子を形成する荷電した化合物と比べてより容易に、またはより低い温度で蒸発することができるためである。加えて、塩は、結晶化に対して高められた傾向を有し、これは、ガラス様の相の形成に逆らう。
【0020】
マトリックス材料Aは、さらに、好ましくは、規定分子化合物を含む。
【0021】
基底状態におけるマトリックス材料と三重項エミッタとの間の電子移動を抑制するために、マトリックス材料AのLUMO(最低空軌道)が、三重項エミッタBのHOMO(最高被占軌道)よりも高いことが好ましい。同じ理由のために、三重項エミッタBのLUMOが、マトリックス材料AのHOMOよりも高いことが好ましい。
【0022】
より高い(より負でない)HOMOを有する発光層の化合物は、主に、正孔電流に関与する。マトリックス材料Aであるかまたは三重項エミッタBであるかどうかに関わらず、この化合物のHOMOが、正孔輸送層または正孔注入層または陽極(これらの層のどれが、直接発光層に隣接しているかに依存して)のHOMOの±0.5eVの範囲にあることが好ましい。マトリックス材料Aであるかまたは三重項エミッタBであるかどうかに関わらず、この化合物のLUMOが、正孔障壁層または電子輸送層または陰極(これらの層のどれが、直接発光層に隣接しているかに依存して)のLUMOの±0.5eVの範囲にあることが好ましい。
【0023】
発光層の電荷担体移動度は、OLEDにおいて生じる電界強度下で、好ましくは、10−8〜10−1cm/V・sである。
【0024】
HOMOまたはLUMOの位置を、種々の方法、例えば、溶液電気化学、例えばサイクリックボルタンメトリーにより、またはUV光電子分光法により決定することができる。加えて、LUMOの位置を、電気化学的に決定したHOMOおよび吸光光度法により光学的に決定されたバンド分離から計算することができる。
【0025】
さらに、電子移動(酸化および/または還元)の間、主に安定である、すなわち、可逆的な還元または酸化を主に示す材料が好ましい。つまり、電子伝導材料が、とりわけ、還元中には安定なままであり、正孔伝導材料が、酸化の間には安定なままである必要がある。「安定」または「可逆的」とは、ここでは、材料が、還元または酸化の間、分解または転位のような化学変化を殆ど示さない、または全く示さないということを意味する。
【0026】
マトリックス材料のHOMOの位置またはLUMOの位置を、デバイスにおける個別の条件に広範囲に渡って適合させることができ、従って、最適化することができる。つまり、これらを、化学修飾によりシフトさせることができる。これは、例えば、配位子系を保持したまま中心原子を変えるか、若しくは置換基を変えることによって、または、配位子上に他の置換基、特に電子供与置換基または電子吸引置換基を導入することによって可能となる。当業者は、理想的な発光性質が全体として得られるように、それぞれの三重項発光材料のためのマトリックスの性質を調節することができる。
【0027】
さらに、ゼロ以外の双極子モーメントを有するマトリックス材料Aは、特に有利であると判明した。しかしながら、複数の同一の分子フラグメントを含む材料の場合においては、全体としての双極子モーメントは消滅し得る。この理由のために、このような場合における好ましいマトリックス材料の決定のために本発明において考慮しようとするものは、全体としての双極子モーメントではなく、代わりに、原子番号≧15を有する元素の周囲の分子フラグメント(すなわち、分子の一部)の双極子モーメントである。≧1Dのマトリックス材料Aの(または、原子番号≧15を有する元素の周囲の分子フラグメントの)双極子モーメントが好ましく、≧1.5Dが特に好ましい。双極子モーメントを、量子化学計算により決定することができる。
【0028】
マトリックス材料Aは、有機物または無機物のいずれかであり得る。これは、金属が主族金属若しくは遷移金属、またはランタノイドのいずれかであり得る場合には、有機金属化合物または配位化合物を含み得、および化合物は、単環または多環のいずれかであり得る。この出願の目的上、有機金属化合物とは、少なくとも1つの直接の金属−炭素結合を有する化合物である。この出願の目的上、配位化合物とは、直接の金属−炭素結合を含まない金属錯体であり、この場合には、配位子は、有機物であり得、また、純粋な無機配位子でもあり得る。
【0029】
上に述べた通り、適切なマトリックス材料Aは、原子番号≧15を有する少なくとも1種の元素を有するが、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ga、InまたはTl元素を含まず、およびSe、Ti、ZrまたはHf元素のテトラアリール化合物ではない化合物である。実用性を考慮して、希ガス化合物(不安定な、または低融点化合物)は、同様に除外される。放射性元素の化合物は、健康上の理由のために、マトリックス材料として好ましくない。適切な材料は、主族元素の化合物および副族元素の化合物であり得る。主族元素の適切なマトリックス材料は、アルカリ金属であるカリウム、ルビジウムまたはセシウムの化合物であり得、さらに、アルカリ土類金属であるカルシウム、ストロンチウムまたはバリウムの化合物、第5主族(IUPACによれば15族)、すなわち、リン、ヒ素、アンチモンまたはビスマスである重元素の化合物、第6主族(IUPACによれば16族)、すなわち、硫黄、セレンまたはテルルである重元素の化合物、またはハロゲンである塩素、臭素またはヨウ素の化合物であり得る。第5主族および第6主族の化合物の場合においては、有機分子化合物が特に適している。副族元素、すなわち、遷移金属化合物(Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、またはHg元素の化合物)、およびランタノイド化合物(La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbまたはLu元素の化合物)もまた、適している。
【0030】
マトリックス材料が、同一であるか異なり得る2以上の上記の元素を含むこともまた、ここでは好ましいであろう。原則として、ここでの適切な化合物は、Houben-Weyl、Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry](4th edition, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, 1964)の9巻(S、Se、Te)、12/1および12/2巻(P)、13/1巻(Li、Na、K、Rb、Cs、Cu、Ag、Au)、13/2a巻(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd)、13/2b巻(Hg)、13/7巻(Pb、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、W)、13/8巻(As、Sb、Bi)、13/9a巻(Mn、Re、Fe、Ru、Os、Pt)、13/9b巻(Co、Rh、Ir、Ni、Pd)、並びに1982年の補遺編E1およびE2(P)およびE12、b(Te)に記載されるものである。
【0031】
好ましい化合物は、固体状態でディスクリート構造(discrete structure)を形成するディスクリート分子化合物または配位化合物である。塩、配位ポリマー等は、これらは、一般的に、蒸発するのが困難であるか、全く蒸発しないために、より適さない。塩は、その結晶化に対する傾向のために、より適さない。溶液からの処理のために、化合物は、三重項エミッタが溶解できる溶媒中に可溶である必要がある。
【0032】
遷移金属の化合物、および第5、第6および第7主族の元素の化合物が好ましく、遷移金属の化合物、および第5および第6主族の元素の化合物が特に好ましい。
【0033】
第5主族の元素(リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマス)の適切な化合物は、好ましくは、有機リン化合物、および対応するヒ素、アンチモンおよびビスマス化合物である。
【0034】
芳香族若しくは脂肪族ホスフィン若しくはホスファイト、並びに対応するAs、SbおよびBi化合物が、ここでは特に適している。有機リンハライド若しくは有機リン水酸化物(並びに対応するAs、SbおよびBi化合物)も可能であり、ここで、特に、アルキル化合物は、時として自然発火性であり、従って、好ましくない。同様に、元素−元素多重結合、ホスファ(phospha)−芳香族化合物およびアルサ(arsa)−芳香族化合物(例えば、ホスファ−ベンゼン誘導体およびアルサ−ベンゼン誘導体)、並びに不飽和5員環(例えば、ホスホール(phosphol)およびアルソール(arsol)を含む化合物が適している。さらに、ホスホラン(五価のリン化合物)および五価の有機ヒ素化合物、および対応する五価の有機ヒ素ハライドまたは有機ヒ素水酸化物(および対応するSbおよびBi化合物)が適しており、ここで、熱的安定性は、ハロゲン含有量が高くなるほど低下するので、これらの化合物は、あまり好ましくない。
【0035】
さらに、例えば、P、PまたはPのような、リン−硫黄二重結合硫化リンを含む硫化リンが好ましい。
【0036】
第6主族の元素(硫黄、セレンおよびテルル)の適切な化合物は、特に、芳香族チオールまたは脂肪族チオール(または対応するセレン化合物およびテルル化合物)、有機硫黄ハライド(または対応するセレン化合物およびテルル化合物)、芳香族チオエーテルまたは脂肪族チオエーテル(またはセレノエーテルまたはテルロエーテル(telluroether))、または芳香族ジスルフィドまたは脂肪族ジスルフィド(またはジセレニドまたはジテルリド(ditelluride))のような、有機硫黄化合物(または対応するセレンおよびテルル化合物)である。さらに、例えば、チオフェン、ベンゾチオフェンまたはジベンゾチオフェンの誘導体のような硫黄含有芳香族化合物(または、例えばセレノフェン、テルロフェン(tellurophene)等のような対応するセレン化合物およびテルル化合物)が好ましい。
【0037】
ハロゲンの適切な化合物は、例えば、有機ハロゲン化合物であり、また、塩素、臭素またはヨウ素が、上記の元素、例えば、S、Se、Te、P、As、SbまたはBiに結合した化合物でもあるが、これらは、高い加水分解感度のために、好ましくない。
【0038】
特に好ましいマトリックス材料は、3〜60個のC原子を有する置換または無置換の芳香族環構造または複素環式芳香族環構造の少なくとも1つにより置換された第5または第6主族の少なくとも1つの元素を含む化合物であり、特に、第5または第6主族の元素上の全ての置換基が、3〜60個のC原子を有する芳香族環構造または複素環式芳香族環構造である、式(A)または式(B)のものである。
【化2】

【0039】
(式中、以下が、用いられる記号に適用される。すなわち、
Xは、出現毎に、P、As、SbまたはBiであり、好ましくはPまたはAsであり、特に好ましくはPであり、
Yは、出現毎に、S、SeまたはTeであり、好ましくはSまたはSeであり、特に好ましくはSであり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、3〜60個のC原子を有する芳香族環構造または複素環式芳香族環構造であり、これは、Fまたは1〜40個のC原子を有する有機基により置換されていてもよく、好ましくは、6〜40個のC原子を有する芳香族環構造である)。
【0040】
本発明の好ましい態様において、Arは、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントレニル、ピリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、ジヒドロフェナントレニル、テトラヒドロピレニルまたはこれらの系のうちの2つまたは3つの組み合わせを表す。特に好ましくは、Ar基のうちの少なくとも1つは、フルオレニルまたはスピロビフルオレニルを表し、非常に特に好ましくは、全てのAr基は、フルオレニルまたはスピロビフルオレニルを表す。
【0041】
ランタノイドの化合物の場合のように遷移金属元素の化合物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の化合物の場合において、3つの物質のクラス、すなわち、有機金属化合物、有機配位化合物および純粋な無機金属錯体が、原則として考えられる。金属化合物の場合において、遷移金属元素の化合物が好ましい。これらは、それぞれ、1以上の金属原子、または金属クラスターを含有し得る。多核金属錯体において、金属は、架橋配位子および/または直接の金属−金属結合により結合され得る。他の結合において三重項エミッタとして用いられ得る化合物は、ここでは、マトリックス材料として、非常に適切であるし、好ましいということを、この点において明示的に指摘しておく。つまり、例えば、例えばトリス(フェニルピリジル)イリジウム(III)(IrPPy)のような緑色発光三重項エミッタは、また、赤色発光三重項エミッタのための優れたマトリックス材料であり得、この組み合わせにおいて、非常に効率的な赤色発光をもたらし得る。
【0042】
有機金属化合物の概説を、例えば、包括有機金属化学(Comprehensive Organometallic Chemistry):有機金属化合物の合成、反応および構造(The Synthesis, Reaction and Structure of Organometallic Compounds)、1〜9巻、ウィルキンソン編集、Pergamon Press, Oxford, 1982に、包括有機金属化学−II、1〜14巻、アベル編集、Pergamon Press, Oxford, 1995に、Elschenbroich, Salzer, Organometallchemie[有機金属化学(Organometallic Chemistry)], Teubner Studienbuecher, Stuttgart, 1993 に見出すことができる。非有機金属金属錯体の概説を、例えば、Hollemann, Wiberg, Lehrbuch der Anorganischen Chemie[無機化学のテキストブック(Textbook of Inorganic Chemistry)], Walter de Gruyter, Berlin, 1985に、ヒューイ(Huheey)、 ケイタ(Keiter)、 ケイタ, 無機化学(Inorganic Chemistry)、ハーパーコリンズ、ニューヨーク、1993に、および包括配位化学(Comprehensive Coordination Chemistry)に見出すことができる。
【0043】
例えば、ハロゲン化された主族元素化合物、多核金属錯体、ホスフィン配位子またはハロゲン配位子を有する金属錯体等のような、原子番号≧15を有する2以上の元素(これらは、同一であるか異なり得る)を含み得る化合物もまた、好ましいであろう。同様に、上記の条件に合致する2種以上のマトリックス材料Aの混合物を使用することも、さらに好ましい。
【0044】
機能性材料として用いるために、マトリックス材料AとエミッタBは、真空蒸着、キャリアガス流における蒸着、または溶液からスピンコーティング、または種々の印刷プロセス(例えばインクジェット印刷、オフセット印刷、LITI印刷等)を用いることによるような、当業者に良く知られる一般的な既知の方法により、基板にフィルムの形態で適用される。
【0045】
処理によって、さらなる必要条件が、マトリックス材料Aおよび三重項エミッタBについて判断される。真空蒸着により層を形成することを目的とする場合には、材料を、分解を伴わずに減圧下で蒸発させることが必要である。このことは、材料の適切な揮発度および高い熱的安定性を必要とする。例えば印刷技術によって、溶液から層を形成することを目的とする場合には、材料が、適切な溶媒または溶媒混合物中での十分に高い溶解度、好ましくは≧0.5%を有することが必要である。
【0046】
上記のマトリックス材料Aを、リン光エミッタBと組み合わせて用いる。よって、製造される有機エレクトロルミネセンスデバイスは、エミッタBとして、適切な励起時に、好ましくは可視領域において光を放射し、加えて、20よりも大きい、好ましくは38よりも大きく84未満の、特に好ましくは56よりも大きく80未満の原子番号を有する少なくとも1種の原子を含有する少なくとも1種の化合物を含む。
【0047】
用いられるリン光エミッタBは、好ましくは、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユーロピウム、とりわけイリジウムまたは白金を含有する化合物である。
【0048】
特に好ましい混合物は、エミッタBとして、式(1)〜(4)の少なくとも1つの化合物を含む
【化3】

【0049】
(式中、以下が、用いられる記号および添え字に適用される。すなわち、
DCyは、出現毎に同一であるか異なり、少なくとも1つのドナー原子、好ましくは窒素またはリンを含有し、これを介して、環式基が金属に結合している環式基であり、およびこれは、1以上の置換基Rを有していてもよい;DCy基およびCCy基は、少なくとも1つの共有結合を介して互いに結合し、
CCyは、出現毎に同一であるか異なり、炭素原子を含有し、これを介して、環式基が金属に結合している環式基であり、およびこれは、1以上の置換基Rを有していてもよく、
は、出現毎に同一であるか異なり、H、F、Cl、Br、I、NO、CN、1〜40個のC原子を有する直鎖の、分岐のまたは環状のアルキル基若しくはアルコキシ基(ここで、1以上の非隣接のCH基は、−O−、−S−、−NR−または−CONR−により置き換えられてもよく、および1以上のH原子は、Fにより置き換えられてもよい)、または4〜14個のC原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基(これは、1以上の非芳香族基Rにより置換されてもよい)であり、同一環上および2つの異なる環上双方の複数の置換基Rは、互いに、さらなる単環または多環の芳香族環構造または脂肪族環構造を形成してもよく、
Aは、出現毎に同一であるか異なり、二座のキレート配位子、好ましくはジケトナート配位子であり、
は、出現毎に同一であるか異なり、Hまたは1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、
ここで、複数の配位子は、架橋単位としての1以上の置換基Rを介して結合されてもよく、より大きな多座配位子を形成する)。
【0050】
上記したエミッタの例は、特許出願 WO 00/70655、WO 01/41512、WO 02/02714、WO 02/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 04/081017、および未公開特許出願 DE 10345572.8 に与えられる。
【0051】
発光層が、2種以上の三重項エミッタを含むことも好ましいであろう。
【0052】
発光層が、少なくとも1種のマトリックス材料Aおよび少なくとも1種のエミッタBに加えて、1種以上のさらなる化合物を含むこともまた、好ましいであろう。
【0053】
有機エレクトロルミネセンスデバイスの発光層は、発光層の全組成に基づいて、99〜1重量%の、好ましくは97〜5重量%の、特に好ましくは95〜50重量%の、とりわけ93〜80重量%のマトリックス化合物Aを含む。
【0054】
発光層は、さらに、発光層の全組成に基づいて、1〜99重量%の、好ましくは3〜95重量%の、特に好ましくは5〜50重量%の、とりわけ7〜20重量%のエミッタBを含む。
【0055】
陰極、陽極および発光層に加えて、有機エレクトロルミネセンスデバイスは、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、および/または電子注入層のようなさらなる層を含んでいてもよい。これらの層のそれぞれは、特には電荷注入層および電荷輸送層は、ドープされていてもよい。しかしながら、これらの層のそれぞれは、必ずしも存在する必要はないという点を指摘しておく。つまり、例えば、別個の正孔障壁層も別個の電子輸送層のいずれも含まないOLEDが、エレクトロルミネセンスにおける非常に良好な結果、特に、極めてより高いパワー効率をなお示し得るということが見出されている。正孔障壁層および電子輸送層を伴わない、カルバゾール含有マトリックス材料を含む対応するOLEDが、非常に低いパワー効率のみを示す(例えば、アダチ等、Organic Electronics 2001, 2, 37)ために、このことは特に驚くべきことである。
【0056】
別個の正孔輸送層および/または正孔注入層を含まないOLEDが、さらに、エレクトロルミネセンスにおいて非常に良好な結果を示すことが、同様に見出されている。これは、とりわけ、正孔伝導マトリックス材料Aを用いる場合である。
【0057】
従って、本発明は、さらに、正孔障壁層を用いずに、発光層が直接的に電子輸送層に隣接している、または正孔障壁層および電子輸送層を用いずに、発光層が電子流入層または陰極に直接的に隣接している、本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスに関する。
【0058】
本発明は、さらに、正孔輸送層を用いずに、発光層が正孔注入層に直接的に隣接している、または正孔輸送層および正孔注入層を用いずに、発光層が陽極に直接的に隣接している、本発明による有機エレクロトルミネセンスデバイスに関する。
【0059】
さらに可能性のあるデバイス構造は、マトリックス材料Aおよび三重項エミッタBを含む本発明による発光層であって、層に垂直なマトリックスA中のエミッタBのドープ領域が、マトリックス層の一部に渡ってのみ伸びていることを特徴とする発光層を含む。これは、既に、未公開特許出願 DE 10355381.9 における他のマトリックス材料について記載されている。このデバイス構造において、別個の正孔障壁層の使用は必要なく、および別個の電子輸送層もまた、用いられる必要が必ずしもない。
【0060】
有機エレクトロルミネセンスデバイスは、マトリックス材料としてCBPを用いる従来技術に従うOLEDと比べて、より高い効率、有意により長い寿命、並びに特に正孔障壁層と電子輸送層を伴わずに、有意により低い駆動電圧およびより高いパワー効率を示す。別個の正孔障壁層および/若しくは電子輸送層、または別個の正孔輸送層および/若しくは正孔注入層を用いない場合に、OLEDの構造は、さらにかなり簡素化され、このことは、かなりの技術的な利点を示す。
【0061】
本明細書は、有機発光ダイオードおよび対応するディスプレイにのみ関する。この記載の制限にも関わらず、当業者は、さらなる発明を必要とすることなく、マトリックス材料Aおよび三重項エミッタBの対応する混合物を、他のアプリケーション、とりわけ、例えば、有機太陽電池(O−SC)、有機レーザーダイオード(O−laser)、有機電界効果トランジスタ(O−FET)、有機薄膜トランジスタ(O−TFT)およびその他のような、OLEDに近いまたは関連するアプリケーションに用いることが可能である。
【0062】

例1:量子化学計算による適切な化合物の決定
いくつかの化合物の電子性質を、量子化学計算により決定した。構造(geometry)を、ハートリー−フォック計算(6−31g(d))を用いて最適化した。HOMO値とLUMO値、および双極子モーメントを、DFT(密度関数理論)計算(B3PW91/6−31g(d))により決定した。三重項レベルを、RPA(ランダム・フェーズ近似)(B3LYP/6−31+g(d))により決定した。全ての計算を、ガウス98ソフトウェアパッケージを用いて行った。
【0063】
量子化学性質(必ずではないが、ガラス転移温度のような他の性質)が、三重項マトリックス材料に適しているいくつかの化合物を、表1に挙げる。
【表1】

【0064】
表1:三重項マトリックス材料として(これらの性質に基づいて)適切ないくつかの化合物の計算した物理的性質。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極および陽極並びに少なくとも1つの発光層を含む有機エレクトロルミネセンスデバイスであって、前記発光層が、
原子番号≧15を有する少なくとも1種の元素を含む少なくとも1種のマトリックス材料Aを含み、但し、このマトリックス材料は、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ga、InまたはTl元素のいずれをも含まず、且つ希ガス化合物ではなく、さらに、L=X(式中、Lは、置換されたC、P、As、Sb、Bi、S、SeまたはTeを示し、およびXは、少なくとも1つの非結合性電子対を有する)の部分構造を有するマトリックス材料Aは除外し、元素Se、Ti、ZrおよびHfのテトラアリール化合物は除かれ、およびキノキソレート、オキサジアゾールおよびトリアゾールの金属錯体は、マトリックス材料として除かれ、並びに
適切な励起時に、三重項状態から光を放射し、および20よりも大きい原子番号を有する少なくとも1種の元素を含む少なくとも1種の発光材料Bを含む
ことを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項2】
前記マトリックス材料Aが、主族元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項3】
前記マトリックス材料Aが、リン、ヒ素、アンチモンおよび/またはビスマスを含むことを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項4】
前記マトリックス材料Aが、硫黄、セレンおよび/またはテルルを含むことを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項5】
原子番号≧15を有する前記元素が、3〜60個のC原子を有する置換または無置換の芳香族環構造または複素環式芳香族環構造の少なくとも1つにより置換されることを特徴とする請求項3および/または4に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項6】
式(A)または式(B)の少なくとも1種の化合物を前記マトリックス材料Aとして含む請求項5に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【化1】

(式中、以下が、用いられる記号に適用される。すなわち、
Xは、出現毎に、P、As、SbまたはBiであり、好ましくはPまたはAsであり、
Yは、出現毎に、S、SeまたはTeであり、好ましくはSまたはSeであり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、3〜60個のC原子を有する芳香族環構造または複素環式芳香族環構造であり、これは、Fまたは1〜40個のC原子を有する有機基により置換されていてもよく、好ましくは、6〜40個のC原子を有する芳香族環構造である)。
【請求項7】
前記芳香族環構造が、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントレニル、ピリル、フルオレニル、スピロビフルオレニル、ジヒドロフェナントレニル、テトラヒドロピレニル、またはこれらの系のうちの2つまたは3つの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
【請求項8】
前記マトリックス材料Aが、少なくとも1種の遷移金属元素および/またはランタノイド元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項9】
前記発光層が、これらのマトリックス材料のうちの少なくとも2種の混合物を含むことを特徴とする請求項2〜8の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項10】
前記マトリックス材料Aの三重項エネルギーが、2〜4eVであることを特徴とする請求項1〜9の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項11】
前記マトリックス材料Aの三重項エネルギーが、用いられる前記三重項エミッタBの三重項エネルギーよりも大きいことを特徴とする請求項1〜10の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項12】
前記マトリックス材料Aが、アモルファスであることを特徴とする請求項1〜11の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項13】
前記マトリックス材料Aが、90℃よりも高いガラス転移温度Tを有することを特徴とする請求項12に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項14】
前記マトリックス材料Aが、非荷電化合物であることを特徴とする請求項1〜13の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項15】
前記マトリックス材料AのLUMOが、前記三重項エミッタBのHOMOよりも高く、および前記三重項エミッタBのLUMOが、前記マトリックス材料AのHOMOよりも高いことを特徴とする請求項1〜14の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項16】
前記発光層においてより負でないHOMOを有する化合物のHOMOが、前記陽極側の前記発光層に隣接する層のHOMOの±0.5eVの範囲にあることを特徴とする請求項1〜15の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項17】
前記発光層においてより負のLUMOを有する化合物のLUMOが、前記陰極側の前記発光層に隣接する層のLUMOの±0.5eVの範囲にあることを特徴とする請求項1〜16の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項18】
原子番号≧15を有する元素の周囲の分子フラグメントの双極子モーメントが、ゼロ以外であることを特徴とする請求項1〜17の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項19】
前記マトリックス材料Aが、固体状態においてディスクリート構造を形成する、ディスクリート分子化合物または配位化合物であることを特徴とする請求項1〜18の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項20】
用いられる前記マトリックス材料Aが、三重項状態から自身が光を放射することができる化合物であることを特徴とする請求項1〜19の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項21】
前記マトリックス材料Aと前記三重項エミッタの層が、真空蒸着、キャリアガス流中での蒸着、または溶液からスピンコーティング若しくは印刷プロセスによって基板に適用されることを特徴とする請求項1〜20の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項22】
前記三重項エミッタBが、38よりも大きく84未満の原子番号を有する少なくとも1種の原子を含むことを特徴とする請求項1〜21の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項23】
前記三重項エミッタが、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユーロピウム元素の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項22に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項24】
少なくとも2種の前記三重項エミッタBの混合物を用いることを特徴とする請求項22および/または23に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項25】
前記発光層が、前記発光層の全組成に基づいて、1〜99重量%の1種以上のマトリックス化合物A、および99〜1重量%の1種以上のエミッタBを含むことを特徴とする請求項1〜24の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項26】
前記発光層が、前記発光層の全組成に基づいて、80〜93重量%の1種以上のマトリックス化合物A、および20〜7重量%の1種以上のエミッタBを含むことを特徴とする請求項25に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項27】
前記陰極、陽極および発光層に加えて、さなる層が存在することを特徴とする請求項1〜26の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項28】
ドープされていてもよい少なくとも1つの正孔注入層、および/またはドープされていてもよい少なくとも1つの正孔輸送層、および/または正孔障壁層、および/またはドープされていてもよい少なくとも1つの電子輸送層、および/またはドープされていてもよい少なくとも1つの電子注入層が存在することを特徴とする請求項27に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項29】
正孔障壁層を用いずに、前記発光層が、前記電子輸送層に直接的に隣接していること、または正孔障壁層若しくは電子輸送層を用いずに、前記発光層が、前記電子注入層または陰極に直接的に隣接していることを特徴とする請求項1〜28の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項30】
正孔輸送層を用いずに、前記発光層が、前記正孔注入層に直接的に隣接していること、または正孔輸送層および正孔注入層を用いずに、前記発光層が、前記陽極に直接的に隣接していることを特徴とする請求項1〜29の一項以上に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。

【公表番号】特表2007−522661(P2007−522661A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552538(P2006−552538)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001313
【国際公開番号】WO2005/078818
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】