説明

リード加工金型及び半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置のリードを所望の形状に高精度に加工する。
【解決手段】リード加工金型100は、本体部51とリード54を有する半導体装置50が載置される受けダイ2と、本体部51の側面53を位置規制する側面位置規制ダイを有する。側面位置規制ダイは、本体部51の少なくとも1つの側面53である第1側面を位置規制する第1側面位置規制ダイ(曲げダイ3)を含む。第1側面位置規制ダイは、第1側面に近づく第1方向及び第1側面から遠ざかる第2方向に移動可能である。リード加工金型100は、第1側面位置規制ダイを第1方向及び第2方向に移動させる移動部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リード加工金型及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置には、本体部と、この本体部の側面より突出する複数のリードとを有するタイプのものがある。この種の半導体装置のリードの外形には、高く、安定した加工精度が要求される。半導体装置のリードは、例えば、プレス機能を有する設備に搭載したプレス金型により加工(例えば曲げ加工)することによって成形される。リードの外形の精度はこの金型による加工の精度に大きく依存する。以下、この金型をリード加工金型という。
【0003】
半導体装置のリードを加工するためのリード加工金型については、特許文献1〜4に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載されているように、リード加工金型によりリードを加工する際には、例えば、曲げダイ上に半導体装置を載置し、曲げダイの上面に形成された突起部(以降曲げダイ突起部という)により半導体装置の本体部の側面を位置決めする。
【0005】
なお、特許文献2には、下方に配置された一対のダイにそれぞれ形成された上向きの突条部と、上方に配置されたパッドに形成された下向きの突条部と、によりリードを挟んで保持した後で、上向きの一対の突条部の間隔を狭めることが記載されている。このため、特許文献2の技術は、上向きの一対の突条部の間隔を狭める動作によって半導体装置の側面の位置決めを行うものではない。
【0006】
また、特許文献3には、リードの曲げ加工の直前に、下方に配置された一対の曲げダイをスプリングの弾発力に抗して後退(互いに離間)させることが記載されている。このため、特許文献3の技術は、一対の曲げダイの動作によって半導体装置の側面の位置決めを行うものではない。
【0007】
また、特許文献4には、下型に一対の可動ダイを設けた構造が記載されている。この可動ダイは、半導体装置の側面に接するものではないため、半導体装置の側面の位置決めを行うものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−65080号公報
【特許文献2】実開昭62−84936号公報
【特許文献3】特開昭63−64350号公報
【特許文献4】実開平2−17853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
曲げダイ上に半導体装置を載置し、曲げダイ突起部により半導体装置の本体部の側面を位置決めする技術では、本体部と曲げダイ突起部との間に所定のクリアランスが設定される。このクリアランスが小さいほど位置決め時のばらつきが小さくなり、加工後のリードの外形の精度が向上する。
しかしながら、そのクリアランスを小さくするほど、半導体装置を曲げダイ上に正常に載置することが困難になる。例えば、半導体装置の一端部が曲げダイ突起部に乗り上げることにより半導体装置が傾いた状態で載置される場合がある。このため、異常な載置状態にてリード曲げ加工を行うことにより、リードを所望の形状に加工できない可能性が高まる。
【0010】
半導体装置のリードに対して曲げ加工以外の加工(例えば、切断加工)を行う場合にも、同様の課題がある。
【0011】
このように、半導体装置のリードを所望の形状に高精度に加工することは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、本体部と、前記本体部の側面から突出するリードと、を有する半導体装置の前記本体部の底面が載置される受けダイと、
前記本体部の各側面を位置規制する側面位置規制ダイと、
前記受けダイ上に前記本体部が載置され、前記側面位置規制ダイにより前記側面が位置決めされた状態で、前記リードを加工するパンチと、
を有し、
前記側面位置規制ダイは、前記本体部の少なくとも1つの側面である第1側面に近づく第1方向及び前記第1側面から遠ざかる第2方向に移動可能であり、前記第1側面を位置規制する第1側面位置規制ダイを含み、
当該リード加工金型は、更に、前記第1側面位置規制ダイを前記第1方向及び前記第2方向に移動させる移動部を有することを特徴とするリード加工金型を提供する。
【0013】
このリード加工金型によれば、半導体装置の第1側面に近づく第1方向及び第1側面から遠ざかる第2方向に移動可能な第1側面位置規制ダイを有しているので、第1側面位置規制ダイを第2方向に移動させた状態で、受けダイ上に半導体装置を載置することができる。つまり、第1側面と第1側面位置規制ダイとのクリアランスを広げた状態で、受けダイ上に半導体装置を載置することができる。これにより、例えば、この載置動作の際に半導体装置の位置バラツキが生じたり、或いは、半導体装置の本体部の寸法にバラツキが生じた場合であっても、半導体装置の第1側面が第1側面位置規制ダイに接触する可能性を低減できる。よって、半導体装置が異常な姿勢(例えば傾いた姿勢)で受けダイ上に載置されてしまう可能性を低減でき、半導体装置を正常な姿勢で載置した状態でリードを加工することができるので、リードを所望の形状に加工しやすくなる。
更に、受けダイ上に半導体装置が載置された状態において、移動部により第1側面位置規制ダイを第1方向に移動させることによって、この第1側面位置規制ダイにより半導体装置の第1側面を高精度に位置決めすることができる。そして、このように半導体装置の第1側面を高精度に位置決めした状態でリードを加工することにより、加工後のリードの外形の精度を向上させることができる。
要するに、このリード加工金型によれば、半導体装置のリードを所望の形状に高精度に加工することができる。
【0014】
また、本発明は、本体部と、前記本体部の側面から突出するリードと、を有する半導体装置の前記本体部の底面が載置される受けダイと、
前記本体部の各側面を位置規制する側面位置規制ダイと、
前記受けダイ上に前記本体部が載置され、前記側面位置規制ダイにより前記側面が位置決めされた状態で、前記リードを加工するパンチと、
を有し、
前記側面位置規制ダイは、前記本体部の少なくとも1つの側面である第1側面に近づく第1方向及び前記第1側面から遠ざかる第2方向に移動可能であり、前記第1側面を位置規制する第1側面位置規制ダイを含み、
当該リード加工金型は、更に、前記第1側面位置規制ダイを前記第1方向及び前記第2方向に移動させる移動部を有し、
前記第1側面位置規制ダイは、前記受けダイ上に前記半導体装置が載置された状態において前記第1方向に移動されることにより前記第1側面を位置決めするリード加工金型を準備する工程と、
前記リード加工金型の前記受けダイ上に前記半導体装置を載置する工程と、
前記第1側面位置規制ダイを前記第1方向に移動させて前記第1側面を位置決めする工程と、
前記リードを加工する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半導体装置のリードを所望の形状に高精度に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係るリード加工金型の断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るリード加工金型の平面図である。
【図3】半導体装置を受けダイ上に載置する動作を説明するための断面図である。
【図4】半導体装置の側面を位置決めする動作を説明するための断面図である。
【図5】半導体装置のリードを曲げ加工する動作を説明するための断面図である。
【図6】第2の実施形態に係るリード加工金型の要部を示す断面図である。
【図7】比較例に係るリード加工金型の断面図である。
【図8】比較例に係るリード加工金型の問題点を説明するための断面図である。
【図9】比較例に係るリード加工金型の問題点を説明するための断面図である。
【図10】比較例に係るリード加工金型の問題点を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0018】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係るリード加工金型100の断面図、図2はリード加工金型100の平面図である。なお、図1は図2のA−A線に沿った断面図である。図3は半導体装置50を受けダイ2上に載置する動作を説明するための断面図である。図4は半導体装置50の側面53を位置決めする動作を説明するための断面図である。図5は半導体装置50のリード54を曲げ加工する動作を説明するための断面図である。
【0019】
本実施形態に係るリード加工金型100は、本体部51と、本体部51の側面53から突出するリード54と、を有する半導体装置50の本体部51の底面55が載置される受けダイ2と、本体部51の各側面53を位置規制する側面位置規制ダイと、受けダイ2上に本体部51が載置され、側面位置規制ダイにより側面53が位置決めされた状態で、リード54を加工するパンチ(例えば、曲げパンチ8)と、を有し、側面位置規制ダイは、本体部51の少なくとも1つの側面53である第1側面に近づく第1方向(図4の矢印B方向)及び第1側面から遠ざかる第2方向(図3の矢印C方向)に移動可能であり、第1側面を位置規制する第1側面位置規制ダイ(曲げダイ3)を含み、当該リード加工金型100は、更に、第1側面位置規制ダイを第1方向及び第2方向に移動させる移動部(例えば、シリンダ4及びコイルバネ6により構成される)を有する。そして、第1側面位置規制ダイは、受けダイ2上に半導体装置50が載置された状態において第1側面に近づく方向に移動されることにより第1側面を位置規制(位置決め)する。以下、詳細に説明する。
【0020】
リード加工金型100による加工対象の半導体装置50は、例えば、封止樹脂52により封止された本体部51と、この本体部51の側面53より外方に延出する複数のリード54と、を有している。本体部51は、平面視矩形状(例えば正方形状)に形成されており、本体部51の各側面53(4つの側面53)より、それぞれ複数本ずつのリード54が突出している。この半導体装置50は、例えば、QFP(Quad Flat Package)である。
【0021】
リード加工金型100は、下型ホルダ1を有し、この下型ホルダ1上には、受けダイ2と、複数の曲げダイ3と、複数のシリンダ4と、ダイホルダ7と、が設けられている。更に、リード加工金型100は、受けダイ2と各曲げダイ3との間に介装されたコイルバネ6を有している。
【0022】
受けダイ2は、その上面2bにて、半導体装置50の本体部51の底面55を支持する。例えば、上面2bは平坦に形成され、上面2bの一部分の上には、平板状のスペーサ部材5が設けられている。受けダイ2は、例えば、このスペーサ部材5を介して、半導体装置50の底面55を支持する。このため、例えば、図2に示すように、受けダイ2により本体部51を支持した状態で、上面2bの一部分と底面55との間には、隙間が生じるようになっている。なお、スペーサ部材5は、例えば、半導体装置50の底面55の4隅にそれぞれ対応して設けられている。
【0023】
受けダイ2は、半導体装置50の本体部51と同じく平面視矩形状(例えば正方形状)に形成されている。受けダイ2の平面寸法(後述する上部21の平面寸法)は、本体部51の底面55の平面寸法とほぼ同じ寸法に設定されている。
【0024】
受けダイ2は、例えば、互いに上下に連続一体に形成された上部21と下部22とを有している。上部21及び下部22は、例えば、それぞれ直方体形状(例えば立方体形状)に形成されている。例えば、平面視において、上部21の中心と下部22の中心とが一致している。更に、上部21の4つの側面21aの各々は、下部22の4つの側面22aと1対1で対応しており、互いに対応する側面21aと側面22aとは、例えば互いに平行となっている。例えば、下部22は、上部21よりも平面寸法が小さく、上部21と下部22との境界には下向きの(水平な)段差面23が形成されている。
【0025】
なお、説明を簡単にするため、互いに同じ方向を向く側面21aと側面22aとを合わせたものが、受けダイ2の1つの側面2aであるものとする。すなわち、受けダイ2は、4つの側面2aを有している。
【0026】
このような受けダイ2は、その下部22が下型ホルダ1の上面に固定されていることにより、下型ホルダ1上に固定されている。
【0027】
リード加工金型100は、例えば、4つの曲げダイ3を受けダイ2の周囲に有している。これら曲げダイ3は、受けダイ2の4つの側面2aの各々と1対1で対応して配置されている。各曲げダイ3は、それぞれ対応する側面2aと対向している。
なお、これら曲げダイ3は、半導体装置50の4つの側面53の各々と1対1で対応して配置されているとも言える。
【0028】
各曲げダイ3は、受けダイ2とは別体に形成され、それぞれ独立して、受けダイ2の対応する側面2aに対して近づく方向及び側面2aから遠ざかる方向に水平面内で直線的に移動可能となっている。これら曲げダイ3は、半導体装置50の対応する側面53に対して近づく方向及び側面53から遠ざかる方向に水平面内で直線的に移動可能となっているとも言える。
以下、曲げダイ3の移動方向のうち、受けダイ2の対応する側面2aに対して近づく方向(半導体装置50の対応する側面53に対して近づく方向)を、第1方向という場合がある。同様に、曲げダイ3の移動方向のうち、受けダイ2の対応する側面2aから遠ざかる方向(半導体装置50の対応する側面53から遠ざかる方向)を、第2方向という場合がある。
なお、各曲げダイ3の移動方向(第1方向及び第2方向)は、受けダイ2上に半導体装置50が配置された状態(ただし加工前)において、それぞれ対応する側面53からのリード54の突出方向と同じである。
【0029】
例えば、曲げダイ3の下面は平坦且つ水平に形成され、下型ホルダ1の上面も平坦且つ水平に形成され、曲げダイ3は、下型ホルダ1の上面に対して、該曲げダイ3の移動方向に摺動(スライド移動)するようになっていることが挙げられる。
なお、曲げダイ3の下面と下型ホルダ1の上面との何れか一方には、曲げダイ3の移動方向に延在する溝が形成され、何れか他方には、曲げダイ3の移動方向に延在し、この溝内に嵌入された突条部が形成され、この突条部が溝によって曲げダイ3の移動方向にガイドされるようになっていても良い。
【0030】
曲げダイ3は、例えば、本体部31と、この本体部31の下部から受けダイ2側に向けて水平に突出する水平突出部(突出部)32と、本体部31から上方に突出する突起部33と、を有している。本体部31及び水平突出部32は、例えば、それぞれ直方体形状に形成されている。
【0031】
水平突出部32は、本体部31における対応する側面2a側の側面31aから、受けダイ2側に突出している。水平突出部32の上面32bは、水平に形成されている。この上面32bは、曲げダイ3が第1及び第2方向に移動する際に、受けダイ2の段差面(ガイド面)23によりガイドされるようになっている。
【0032】
水平突出部32において、対応する側面22a側を向く側面32aと、当該側面22aとは、互いに平行に対向している。そして、これら側面22aと側面32aとの間には、圧縮型のコイルバネ6が圧縮状態で介装されている。
すなわち、リード加工金型100は、例えば、4つのコイルバネ6を有し、各コイルバネ6は、各曲げダイ3と1対1で対応している。各コイルバネ6は、対応する曲げダイ3を受けダイ2から遠ざかる方向(つまり第2方向)に付勢しており、この付勢力により、曲げダイ3を第2方向に移動させることが可能となっている。
【0033】
一方、本体部31における側面31aとは反対側の側面31cは、シリンダ4によって第1方向に押されるようになっている。シリンダ4が曲げダイ3を第1方向に押すことにより、曲げダイ3は、コイルバネ6の付勢に抗して、第1方向に移動される。
なお、シリンダ4により曲げダイ3を第1方向に押す力が解除されるか、又は、その力がある程度以上弱くなったときには、曲げダイ3は、コイルバネ6の付勢に従って、第2方向に移動される。
【0034】
曲げダイ3の本体部31において、対応する側面21a側を向く側面31aと、当該側面21aとは、互いに平行に対向している。シリンダ4のストローク量は、側面31aが対応する側面21aに接触する寸前の位置で、第1方向への曲げダイ3の移動が停止するような量に設定されている。すなわち、シリンダ4は、曲げダイ3を第1方向に移動させた際に、曲げダイ3が受けダイ2の側面21aに対して僅かなクリアランスを有する位置で停止させる。なお、側面31aが対応する側面21aに接触することによって、第1方向への曲げダイ3の移動が規制されて、該曲げダイ3の移動が停止するようにしても良い。
【0035】
曲げダイ3の突起部33における受けダイ2側の面33aは、受けダイ2上に半導体装置50が載置された状態で、曲げダイ3が第1方向へ移動されることにより、当該曲げダイ3と対応する側面53を位置決めする。面33aは、例えば、側面53の一部分(例えばリード54よりも下側の部分)と互いに平行となる角度に形成されている。この面33aは、側面53を側方から支える。
また、突起部33(例えば、突起部33の上面)は、リード54の曲げ加工時にリード54と接触する。
【0036】
リード加工金型100は、例えば、4つのシリンダ4を有し、各シリンダ4は、各曲げダイ3と1対1で対応して配置されている。
【0037】
シリンダ4は、下型ホルダ1上に固定されたシリンダ容器41と、このシリンダ容器41内で水平方向に直線状に往復移動可能なピストン42と、このピストン42に一端が連結され、他端がシリンダ容器41外に位置するピストンロッド43と、シリンダ容器41外に位置し、ピストンロッド43の他端に固定された曲げダイ押さえ部44と、を有している。
シリンダ4は、対応する曲げダイ3の移動方向と、ピストン42、ピストンロッド43及び曲げダイ押さえ部44の移動方向と、が一致するような向きに配置されている。
【0038】
シリンダ容器41からのピストンロッド43の突出量が大きくなるようにピストン42を移動させることにより、曲げダイ押さえ部44によって、対応する曲げダイ3の側面31cを受けダイ2側に押すようになっている。
【0039】
シリンダ4は、例えば、エアシリンダとすることができる。この場合、シリンダ容器41には、図示しないエア供給装置からシリンダ容器41内へエア(乾燥空気)を供給するためのエア供給口45が形成されている。そして、シリンダ容器41内へエアを供給することにより、ピストンロッド43の突出量を増大させることができる。
【0040】
曲げダイ押さえ部44は、例えば、平板状に形成され、ピストンロッド43の延在方向に対して直交するように配置されている。ピストンロッド43の他端は、曲げダイ押さえ部44の一方の板面の中央に固定されている。曲げダイ押さえ部44の他方の板面は、対応する曲げダイ3の側面31cに接している。
【0041】
各曲げダイ3と対応するシリンダ4及びコイルバネ6により、曲げダイ3を第1方向及び第2方向に移動させる移動部が構成されている 。
【0042】
なお、ピストンロッド43とコイルバネ6とは、互いに同軸上に配置されている。すなわち、コイルバネ6の軸心の延長上にピストンロッド43が配置され、シリンダ4による曲げダイ3の押し込み方向と、コイルバネ6が曲げダイ3に対して反発力を付与する方向とが、一致している。
【0043】
リード加工金型100は、更に、ダイホルダ7を有している。このダイホルダ7は、例えば、下型ホルダ1上に固定されている。
【0044】
このダイホルダ7には、保持孔71が形成され、この保持孔71内には、上述した各構成要素のうち下型ホルダ1を除く構成要素、すなわち受けダイ2、各コイルバネ6、各曲げダイ3及び各シリンダ4が配置されている。
【0045】
保持孔71は、例えば、図2に示すように、それぞれ水平方向に直線状に延在し互いに中央部で交差する第1孔71aと第2孔71bとからなる。平面視における保持孔71の中央部(第1孔71aと第2孔71bとの交差部)には、受けダイ2が配置され、その四方の各々に、曲げダイ3、コイルバネ6及びシリンダ4が1組ずつ配置されている。
【0046】
第1及び第2方向に対して直交する方向における曲げダイ3の本体部31の水平幅、並びに、第1及び第2方向に対して直交する方向における曲げダイ押さえ部44の水平幅は、同方向における第1孔71a並びに第2孔71bの水平幅とほぼ等しくなっている。このため、保持孔71は、曲げダイ3及び曲げダイ押さえ部44が第1及び第2方向に移動する際のガイドを兼ねる。すなわち、第1孔71a及び第2孔71bのそれぞれにおいて、第1及び第2方向と平行に延在する内側面71cは、曲げダイ3及び曲げダイ押さえ部44を第1及び第2方向にガイドするガイド部である。なお、内側面71cは、曲げダイ3において、側面53に対して直交する側面をガイドする。
【0047】
図2に示すように、各曲げダイ3が第1方向に移動された際に、隣り合う曲げダイ3の水平突出部32が互いに干渉しないように、水平突出部32の幅(第1及び第2方向に対して直交する方向における水平幅)は本体部31の幅よりも小さく設定されている。
【0048】
以上において、受けダイ2、各曲げダイ3及びダイホルダ7により下型が構成されている。
【0049】
リード加工金型100は、更に、下型と対向するように下型の上方に配置された上型を有している。なお、上型については、以下に説明する曲げパンチ8のみを図示し、上型におけるその他の構成は図示を省略している。
この上型は、例えば、各曲げダイ3とそれぞれ対向するように配置された曲げパンチ8(図5)を有している。
【0050】
リード加工金型100は、更に、上型と下型とを上下に相対移動させるプレス装置(図示略)を有している。このプレス装置は、例えば、上型を下型に対して相対的に上下動させる。
上型を下死点まで下降させることにより、各曲げパンチ8は、受けダイ2及び対応する曲げダイ3との協働により、リード54を曲げ加工する。なお、各曲げパンチ8は、半導体装置50の対応する側面53から突出する複数のリード54を一括して曲げ加工する。
【0051】
なお、シリンダ4による曲げダイ3の動作を正常に実施できるように、以下の条件を満たすことが好ましい。
(1)エア供給によるピストンロッド43の推力は、その同軸上に配置されたコイルバネ6を最大に圧縮した時にコイルバネ6に発生する反発力よりも十分に大きい。
(2)曲げダイ3とダイホルダ7の内側面71cとのクリアランスは可能な限りの最小値とし、曲げダイ3は、その両側の内側面71cに対して平行にスライド動作する。
(3)ピストンロッド43の伸長時の所定の停止位置(図4)において曲げダイ3の側面31aと受けダイ2の側面21aとのクリアランスは可能な限りの最小値とし、リード曲げ加工時の荷重により、曲げダイ3が停止位置を超えて受けダイ2の方向に動作することが規制される。
(4)受けダイ2の段差面23と曲げダイ3の水平突出部32の上面32bとのクリアランスは可能な限りの最小値とし、曲げダイ3のスライド動作時に受けダイ2が下型ホルダ1側に曲げダイ3を押さえ付けることにより曲げダイ3の傾きを抑制し、且つ、曲げダイ3が上方へ持ち上がってしまうことを抑制する。
【0052】
なお、リード加工金型100は、図示しない制御部を備え、この制御部により、シリンダ4へのエア供給動作の制御、並びに、プレス装置の動作制御が行われる。
【0053】
次に、動作を説明する。
この動作説明は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の説明を兼ねる。この製造方法は、上述した構成のリード加工金型100を準備する工程と、このリード加工金型100の受けダイ2上に半導体装置50を載置する工程と、第1側面位置規制ダイ(例えば、曲げダイ3)を第1方向に移動させて第1側面を位置決めする工程と、リード54を加工する工程と、を有する。
以下、詳細に説明する。
【0054】
先ず、予め、プレス装置により上型を(例えば上死点まで)上昇させておく。また、予め、各シリンダ4のシリンダ容器41内のエア圧力を低下させて、各曲げダイ3を第2方向に移動させ、曲げダイ3と受けダイ2とを離間させておく(図3の状態)。
【0055】
次に、受けダイ2上に半導体装置50を載置する。このとき、半導体装置50の各側面53からのリード54の突出方向が、それぞれ対向する曲げダイ3の移動方向とほぼ一致する。
受けダイ2上への半導体装置50の載置は、例えば、自動搬送装置(図示略)を用いて行われるが、その搬送精度には、ある程度の誤差が生じる。また、半導体装置50の製造バラツキにより、本体部51の寸法にもある程度の誤差が存在する。このため、受けダイ2と、半導体装置50の各側面53と、の相対的な位置関係には、バラツキが生じ得る。
しかし、予め、各曲げダイ3を第2方向、すなわち、受けダイ2から遠ざかる方向に待避させているため、半導体装置50を受けダイ2上へ載置する際には、半導体装置50と受けダイ2の突起部33とのクリアランスが曲げ加工時と比べて広い状態となっている。このため、半導体装置50を受けダイ2上へ載置する際に、半導体装置50と受けダイ2の突起部33との干渉が好適に抑制される。よって、受けダイ2上で半導体装置50が傾いてしまったり、曲げダイ3の突起部33が半導体装置50のとの接触により摩耗してしまったりすることが抑制される。
【0056】
次に、各シリンダ4のシリンダ容器41内に、互いに同期してエアを供給し、各ピストンロッド43を互いに同一のストローク量だけシリンダ容器41から突出させる。これにより、各曲げダイ3が、互いに同期して受けダイ2側(第1方向)へ移動する。その結果、図4に示すように、各側面53が、それぞれ対応する突起部33の面33aにより位置決めされる。
よって、図3の段階での半導体装置50の各側面53の位置が、曲げ加工時の最適な位置からずれていた場合には、各側面53がそれぞれ対応する突起部33の面33aにより押されて位置補正される。この結果、図4の段階では、各側面53の位置を、曲げ加工時の最適な位置にすることができる。つまり、半導体装置50の姿勢(位置)を、曲げ加工時の所望の姿勢(位置)とすることができる。
【0057】
次に、図5に示すように、プレス装置により上型を下死点まで下降させる。上型が下死点に位置するときには、曲げパンチ8と対応する曲げダイ3とが図5に示すような所定の相対位置関係となる。これにより、各曲げパンチ8は、各曲げダイ3及び受けダイ2との協働により、半導体装置50のリード54を曲げ加工する。ここで、各曲げパンチ8は、それぞれ対応する側面53から突出する複数のリード54に対して、一括して曲げ加工を行う。リード54は、例えば、突起部33の上面と、曲げダイ3の本体部31の上面31bと、に接する形状に曲げ加工され、図5に示すようなガルウイング形状となる。すなわち、曲げパンチ8は、リード54が曲げダイ3の外面に沿う形状となるようにリード54を曲げ加工する。
半導体装置50の姿勢(位置)は、予め、曲げ加工時の所望の姿勢(位置)となっているので、各リード54を所望の形状に高精度に加工することができる。
【0058】
リード54の加工後に、プレス装置により上型が上昇させられ、更に、受けダイ2上の半導体装置が自動搬送装置により受けダイ2上より搬出される。
その後、各シリンダ4のシリンダ容器41へのエア供給を停止する。すると、各コイルバネ6の付勢によって各曲げダイ3が第2方向へと、図3に示す位置まで移動する。このように、コイルバネ(弾性体)6は、シリンダ4の駆動を停止させた際に(或いはシリンダ4の駆動力を弱めた際に)、曲げダイ3を第2方向に移動させる。
【0059】
次に、本実施形態の効果を詳しく説明する前に、比較例について説明する。
【0060】
図7は比較例に係るリード加工金型の断面図であり、図8乃至図10は比較例に係るリード加工金型の問題点を説明するための断面図である。
【0061】
図7に示すように、比較例に係るリード加工金型は、上記の実施形態に係るリード加工金型100における受けダイ2と各曲げダイ3とを一体化させたものに相当する曲げダイ1000を有している。この曲げダイ1000は、上記の実施形態における突起部33に相当する突起部1033を有している。
【0062】
図7の構成の曲げダイ1000の場合、半導体装置50の本体部51と突起部1033との間のクリアランスが小さいほど、半導体装置50の位置決め時のばらつきが小さくなり、加工後のリード54の外形の精度が向上する。
しかしながら、そのクリアランスを小さくするほど、半導体装置50を曲げダイ1000上に正常に載置することが困難になる。このため、クリアランスがある程度大きくなるように曲げダイ1000を設計する代わりに、リード54の外形の精度はある程度犠牲にすることが考えられる。
しかし、その場合、図8(a)に示すように、半導体装置50を曲げダイ1000の中心に位置決めできず、例えば、左右のクリアランスC2、C3が互いに異なる状態となる場合がある。その結果、図8(b)に示すように、加工後のリード54の形状が、左右でばらついてしまう。特に、リード54において平坦に加工される部位の長さに直接的な影響が生じる。
【0063】
理想的にはクリアランスはゼロであるが、半導体装置50の製造過程で本体部51の大きさがばらつくことに加えて、半導体装置を曲げダイ上に載置する際の位置のばらつきも発生するため、クリアランスはこれらを考慮した上での最小値とすることが現実的な理想である。
しかし、クリアランスが小さくなるに従い、前述のバラツキの許容量も小さくなり、結果として異常な載置状態が発生しやすくなる。
具体的には、例えば、図9(a)に示すように、半導体装置50が曲げダイ1000上で傾くように載置される結果、図9(b)に示すように、加工後のリード54の形状が異常になることがある。
或いは、極端な場合には、本体部51が突起部1033へ乗り上げた状態で、本体部51を曲げパンチ8により噛みこむことによって、半導体装置50や金型部品(曲げパンチ8、曲げダイ1000など)を破損させる事態に繋がる場合がある。
また、載置状態の異常が発生しない場合においても、図10(a)に示すように本体部51が突起部1033に接触後、該本体部51が突起部1033によりガイドされながら載置されることが繰り返されると、次第に半導体装置50と突起部1033との摩擦により突起部1033の磨耗が進む。すなわち、例えば、図10(b)に示すように、当初は実線で示される位置にあった突起部1033の内面1033aが、一点鎖線で示される位置に後退する。その結果、クリアランスが徐々に拡大し、リード54の外形寸法の異常が発生しやすくなる。
【0064】
以上より、比較例に係るリード加工金型の場合、本体部51と突起部1033とのクリアランスを小さく設定すると、品質異常やランニングコスト増加のリスクが大きいため、このリスクを回避する為にはクリアランスを大きくせざるを得ない。
【0065】
これに対し、以上のような第1の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
【0066】
半導体装置50の側面53に近づく第1方向、及び、側面53から遠ざかる第2方向に移動可能な曲げダイ3を有しているので、曲げダイ3を第2方向に移動させた状態で、受けダイ2上に半導体装置50を載置することができる。つまり、側面53と曲げダイ3とのクリアランスを曲げ加工時よりも広げた状態で、受けダイ2上に半導体装置50を載置することができる。これにより、例えば、この載置動作の際に半導体装置50の位置バラツキが生じたり、或いは、半導体装置50の本体部51の寸法にバラツキが存在する場合であっても、半導体装置50の側面53が曲げダイ3に接触する可能性を低減できる。
よって、半導体装置50が異常な姿勢(例えば傾いた姿勢)で受けダイ上2に載置されてしまう可能性を低減でき、半導体装置50を正常な姿勢で載置した状態でリード54を加工することができるので、リード54を所望の形状に加工しやすくなる。つまり、図9に示すような問題の発生が抑制される。
また、半導体装置50を受けダイ2上に載置する際に半導体装置50が曲げダイ3の突起部33に接触することが抑制されるため、図10に示すような問題の発生も抑制される。その結果として、リード加工金型を長期的に使用しても、半導体装置50の位置決め精度を安定的に高精度に維持することができる。
更に、受けダイ2上に半導体装置50が載置された状態において、シリンダ4により曲げダイ3を第1方向に移動させることによって、この曲げダイ3により半導体装置50の側面53を高精度に位置決めすることができる。すなわち、曲げダイ3の面33aと側面53とのクリアランスを極めて小さくすることが可能である。そして、このように半導体装置50の側面53を高精度に位置決めした状態でリード54を加工することにより、加工後のリード54の外形の精度を向上させることができる。つまり、図8に示すような問題の発生も抑制される。
このように、本実施形態に係るリード加工金型によれば、半導体装置50をダイ(受けダイ2)上に載置する際の異常を抑制することにより、半導体装置50の位置決め精度を向上させることができ、安定して、半導体装置50のリード54を所望の形状に高精度に加工することができる。
【0067】
なお、曲げダイ3が第1方向に動作したときに突起部33の面33aが側面53に接触することはあるが、その接触は面接触であり、面33aの磨耗量は極めて小さい。このことからも、図10に示すような問題の発生が抑制される。その結果として、リード加工金型を長期的に使用しても、半導体装置50の位置決め精度を安定的に高精度に維持することができる。
【0068】
半導体装置50のリード54の外形は、半導体装置50を基板に実装するときの品質に大きな影響を及ぼすため、リード54の外形には、高く、安定した加工精度が要求されている。特に、半導体装置50が車載用の場合、は数μm(マイクロメータ)レベルの精度管理が要求される。本実施形態によれば、このような高い精度が要求される半導体装置50も容易に、且つ、安定的に製造することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態では、曲げダイ3を第1方向に移動させる機構として、シリンダ4を採用している。このため、複雑な回路や配線等は不要であるため、例えば、モータ等の電気動力源を使用する機構を採用する場合と比べて、リード加工金型の装置構成を簡略化でき、その省スペース化、並びに低コスト化も可能となる。特に、シリンダ4として、空圧流体動力源を使用するエアシリンダを適用しているため、顕著に、装置構成の簡略化、省スペース化、並びに低コスト化が可能である。
【0070】
また、本実施形態では、半導体装置50を受けダイ2上に搭載した後で曲げダイ3の移動により半導体装置50の位置補正が可能であるため、載置時の位置ばらつきに対する許容範囲が広い(半導体装置50の搭載精度がさほど高精度ではなくても良い)。このため、半導体装置50の自動搬送装置として、高精度な搬送が可能で高価格なサーボモータ等を必ずしも採用する必要が無く、例えば、比較的安価なシリンダ等を採用することができる。
【0071】
なお、受けダイ2と曲げダイ3との間の空間には広いスペースを確保することが困難であるが、この空間に弾性体(例えば、圧縮型のコイルバネ6)を介装し、この弾性体の付勢力により曲げダイ3を第2方向に移動させるようにしたので、この狭い空間を有効活用することができる。
【0072】
また、本実施形態では、半導体装置50の各側面53毎に、個別に、曲げダイ3と移動部(シリンダ4及びコイルバネ6)とを有する。このため、半導体装置50の各側面53について、半導体装置50の搭載時における突起部33との接触を抑制でき、且つ、曲げダイ3の移動により高精度に位置決めすることができる。
【0073】
〔第2の実施形態〕
図6は第2の実施形態に係るリード加工金型100の要部を示す断面図である。
【0074】
半導体装置50の製造過程において、本体部51の成型に用いられる樹脂封止金型や樹脂材料の変化により本体部51の大きさが変化した場合、これまでは曲げダイの再製作や再加工を実施し、本体部51と曲げダイの突起部とのクリアランスを再調節する必要があった。
このような事情に鑑み、第2の実施形態では、このクリアランス調節を容易に実施することが可能な構成のリード加工金型100について説明する。
【0075】
図6に示すように、本実施形態の場合、受けダイは、受けダイ本体部(例えば、上部21)と、受けダイ本体部の側面21aに着脱自在に構成され、且つ、受けダイの側面(本実施形態の場合、側面91c)を含む着脱部91と、受けダイ本体部と着脱部91との間に介装される介装部材(調節用プレート部材92)と、を有している。そして、複数種類の厚みの介装部材のうち選択された介装部材を受けダイ本体部と着脱部91との間に介装することにより、或いは、受けダイ本体部と着脱部91との間に介装される介装部材の枚数を選択することにより、受けダイ本体部の側面21aから受けダイの側面91cまでの距離を選択できるようになっている。
なお、着脱部91及び介装部材は、例えば、上部21の何れか1つの側面21aに設けることができる。或いは、着脱部91及び介装部材は、上部21の互いに対向する2つの側面21aにそれぞれ設けることができる。
本実施形態の場合、上部21の水平方向寸法は、上記の第1の実施形態と比べて、取り付けられる着脱部91の分だけ小さく設定されている。
【0076】
着脱部91は、例えば、矩形状の平板状に形成され、その上下寸法及び幅寸法(第1及び第2方向に対して直交する方向における水平幅)は、上部21の上下寸法及び幅寸法と同じに設定されている。
着脱部91は、例えば、ボルト93を用いて、上部21の側面21aに着脱することができるようになっている。
着脱部91には、ボルト93が挿通される挿通孔91bと、この挿通孔91bと連通し、ボルト93の頭部を収容する凹部91aと、が形成されている。
【0077】
また、調節用プレート部材92は、着脱部91と同様の矩形状の平板状に形成され、その上下寸法及び幅寸法(第1及び第2方向に対して直交する方向における水平幅)は、着脱部91のそれと同じとなっている。
調節用プレート部材92には、ボルト93が挿通される挿通孔92aが、着脱部91の挿通孔91bと対応する位置に形成されている。
【0078】
上部21の側面21aには、ボルト93が螺入される雌ねじ21bが形成されている。
【0079】
図6に示すように、着脱部91の凹部91aと、挿通孔91bと、調節用プレート部材92の挿通孔92aと、をこの順に通して、ボルト93を雌ねじ21bに螺入することにより、調節用プレート部材92が上部21と着脱部91との間に介装された状態で、着脱部91を上部21に取り付けることができる。この状態で、調節用プレート部材92の両面は、着脱部91と、上部21の側面21aと、にそれぞれ接する。なお、ボルト93を雌ねじ21bから取り外すことにより、調節用プレート部材92及び着脱部91を上部21から取り外すことができる。
【0080】
ここで、調節用プレート部材92としては、例えば、互いに厚みが異なる複数種類のものが準備されている。そして、そのうち選択された何れか(例えば何れか1枚或いは複数枚)の調節用プレート部材92を上部21と着脱部91との間に介装できるように、ボルト93の長さ及び雌ねじ21bの深さが設定されている。
従って、複数種類の厚みの調節用プレート部材92のうち所望の厚みの調節用プレート部材92を上部21と着脱部91との間に介装することにより、受けダイ本体部の側面21aから受けダイの側面91cまでの距離を選択できるようになっている。
或いは、同じ厚みの調節用プレート部材92を複数枚準備しておき、上部21と着脱部91との間に介装される調節用プレート部材92の枚数を選択することにより、受けダイ本体部の側面21aから受けダイの側面91cまでの距離を選択できるようになっていても良い。
【0081】
なお、何れの場合にも、上部21と着脱部91との間に調節用プレート部材92を1枚も介装せずに、リード加工金型100を用いることも可能である。この場合、着脱部91の凹部91aと、挿通孔91bと、をこの順に通して、ボルト93を雌ねじ21bに螺入することにより、着脱部91を上部21に取り付ける。この状態で、着脱部91の片面は、上部21の側面21aに接する。なお、ボルト93を雌ねじ21bから取り外すことにより、着脱部91を上部21から取り外すことができる。
【0082】
例えば、上部21と着脱部91との間に調節用プレート部材92を1枚も介装していない状態と比べて、側面53と突起部33との水平方向におけるクリアランスC1(図6)を0.01mm広げたい場合を考える。この場合、曲げダイ3を第1方向に移動させる際のシリンダ4のピストンロッド43のストローク量について調整(この場合、例えば、0.01mmだけ小さくなるように調整)する。
また、着脱部91を上部21から取り外した後、着脱部91と厚みが0.01mmの調節用プレート部材92とを上部21に取り付けると良い(図6の状態)。
【0083】
以上の第2の実施形態によれば、容易、低コスト且つ短時間で、クリアランスC1を所望の値に調節することができる。
【0084】
上記の各実施形態では、リード加工金型100がリード54を曲げ加工する例を説明したが、リード54を切断加工しても良い。この場合、リード加工金型100は、曲げパンチ8の代わりに、リード54を切断加工する切断パンチを有する。
【0085】
上記の各実施形態では、半導体装置50の各側面53毎に、可動式の曲げダイ3を設ける例を説明したが、半導体装置50の少なくとも何れか1つ以上の側面53と対応して、可動式の曲げダイ3が設けられ、その曲げダイ3と対応して移動部が設けられていればよい。なお、互いに隣り合う2つ以上の側面53とそれぞれ対応する曲げダイ3を設け、各曲げダイ3と対応して移動部を設けることが好ましい。
【0086】
また、上記の各実施形態に係るリード加工金型100は、半導体装置50を受けダイ2上に載置し位置決めした後に、半導体装置50の本体部51の上面を受けダイ2側に押さえ付けるピンを更に有する構成としても良い。
【0087】
また、上記の各実施形態では、曲げダイ3と受けダイ2との間に介装した圧縮型のコイルバネ6により曲げダイ3を第2方向に付勢する(押す)構成を説明したが、圧縮型のコイルバネ6に代えて、曲げダイ3を基準として受けダイ2側とは反対側に配置され、曲げダイ3を第2方向に付勢(引っ張る)引っ張り型のコイルバネを有する構成としても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 下型ホルダ
2 受けダイ
2a 側面
2b 上面
3 曲げダイ
4 シリンダ
5 スペーサ部材
6 コイルバネ
7 ダイホルダ
8 曲げパンチ
21 上部
21a 側面
21b 雌ねじ部
22 下部
22a 側面
23 段差面
31 本体部
31a 側面
31b 上面
31c 側面
32 水平突出部
32a 側面
32b 上面
33 突起部
33a 面
41 シリンダ容器
42 ピストン
43 ピストンロッド
44 曲げダイ押さえ部
45 エア供給口
50 半導体装置
51 本体部
52 封止樹脂
53 側面
54 リード
55 底面
71 保持孔
71a 第1孔
71b 第2孔
71c 内側面
91 着脱部
91a 凹部
91b 挿通孔
91c 側面
92 調節用プレート部材
92a 挿通孔
93 ボルト
100 リード加工金型
100 半導体装置
100 リード加工金型
1000 曲げダイ
1033 突起部
1033a 内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部の側面から突出するリードと、を有する半導体装置の前記本体部の底面が載置される受けダイと、
前記本体部の各側面を位置規制する側面位置規制ダイと、
前記受けダイ上に前記本体部が載置され、前記側面位置規制ダイにより前記側面が位置決めされた状態で、前記リードを加工するパンチと、
を有し、
前記側面位置規制ダイは、前記本体部の少なくとも1つの側面である第1側面に近づく第1方向及び前記第1側面から遠ざかる第2方向に移動可能であり、前記第1側面を位置規制する第1側面位置規制ダイを含み、
当該リード加工金型は、更に、前記第1側面位置規制ダイを前記第1方向及び前記第2方向に移動させる移動部を有することを特徴とするリード加工金型。
【請求項2】
前記移動部は、前記第1側面位置規制ダイを前記第1方向に移動させるシリンダを有することを特徴とする請求項1に記載のリード加工金型。
【請求項3】
前記移動部は、前記第1側面位置規制ダイを前記第2方向に付勢する弾性体を有し、前記弾性体の付勢力により前記第1側面位置規制ダイを前記第2方向に移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のリード加工金型。
【請求項4】
前記弾性体は、コイルバネであることを特徴とする請求項3に記載のリード加工金型。
【請求項5】
当該リード加工金型は、前記半導体装置の各側面毎に、個別に、前記第1側面位置規制ダイと前記移動部とを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のリード加工金型。
【請求項6】
前記第1側面位置規制ダイを前記第1及び第2方向にガイドするガイド部を更に有し、
前記ガイド部は、前記第1側面位置規制ダイにおいて、前記第1側面に対して直交する側面をガイドすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のリード加工金型。
【請求項7】
前記第1側面位置規制ダイの下部には、前記受けダイ側に向けて突出する突出部が設けられ、
前記受けダイは、前記突出部の上面を前記第1及び第2方向にガイドするガイド面を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のリード加工金型。
【請求項8】
前記移動部は、前記第1側面位置規制ダイを前記第1方向に移動させた際に、前記第1側面位置規制ダイが前記受けダイの側面に接触する位置で停止させることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のリード加工金型。
【請求項9】
前記受けダイは、
受けダイ本体部と、
前記受けダイ本体部の側面に着脱自在に構成され、且つ、前記受けダイの前記側面を含む着脱部と、
前記受けダイ本体部と前記着脱部との間に介装される介装部材と、
を有することを特徴とする請求項8に記載のリード加工金型。
【請求項10】
当該リード加工金型は、前記リードを曲げ加工するものであり、
前記側面位置規制ダイは、前記リードの曲げ加工時に前記リードと接触する接触部を有し、
前記パンチは、前記リードが前記側面位置規制ダイの外面に沿う形状となるように前記リードを曲げ加工することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のリード加工金型。
【請求項11】
本体部と、前記本体部の側面から突出するリードと、を有する半導体装置の前記本体部の底面が載置される受けダイと、
前記本体部の各側面を位置規制する側面位置規制ダイと、
前記受けダイ上に前記本体部が載置され、前記側面位置規制ダイにより前記側面が位置決めされた状態で、前記リードを加工するパンチと、
を有し、
前記側面位置規制ダイは、前記本体部の少なくとも1つの側面である第1側面に近づく第1方向及び前記第1側面から遠ざかる第2方向に移動可能であり、前記第1側面を位置規制する第1側面位置規制ダイを含み、
当該リード加工金型は、更に、前記第1側面位置規制ダイを前記第1方向及び前記第2方向に移動させる移動部を有し、
前記第1側面位置規制ダイは、前記受けダイ上に前記半導体装置が載置された状態において前記第1方向に移動されることにより前記第1側面を位置決めするリード加工金型を準備する工程と、
前記リード加工金型の前記受けダイ上に前記半導体装置を載置する工程と、
前記第1側面位置規制ダイを前記第1方向に移動させて前記第1側面を位置決めする工程と、
前記リードを加工する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−191034(P2012−191034A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53997(P2011−53997)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】