説明

リン酸エステルポリイミド含有の中間転写部材

【課題】周囲湿度が変化しても表面抵抗率や弾性率を適正に維持でき、耐久性にも優れた中間転写体を提供する。
【解決手段】中間転写体が、リン酸エステルとポリアミド酸とのエステル化反応生成物から生成するリン酸エステルで修飾されたポリイミドで構成され、カーボンブラックのような導電性成分を含み、前記反応が、約200〜約325℃の温度で加熱することによって行われる層から構成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
中間転写部材が開示されており、より具体的には、デジタル、多重画像型などを含む、静電複写式(例えば、ゼログラフィー式)機械または装置、プリンター(オフィス用プリンターおよびプロダクションプリンターを含む)において、現像した画像を転写するのに有用な中間転写部材が開示されている。いくつかの実施形態では、リン酸エステルとポリイミドとで構成される中間転写部材、より具体的には、リン酸塩で修飾されたポリイミドを生成するような、リン酸エステルとポリアミド酸(ポリイミド前駆体)との反応生成物で構成される中間転写部材が選択され、リン酸エステルおよびポリアミド酸の2成分はそれぞれ市販されている。この実施形態では、リン酸エステルおよびポリイミドを、本明細書に説明されているように、ポリイミドまたはポリカーボネートのような適切なポリマーに分散させるか、または適切なポリマーと混合してもよい。
【0002】
条件を満たすような優れた抵抗率、高弾性(例えば、約3,000MPa以上、例えば、約3,000〜約7,000MPa)のような多くの利点が、本開示の中間転写部材(例えば、ベルト)(ITB)に関連しており、基板(例えば、金属基板)に塗布された後に、リン酸エステルで修飾されたポリイミドのコーティングは、金属基板からの自己剥離性を有しており、長期間にわたって部材の優れた導電性を維持しており、長期間にわたって、ITBの湿度に対する感度が低く、耐摩耗性および摩耗耐久性であり、現像したゼログラフィー画像を転写させやすくなるような、条件を満たす表面摩擦特性を有している。
【0003】
いくつかの実施形態では、優れた転写能を有し、導電性であり、より具体的には、例えば,修飾されたリン酸エステルポリイミドを含まない中間転写部材と比較して導電率または抵抗率が優れており、湿度に対する感度が非常に低いという特性を有していることによって、現像した画像の解像度の問題が最低限になるような高品質の画質を与える中間転写部材を提供することが望ましい。ここで、リン酸エステルで修飾されたポリイミドは、自動的に、または手で単純にはがすことによって基板から簡単に外すことができる。また、パズルカット状のつなぎ目があってもよく、なくてもよく、その代わりに、溶接可能なつなぎ目があってもよい、溶接可能な中間転写ベルトを提供することも望ましく、それにより、労働集約的な工程(例えば、パズルカット状のつなぎ目を指によって手動でちぎること)を行わず、非常に長い高温高湿条件での工程を行うことなく、ベルトを製造することができる。また、耐摩耗性および摩耗耐久性に優れ、より具体的には、例えば、リン酸エステルで修飾されたポリイミドを含まない中間転写部材と比較して機械特性が優れた中間転写部材を提供することも望ましい。
【0004】
米国特許第7,031,647号には、リグニンスルホン酸がドープされたポリアニリンを含む、画像形成可能な、つなぎ目のあるベルトが示されている。
【0005】
いくつかの中間転写ベルトで、炭素が導電性粒子として使用され得ることが知られているが、炭素は、分散させることが難しい場合がある。また、例えば、カーボンブラックの保持量が、パーコレーションカーブの垂直部分に存在し、厳しい製造プロセスを用いることが可能なカーボンブラックの機能発揮領域が狭いため、一貫性のある抵抗率を有するカーボンブラック系ITBを作成することが困難な場合がある。それに加え、高湿環境では、放置するとITBの上に水分が堆積し、しわによって転写欠陥が生じたり、印刷欠陥が生じたりする傾向があることになる。これらの欠点および他の欠点を最低限にするか、またはこれらの実施形態において、開示されている中間転写部材を用いて、これらの欠点を実質的になくす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いくつかの実施形態では、カーボンブラックのような導電性成分と、リン酸エステル反応生成物との混合物を含む基板で構成されている中間転写部材、カーボンブラックのような導電性成分と、リン酸エステルおよびポリアミド酸(ポリイミド前駆体)の反応生成物との混合物を含む基板で構成されている中間転写部材、支持基板(例えば、ポリイミド)と、基板の上にある、リン酸エステルおよびポリアミド酸の反応生成物を含む層、カーボンブラックまたは金属酸化物のような導電性成分とで構成される、中間転写部材(例えば、中間ベルト)、既知のHigh Resisitivity Meterで測定した場合、抵抗率が、例えば、約10〜約1013ohm/square、約10〜約1012ohm/square、より具体的には、約1010〜約1011ohm/squareであり、リン酸エステルポリアミド酸反応生成物および導電性成分コーティングが金属基板から自己剥離する中間転写部材が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の態様は、導電性材料と、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマーからなる群から選択される材料とで構成される中間転写部材、例えば、本明細書で引用されている同時係属中の明細書に示されているようなリン酸エステルおよびポリアミド酸(ポリイミド前駆体)の反応生成物として生成する、ホスフェートで修飾されたポリイミド、カーボンブラック、任意要素であるポリマーバインダーで構成され、リン酸エステルは、例えば、アルキルアルコールエトキシレートホスフェート、アルキルフェノールエトキシレートホスフェート、アルキルポリエトキシエタノールホスフェート、アルキルフェノキシポリエトキシエタノールホスフェート、またはこれらの混合物であり、導電性成分は、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン、および他の既知の適切な導電性成分であり、ポリイミド前駆体またはポリアミド酸は、例えば、ピロメリット酸二無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミンのポリアミド酸、およびこれらの混合物である、中間転写部材、本明細書に記載されているようなリン酸エステルで修飾されたポリイミドとカーボンブラックとで構成され、リン酸エステルで修飾されたポリイミドが、主に剥離剤として機能し(コーティング基板、通常は金属基板からポリイミドITBを剥離するための)、場合により、ポリマーバインダーを含み、リン酸エステルが、アルキルアルコールエトキシレートホスフェート、アルキルフェノールエトキシレートホスフェート、アルキルポリエトキシエタノールホスフェート、またはアルキルフェノキシポリエトキシエタノールホスフェートであり、ポリマーバインダーは、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、フッ化ポリビニリデン、またはポリエチレン−コ−ポリテトラフルオロエチレンであり、リン酸エステルとポリアミド酸との比率は、約0.1/99.9〜約4/96であるような、中間転写ベルト、静電潜像を有する電荷保持表面と、トナーを電荷保持表面に塗布するための現像成分とを含む記録媒体の上に画像を作成するための装置、本明細書に記載されている中間転写部材、より具体的には、リン酸エステルで修飾されたポリイミドを調製するために剥離剤として選択されるリン酸エステルが、アルキルアルコールアルコキシレートホスフェート、アルキルフェノールアルコキシレートホスフェート、アルキルポリアルコキシエタノールホスフェート、アルキルフェノキシポリアルコキシエタノールホスフェート、またはこれらの混合物であり、アルコキシが、例えば、炭素原子を約1〜約16個含み、アルキルが、例えば、炭素原子を約1〜約36個含むような、中間転写部材に関する。
【0008】
本開示の実施形態では、リン酸エステルとポリアミド酸とのエステル化反応生成物から生成するリン酸エステルで修飾されたポリイミドで構成され、導電性成分を含んでいてもよい、中間転写部材、リン酸エステルおよびポリアミド酸の反応生成物と、カーボンブラックとで構成され、リン酸エステルが、アルキルアルコールエトキシレートホスフェート、アルキルフェノールエトキシレートホスフェート、アルキルポリエトキシエタノールホスフェート、またはアルキルフェノキシポリエトキシエタノールホスフェートであり、ポリアミド酸が、ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミンのポリアミド酸、およびこれらの混合物の1つであり、反応生成物が、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマーなど、およびこれらの混合物のホスフェートで修飾されたポリイミドであり、反応生成物が、約200〜約325℃の温度で加熱することによって生成する、中間転写ベルト、リン酸エステルおよびポリアミド酸の反応生成物と、カーボンブラックとで構成され、リン酸エステルが、アルキルアルコールエトキシレートホスフェート、アルキルフェノールエトキシレートホスフェート、アルキルポリエトキシエタノールホスフェート、またはアルキルフェノキシポリエトキシエタノールホスフェートであり、ポリアミド酸が、ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミンのポリアミド酸、およびこれらの混合物であり、リン酸エステルが、エステル化によってポリアミド酸と反応し、同時に、ポリアミド酸自体がイミド化し、リン酸エステルで修飾されたポリイミドを生じるような、中間転写ベルト、NMR核磁気共鳴で測定した場合、リン酸エステルのエトキシ(EO)モル数が約1〜約40であり、導電性成分が、カーボンブラック、ポリアニリンまたは金属酸化物である、中間転写部材、NMR核磁気共鳴で測定した場合、リン酸エステルのエトキシ(EO)モル数が約2〜約20であり、リン酸エステルが、トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート、ポリエチレングリコールモノトリデシルエーテルホスフェート、トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェート、またはノニルフェノールエトキシレートホスフェートである、中間転写部材、リン酸エステルのアルコキシが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、またはペントキシであり、リン酸エステルのアルキルが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、またはペンチルである、中間転写ベルト、ポリアミド酸が、約98〜約99.5重量%の量で存在し、リン酸エステルが、約0.5〜約2重量%の量で存在し、リン酸エステル反応が、約225〜約310℃の温度で起こる、中間転写部材、リン酸エステル反応生成物と、カーボンブラックまたは金属酸化物のような導電性成分とを、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、トルエン、モノクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびこれらの混合物からなる群から選択される溶媒と混合し、分散物を作成するような、中間転写ベルトが提供される。
【0009】
ポリアミド酸(例えば、ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸)との反応のために選択されるリン酸エステルの例としては、多くの既知のリン酸エステルが挙げられ、より具体的には、リン酸エステルは、アルキルアルコールアルコキシレート(例えば、アルキルアルコールエトキシレート)、アルキルフェノールアルコキシレート(例えば、アルキルフェノールエトキシレート)、アルキルポリエトキシエタノール(例えば、アルキルポリアルコキシエタノール)、アルキルフェノキシポリアルコキシエタノール(例えば、アルキルフェノキシポリエトキシエタノール)のリン酸エステル、これらの混合物であり、およびアルキルおよびアルコキシが、例えば、1〜約36個の炭素原子、1〜約18個の炭素原子、1〜約12個の炭素原子、1〜約6個の炭素原子を含むか、場合によりこれらの混合物であるような対応するアルコキシエステルなどが挙げられる。リン酸エステルの数平均分子量は、例えば、約200〜約2,000、約300〜約800であり、リン酸エステルの重量平均分子量は、例えば、約250〜約8,000、または約400〜約2,000であり、分子量は、供給メーカーによって報告されたものであるか、またはGPC分析によって測定されたものである。
【0010】
本開示の実施形態では、アルキルアルコールエトキシレートのリン酸エステルの例としては、例えば、エトキシ(EO)の平均モル数が、それぞれ約3、6、12である、POLYSTEP(登録商標)P−11、P−12およびP−13(STEPAN Company(ノースフィールド、IL)から入手可能なトリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)が挙げられ、例えば、POLYSTEP(登録商標)P−11の1個の分子は、その構造内に3個のエトキシ基またはセグメント(EO)を有している[−CHCHO−CHCHO−CHCHO−]。エトキシの平均モル数は、既知の方法によって決定することができ、より具体的には、例えば、構造内に3個のエトキシ(EO)[−CHCHO−CHCHO−CHCHO−]を有するPOLYSTEP(登録商標)P−11のような1種類のリン酸エステルについて決定することができる。アルキルアルコールエトキシレートのリン酸エステルの他の例としては、トリオクチルアルコールエトキシレートホスフェート、トリヘキシルアルコールエトキシレートホスフェート、トリヘプチルアルコールエトキシレートホスフェート、またはトリペンチルアルコールエトキシレートホスフェートが挙げられる。
【0011】
本開示の実施形態では、アルキルフェノールエトキシレートのリン酸エステルの例としては、エトキシ(EO)の平均モル数が、それぞれ約4、6、8、10、12である、POLYSTEP(登録商標)P−31、P−32、P−33、P−34、P−35(STEPAN Company(ノースフィールド、IL)から入手可能なノニルフェノールエトキシレートホスフェート)が挙げられる。アルキルフェノールエトキシレートのリン酸エステルの他の例としては、オクチルフェノールエトキシレートホスフェート、ヘキシルフェノールエトキシレートホスフェート、デシルフェノールエトキシレートホスフェート、またはヘプチルフェノールエトキシレートホスフェートが挙げられる。
【0012】
アルキルポリエトキシエタノールのリン酸エステルの例としては、エトキシ(EO)の平均モル数が、それぞれ約3、6、12である、STEPFAC(商標)8180、8181および8182(STEPAN Company(ノースフィールド、IL)から入手可能なポリエチレングリコールモノトリデシルエーテルホスフェート)が挙げられる。アルキルポリエトキシエタノールのリン酸エステルの他の例としては、ポリエチレングリコールトリオクチルエーテルホスフェート、ポリエチレングリコールトリヘプチルエーテルホスフェート、ポリエチレングリコールトリヘキシルエーテルホスフェート、またはポリエチレングリコールトリペンチルエーテルホスフェートが挙げられる。
【0013】
アルキルフェノキシポリエトキシエタノールのリン酸エステルの例としては、エトキシ(EO)の平均モル数が、それぞれ約10、6、4、8、12である、STEPFAC(商標)8170、8171、8172、8173、8175(STEPAN Company(ノースフィールド、IL)から入手可能なノニルフェノールエトキシレートホスフェート)、エトキシ(EO)の平均モル数が約16である、STEPAN Company(ノースフィールド、IL)から入手可能なTSP−PE(トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェート)が挙げられる。アルキルフェノキシポリエトキシエタノールのリン酸エステルの他の例としては、オクチルフェノールエトキシレートホスフェート、デシルフェノールエトキシレートホスフェート、ヘプチルフェノールエトキシレートホスフェート、またはヘキシルフェノールエトキシレートホスフェートが挙げられる。
【0014】
上述の反応のために種々の量のリン酸エステルを選択してもよく、例えば、約0.1〜約15重量%、0.2〜約5重量%、または0.5〜約3重量%の量になるように選択してもよい。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態では、リン酸エステルとの反応のために選択されるポリアミド酸の例としては、ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミンのポリアミド酸、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、リン酸エステルとの反応のために選択されるポリアミド酸の市販例は、ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン、例えば、PYRE−ML RC5019(N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中、約15〜16重量%)、RC5057(NMP/芳香族炭化水素=80/20中、約14.5〜15.5重量%)、RC5083(NMP/DMAc=15/85中、約18〜19重量%)(いずれも、Industrial Summit technology Corp.(パーリン、NJ)製)、RP46およびRP50(NMP中、約18重量%)(両方ともUnitech Corp.(ハンプトン、VA)から得た)、FUJIFILM Electronic Materials U.S.A.,Incから市販されているDURIMIDE(登録商標)100である。
【0017】
ポリアミド酸の市販例は、UBE America Inc.(ニューヨーク、NY)から市販されている、U−VARNISH AおよびS(NMP中、約20重量%)のビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリンである。
【0018】
いくつかの実施形態では、ポリアミド酸の市販例は、5−アミノ−1−(p−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダンを含むジ−(2,3−ジカルボキシフェニル)−エーテル二無水物、であり、例えば、Ciba−Geigy Corporation(アーズリー、N.Y.)から入手可能なXU218である。
【0019】
さらに、本開示の実施形態では、反応剤として選択可能なポリアミド酸またはポリアミド酸エステルの例は、二無水物とジアミンとの反応から生成する。適切な二無水物としては、芳香族二無水物および芳香族テトラカルボン酸二無水物、例えば、9,9−ビス(トリフルオロメチル)キサンテン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス((3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシ−2,5,6−トリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ジ−(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)エーテル二無水物、ジ−(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)スルフィド二無水物、ジ−(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ジ−(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,4,5−テトラカルボキシベンゼン二無水物、1,2,4−トリカルボキシベンゼン二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4−4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン 2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−ジフェニルスルフィドジオキシビス(4−フタル酸)二無水物、4,4’−ジフェニルスルホンジオキシビス(4−フタル酸)二無水物、メチレンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物、エチリデンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物、イソプロピリデンビス−(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−フェニレンオキシ−4−フタル酸)二無水物などが挙げられる。ポリアミド酸の調製において使用するのに適した例示的なジアミンとしては、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ビフェニル、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス−(m−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルホン、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルフィド、4,4’−ビス−(p−アミノフェノキシ)−ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−アゾベンゼン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−p−ターフェニル、1,3−ビス−(γ−アミノプロピル)−テトラメチル−ジシロキサン、1,6−ジアミノヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロ−ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタフルオロジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,1−ジ(p−アミノフェニル)エタン、2,2−ジ(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(p−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなど、およびこれらのこれらの混合物が挙げられ、より具体的には、二無水物は、3,3’,4,4’−テトラカルボキシビフェニル二無水物、3,3’,4,4’−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物のうち1つであり、ジアミンは、4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−ジアミノベンゼン、または4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのうち1つである。
【0020】
リン酸エステルと反応させるために、種々の量のポリアミド酸を選択してもよく、例えば、約90〜約99.9重量%、95〜約99.8重量%、または97〜約99.5重量%の量になるように選択してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態での二無水物およびジアミンは、例えば、二無水物とジアミンとの重量比が、約20:80〜約80:20、より具体的には、約50:50になるように選択されてもよい。上述の芳香族二無水物(例えば芳香族テトラカルボン酸二無水物)およびジアミン(例えば芳香族ジアミン)を1種類用いてもよく、混合物として用いてもよい。反応は、約180〜約250℃の温度で、約2〜約18時間行われ、対応するポリアミド酸(ポリイミド前駆体)が得られる。
【0022】
開示されている中間転写部材は、リン酸エステルで修飾されたポリイミドを含み、このリン酸エステルで修飾されたポリイミドは、中間転写部材の硬化プロセス中に、系中で生成する。中間転写部材のコーティング溶液は、リン酸エステルと、ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)と、溶媒(例えば、NMPまたはDMAc)とを含む。金属基板上にコーティングした後、まず、溶媒を約190℃で約30分間かけて蒸発させ、もっと高い温度(例えば、約250〜約320℃)でさらなる所定時間(例えば、1時間)かけてさらに硬化させている間に、リン酸エステルとポリアミド酸との反応が系中で起こる。硬化または加熱プロセスの間に、イミド化とエステル化の両方が起こる。
【0023】
NMPのような溶媒中、リン酸エステル、ポリアミド酸を、導電性成分と混合し、加熱して分散物を作成し、次いで、得られた混合物を、既知のドローバーコーティング法を用い、金属基板に塗布するか、またはコーティングしてもよい。得られた1つ以上の膜を、金属基板の上に残したまま、高温(例えば、約100〜約400℃、約190〜約320℃)で十分な期間(例えば、約60〜約240分間または約120〜約180分間)乾燥させてもよい。乾燥プロセス中に、リン酸エステルで修飾されたポリイミドは、上述のイミド化反応およびエステル化反応から系中で生成する。乾燥し、室温(約25℃)まで冷却した後、約50〜約150μmの厚い1つ以上の膜が生成し、この膜は、工具を使うことなく、単に手ではがすことによって、金属基板から剥離する。
【0024】
さらに、主に、平滑なコーティング表面を得るため、またはレベリング剤として、リン酸エステルコーティング混合物にポリシロキサンコポリマーを加えてもよく、このコポリマーとしては、BYK Chemicalから商品名BYK(登録商標)310(キシレン中、約25重量%)および370(キシレン/アルキルベンゼン/シクロヘキサノン/モノフェニルグリコール=75/11/7/7中、約25重量%)で市販されている、ポリエステルで修飾されたポリジメチルシロキサン、BYK Chemicalから商品名BYK(登録商標)330(メトキシプロピルアセテート中、約51重量%)および344(キシレン/イソブタノール=4/1中、約52.3重量%)、BYK(登録商標)−SILCLEAN 3710および3720(メトキシプロパノール中、約25重量%)で市販されている、ポリエーテルで修飾されているポリジメチルシロキサン、BYK Chemicalから商品名BYK(登録商標)−SILCLEAN 3700(メトキシプロピルアセテート中、約25重量%)で市販されている、ポリアクリレートで修飾されたポリジメチルシロキサン、BYK Chemicalから商品名BYK(登録商標)375(ジ−プロピレングリコールモノメチルエーテル中、約25重量%)で市販されている、ポリエステルポリエーテルで修飾されたポリジメチルシロキサンが挙げられ、中間転写部材の成分全体の約0.01〜約1重量%、または約0.05〜約0.5 重量%の量で存在する。
【0025】
反応生成物は、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミン/トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマー、ポリ(ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミン/ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート)コポリマーなど、およびこれらの混合物のいずれかであってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、中間転写部材は、さらに、導電性成分(例えば、カーボンブラック、金属酸化物またはポリアニリン)を、リン酸エステルで修飾されたポリイミドコーティング混合物中、例えば、約1〜約60重量%、約3〜約40重量%、または、より具体的には、約5〜約20重量%の量で含んでいる。
【0027】
カーボンブラックの導電性は、主に、表面積および構造によって変わる。一般的に、表面積が大きいほど、また、構造が高次であるほど、カーボンブラックの導電性は高い。表面積は、カーボンブラック単位重量あたりのB.E.T.窒素表面積によって測定され、一次粒径の尺度である。構造は、カーボンブラックの一次凝集物の形態を指す複雑な性質である。構造は、一次粒子を含む一次凝集物の数と、これらが「融合して」いる様式との両方の尺度である。高次構造のカーボンブラックは、かなり「架橋し」、「鎖状になった」多くの一次粒子で構成される凝集物の特徴を示し、一方、低次構造のカーボンブラックは、数の少ない一次粒子で構成される小さな凝集物の特徴を示す。構造は、カーボンブラック内にある空隙によるフタル酸ジブチル(DBP)の吸収量によって測定される。構造が高次であるほど、また空隙が多いほど、DBPの吸収量が大きくなる。
【0028】
金属コーティング基板として、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、これらのアロイが選択されてもよく、基板は、可とう性ベルトの形態であってもよく、堅いドラムの形態であってもよい。
【0029】
リン酸塩で修飾されたポリイミド導電性成分混合物の反応のために選択される溶媒の例としては、例えば、ハロゲン化アルキレン、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、トルエン、モノクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、これらの混合物などが挙げられる。溶媒は、ITBコーティング分散物の約70〜約90重量%の量で存在してもよい。
【0030】
開示されている中間転写部材の表面抵抗率は、例えば、High Resistivity meterで測定した場合、約10〜約1013ohm/square、または約1010〜約1012ohm/squareである。導電率は、抵抗率の逆数である。
【0031】
本明細書に示される中間転写部材(例えば中間転写ベルト)を、ゼログラフィー印刷システムを含む多くの印刷システムおよび複写システムのために選択してもよい。例えば、開示されている中間転写部材を、転写されるそれぞれの画像が、画像形成ステーションにて画像形成ドラムまたは光伝導性ドラムの上に作成され、次いで、これらの画像が、それぞれ現像ステーションで現像され、中間転写部材に転写されるような多色画像形成ゼログラフィー機に組み込んでもよい。画像を光伝導体の上に作成し、順次現像し、次いで、中間転写部材に転写してもよい。代替的な方法において、それぞれの画像を光伝導体または感光ドラムの上に作成し、現像し、次いで、中間転写部材に対して位置合わせした状態で転写されてもよい。一実施形態では、多色画像形成システムは、カラー複写システムであり、複写される画像のそれぞれの色を、感光ドラムの上に作成し、現像し、中間転写部材に転写する。
【0032】
トナー潜像を感光ドラムから中間転写部材に転写した後、中間転写部材を、熱および圧力を加えた状態で、画像を受け取る基板(例えば紙)と接触させてもよい。次いで、中間転写部材の上にあるトナー画像を画像の形状になるように基板(例えば、紙)に転写し、固定する。
【0033】
本明細書に示されている画像形成システム、および他の既知の画像形成印刷システム中に存在する中間転写部材は、終端のないベルト、終端のないつなぎ目のある可とう性ベルト、ローラー、膜、箔、片、コイル、円筒形、ドラム、終端のない片、円板を含む、シート、ウェブ、ベルトの形状であってもよい。中間転写部材は、単一層で構成されていてもよく、または、いくつかの層(例えば、約2〜約5つの層)で構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、中間転写部材は、外側剥離層をさらに含んでいる。
【0034】
いくつかの実施形態では、リン酸エステルで修飾されたポリイミド、導電性混合物の上にあるか、またはこれらと接触している剥離層の例としては、表面エネルギーの低い材料、例えば、TEFLON(登録商標)に似た材料、例えば、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFA TEFLON(登録商標))、および他のTEFLON(登録商標)に似た材料、シリコーン材料、例えば、フルオロシリコーンおよびシリコーンゴム、例えば、Sampson Coatings(リッチモンド、Va)から入手可能なSilicone Rubber 552(ポリジメチルシロキサン/ジブチルスズジアセテート、ポリジメチルシロキサンゴム混合物100gあたり、0.45gのDBTDA、分子量Mは、約3,500)、フルオロエラストマー、例えば、VITON(登録商標)として販売されているもの、例えば、VITON A(登録商標)、VITON E(登録商標)、VITON E60C(登録商標)、VITON E45(登録商標)、VITON E430(登録商標)、VITON B910(登録商標)、VITON GH(登録商標)、VITON B50(登録商標)、VITON E45(登録商標)、VITON GF(登録商標)のような種々の商品名で商業的に知られている、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンのコポリマーおよびターポリマーが挙げられる。VITON(登録商標)という商品名は、E.I.DuPont de Nemours,Incの商標である。2種類の既知のフルオロエラストマーは、(1)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンのコポリマー類、例えば、VITON A(登録商標)として商業的に知られているもの、(2)VITON B(登録商標)として商業的に知られている、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンのターポリマー類、(3)35モル%のフッ化ビニリデン、34モル%のヘキサフルオロプロピレン、29モル%のテトラフルオロエチレンと、2%のキュアサイトモノマーとを有する、VITON GF(登録商標)のような、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、キュアサイトモノマーのテトラポリマー類で構成される。キュアサイトモノマーは、E.I.DuPont de Nemours,Inc.から入手可能な、例えば、4−ブロモペルフルオロブテン−1,1,1−ジヒドロ−4−ブロモペルフルオロブテン−1,3−ブロモペルフルオロプロペン−1,1,1−ジヒドロ−3−ブロモペルフルオロプロペン−1、または任意の他の適切な既知の市販されているキュアサイトモノマーであってもよい。
【0035】
1つ以上の剥離層を、本明細書に示されるように、十分に知られているコーティングプロセスによって、リン酸エステルで修飾されたポリイミドの層の上に堆積させてもよい。外側剥離層を作成する既知の方法としては、浸漬、噴霧(例えば、非常に薄い膜を何度も噴霧することによって)、鋳造、フローコーティング、ウェブコーティング、ロールコーティング、押出、成形などが挙げられる。通常は、非常に薄い膜を何度も噴霧することによって、または、鋳造、ウェブコーティング、フローコーティングによって、より具体的には、積層によって、層を堆積させることが望ましい。
【0036】
中間転写部材の円周は、特に、膜またはベルト形状に適用可能な場合、例えば、約275〜約2,700mm、約1,700〜約2,600mm、または約2,000〜約2,200mmであり、対応する幅は、例えば、約100〜約1,000mm、約200〜約500mm、または約300〜約400mmである。
実施例I
【0037】
STEPAN Company(ノースフィールド、IL)から得られるような、リン酸エステルPOLYSTEP(登録商標)34(エトキシの平均モル数が約10である、ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)0.5%を、Industrial Summit technology Corp.(パーリン、NJ)から得られるような、94.3重量%のポリアミド酸(ポリイミド前駆体)PYRE−ML RC5019(N−メチル−2−ピロリドン中、約15〜16重量%)、Evonik−DeGussaから得られるような、5重量%のカーボンブラックColor Black FW1(B.E.T.表面積=320m/g、DBP吸収量=2.89ml/g、一次粒子の直径=13ナノメートル)、BYK Chemicalsから得られるような、0.2重量%のポリエステルで修飾されたポリジメチルシロキサンBYK(登録商標)310(キシレン中、約25重量%)、合計固形含有量を約17重量%に調節するのに適切な量の溶媒(NMP)と混合し、反応させた後、得られた混合物を、Attritorを用い、2mmステンレスショットで1時間、ボールミルによって粉砕した。
【0038】
次いで、上のように得られた分散物を、既知のドローバーコーティング方法を用いて厚み0.5mmのステンレス鋼基板にコーティングし、次いで、ステンレス鋼基板の上に残したまま、コーティング分散物を125℃で20分間、190℃で40分間、320℃で60分間かけて乾燥させた。乾燥プロセス中に、リン酸エステルで修飾されたポリイミドは、リン酸エステルとポリアミド酸とのイミド化反応およびエステル化反応から系中で生成し、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマーが生成した。
【0039】
上述のように得られた、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー混合物の乾燥したコーティングは、約6秒以内に、なんら外力を加えることなく、または工具を用いることなく、ステンレス鋼基板から自己剥離し、約100μmの厚い中間転写部材膜が得られ、ポリイミド/カーボンブラック/リン酸エステル/ポリエステルで修飾されたポリシロキサンの比率は、94.3/5/0.5/0.2であった。
実施例II
【0040】
STEPAN Company(ノースフィールド、IL)から得られるような、リン酸エステルSTEPFAC(登録商標)8171(エトキシの平均モル数が約6である、ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)0.5%を、Industrial Summit technology Corp.(パーリン、NJ)から得られるような、84.5重量%のポリアミド酸(ポリイミド前駆体)PYRE−ML RC5083(NMP/DMAc=15/85中、約18〜19重量%)、Evonik−Degussaから得られるような、15重量%のカーボンブラックSpecial Black 4(B.E.T.表面積=180m/g、DBP吸収量=1.8ml/g、一次粒子の直径=25ナノメートル)、合計固形含有量を約17重量%に調節するのに適切な量の溶媒(NMP)と混合した後、得られた混合物を、ボールミルによって粉砕し、Attritor中、2mmステンレスショットで3時間混合した。
【0041】
次いで、上のように得られた分散物を、既知のドローバーコーティング方法を用いて厚み0.5mmのステンレス鋼基板にコーティングし、次いで、ステンレス鋼基板の上に残したまま、この分散物を125℃で20分間、190℃で40分間、320℃で60分間かけて乾燥させた。乾燥プロセス中に、リン酸エステルで修飾されたポリイミドは、リン酸エステルとポリアミド酸とのイミド化反応およびエステル化反応から系中で生成し、ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマーが生成した。
【0042】
上述のように得られた乾燥したコーティングは、なんら外力を加えることなく、または工具を用いることなく、ステンレス鋼基板からすばやく自己剥離し、約100μmの厚い中間転写部材膜が得られ、ポリイミド/カーボンブラック/リン酸エステルの比率は、84.5/15/0.5であった。
比較例1
【0043】
実施例IIのプロセスを繰り返すが、但し、0.5%のリン酸エステルSTEPFAC(登録商標)8171を省いた。Industrial Summit technology Corp.(パーリン、NJ)から得られるような、85重量%のポリアミド酸(ポリイミド前駆体)PYRE−ML RC5083(NMP/DMAc=15/85中、約18〜19重量%)を、Evonik−Degussaから得られるような、15重量%のカーボンブラックSpecial Black 4(B.E.T.表面積=180m/g、DBP吸収量=1.8ml/g、一次粒子の直径=25ナノメートル)、合計固形含有量を約17重量%に調節するのに適切な量の溶媒(NMP)と混合した後、Attritor中、得られた混合物を2mmのステンレスショットを用いてボールミルによって3時間粉砕した。
【0044】
次いで、上のように得られた分散物を、既知のドローバーコーティング方法を用いて厚み0.5mmのステンレス鋼基板にコーティングし、次いで、ステンレス鋼基板の上に残したまま、125℃で20分間、190℃で40分間、320℃で60分間かけて乾燥させた。この膜は、水に48時間浸した後でさえ、ステンレス鋼基板から剥離しなかった。得られた中間転写部材膜は、ポリイミド/カーボンブラックを85/15の比率で含んでいた。
実施例III
【0045】
STEPAN Company(ノースフィールド、IL)から得られるような、リン酸エステルPOLYSTEP(登録商標)34(エトキシの平均モル数が約10である、ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)0.5%を、東洋紡から得られるような、94.3重量%のポリアミドイミドVYLOMAX(登録商標) HR−11NN(15重量% N−メチルピロリドン溶液、T=300℃、M=45,000)、Evonik−Degussaから得られるような、5重量%のカーボンブラックColor Black FW1(B.E.T.表面積=320m/g、DBP吸収量=2.89ml/g、一次粒子の直径=13ナノメートル)、BYK Chemicalsから得られるような、0.2重量%のポリエステルで修飾されたポリジメチルシロキサンBYK(登録商標)310(キシレン中、約25重量%)、合計固形含有量を約15重量%に調節するのに適切な量の溶媒(NMP)と混合した後、得られた混合物を、Attritorを用い、2mmステンレスショットで、ボールミルによって1時間粉砕した。
【0046】
次いで、上のように得られた分散物を、既知のドローバーコーティング方法を用いて厚み0.5mmのステンレス鋼基板にコーティングし、次いで、ステンレス鋼基板の上に残したまま、125℃で20分間乾燥させ、次いで、190℃でさらに40分間乾燥させた。
【0047】
上述のように得られた乾燥したコーティングは、なんら外力を加えることなく、または工具を用いることなく、ステンレス鋼基板からすばやく自己剥離し、約100μmの厚い中間転写部材膜が得られ、ポリアミドイミド/カーボンブラック/リン酸エステル/ポリエステルで修飾されたポリシロキサンの比率は、94.3/5/0.5/0.2であった。
【0048】
実施例I、IIおよび比較例1、2の上述のITB部材について、High Resistivity Meter(Mitsubishi Chemical Corp.製のHiresta−Up MCP−HT450)を用い表面抵抗率を測定し(種々の点での4〜6個の測定値を平均、72°F/部屋の湿度50%)、ヤング率と、コーティング剥離特性を測定した。結果を表1に与えている。
【表1】


上述のITB部材は、約10〜約1013ohm/squareの作業範囲内で、機能的な表面抵抗率を示した。「自己剥離」は、例えば、得られたITBが、金属コーティング基板から6秒以内に剥離することを指し、「剥離しない」は、例えば、得られたITBが、金属コーティング基板から数ヶ月間剥離しないことを指す。
【0049】
実施例I、II、IIIの上述のITB部材について、既知のASTM D882−97プロセスにしたがって、ヤング率を測定した。比較例1のITB部材のヤング率は、コーティング鋼基板から剥離しなかったため自立する膜が得られなかったので、測定しなかった。実施例I、II、IIIのITBサンプル(0.5インチ×12インチ)をInstron Tensile Tester測定装置に置き、次いで、一定の引っ張り速度で破壊するまで伸ばした。この間に、サンプルの伸びに対し、得られた負荷を記録した。この曲線の初期線形部分に対して接線にある任意の点を選び、引張応力を対応するひずみで割ることによって、弾性率を算出した。引張応力は、負荷をそれぞれの試験サンプルの平均断面積で割ることによって与えられた。
【0050】
実施例IおよびIIのITB部材は、優れた弾性率を示し、リン酸エステルを含まない比較例1のポリイミド/カーボンブラックITBの弾性率(約3,400MPa)と匹敵する値であった。ポリイミドITBにリン酸エステルを加えることは、機械特性に悪い影響を与えなかった。
【0051】
開示されている試作品であるポリイミド/リン酸エステルITBは、上述のITBと比べ、コーティング基板から自己剥離するため、リン酸エステルを加えないポリイミドITBを剥離するには必要な、余分な剥離層コーティングを必要としないので、製造コストが約20%安く、匹敵する特性を有していた。
【0052】
同時係属中の出願第20100220号では、リン酸エステルと、ポリアミドイミドと、カーボンブラックとを含み、コーティング金属基板から自己剥離し、リン酸エステルがポリアミドイミドと物理的に混合されており、180℃を超えるような高温まで加熱しても、この2種類の物質間の化学反応が起こらないような中間転写部材が開示されている。対称的に、反応剤としてポリアミド酸(ポリイミド前駆体)が選択される場合、リン酸エステルは、乾燥プロセス中に、ポリアミド酸と系中で化学的に反応する。結果として、ポリアミドイミド/リン酸エステルITB(比較例2)のCTE(熱膨張係数)は、Thermo−mechanical Analyzer(TMA)によって約70ppmであると測定され、ITBのリン酸エステル反応生成物(実施例I)のCTEは、約50ppmであり、CTEは約30%低かった。CTEが小さいことは、操作温度が上がったときにITB寸法の膨張が少ないため、常に望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸エステルとポリアミド酸のエステル化反応生成物から生成した、リン酸エステルで修飾されたポリイミドを含み、導電性成分を含む、中間転写部材。
【請求項2】
前記反応中に、前記ポリアミド酸がイミド化し、前記反応が、前記リン酸エステルおよび前記ポリアミド酸を約200℃〜約350℃の温度に加熱することによって行われる、請求項1に記載の中間転写部材。
【請求項3】
前記リン酸エステルが、アルキルアルコールアルコキシレートホスフェート、アルキルフェノールアルコキシレートホスフェート、アルキルポリアルコキシエタノールホスフェート、アルキルフェノキシポリアルコキシエタノールホスフェート、またはこれらの混合物であり、前記アルコキシが、炭素原子を1〜約16個含み、前記アルキルが、炭素原子を約1〜約36個含み、前記導電性成分がカーボンブラックであり、前記ポリアミド酸が、ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミンポリアミド酸、およびこれらの混合物である、請求項1に記載の中間転写部材。
【請求項4】
前記リン酸エステルが、アルキルアルコールエトキシレートホスフェート、アルキルフェノールエトキシレートホスフェート、アルキルポリエトキシエタノールホスフェート、またはアルキルフェノキシポリエトキシエタノールホスフェートである、請求項1に記載の中間転写部材。
【請求項5】
前記リン酸エステルが、トリデシルアルコールエトキシレートホスフェート、ポリエチレングリコールモノトリデシルエーテルホスフェート、トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェート、またはノニルフェノールエトキシレートホスフェートである、請求項1に記載の中間転写部材。
【請求項6】
前記リン酸エステルがノニルフェノールエトキシレートホスフェートである、請求項3に記載の中間転写部材。
【請求項7】
前記リン酸エステルが、約0.01〜約5重量%の量になるように選択され、前記ポリアミド酸が、約65〜約97重量%の量になるように選択され、前記導電性成分が、約1〜約30重量%の量で存在し、これらの合計が約100%であり、前記リン酸エステルが、約180〜約320℃の温度で前記ポリアミド酸と反応する、請求項1に記載の中間転写部材。
【請求項8】
前記リン酸エステルが、約0.1〜約4重量%の量になるように選択され、前記ポリアミド酸が、約78〜約95重量%の量になるように選択され、前記導電性成分が、約1〜約20重量%の量になるように選択され、これらの合計が約100%であり、前記リン酸エステルで修飾されたポリイミドが、(ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー)からなる群から選択される、請求項1に記載の中間転写部材。
【請求項9】
前記ポリアミド酸が、ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリンのポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリンのポリアミド酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミンのポリアミド酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/フェニレンジアミンのポリアミド酸、場合により、これらの混合物からなる群から選択され、それぞれ、前記転写部材成分の約70〜約97重量%の量になるように選択される、請求項1に記載の中間転写部材。
【請求項10】
層の形状になっている前記反応生成物の上に、外側剥離層をさらに備えており、前記剥離層が、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン、フルオロシリコーン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンのターポリマー、またはこれらの混合物を含み、前記リン酸エステルで修飾されたポリイミドが、(ポリ(ピロメリット酸二無水物/4,4−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ピロメリット酸二無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/4,4’−オキシジアニリン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー、ポリ(ビフェニルテトラカルボン酸無水物/フェニレンジアミン/ノニルフェノールエトキシレートホスフェート)コポリマー)からなる群から選択される、請求項1に記載の中間転写部材。

【公開番号】特開2012−48237(P2012−48237A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177378(P2011−177378)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】