説明

ルーフモジュール

エクステリアスキン(a)、それに隣接する材料層(b)、スペーサー層(c)、および周囲プラスチック材料(d)を有する自動車用ルーフモジュールを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、自動車用多層ルーフモジュールに関する。
【0002】
2007年9月26日提出のドイツ特許出願第102007046187.0号の優先権を主張する。上記先行技術文献を参照することによって完全に本明細書中に組み込む。
【背景技術】
【0003】
EP−A−995667およびEP−A−1077225は、自動車エクステリア構成部材、例えばルーフモジュール、エンジンフードなど、であって、深絞り成形着色熱可塑性シートまたは金属ホイルがグラスファイバー強化ポリウレタン(PUR)によって強化されている、自動車エクステリア構成部材の製造を記述している。DE−A−10057365は、中間層構造体を有する繊維強化プラスチックサンドイッチ構成部材の製造を記述している。
【0004】
深絞り成形シートは、通常、金型の輪郭に正確に従って動かない。これは、シートと金型との間にエアクッションを生じる。全面(full−surface)グラスファイバー(GF)PURを導入すると、閉じ込められた空気はPUR発泡中にシートと金型との間から出られない。このようにして閉じ込められた空気は部分的に圧縮され、発泡圧はシートと金型との間の空気の圧力よりも低く、GF PURに対するシートのふくらみをもたらす。このくぼみは、成形部品を型から取り出した後にシート表面に見え続ける。
【0005】
熱可塑性樹脂、アルミニウムコイルコーティングまたはスチールコイルコーティングからの深絞り成形シートは、別の方法によっても強化されうる。この方法において、シートは、発泡金型に挿入され、かつ、長繊維注入(LFI)PUR法においてGF PURの層によってカバーされる。ハニカムカードボード(honeycomb cardboard)を濡れたままで反応混合物に挿入する(ハニカムカードボードは、両面がグラスファイバーマットで被覆されていてもよい。ハニカムカードボードは構成部材においてスペーサーの機能を果たす。このことは、常套のLFI PUR法と比較して重量低減をもたらす。)。ここで、GF PURの第2層をLFI PUR法によるハニカムカードボードに挿入する。次に、この金型を密閉し、ハニカムカードボードをLFI PURと共に所望の形態に形成する。
【0006】
例えば、厚さ12mmのハニカムボードを、中央ゾーンにおいて約7mmに、かつ、周縁ゾーンにおいて約2mmに圧縮する。周縁ゾーンにおける高い圧縮度のために、シートと発泡金型との間に存在する空気は、閉じ込められ、発泡プロセス中に出られない。このことは、シートにおけるくぼみの形成をもたらす部分的なエアクッションを生じる。
【0007】
加えて、この方法において、高い取り外し力(tearing−out force)を達成するようにスクリューポイントを有するねじ込みインサートまたは金属シートインサートを発泡させることは困難である。
【0008】
この構造において、ビルトイン構成部材のトリムエッジは、乗物のウエットゾーンに突出する。ハニカムカードボードの毛管現象および親水性のために、この構成部材による望ましくない吸水が起こりうる。ウエットハニカムは微生物に侵され、かつ/または、この構成部材は凍結温度において凍結および破裂し(アイスバースティング(ice bursting))、エクステリアコーティングと強化材との離層をもたらす。最悪の場合、このことが機械的特性の劇的な劣化をもたらしうる。
【0009】
DE 102 44 287 A1は、(i)シートと、(ii)ポリウレタン含有強化層と、で構成されるコンポジットエレメントの製造方法であって、
(A)シート(i)を開放金型に挿入する工程、
(B1)金型内のシート(i)の上にポリウレタン系構成部材を導入する工程、
(B2)金型内の導入ポリウレタン系構成部材の上にスペーサー層を導入する工程、
(B3)金型内の挿入スペーサー層の上にポリウレタン系構成部材を導入する工程、および
(C)金型を密閉し、導入ポリウレタン系構成部材を反応させてポリウレタン(ii)を形成する工程、および
(D)要すれば突出シートをトリムする工程
を包含し、スペーサー層の寸法が、生じるコンポジットエレメントの縁からのコンポジットエレメント内のスペーサー層の外縁の距離が少なくとも10mmから300mmまでであり、好ましくは15〜250mm、より好ましくは25〜220mm、最も好ましくは40〜200mmであるように選択される、コンポジットエレメントの製造方法を記述している。更に、この明細書は、(i)シートと、(ii)ポリウレタン含有強化層と、で構成されるコンポジットエレメントであって、スペーサー層が強化層に埋め込まれており、埋め込みスペーサー層のコンポジットエレメントの縁からの水平距離が少なくとも10mmから300mmまで、好ましくは15〜250mm、より好ましくは25〜220mm、最も好ましくは40〜200mmであることを特徴とするコンポジットエレメント、並びに、くぼみのない車体エクステリアパーツ、特にくぼみのないルーフモジュール、の製造へのこのコンポジットエレメントの使用にも関する。
【0010】
DE 102 44 287 A1の意味での「くぼみのない」は、製造コンポジットエレメントの目視検査において、でこぼこ、特に突出やくぼみ、がシート(i)中に検出されない、すなわちシートが強化層上に平面配置であることを意味している。しかしながら、この明細書に開示されている技術的教示によると、高い視覚的仕上がりを有する表面(クラスA)は製造できない。
【0011】
WO 2006/09939 A1は、エクステリアシートが繊維強化ポリウレタン含有層に結合されている繊維強化コンポジットコンポネントの製造方法であって、(a)弾性率0.5MPa〜50MPaかつ厚さ0.3mm〜6mmの弾性中間層を最初に厚さ0.2mm〜5mmのアウターシートに適用し、次に(b)少なくとも1つの別の層を中間層の裏面に適用し、繊維強化ポリウレタンを含む少なくとも1つの層を適用することを特徴とする、繊維強化コンポジットコンポネントの製造方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、自動車用ルーフモジュールに関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このルーフモジュールは、エクステリアスキン、このエクステリアスキンの全面に沿って隣接する材料層、およびこの材料層に隣接するスペーサー層を含む。材料層は、エクステリアスキンの熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有し、かつ、本質的に−20℃〜+80℃の範囲内の温度変化におけるコンポジットの変形を防ぐように選択されている。スペーサー層は、片方もしくは両方の主表面が繊維強化ポリウレタン層によってカバーされたコア材料を含有する。材料層の周囲はエクステリアスキンの反対側がスペーサー層フリーであり、それによって繊維強化プラスチック材料によってカバーされた周囲ゾーンを画定している。
【0014】
従って、自動車用改良ルーフモジュールを開示している。この改良の利点は、図面および好ましい態様の説明からわかる。
【0015】
好ましい態様の詳細な説明
【0016】
自動車用ルーフモジュールは、エクステリアスキン、このエクステリアスキン(a)の全面に沿って隣接する材料層(b)、およびこの材料層(b)に隣接するスペーサー層(c)を含む。材料層(b)は、エクステリアスキン(a)の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する。更に、材料層(b)は、好ましくは、本質的に−20℃〜+80℃の範囲内の温度変化におけるコンポジットの変形を防ぐように選択される。スペーサー層(c)は、その主表面の少なくとも一方が繊維強化ポリウレタン層によってカバーされたコア材料を含む。スペーサー層(c)は、材料層(b)を完全にカバーせず、材料層(b)の周辺部の周囲ゾーンをフリーにしておく。この周囲ゾーンは、繊維強化プラスチック材料によってカバーされる。
【0017】
エクステリアスキン(a)に関して、一般的に知られているシート、特に熱可塑性シート、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレートエステル(ASA)、ポリカーボネート(PC)、熱可塑性ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレンおよび/またはポリ塩化ビニル(PVC)ベースの通常のシート、が用いられる。好ましくは、熱可塑性エクステリアスキン(a)として二層シートであって、第1層がPMMAベースであり、かつ、第2層がASAおよび/またはPCベースである二層シートが使用される。二層シートを用いる場合、ポリイソシアネート多重付加生成物を好ましくはASAおよび/またはASA/PCに付着させる。
【0018】
加えて、エクステリアスキン(a)に関して、あらゆる通常の金属ホイルが使用され、アルミニウムホイルまたはスチールホイル、特にいわゆるアルミニウムコイルコーティング、が好ましく用いられる。
【0019】
そのようなエクステリアスキン(a)は市販されており、それらの製造は一般的に知られている。上記シートの厚さは、一般的に、0.2〜5mm、好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0020】
例えば、ポリカーボネートまたはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)のスペーサー層およびPMMA(ポリ(メチルメタクリレート))の表面層を備える共押出シートがアウターエクステリアスキン(a)として用いられる。しかしながら、ABSのモノシート(monosheet)もまた可能である。それらの弾性率は、好ましくは800MPaよりも高く、好ましくは1000MPa〜100,000MPaであり、固有剛性が弾性変形に起因して材料層(b)が働かせる力に対して作用するベーシック安定性を提供する。
【0021】
上記エクステリアスキン(a)の代わりに、これらは、更に、いわゆる金型内コーティングまたはゲルコーティングも含みうる。金型内コーティングは、それによってプラスチック成形部品のペイントコーティングを金型内に予備成形する方法である。従って、反応性の高い二成分ペイントを好適なペイント技術によって金型に入れる。その後、ポリウレタンベースの材料層(b)を開放金型または密閉金型に導入して、高光沢からマットまでの、金型の性質に依存してテクスチャー加工されていてもよい表面仕上げを有する構成部材(この場合、ルーフモジュール)をもたらす。
【0022】
金型内コーティング層(エクステリアスキン(a))と材料層(b)との化学的性質の類似性、並びにルーフモジュールの2つの構成部材が短時間で組み合わされるという事実に起因して、界面に強い化学的かつ機械的結合がある(接着層)。IMC層の硬化後であっても、修理および上塗りが可能である。
【0023】
金型内コーティングは、
・高反応性(3分後にダストドライ);
・VOCガイドラインによる溶媒フリー;
・色合いおよび最終剛さ変更可能;
・クロメートおよび鉛フリー;
・紫外線安定;かつ
・耐薬品性
である。
【0024】
金型内コーティング技術は、下記利点を伴う。
・個々の処理工程の短縮または省略によるコスト削減
・成形部品の表面とペイントコートとの間の強い付着
・金型の性質を選択することによる顧客の所望に合うペイント表面の品質
・成形部品の形成におけるデザインの高い自由度
・多岐にわたるベース材料および手順へのシステムの適応性
・充填剤、例えば粉砕グラスファイバーおよびサイザル、の使用に理想的に好適な方法
・非常に短い反応時間および処理時間の実現の大きな潜在性
【0025】
金型内コーティングのこの場合、エクステリアスキン(a)の厚さは、10〜100μmである。
【0026】
ゲルコーティングの場合、エクステリアスキン(a)の厚さは、0.2mm〜1.5mmである。
【0027】
エクステリアスキン(a)は材料層(b)の全面に隣接しており、材料層(b)の熱膨張係数はエクステリアスキン(a)の熱膨張係数と異なり、かつ、−20℃〜+80℃の範囲内の温度変化におけるコンポジットの変形を本質的に防ぐように選択される。
【0028】
材料層(b)の機能は、機械的および熱の交互ストレスにおいても、一方でルーフモジュールの機械的強度を、他方でエクステリアスキン(a)の高い光学品質を、永久に保持するように、エクステリアスキン(a)とスペーサー層(c)との異なる膨張挙動に起因するストレスを吸収することである。
【0029】
特に、材料層(b)は、繊維とポリマーマトリクスとの異なる収縮特性によってスペーサー層(c)の表面に形成されるでこぼこも確実に和らげなければならない。
【0030】
加えて、材料層(b)は、エクステリアスキン(a)とスペーサー層(c)との異なる収縮特性に起因してルーフモジュールが曲がることを防ぐこと、すなわち、例えば、スペーサー層(c)の繊維構造がエクステリアスキン(a)の表面をくぼませること(これは繊維が常に幾分均質でない分布を有するという事実に起因する。)を防ぐこと、が求められている。加えて、材料層(b)は、良好な視覚的外観(クラスA表面仕上げ)を達成するために、繊維強化スペーサー層(c)における閉じ込められた空気に起因する表面欠陥を吸収できるべきであり、表面欠陥はそれ自体特に熱交互ストレスにおいて現れる。
【0031】
材料層(b)の別の機能は、例えば熱可塑性エクステリアスキン(a)を使用する場合、製造プロセスまたは下流の形成プロセスに由来する凍結内部ストレスからの表面欠陥を防ぐことである。そのような内部ストレスは、例えば高温による、完成ルーフモジュールへの更なる加工においていわゆる記憶効果をもたらし、この効果が局所収縮を引き起こす。従って、材料層(b)は、表面欠陥が起こらないように、生じる変位を吸収できなければならない。この場合、低品質の熱可塑性エクステリアスキン(a)が使用されうる。
【0032】
材料層(b)は、自動車の内部からの振動がルーフモジュールのエクステリアスキン(a)のアウター表面に少ししか向かわないように、エクステリアスキン(a)からスペーサー層(c)だけでなく、繊維強化プラスチック材料を有する周囲ゾーン(d)も分離する。
【0033】
材料層(b)は、冷却時の熱収縮および/または反応収縮に起因する異なる寸法変化並びに閉じ込められた空気の膨張および記憶効果に起因するエクステリアスキン(a)における局所寸法変化に起因する界面における最大ストレスが非常に低く、クラスA表面仕上げが形成されることをエクステリアスキン(a)の固有剛性が確実にするようなデザインを有する。加えて、ストレスが非常に低く、エクステリアスキン(a)と材料層(b)との間の界面においてもスペーサー層(c)と材料層(b)との間の界面においても局所的な離層が起こらない。従って、特に、材料層(b)の弾性率は、0.5MPa〜50MPa、好ましくは1MPa〜10MPa、より好ましくは2MPa〜5MPaである。
【0034】
加えて、材料層(b)は薄すぎてはならない。なぜなら、そうでなければ非常に弾性のある材料であってもストレスを十分に吸収できないからである。しかしながら、厚すぎるべきでもない。なぜなら、そうでなければ静水剛化(hydrostatic stiffening)が十分有効でなく、全コンポジットが柔軟になりすぎるからである。従って、材料層(b)の最適厚さがある。従って、材料層(b)の厚さは0.3mm〜6mm、好ましくは1mm〜4mm、より好ましくは1.5mm〜3mmである。
【0035】
ストレスを吸収することができるが、層を互いに永久的に結合させるのに十分な強度を有する粘弾性材料を材料層(b)に用いることもまた可能である。
【0036】
記述されている低い値の弾性率を有する、非常に弾性のある材料層(b)を使用すると、アウターエクステリアスキン(a)が高い局所ストレス下のポイントにおいて検出可能にくぼむ(望ましくないソフトタッチ効果)か、または延伸しすぎるリスクがある。このリスクは、特に、スペーサー層(c)の剛性がその効果を発揮する前に材料層(b)が圧縮性に起因してアウターエクステリアスキン(a)の検出可能なくぼみを許容しうる場合に存在する。
【0037】
従って、材料層(b)ができるだけ非圧縮性である材料からなることが重要であり、アウターエクステリアスキン(a)が局所的にくぼむ場合、非圧縮性材料層(b)を取り替えなければならず、このことは更なる静水剛化を生じる。この材料の挙動は、材料層(b)の体積弾性率によって記述され、これは、特に500MPa〜5000MPa、好ましくは約1000MPa〜2500MPa、更により好ましくは約1200MPa〜2000MPaであるべきである。
【0038】
薄く、かつ、均一な材料層(b)を製造するために、材料層(b)は、好ましくはスプレーすることによって金型に含まれるアウターエクステリアスキン(a)に適用される。スプレー適用が面積要素5cmに対して好ましくは±10%未満、より好ましくは±5%未満の材料層(b)の質量のずれで均一質量分布を達成する場合、すなわち、材料層(b)の任意の2つの面積要素の重量が±10%または±5%未満だけずれる場合、に材料層(b)の性質が最適効果を有することがわかった。
【0039】
金型内コーティング法によって製造されるアウターエクステリアスキン(a)の組み合わせの場合、材料層(b)は異なる役目を果たす。この場合、高い弾性率はむしろ不利である。しかしながら、その機能は、特に、グラスファイバーおよび材料のより深い層におけるでこぼこの他の原因、特にスペーサー層(c)、のアウターエクステリアスキン(a)からの距離を保持してクラスA表面仕上げを達成するようにすることである。従って、材料層(b)は、できるだけ硬質のペイントコーティング用基材並びに防湿層であるべきである。
【0040】
材料層(b)と次に適用されるスペーサー層(c)との間の付着を改良するために、材料層(b)の完全硬化時間が終了する前にスペーサー層(c)の適用をもたらすと有利であることがわかった。
【0041】
例えば、材料層(b)は、
(a)有機ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを、
(b)数平均分子量800g/mol〜25,000g/mol、好ましくは800〜14,000g/mol、より好ましくは1000〜8000g/mol、かつ、平均官能性2.4〜8、より好ましくは2.5〜3.5の、少なくとも1種類のポリエーテルポリオール;および
(c)要すれば、別のポリエーテルポリオールであって、数平均分子量800g/mol〜25,000g/mol、好ましくは800〜14,000g/mol、より好ましくは1000〜8000g/mol、かつ、平均官能性1.6〜2.4、好ましくは1.8〜2.4の、(b)と異なるポリエーテルポリオール;および
(d)要すれば、ポリマーポリオールであって、ポリマーポリオールに対する充填剤含量1〜50重量%、かつ、OH価10〜149、かつ、平均官能性1.8〜8、好ましくは1.8〜3.5のポリマーポリオール;および
(e)要すれば、平均官能性1.8〜2.1、好ましくは2、かつ、分子量750g/molおよびそれよりも低い、好ましくは18g/mol〜400g/mol、より好ましくは60g/mol〜300g/molの鎖延長剤、および/または平均官能性3〜4、好ましくは3、かつ、分子量750g/mol以下、好ましくは18g/mol〜400g/mol、より好ましくは30g/mol〜300g/molの架橋剤;と
(f)アミン触媒および
(g)金属触媒および
(h)要すれば添加剤
の存在下において反応させることによって得られる。
【0042】
好ましくは、ポリウレタンエラストマー(PURエラストマー)であって、材料層(b)に含まれるかまたは材料層(b)を構成するポリウレタンエラストマー(PURエラストマー)は、プレポリマー法であって、イソシアネート基を有する重付加アダクトを、都合よく、第1工程において少なくともポリエーテルポリオール(b)またはそれらの混合物の部分とポリオール構成部材(c)および/または(d)と少なくとも1種類のジイソシアネートもしくはポリイソシアネート(a)とから製造するプレポリマー法によって製造される。第2工程において、ソリッドPURエラストマーは、イソシアネート基を含むようなプレポリマーから、それらを低分子量鎖延長剤および/または架橋剤(e)および/またはポリオール構成部材(b)および任意に(c)および/または(d)の残部と反応させることによって製造されうる。水または別の発泡剤またはそれらの混合物が第2工程において含まれる場合、微孔性PURエラストマーが製造され、それらの体積弾性率は500〜5000MPaになる。
【0043】
出発構成部材(a)として、例えば、W.SiefkenによってJustus Liebigs Annalen der Chemie,562,75〜136ページに記述されているような脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族および複素環式ポリイソシアネートが好適である。それらの例は次式
Q(NCO)
(式中、
n=2、3または4、好ましくは2または3、より好ましくは2、かつ、
Qは、炭素原子を2〜18個、好ましくは6〜10個有する脂肪族ヒドロカルビル残基、炭素原子を4〜15個、好ましくは5〜10個有する脂環式ヒドロカルビル残基、炭素原子を6〜15個、好ましくは6〜13個有する芳香族ヒドロカルビル残基、または炭素原子を8〜15個、好ましくは8〜13個有する芳香脂肪族ヒドロカルビル残基である。)
のポリイソシアネートである。エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−および1,4−ジイソシアネートおよびそのような異性体の任意の混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4−および2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネートおよびそのような異性体の任意の混合物、ヘキサヒドロ−1,3−および−1,4−フェニレンジイソシアネート、ペルヒドロ−2,4’−および−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ズロールジイソシアネート(1,4−durol diisocyanate)(DDI)、4,4’−スチルベンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、2,4−および2,6−トルイレンジイソシアネート(TDI)およびそのような異性体の任意の混合物、ジフェニルメタン−2,4’−および/または−4,4’−ジイソシアネート(MDI)またはナフチレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)が好ましい。
【0044】
更に、例えば、トリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネート、アニリンとホルムアルデヒドとの縮合および続くホスゲン化によって得られ、例えばGB−A 874 430およびGB−A 848 671に記述されているポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、およびUS−PS 3,454,606に記載のp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、US−A 3,277,138に記述されているような過塩素化アリールポリイソシアネート、US−A 3,152,162およびDE−A 25 04 400、DE−A 25 37 685およびDE−A 25 52 350に記述されているようなポリイソシアネートを含むカルボジイミド基、US−A 3,492,301に記載のノルボルナンジイソシアネート、GB−A 994 890、BE−A 761 626およびNL−A 7 102 524に記述されているようなアロファネート基を有するポリイソシアネート、US−A 3,001,9731、DE−A 10 22 789、DE−A 1222 067およびDE−A 1 027 394およびDE−A 1 929 034およびDE−A 2 004 048に記述されているようなイソシアヌレート基を有するポリイソシアネート、BE−A 752 261またはUS−A 3,394,164およびDE−A 3 644 457に記述されているようなウレタン基を有するポリイソシアネート、DE−A 1 230 778によるアクリレート化ウレア基を有するポリイソシアネート、US−A 3,124,605、US−A 3,201,372およびUS−A 3,124,605およびGB−A 889 050に記述されているようなビウレット基を有するポリイソシアネート、US−A 3,654,106に記述されているようなテロマー化反応によって製造されるポリイソシアネート、GB−A 965 474およびGB−A 1 072 956、US−A 3,567,763およびDE−A 12 31 688において言及されているようなエステル基を有するポリイソシアネート、DE−A 1 072 385に記載の上記イソシアネートとアセタールとの反応生成物およびUS−A 3,455,883に記載の脂肪酸エステルを含むポリイソシアネートを使用してもよい。
【0045】
イソシアネートの工業生産において得られるイソシアネート基を含む蒸留残留物であって、任意に1種類以上の上記ポリイソシアネートに溶解されていてもよい蒸留残留物を用いることもまた可能である。更に、上記ポリイソシアネートのあらゆる混合物を使用することも可能である。
【0046】
2,4−および2,6−トルイレンジイソシアネートおよびそのような異性体の任意の混合物(「TDI」)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびアニリンとホルムアルデヒドとの縮合および続くホスゲン化によって製造されるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(「原料MDI」)、およびカルボジイミド基、ウレトンイミン(uretoneimine)基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレア基またはビウレット基を有するポリイソシアネート(「変性ポリイソシアネート」)、特に2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネートまたは4,4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導される変性ポリイソシアネートが好ましく用いられる。更に、ナフチレン1,5−ジイソシアネートおよび上記ポリイソシアネートの混合物も非常に好適である。
【0047】
ポリオール構成部材(b)および/または(c)および/または鎖延長剤および/または架橋剤(e)の少なくとも一部を、TDI、MDI、TODI、DIBDI、NDI、DDIの群から選択される少なくとも1種類の芳香族ジイソシアネートと、好ましくは4,4’−MDIおよび/または2,4−TDIおよび/または1,5−NDIと、反応させてウレタン基およびイソシアネート基を有し、かつ、NCO含量が6〜25重量%、好ましくは8〜20重量%の重付加生成物を形成することによって製造されるイソシアネート基を有するプレポリマーがこのプロセスにおいてより好ましく使用される。
【0048】
上記のように、(b)、(c)、(d)および(e)の混合物をイソシアネート基を含むプレポリマーの製造に使用してもよい。しかしながら、好ましく用いられる態様によると、イソシアネート基を含むプレポリマーは、鎖延長剤や架橋剤(e)がなくても製造される。
【0049】
イソシアネート基を有するプレポリマーは、触媒の存在下において製造されうる。しかしながら、イソシアネート基を有するプレポリマーを触媒なしで製造し、PURエラストマーが製造されてはじめて触媒を反応混合物に添加することも可能である。
【0050】
エラストマーの製造に好適なポリエーテルポリオール(b)または(c)は、既知の方法によって、例えば、アルキレンオキシドのDMC触媒によるポリインサーション(polyinsertion)によって、触媒としてのアルカリ水酸化物もしくはアルカリアルコレートの存在下における、結合反応性水素原子を2〜6個、好ましくは2〜4個含む少なくとも1種類の開始剤分子の添加を伴うアルキレンオキシドのアニオン性重合によって、またはルイス酸、例えば五塩化アンチモンもしくはフッ化ホウ素エーテル化合物、の存在下におけるアルキレンオキシドのカチオン性重合によって、製造されうる。好適なアルキレンオキシドは、アルキレン残基中に炭素原子を2〜4個含む。これらの例としては、テトラヒドロフラン、1,2−プロピレンオキシド、1,2−または2,3−ブチレンオキシドが挙げられ、好ましくはエチレンオキシドおよび/または1,2−プロピレンオキシドが用いられる。アルキレンオキシドは単独で使用しても、交互で使用しても、逐次使用しても混合物として使用してもよい。好ましくは、1,2−プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物が用いられ、エチレンオキシドがエチレンオキシド(EO)キャップとして10〜50%の量で用いられ、得られるポリオールは70%よりも多くの第1級OH基を有する。開始剤分子として、水または二価および三価アルコール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタンジオール−1,4、グリセロール、トリメチロールプロパンが使用されうる。
【0051】
好適なポリエーテルポリオール、好ましくはポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールは、平均官能性が2.4〜8、より好ましくは2.5〜3.5(ポリエーテルポリオール(b)に関する。)であるか、または平均官能性が1.6〜2.4、好ましくは1.8〜2.4(ポリエーテルポリオール(c)に関する。)であり、かつ、数平均分子量が800g/mol〜25,000g/mol、好ましくは800〜14,000g/mol、より好ましくは1000〜8000g/mol(ポリエーテルポリオール(b)および(c)に関する。)である。
【0052】
上記ポリエーテルポリオールに加えて、ポリマー変性ポリエーテルポリオール、好ましくはグラフトポリエーテルポリオール、特にアクリロニトリル、スチレンまたは好ましくはスチレンとアクリロニトリルとの、例えば重量比90:10〜10:90、好ましくは70:30〜30:70の、混合物の、その場の(in situ)重合で製造されるスチレンおよび/またはアクリロニトリルベースのもの、並びにポリエーテルポリオール分散体、通常ポリエーテルに対して1〜50重量%、好ましくは1〜45重量%の量、であって、例えば無機充填剤、ポリウレア(PHD)、ポリヒドラジド、それに結合したtert−アミノ基を含むポリウレタンおよび/またはメラミンを分散相として含むもの、もまたポリマーポリオール(d)として好適である。
【0053】
好ましくは、数平均分子量800〜25,000g/mol、好ましくは800〜14,000g/mol、より好ましくは1000〜8000g/molの二−および三官能性ポリエーテルポリオールが製造中に構成部材(b)または(c)として用いられる。
【0054】
エラストマーの製造に関して、低分子量二官能性鎖延長剤、三−もしくは四官能性架橋剤または鎖延長剤と架橋剤との混合物が更に構成部材(e)として用いられうる。
【0055】
そのような鎖延長剤および架橋剤(e)は、機械的特性、特にPURエラストマーの剛性、の変更に用いられる。好適な鎖延長剤、例えばアルカンジオール、ジアルキレングリコールおよびポリアルキレンポリオール、および架橋剤、例えば三−または四価アルコール、および3〜4官能性のオリゴマーポリアルキレンポリオール、の分子量は、通常、750g/mol未満、好ましくは18〜400g/mol、より好ましくは60〜300g/molである。鎖延長剤として、好ましくは、炭素原子を2〜12個、好ましくは2、4または6個有するアルカンジオール、例えば、エタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、特に1,4−ブタンジオールおよび炭素原子を4〜8個有するジアルキレングリコール、例えばジエチレングリコールおよびジプロピレングリコール、並びにポリオキシアルキレングリコールが用いられる。通常炭素原子を12個以下有する分枝鎖および/または不飽和アルカンジオール、例えば1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブテン−1,4−ジオールおよび2−ブチン−1,4−ジオール、テレフタル酸と炭素原子を2〜4個有するグリコールとのジエステル、例えばテレフタル酸ビス(エチレングリコール)もしくはテレフタル酸ビス(1,4−ブタンジオール)、ヒドロキノンまたはレソルシノールのヒドロキシアルキレンエーテル、例えば1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)ヒドロキノンもしくは1,3−(β−ヒドロキシエチル)レソルシノール、炭素原子を2〜12個有するアルカノールアミン、例えばエタノールアミン、2−アミノプロパノールおよび3−アミノ−2,2−ジメチルプロパノール、N−アルキルジアルカノールアミン、例えばN−メチル−およびN−エチルジエタノールアミン、炭素原子を2〜15個有する(環状)脂肪族ジアミン、例えば1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミンおよび1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサメチレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、N−アルキル残基中に炭素原子を1〜20個、好ましくは1〜4個有するN−アルキル−、N,N’−ジアルキル−置換および芳香族ジアミンであって、芳香核がアルキル基で置換されていてもよいもの、例えばN,N’−ジエチル、N,N’−ジ−sec.−ペンチル、N,N’−ジ−sec.−ヘキシル、N,N’−ジ−sec.−デシルおよびN,N’−ジシクロヘキシル、(p−またはm−)フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル、N,N’−ジエチル、N,N’−ジイソプロピル、N,N’−ジ−sec.−ブチル、N,N’−ジシクロヘキシル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−sec.−ブチルベンジジン、メチレンビス(4−アミノ−3−安息香酸メチルエステル)、2,4−クロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−および2,6−トルイレンジアミンもまた好適である。
【0056】
構成部材(e)の化合物は、混合物の形態で用いても単独で用いてもよい。更に、鎖延長剤と架橋剤との混合物を用いてもよい。
【0057】
PURエラストマーの剛さを調節するために、構成成分(b)、(c)、(d)および(e)は、比較的幅広い量の比で変えられ、反応混合物における構成部材(e)の含量が増加すると剛さが増加する。
【0058】
所望の剛さのPURエラストマーを得るために、構成成分(b)、(c)、(d)および(e)の必要とされる量は、実験的に簡単に決定されうる。高分子量化合物(b)、(c)および(d)100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは2.5〜20重量部の鎖延長剤および/または架橋剤(e)が有利に使用される。
【0059】
構成部材(f)として、当業者によく知られているアミン触媒、例えば、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミンおよび高級同族体(DE−A 26 24 527およびDE−A 26 24 528)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチルピペラジン、ビス(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、ビス(N,N−ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジメチル−β−フェニルエチル−アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、1,2−ジ−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、単環および二環式アミジン、ビス(ジ−アルキルアミノ)アルキルエーテル、例えばビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、およびDE−A 25 23 633およびDE−A 27 32 292に記載のアミド基(好ましくはホルムアミド基)を有する第3級アミン、が用いられうる。好適な触媒としては、更に、それ自体既知である、第2級アミン、例えばジメチルアミン、とアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒド、またはケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、もしくはシクロヘキサノン、とフェノール、例えばフェノール、ノニルフェノールもしくはビスフェノール、とのマンニッヒ塩基も挙げられる。触媒として、イソシアネート基に対して反応性の水素原子を有する第4級アミンとしては、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、それらのアルキレンオキシド、例えばプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド、およびDE−A 27 32 292に記載の第2級−第3級アミンとの反応生成物が挙げられる。US−A 3,620,984に記述されている炭素−ケイ素結合を有する別のアミン、例えば2,2,4−トリメチル−2−シラモルホリンおよび1,3−ジエチル−アミノメチルテトラメチルジシロキサンを触媒として用いてもよい。別の窒素含有塩基、例えばテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、並びにヘキサヒドロトリアジンもまた使用されうる。NCO基とツェレビチノフ活性水素原子(Zerewitinoff−active hydrogen atoms)との反応もまたラクタムおよびアズラクタム(azlactams)によって大きく加速される。
【0060】
金属触媒(g)として、錫、チタン、ビスマスの有機金属化合物、特に有機錫化合物、が更なる触媒として含まれうる。硫黄含有化合物、例えばジ−n−オクチル錫メルカプチド、に加えて、好ましくはカルボン酸の錫(II)塩、例えば酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、エチルヘキサン酸錫(II)、ラウリン酸錫(II)、および錫(IV)化合物、例えばジブチル錫オキシド、ジブチル錫二塩化物、ジブチル錫二酢酸、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫マレエートまたはジオクチル錫二酢酸、も有機錫化合物として使用されうる。
【0061】
ソリッドおよび気泡PURエラストマーの製造用の反応混合物は、任意に添加剤(h)と共に提供されてもよい。例えば、界面活性添加剤、例えば乳化剤、気泡安定剤、気泡調節剤(cell regulators)、難燃剤、成核剤、耐酸化剤、安定剤、滑剤および離型剤、着色剤、分散助剤および顔料が言及されうる。乳化剤として、例えばひまし油スルホネートのナトリウム塩または脂肪酸とアミンとの塩、例えばオレイン酸ジエチルアミン塩またはステアリン酸ジエタノールアミン塩が使用されうる。更に、スルホン酸、例えばドデシルベンゼンスルホン酸もしくはジナフチルメタンジスルホン酸の、または脂肪酸、例えばリシノール酸、の、または高分子量脂肪酸の、アルカリまたはアンモニウム塩が界面活性添加剤として挙げられうる。気泡安定剤として、ポリエーテルシロキサン、特に水溶性のもの、が主に使用されうる。これらの化合物は、一般的に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーがポリジメチルシロキサン残基に結合したような構造を有する。そのような気泡安定剤は、例えばUS−A 2,834,748、US−A 2,917,480およびUS−A 3,629,308に記述されている。DE−A 25 58 523に記載のアロファネート基を介して分枝されたポリシロキサンポリオキシアルキレンコポリマーマルチプライが特に興味深い。別の有機ポリシロキサン、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪アルコール、パラフィンオイル、ひまし油またはリシノール酸エステル、トルコ赤油、落花生油および気泡調節剤、例えばパラフィン、脂肪アルコールおよびポリジメチルシロキサン、もまた好適である。乳化作用、充填剤の分散、セル構造の改良のために、かつ/または、それらの安定化のために、側基としてポリオキシアルキレンおよびフルオロアルカン残基を有するオリゴマーポリアクリレートもまた好適である。表面活性物質は、通常、高分子量ポリヒドロキシ化合物(b)および(c)100重量部に対して0.01〜5重量部の量で適用される。反応抑制剤並びに顔料または染料およびそれ自体既知の難燃剤並びに老化および風化作用に対する安定剤、可塑剤および静真菌性および静菌性活性物質も添加してもよい。
【0062】
任意に含まれてもよい表面活性添加剤および気泡安定剤並びに気泡調節剤、反応抑制剤、安定剤、難燃物質、可塑剤、着色剤および充填剤および静真菌性および静菌性活性物質の別の例並びにこれらの添加剤の使用および作用機構に関する詳細は、R.Vieweg,A.Hoechtlen(編者):“Kunststoff−Handbuch”,第VII巻,Carl Hanser−Verlag,ミュンヘン,第3版,1993年,118〜124頁に記述されている。
【0063】
スペーサー層(c)のコア材料として、一般的に、2つのポリウレタン層の間の所定の距離を保証するあらゆる層が好適である。好ましくはスペーサー層(c)のコア材料の密度は、繊維強化ポリウレタン層または層それ自体の密度よりも低い。更に、スペーサー層(c)のコア材料は、生じるルーフモジュールの要求される機械的値が認められるような構造を有するべきである。
【0064】
通常、スペーサー層(c)のコア材料の厚さは1mm〜20mm、好ましくは2mm〜15mm、より好ましくは5mm〜15mmである。
【0065】
スペーサー層(c)のコア材料として、一般的に、2つのポリウレタン層の間の所定の距離を保証するあらゆる層が好適であり、従って、スペーサー層(c)のコア材料は、分離層としても言及される。有利には、スペーサー層(c)のコア材料は、生じるルーフモジュールの安定性、例えばその圧縮強さ、が、スペーサー層(c)を有さないルーフモジュールと比較して悪影響を受けないような構成を有するべきである。更に、生じるルーフモジュールの密度がスペーサー層(c)を有さないルーフモジュールと比較して低減する構成をスペーサー層(c)が有する場合が有利である。
【0066】
好ましい態様において、スペーサー層(c)のコア層は、スペーサー層(c)を有さない対応ルーフモジュールと比較して生じるルーフモジュールの密度が少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、特に少なくとも20%低減するように選択される。更に、好ましい態様において、スペーサー層(c)を有さない対応ルーフモジュールと比較して、スペーサー層(c)は、生じるルーフモジュールの引張強さおよび/または引張弾性率および/または曲げ弾性率が多くても10%低減し、より好ましくは少なくとも10%増加し、特に少なくとも20%増加するように選択される。これらの物理的特性は、上記基準に従って決定される。
【0067】
スペーサー層(c)の好適なコア材料の例は、発泡性プラスチック、例えばEPP、EPC、EPS、の層、および金属、例えばアルミニウムもしくはマグネシウム、の層、または天然材料層、例えば木、カードボードもしくは紙、並びに天然および人工繊維である。安定性の増加のために、上記材料は、好ましくは非平面形態、例えば波形またはハニカム形態である。好ましくはハニカムカードボードがスペーサー層(c)のコア材料として使用される。好ましいハニカム層は、カードボードからなり、平均セルサイズ(cell size)は直径約5mmである。
【0068】
好ましい態様において、その両面がグラスファイバーの層で被覆されたハニカムカードボード層がスペーサー層(c)のコア材料として使用される。グラスファイバー層は、ポリウレタン系の構成部材がそれぞれのハニカムカードボードセルに浸透することを防ぎ、一般的に、厚さ0.01mm〜2mm、好ましくは0.1mm〜1mmであるが、ポリウレタンがコア材料と結合を形成し、そのようにしてしっかりとしたコンポジットを生じるという結果をもたらす。
【0069】
スペーサー層(c)のコア材料は、その主表面に繊維強化、好ましくはグラスファイバー強化、ポリウレタンを含み、有利な機械的特性、例えば高い強度、を有するルーフモジュールを提供する支持体の役割を果たす。本明細書中で使用される用語「繊維強化ポリウレタン」は、強化用繊維含有PURを意味する。繊維は、ポリウレタン系の構成部材に、例えば先行技術で知られているようなLFI法によって、導入され、一般的に、長さ4mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは10mm〜10cmである。要すれば、長い繊維または連続グラスファイバーを、マット、特に編まれたか、撚られた(laid)か、もしくは不織のマット、の形態でポリウレタンに導入することも可能である。
【0070】
用いられる繊維は、グラスファイバー、天然ファイバー、例えば亜麻、ジュートまたはサイザル、人工ファイバー、例えばポリアミドファイバー、ポリエステルファイバー、カーボンファイバーまたはポリウレタンファイバー並びに天然ファイバーまたは金属ファイバーである。グラスファイバーが好ましく使用される。
【0071】
強化用ファイバーは、通常、スペーサー層(c)の総重量に対して、1〜90重量%、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜60重量%、さらにより好ましくは10〜40重量%の量で用いられる。
【0072】
スペーサー層(c)の密度は、通常、0.1〜1.3kg/l、好ましくは0.2〜1.1kg/l、より好ましくは0.2〜0.8kg/lである。この密度を達成するために、圧縮または気泡ポリウレタンが用いられ、ポリウレタン硬質フォームが好ましく使用される。
【0073】
ルーフモジュールにおけるスペーサー層(c)の厚さは、通常、0.1〜100mm、好ましくは0.5〜25mm、より好ましくは1〜20mm、さらにより好ましくは1〜10mmである。
【0074】
ルーフモジュールには、好ましくは、材料層(b)とスペーサー層(c)との間に付着力がある。すなわち、層同士の間の付着力は好ましくは相内の凝集よりも大きい。
【0075】
用いられるスペーサー層(c)のポリウレタンは、材料層(b)に関して上で定義されたのと同じイソシアネート構成部材(a)またはポリオール構成部材(b)から選択されうる。
【0076】
官能性が2〜8、特に2〜4であり、ヒドロキシル価が20〜1000mg KOH/g、好ましくは25〜500mg KOH/gであり、かつ、第1級ヒドロキシ基が10〜100%のポリオール(b)が好ましい。一般的に、ポリオールの分子量は400〜10,000g/mol、好ましくは600〜6000g/molである。高い加水分解安定性のため、ポリエーテルポリオール(b)が特に好ましい。
【0077】
好ましい態様において、少なくとも2種類のポリエーテルポリオール(b)の混合物が使用され、第1ポリエーテルポリオール(b)のOH価は20〜50、好ましくは25〜40であり、第2ポリエーテルポリオール(b)のOH価は100〜350、好ましくは180〜300であり、第1ポリエーテルポリオール(b)対第2ポリエーテルポリオール(b)の重量比は、一般的に99:1〜80:20である。
【0078】
好適なポリエーテルポリオール(b)は、ほとんど、低級アルキレンオキシド、特にエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの、2〜8官能性、特に2〜4官能性、の出発物質への塩基触媒付加によって製造される。第1級ヒドロキシ基の含量は、最終的にポリオール(b)をエチレンオキシドと反応させることによって達成される。
【0079】
更に、いわゆる、低不飽和ポリエーテルオールをポリエーテルポリオール(b)として使用してもよい。本明細書中で使用される用語「低不飽和ポリオール」は、特に、不飽和化合物含量が0.02meq/g以下、好ましくは0.01meq/g以下のポリエーテルアルコール(b)を意味する。そのようなポリエーテルアルコールは、ほとんど、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびそれらの混合物、の、少なくとも2官能性のアルコールへの、いわゆる複合金属シアン化物触媒(double−metal cyanide catalysts)の存在下における付加によって製造される。
【0080】
この場合、イソシアネート反応性化合物(b)は、更に、鎖延長剤および/または架橋剤も含みうる。鎖延長剤は、主に、分子量60〜399の2官能性または3官能性アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール−1,4、ペンタンジオール−1,5である。架橋剤は、分子量60〜499であり、かつ、3以上の活性水素原子を有する化合物、好ましくはアミン、より好ましくはアルコール、例えばグリセロール、トリメチロールプロパンおよび/またはペンタエリトリトール、である。
【0081】
この場合も、触媒(c)として、構成部材(a)と構成部材(b)との反応を大きく加速させる通常の化合物を用いてもよい。例えば、第3級アミンおよび/または有機金属化合物、特に錫化合物、が使用されうる。好ましくは、できるだけ少ない曇りしかもたらさないもの、すなわちポリイソシアネート重付加生成物からできるだけ少ない揮発性化合物の放出しかもたらさないもの、例えば、反応性末端基を有する第3級アミンおよび/または高沸点アミン触媒が触媒として用いられる。例えば、下記化合物が触媒として用いられうる:トリエチレンジアミン、アミノアルキル−および/またはアミノフェニルイミダゾール、例えば、4−クロロ−2,5−ジメチル−1−(N−メチルアミノエチル)イミダゾール、2−アミノプロピル−4,5−ジメトキシ−1−メチルイミダゾール、1−アミノプロピル−2,4,5−トリブチルイミダゾール、1−アミノエチル−4−ヘキシルイミダゾール、1−アミノブチル−2,5−ジメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)イミダゾールおよび/または1−(3−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、有機カルボン酸の錫(II)塩、例えば二酢酸錫(II)、二オクチル酸錫(II)、二エチルヘキサン酸錫(II)および二ラウリル酸錫(II)および有機カルボン酸の二アルキル錫(IV)塩、例えばジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエートおよびジオクチル錫ジアセテート。
【0082】
本発明において用いられるポリウレタンは、ソリッドまたは気泡ポリウレタンである。好ましくは、気泡ポリウレタンであり、気泡ポリウレタンの製造は発泡剤の添加によって達成される。発泡剤(d)として、一般的に知られている化学的または物理的活性化合物が用いられうる。好ましくは水が化学的活性発泡剤として用いられうる。物理的発泡剤の例としては、(環状)脂肪族炭化水素、好ましくは炭素原子を4〜8個、より好ましくは4〜6個、特に5個有する、部分的にハロゲン化された炭化水素またはエーテル、ケトンまたはアセテートが挙げられる。異種発泡剤を単独で用いても互いの任意の混合物において用いてもよい。より好ましくは、水のみが発泡剤として用いられる。物理的発泡剤を使用する場合、それらを構成部材(b)の重量に対して0.5重量%未満の量で用いることが好ましい。
【0083】
用いられる発泡剤の量は、フォームの要求される密度に依存する。
【0084】
反応は、任意に、(e)助剤および/または添加剤、例えば充填剤、気泡調節剤、離型剤、顔料、表面活性化合物および/または酸化、熱もしくは微生物分解もしくは老化に対する安定剤、の存在下において行ってもよい。
【0085】
一般的に、このポリウレタンの製造のために、ポリウレタン系の構成部材、すなわち、ポリイソシアネート(a)とポリオール(b)とを、(a)のNCO基対(b)の反応性水素原子の合計の当量比が好ましくは0.7〜1.5:1、より好ましくは0.9〜1.2:1、特に1〜1.15:1になる量において反応させる。
【0086】
好ましい態様において、ポリウレタン系は、閉気孔またはわずかに開気孔のフォームをポリウレタンマトリクスとして形成するように調節される。というのも、スペーサー層(c)を、特にハニカムボードの場合、環境要因、例えば水蒸気、微生物の攻撃に対して密閉すべきだからである。好ましくは、用いられるポリウレタンフォームの開気孔特性は50%未満、より好ましくは30%未満、さらにより好ましくは0〜10%、特に0〜5%である(DIN EN ISO 7231に従って測定。)。
【0087】
周囲プラスチック材料(d)も、好ましくは、繊維強化ポリウレタン、特にグラスファイバー強化ポリウレタンからなる。この目的のために、上記構成部材および導入方法を用いてもよい。S−RIMまたは長繊維注入材がより好ましい。
【0088】
好ましい態様において、周囲プラスチック材料(d)の厚さは3mm〜40mm、より好ましくはスペーサー層(c)の厚さと同じである。
【0089】
より好ましくは、周囲プラスチック材料(d)の材料は、スペーサー層(c)の最終プライと同じ材料であり、従って、任意にスプレーヘッドにおけるグラスファイバーのセグメント様式の混合によって、または第2スプレーヘッド塗布によって1つの操作で同時に導入してもよい。
【0090】
好ましい態様において、周囲プラスチック材料(d)は、インサートまたはねじ込みインサートを含む。
【0091】
本明細書中で使用される用語「インサート」は、フォームによって囲まれていてもよく、そのようにして握り、サンシェード、ランプ、アンテナおよびルーフモジュールに取り付けられる別の構成部材の取り付けを可能にする金属シートインサートを意味する。
【0092】
本明細書中で使用される用語「ねじ込みインサート」は、ポリマーマトリクスに組み込まれ、そのようにして握り、サンシェード、ランプ、アンテナおよびルーフモジュールに取り付けられる別の構成部材の取り付けの可能性を提供するねじ込みブッシングを意味する。
【0093】
更に、小さなインサートまたはねじ込みインサートを含むドームを形成することも可能である。次にそこに常套の迅速組立スクリュー(quick−assembly screws)を用いてねじ込みを行い、そのようにして上記パーツを取り付けてもよい。
【0094】
周囲プラスチック材料(d)に加えて、そのような材料を、更に材料層(b)の別の露出部のポイントに適用して強化ポイントを提供してもよい。特に非常にコンパクトである、この材料からの横断または長手壁体の構築もまた可能である。
【0095】
ルーフモジュールは、一般的に、輸送用車体、例えば自動車、航空機、船舶および列車のエクステリアパーツの製造だけでなく、例えばフェンダー、トレーリングエッジフラップおよびトランクの蓋の製造にも用いられる。
【0096】
ルーフモジュールの製造方法は以下の通りである:
(A)エクステリアスキン(a)を開放金型に挿入し;
(B)材料層(b)をエクステリアスキン(a)の露出面に適用し;
(C)レジスター(register)に前もって作られたスペーサー層(c)を材料層(b)の露出面に適用し;
(D)周囲プラスチック材料(d)を材料層(b)の表面のなお露出している領域に適用し;かつ
(E)25℃〜140℃の範囲内の金型温度において1分間〜10分間、金型を密閉する。
【0097】
スペーサー層(c)のコア材料は、好ましくは金型の外側がグラスファイバーマットで覆われ、かつ、金型の中またはその外のいずれかにポリウレタン系の構成部材がスプレーされている。もちろん、金型の内側の部分および外側の部分に加工工程を行うこともまた可能である。特に、選択的かつ適合した方法でスプレーを行なう4成分技術がそれ自体この目的に提供される。
【0098】
より好ましくは、加工工程(C)を、スペーサー層(c)の製造のその場での加工工程であって、
(C1)任意にグラスファイバーを含んでいてもよいポリウレタン系構成部材を金型内の挿入材料層(b)の上に導入し;
(C2)スペーサー層(c)のコア層を金型内の導入ポリウレタン系構成部材の上に導入し;
(C3)任意にグラスファイバーを含んでいてもよいポリウレタン系構成部材を金型内のスペーサー層(c)の挿入コア層の上に導入し;かつ、要すれば
(E)金型を密閉し、金型を開ける前に導入ポリウレタン系構成部材を反応させてポリウレタンを形成し、周囲プラスチック材料(d)を金型内に導入し;かつ、
(D1)導入後に金型を再度密閉し、周囲プラスチック材料(d)を反応させる
ことによる、その場での加工工程によって変更してもよい。
【0099】
通常、エクステリアスキン(a)は、工程(A)において一対の金型の下側の金型に挿入されるかまたは金型内コーティングプロセスにおいて導入される。好ましくは、これは、予備成形エクステリアスキン(a)である。すなわち、エクステリアスキン(a)は既に金型と同じ形態を有する。予備成形は、通常の予備成形法、例えば深絞り成形、特に真空深絞り成形、によって行われうる。もちろん、金型内プロセスを用いる場合は、予備成形が省略される。
【0100】
工程(B)において、材料層(b)は、好ましくはエクステリアスキン(a)の露出面にスプレーされる。
【0101】
工程(C1)において、ポリウレタン系構成部材は、最初に金型内の挿入材料層(b)の上に導入される。工程(B)と同様に、ポリウレタン系構成部材の導入は、例えば、高圧もしくは低圧によっていくつかの構成部材を同時にもしくは異なる時間において開放金型に手動でキャスティングすることによって行われる。好適なPU加工マシーンは市販されている(例えば、Elastogran、Isotherm、Hennecke、Krauss Maffeiなどによって市販されている。)。
【0102】
ポリウレタンマシーンを用いて加工を行う場合、加工中、供給コンテナが減圧のもとにあることも有利である。
【0103】
工程(C1)の後、工程(C2)において、スペーサー層(c)のコア層を金型内の予め導入されたポリウレタン系構成部材の上に導入する。
【0104】
スペーサー層(c)のコア材料の導入後、このプロセスの工程(C3)において、ポリウレタン系構成部材を金型内のスペーサー層(c)の挿入コア材料の上に再度導入し、その後、任意に工程(D)において、金型を密閉し、導入ポリウレタン系構成部材の反応を行う。ここで、ルーフモジュールは、スペーサー層(c)を埋め込む2つの繊維強化ポリウレタンを含む。
【0105】
工程(C)におけるスペーサー層(c)の導入は、スペーサー層(c)の外縁が材料層(b)の領域であって、この構成部材の領域の2〜70%、特に10〜25%を占める領域を残すように行うべきである。
【0106】
更に、上記寸法に加えて、ルーフモジュール内のスペーサー層(c)の外縁をルーフモジュールのエッジゾーンに突出しないように選択することが好ましい。
【0107】
ポリウレタン系構成部材の反応および金型の開放後か、または金型の密閉前に、周囲プラスチック材料(d)を材料層(b)の露出領域に適用し、ここで、好ましく用いられるポリウレタン構成部材はスペーサー層(c)のポリウレタン構成部材と共に反応するか、または別々の加工工程において反応する。
【0108】
加工技術的観点から、エクステリアスキン(a)がルーフモジュールの寸法を超えて延在することがしばしば所望される。この場合、オーバーラップしているエクステリアスキン(a)を、好ましくは生じるルーフモジュールから別の加工工程においてトリムする。
【0109】
好ましい態様において、工程(C1)と(C2)において、ポリウレタン系構成部材の導入を、金型の中央部において始め(ショットの開始)、金型の縁部において終了する(ショットの終了)。このことは、特に有利な、エクステリアスキン(a)の下から縁への空気の排除を確実にする。
【0110】
金型の温度は、好ましくは25〜140℃、より好ましくは40〜120℃である。ポリイソシアネート重付加生成物を反応させる場合、出発構成部材の温度は、好ましくは15〜50℃、より好ましくは25〜40℃である。ポリイソシアネート重付加生成物の硬化は、好ましくは、通常1〜10分、より好ましくは2〜4分間で行われる。
【0111】
ルーフモジュールの製造を下記実施例において説明する。
【実施例】
【0112】
エクステリアスキン(a)として、PMMAおよびASA/PCで作られた深絞り成形多層共押出熱可塑性エクステリアスキン(a)を使用した。次に、エクステリアスキン(a)をPUR加工装置の、温度約30℃に制御された下側の金型の開放金型に挿入した。
【0113】
次に、材料層(b)として、機能性スプレー層(Multitec(登録商標))をエクステリアスキン(a)の露出領域に対して厚さ0.5mm〜1.0mmでその全面に適用する。
【0114】
次に、両面がグラスファイバーで被覆され、ポリウレタン反応混合物がスプレーされた層(厚さ10mm)をスペーサー層(c)のコア材料として挿入した。
【0115】
次に、エッジゾーンにプラスチック材料(d)(この場合、これもグラスファイバー強化ポリウレタン反応混合物である。)を提供し、ルーフモジュールを硬化した。
【0116】
実施例1において、ハニカムカードボードの挿入を行ってエッジゾーン部分約15%の構成部材エクステリアスキン(a)を得た。
【0117】
PUR系として、Multitec(登録商標)およびBaydur(登録商標)STR/Baypreg(登録商標)Fおよびそれらから生じる開発システムを用いた。強化材料として、ガラスの割合が約40%のグラスファイバーマット(スペーサー領域中)およびチョップトグラスファイバー(エッジゾーン中)を使用した。PUR浸漬グラスファイバーの挿入の完了後、成形用具を約240秒間密閉した。反応時間の経過後、金型を開け、得られた構成部材を型から取り出し、オーバーラップしているエクステリアスキン(a)を除去した。
【0118】
生じる構成部材の目視検査は、エクステリアスキン(a)のクラスAの表面仕上げを有することを示した。
【0119】
このようにして、自動車用ルーフモジュールを開示している。本発明の態様を示し、説明したが、本発明の概念から逸脱せずに多くの更なる変更が可能であることが当業者に明らかである。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神で制限されない限り、制限されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクステリアスキン(a);
該エクステリアスキン(a)に全面で隣接し、エクステリアスキン(a)の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有し、かつ、本質的に−20℃〜+80℃の範囲内の温度変化におけるコンポジットの変形を防ぐように選択される材料層(b);および
該材料層(b)に隣接するスペーサー層(c)であって、一方または両方の主表面が繊維強化ポリウレタン層によってカバーされたコア材料を備えるスペーサー層(c)
を備える自動車用ルーフモジュールであって、該材料層(b)の周囲はエクステリアスキン(a)の反対側がスペーサー層(c)フリーであり、周囲ゾーンが繊維強化プラスチック材料(d)によってカバーされている、自動車用ルーフモジュール。
【請求項2】
該エクステリアスキン(a)が、プラスチックシート、金属ホイル、または金型内コーティング、特に任意にポリカーボネートもしくはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)のスペーサー層とポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の表面層とを用いて共押し出しされていてもよいシートまたはABSのモノシートを備えることを特徴とする、請求項1に記載のルーフモジュール。
【請求項3】
該エクステリアスキン(a)の厚さが0.2mm〜5mm、特に0.5mm〜1.5mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のルーフモジュール。
【請求項4】
該材料層(b)がポリウレタンポリマーの弾性層を備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のルーフモジュール。
【請求項5】
該材料層(b)が、0.5MPa〜50MPaの弾性率および/または0.3mm〜6mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のルーフモジュール。
【請求項6】
該スペーサー層(c)のコア材料が、発泡プラスチック材料、特にフォーム、金属、特にアルミニウム、または天然材料、特に木、カードボード、紙、動物および/もしくは植物繊維を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のルーフモジュール。
【請求項7】
該スペーサー層(c)のコア材料がハニカムカードボード、特にセルサイズが4mm〜12mmのハニカムカードボードを含有することを特徴とする、請求項6に記載のルーフモジュール。
【請求項8】
該グラスファイバー層がそれぞれ厚さ0.01mm〜2mm、特に0.1mm〜1mmであり、かつ、ポリウレタンポリマーで浸漬されていることを特徴とする、請求項6または7に記載のルーフモジュール。
【請求項9】
該スペーサー層(c)の厚さが4mm〜30mmであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のルーフモジュール。
【請求項10】
該周囲プラスチック材料(d)がグラスファイバー強化ポリウレタンポリマーを含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のルーフモジュール。
【請求項11】
該周囲プラスチック材料(d)の厚さが3mm〜40mmの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のルーフモジュール。
【請求項12】
該周囲プラスチック材料(d)が該材料層(b)の表面積の2〜70%、特に10〜25%をカバーすることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のルーフモジュール。
【請求項13】
該スペーサー層(c)の厚さが周囲プラスチック材料(d)の厚さと同じであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のルーフモジュール。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のルーフモジュールの製造方法であって、
エクステリアスキン(a)を解放金型に挿入する工程;
材料層(b)をエクステリアスキン(a)の露出面に適用する工程;
レジスターに前もって作られたスペーサー層(c)を該材料層(b)の露出面に適用する工程;
周囲プラスチック材料(d)を材料層(b)の表面の露出したままのエリアに適用する工程;
該金型を密閉する工程;および
反応混合物を25℃〜140℃の範囲内の金型温度において1分〜10分間硬化する工程
を特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のルーフモジュールの製造方法。
【請求項15】
該材料層(b)の表面の露出したままのエリアに該周囲プラスチック材料(d)を適用する前に、該金型を密閉し、かつ、該反応混合物を25℃〜140℃の金型温度において1分〜10分間硬化することを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2010−540308(P2010−540308A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526191(P2010−526191)
【出願日】平成20年9月13日(2008.9.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/007615
【国際公開番号】WO2009/043446
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【出願人】(506027147)ヴェバスト アクチェンゲゼルシャフト (7)
【Fターム(参考)】