説明

リーダ用アンテナならびにアンテナ付き物品載置棚およびアンテナ付き物品載置台

【課題】 書籍類の表表紙面または裏表紙面などに取付けられる電子タグと交信するために書架などの棚板などのアンテナ形成対象部材11に設けられるリーダ用アンテナ15が、書籍類などの物品を収納する物品収納空間などについて無駄なスペースを生じることなく、上記電子タグと良好に交信し得るようにすることである。
【解決手段】 書架の棚板などのアンテナ形成対象部材11に形成されているアンテナパターン31を有するリーダ用アンテナ15において、導電性で多孔性のシート状部材41が、平面的に見て上記アンテナパターン31の外周囲にほぼ沿ってループ形状に延在するように、上記アンテナ形成対象部材11に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書架、その他の物品載置棚の棚板、物品載置台の台板などのアンテナ形成対象部材に設けられているアンテナパターンを有するリーダ用アンテナに関するものである。また、本発明は、このようなリーダ用アンテナが設けられる棚板および台板をそれぞれ備えているアンテナ付き物品載置棚およびアンテナ付き物品載置台にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、書類、CD、DVDなどの光ディスク類、その他の光記録媒体、ビデオテープ、オーディオテープなどの磁気テープ類、その他の磁気記録媒体などのほぼ直方体形状の物品、瓶などのほぼ円筒形状の容器類、不定形状の衣料などの各種の商品または各種の所蔵品のような各種の物品が、陳列棚、商品棚、書架、書類管理棚などの物品載置棚や、図書館の受付カウンタ台などのカウンタ台、テーブル、机などの物品載置台に、陳列、収納、管理などのために載置される。そして、上述のような各種の物品に電子タグを取り付けるとともに、このような電子タグと交信するリーダライタ用アンテナを備えるRFID(Radio Frequency Identification)システムを用いて、上述のような各種の物品を管理することが期待されている。このような電子タグは、無線タグまたはICタグとも呼ばれていて、情報が記録されるメモリが組み込まれているICチップと、小型アンテナとをそれぞれ含む通信回路から成っている。上述のように電子タグと交信するリーダライタ用アンテナは、物品を載置する棚板面に沿って配設される場合や、物品の脱落を防止することを主目的として物品載置棚の背面側に配される背板面に沿って配設される場合が多く、通常はループアンテナとして構成される。
【0003】
上述のようなリーダライタ用アンテナおよび電子タグを備えているアンテナシステムを利用した書架検索システムが、従来から知られている。このような書棚検索システムは、書籍類の情報が記録されかつ書籍類の表表紙面または裏表紙面に貼付された電子タグと、書籍類が載置される棚板にこの棚板の長さ方向に沿って延在するように配設された少なくとも1個のリーダライタ用アンテナとを備えている。そして、このようなアンテナ付き棚板は、一般的には、上下複数段などの複数個が1個の書架にそれぞれ設けられている。なお、本文において、「書籍類」とは、書籍のみならず、新聞、雑誌、資料、書類、その他の紙製媒体や、このような紙製媒体をバインダなどにより綴じ込むことによって作成された書類綴じ込みファイルや、CD、DVDなどの光記録媒体や、ビデオテープ、オーディオテープなどの磁気記録媒体も、含んでいる。
【0004】
このような書架検索システムとして、従来、つぎのようなものが具体的には案出されている。例えば、特許文献1には、複数個の単純ループアンテナをリーダライタ用アンテナとして書架の背板面または棚板面にその長さ方向に沿って設け、この際、これら複数個のループアンテナを共通の背板面または共通の棚板面の長さ方向に半ピッチずつずらして配置するとともに、これら複数個のループアンテナを順次切り換えて動作させるようにした書架検索システムが開示されている。この場合、電子タグは、棚板上に載置される書籍類の表表紙面または裏表紙面に貼付されている。また、特許文献2には、それらの一部に鋸歯形状の屈曲部を設けた複数個のループアンテナをリーダライタ用アンテナとして書架の共通の棚板面に互いに完全に重ならないようにずらして配置するとともに、これら複数個のループアンテナに対して時間的に重複しないように給電する給電制御手段を備えた書架検索システムが開示されている。この場合も、電子タグは、棚板上に載置される書籍類の表表紙面または裏表紙面に貼付されている。さらに、特許文献3には、渦巻き状に複数回巻回させた複数回巻きの1個の単純ループアンテナをリーダライタ用アンテナとして書架の背板面にその長さ方向に沿って設けた書架検索システムが開示されている。この場合も、電子タグは、棚板上に載置される書籍類の表表紙面または裏表紙面に貼付されている。
【特許文献1】特開2003−72919号公報
【特許文献2】特開2003−168914号公報
【特許文献3】特開2003−252409号公報
【0005】
一方、書架における上下の棚板間での干渉を防止するようにした書架検索システムとして、従来、つぎのようなものが案出されている。例えば、特許文献4には、リーダライタ用アンテナが付設されている棚板にその長さ方向に沿って延在する複数個または1個の長手状補強部材を設けることによって、棚板の強度を補強するとともに、上下複数段の棚板の上下複数個のリーダライタ用アンテナ間で無線信号の干渉が生じるのを防止するようにした書架検索システムが開示されている。この場合、上記干渉防止用長手状補強部材は、複数個のときには細幅に構成されるとともに1個のときには広幅に構成されている。また、電子タグは、棚板上に載置される書籍類の背表紙に貼付されている。さらに、特許文献5には、リーダライタ用アンテナが付設されている棚板にその長さ方向に沿って延在する複数個の長手状補強部材を設けることによって、棚板の強度を補強するとともに、上下複数段の棚板の上下複数個のリーダライタ用アンテナでそれぞれ発生される磁界(磁束)間で互いに相殺されるのを防止するようにした書架検索システムが開示されている。また、特許文献5には、書架の側板に鉄板を貼り付けることによって、左右の棚板の左右のリーダライタ用アンテナでそれぞれ発生される磁界間で互いに相殺されるのを防止するようにした書架検索システムも開示されている。これらいずれの場合にも、電子タグは、棚板上に載置される書籍類の背表紙に貼付されている。
【特許文献4】特開2001−225921号公報
【特許文献5】特開2001−270608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1〜5にそれぞれ開示されているような従来の書架検索システムには、つぎの(A)項〜(F)項に記載のような問題点があった。これらの問題点が生じる理由は、これらの(A)項〜(F)項のそれぞれの記載のつぎに順次記載する(a)項〜(f)項に記載のとおりである。
(A)特許文献4および5に記載の書架検索システムにおいて各棚板ごとに設けられてるリーダライタ用アンテナは、単純な長方形状の1個のループアンテナまたは「8」の字形状(具体的には、間口側の斜め上方から見て横倒しの「8」の字形状)の1個のループアンテナで形成されている。したがって、上下の棚板間での干渉を防止するために棚板に干渉防止用長手状補強部材を設けたときには、このような補強部材を設けていないときに較べて、リーダライタ用アンテナの電子タグとの良好な交信状態が得られない。
(a)上記特許文献4および5に記載のリーダライタ用アンテナは、奥行き方向にそれぞれ延在しかつ互いに隣り合う一対のパターン部分間の長さ方向(すなわち、間口方向)における中央部分付近においては、書籍類の表表紙面または裏表紙面に貼付した電子タグとは良好に交信することができない。そして、棚板に干渉防止用長手状補助部材を設けたときには、リーダライタ用アンテナの電子タグとの上述の場合の交信状態がさらに悪化する。
(B)特許文献1〜3に記載の書架検索システムにおいて特許文献4の図2、図4および図5に示す干渉防止用長手状補強部材を設けても、互いに隣接する棚板間での相互の干渉を良好に防止することができなかったり、リーダライタ用アンテナの電子タグとの良好な交信状態が得られなかったりする。
(b)特許文献1〜3に記載のリーダライタ用アンテナが形成されている棚板に特許文献4の図2および図4に示す干渉防止用長手状補強部材を設けたときには、上記棚板の左側および右側にそれぞれ隣接する左側の棚板と右側の棚板との相互の干渉を防止することはできない。また、特許文献1〜3に記載のリーダライタ用アンテナが形成されている棚板に特許文献4の図5に示す干渉防止用長手状補強部材を設けたときには、リーダライタ用アンテナの電子タグとの通信性能が著しく低下する。
(C)特許文献1〜3に記載の書架検索システムにおいて特許文献5の図6に示す干渉防止用板状部材を設けても、リーダライタ用アンテナの電子タグとの良好な交信状態が得られない。
(c)特許文献1〜3に記載の書架検索システムにおいて、特許文献5の図6に示すように、書架の側板に鉄板を貼り付けたときには、上記側板の近くにおいて棚板上に載置される書籍類の電子タグが上記棚板に設けられているリーダライタ用アンテナと良好に交信することはできない。
(D)特許文献1および2に記載の書架検索システムにおいては、電子タグは書籍類の表表紙面または裏表紙面に貼付されることができる。しかし、特許文献1および2には、互いに隣接する棚板間での相互の干渉を防止する技術に関しては記載されていない。そして、この書架検索システムにおいては、上下方向、左右方向、前後方向などで互いに隣接する棚板間で相互の干渉を起こす可能性が高いので、互いに隣接する棚板の間隔を大きくする必要があることなどにより、また、スペースファクタが悪い。さらに、特許文献3に記載の書架検索システムにおいては、電子タグの構造が複雑であるから、安価であるべき電子タグが高価である。
(d)例えば、特許文献1の段落[0065]に記載されているように、或る棚板に設けられているリーダライタ用アンテナが、この棚板上の書籍類の電子タグとこの棚板の下方の書籍類の電子タグとの両方と交信してしまう可能性がある。また、特許文献1の段落[0066]に記載されているように、余分な機能を含むアンテナ切替部および余分な各種の線をそれぞれ収納する直方体形状の大き目の収納ボックスが必要であるから、余分なスペースが必要であって、スペースファクタが悪い。また、特許文献1および2に記載の書架検索システムにおいては、リーダライタ用アンテナは複数個のループアンテナを組み合わせたものである。そして、これら複数個のループアンテナを棚板に上下に互いに重ねて配置すると、これら複数個のループアンテナの相互の結合によって、リーダライタ用アンテナが単一のループアンテナから構成されている場合に較べて、リーダライタ用アンテナの電子タグとの最大通信可能距離が低下する。しかし、棚板の左側および右側の端部付近には、他のアンテナパターン部分から位置的にほぼ孤立している半ループ形状のアンテナパターン部分(具体的には、ほぼコ字状の突出部分)がそれぞれ存在している。したがって、或る棚板に付設されているリーダライタ用アンテナは、特にこの棚板の左側および右側の端部付近においては、上下および左右に隣接する別の棚板の同様の半ループ形状のアンテナパターン部分との干渉を起こし易い。このために、書籍類が小さくても、上下に互いに隣接する棚板の間隔を十分にとる必要があり、また、左右に互いに隣接する棚板の間隔も、できるだけとる必要があるから、この点においてもスペースファクタが悪い。さらに、特許文献3に記載の書架検索システムにおいては、書籍類に貼付される電子タグとして、空芯コイルと磁芯とを組み合わせた特殊な構造のものを用いる必要があるから、電子タグが高価である。
(E)特許文献1および3に記載の書架検索システムにおけるように、棚板の背板面にリーダライタ用アンテナを設けた場合には、リーダライタ用アンテの電子タグとの交信性能を良好にするためには、書籍類の表表紙または裏表紙のうちの前小口に近い部分に電子タグを貼付する必要がある。
(e)書籍類のサイズは様々であるから、多数冊の書籍類を棚板上の背板側で揃えようとすると、書籍類の背表紙に記載されているタイトル部分が多数冊の書籍類で互いに不揃いになり、このために、書架の利用者にとって多数冊の書籍類を閲覧しにくい。
(F)店舗などで用いられるガラス製の陳列棚、商品棚などのようなガラス棚の場合には、特許文献5の図6に示すように側板に鉄板を貼り付けることによって、左右に互いに隣接する一対の棚間の干渉を防止することができないから、スペースファクタが悪い。
(f)上述のようなガラス棚の場合には、左右に互いに隣接する一対の棚板間には側板自体が存在しないために、特許文献5の図6に示す場合のように鉄板などの遮蔽材を側板に設けることができない。このために、互いに隣接する一対の棚板にそれぞれ形成されている互いに隣接する一対のリーダライタ用アンテナ間に一定の離間距離をとる必要があるから、互いに隣接する一対の棚板間にも一定の離間距離をとる必要があって、スペースファクタが悪い。
【特許文献1】特開2003−72919号公報
【特許文献2】特開2003−168914号公報
【特許文献3】特開2003−252409号公報
【特許文献4】特開2001−225921号公報
【特許文献5】特開2001−270608号公報
【0007】
本発明は、上述のような問題点に着目してこのような問題点を解決するために発明されたものであって、書籍類の表表紙面または裏表紙面などに取付けられる電子タグと交信するためにアンテナ形成対象部材に設けられるリーダライタ用アンテナが、書籍類などの物品を収納する物品収納空間などについて無駄なスペースを生じることなく、上記電子タグと良好に交信し得るようにすることを主目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、その第1の観点によれば、アンテナ形成対象部材に形成されているアンテナパターンを有するリーダライタ用アンテナにおいて、導電性で多孔性のシート状部材が、平面的に見て上記アンテナパターンの外周囲にほぼ沿ってループ形状に延在するように、上記アンテナ形成対象部材に設けられていることを特徴とするリーダ用アンテナに係るものである。この場合、上記多孔性シート状部材が、導電性の線条体をメッシュ状に編組したメッシュ構造のものであることができる。また、その中央開口を含む上記多孔性シート状部材の大きさに対する上記中央開口の大きさの比は、好ましくは、20〜80%(さらに好ましくは、30〜70%)の範囲である。また、上記多孔性シート状部材の小開孔のピッチは、好ましくは、50〜2,000μm(さらに好ましくは、100〜1,200μm)の範囲である。また、上記多孔性シート状部材の多数個の小開孔の1個当りの面積は、好ましくは、4,000〜1,800,000μm(さらに好ましくは、8,000〜800,000μm)の範囲である。また、上記多孔性シート状部材の、そこに形成されている多数個の小開孔についての開口率は、好ましくは、70〜95%(さらに好ましくは、80〜92%)の範囲である。さらに、上記アンテナパターンの端部のうちのいずれか1つの端部付近と重複(例えば、このいずれか1つの端部付近のほぼコ字状に突出している突出部分と少なくとも重複)している導電性で多孔性の第2のシート状部材が、上記アンテナ形成対象部材のうちの上記いずれか1つの端部付近に対応する箇所に少なくとも設けられているのが好ましい。
【0009】
また、本発明の上記第1の観点においては、上記多孔性シート状部材の外周囲は、平面的に見て、上記リーダライタ用アンテナの上記アンテナパターンの外周囲またはその外側に沿って延在し、上記多孔性シート状部材の内周囲は、平面的に見て、つぎの(a)項〜(d)項に記載の条件を満足しているのが好ましい。
(a)上記多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の第1の方向(例えば、奥行き方向)における第1の側の内周囲が、上記第1の方向とは直交する第2の方向(例えば、間口方向)にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第1の方向における上記第1の側の最外周を延在しているパターン部分の内側端またはその内側にほぼ沿って延在していること、
(b)上記多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側の内周囲が、上記第2の方向にほぼ沿って延在している上記パターン部分のうちの上記第1の方向における上記第2の側の最外周を延在しているパターン部分の内側端またはその内側にほぼ沿って延在していること、
(c)上記多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における第1の側の内周囲が、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第2の方向における上記第1の側の最外周を延在しているパターン部分の外側端またはその外側にほぼ沿って延在していること、および
(d)上記多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側の内周囲が、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第2の方向における上記第2の側の最外周を延在しているパターン部分の外側端またはその外側にほぼ沿って延在していること。
【0010】
この場合、上記多孔性シート状部材は、平面的に見て、上記アンテナ形成対象部材の第2の方向にほぼ延在しているパターン部分のうちの上記第1の方向における上記第1の側の端部付近および上記第2の側の端部付近をそれぞれ延在しているパターン部分とほぼ重複していてよい。また、上記多孔性シート状部材は、平面的に見て、上記第2の方向にほぼ沿って延在しているすべてのパターン部分とほぼ重複していてよい。さらに、上記多孔性シート状部材は、平面的に見て、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているいずれのパターン部分とも実質的に重複していなくてよい。
【0011】
また、本発明の上記第1の観点においては、上記リーダ用アンテナが、互いに絶縁されかつ互いに重ね合わせられた状態で上記アンテナ形成対象部材にそれぞれ設けられている第1および第2のループアンテナを備えているのが好ましい。また、上記第1および第2のループアンテナのそれぞれは、ほぼループ形状のアンテナパターンを備え、上記第1のループアンテナの上記ほぼループ形状のアンテナパターンと、上記第2のループアンテナの上記ほぼループ形状のアンテナパターンとのそれぞれは、上記アンテナ形成対象部材の第1の方向(例えば、奥行き方向)における第1の側に設けられた第1のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向とは直交する第2の方向(例えば、間口方向)における第1の側に設けられた第2のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第3のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第4のパターン部分とを備え、上記第1のループアンテナの上記第3のパターン部分と、上記第2のループアンテナの上記第1のパターン部分とのそれぞれは、互いに間欠的に配置されている複数本のベースライン部と、これら複数本のベースライン部の間に設けられている少なくとも1個の屈曲部とをそれぞれ備え、上記屈曲部のそれぞれは、第1の立上り部および第2の立上り部をそれぞれ備えるほぼ凸形状に構成され、上記第1のループアンテナの上記第1の立上り部または上記第2の立上り部が上記第2のループアンテナのこれと対応する第1の立上り部とこれと対応する第2の立上り部との間に配置されるように、上記第1のループアンテナが上記第2のループアンテナに対して上記第2の方向にずれているのが好ましい。この場合、上記第1のループアンテナは、好ましくは、上記複数本のベースライン部の1本当りの平均的な長さの0.25〜0.75(さらに好ましくは、0.3〜0.6)の範囲だけ上記第2のループアンテナに対して上記第2の方向にずれている。また、上記第1のループアンテナは、好ましくは、上記第1のループアンテナの上記第1および第2の立上り部および上記第2のループアンテナの上記第1および第2の立上り部の1本当りの平均的な長さの0.05〜0.5(さらに好ましくは、0.1〜0.4)の範囲だけ、上記第2のループアンテナに対して上記第1の方向にずれている。さらに、上記リーダ用アンテナがリーダライタ用アンテナとして構成されているのが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記第1の観点においては、上記アンテナ形成対象部材が、物品載置棚の棚板または物品載置台の台板であり、上記棚板または上記台板の主要構成要素が、透明な非導電体であり、上記第1および第2のアンテナの少なくともアンテナパターンのそれぞれが、断面径0.5mm以下のワイヤ導線から構成されることができる。また、上記第1および第2のループアンテナが、これらの間に絶縁層を介在させて、互いに積層された一対のガラス板の間に設けられることができる。
【0013】
さらに、本発明は、その第2の観点によれば、上記第1の観点によるリーダ用アンテナが形成されている棚板を上記アンテナ形成対象部材として備えていることを特徴とするアンテナ付き物品載置棚に係るものである。この場合、上記アンテナ付き物品載置棚がアンテナ付き書架であるのが好ましい。また、本発明は、その第3の観点によれば、上記第1の観点によるリーダ用アンテナが形成されている台板を上記アンテナ形成対象部材として備えていることを特徴とするアンテナ付き物品載置台に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、リーダ用アンテナのアンテナパターンのうちの所定のアンテナ成分で発生される磁界(磁束)を、ループ形状に構成された導電性で多孔性のシート状部材によって、棚板などのアンテナ形成対象部材の外部(具体的には、アンテナ形成対象部材の一定の距離以上の上方部分やアンテナ形成対象部材の上方以外の部分)に限ってかなりの程度で弱めるようにすることが可能であるから、上記リーダ用アンテナとこれと隣接する別のリーダ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性がほとんどなくて、物品収納空間などに無駄なスペースを生じることがない。それでいて、ループ形状に構成された導電性のシート状部材が多孔性であるから、リーダ用アンテナのアンテナパターンでそれぞれ発生される磁界(磁束)が、電子タグとの相互の交信に有効に機能する。したがって、比較的簡単な構成であるにもかかわらず、しかも、電子タグを特に複雑な構造にすることなく、リーダ用アンテナを電子タグと良好に交信させることができる。
【0015】
また、請求項11に係る発明によれば、リーダ用アンテナのアンテナパターンのうちの特に所定のアンテナ成分で発生される磁界(磁束)を、第2の多孔性シート状部材によっても、棚板などのアンテナ形成対象部材の外部に限ってさらに弱めるようにすることが可能であるから、上記リーダ用アンテナと、これと隣接する別のリーダ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性がさらに少なくなる。
【0016】
また、請求項13に係る発明によれば、第1および第2のアンテナのそれぞれのほぼ上記第1の方向に沿って延在する通信不能領域を、比較的少ないアンテナ数でかつ比較的簡単なアンテナパターン形状でもって、互いに補うことができる。このために、種々の向きの電子タグとの良好な交信が可能であるリーダ用アンテナを提供することができる。
【0017】
また、請求項14に係る発明によれば、共通のアンテナでもって電子タグへの書込みと電子タグからの読み出しとの両方を行うことができるから、リーダライタ全体の構成を簡単にすることができる。
【0018】
また、請求項16に係る発明によれば、耐候性および耐薬品性がそれぞれ優れた一対のガラス板の間に第1および第2のループアンテナが設けられているから、リーダ用アンテナを種々の環境で使用しても効果的に保護することができる。このために、リーダ用アンテナの耐候性および耐薬品性が改善されるから、リーダ用アンテナを薬品棚などに設けても損傷する恐れがない。
【0019】
さらに、請求項17および19に係る発明によれば、リーダ用アンテナと、これと隣接する別のリーダ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性がほとんどなくて、無駄なスペースを生じることがなく、また、リーダ用アンテナを比較的簡単な構成にすることができるにもかかわらず、しかも、電子タグを特に複雑な構造にすることなく、電子タグと良好に交信することが可能であるリーダ用アンテナを備えた書架などの物品載置棚および物品載置台を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
つぎに、本発明を書架検索システムにそれぞれ適用した第1〜第3の実施例を、「1、第1の実施例」、「2、第2の実施例」、「3、第3の実施例」および「4、リーダライタ用アンテナの動作実験」にそれぞれ項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
1、第1の実施例
まず、本発明の第1の実施例を、「(1)書架全体の概略的構成」、「(2)リーダライタ用アンテナ付き棚板」、「(3)干渉防止用部材」、「(4)リーダライタ用アンテナのパターン形状」および「(5)リーダライタ用アンテナへの給電方法」に項分けして、図1〜図9を参照しつつ説明する。
【0022】
(1)書架全体の概略的構成
本発明の第1の実施例における書架1は、図1に示すように、向って左側の書架部分(すなわち、第1の書架部分)2と向って右側の書架部分(すなわち、第2の書架部分)3とが共通の側板4を共有するように互いに隣接することによって、構成されている。これら第1および第2の書架部分2、3のそれぞれは、向って左側の側板4または4a、向って右側の側板4aまたは4、背板5、天板6および底板7から構成されたほぼ箱蓋形状(換言すれば、ほぼ直方体形状)を有している。これら左右一対の側板4、4a、背板5、天板6および底板7は、ガラス、合成樹脂、木などの適当な非金属材料からそれぞれ構成されることができ、底板7は、最下段の棚板を兼用している。第1および第2の書架部分2、3のそれぞれは、ガラス、合成樹脂などのほぼ透明な材料から構成されているのが好ましい前面板(図示せず)をさらに備えていてもよく、このような前面板は、例えば、左右一対の引き戸構造であってよい。また、図示の実施例においては、左右一対の側板4、4aは底板7から下方に多少突出するように構成され、これら左右一対の突出部によって、第1および第2の書架部分2、3のそれぞれに左右一対の支持脚8、8aがそれぞれ形成されている。この場合、第1および第2の書架部分2、3は共通の支持脚8aを有している。
【0023】
図1に示す書架1の第1および第2の書架部分2、3のそれぞれは、図示の実施例においては、ガラス、合成樹脂、木などの適当な非金属材料(換言すれば、透明または不透明の非導電体)を主要構成要素としてそれぞれ構成されている最上段の棚板11、2段目の棚板12および最下段の上記棚板7をそれぞれ備えている3段構成のものである。これらの棚板7、11、12は、左右一対の側縁部および/または背板側の側縁部を適当な支持手段(図示せず)によって、左右一対の側板4、4a、背板5などに支持されることができる。
【0024】
図1に示す書架1の各棚板7、11、12のそれぞれには、棚板面に対してほぼ平行になるように、図2および図3に示すリーダライタ用アンテナ15が敷設されている。そして、これらのリーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bは、マッチング調整器(図示せず)を経由してから同軸ケーブル(図示せず)によってアンテナ切替器(図示せず)に接続されている。そして、このアンテナ切替器は、同軸ケーブル17によってリーダライタ本体16および制御用コンピュータ(図示せず)に順次接続されている。このリーダライタ本体16は、リーダライタ用アンテナ15と電気信号などの情報をやり取りするためのものでる。上記リーダライタ本体16は、書架1に配置することができ、図示の実施例においては、第2の書架部分3の天板6上に配置されている。上記アンテナ切替器も、必要に応じて、書架1に同様に配置されることができる。
【0025】
図1に示す書架1の各棚板7、11、12上には、種々のサイズの書籍類21が混載されている。なお、これらの書籍類21には、図4に示すように、シート形状であってよい電子タグ22がそれぞれ設けられている。そして、この電子タグ22は、書籍類21の表表紙23、裏表紙24または背表紙25に貼り付けられていてよい。これらいずれの場合でも、電子タグ22は、各棚板7、11、12の面に対して特定の位置や特定の向きである必要は特にない。このような電子タグ22は、図5に示すように、この電子タグ22の中心とその中心がほぼ一致している1回巻きまたは複数回巻きのほぼループ形状の小型アンテナ26と、情報が記録されるメモリ(図示せず)が組み込まれかつほぼループ形状の小型アンテナ26の中央開口に配されたICチップ27とを含む通信回路を備えていてよい。
【0026】
(2)リーダライタ用アンテナ付き棚板
図1および図2に示す書架1の各棚板7、11、12は、例えば、間口方向xの長さL(図2参照)が約840mmで奥行き方向yの長さL(図2参照)が約170mmの横長のほぼ長方形状であってよい。各棚板7、11、12には、図2および図3に示すように、第1および第2のループアンテナA、Bから成るリーダライタ用アンテナ15が設けられている。図2は、第1および第2のループアンテナA、Bの両方を投影して示す、例えば最上段の棚板11の平面図である。棚板11以外の各棚板7、12にも、図2および図3に示す棚板11と実質的に同一形状のリーダライタ用アンテナ15が設けられていてもよいし、第1および第2のループアンテナA、Bのうちのいずれか一方または両方の形状が棚板11の場合とは異なっているリーダライタ用アンテナ15が設けられていてもよい。なお、図2およびこれに類似する総ての図面(後述の第2および第3の実施例の場合を含む。)において、図示の都合上、第1のループアンテナAを実線で示し、第2のループアンテナBを破線で示している。また、第1および第2のループアンテナA、Bのアンテナパターン31の各パターン部分の幅も、図示の都合上、実際よりは太く示している。さらに、第1および第2のループアンテナA、Bのアンテナパターン31の各パターン部分の実際の幅は、実質的に互いに同一であってよい。
【0027】
リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、B(具体的には、図2、図6、図8および図9に示すほぼループ形状のアンテナパターン31と一対の端子部32a、32bとの両方)は、図3および図7に示すように、ガラス、合成樹脂、木などの適当な非金属材料からそれぞれ成る上下2枚の板33、34に導電性塗料(例えば、銀ペースト)を例えば約5mmの幅でそれぞれ印刷および焼成したものであってよい。また、第1および第2のループアンテナA、Bは、断面形状がほぼ円形で断面径が0.1mmの銅線から構成されたものであってもよい。この場合、上記銅線は、所定のパターン形状に屈曲成形されてから板33、34に適当な接着剤により部分的または全体的に接着されることにより取付け配置されればよい。さらに、第1および第2のループアンテナA、Bのうちの一対の端子部32a、32bは、上述のように、導電性塗料を印刷および焼成することによって構成した導電性パターンから構成されるとともに、ほぼループ形状のアンテナパターン31は、上述のように、銅線から構成されていてもよい。この場合、アンテナパターン31の両端部は、適当な導電性接着剤による接着、半田付けなどにより一対の端子部32a、32bに電気的に接続されればよい。ついで、これらの板33、34がPVB樹脂などの非導電性フィルムから成る中間膜35を用いて貼り合せられることによって、第1および第2のループアンテナA、Bは上下2枚の板33、34の間に挟み込まれる。これらの板33、34のそれぞれは、例えば、厚さ約2.3mmのガラス板(具体的には、フロート法によって製造されたガラス板)であってよく、中間膜35の厚みL(図3および図7参照)は、例えば約300μmであってよい。第1および第2のループアンテナA、Bを構成する材料も、必ずしも導電性塗料である必要はなく、導電性フィルム、導電性金属箔、上述のような銅線などの金属線、その他のワイヤ導線などであってもよい。
【0028】
このように構成されたリーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bは、図3および図7に示すように、互いに電気的に絶縁されかつ棚板7、11、12の表面に対してそれぞれほぼ平行な状態(換言すれば、ループアンテナA、B同士が互いにほぼ平行な状態)でもって2枚のガラス板33、34の間に挟み込まれている。したがって、これら第1および第2のループアンテナA、Bが棚板7、11、12上に載置される書籍類21との接触によって擦傷するのが防止される。また、棚板7、11、12の上下面を構成しているガラス板は耐水性、耐候性、耐薬品性などに優れているから、図1に示す書架1は種々の用途に用いられることができる。そして、棚板7、11、12の主要構成要素が透明なガラス材料である場合には、リーダライタ用アンテナ15も、交差部や重複部が絶縁された上述のような細いワイヤ導線によって構成することができる。
【0029】
本発明においては、互いにほぼ平行である2個のループアンテナA、Bの厚さ方向における相互の間隔L(図3および図7参照)は、実用性の観点から見て一般的に、0.1〜35mmの範囲であるのが好ましく、0.2〜30mmの範囲であるのがさらに好ましい。ただし、この間隔Lが0.1mmよりも小さくても、2個のループアンテナA、Bの間の電気的絶縁が可能であればよい。また、この間隔Lが35mmよりも大きければ、2個のループアンテナA、Bのうちの少なくとも一方のループアンテナが、棚板7、11、12上に載置した書籍類21に設けた電子タグ22と良好に交信しにくくなる恐れが生じる。
【0030】
リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bは、図示の実施例においては、図3および図7に示すように、各棚板7、11、12の内部に埋設されている。しかし、これら第1および第2のループアンテナA、Bのうちの少なくとも一方のループアンテナが各棚板7、11、12の上側の板33の上面に同様にして形成されていてもよい。また、このような各棚板7、11、12をその上下をひっくり返してからその後の製造工程において図6および図7に示す遮蔽材なしの棚板の場合と同様に用いることなどによって、上記少なくとも一方のループアンテナを各棚板7、11、12の下側の板34の下面に形成することもできる。さらに、第1および第2のループアンテナA、Bのうちの一方を各棚板7、11、12の上側の板33の上面に形成するとともに、他方を各棚板7、11、12の下側の板34の下面に形成することもできる。これらいずれの場合においても、各棚板7、11、12の主要構成要素である板33、34が第1および第2のループアンテナA、Bの間に介在するときには、中間膜35を省略することができる。また、場合によっては、上側の板33と下側の板34とを一体のものにすることができる。さらに、これら第1および第2のループアンテナA、Bのうちの上記少なくとも一方のループアンテナが各棚板7、11、12の上側の板33の上面に形成されるときには、各棚板7、11、12上に配置される書籍類21に接触する機会を減らすために、上記少なくとも一方のループアンテナを含む各棚板7、11、12の上面を適当な絶縁材料から成る被覆膜でもって被覆することができる。
【0031】
リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの端末(すなわち、一対の端子部32a、32b)は、例えば図8および図9に示すように処理されることができる。すなわち、図8および図9に示す態様においては、上下一対の板33、34のうちの、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの一対の端子部32a、32bに対応する箇所を予め欠如させておくことによって、これらの箇所に欠如部36、37をそれぞれ形成しておく。ついで、上側の板33の下面および下側の板34の上面に一対の引出し電極38a、38bを、適当な接着剤によりそれぞれ接着することなどによって、それぞれ取付け配置する。この場合、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの一対の引出し電極38a、38bとして、それらの全面が半田メッキなどにより半田塗布されている銅板を用いることができる。また、このような銅板38a、38bのそれぞれは、例えば、長さ25mm、幅10mm、厚さ0.1mmのほぼ長方形状のものであってよい。ついで、上述のようにして、第1および第2のループアンテナA、Bのほぼループ形状のアンテナパターン31と一対の端子部32a、32bとを、上側の板33の下面および下側の板34の上面にそれぞれ形成する。この場合、図8に示すように、第1および第2のループアンテナA、Bの一対の端子部32a、32bの少なくとも一部分が、上側の板33の一対の引出し電極38a、38bの下面および下側の板34の一対の引出し電極38a、38bの上面にそれぞれ形成されるようにする。ついで、上側の板33、中間膜35および下側の板34を順次積層することによって、図6および図7に示す遮蔽材なしの棚板11を構成することができる。
【0032】
(3)干渉防止用部材
図6および図7に示す遮蔽材なしの棚板11の下面に遮蔽材(換言すれば、干渉防止用部材)としての導電性で多孔性のシート状部材41を取付けることによって、図2および図3に示す遮蔽材付きの棚板11を製造することができる。このような取付けは、遮蔽材なしの棚板11の下側の板34の下面に導電性で多孔性のシート状部材41を適当な接着剤により部分的または全体的に接着することなどによって、達成することができる。この場合、棚板11の下側の板34の下面にリーダライタ用アンテナ15が形成されていれば、図3および図7に示す中間膜35と同様の中間膜などを下側の板34と多孔性シート状部材41との間に介在させればよい。このような中間膜35は、PET(ポリテレフタル酸エチレン)などの適当な非導電性材料から成るフィルムであってよく、多孔性シート状部材41の一方または両方の面に予め接合されていてよい。なお、図2およびこれに類似する総ての図面(後述の第2および第3の実施例の場合を含む。)において、図示の都合上、多孔性シート状部材41を一点鎖線で示している。そして、この多孔性シート状部材41の間口方向xにおける長さは、例えば、棚板11の間口方向xにおける長さL(換言すれば、840mm)と実質的に同一であってよい。また、多孔性シート状部材41の奥行き方向yの長さは、例えば、棚板11の奥行き方向yにおける長さL(換言すれば、170mm)と実質的に同一であってよい。
【0033】
多孔性シート状部材41は、図2に示すように、中央部分がほぼ長方形状に欠如することによって形成された中央開口(すなわち、貫通開口)42を有する閉ループ形状に構成されている。そして、多孔性シート状部材41の外周形状は、ほぼ長方形状であって、リーダライタ用アンテナ15の外周囲を一回り大きくしたものであってよい。また、多孔性シート状部材41の内周形状(換言すれば、中央開口42の形状)も、ほぼ長方形状であって、リーダライタ用アンテナ15の外周囲を少なくとも奥行き方向yにおいて一回り小さくしたものであってよい。なお、多孔性シート状部材41の大きさ(すなわち、中央開口42を含む大きさ)に対する中央開口42の大きさの比(換言すれば、多孔性シート状部材41の、中央開口42についての開口率)は、図示の実施例においては、約50%である。また、多孔性シート状部材41の各辺の幅(換言すれば、シート状部材41の外周囲の四辺のうちの各辺から中央開口42までの最短距離)は、約35mm(後縁部52側の辺)、約10mm(向って左側の縁部54側の辺)、約35mm(前縁部56側の辺)および約25mm(向って右側の縁部58側の辺)である。
【0034】
したがって、多孔性シート状部材41は、リーダライタ用のアンテナ15の外周囲部分と重複する重複部位を有している。本文において、上記「重複」とは、電気的には接続重複していないが、棚板11などのアンテナ形成対象部材を上面からみた投影図において(換言すれば、平面的に見て)重複していることを意味している。なお、多孔性シート状部材41のリーダライタ用アンテナ15との重複状態については、つぎの「(4)リーダライタ用アンテナのパターン形状」の項において詳述する。さらに、図示の実施例においては、多孔性シート状部材41と第2のループアンテナB(特に、そのアンテナパターン31)との相互の間隔は、図3に示すように、下側の板34の厚みとほぼ等しくて、約2.3mmである。また、多孔性シート状部材41と第1のループアンテナA(特に、そのアンテナパターン31)との相互の間隔は、図3に示すように、下側の板34の厚み(約2.3mm)、第2のアンテナパターンBの厚み、中間膜35の厚み(約300μm)などの和とほぼ等しくて、約3mmである。
【0035】
導電性で多孔性のシート状部材41は、その第1の態様においては、金属線などの導電性線条体をメッシュ状に編組したメッシュ構造のものであってよい。図示の実施例においては、多孔性シート状部材41は、銅線、鉄線などの金属線からそれぞれ成る多数本の縦線と多数本の横線とを碁盤の目状に組編した金属メッシュから構成されている。上記金属線の線径は、例えば約20μmであってよく、上記金属メッシュのメッシュピッチは、例えば約300μmであってよい。したがって、1個の碁盤の目に相当する小開孔(すなわち、貫通孔)の縦および横のそれぞれの長さは、例えば約280μmであってよく、このために、この多孔性シート状部材41の小開孔の最大長は、例えば約396μmであってよく、上記小開孔の1個当りの面積は、例えば約78,400μmであってよく、多孔性シート状部材41(ただし、中央開口42を除く部分)の開口率は、例えば約87%であってよい。また、導電性で多孔性のシート状部材41は、その第2の態様においては、ステンレス、その他の金属製の薄板などの導電性の薄板に上記メッシュ構造の場合と同様に多数個の小開孔(すなわち、貫通孔)が形成されているマイクロメッシュメタルなどのマイクロメッシュ構造の薄板であってよい。そして、上記第1および第2の態様のいずれにおいても、導電性で多孔性のシート状部材41は、磁性材料から成っていてもよいし、非磁性材料から成っていてもよい。さらに、上記第1および第2の態様のいずれにおいても、多孔性シート部材41に形成される小開孔は、ほぼ正方形状、ほぼ長方形状、ほぼ菱形状、ほぼ台形状、ほぼ六角形状、ほぼ円形状、ほぼ楕円形状、ほぼ長円形状、これらの形状の任意の数の組み合せから成る形状、その他の任意の形状であってよい。なお、銅線から構成された上記金属メッシュ41のシート抵抗は、例えば約0.18Ω/□であってよいが、本発明においては、実用性の観点から言って一般的に、上記金属メッシュのシート抵抗は、0.5Ω/□以下であるのが好ましく、0.3Ω/□以下であるのがさらに好ましい。また、これらの好ましい数値範囲およびさらに好ましい数値範囲は、上記マイクロメッシュ構造の多孔性シート状部材41についても当てはまる。
【0036】
上記第1および第2の態様のいずれにおいても(換言すれば、本発明においては)、多孔性シート状部材41は、実用性の観点から言って一般的に、つぎの(ア)項〜(ク)項に記載する1個または複数個もしくは全部の数値範囲を満足しているのが好ましい。なお、つぎの(ア)項〜(ク)項に記載するカッコ内の数値範囲は、本発明において満足しているのがさらに好ましい数値範囲である。
(ア)多孔性シート状部材41の大きさ(すなわち、中央開口42を含む大きさ)に対する中央開口42の大きさの比:20〜80%(30〜70%)の範囲、
(イ)多孔性シート状部材41の1個の辺の幅:2〜80mm(4〜60mm)の範囲、
(ウ)多孔性シート状部材41と第1のループアンテナA(特に、そのアンテナパターン31)との相互の間隔および多孔性シート状部材41と第2のループアンテナB(特に、そのアンテナパターン31)との相互の間隔(換言すれば、多孔性シート状部材41とリーダライタ用アンテナ15(特に、そのアンテナパターン31)との相互の間隔)のそれぞれ:0.5〜30mm(1〜15mm)の範囲、
(エ)多孔性シート状部材41が導電性線条体をメッシュ状に編組したものであるときの多孔性シート状部材41の導電性線条体の最大線幅(断面がほぼ円形であれば、線径):4〜200μm(8〜100μm)の範囲、
(オ)多孔性シート状部材41の小開孔のピッチ(シート状部材41が導電性条体をメッシュ状に編組したものであるときには、具体的には、メッシュピッチ):50〜2,000μm(100〜1,200μm)の範囲、
(カ)多孔性シート状部材41の各小開孔の最大長:60〜3,000μm(120〜1,600μm)の範囲、
(キ)多孔性シート状部材41の多数個の小開孔の1個当りの面積:4,000〜1,800,000μm(8,000〜800,000μm)の範囲、および
(ク)多孔性シート状部材41の、中央開口42を除く部分の開口率(換言すれば、多数個の小開孔についての開口率):70〜95%(80〜92%)の範囲。
【0037】
(4)リーダライタ用アンテナのパターン形状
書籍類21に設けられている電子タグ22と無線通信により交信するためのリーダライタ用アンテナ15は、図2、図3、図6および図7に示すように、第1のループアンテナAと第2のループアンテナBとから成っている。これら第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれは、ほぼループ形状のアンテナパターン31と、このほぼループ形状のアンテナパターン31の両端部にそれぞれ連設されて互いに近接している一対の端子部32a、32bとから成っている。これら一対の端子部32a、32bの間には、隙間51が設けられているので、ほぼループ形状のアンテナパターン31の両端部の間にも、同様に隙間51が存在している。これら一対の端子部32a、32bは、ツイストケーブル(図示せず)によって前記マッチング調整器(図示せず)に接続されていてよい。
【0038】
図2、図3、図6および図7に示すリーダライタ用アンテナ15を構成している第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのほぼループ形状のアンテナパターン31は、図2および図6に示すように、前後対称的であることを除いて互いに実質的にほぼ同一の形状または互いに実質的に類似した形状であってよい。第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのほぼループ形状のアンテナパターン31は、給電用などの端子部32aが必要に応じて連設されかつ棚板11の後縁部52の側に位置する第1のパターン部分53と、棚板11に向って左側の縁部54の側に位置する第2のパターン部分55と、棚板11の前縁部(換言すれば、書籍類21の取出し側の縁部)56の側に位置する第3のパターン部分57と、給電用などの端子部32aおよび/または32bが必要に応じて連設されかつ棚板11の向って右側の縁部58の側に位置する第4のパターン部分59とが、順次連設されたものであってよく、全体として、一対の端子部32a、32bの間に対応する隙間51を除いてループ形状に構成されていてよい。これらの第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれは、その一部分と別の部分とが交差する交差部位を有していないワンループのものであるのが好ましい。本文において、上記「交差」とは、電気的には接続交差していないが、棚板11などのアンテナ形成対象部材を上面からみた投影図において(換言すれば、平面的に見て)交差していることを意味している。
【0039】
第1のループアンテナAの第1のパターン部分53は、図2および図6に示すように、棚板11の後縁部52から多少離れかつこの後縁部52にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板11の開口方向xにほぼ平行な状態であって、図示の実施例においては、ほぼ直線的−以下、同じ)でもって棚板11の間口方向xのほぼ全長にわたって延在している。第1および第2のループアンテナAおよびBのそれぞれの第2のパターン部分55は、棚板11の向って左側の縁部54に近接または或る程度離れかつこの左側縁部54にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板11の奥行き方向yにほぼ平行な状態であって、図示の実施例においては、ほぼ直線的−以下、同じ)でもってそれぞれ延在している。第2のループアンテナBの第3のパターン部分57は、棚板11の前縁部56に近接しかつこの前縁部56にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板11の間口方向xにほぼ平行な状態)でもって棚板11の間口方向xのほぼ全長にわたって延在している。第1および第2のループアンテナAおよびBのそれぞれの第4のパターン部分59は、その前後方向における後端部52側の部分または中間部分が端子部32aおよび/または32bの接続のために隙間51によって途切れていることを除いて、棚板11の向って右側の縁部58から或る程度または多少離れかつこの右側縁部58にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板11の奥行き方向yにほぼ平行な状態)でもってそれぞれ延在している。
【0040】
第1のループアンテナAの第3のパターン部分57は、棚板11の前縁部56から多少離れかつこの前縁部56にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板11の間口方向xのほぼ平行な状態)でもって相互の間に間欠部分61が生じるように間欠的に延在している複数本(図示の実施例においては5本)のベースライン部62と、これら間欠的に延在している複数本のベースライン部62の間(換言すれば、間欠部分61)にそれぞれ延在している1個または複数個(好ましくは複数個であって、図示の実施例においては4個)の屈曲部63とから成っている。各ベースライン部62は、リーダライタ用アンテナ15の奥行き方向yにおける中心に沿って棚板11の間口方向xに延在するリーダライタ用アンテナ15の仮想の中心線(以下、「アンテナ中心線」という。)64よりも前縁部56側で第2のループアンテナBの第3のパターン部分57の後縁部52側を延在している。第2のループアンテナBの第1のパターン部分53は、棚板11の後縁部52から或る程度離れかつこの後縁部52にほぼ平行な状態(換言すれば、棚板11の間口方向xにほぼ平行な状態)でもって相互の間に間欠部分61が生じるように間欠的に延在している複数本(図示の実施例においては5本)のベースライン部62と、これら間欠的に延在している複数本のベースライン部62の間(換言すれば、間欠部分61)にそれぞれ存在している1個または複数個(好ましくは複数個であって、図示の実施例においては4個)の屈曲部63とから成っている。各ベースライン部62は、アンテナ中心線64よりも後縁部52側で第1のループアンテナAの第1のパターン部分53の前縁部56側を延在している。なお、図示の実施例においては、棚板11の奥行き方向yにおける中心線に沿って棚板11の間口方向に延在する棚板11の仮想の中心線(すなわち、棚板中心線)は、アンテナ中心線64とほぼ一致している。
【0041】
第1のループアンテナAの各屈曲部63は、図2および図6に示すように、向って左側のベースライン部62の向って右側の端部にその基端部を連設されかつ棚板11のほぼ後縁部52に向って立上っている第1の立上り部65と、向って右側のベースライン部62の向って左側の端部にその基端部を連設されかつ棚板11のほぼ後縁部52に向って立上がっている第2の立上がり部66と、これら第1および第2の立上り部65、66の先端部をそれぞれ連結するように間口方向xにほぼ平行に延在している連結部67とから成り、全体として、ほぼ長方形状の凸形状部分であるのが好ましい。この場合、連結部67は、アンテナ中心線64よりも棚板11の後縁部52の側で第1のループアンテナAの第1のパターン部分53の前縁部56側を間口方向xにほぼ平行に延在しているのが好ましい。したがって、第1および第2の立上り部65、66は、アンテナ中心線64によって二分される棚板11の一方の側(具体的には、棚板11の前縁部56側の部分)から他方の側(具体的には、棚板11の後縁部52側の部分)までアンテナ中心線64にほぼ直交するように交差して延在しているのが好ましい。
【0042】
第2のループアンテナBの各屈曲部63は、図2および図6に示すように、向って左側のベースライン部62の向って右側の端部にその基端部を連設されかつ棚板11のほぼ前縁部56に向って立上がっている第1の立上がり部65と、向って右側のベースライン部62の向って左側の端部にその基端部を連設されかつ棚板11のほぼ前縁部56に向って立上がっている第2の立上り部66と、これら第1および第2の立上り部65、66の先端部をそれぞれ連結するように間口方向xにほぼ平行に延在している連結部67とから成り、全体として、ほぼ長方形状の凸形部分であるのが好ましい。この場合、連結部67は、アンテナ中心線64よりも棚板11の前縁部56の側で第2のループアンテナBの第3のパターン部分57の後縁部52側を間口方向xにほぼ平行に延在しているのが好ましい。したがって、第1および第2の立上り部65、66は、アンテナ中心線64によって二分される棚板11の一方の側(具体的には、棚板11の後縁部52側の部分)から他方の側(具体的には、棚板11の前縁部56側の部分)までアンテナ中心線64にほぼ直交するように交差して延在しているのが好ましい。
【0043】
リーダライタ用アンテナ15は、図2および図6に示すように、第1のループアンテナAと第2のループアンテナBとを組み合わせて配置したものである。第2のループアンテナBは、アンテナ中心線64を対称軸として前後対称的であることを除いて、第1のループアンテナAのほぼループ形状のアンテナパターン31と実質的にほぼ同一であるほぼループ形状のアンテナパターン31を有していて、一対の端子部32a、32bの位置だけが第1のループアンテナAとは異なっている。したがって、第1のループアンテナAと第2のループアンテナBとは、全体として、実質的に互いにほぼ同一または実質的に互いに類似したアンテナパターン形状を有している。
【0044】
第1および第2のループアンテナA、Bを図2および図6に示すように互いに組み合わせて配置することによって、リーダライタ用アンテナ15が構成されている。この組み合せに当たっては、第2のループアンテナBは、第1のループアンテナAに対して間口方向xには連結部67の長さに相当する間隔L(図6参照)のほぼ1/2(すなわち、ほぼ0.5Lであって、図示の実施例においては約45mm)だけ右側にずれた状態で配置されるとともに奥行き方向yには第1または第2の立上り部65、66の長さに相当する間隔L(図6参照)のほぼ1/8(すなわち、ほぼ0.125Lであって、図示の実施例においては約15mm)だけ手前にずらして配置されている。
【0045】
導電性で多孔性のシート状部材41がリーダライタ用アンテナ15を棚板11の下面側から被覆している被覆部位(換言すれば、両者の重複部位)は、図2に示す図示の実施例においては、つぎの(ア)項〜(キ)項に記載するとおりである。
(ア)第1のループアンテナAの第1のパターン部分53および第2のループアンテナBの第3のパターン部分57、
(イ)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのベースライン部62、
(ウ)第1のおよび第2のループアンテナA、Bのそれぞれの連結部67、
(エ)第1のおよび第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第2のパターン部分55の前後両端部、
(オ)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第4のパターン部分59の前後両端部、
(カ)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの第1および第2の立上り部65、66のそれぞれの前後両端部、ならびに
(キ)第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれの一対の端子部32a、32b。
【0046】
本発明においては、実用性の観点から言って一般的に、上記(ア)項〜(キ)項に記載するアンテナ部分のうちの1個または複数個もしくは全部のアンテナ部分が多孔性シート状部材41によって被覆されているのが好ましい。また、本発明においては、実用性の観点から言って一般的に、つぎの(ク)項〜(サ)項に記載するアンテナ部分のうちの1個または複数個もしくは全部のアンテナ部分が多孔性シート状部材41によって被覆されることができる。
(ク)第1のループアンテナAの第2のパターン部分55、
(ケ)第2のループアンテナBの第4のパターン部分59、
(コ)第2のループアンテナBの第2のパターン部分55、および
(サ)第1のループアンテナAの第4のパターン部分59。
【0047】
上述のとおりであるから、リーダライタ用アンテナ15においては、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン31のうちのほぼ間口方向xに沿って延在するアンテナ成分(すなわち、上記(ア)項〜(ウ)項に記載のアンテナ成分)でそれぞれ発生される磁界(磁束)は、多孔性シート状部材41によってかなりの程度で弱められる。特に、前記1(3)項に記載したように、多孔性シート状部材41の後縁部52側の辺は、比較的広幅(すなわち、約35mm)になっている。したがって、図1に示す書架1と同様の第2の書架が図1に示す書架1の後ろ側に背中合わせで配置されている場合でも、図1に示す書架1のリーダライタ用アンテナ15が上記第2の書架の同様のリーダライタ用アンテナとの間で干渉を生じる可能性は、少ない。そして、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン31のうちのほぼ奥行き方向yに沿って延在するアンテナ成分(すなわち、上記(エ)項〜(カ)項に記載のアンテナ成分55、59、65、66)でそれぞれ発生される磁界(磁束)が、書籍類21に貼付された電子タグ22とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信に有効に機能する。したがって、図示の実施例においては、電子タグ22がリーダライタ用アンテナ15と良好に交信し得るようにするために、電子タグ22が書籍類21の表表紙23または裏表紙24(特に、その下端寄り)に設けられているのが好ましい。
【0048】
なお、図2および図3に示すリーダライタ用アンテナ15が敷設されている棚板7、11、12が用いられている書架部分2、3(ひいては、書架1)によれば、以下において詳述するように、それぞれの書架部分2、3に多数個の棚板を設けることができるので、書架部分2、3の物品収納空間を有効に利用することができる。
【0049】
すなわち、前記(D)項に記載したように、特許文献1〜3に記載の書架検索システムによれば、上下方向で互いに隣接する棚板間で相互の干渉を起こす可能性が高いので、互いに隣接する棚板の間隔を大きくする必要があり、このために、スペースファクタが悪い。換言すれば、1つの棚板における給電中のリーダライタ用アンテナから放出される磁界を受けることによって、別の棚板上に載置されている書籍類に貼付されている電子タグが反応することがある。この結果、上記別の棚板上に載置されている書籍類が上記1つの棚板上に載置されているかのように誤って認識されることがある。したがって、リーダライタ用アンテナの磁界放出方向(すなわち、リーダライタ用アンテナの敷設面または棚板面に対する垂直方向)における上下のリーダライタ用アンテナ間の距離(換言すれば、上段の棚板に敷設されているリーダライタ用アンテナと、1つ下の段の棚板に敷設されている別のリーダライタ用アンテナとの間の距離)を、磁界の相互の影響を受けないように、一定以上の距離にする必要がある。よって、特許文献1に開示されている書架検索システムを適用した従来の書架の場合には、書籍類21のうちのA4サイズ(高さ29.7mm)の週刊誌の場合であっても、A6サイズ(高さ14.8mm)の文庫本の場合であっても、書架部分2の上下の棚板7、11、12の間隔をほぼ同じだけ空ける必要がある。このために、文庫本の場合には、週刊誌の場合に較べて、余分な空間が2倍程度必要であるから、書架部分2、3(ひいては、書架1)における書籍類21の収納能力に大きな問題を生じる。
【0050】
これに対し、図2および図3に示すリーダライタ用アンテナ15が敷設されている棚板7、11、12が用いられている書架部分2、3においては、第1および第2のループアンテナA、Bのそれぞれのアンテナパターン23でそれぞれ発生される部分的に強い磁界(磁束)は、多孔性シート状部材51によってかなりの程度で弱められる。このために、図1に示す書架部分3の例えば棚板12のリーダライタ用アンテナ15が、その上下の棚板11、7のリーダライタ用アンテナ15との間で干渉を生じる可能性は、少ない。したがって、特許文献1の書架の場合のように、棚板の相互の間隔を比較的大きくする必要は、特にない。そして、書籍類21のサイズに特に関係なく、書籍類21の天28(図4参照)とそのすぐ上の棚板との相互の間隔をほぼ一定にすることが可能である。よって、A6サイズの文庫本のみを載置する棚板7、11、12の場合には、その上段の棚板との間隔を、A4サイズの週刊誌のみを載置する棚板の場合に較べて、常にほぼ一定の間隔(例えば、10mmまたはそれ以上)に設定することができて、十分に小さくすることができる。この結果、A6サイズの文庫本のみを載置する棚板上に余分な空間を必要としないから、3段の棚板7、11、12を有する特許文献1の書架と同じサイズであっても、図2および図3に示すリーダライタ用アンテナ15が敷設されている棚板7、11、12が用いられている書架部分2、3の場合には、書架部分2、3の棚板7、11、12の個数を4段以上に増やすことができる。このために、図2および図3に示すリーダライタ用アンテナ15が敷設されている棚板7、11、12が用いられている書架部分2、3の場合には、特許文献1の書架部分2、3に較べて、多くの書籍類21を収納することが可能である。
【0051】
上述のとおりであるから、図1に示す棚板7、11、12(必要に応じて、底板兼用の棚板7を除く。)は、適当な棚板支持具(図示せず)によって、左右一対の側縁部および/または背板5側の側縁部を左右一対の側板4、4aおよび/または背板5に支持されているのが好ましい。そして、上記棚板支持具は、左右一対の側板4、4aおよび/または背板5とは別体に構成されるとともに、これら左右一対の側板4、4aおよび/または背板5に着脱自在にかつ上下方向における取付け位置を連続的または段階的に変更し得るようにそれぞれ取付けられているのが好ましい。また、上記棚板支持具は、棚板7、11、12と一体に構成されていてもよいし、これらの棚板7、11、12を支持し得るように別体に構成されていてもよい。このために、棚板7、11は、天板6と底板7との間で上下方向における取付け位置を連続的または段階的に変更することができる。したがって、各棚板7、11、12同士の間隔および天板6と最上段の棚板11との間隔は、連続的または段階的に変更されることができる。
【0052】
(5)リーダライタ用アンテナの給電方法
第1および第2のループアンテナA、Bのうちの一方のループアンテナに給電することによって、他方のループアンテナに発生する誘導電流が一方向(換言すれば、共通の電流方向)に流れるので、一方のループアンテナのみに給電するだけでリーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bの両方を電子タグ19と交信させることができる。しかし、第1および第2のループアンテナA、Bに交互に給電することによって、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のループアンテナA、Bの両方をさらに安定した状態で電子タグ19と良好に通信させることができる。
【0053】
2、第2の実施例
図10および図11に示す第2の実施例における書架1においては、棚板7、11、12に設けられる干渉防止用部材(換言すれば、遮蔽材)として、図2および図3に示す第1の実施例の場合のようにループ形状に構成された導電性で多孔性の第1のシート状部材41に加えて、非ループ形状に構成された導電性で多孔性の第2のシート状部材71が設けられている。なお、図10および図11に示す第2の実施例における書架1は、以下において記載する点を除いて、上述の第1の実施例における書架1と実質的に同一の構成であっよい。また、この第2の実施例における書籍類21は、上述の第1の実施例における書籍類21と実質的に同一の構成であってよい。したがって、図10および図11において、図1〜図9と共通の部分には、同一の符号を付してその説明を必要に応じて省略する。また、以下においては、最上段の棚板11についてのみ説明するが、残りの棚板7、12も、必要に応じて、棚板11と実質的に同一の構成であってよいし、異なる構成であってもよい。
【0054】
図10および図11に示す棚板11においては、干渉防止用部材(換言すれば、遮蔽材)として、ループ形状に構成された第1の多孔性シート部材41とは別に、中央開口42および切り込みをいずれも有さない第2の多孔性シート状部材71が設けられている。このような第2の多孔性シート状部材71は、図11に示すように、第1の多孔性シート状部材41の下面(換言すれば、外側面)に、前記1(2)項において記述した中間膜35と同様のものであってよい第2の中間膜72を用いて貼り合せられることなどによって、取り付けられることができる。なお、図10およびこれに類似する図面(換言すれば、後述の第3の実施例についての図12)において、図示の都合上、第2の多孔性シート状部材71を二点鎖線で示している。
【0055】
第2の多孔性シート状部材71は、ほぼ長方形状、ほぼ正方形状、ほぼ菱形状、ほぼ台形状などのほぼ四角形状、ほぼ長円形状、ほぼ楕円形状、ほぼ円形状のような、短冊形状、色紙形状、その他の任意の形状であってよい。そして、第2の多孔性シート状部材71は、図示の実施例においては、図10に示すようにほぼ長方形状に形成されている。なお、第2の多孔性シート状部材71の奥行き方向における長さは、例えば、第1の多孔性シート状部材41の奥行き方向yにおける長さ(換言すれば、棚板11の奥行き方向yにおける長さ―すなわち、約170mm)と実質的に同一であってよい。また、第2の多孔性シート状部材71の間口方向xの長さ(換言すれば、幅)は、例えば、約55mmであってよい。
【0056】
第2の多孔性シート状部材71は、その左側の端部が第1の多孔性シート状部材41の向って左側の端部にほぼ一致するとともに、その前端部および後端部が第1の多孔性シート状部材41の前端部および後端部にそれぞれほぼ一致するように、第2の中間膜72を介して第1の多孔性シート状部材41に重ね合せられている。このような第2の中間膜72は、PETなどの適当な非導電性材料から成るフィルムであってよく、第2の多孔性シート状部材71の一方または両方の面に予め接合されていてよい。換言すれば、第2の多孔性シート状部材71は、その向って左側の端部が第1の多孔性シート状部材41とほぼ重複している。したがって、第2の多孔性シート状部材71は、図10に示すように、第2のループアンテナBの第2のパターン部分55とは重複していないが、第1のループアンテナAの第2のパターン部分55と、第1のループアンテナAの第1のパターン部分53のうちの左端付近のパターン部分と、第1のループアンテナAの最も左側のベースライン部62のうちの左端付近のパターン部分とから成りかつ向って左側の縁部54の近傍においてほぼコ字状に突出している向って左側の突出部分と重複している。換言すれば、第2の多孔性シート状部材71は、第1の多孔性シート状部材41の向って左側の端部付近と少なくとも部分的に重複している。さらに、第2の多孔性シート状部材71は、前記1(3)項において記述した第1の多孔性シート状部材41と同様の材質および組成のものであってよい。そして、第2の多孔性シート状部材71は、実用性の観点から言って一般的に、前記1(3)項において第1の多孔性シート状部材41について記述した前記(ウ)項〜(ク)項に記載した数値範囲(さらに好ましい数値範囲を含む。)と同一の1個または複数個もしくは全部の数値範囲を満足しているのが好ましい。
【0057】
上述のとおりであるから、図10および図11に示す第2の実施例におけるリーダライタ用アンテナ15においては、図1〜図9に示す第1の実施例における場合よりも、第1のループアンテナAのうちの上記ほぼコ字状の左側突出部分55、53、62でそれぞれ発生される磁界(磁束)は、第1の多孔性シート状部材41によってだけではなく、第2の多孔性シート部材71によってもさらに弱められる。それでいて、棚板11上に載置されている書籍類21に対しては、棚板11全体にわたって、書籍類21に貼付された電子タグ22とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信をやはり有効に行うことができる。
【0058】
3、第3の実施例
第2の干渉防止用部材(換言すれば、遮蔽材)としての第2の多孔性シート状部材71の取付け位置は、図10および図11に示す第2の実施例のものに限定されるものではなく、図12および図13に示す第3の実施例によって例示するように各種の変更および修正が可能である。なお、図12および図13に示す第3の実施例における書架1は、以下において記載する点を除いて、上述の第2の実施例における書架1と実質的に同一の構成であってよい。また、この第3の実施例における書籍類21は、上述の第1の実施例における書籍類21と実質的に同一の構成であってよい。したがって、図12および図13において、図1〜図11と共通の部分には、同一の符号を付してその説明を必要に応じて省略する。また、以下においては、最上段の棚板11についてのみ説明するが、残りの棚板7、12も、必要に応じて、棚板11と実質的に同一の構成であってよいし、異なる構成であってもよい。
【0059】
図12および図13に示す第3の実施例における棚板11においては、第2の多孔性シート状部材71が、図10および図11に示す第2の実施例における棚板11の場合に較べて、間口方向xにほぼ沿って向って左側から向って右側に例えば約10mmずれている。したがって、第2の多孔性シート状部材71は、前記2項において記述したほぼコ字状の左側突出部分55、53、62と重複しているだけでなく、第2のループアンテナBの第2のパターン部分55とも重複している。
【0060】
上述のとおりであるから、図12および図13に示す第3の実施例におけるリーダライタ用アンテナ15においては、図10および図11に示す第2の実施例における場合よりも、第1のループアンテナAのうちの上記ほぼコ字状の左側突出部分55、53、62でそれぞれ発生される磁界(磁束)だけでなく、第2のループアンテナBの第2のパターン部分55で発生される磁界(磁束)も、第1の多孔性シート部材41によってだけではなく、第2の多孔性シート部材71によっても弱められる。それでいて、棚板11上に載置されている書籍類21に対しては、棚板11全体にわたって、書籍類21に貼付された電子タグ22とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信をやはり有効に行うことができる。
【0061】
4、リーダライタ用アンテナの動作実験
図14は、第1〜第3の実施例のリーダライタ用アンテナ15の電子タグ22との間口方向xの位置(横軸)に応じたアンテナ中心線64から上方に向う方向(換言すれば、間口方向xと奥行き方向yとの両方にそれぞれ直交する方向)における最大通信可能距離(縦軸)を示している。この場合、最大通信可能距離とは、棚板11の上面から上記上方に向う方向に沿って上方に向う電子タグ22の下辺部までの距離を示している。具体的には、この最大通信可能距離とは、棚板11の間口方向をx方向、奥行き方向をy方向、上下方向をz方向としたときに、yz平面(換言すれば、書籍類21の表表紙23面または裏表紙24面)に平行な電子タグ22のz方向における最大通信可能距離(棚板11から電子タグ22の下辺部までの高さ)を測定したものである。そして、図14における高さ方向(縦軸)は、間口方向xの位置に応じた棚板11の上下方向における最大通信可能距離を示している。また、間口方向xの位置(横軸)におけるマイナスの領域は、棚板11の向かって左側の外部での読み取り範囲を示している。
【0062】
図14において、参考例1の折線グラフは、前記1項において記述した第1の実施例における図6および図7に示す遮蔽材なしの棚板11のリーダライタ用アンテナ15についてのものである。そして、実施例1の折線グラフは、前記1項において記述した第1の実施例における図2および図3に示す遮蔽材付きの棚板11のリーダライタ用アンテナ15についてのものである。また、実施例2の折線グラフは、前記2項において記述した第2の実施例における図10および図11に示す遮蔽材付きの棚板11のリーダライタ用アンテナ15についてのものである。さらに、実施例3の折線グラフは、前記3項において記述した第3の実施例における図12および図13に示す遮蔽材付きの棚板11のリーダライタ用アンテナ15についてのものである。
【0063】
図14は、図1に示す書架1に対応するように記載されている。そして、この図14において、符号4aは、図1に示す共通の側板4aを示している。また、図14において、この共通の側板4aの左側における2個の符号59は、図1に示す第1の書架部分2の棚板11に設けられている第1のループアンテナAの第4のパターン部分59の幅方向における中心線(実線)および第2のループアンテナBの第4のパターン部分59の幅方向における中心線(破線)をそれぞれ示している。また、図14において、共通の側板4aの右側における向って左側から向って右側にかけての2個の符号55、2個の符号65、2個の符号66、1個の符号65は、図1に示す第2の書架部分3の棚板11に設けられているつぎの(a)項〜(d)項に記載のものの幅方向における中心線をそれぞれ示している。
(a)第1のループアンテナAの第2のパターン部分55(実線)および第2のループアンテナBの第2のパターン部分55(破線)、
(b)第1のループアンテナAの向って一番左側の屈曲部63の第1の立上り部65(実線)および第2のループアンテナBの向って一番左側の屈曲部63の第1の立上り部65(破線)、
(c)第1のループアンテナAの向って一番左側の屈曲部63の第2の立上り部66(実線)および第2のループアンテナBの向って一番左側の屈曲部63の第2の立上り部66(破線)、および
(d)第1のループアンテナAの向って左側から2番目の屈曲部63の第1の立上り部65(実線)。
【0064】
図14は、第2の書架部分3のみのリーダライタ用アンテナ15の第1および第2のアンテナA、Bに交互に給電したときの最大通信可能距離(上述のように上方に向う方向における最大通信可能距離)を示している。そして、この図14に示す最大通信可能距離のグラフから、つぎの(ア)項〜(オ)項に記載する事項が判る。
(ア)図6および図7に示す参考例1としての棚板11の場合には、第2の書架部分3のリーダライタ用アンテナ15に給電したときに、この第2の書架部分3のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)が、これの左側に隣接する第1の書架部分2のリーダライタ用アンテナ15や1つ上の段の棚板のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)にかなりの程度で干渉すること、
(イ)図2および図3に示す第1の実施例における棚板11の場合には、上記(ア)項に記載した干渉がかなりの程度で生じなくなること、
(ウ)図10および図11に示す第2の実施例における棚板11の場合には、上記(ア)項に記載した干渉が、図2および図3に示す第1の実施例の場合よりも一層生じなくなること、
(エ)図12および図13に示す第3の実施例における棚板11の場合には、上記(ア)項に記載した干渉が、図10および図11に示す第2の実施例の場合よりもさらに生じなくなって、実質的に消滅すること、および
(オ)図2および図3に示す第1の実施例、図10および図11に示す第2の実施例ならびに図12および図13に示す第3の実施例のいずれにおける棚板11の場合でも、棚板11上に載置されている書籍類21に対しては、棚板11全体にわたって、書籍類21に貼付された電子タグ22とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信をやはり有効に行うことができること。
【0065】
図15は、第1および第3の実施例のリーダライタ用アンテナ15の電子タグ22(具体的には、電子タグ22の下辺部)との間口方向xの位置に応じた奥行き方向yにおける最大通信可能距離(縦軸)を示している。この場合、最大通信可能距離とは、棚板11の後縁部52(換言すれば、第1および第2の多孔性シート状部材41、71の後縁部)から奥行き方向yに沿って後方に向う距離を示している。また、この図15において、参考例1および実施例1〜3のそれぞれは、図14の場合と同一のものを意味している。また、図15において、符号59、4a、55、65および66のそれぞれは、図14の場合と同一のものを意味している。
【0066】
図15は、第2の書架部分3のリーダライタ用アンテナ15の第1および第2のアンテナA、Bに交互に給電したときの最大通信可能距離(上述のように奥行き方向yにおける最大通信可能距離)を示している。そして、この図15に示す最大通信可能距離のグラフから、つぎの(カ)項および(キ)項に記載する事項が判る。
(カ)図6および図7に示す参考例1としての棚板11の場合には、第2の書架部分3のリーダライタ用アンテナ15に給電したときに、この第2の書架部分3のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)が、これの背面側に隣接する別の書架の書架部分の棚板上のリーダライタ用アンテナ15(特に、間口方向xにおける端部)で発生される磁界(磁束)にかなりの程度で干渉すること、および
(キ)図2および図3に示す第1の実施例における棚板11、図10および図11に示す第2の実施例における棚板11ならびに図12および図13に示す第3の実施例における棚板11のそれぞれの場合には、上記(カ)項に記載した干渉がかなりの程度で生じなくなること。
【0067】
図16は、参考例2について、図14の場合と同様のグラフを示している。この参考例2は、図2および図3に示す第1の実施例において、多孔性シート状部材41の中央開口42を省略したものを干渉防止用部材として用いている。したがって、この参考例2の多孔性シート状部材41の場合には、上記中央開口42に相当する部分も、メッシュ構造に構成されている。そして、この図16から、つぎの(ク)項および(ケ)項に記載する事項が判る。
(ク)この参考例2として示す棚板11の場合には、第2の書架部分3のリーダライタ用アンテナ15に給電したときに、この第2の書架部分3のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)が、これの左側に隣接する第1の書架部分2のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)にほとんど干渉しないこと、および
(ケ)上記参考例2として示す棚板11の場合には、書籍類21に貼付された電子タグ22とリーダライタ用アンテナ15との相互の交信を良好に行わせるための何らかの工夫が必要であること。
【0068】
図17は、参考例3について、図14の場合と同様のグラフを示している。この参考例3は、図12および図13に示す第3の実施例において、第1の多孔性シート状部材41を省略して、干渉防止用部材として第2の多孔性シート状部材71のみを用いている。そして、この図17から、つぎの(コ)項に記載する事項が判る。
(コ)この参考例3としての示す棚板11の場合には、第2の書架部分3のリーダライタ用アンテナ15に給電したときに、この第2の書架部分3のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)が、これの左側に隣接する第1の書架部分2のリーダライタ用アンテナ15で発生される磁界(磁束)に多少は干渉しなくなるが、基本的には、図6および図7に示す参考例1の場合(図14に図示)とほぼ同一のグラフが得られること。
【0069】
図18は、参考例4について、図14の場合と同様のグラフを示している。この参考例4は、図2および図3に示す第1の実施例において、多孔性シート状部材41に欠如部を設けることによって、この多孔性シート状部材41を閉ループ状ではなくて開ループ状に構成したものである。具体的には、上記欠如部は、多孔性シート状部材41の向って右側の縁部58側の辺に約7.5mmの幅のスリットとして形成されている。そして、この図18から、つぎの(サ)項に記載する事項が判る。
(サ)この参考例4として示す棚板11の場合には、図6および図7に示す参考例1の場合(図14に図示)について上記(ア)項に記載したのとほぼ同様の干渉が生じること。
【0070】
つぎの表1は、図14〜図18にそれぞれ示されている最大通信可能距離を、棚板11上(間口方向xの位置におけるプラスの領域)の最大通信可能距離の平均値などを加えて、表として示したものである。この表1において、上下方向の場合には、図14、図16〜図18における最大通信可能距離(縦軸)の最大値、平均値および最小値がそれぞれ示されている。また、左右方向(すなわち、間口方向)xの場合には、図14、図16〜図18における間口方向の位置(横軸)における0mmから−100mmに向う方向の最大通信可能距離が示されている。また、前後方向(すなわち、奥行き方向)yの場合には、図15における最大通信可能距離が示されている。
【表1】

【0071】
また、つぎの表2は、棚板7、11、12にそれぞれ敷設されるリーダライタ用アンテナ15を上下、左右および前後の各方向に隣接して配置した場合において、棚板間でリーダライタ用アンテナ15による相互の干渉が生じないようにするのに必要な棚板間の必要最低離間距離を示している。すなわち、互いに隣接する上下、左右および前後の棚板間で相互の干渉を起こさないようにするのに必要になる各方向における距離(具体的には、上下方向においては、天板6および棚板7、11、12の相互の間隔、左右方向においては、側板4aの厚み、前後方向においては、背板5の厚み)を示している。
【表2】

【0072】
上記表1および表2から、つぎの(シ)項および(ス)項に記載する事項が判る。
(シ)表2に示す必要最低離間距離が表1に示す最大通信可能距離とほぼ対応した関係になっていること、および
(ス)実施例1〜3の場合には、参考例1の場合に較べて、上下、左右および前後の各方向における必要最低離間距離を小さくし得ること(特に、上下方向については、参考例1では、文庫本21(高さ148mm)を或る棚板上に多数冊並べた場合、この文庫本21と1つ上の段の棚板との間に文庫本の高さの倍以上の余分な空間を設ける必要があるが、実施例1〜3では、上記上下方向における余分な空間をほとんど設ける必要がなくて上下方向において隙間があまり生じないように文庫本を棚板上に多数冊並べることが可能であること)。
【0073】
以上において、本発明の第1〜第3の実施例について詳細に説明したが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて、各種の変更および修正が可能である。
【0074】
例えば、既述の第1〜第3の実施例においては、上下3段の棚板7、11、12を書架1に設けたが、棚板は必ずしも上下に3段設けられる必要はなく、2段または4段以上の別の複数段を上下に設けてもよく、場合によっては、1段だけでもよい。
【0075】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、左右方向に互いに隣接している第1および第2の書架部分2、3から書架1を構成した。しかし、書架1は、左右方向に順次隣接している3個以上の書架部分から構成されていてもよく、さらに、前後方向に背中合せで互いに隣接する2個以上の書架部分から構成されていてもよい。また、互いに隣接する複数個の書架部分は、左右方向および/または前後方向に互いに隣接している必要は必ずしもなく、斜め方向に互いに隣接していてもよい。
【0076】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、第1および第2の書架部分2、3の互いに対応する棚板7、11、12のそれぞれの高さを互いにほぼ同一にした。しかし、第1および第2の書架部分2、3の互いに対応する棚板7、11、12のうちの少なくとも1個の棚板の高さは、互いに異なっていてもよい。
【0077】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、本発明を書架1に適用した。しかし、本発明は、陳列棚、商品棚、書類管理棚などの他の物品載置棚や、図書館の受付カウンタ台などのカウンタ台、テーブル、机などのような、各種の物品が載置される台に適用することができ、また、製造ラインにおける物流用読み取りアンテナとしても、使用することができる。したがって、本発明によるリーダ用アンテナは、書架1の棚板7、11、12のようなほぼ長方形状の基板に限らず、ほぼ正方形状、ほぼ平行四辺形状、ほぼ台形状、ほぼ長円形状、その他の各種の形状を有する基板などに組み込まれることができる。
【0078】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のアンテナA、Bのほぼループ形状のアンテナパターン31は、一回巻きのものとしたが、渦巻き状などに複数回巻回させた複数回巻きのものであってもよい。
【0079】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のアンテナA、Bの各アンテナパターン要素53、55、57、59、62、65〜67などの相互の間のつながり部位の大部分をあまり丸みのないほぼ尖った形状に構成した。しかし、これらのつながり部位の一箇所または複数箇所もしくは全部の箇所が、さらに丸みを帯びた形状に構成されていてもよい。
【0080】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、リーダライタ用アンテナ15の第1および第2のアンテナA、Bのそれぞれの屈曲部63の個数をそれぞれ4個にした。しかし、上記屈曲部63の個数は、4個である必要は必ずしもなくて、それよりも多いかあるいは少ないかの任意の個数であってよく、場合によっては、1個であってもよい。
【0081】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、第1の多孔性シート状部材41に単一の中央開口42を設けた。しかし、第1の多孔性シート状部材41に設けられる中央開口42は、1個である必要は必ずしもなく、2個以上であってもよい。例えば、図2に示す中央開口42においてほぼ奥行き方向yに沿って延在する1本または複数本の帯状部や、上記中央開口42においてほぼ間口方向xに沿って延在する1本または複数本の帯状部を、第1の多孔性シート状部材41に設けることなどによって、第1の多孔性シート状部材41に2個以上の中央開口42を設けることができる。
【0082】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、第1のループアンテナAの一対の端子部32a、32bおよび第2のループアンテナBの一対の端子部32a、32bのそれぞれを、棚板11の向って右側の縁部58付近に設けた。しかし、これら第1および第2のループアンテナA、Bの一対の端子部32a、32bのそれぞれは、棚板11の後縁部52、向って左側の縁部54、前縁部56および向って右側の縁部58のうちの任意の縁部付近に設けられることができる。例えば、図2に示す棚板11において、第2のループアンテナBの一対の端子部32a、32bが第1のループアンテナAの一対の端子部32a、32bとほぼ左右対称的になるように、第2のループアンテナBの一対の端子部32a、32bを向って左側の縁部54付近に設けてもよい。
【0083】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、第1の多孔性シート状部材41の開口率(すなわち、前記1(3)項における前記(キ)項に記載の開口率)を全体的に一様なものにした。しかし、第1の多孔性シート状部材41の開口率は、全体的に一様である必要は必ずしもなく、部分的に異なっていてもよい。例えば、既述の第1の実施例において、第1の多孔性シート状部材41の一部分(具体的には、既述の第2または第3の実施例において、第2の多孔性シート状部材71と重複する部位)の開口率を小さくすることによって、第1の多孔性シート状部材41を干渉防止用部材として用いるだけでもって、既述の第2または第3の実施例の場合と類似した効果を奏することもできる。
【0084】
また、既述の第2および第3の実施例においては、第2の多孔性シート状部材71の開口率を第1の多孔性シート状部材41の開口率とほぼ同一にするとともに全体的に一様なものにした。しかし、第2の多孔性シート状部材71の開口率は、第1の多孔性シート状部材41の開口率とほぼ同一である必要は必ずしもなく、また、全体的に一様である必要も必ずしもない。
【0085】
また、既述の第1〜第3の実施例においては、第1の多孔性シート状部材41を棚板11などのアンテナ形成対象部材の下面に配設した。しかし、第1の多孔性シート状部材41は、用途などに応じて、アンテナ形成対象部材の上面に配設することもでき、さらに、アンテナ形成対象部材の上面と下面とに上下一対配設することもできる。
【0086】
また、既述の第2および第3の実施例においては、第2の多孔性シート状部材71を棚板11などのアンテナ形成対象部材の下面に配設した。しかし、第2の多孔性シート状部材71は、用途などに応じて、アンテナ形成対象部材の上面に配設することができ、さらに、アンテナ形成対象部材の上面と下面とに上下一対配設することもできる。
【0087】
また、既述の第2および第3の実施例においては、第2の多孔性シート状部材71を第2の中間膜72を介して第1の多孔性シート状部材41に貼り合わせるようにした。しかし、第2の多孔性シート状部材71を適当な接着剤によって第1の多孔性シート状部材41に直接に接着することもできる。
【0088】
また、既述の第2および第3の実施例においては、第2の多孔性シート状部材71を第1の多孔性シート状部材41の外側面に配設した。しかし、第2の多孔性シート状部材71は、必要に応じて、第1の多孔性シート状部材41の内側面(具体的には、下側の板34と第1の多孔性シート状部材41との間)に配設することもでき、また、第1の多孔性シート状部材41とは反対側の面(具体的には、上側の板33の外側面)に配設することもできる。
【0089】
さらに、既述の第2および第3の実施例においては、第2の多孔性シート状部材71をリーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン31の長さ方向xにおける一方の端部付近(具体的には、向って左側の端部付近)のみに配設した。しかし、第2の多孔性シート状部材71は、リーダライタ用アンテナ15のアンテナパターン31の長さ方向xにおける他方の端部付近のみに配設することもでき、さらには、両方の端部付近(具体的には、向って左側および向って右側の左右両方の端部付近)のそれぞれに一対配設することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明を書架検索システムに適用した第1の実施例における書架の部分的に欠截した斜視図である。(実施例1)
【図2】図1の最上段の棚板の平面図である。(実施例1)
【図3】図2の棚板の一部分の拡大縦断図である。(実施例1)
【図4】図1の書籍類の拡大斜視図である。(実施例1)
【図5】図4の電子タグの拡大平面図である。(実施例1)
【図6】導電性で多孔性のシート状部材が取付けられていない遮蔽材なしの状態での、図2の棚板の平面図である。(実施例1)
【図7】図6の遮蔽材なしの棚板の一部分の拡大縦断面図である。(実施例1)
【図8】図6の遮蔽材なしの棚板の端子部付近の拡大斜視図である。(実施例1)
【図9】図8の遮蔽材なしの棚板の端子部付近の分解斜視図である。(実施例1)
【図10】本発明を書架検索システムに適用した第2の実施例における最上段の棚板の平面図である。(実施例2)
【図11】図10の棚板の一部分の拡大縦断面図である。(実施例2)
【図12】本発明を書架検索システムに適用した第3の実施例における最上段の棚板の平面図である。(実施例3)
【図13】図12の棚板の一部分の拡大縦断面図である。(実施例3)
【図14】第1〜第3の実施例のリーダライタ用アンテナの電子タグとの間口方向の位置に応じた上下方向における最大通信可能距離を示すグラフである。(実施例1〜3および参考例1)
【図15】第1〜第3の実施例のリーダライタ用アンテナの電子タグとの間口方向の位置に応じた奥行き方向における最大通信可能距離を示すグラフである。(実施例1〜3および参考例1)
【図16】参考例2のリーダライタ用アンテナについての図14と同様のグラフである。(参考例2)
【図17】参考例3のリーダライタ用アンテナについての図14と同様のグラフである。(参考例3)
【図18】参考例4のリーダライタ用アンテナについての図14と同様のグラフである。(参考例4)
【符号の説明】
【0091】
A 第1のループアンテナ
B 第2のループアンテナ
x 間口方向(第2の方向)
y 奥行き方向(第1の方向)
1 書架(物品載置棚)
7 最下段の棚板(アンテナ形成対象部材)
11 最上段の棚板(アンテナ形成対象部材)
12 2段目の棚板(アンテナ形成対象部材)
15 リーダライタ用アンテナ
31 ほぼループ形状のアンテナパターン
33 上側の板(ガラス板)
34 下側の板(ガラス板)
35 中間膜(絶縁層)
41 導電性で多孔性のシート状部材
42 中央開口
53 第1のパターン部分
55 第2のパターン部分
57 第3のパターン部分
59 第4のパターン部分
62 ベースライン部
63 屈曲部
65 第1の立上り部
66 第2の立上り部
71 導電性で多孔性の第2のシート状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ形成対象部材に形成されているアンテナパターンを有するリーダライタ用アンテナにおいて、
導電性で多孔性のシート状部材が、平面的に見て上記アンテナパターンの外周囲にほぼ沿ってループ形状に延在するように、上記アンテナ形成対象部材に設けられていることを特徴とするリーダ用アンテナ。
【請求項2】
上記多孔性シート状部材が、導電性線条体をメッシュ状に編組したメッシュ構造のものであることを特徴とする請求項1に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項3】
その中央開口を含む上記多孔性シート状部材の大きさに対する上記中央開口の大きさの比が20〜80%の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項4】
上記多孔性シート状部材の外周囲が、平面的に見て、上記リーダライタ用アンテナの上記アンテナパターンの外周囲またはその外側に沿って延在し、
上記多孔性シート状部材の内周囲が、平面的に見て、つぎの(a)項〜(d)項に記載の条件を満足していることを特徴とする請求項1、2または3に記載のリーダ用アンテナ。
(a)上記多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の第1の方向における第1の側の内周囲が、上記第1の方向とは直交する第2の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第1の方向における上記第1の側の最外周を延在しているパターン部分の内側端またはその内側にほぼ沿って延在していること、
(b)上記多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側の内周囲が、上記第2の方向にほぼ沿って延在している上記パターン部分のうちの上記第1の方向における上記第2の側の最外周を延在しているパターン部分の内側端またはその内側にほぼ沿って延在していること、
(c)上記多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における第1の側の内周囲が、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第2の方向における上記第1の側の最外周を延在しているパターン部分の外側端またはその外側にほぼ沿って延在していること、および
(d)上記多孔性シート状部材の上記内周囲のうちの上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側の内周囲が、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているパターン部分のうちの上記第2の方向における上記第2の側の最外周を延在しているパターン部分の外側端またはその外側にほぼ沿って延在していること。
【請求項5】
上記多孔性シート状部材が、平面的に見て、上記アンテナ形成対象部材の第2の方向にほぼ延在しているパターン部分のうちの上記第1の方向における上記第1の側の端部付近および上記第2の側の端部付近をそれぞれ延在しているパターン部分とほぼ重複していることを特徴とする請求項4に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項6】
上記多孔性シート状部材が、平面的に見て、上記第2の方向にほぼ沿って延在しているすべてのパターン部分とほぼ重複していることを特徴とする請求項4に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項7】
上記多孔性シート状部材が、平面的に見て、上記第1の方向にほぼ沿って延在しているいずれのパターン部分とも実質的に重複していないことを特徴とする請求項4、5または6に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項8】
上記多孔性シート状部材の小開孔のピッチが50〜2,000μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項9】
上記多孔性シート状部材の多数個の小開孔の1個当りの面積が4,000〜1,800,000μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項10】
上記多孔性シート状部材の、そこに形成されている多数個の小開孔についての開口率が70〜95%の範囲であることを特徴とする請求項1〜9のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項11】
上記アンテナパターンの端部のうちのいずれか1つの端部付近と重複している導電性で多孔性の第2のシート状部材が、上記アンテナ形成対象部材のうちの少なくとも上記いずれか1つの端部付近に対応する箇所に設けられていることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項12】
上記リーダ用アンテナが、互いに絶縁されかつ互いに重ね合わせられた状態で上記アンテナ形成対象部材にそれぞれ設けられている第1および第2のループアンテナを備えていることを特徴とする請求項1〜11のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項13】
上記第1および第2のループアンテナのそれぞれは、ほぼループ形状のアンテナパターンを備え、
上記第1のループアンテナの上記ほぼループ形状のアンテナパターンと、上記第2のループアンテナの上記ほぼループ形状のアンテナパターンとのそれぞれは、上記アンテナ形成対象部材の第1の方向における第1の側に設けられた第1のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向とは直交する第2の方向における第1の側に設けられた第2のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第1の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第3のパターン部分と、上記アンテナ形成対象部材の上記第2の方向における上記第1の側とは反対側の第2の側に設けられた第4のパターン部分とを備え、
上記第1のループアンテナの上記第3のパターン部分と、上記第2のループアンテナの上記第1のパターン部分とのそれぞれは、互いに間欠的に配置されている複数本のベースライン部と、これら複数本のベースライン部の間に設けられている少なくとも1個の屈曲部とをそれぞれ備え、
上記屈曲部のそれぞれは、第1の立上り部および第2の立上り部をそれぞれ備えるほぼ凸形状に構成され、
上記第1のループアンテナの上記第1の立上り部または上記第2の立上り部が上記第2のループアンテナのこれと対応する第1の立上り部とこれと対応する第2の立上り部との間に配置されるように、上記第1のループアンテナが上記第2のループアンテナに対して上記第2の方向にずれていることを特徴とする請求項12に記載のリーダ用アンテナ。
【請求項14】
上記リーダ用アンテナがリーダライタ用アンテナとして構成されていることを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項15】
上記アンテナ形成対象部材が、物品載置棚の棚板または物品載置台の台板であり、
上記棚板または上記台板の主要構成要素が、透明な非導電体であり、
上記第1および第2のアンテナの少なくともアンテナパターンのそれぞれが、断面径0.5mm以下のワイヤ導線から構成されていることを特徴とする請求項1〜14のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項16】
上記第1および第2のアンテナが、これらの間に絶縁層を介在させて、互いに積層された一対のガラス板の間に設けられていることを特徴とする請求項1〜15のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナ。
【請求項17】
請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナが形成されている棚板を上記アンテナ形成対象部材として備えていることを特徴とするアンテナ付き物品載置棚。
【請求項18】
上記アンテナ付き物品載置棚がアンテナ付き書架であることを特徴とする請求項17に記載のアンテナ付き物品載置棚。
【請求項19】
請求項1〜16のうちのいずれか1つに記載のリーダ用アンテナが形成されている台板を上記アンテナ形成対象部材として備えていることを特徴とするアンテナ付き物品載置台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−61002(P2008−61002A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236764(P2006−236764)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】