説明

リーダライタ

【課題】 所定の距離にある他のリーダライタからの電波干渉により、読取るべきICカードのデータが読取れなくなることを防止するリーダライタを提供する。
【解決手段】 リーダライタ(R/W−A)110は、リーダライタ全体の動作制御とコマンドの解析等を行う制御部111と、信号を変調して搬送波に乗せて送信する送信部112と、ICカード200からのレスポンス等を受信して復調する受信部113と、ループアンテナ117を介して受信した信号を検出する信号検出部(信号検出手段)114と、送受信信号を放射又は受信するループアンテナ117と、を備えて構成される。尚、制御部111は、ICカード200と通信手順を確立するために少なくとも1つ以上のコマンドを生成するコマンド生成手段と、信号検出部114の検出タイミングを生成するタイミング生成手段と、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード用リーダライタに関し、さらに詳しくは、他のリーダライタからの電波干渉を防止してICカードとの通信を確立する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードと呼ばれる新しい情報記録媒体が市場に広く出回っている。ICカードは、クレジットカード、銀行カード、ポイントカード等のカード状あるいはシート状の形状を備え、カード内にIC(Integrated Circuit)が組み込まれているものを総称した名称である。その中で非接触型ICカード(以下、単にICカードと呼ぶ)は、電鉄の駅への入退場時に使用される定期券或いはプリペイド乗車券として、現在の磁気カード方式に代わり多くの駅の改札で採用されている。
特に、ICカードは、データのやり取りを電波で行うため、その制御のためのリーダライタが必要となる。このリーダライタの一般的な使われ方として、例えば駅の改札機には入退場のための複数のリーダライタが近接されて設置されている。そして各リーダライタからは常時所定のパワーで電波が放射されている。しかし、駅の改札の場合、ICカードとリーダライタのアンテナとの交信可能距離は10cm程度とかなり近距離に設定されている。この理由は、リーダライタ同士が近接しているために、相互の電波の影響を最小限にするためである。しかし、リーダライタはこのように予め電波の影響を考慮して配置されるとは限らない。例えば、持ち運び可能なリーダライタを複数近接して配置して作業を行なうことも考えられる。このような場合は、各リーダライタから放射される電波により相互に干渉を起こす虞がある。
図7は、従来のリーダライタとICカードとの通信状態を説明する図である。従来のリーダライタ(R/W1)300は、リーダライタ全体の動作制御とコマンドの解析等を行う制御部310と、信号を変調して搬送波に乗せて送信する送信部320と、ICカード350からのレスポンス等を受信して復調する受信部330と、送受信信号を放射又は受信するループアンテナ340とを備えて構成される。尚、リーダライタ(R/W1)300の近傍に他のリーダライタ(R/W2)360がある場合について以下図8を参照して説明する。またリーダライタ(R/W2)360の構成はリーダライタ(R/W1)300と同様である。
【0003】
図8(a)は図7のリーダライタ(R/W1)300とICカード350との処理シーケンスを説明する図であり、図8(b)は各信号のタイミングである。まず、図8(a)により図示しない上位機器からカード用のコマンドがポーリング送信される(ここでポーリング送信とは、同じコマンドを所定の周期で連続して送信することを言う。以下、同様とする)。リーダライタ(R/W1)300はそのコマンドを受信すると、コマンド400をICカード350にポーリング送信する。ICカード350は送られたコマンド400を受信して、あるタイミングでレスポンス410をリーダライタ(R/W1)300に返送する。このときリーダライタ(R/W1)300の近傍に他のリーダライタ(R/W2)360がレスポンス410と同じタイミングでコマンド420をポーリング送信していたとすると、リーダライタ(R/W1)300はレスポンス410とコマンド420と同時に受信することになり、信号が干渉しあってレスポンス410を正しく受信できない可能性が発生する。
図8(b)はその様子をさらに詳しく説明するタイミングチャートである。リーダライタ(R/W1)300から送信されるコマンド400は、一定周期にコマンドaを送信する。ICカード350は送られたコマンドaを受信して、あるタイミングtでレスポンスRをリーダライタ(R/W1)300に返送する。このとき略同時に他のリーダライタ(R/W2)360がレスポンス410と同じタイミングでコマンドAを送信していたとすると、リーダライタ(R/W1)300はレスポンスRとコマンドAとを同時に受信することになり、信号が干渉しあってレスポンスRを正しく受信しない可能性が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、ICカードは、データのやり取りを電波で行うため、その制御のためのリーダライタが必要となり、複数のリーダライタを近接して使用すると、タイミング的にICカードからのレスポンスと他のリーダライタからのコマンド信号が重なって、レスポンスが正しく受信できないといった問題があった。
また、このような電波干渉を防ぐために各リーダライタを離して使用しなければならず、設置場所が広く必要となり、作業性が悪くなるといった問題もある。
本発明は、かかる課題に鑑み、所定の距離にある他のリーダライタからの電波干渉により、読取るべきICカードのデータが読取れなくなることを防止するリーダライタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1の発明は、ICカードのループアンテナを介して、該ICカードとの間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタにおいて、前記リーダライタは、前記ICカードと通信手順を確立するために少なくとも1つ以上のコマンドを生成するコマンド生成手段と、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドを送信後、前記ループアンテナを介して受信した信号を検出する信号検出手段と、該信号検出手段の検出タイミングを生成するタイミング生成手段と、前記リーダライタの制御を司る制御部と、を備え、前記制御部は、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドをポーリング送信してから前記タイミング生成手段を起動し、所定の時間経過後に前記信号検出手段が前記ループアンテナを介して受信した信号を検出するように制御することを特徴とする。
リーダライタがICカードに対してコマンドを送信すると、所定の時間後にICカードからレスポンスが返送される。しかもレスポンスが返送される時間は略一定である。本発明はこの特性を利用して、コマンドを送信してから所定の時間後にレスポンスを受信するようにして、その時間以外に返送される信号を無視することにより、他のリーダライタからの電波を受信しても、信号として無視することにより実質的に電波干渉を減少するものである。
また、請求項2の発明は、前記制御部は、前記信号検出手段が検出した信号を前記ICカードからのレスポンスと見なして以後の制御を行うことを特徴とする。
所定のタイミングで信号検出手段が検出した信号は、必ずしも正しいレスポンスであるとは限らない。即ち、コマンドを送信した時に、ICカードがそのコマンドを受信できなかった場合、レスポンスを返送しない。そのときに他のリーダライタからコマンドが送信され、そのタイミングが信号検出手段が検出するタイミングと一致した場合、その信号がレスポンスと見なされる。従って、このときは正しいレスポンスでないのでエラーとなる。このように本発明の場合は、レスポンス以外の信号をタイミングにより排除して正しいレスポンスを検出する確率を高めるものである。
また、請求項3の発明は、ICカードのループアンテナを介して、該ICカードとの間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタにおいて、前記リーダライタは、前記ICカードと通信手順を確立するために少なくとも1つ以上のコマンドを生成するコマンド生成手段と、正規のレスポンスコードを生成するレスポンスコード生成手段と、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドを送信後、前記ループアンテナを介して受信した信号を前記正規のレスポンスコードと比較するレスポンス比較手段と、前記リーダライタの制御を司る制御部と、を備え、前記制御部は、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドをポーリング送信後、前記ループアンテナを介して信号を受信した場合、該信号と前記レスポンスコード生成手段により生成したレスポンスコードとを前記レスポンス比較手段により比較し、該比較の結果、一致した場合に通信コマンドを送信して当該ICカードとの交信を開始することを特徴とする。
請求項1では、タイミングによりレスポンスを検出していたが、必ずしも正しいレスポンスが検出されるとは限らなかった。そこで本発明では、ループアンテナを介して受信した信号を全てレスポンスと見なして、正しいレスポンスコードと比較するレスポンス比較手段を備えたものである。そしてレスポンス比較手段が正しいレスポンスと判断した場合のみ、通信コマンドを送信してICカードとの交信を開始するものである。
また、請求項4の発明は、前記レスポンスコード生成手段により生成するレスポンスコードを変更可能としたことを特徴とする。
レスポンスコードはICカードにより変化する。そこで本発明では、このように変化するレスポンスコードに即応するために、レスポンスコード生成手段により生成するレスポンスコードを変更できるようにするものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、リーダライタに、ループアンテナを介して受信した信号を検出する信号検出手段と、この信号検出手段の検出タイミングを生成するタイミング生成手段とを備え、検出タイミングにより検出した受信信号をレスポンスとするので、このタイミング以外に発生する信号を排除でき、正しいレスポンスを受信する確率を高めることができる。
また請求項2では、信号検出手段が検出した信号をICカードからの正しいレスポンスと見なして以後の制御を行うので、正しいレスポンスを受信する確率が増加し、交信不能の確率を減らすことができる。
また請求項3では、コマンド生成手段により生成されたコマンドをポーリング送信後、ループアンテナを介して受信した信号を正規のレスポンスコードと比較するレスポンス比較手段を備えたので、受信した信号を確実にレスポンスとそれ以外の信号とに識別することができる。
また請求項4では、制御部により比較元のレスポンスコードを変更することができるので、各種のICカードに対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。このリーダライタ100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するコンピュータ(PC)50によって制御される。リーダライタ100は、外部のコンピュータ50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICカードとの電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、ICカードの構成を先に説明しておく。図2は、一般的なICカードの構成を示すブロック図である。ICカード200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするループアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、ループアンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICカード200の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0008】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICカード200に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICカード200がリーダライタ100に近接すると、ループアンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、ICカード内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してループアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ100がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICカード200が規格に合致したICカードであると認識する。それにより、以後リーダライタ100とICカード200の間でポーリングが行われる。
【0009】
図3は、本発明の第1の実施形態のリーダライタとICカードとの通信状態を説明する図である。リーダライタ(R/W−A)110は、リーダライタ全体の動作制御とコマンドの解析等を行う制御部111と、信号を変調して搬送波に乗せて送信する送信部112と、ICカード200からのレスポンス等を受信して復調する受信部113と、ループアンテナ117を介して受信した信号を検出する信号検出部(信号検出手段)114と、送受信信号を放射又は受信するループアンテナ117と、を備えて構成される。尚、制御部111は、ICカード200と通信手順を確立するために少なくとも1つ以上のコマンドを生成するコマンド生成手段と、信号検出部114の検出タイミングを生成するタイミング生成手段と、を備えて構成される。
【0010】
図4は図3のリーダライタ(R/W−A)110とICカード200とリーダライタ(R/W−B)100との処理シーケンスを説明する図であり、図4(a)は正しくレスポンスを受信した場合であり、図4(b)は信号が混信して正しくレスポンスを受信できなかった場合である。そして図4の左側には信号検出部114の信号検出タイミングを模式的に表している。即ち、信号がA、Bの部分で信号検出部114がレスポンスを検出していることを表している。リーダライタ(R/W−A)110の近傍に他のリーダライタ(R/W−B)100がある場合について以下図4を参照して説明する。まず、図4(a)により図示しないPCからリーダライタ(R/W−A)110用のコマンドがポーリング送信される。リーダライタ(R/W−A)110はそのコマンドを受信すると、コマンド40をICカード200に送信すると共に、タイミング生成手段により検出タイミングtを起動する。ICカード200は送られたコマンド40を受信して、あるタイミングでコマンド40を認識すると、レスポンス41をリーダライタ(R/W−A)110に返送する。このときリーダライタ(R/W−A)110の近傍にリーダライタ(R/W−B)100があり、そこから別のコマンド42がレスポンス41より遅れて送信されたとする。リーダライタ(R/W−A)110は時間t後に信号検出部114をアクティブにしてレスポンス41を検出し、検出レスポンス116として制御部111に伝える。また、コマンド42はタイミングが遅いので信号検出部114で検出されず無視される。これにより制御部111は正しいレスポンスをICカードから受信して(R/W−A)110から通信コマンド43をICカード200に送信し、それを受信したICカード200はレスポンス44を返送して通信を開始する。尚、通信コマンド43に対するレスポンス44の受信方法も前記同様に行われる。
【0011】
次に図4(b)の動作について説明する。図4(b)により図示しないPCからリーダライタ(R/W−A)110用のコマンドが送信される。リーダライタ(R/W−A)110はそのコマンドを受信すると、コマンド45をICカード200に送信すると共に、タイミング生成手段により検出タイミングtを起動する。ICカード200は送られたコマンド45を受信して、あるタイミングでコマンド45を認識すると、レスポンス46をリーダライタ(R/W−A)110に返送する。このときリーダライタ(R/W−A)110の近傍にリーダライタ(R/W−B)100があり、そこから別のコマンド47がレスポンス46と略同時に送信されたとする。リーダライタ(R/W−A)110は時間t後に信号検出部114をアクティブにするが、レスポンス46とコマンド47を同時に受信するため、信号が混信した状態で検出レスポンス116として制御部111に伝える。これにより制御部111は正しいレスポンスとして認識することができず、通信が不能となる。
このようにリーダライタ(R/W−A)110に、ループアンテナ117を介して受信した信号を検出する信号検出部114と、この信号検出部114の検出タイミングを生成するタイミング生成手段とを備え、検出タイミングにより検出した受信信号をレスポンスとするので、このタイミング以外に発生する信号を排除でき、正しいレスポンスを受信する確率を高めることができる。
【0012】
図5は、本発明の第2の実施形態のリーダライタとICカードとの通信状態を説明する図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。図5が図3と異なる点は、信号検出部114の代わりにレスポンス比較部118を備えた点である。リーダライタ(R/W−A)120は、リーダライタ全体の動作制御とコマンドの解析等を行う制御部111と、信号を変調して搬送波に乗せて送信する送信部112と、ICカード200からのレスポンス等を受信して復調する受信部113と、ループアンテナ117を介して受信した信号を正規のレスポンスコードと比較するレスポンス比較部(レスポンス比較手段)118と、を備えて構成される。尚、制御部111は、ICカード200と通信手順を確立するために少なくとも1つ以上のコマンドを生成するコマンド生成手段と、正規のレスポンスコードを生成するレスポンスコード生成手段と、を備えて構成される。
【0013】
図6は図5のリーダライタ(R/W−A)120とICカード200とリーダライタ(R/W−B)100との処理シーケンスを説明する図であり、図6(a)は正しくレスポンスを受信した場合であり、図6(b)は信号が混信して正しくレスポンスを受信できなかった場合である。そして図6の左側にはレスポンス比較部118の比較動作タイミングを模式的に表している。即ち、信号がA、B、Cの部分でレスポンス比較部118がレスポンスを比較していることを表している。リーダライタ(R/W−A)120の近傍に他のリーダライタ(R/W−B)100がある場合について以下図6を参照して説明する。まず、図6(a)により図示しないPCからリーダライタ(R/W−A)120用のコマンドが送信される。リーダライタ(R/W−A)120はそのコマンドを受信すると、コマンド50をICカード200にポーリング送信する。ICカード200は送られたコマンド50を受信して、あるタイミングでコマンドを認識すると、レスポンス51をリーダライタ(R/W−A)120に返送する。このときリーダライタ(R/W−A)120の近傍にリーダライタ(R/W−B)100があり、そこから別のコマンド52がレスポンス51より遅れて送信されたとする。リーダライタ(R/W−A)120はレスポンス51をレスポンス比較部118に一旦記憶して、制御部111にセットされた期待されるレスポンス117と比較される。その結果、一致するとOK信号としてOK/NG信号線119から制御部111に伝えられる。また、コマンド52もレスポンス比較部118に一旦記憶されて、制御部111にセットされた期待されるレスポンス117と比較される。その結果、不一致であるとNG信号としてOK/NG信号線119から制御部111に伝えられる。制御部111はこの2種類の信号からレスポンス51を正しいレスポンスとして認識して、(R/W−A)120から通信コマンド53をICカード200に送信し、それを受信したICカード200はレスポンス54を返送して通信を開始する。尚、通信コマンド53に対するレスポンス54の受信方法も前記同様に行われる。
【0014】
次に図6(b)の動作について説明する。図6(b)により図示しないPCからリーダライタ(R/W−A)120用のコマンドが送信される。リーダライタ(R/W−A)120はそのコマンドを受信すると、コマンド55をICカード200に送信する。ICカード200は送られたコマンド55を受信して、あるタイミングでコマンドを認識すると、レスポンス56をリーダライタ(R/W−A)120に返送する。このときリーダライタ(R/W−A)120の近傍にリーダライタ(R/W−B)100があり、そこから別のコマンド57がレスポンス56と略同時に送信されたとする。リーダライタ(R/W−A)120はレスポンス56とコマンド57を同時に受信するため、信号が混信した状態でレスポンス比較部118に一旦記憶されて、制御部111にセットされた期待されるレスポンス117と比較される。その結果、不一致であるとNG信号としてOK/NG信号線119から制御部111に伝えられる。これにより制御部111はレスポンスとして認識することができず、通信が不能となる。尚、期待されるレスポンス117は、任意に変更が可能である。
このようにコマンド生成手段により生成されたコマンドをポーリング送信後、ループアンテナ117を介して受信した信号を正規のレスポンスコードと比較するレスポンス比較部118を備えたので、受信した信号を確実にレスポンスとそれ以外の信号とに識別することができる。また、制御部111により比較元のレスポンスコードを変更することができるので、各種のICカードに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一般的なICカード用リーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】一般的な非接触型ICカードの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のリーダライタとICカードとの通信状態を説明する図である。
【図4】図3のリーダライタ(R/W−A)110とICカード200とリーダライタ(R/W−B)100との処理シーケンスを説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態のリーダライタとICカードとの通信状態を説明する図である。
【図6】図5のリーダライタ(R/W−A)120とICカード200とリーダライタ(R/W−B)100との処理シーケンスを説明する図である。
【図7】従来のリーダライタとICカードとの通信状態を説明する図である。
【図8】図7のリーダライタ(R/W1)300とICカード350との処理シーケンスと各信号のタイミングチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0016】
100 リーダライタ(R/W−B)、110 リーダライタ(R/W−A)、111 制御部、112 送信部、113 受信部、114 信号検出部(信号検出手段)、117 ループアンテナ、200 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードのループアンテナを介して、該ICカードとの間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタにおいて、
前記リーダライタは、前記ICカードと通信手順を確立するために少なくとも1つ以上のコマンドを生成するコマンド生成手段と、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドを送信後、前記ループアンテナを介して受信した信号を検出する信号検出手段と、該信号検出手段の検出タイミングを生成するタイミング生成手段と、前記リーダライタの制御を司る制御部と、を備え、
前記制御部は、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドをポーリング送信してから前記タイミング生成手段を起動し、所定の時間経過後に前記信号検出手段が前記ループアンテナを介して受信した信号を検出するように制御することを特徴とするリーダライタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記信号検出手段が検出した信号を前記ICカードからのレスポンスと見なして以後の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のリーダライタ。
【請求項3】
ICカードのループアンテナを介して、該ICカードとの間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うリーダライタにおいて、
前記リーダライタは、前記ICカードと通信手順を確立するために少なくとも1つ以上のコマンドを生成するコマンド生成手段と、正規のレスポンスコードを生成するレスポンスコード生成手段と、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドを送信後、前記ループアンテナを介して受信した信号を前記正規のレスポンスコードと比較するレスポンス比較手段と、前記リーダライタの制御を司る制御部と、を備え、
前記制御部は、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドをポーリング送信後、前記ループアンテナを介して信号を受信した場合、該信号と前記レスポンスコード生成手段により生成したレスポンスコードとを前記レスポンス比較手段により比較し、該比較の結果、一致した場合に通信コマンドを送信して当該ICカードとの交信を開始することを特徴とするリーダライタ。
【請求項4】
前記レスポンスコード生成手段により生成するレスポンスコードを変更可能としたことを特徴とする請求項3に記載のリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−25117(P2006−25117A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200600(P2004−200600)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】