説明

ルーフキャリア

【課題】簡単な構造で、走行中にスライド部材のガイドレールからの抜け出しを確実に防止できるルーフキャリアを提供する。
【解決手段】車の屋根に平行に固定されたガイドレール3内にスライド部材4が配置され、スライド部材4は荷物を積載する荷積載部材4aとガイドレール3内に係止されるレール係止部材4bが二つ折り可能に接続され、荷積載部材4aには、端部の一方の面に、ガイドレール3に設けられたストッパー受けに当接するストッパーが設けられるとともに、他方の面に荷積載部材の端部を浮かせてストッパーをストッパー受けから上昇させてストッパーをストッパー受けから外すストッパー解除レバーが回転自在に設けられ、ガイドレールの引き出し側の端部には、レール係止部材4bに固定された外れ止めピンを停止させる停止用突起が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の屋根に荷物を積んだり、あるいは屋根の上から荷物を降ろしたりする作業が容易にできるルーフキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
スキー、サーフボード等の車内やトランクに収まらない荷物を自動車の屋根の上に積むためにルーフキャリアが利用されている。特に、荷物の積み降ろしの際に台などを使用することなく容易に積み降ろし作業ができるようにするため、荷物を載せるフレームがスライドし、車の側面に傾斜した状態になるスライド式のルーフキャリアが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
特許文献1には、親棒の端にローラを設け、荷受け部分をスライドさせて親棒から引き出し、荷受け部分がローラで停止して荷受け部分が車の側面に傾斜し、低い位置で荷物の積み降ろしが可能となる。走行中は荷受け部分を金具 又はヒモ等で車から飛び出さないよう固定するルーフキャリアが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、屋根に固定された基盤架台上に可動キャリア架台を車両側面にスライド自在に支承する水平スライド手段を設けた車両用ルーフキャリアが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、車両ルーフ上の固定レールに対しスライドフレームが、ローラを介してスライド可能に支持され、固定レールのコーナー部にローラが至れば、車両側面に傾斜し、引張りコイルスプリングの先端に設けられた錨形のフックがストライカに係合することにより、スライドフレームの降下時にスプリングが伸びて急激な降下を抑制する車両用ルーフキャリアが記載されている。
【0006】
特許文献4記載には、レール部材が架設された基台に移行可能に取着してある可動荷台とを備え、基台と可動荷台は連結部材により連結され、可動荷台が基台に対して傾斜する荷物積載装置が記載されている。
【特許文献1】特開2001−30846号公報
【特許文献2】登録実用新案第3062471号公報
【特許文献3】登録実用新案第2599179号公報
【特許文献4】特開平10−338080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のルーフキャリアでは、走行中は荷受け部分を金具、又はヒモ等で車から飛び出さないよう固定するため、荷受け部分の固定が十分でないので、走行中に荷受け部分が親棒から飛び出すおそれがあり、安全性に問題がある。
【0008】
特許文献2〜4記載のルーフキャリアは、いずれも部品点数が多く、構造が複雑となり、組立に手間が掛かり、また、ルーフキャリアの重量が大きくなるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、簡単な構造で、走行中にスライド部材のガイドレールからの抜け出しを確実に防止できるルーフキャリアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のルーフキャリアは、車の屋根に平行に固定された一対の水平のガイドレール内にそれぞれスライド可能にスライド部材が配置され、前記スライド部材は荷物を積載する荷積載部材と荷積載部材を引き出した際にガイドレール内に係止されるレール係止部材が二つ折り可能に接続され、前記荷積載部材には、スライド部材引き出し側の端部の一方の面に、ガイドレールに設けられたストッパー受けに当接するストッパーが設けられるとともに、他方の面に荷積載部材の端部を浮かせてストッパーをストッパー受けから上昇させてストッパーをストッパー受けから外すストッパー解除レバーが回転自在に設けられ、ガイドレールの引き出し側の端部には、荷積載部材がガイドレールから引き出された際に、レール係止部材に固定された外れ止めピンを停止させる停止用突起が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、スライド部材がガイドレール内に簡単な構造のストッパーにより確実に抜け止めがされて走行中に飛び出すことのない安全なルーフキャリアが得られる。
【0012】
また、本発明は、簡単な構造なので手間をかけることなく容易に組み立てることができる。
【0013】
また、スライド部材が屋根より低い位置で傾斜するので、荷物の積み降ろし作業や荷物の確認が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明のルーフキャリアの斜視図であり、(a)は屋根にスライド部材をガイドレールに収納した状態を示し、(b)はスライド部材をガイドレールから引き出した状態を示す。
【0015】
車の屋根1にガイドレールの取付具2が固定され、取付具2に車の幅方向に平行に一対のガイドレール3が水平に取り付けられる。ガイドレール3にはスライド部材4がスライド可能に配置される。なお、ガイドレール3の取付は、既設のルーフキャリアのフレームを利用してもよい。
【0016】
図1ではスライド部材4を車の側面に引き出すためガイドレール3を幅方向に固定しているが、スライド部材4を車の後方に引き出す場合は、ガイドレール3を車の長手方向に固定すればよい。ガイドレール3、スライド部材4には、軽量化のために、例えば、アルミ製フレームを使用する。
【0017】
スライド部材4には荷物を載せて固定する。図1では、荷物を収納する収納ボックス5が固定されている。収納ボックスは、荷物の種類に応じて専用のボックスを固定しておくことができる。
【0018】
荷物の積み降ろしの際は、図1(b)に示すように、ガイドレール3からスライド部材4を引き出して車の側面に傾斜させることにより、台などを使用することなく低い位置で容易に積み降ろし作業ができる。なお、スライド部材4の長さは、適宜変えることにより、積み降ろし位置を調整することができる。
【0019】
図2はガイドレールとスライド部材を示す斜視図であり、(a)はスライド部材をガイドレールに収納した状態を示し、(b)はスライド部材をガイドレールから引き出した状態を示し、(c)はスライド部材を傾斜させた状態を示す。
【0020】
図3(a)は引き出されたスライド部材のジョイント部を示す断面図、(b)はレール係止部材の図2(b)のA−A断面図である。
【0021】
図4(a)はストッパー側を示す一部切り欠き斜視図、(b)はストッパーレバー側を示す一部切り欠き斜視図である。
【0022】
図5はストッパーレバーを起こした状態を示し、(a)はストッパーレバー側の一部切り欠き斜視図、(b)はストッパー側を示す一部切り欠き斜視図である。
【0023】
図2〜5に示すように、チャンネル形のガイドレール3に長手方向に沿ってスライド部材4がスライド可能に配置される。ガイドレール3の上面は中央に長手方向に開口部6が形成され、スライド部材4はガイドレール3とほぼ同一の長さとし、スライド部材4の高さはガイドレール3の開口部6を超える高さにして荷が直接積載できるように、あるいは収納ボックス5が固定できるようにする。
【0024】
スライド部材4は、図3(a)に示すように、荷積載部材4aとレール係止部材4bが二つ折り可能なジョイント部4cを介して接続される。荷積載部材4aは荷を積載するために長く形成され、ガイドレール4から引き出されて車の側面に傾斜する。レール係止部材4bは、スライド部材4の移動中及び荷積載部材4aを傾斜させた際にガイドレール3の開口部6から外れないように外れ止めピン7によりガイドレール3に係止される。対向するスライド部材4どうしは連結部材(図示せず)で連結してもよい。
【0025】
図4に示すように、荷積載部材4aの引き出し側の端部には、一方の面にストッパー8が設けられ、ストッパー8はガイドレール3に設けられたストッパー受け9に当接してスライド部材4が停止し、スライド不能にする。また、荷積載部材4aの引き出し側の端部には、図5に示すように、他方の面に荷積載部材4aを浮かせてストッパー8を上昇させてストッパー8をストッパー受け9から外すストッパー解除レバー10が回転自在に設けられる。
【0026】
図3(a)に示すように、ガイドレール3の引き出し側の端部には、荷積載部材4aがガイドレール3から引き出された際に、レール係止部材4bの外れ止めピン7を停止させる停止用突起11が配置されている。
【0027】
ガイドレール3の端部と荷積載部材4aの端部には、図4に示すように、さらに抜け止めピン12を差し込んでスライド部材4がスライドしないようにしてもよい。抜け止めピン12の先端には、重力で下側に垂下する係止片13を設けることにより、ガイドレール3から抜けるのを防止することができる。あるいは、抜け止めピン12をひもなどで固定してもよい。
【0028】
次に、本発明のルーフキャリアの使用方法について説明する。
【0029】
図2(a)、図4において、抜け止めピン12の係止片13を水平にしてガイドレール3及び荷積載部材4aから引き抜く。次いで、ストッパー解除レバー10を手前に引いて起こし、図5に示すように、荷積載部材4aを浮かせてストッパー8をストッパー受け9より上昇させてストッパー受け9から外した後、図2(b)に示すように荷積載部材4aをストッパー解除レバー10により手前にスライドさせて引き出す。
【0030】
さらに、荷積載部材4aを引き出すと、図2(c)、図3(a)に示すように、レール係止部材4bの外れ止めピン7がガイドレール3に設けられた停止用突起11にぶつかって荷積載部材4aが停止し、荷積載部材4aは下向きに回転し、ジョイント4cが上方に移動して車の側面に傾斜する。
【0031】
そして、傾斜した状態の積載部材4aに荷物を直接固定、あるいは収納ボックス5を備えている場合は、収納ボックス5の蓋を開けて荷物を収納した後、蓋を閉める。積載部材4aが傾斜しているので荷物の積み降ろし作業を台などを使用することなく容易に行うことができる。
【0032】
荷物の積載が完了すると、積載部材4aを持ち上げてガイドレール3に押し込んでいく。積載部材4aの端部がガイドレール3の端部に達すると、積載部材4aのストッパー8がガイドレール3のストッパー受け9に乗り上げ、さらに積載部材4aを押し込むことによりストッパー受け9を乗り越えて積載部材4aが落ちてストッパー8がストッパー受け9に係止される。次いで、抜け止めピン12の係止片13を水平にしてガイドレール3及び荷積載部材4aの孔に挿入させ、係止片13を垂下させる。
【0033】
荷物を降ろす際も同様の手順で荷積載部材4aをガイドレール3から引き出して車の側面に傾斜させる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)は屋根にスライド部材をガイドレールに収納した状態を示し、(b)はスライド部材をガイドレールから引き出した状態を示す。
【図2】(a)はスライド部材をガイドレールに収納した状態を示し、(b)はスライド部材をガイドレールから引き出した状態を示し、(c)は引き出したスライド部材を傾斜させた状態を示す。
【図3】(a)は引き出されたスライド部材のジョイント部を示す断面図、(b)はレール係止部材を示し図2(b)のA−A断面図である。
【図4】(a)はストッパー側を示す一部切り欠き斜視図、(b)はストッパーレバー側を示す一部切り欠き斜視図である。
【図5】ストッパーレバーを起こした状態を示し、(a)はストッパーレバー側の一部切り欠き斜視図、(b)はストッパー側を示す一部切り欠き斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1:車の屋根
2:取付具
3:ガイドレール
4:スライド部材
4a:荷積載部材
4b:レール係止部材
4c:ジョイント部
5:収納ボックス
6:開口部
7:外れ止めピン
8:ストッパー
9:ストッパー受け
10:ストッパー解除レバー
11:停止用突起
12:抜け止めピン
13:係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車の屋根に平行に固定された一対の水平のガイドレール内にそれぞれスライド可能にスライド部材が配置され、
前記スライド部材は荷物を積載する荷積載部材と荷積載部材を引き出した際にガイドレール内に係止されるレール係止部材が二つ折り可能に接続され、
前記荷積載部材には、スライド部材引き出し側の端部の一方の面に、ガイドレールに設けられたストッパー受けに当接するストッパーが設けられるとともに、他方の面に荷積載部材の端部を浮かせてストッパーをストッパー受けから上昇させてストッパーをストッパー受けから外すストッパー解除レバーが回転自在に設けられ、
ガイドレールの引き出し側の端部には、荷積載部材がガイドレールから引き出された際に、レール係止部材に固定された外れ止めピンを停止させる停止用突起が配置されていることを特徴とするルーフキャリヤ。
【請求項2】
スライド部材どうしが連結部材で連結されていることを特徴とする請求項1記載のルーフキャリヤ。
【請求項3】
スライド部材に荷物を収納する収納ボックスが固定されていることを特徴とする請求項1記載のルーフキャリヤ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate