説明

リン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの合成法

【課題】本発明は、標的診断または治療およびにおける診断用または治療用リポソーム/ミセルの成分としての使用に適当なリン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの製造法、かつ具体的にはリン脂質生体分子、例えばペプチド、コンジュゲートの合成、精製および分析の単純な方法を提供すること。
【解決手段】ペグ化リン脂質と生体分子を共有結合的付着によりカップリングさせ、得られたコンジュゲートを精製する工程により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的診断または治療およびにおける診断用または治療用リポソーム/ミセルの成分としての使用に適当なリン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの製造法に関し、かつ具体的にはリン脂質生体分子、例えばペプチド、コンジュゲートの合成、精製および分析の単純な方法に関する。本発明は、故に、腫瘍細胞へのリポソーム/ミセルのターゲッティングの改善に、腫瘍細胞によるリポソームの取り込みの促進に、および腫瘍細胞への化学療法剤の選択的なリポソームでの送達のために使用できる、ミセルペプチドを提供する。
【背景技術】
【0002】
化学療法において、薬剤の一部のみしか癌細胞に到達せず、残りの薬剤は正常組織を傷害し得る。リポソームに被包された癌の薬の投与により、副作用を軽減できる。その安定性を増加させるためおよび循環中のそれらの寿命を延長するための、改善されたリポソーム組成物が、記載されている。このような組成物中で、Searsが、カルボキシPEGと精製ダイズ・ホスファチジルエタノールアミン(PE)をアミド結合を介して結合させた1984年から、モノメトキシポリエチレングリコール(PEG)とコンジュゲートしたリン脂質が広く使用されている。PEGのリポソーム表面上への添加は、リポソームを囲む水の殻を引き寄せる。この殻は様々な血漿タンパク質(オプソニン)のリポソーム表面への吸着を妨げ、故に、リポソームは網内系に認識されず、取り込まれない。促進された選択性は、リポソームの表面に標的細胞の原形質膜抗原を認識する特異的抗体または小ペプチドを結合させ、細胞によるリポソームの取り込みを増加させることにより得ることができる。ターゲッティング・リポソームの現在の認識は最近10年で著しく増えている。最近の標的リポソームの利点が近年レビューされている
【0003】
リン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートを提供するための数種の合成法が存在している。該コンジュゲートは、2種の異なる方法で製造できる。第一に、適当に誘導体化されたリン脂質−PEG分子を予め製造したリポソームに組み込み、次いでそれを生体分子(抗体、ペプチドなど)とインキュベートする。この方法において、生体分子は適当に官能化されてなければならず、これがこの方法の欠点の一つである。第2に、全構築物リン脂質−PEG−生体分子を合成し、その後、それをリポソームに組み込む。この方法の利点は、コンジュゲートを組み込み前に分析できることを含み、これは先の方法ではできなかった。他方、該コンジュゲートはまたクロマトグラフィーで精製する必要がある。
【0004】
リン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの製造のために提示されている合成法は、また、使用する反応媒体に基づいて、2カテゴリーに分類できる。液相および固相法が存在する。液相法は有機溶媒(ハロゲン化されているまたはジメチルホルムアミド)または、緩衝化水中で行うことができる。反応相手(リン脂質−PEGおよび生体分子、例えばペプチド)は、望ましくない副反応を避けるために、適切な官能基を有しなければならない。一般的な反応相手は、活性化エステルと1級アミノ官能性(アミド結合の形成)および電子吸引性基とコンジュゲートした二重結合とチオール官能性(ミカエル付加を介したチオエーテルの形成)である。リン脂質−PEG−ペプチドの固相合成はほとんど例が存在しない。それらは、一般に、対応する液相における反応よりも、固相中のPEGの遅い反応性のために、より複雑で時間がかかる反応である。
【0005】
リン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートは、カップリング反応後に精製する必要がある。いくつかのクロマトグラフィー法が精製のために使用されている。リン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートは、シリカゲル、逆相シリカまたはサイズ排除クロマトグラフィーにより精製でき、透析もまた、生体分子/ペプチドの性質に依存して使用できる。シリカゲルクロマトグラフィーは、固定相と溶出物(elute)の間の親水性相互作用に基づき、逆相は疎水性相互作用に基づく。サイズ排除クロマトグラフィーは、最大分子が最初にカラムから出てくるように、サイズでの分子の解離に基づく。リン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートは両親媒性であり、水溶液中でミセルを形成する傾向にあり、それらは最初にカラムから溶出される。
【非特許文献1】Lasic, D., Ceh, B., Stuart, M., Guo, L., Frederik, P., and Barenholz, Y. Biochim. Biophys. Acta 1239: 145-156, 1995
【非特許文献2】Tardi, P., Boman, N., and Cullis, P. J. Drug 標的. 4: 129-140, 1996
【非特許文献3】Sears, B. D. (1984). US Patent 4,426,330
【非特許文献4】a)Storm, G., and Crommelin, D. Pharm. Sci. & Tech. Today 1: 19-31, 1998. b)Dagar, S., Sekosan, M., Lee, B., Rubinstein, I., and Oenyueksel, H. J. of Contr. Rel. 74: 129-134, 2001. c)Penate Medina, O., Soederlund, T., Laakkonen, L., Tuominen, E., Koivunen, E., and Kinnunen, P. Cancer Res. 61: 2978-2985, 2001
【非特許文献5】Torchilin, V.P. Nat. Rew. Drug Disc.145-160, 2005
【非特許文献6】a)Torchilin, V.P., Rammohan, R., Weissig, V., Levchenko, T.S. Proc. Of Nat. Acad. Of Scien. 98: 8786-8791, 2001. b)Maeda, N., Takeuchi, Y., Takada, M., Namba, Y., Oku, N. Bioorg. Med. Chem. Lett. 14: 1015-1017, 2004. c)Decicco, C.P., Nelson, D.J., Barrett, J.A., Carpenter A.J., Duran, J.J., Rajopadhye, M. Patent WO 0160820
【非特許文献7】a)Tseng, Y-L., Liu, J-J., Hong, R-L. Mol. Pharm. 62:864-872, 2002. b)Schiffelers, R.M., Koning, G.A., ten Hagen, T.L.M., Fens, M.H.A.M., Schraa, A.J., Janssen, A.P.C.A., Kok, R.J., Molema, G., Storm, G. Jour. Of Controll. Rel. 91: 115-122, 2003
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【非特許文献9】Carpenter, A. P. (2001). WO 01/60416 A2
【非特許文献10】Zhu, Y. (2005)WO 2005/037862 A1
【非特許文献11】Koivunen, E., Ranti, T-M., Annila, A., Taube, S., Uppala, A., Jokinen, M., van Villigen, G., Ihanus, E., Gahmberg, C.G. J. Cell Biol. 153:905-915, 2001
【非特許文献12】Stefanidakis, M., Bjoerklund, M., Ihanus, E., Gahmberg, C.G. J. Biol. Chem. 278:34674-34684, 2003
【非特許文献13】Zhu, L., Parr, G.R., Fitzgerald, M.C., Nelson, C.M., Smith, L.M. J. Am. Chem. Soc. 117:6048-6056, 1995
【発明の開示】
【0006】
我々は、本明細書で、リン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの改善された合成法を記載する。本発明の方法において使用された出発物質対反応速度加速剤の比率などの反応変数は、スクリーニング段階で定義している。最適反応条件は、大規模反応に変換できる。さらに、生成物の単純かつ有効な単離法が開発されている。生成物の誘導体化は、反応の進行のモニタリングおよび生成物の分析の両方のためのクロマトグラフィーによる分析を可能にする。
【0007】
発明の詳細な記載
本発明は、リン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートを製造するための改善された製造方法を記載する。リン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートを製造するための該製造法は、下記工程を含み得る:
1. ペグ化リン脂質とペプチドの間のカップリング反応の小規模最適化工程。
2. リン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートの誘導体化による最適化データのクロマトグラフィーによる分析。
3. 大規模合成のための最適化パラメーターの挿入。
4. 沈殿法および必要であればHPLCによる、リン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートの精製。
5. リン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートの誘導体化による生成物純度のクロマトグラフィーによる分析。
【0008】
最適化工程、分析工程および精製工程の情報を、より大きな工程規模に変換できる。
【0009】
最適化工程において、小規模合成を、反応のいくつかの変数、例えば過剰のアシル化試薬および反応添加剤を使用して行った。これらの最適化反応は、リン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートの誘導体化後にC18−RP−HPLC分析により得た。最適化工程の分析から反応条件が得られた後、該反応をより大きな規模で行うことができた。反応の結果は、開発用(developed)HPLC法を使用して分析し、未反応リン脂質−PEGをリン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートから分離する有効な分離工程により精製する。
【0010】
リン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの製造のための本発明の方法は、ペグ化リン脂質と生体分子を、共有結合的付着によりカップリングし、そして得られたコンジュゲートを精製する工程を含み、ペグ化リン脂質を、生体分子の量と比較して過剰で使用する、カップリング工程を無機添加剤の添加により加速する、および得られたリン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートを、沈殿法により精製することを特徴とする。
【0011】
本発明の最も好ましい態様において、生体分子は、リン脂質−PEG−COOHのカルボキシ官能性と共有結合すべき遊離1級アミノ官能性を有するすべてのペプチドである。該ペプチドは第一にPEGリン脂質、DSPE−PEG−NHSのポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端基に付着(結合)する。本発明の方法で使用する好ましいペプチドは、(E−シクロ−(RGDfK))、GRENYHGCTTHWGFTLC−NH、K(DOTA)RENYHGCTTHWGFTLC−NH、Ac−GRENYHGCTTHWGFTLCK−NH、YQGDAHGDDDELおよびYADGAC1−8PC3−9FLLGCCペプチドである。
【0012】
我々は、不溶性無機添加剤の反応混合物への過剰の添加が、カップリング反応を著しく加速することを発見した。例えば、反応が立体障害のために進行しないとき、無機添加剤を生成物の形成の加速に使用できる。等モル量のこれらの塩を類似の反応に使用する一つの例が文献中に存在するが、積極的な加速の効果は記載されていなかった。反応速度の加速剤としてのこれらの不溶性添加剤の正確は役割は正確には知られていない。それらを、求核性塩基であり、エステルおよびアミドの合成に一般的に使用されるDMAP(ジメチルアミノピリジン)のような有機添加剤と比較したとき、無機添加剤は類似の経路では働かない。反応活性化の一つの可能性のある理由は、ペプチドの三次元構造を開け、アミンとアシル官能性の間の反応を可能にする弱ルイス酸−塩基付加物の形成である。
【0013】
本発明の方法で使用する無機添加剤は、最も好ましくは無機塩基および無機乾燥剤の混合物である。適当な無機塩基は、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属またはランタニドの炭酸塩または重炭酸塩であり、その中で、アルカリおよびアルカリ土類金属炭酸塩である炭酸リチウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムが好ましい。適当な無機乾燥剤は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の硫酸塩、好ましくは硫酸ナトリウムおよび硫酸マグネシウムである。
【0014】
出発物質の比率は、生体分子の量に対してリン脂質−PEGの等モル量から10倍モル当量の間で変化し得る。無機添加剤の量は、生体分子の10から100モル当量であり得る。必要なとき、過剰のDSPE−PEG−NHSおよび無機添加剤を使用して、ペプチドを消費させることより最後まで反応をさせることができる。
【0015】
過剰なDSPE−PEG−NHSを、単純に沈殿法を繰り返すことにより生成物から除去する。最初の沈殿は、反応混合物に、下記に定義の適当な溶媒または溶媒混合物を添加することにより行う。反応の原料を次いで適当なアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールまたはt−ブタノールに溶解する。非反応性リン脂質−PEGのリン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートからの分離を、次いで適当な溶媒または溶媒混合物、例えば適当なアルキルエーテルもしくはモル過剰のリン脂質−PEGが溶媒相に残っているとき、アルコールと1相を形成し、かつリン脂質−PEG−ペプチドを沈殿させるのに適当に疎水性である任意の他の溶媒の添加により行い得る。適当な溶媒または溶媒混合物は、リン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートをアルコール溶液から沈殿させ、生成物を単離できる。この沈殿法により、生成物精製のために、費用も時間もかかるクロマトグラフィー法の使用を回避する。沈殿法により精製後、生成物を適当に緩衝化した水溶液に溶解し、凍結および凍結乾燥できる。
【0016】
初期の反応混合物を、ジメチルホルムアミドからジエチルエーテルにより沈殿させ、残存固体物質をジメチルホルムアミドに再溶解し、ジエチルエーテル沈殿を繰り返した10。本発明の新規改変沈殿法の一つの利点は、残存ジメチルホルムアミドを固体生成物から、再溶解工程においてアルキルアルコールにより除去できることである。また、アルコールがジメチルホルムアミドよりも目的のペプチドにとって悪い可溶化剤であるため、生成物沈殿のために小量のジエチルエーテルしか必要ではない。さらに、ジメチルホルムアミドが非揮発性であり、かつ凍結乾燥により除去できないとの事実により、揮発性アルキルアルコールの使用が本方法の利点となる。
【0017】
ペプチドとDSPE−PEG−NHSのカップリング反応はモニタリングでき、生成物の純度はC18−RP−HPLCにより、沈殿反応混合物からの小量のサンプルの塩基性鹸化後に同定できる。我々は、ジアシルエステルの塩基性加水分解が化合物の疎水性を減少させ、従って、加水分解された残存PEG化ペプチドが通常のC−18逆相クロマトグラフィーを使用して分析できることを発見した。精製および分析工程のこの組み合わせは費用効率がよく、かつリン脂質−PEG−ペプチドコンジュゲートの正確な合成法である。これはすべてのリン脂質およびペプチドに適用できる。
【実施例】
【0018】
【表1】

【0019】
実験
本実施例で使用するペプチドは、すべて、ファージディスプレイ法により元々発見された。それらを構造的に多様なペプチドをカバーするために選択する。ペプチドK(DOTA)−CTT2およびCTT2−Kは、CTT2ペプチドの誘導体である。それらを表1に示し、分子構造を図4に示す。DSPE−PEG3400−CTT2の分子構造を図3に示す。
【表2】

【0020】
実施例1. ペプチドカップリング反応の最適化:DSPE−PEG3400−RGD
この方法において、無機添加剤および出発物質の比率の影響を、PEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介してカップリングしたRGD(E−シクロ−(RGDfK))ペプチドについて試験した。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。ペプチドとPEGリン脂質であるDSPE−PEG3400−NHSの等モル比率を反応1および2で使用した。反応3において、3当量のDSPE−PEG3400−NHSを使用した。炭酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムを反応2および3に添加した。
【0021】
RGDペプチド1.1mg(1当量)およびDSPE−PEG3400−NHS 6.1mg(1.67当量)を、別々に600μlのジメチルホルムアミドに溶解した。RGDペプチド溶液を各200μlの3バイアルに分けた。バイアル1および2に、150μlのDSPE−PEG3400−NHS溶液をおよび300μlをバイアル3に添加した。無機添加剤を下記の通り添加した:バイアル2に7.5mgの炭酸ナトリウムおよび3.1mgの硫酸ナトリウムを添加した。バイアル3に8mgの炭酸ナトリウムおよび5.3mgの硫酸ナトリウムを添加した。反応物を室温で撹拌した。
【0022】
サンプル25μl容量をすべての反応物から反応開始後30分、60分および180分ならびに21時間の時点で採取した。反応を21時間後にクエンチした。サンプルをジエチルエーテルの添加により沈殿させ、13200rpm、10分遠心分離した。上清を捨て、固体残渣を−70℃にした。
【0023】
サンプルを100μlのメタノールに溶解し、25μlの1M 水酸化ナトリウムを添加した。2時間後、250μlの1%TFA水溶液をサンプルに添加し、遠心分離後サンプルをC−18 RP−HPLC(図2a)で分析した。
【0024】
実施例2. 大規模ペプチドカップリング反応:DSPE−PEG3400−RGD
この方法において、RGD(E−シクロ−(RGDfK))ペプチドを、PEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介して共有結合的に付着させた。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。ペプチドとPEGリン脂質の異なるモル比、ならびに反応時間を試験して、カップリング反応を最適化した。
【0025】
RGDペプチド10mg(1当量)、DSPE−PEG3400−NHS 97.1mg(3当量)を2.5mlのジメチルホルムアミドに溶解した。反応混合物を一晩室温で振盪させた。
【0026】
精製
反応混合物を、反応容量の10倍のジエチルエーテルの添加により沈殿させた。4200rpm、20分遠心分離後、固体残渣をメタノール2mlに溶解した。ジエチルエーテル8mlメタノールフラクションおよび生成物沈殿物を含む生成物に添加した。遠心(1000rpm、20分)後、上清を捨て、沈殿工程を繰り返した。2回目の沈殿後、固体残渣を水に溶解し、凍結および凍結乾燥した。生成物33.4mgを白色固体として得た。
【0027】
生成物の純度のモニタリング
サンプル(25μl容量)を、反応のクエンチの直前に全反応混合物から採取した。サンプルをジエチルエーテルの添加により沈殿させ、13200rpm、10分遠心分離した。上清を捨て、固体残渣を100μlのメタノールに溶解し、25μlの1M 水酸化ナトリウムを添加した。2時間後、250μlの1%TFA水溶液をサンプルに添加し、遠心分離後サンプルをC18 RP−HPLCで分析した。加水分解生成物の純度はC18−RP−HPLCで測定して98%であった。
【0028】
実施例3. ペプチドカップリング反応の最適化:DSPE−PEG3400−CTT2
この方法において、CTT2(シクロ−GRENYHGCTTHWGFTLC−NH)ペプチドをPEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介して共有結合的に付着させた。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。ペプチドとPEGリン脂質の異なるモル比、ならびに反応時間を試験して、カップリング反応を最適化した。
【0029】
8.8mgのCTT2ペプチドを2mlのジメチルホルムアミドに溶解した。DSPE−PEG3400−NHSを2mlのジメチルホルムアミドに溶解した。CTT2ペプチド溶液を各500μlの4個の反応容器に分け、続いてDSPE−PEG3400−NHS溶液を、400μlの溶液を1および2に、ならびに600μlを容器3および4に添加するように添加した。さらに200μlのDMFを反応容器1および2に添加し、反応容器中のペプチド濃度を等しくした。
【0030】
25μl容量のサンプルををすべての反応物から反応開始後30分、60分および180分の時点で採取した。反応1および2を3時間後、ならびに反応3および4を21時間後にクエンチした。反応3および4からのさらなるサンプルもまた21時間後に採取した。サンプルをジエチルエーテルの添加により沈殿させ、13200rpm、10分遠心分離した。上清を捨て、固体残渣を−70℃にした。
【0031】
サンプルを100μlのメタノールに溶解し、25μlの1M 水酸化ナトリウムを添加した。2時間後、250μlの1%TFA水溶液をサンプルに添加し、遠心分離後サンプルをC−18 RP−HPLCで分析した(図2b)。反応混合物を、反応容量の10倍のジエチルエーテルの添加により沈殿させた。遠心(4200rpm、20分)後、固体残渣を500μl メタノールに溶解し、TLC分析のための2μl サンプルを採取した。2mlのジエチルエーテルを、メタノールフラクションおよび生成物沈殿物を含む生成物に添加した。遠心後、TLC用の10μl サンプルを上清から採取した。固体残渣をメタノールに溶解し、沈殿を繰り返した。
【0032】
固体残渣を500μlのメタノールに溶解し、続いて2.5mlの蒸留水を添加した。溶液を−70℃で凍結し、一晩凍結乾燥させた。生成物を白色固体として得た。反応1、2、3および4の収量は5.1mg、5.6mg、5.6mgおよび5.9mgであった。
【0033】
実施例4. ペプチドカップリング反応の最適化
DSPE−PEG3400−K(DOTA)−CTT2
この方法において、無機添加剤の影響を、PEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介してカップリングしたK(DOTA)−CTT2(シクロ−K(DOTA)RENYHGCTTHWGFTLC−NH)ペプチドについて試験した。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。ペプチドおよびPEGリン脂質であるDSPE−PEG3400−NHSの等モル比率を全反応で使用した。炭酸ナトリウムを反応2の添加剤として使用し、炭酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムを反応3に添加した。
【0034】
シクロ−K(DOTA)RENYHGCTTHWGFTLC−NHペプチド2.5mg(1当量)およびDSPE−PEG3400−NHS 4.8mg(1当量)を、別々に600μlのジメチルホルムアミドに溶解した。ペプチド溶液およびDSPE−PEG3400−NHS溶液を、各々化合物あたり200μlの3バイアルに分けた。無機添加剤を下記の通り添加した:バイアル2に3.3mgの炭酸ナトリウムを添加した。バイアル3に3.9mgの炭酸ナトリウムおよび9.4mgの硫酸ナトリウムを添加した。反応物を室温で撹拌した。25μl容量のサンプルをすべての反応物から反応開始後15分、30分、60分および180分ならびに21時間の時点で採取した。反応を21時間後クエンチした。サンプルをジエチルエーテルの添加により沈殿させ、13200rpm、10分遠心分離した。上清を捨て、固体残渣を−70℃にした。
【0035】
サンプルを100μlのメタノールに溶解し、25μlの1M 水酸化ナトリウムを添加した。2時間後、250μlの1%TFA水溶液をサンプルに添加し、遠心分離後サンプルをC−18 RP−HPLCで分析した(図2c)。
【0036】
実施例5. 大規模ペプチドカップリング反応
DSPE−PEG3400−K(DOTA)−CTT2
この方法において、K(DOTA)−CTT2(シクロ−K(DOTA)RENYHGCTTHWGFTLC−NH)ペプチドをPEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介して共有結合的に付着させた。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。
【0037】
K(DOTA)−CTT2ペプチド5.6mg(1当量)、DSPE−peg3400−NHS 40.1mg(4当量)、炭酸ナトリウム12.9mgおよび硫酸ナトリウム10mgを1.0mlのジメチルホルムアミドに溶解した。反応混合物を一晩室温で振盪させた。
【0038】
精製
反応混合物を、反応容量の10倍のジエチルエーテルの添加により沈殿させた。3000rpm、15分遠心後、固体残渣を0.5ml メタノールに溶解した。ジエチルエーテル2.5mlメタノールフラクションおよび生成物沈殿物を含む生成物に添加した。遠心(1000rpm、15分)後、溶媒相を捨て、沈殿工程を繰り返した。2回目の沈殿後、固体残渣を水に溶解し、凍結および凍結乾燥した。生成物11.8mgを白色固体として得た。加水分解生成物の純度はC18−RP−HPLCで測定して92.3%であった。
【0039】
実施例6. ペプチドカップリング反応の最適化:DSPE−PEG3400−LLG
この方法において、無機添加剤および出発物質の影響を、PEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介してカップリングさせたLLG(ビシクロ−YADGAC1−8PC3−9FLLGCC)ペプチドについて試験した。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。モル比率1:2および1:3のペプチドとDSPE−PEG3400−NHSを使用した。炭酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムを開始90分後に反応混合物に添加した。
【0040】
LLGペプチド2.2mg(1当量)およびDSPE−PEG3400−NHS 17mg(2.5当量)を、別々に500μlのジメチルホルムアミドに溶解した。LLGペプチド溶液を各250μlの2バイアルに分けた。バイアル1および2に、200および300μlのDSPE−PEG3400−NHS溶液を添加した。無機添加剤を開始90分後に添加した。バイアル1に4.6mgの炭酸ナトリウムおよび3mgの硫酸ナトリウムを添加した。バイアル2に6,5mgの炭酸ナトリウムおよび6,2mgの硫酸ナトリウムを添加した。反応物を室温で撹拌した。
【0041】
サンプル25μlをすべての反応物から反応開始後30分、90分、120分、240分ならびに23時間および47時間の時点で採取した。反応を23時間後にクエンチした。サンプルをジエチルエーテルの添加により沈殿させ、13200rpm、10分遠心分離した。上清を捨て、固体残渣を−70℃にした。
【0042】
サンプルを100μlのメタノールに溶解し、25μlの1M 水酸化ナトリウムを添加した。2時間後、250μlの1%TFA水溶液をサンプルに添加し、遠心分離後サンプルをC−18 RP−HPLCで分析した(図2d)。
【0043】
実施例7. 大規模ペプチドカップリング反応:DSPE−PEG3400−LLG
この方法において、LLG(ビシクロ−YADGAC1−8PC3−9FLLGCC)ペプチドをPEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介して共有結合的に付着させた。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。
【0044】
LLGペプチド5.4mg(1当量)、DSPE−PEG3400−NHS 50.8mg(3当量)、炭酸ナトリウム18.4mgおよび硫酸ナトリウム8.4mgを1.5mlのジメチルホルムアミドに溶解した。反応混合物を一晩室温で振盪させた。
【0045】
精製
反応混合物を、反応容量の10倍のジエチルエーテルの添加により沈殿させた。3000rpm、15分遠心後、固体残渣をメタノール0.5mlに溶解した。ジエチルエーテル3mlをメタノールフラクション含有生成物に添加し、生成物層は黄色油状物として分離した。遠心(1000rpm、20分)後、ジエチルエーテル層を捨て、残存黄色油状物をジエチルエーテルにより沈殿させた。ジエチルエーテルを捨て、沈殿工程を繰り返した。2回目の沈殿後、固体残渣を水に溶解し、凍結および凍結乾燥した。生成物19.7mgを白色固体として得た。加水分解生成物の純度はC18−RP−HPLCで測定して92.5%であった。
【0046】
実施例8. ペプチドカップリング反応の最適化:DSPE−PEG3400−DDDEL
この方法において、無機添加剤および出発物質の比率の影響を、PEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介してカップリングさせたDDDEL(YQGDAHFDDDEL)ペプチドについて試験した。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。モル比1:2および1:3のペプチドおよびDSPE−PEG3400−NHSを使用した。炭酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムを開始90分後に反応混合物に添加した。
【0047】
DDDELペプチド2.2mg(1当量)およびDSPE−PEG3400−NHS 16,7mg(2.5当量)を、別々に500μlのジメチルホルムアミドに溶解した。DDDELペプチド溶液を各250μlの2バイアルに分けた。バイアル1および2に200および300μlのDSPE−PEG3400−SPA溶液を添加した。無機添加剤を開始90分後に添加した。バイアル1に6,5mgの炭酸ナトリウムおよび6,2mgの硫酸ナトリウムを添加した。バイアル2に8mgの炭酸ナトリウムおよび3,2mgの硫酸ナトリウムを添加した。反応物を室温で撹拌した。
【0048】
サンプル25μlをすべての反応物から反応開始後30分、90分、120分、240分および23時間、47時間の時点で全反応物から採取した。反応を23時間後にクエンチした。サンプルをジエチルエーテルの添加により沈殿させ、13200rpm、10分で遠心分離した。上清を捨て、固体残渣を−70℃にした。サンプルを100μlのメタノールに溶解し、25μlの1M 水酸化ナトリウムを添加した。2時間後、250μlの1%TFA水溶液をサンプルに添加し、遠心分離後サンプルをC−18 RP−HPLCで分析した(図2e)。
【0049】
実施例9. 大規模ペプチドカップリング反応:DSPE−PEG3400−DDDEL
この方法において、DDDEL(YQGDAHFDDDEL)ペプチドをPEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介して共有結合的に付着させた。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。
【0050】
DDDELペプチド5.3mg(1当量)、DSPE−PEG3400−NHS 59mg(3当量)、炭酸ナトリウム22.9mgおよび硫酸ナトリウム14.1mgを1.5mlのジメチルホルムアミドに溶解した。反応混合物を一晩室温で振盪させた。
【0051】
精製
反応混合物を、反応容量の10倍のジエチルエーテルの添加により沈殿させた。3000rpm、15分遠心後、固体残渣をメタノール0.5mlに溶解した。ジエチルエーテル2mlを、メタノールフラクションおよび生成物沈殿物を含む生成物に添加した。遠心(1000rpm、15分)後、溶媒相を捨て、沈殿工程を繰り返した。2回目の沈殿後固体残渣を水に溶解し、凍結および凍結乾燥した。生成物13.2mgを白色固体として得た。加水分解した原生成物の純度は、C18−RP−HPLCで測定して57.6%であった。生成物の最終精製をSE−HPLCで行った。加水分解したSE−HPLC精製生成物の純度はC18−RP−HPLCで測定して95.5%であり、生成物の収量は4.7mgであった。
【0052】
実施例10. ペプチドカップリング反応の最適化:CTT2K−PEG3400−DSPE
この方法において、無機添加剤の影響を、PEGリン脂質に、ペプチドの末端アミンとPEGリン脂質のポリ(エチレングリコール)ポリマー鎖の末端の官能性NHS(ヒドロキシスクシンイミジル)基の化学反応を介してカップリングしたCTT2K(シクロ−Ac−GRENYHGCTTHWGFTLCK−NH)ペプチドについて試験した。末端アミンとPEGカルボン酸の活性スクシンイミジルエステルの間の反応は、安定なアミド結合を形成する。モル比1:3のペプチドおよびDSPE−PEG3400−NHSを使用した。炭酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウムを反応混合物に添加した。
【0053】
CTT2Kペプチド1.8mg(1当量)およびDSPE−PEG3400−NHS 11mg(3当量)を、別々に300μlのジメチルホルムアミドに溶解した。CTT2Kペプチド溶液を各250μlの2バイアルに分けた。バイアル1および2に、300μlのDSPE−PEG3400−NHS溶液を添加した。バイアル1に4.7mgの炭酸ナトリウムおよび5.8mgの硫酸ナトリウムを添加した。反応物を室温で撹拌した。
【0054】
サンプル25μlをすべての反応物から反応開始後30分、60分、180分および23時間の時点で採取した。反応を22時間後クエンチした。サンプルをジエチルエーテルの添加により沈殿させ、13200rpm、10分遠心分離した。上清を捨て、固体残渣を−70℃にした。サンプルを100μlのメタノールに溶解し、25μlの1M 水酸化ナトリウムを添加した。2時間後、250μlの1%TFA水溶液をサンプルに添加し、遠心分離後サンプルをC−18 RP−HPLCで分析した(図2f)。
【0055】
精製
バイアル1からの反応混合物を、反応容量の10倍のジエチルエーテルの添加により沈殿させた。遠心(3000rpm、15分)後、固体残渣を0.4ml メタノールに溶解した。ジエチルエーテル1.6mlメタノールフラクションおよび生成物沈殿物を含む生成物に添加した。遠心(1000rpm、15分)後、上清を捨て、沈殿工程を繰り返した。2回目の沈殿後固体残渣を水に溶解し、凍結および凍結乾燥した。生成物1.4mgを白色固体として得た。
【0056】
リン脂質−PEG3400−ペプチドの分子同一性の分析
カップリング反応の進行をTLC−プレートおよびC18−RPHPLCで追跡した。生成物の純度(カップリングしたペプチドの反応に元々入れたペプチドの量に対する比率)をC18−RPHPLCで測定した。リン脂質−PEG3400−ペプチドコンジュゲートの分子量を、TOF−MALDI MS分光光度計で、窒素レーザーを備え、337nmで作動するUltraflex TOF/TOF instrument(Bruker Daltonik GmbH, Bremen, Germany)を使用したマトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量飛行時間型(MALDI−TOF)質量分光分析を使用して行った。質量スペクトルを、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸をマトリックスとして、かつペプチド較正基準(Bruker part # 206195)またはタンパク質較正基準I(Bruker part # 206355)の外部較正と共に使用して、陽イオンリニアモードおよび/またはリフレクターモードで獲得した。
【0057】
全分子の分子量はMALDI−MSから得られなかった。リン脂質−PEG3400−ペプチドコンジュゲートの分子断片化が全サンプルで観察された。断片化は、グリセロールとホスホジエステルの間のC−O結合の開裂に対応する。形成された種1,2−プロピル−ジ−ステアリルカチオンが全スペクトルで観察された。生成物の均質性は、DSPE−PEG3400−CTT2ペプチドの加水分解により、ならびに、加水分解生成物がTLC−プレートでより遅く動くとの観察により証明された(図5)。これは、断片化がMALDI MSにおいて起こるとの観察を証明する。対応する断片化(ホスホジエステルの開裂)がまたDNAのMALDI MS分析で観察された13
【0058】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】DSPE−PEG3400−CTT2の沈殿による精製法の薄層クロマトグラフィー(TLC)分析(実施例1)。プレート1、生反応混合物のTLC;プレート2、最初の沈殿の上清(MeOH:EtO、1:4);プレート3、MeOHに溶解した最初の沈殿のペレット懸濁液;プレート4、2回目の沈殿の上清(MeOH:EtO、1:4);プレート5、MeOHに溶解した2回目の沈殿のペレット懸濁液。
【図2a】実施例反応のRP−HPLC分析。DSPE−PEG3400と結合したペプチド対非結合ペプチドの比率を、時間(x軸)の関数としてy軸に示す。実施例1;DSPE−PEG3400−NHSにカップリングするRGD(E−シクロ−(RGDfK))ペプチドに対する無機添加剤および出発物質の比率の影響を試験した。
【図2b】実施例反応のRP−HPLC分析。DSPE−PEG3400と結合したペプチド対非結合ペプチドの比率を、時間(x軸)の関数としてy軸に示す。実施例3;DSPE−PEG3400−NHSにカップリングするCTT2(シクロ−GRENYHGCTTHWGFTLC−NH)ペプチドに対する出発物質の比率および反応時間の影響を試験した。
【図2c】実施例反応のRP−HPLC分析。DSPE−PEG3400と結合したペプチド対非結合ペプチドの比率を、時間(x軸)の関数としてy軸に示す。実施例4;この方法において、DSPE−PEG3400−NHSにカップリングするK(DOTA)−CTT2(シクロ−K(DOTA)RENYHGCTTHWGFTLC−NH)ペプチドに対する無機添加剤の影響を試験した。
【図2d】実施例反応のRP−HPLC分析。DSPE−PEG3400と結合したペプチド対非結合ペプチドの比率を、時間(x軸)の関数としてy軸に示す。実施例6;DSPE−PEG3400−NHSにカップリングするLLG(ビシクロ−YADGAC1−8PC3−9FLLGCC)ペプチドに対する無機添加剤および出発物質の比率の影響を試験した。
【図2e】実施例反応のRP−HPLC分析。DSPE−PEG3400と結合したペプチド対非結合ペプチドの比率を、時間(x軸)の関数としてy軸に示す。実施例8;DSPE−PEG3400−NHSにカップリングするDDDEL(YQGDAHFDDDEL)ペプチドに対する無機添加剤および出発物質の比率の影響を試験した。
【図2f】実施例反応のRP−HPLC分析。DSPE−PEG3400と結合したペプチド対非結合ペプチドの比率を、時間(x軸)の関数としてy軸に示す。実施例10;DSPE−PEG3400−NHSにカップリングするCTT2K(シクロ−Ac−GRENYHGCTTHWGFTLCK−NH)ペプチドに対する無機添加剤の影響を試験した。
【図3】DSPE−PEG3400−CTT2ペプチドの分子構造。
【図4】ペグ化リン脂質へのカップリング反応のために本試験で使用したペプチド。
【図5】DSPE−PEG3400−CTT2コンジュゲートの塩基性加水分解の薄層クロマトグラフィー(TLC)分析。レーン1、DSPE−PEG3400−CTT2コンジュゲートのTLC;レーン2、DSPE−PEG3400−CTT2コンジュゲートの塩基性加水分解;レーン3、空レーン;レーン4、レーン1および2の組み合わせ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペグ化リン脂質と生体分子を共有結合的付着によりカップリングさせ、得られたコンジュゲートを精製する工程を含み、ここで
−ペグ化リン脂質を、生体分子の量と比較して過剰で使用する、
−カップリング工程を無機添加剤により加速する、そして
−得られたリン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートを、沈殿法により精製するものである、
リン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの製造法。
【請求項2】
無機添加剤が無機塩基と無機乾燥剤の混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
無機塩基がアルカリ金属、アルカリ土類金属およびランタニド金属の炭酸塩および重炭酸塩から成る群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩が炭酸リチウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
無機乾燥剤が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の硫酸塩から成る群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項6】
硫酸塩が硫酸ナトリウムおよび硫酸マグネシウムである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
無機添加剤を、生体分子の量と比較して過剰で使用する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
沈殿が
(a)適当な溶媒または溶媒混合物を反応混合物に添加し、
(b)適当なアルコール中に反応物質を溶解し、
(c)溶解した反応混合物を溶媒または溶媒混合物で処理して、リン脂質−PEG−生体分子沈殿物を得て、
(d)沈殿物を単離し、そして、所望により、溶媒で洗浄し、再単離し、
(d)所望によりアルコール溶液からの沈殿法を繰り返し、そして
(e)所望により、精製生成物を適当に緩衝化した水溶液に溶解し、凍結および凍結乾燥する
工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
アルコール溶液からの沈殿工程を、アルコールと1相を形成し、かつリン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートを沈殿させるのに適当に疎水性である溶媒または溶媒混合物により行う、請求項8記載の方法。
【請求項10】
溶媒または溶媒混合物がアルキルエーテルを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
溶媒または溶媒混合物がジエチルエーテルを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
アルコールがメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールまたはt−ブタノールから成る群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項13】
生体分子が(E−シクロ−(RGDfK))、GRENYHGCTTHWGFTLC−NH、K(DOTA)RENYHGCTTHWGFTLC−NH、Ac−GRENYHGCTTHWGFTLCK−NH、YQGDAHGDDDELおよびYADGAC1−8PC3−9FLLGCCから成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
得られたリン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの純度をリン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの誘導体化後にクロマトグラフィーで分析する、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
リン脂質−PEG−生体分子コンジュゲートの誘導体化が、加水分解された残存ペグ化生体分子を得るためのジアシルエステルの塩基性加水分解を含む、請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−8933(P2007−8933A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172880(P2006−172880)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(503334873)セーテーテー・キャンサー・ターゲティング・テクノロジーズ・オサケユキテュア (1)
【氏名又は名称原語表記】CTT CANCER TARGETING TECHNOLOGIES OY
【Fターム(参考)】