説明

ループ付き縫合糸のためのアンカー部材

【課題】縫合糸のループを通しての受容が可能であり、縫合糸を組織内によりしっかりと固定し得る、1つ以上のアンカー部材を提供すること。
【解決手段】ループを有する縫合糸と一緒に使用するためにアンカー部材が提供される。このアンカー部材は、第一の端部および第二の端部を有する細長本体を備え得る。この細長本体は、この縫合糸に形成されたループ内への受容のために構成される。このアンカー部材は、これらの第一の端部および第二の端部から間隔を空けた係合部分をさらに備え、この係合部材は、この細長本体をこのループに対して固定するように構成される。ループ付き縫合糸およびアンカー部材を備えるアンカーアセンブリもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2011年3月29日に出願された米国仮特許出願番号61/468,657の利益およびこの米国仮特許出願に対する優先権を主張する。この米国仮特許出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(背景)
(技術分野)
本開示は、ループを有する縫合糸に関する。より特定すると、本開示は、ループ付き縫合糸と一緒に使用するためのアンカー部材に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の背景)
形成されたループを備える縫合糸は、公知である。縫合糸付きのループは代表的に、この縫合糸を組織に固定するために使用される。従来、このループは、縫合糸の第一の端部に形成され、そしてこの縫合糸の第二の端部を受容するように構成される。あるいは、このループ自体が、この縫合糸を組織内に固定するためのアンカーとして働き得る。組織の型、ループのサイズおよび/または縫合糸を形成する材料の特徴に依存して、このループは、この縫合糸が縫合される組織を切り裂いて抜けることを防止するために充分に大きくかつ/または安定ではないかもしれない。さもなければ、この縫合糸のループは、大きすぎかつ/または硬すぎて、遠隔位置または接近することが困難な位置への縫合糸の配置を可能にすることができないかもしれない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、縫合糸のループを通しての受容が可能であり、縫合糸を組織内によりしっかりと固定し得る、1つ以上のアンカー部材を有することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ループを有する縫合糸と一緒に使用するために構成されたアンカー部材であって、該アンカー部材は、
第一の端部および第二の端部を有する細長本体であって、該細長本体は、該縫合糸に形成されたループ内に受容されるために構成されている、細長本体;ならびに
該第一の端部および該第二の端部から間隔を空けた係合部分であって、該細長本体を該ループに対して固定するように構成されている、係合部分、
を備える、アンカー部材。
(項目2)
前記係合部分が、前記縫合糸の前記ループを係合するように構成された放射状の溝を規定する、上記項目に記載のアンカー部材。
(項目3)
前記放射状の溝が凹状である、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目4)
前記係合部分が、前記縫合糸の前記ループを間に受容するように構成された、第一の隆起および第二の隆起を備える、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目5)
前記第一の隆起および前記第二の隆起のうちの少なくとも一方が、該隆起を越えての前記ループの一方向受容を許容するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目6)
前記係合部分が、前記縫合糸の前記ループを間に受容するように構成された、第一の棘付き部分および第二の棘付き部分を備える、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目7)
前記第一の棘付き部分および前記第二の棘付き部分が、該棘付き部分を越えての前記ループの一方向受容を許容するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目8)
前記第一の棘付き部分および前記第二の棘付き部分が、1つずつの棘を備える、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目9)
前記第一の棘付き部分および前記第二の棘付き部分が、それぞれ複数の棘を備える、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目10)
前記細長本体が生体吸収性材料を含有する、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目11)
前記細長本体が実質的に硬い、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目12)
前記細長本体が実質的に円柱形である、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目13)
前記係合部分が、前記細長本体を前記ループに対して選択的に固定するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載のアンカー部材。
(項目14)
遠位端に形成されたループを有する縫合糸;および
該縫合糸の該ループを通して受容されるように構成されたアンカー部材、
を備える、アンカーアセンブリ。
(項目15)
少なくとも第一のアンカー部材および第二のアンカー部材であって、該少なくとも第一のアンカー部材および該第二のアンカー部材が、第一の端部および第二の端部を有する細長本体を備え、該細長本体が、縫合糸に形成されたループ内に受容されるために構成されている、少なくとも第一のアンカー部材および第二のアンカー部材
を備える、キット。
(項目16)
アンカー形成装置をさらに備える、上記項目に記載のキット。
(項目17)
前記第一のアンカー部材および前記第二のアンカー部材のうちの少なくとも一方が、スプール上に提供される、上記項目のうちのいずれか一項に記載のキット。
【0006】
(摘要)
ループを有する縫合糸と一緒に使用するためにアンカー部材が提供される。このアンカー部材は、第一の端部および第二の端部を有する細長本体を備え得る。この細長本体は、この縫合糸に形成されたループ内への受容のために構成される。このアンカー部材は、これらの第一の端部および第二の端部から間隔を空けた係合部分をさらに備え、この係合部材は、この細長本体をこのループに対して固定するように構成される。ループ付き縫合糸およびアンカー部材を備えるアンカーアセンブリもまた提供される。
【0007】
(要旨)
ループを有する縫合糸と一緒に使用するためにアンカー部材が提供される。このアンカー部材は、第一の端部および第二の端部を有する細長本体を備え得る。この細長本体は、この縫合糸に形成されたループ内への受容のために構成される。このアンカー部材は、これらの第一の端部および第二の端部から間隔を空けた係合部分をさらに備え、この係合部材は、この本体部分をこのループに対して固定するように構成される。
【0008】
1つの実施形態において、この係合部分は、放射状の溝を規定し得る。この放射状の溝は、この縫合糸のループを係合するように構成され得る。別の実施形態において、この係合部分は、第一の隆起および第二の隆起を備える。この第一の隆起およびこの第二の隆起は、間にこの縫合糸のループを受容するように構成され得る。あるいは、この係合部分は、第一の棘付き部分および第二の棘付き部分を備える。この第一の棘付き部分およびこの第二の棘付き部分は、間にこの縫合糸のループを受容するように構成され得る。この第一の棘付き部分およびこの第二の棘付き部分は、1つずつの棘を備え得る得か、またはその代わりに、それぞれが複数の棘を備え得る。1つの実施形態において、この細長本体は、生体吸収性材料を含有し得る。
【0009】
アンカーアセンブリがさらに提供される。このアンカーアセンブリは、遠位端に形成されたループを有する縫合糸、およびこの縫合糸のループを通して受容されるように構成されたアンカー部材を備える。
【0010】
さらに、縫合糸繋留キットが提供される。このキットは、少なくとも第一のアンカー部材および第二のアンカー部材を備える。この第一のアンカー部材およびこの第二のアンカー部材の各々は、第一の端部および第二の端部を有する細長本体を備え得る。この細長本体は、縫合糸に形成されたループ内への受容のために構成され得る。このキットは、アンカー形成装置をさらに備え得る。1つの実施形態において、この第一のアンカー部材およびこの第二のアンカー部材のうちの少なくとも一方は、スプール上に提供される。
【0011】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を図示し、そして上に与えられた本開示の一般的な説明および以下に与えられる実施形態の詳細な説明と一緒になって、本開示の原理を説明するのに役に立つ。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、縫合糸のループを通しての受容が可能であり、縫合糸を組織内によりしっかりと固定し得る、1つ以上のアンカー部材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、本開示の1つ以上のアンカー部材と一緒に使用するためのループ付き縫合糸の1つの実施形態の側面図である。
【図1B】図1Bは、本開示の1つ以上のアンカー部材と一緒に使用するためのループ付き縫合糸の別の実施形態の側面図である。
【図2】図2は、本開示によるアンカー部材の1つの実施形態の側面図である。
【図3】図3は、切り取り線を備える、本開示によるアンカー部材の別の実施形態の側面図である。
【図4】図4は、連続的な本体を備える、本開示によるアンカー部材のなお別の実施形態の側面図である。
【図5】図5は、長手軸方向コアセクションを有する、本開示によるアンカー部材のなお別の実施形態の側面図である。
【図6】図6は、複数の長手軸方向コアセクションを有する、本開示によるアンカー部材のさらに別の実施形態の側面図である。
【図7】図7は、長手軸方向に延びて半径方向に間隔を空けた複数のコアセクションを有する、本開示によるアンカー部材のさらになお別の実施形態の端面図である。
【図8】図8は、丸みを帯びた端部を有する、本開示の別の実施形態の側面図である。
【図9】図9は、錐形の端部を有する、本開示のなお別の実施形態の側面図である。
【図10】図10は、丸みを帯びた第一の端部および凹んだ第二の端部を備える、本開示のさらに別の実施形態の側面図である。
【図11】図11は、テーパ状の本体を備える、本開示のさらになお別の実施形態の斜視図である。
【図12】図12A〜図12Lは、本開示の実施形態による、数種の形状のアンカー部材の端面図である。
【図13】図13は、本開示のアンカー部材の別の実施形態の側面図である。
【図14】図14は、本開示のアンカー部材のさらに別の実施形態の側面図である。
【図15】図15は、本開示のアンカー部材のさらになお別の実施形態の側面図である。
【図16】図16は、図2のアンカー部材および図1Bのループ付き縫合糸の側面図である。
【図17】図17は、図1Bのループ付き縫合糸の開口部に受容された図2のアンカー部材の部分断面側面図である。
【図18】図18は、本開示のアンカー形成デバイスの斜視図である。
【図19】図19は、図18のアンカー形成デバイスの遠位端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
本開示は、ループを有する縫合糸と一緒に使用するためのアンカーに関する。最初に図1Aおよび図1Bを参照すると、ループを備える2つの縫合糸が、一般に縫合糸10、20として示されている。最初に図1Aを参照すると、縫合糸10は、縫合糸10の第一のセクション13を縫合糸10の第二のセクション14と一緒に接合させて、実質的に涙滴型の開口部12aを規定することにより、縫合糸10の第一の端部10aに形成されたループ12を備える。第一のセクション13と第二のセクション14とは、接着剤、溶接、結合または他の任意の適切な方法を使用して、接合され得る。第一のセクション13の近位端13aは、図示されるように、テーパ状表面15を備えて、切開を通しての縫合糸10の受容を容易にし得る。縫合糸10のより詳細な議論については、共有に係る米国特許出願番号12/548,594(2009年8月27日出願、その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0015】
図1Bを少し参照すると、代替の実施形態において、縫合糸20は、1つ以上のループ22を備え、これらのループは、縫合糸20の長さ方向に沿って成形されるか、または他の方法で形成される。ループ22は、実質的に円形の開口部22aを規定する。実質的に円形の開口部を規定するように図示されるが、開口部22aは、代替の形状(楕円形、正方形、矩形および三角形が挙げられるが、これらに限定されない)を規定し得ることが想定される。
【0016】
図示されるように、縫合糸10、20の各々は、モノフィラメント糸11、21から形成される。しかし、縫合糸10、20は、編組された糸、マルチフィラメント糸、および他の外科手術用繊維から形成され得ることが想定される。円形の断面形状を有するように図示されるが、縫合糸10、20の断面形状は、任意の適切な形状であり得る。縫合糸10、20のいずれかまたは両方は、1つ以上の針(図示せず)を、その第二の端部10b、20bに備え得る。縫合糸10、20はまた、その長さ方向に沿って形成された棘16、26を備え得る。1つの実施形態において、縫合糸10、20はまた、ループ内へのアンカー部材の固定を容易にするために、それぞれループ12、22の開口部12a、22a内に形成された棘(想像線で示す)を備え得る。開口部22aは、この開口部を通るアンカー部材の受容を容易にするために、テーパ状であり得ることが想定される。
【0017】
ここで図3〜図15を参照すると、本開示によるアンカー部材の種々の実施形態が示されている。アンカー部材の実施形態は、それぞれループ12、22を有する縫合糸10、20のうちのいずれか一方または両方を参照しながら本明細書中に記載されるが、本開示の局面は、代替の構成のループ、および/または代替の手段によって形成されたループを有する縫合糸と一緒に使用されるために改変され得ることが想定される。
【0018】
ここで図2を参照すると、本開示の1つの実施形態によるアンカー部材が、一般にアンカー部材100として示されている。アンカー部材100は、実質的に円柱形の本体102を備える。円柱形の本体102は、縫合糸10、20のループ12、22内への受容のために構成された直径「d」を有する。1つの実施形態において、円筒形の本体102は、摩擦がアンカー100をループ12、22内に維持するように、ループ12、22を通してのぴったりした受容のために構成される。ループ12の開口部12aの涙滴形状に起因して、アンカー部材100が縫合糸10と一緒に使用される場合、円筒形の本体102は、ループ12の開口部12aよりわずかに大きい直径を有し得る。この様式で、ループ12は、このループを通してのアンカー部材100の受容を許容するために、曲げられ得る。一旦、アンカー部材100が曲げられたループ12の拡大した開口部12a内に受容されると、この曲げ力の解放が、ループ12を曲げられていない状態に戻し、これによって、ループ12をアンカー部材100の円筒形の本体102の周りで収縮させ、そしてアンカー部材100をループ12の開口部12a内に固定する。あるいは、円筒形の本体102は、ループ12、22のそれぞれの開口部12a、22aを通して緩く受容されるために構成され得る。この様式で、一旦、アンカー部材100がループ12、22のそれぞれの開口部12a、22aを通して受容されると、縫合糸10、20に対する張力が、アンカー部材100をループ12、22のそれぞれの開口部12a、22a内に維持するために必要とされる。1つの実施形態において、張力は、棘16、26の組織「T」(図17)との係合によって、縫合糸10に維持される。縫合糸10、20の円筒形の本体102またはループ12、22のうちのいずれかまたは両方が、アンカー部材100をループ12、22のそれぞれの開口部12a、22a内に固定するために、接着剤または他のコーティングを備え得る。この接着剤/コーティングは、体温、水分、空気への曝露および/またはエネルギー(すなわち、光、熱など)を加えることによって、活性化され得ることが想定される。なお別の実施形態において、アンカー部材100および/または縫合糸10、22のそれぞれのループ12、22は、所定の条件に応答して膨張または収縮する、形状変化材料からなり得る。例えば、アンカー部材100は、体温に達すると膨張するように構成され得る。この様式で、アンカー部材100がループ12、22のそれぞれの開口部12a、22aを通して受容され、そして患者の身体内に配置された後に、アンカー部材100は膨張して、アンカー部材100をループ12、22のそれぞれの開口部12a、22aに対して固定する。あるいは、ループ12、22は、所定の条件を達成すると、アンカー部材100の周囲で収縮するように構成され得る。
【0019】
図2を続けて参照すると、円筒形の本体102は、アンカー部材100がループ12、22のそれぞれの開口部12a、22aを通して受容される場合に、縫合糸10、20のそれぞれのループ12、22の両側で組織を係合するために充分な長さ「l」を有する。アンカー部材100は、図2に示されるような、所定の長さで医師に提供され得る。図3および図4を参照すると、代替の実施形態において、アンカー部材100は、医師によって好都合なサイズにされるために構成される。図3を参照すると、アンカー部材100は、アンカー部材100を短くすることを容易にするための切り取り線または弱化部分104を、その長さに沿って備える。切り取り線は、円筒形の本体102に沿って放射状に配置され得る。切り取り線104は、医師が円筒形の本体102を切り取り線104に沿って折り得るかまたは切り得るように、構成され得る。切り取り線104はまた、または代わりに、医師が円筒形の本体102を切断して所定の長さに短くし得るための印を提供し得る。図4を参照すると、アンカー部材100は、その代わりに、アンカー部材100が巻きを解かれてある長さに切断され得るように、ロール上またはスプール上で医師に提供され得る。
【0020】
図1に戻って参照すると、アンカー部材100は、分解性材料、非分解性材料、およびこれらの組み合わせから形成され得、この材料は、縫合糸10、20を形成する材料と同じであっても異なっていてもよい。より具体的には、アンカー部材100は、ポリエステル、ポリオルトエステル、ポリマー薬物、ポリヒドロキシブチレート(polydroxybutyrate)、タンパク質、カーボネート、これらのホモポリマー、これらのコポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される分解性材料から形成され得る。他の実施形態において、アンカー部材100を形成するために利用され得る適切な分解性材料としては、天然コラーゲン材料または合成樹脂(トリメチレンカーボネートおよびテトラメチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートから誘導されるものが挙げられる);カプロラクトン;ジオキサノン;グリコール酸;乳酸;これらのホモポリマー;これらのコポリマー;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、グリコリドとラクチドとをベースとするポリエステル、特に、グリコリドとラクチドとのコポリマーが、アンカー部材100を形成するために利用され得る。
【0021】
アンカー部材100を形成するために利用され得る適切な非分解性材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン);ポリエチレンとポリプロピレンとのコポリマー、およびポリエチレンとポリプロピレンとのブレンド;ポリアミド(例えば、ナイロン);ポリアミン;ポリイミン;ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート);ポリテトラフルオロエチレン;ポリエーテル−エステル(例えば、ポリブタエステル(polybutester));ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,4−ブタンジオール;ポリウレタン;およびこれらの組み合わせが挙げられる。他の適切な非分解性材料としては、シルク、綿、リネン、および炭素繊維などが挙げられる。ポリプロピレンは、アイソタクチックポリプロピレンであっても、アイソタクチックポリプロピレンとシンジオタクチックポリプロピレンまたはアタクチックポリプロピレンとの混合物であってもよい。
【0022】
アンカー部材100は、1つの材料から形成され得るか、またはその代わりに、複数の材料から形成された複合材であり得る。図5を少し参照すると、1つの実施形態において、アンカー部材100の円筒形の本体102は、コアセクション106および外側セクション108を備える。示されるように、コアセクション106は、円筒形の本体102の長さ方向に延びる。あるいは、コアセクション106は、複数のコアセクション106a、106bを含み得る(図6)。コアセクション106は、各々が、同じ材料から形成されても異なる材料から形成されてもよく、そしてそれらの材料は、外側セクション108と同じであっても異なっていてもよい。複合材料の利用は、アンカー部材が望ましい機械特性を有することを可能にし得る。コアセクション106は、充填されずに、すなわち空のままにされ得、これによって中空のアンカー部材100を作製し得ることがさらに想定される。示されるように、コアセクション106と外側セクション108とは、同軸である。図7を参照すると、代替の実施形態において、アンカー部材100の円筒形の本体102は、円筒形の本体102の長さ方向に沿って延びる複数のコアセクション106を備える。コアセクション106は、円筒形の本体120の長さに沿って、部分的に延び得るか、断続的に延び得るか、または全体に延び得る。示されるように、コアセクション106は同軸ではなく、そして様々な直径を有する。
【0023】
アンカー部材100は、当業者の知識の範囲内である任意の技術(例えば、押出し、成形、および/または繊維紡糸など)を使用して形成され得る。いくつかの実施形態において、アンカー部材100は、1本より多くのフィラメントから作製された糸を含み得、この糸は、同じ材料または異なる材料の複数のフィラメントを含み得る。アンカー部材100が複数のフィラメントから作製される場合、アンカー部材100は、任意の公知の技術(例えば、編組、製織または編成など)を使用して作製され得る。アンカー部材100はまた、合わせられて不織縫合糸を製造し得る。アンカー部材100は、形成プロセスの一部として、延伸、配向、捲縮、撚糸、混繊または空気でのもつれを行われて、糸を形成し得る。1つの実施形態において、マルチフィラメントアンカー部材が、編組によって製造され得る。編組は、当業者の知識の範囲内である任意の方法によって行われ得る。
【0024】
アンカー部材100は、1種以上の医学的、外科的に有用な(medico−surgically useful)物質を含有し得る。特定の実施形態において、1種以上の外科的に有用な物質は、1つ以上のコアセクション106(図5〜図7)に、円筒形の本体102を覆うコーティングとして、円筒形の本体102を形成する材料に含浸されて、そして/または他の方法でアンカー部材100に組み込まれて、含まれ得る。医学的、外科的に有用な物質は、治癒プロセスを促進し得、そして/または有利に改変し得、そして/あるいは他の方法で、手順の結果に良い影響を与え得る。特定の実施形態において、この物質は、生物活性な高分子量の蝋および油、天然ポリマー、タンパク質、ならびに多糖類から形成され得る。これらの医学的、外科的に有用な物質は、懸濁粒子、分散可能な粒子、微小球、ナノスフェア、および棒などの形態であり得る。
【0025】
適切な生物活性剤としては、例えば、生物致死剤、抗菌剤、抗生物質、抗増殖剤、医薬(medicant)、増殖因子、成長因子、凝固防止剤、凝固剤、鎮痛薬、麻酔薬、抗炎症剤、創傷修復剤など、化学療法剤、生物学的剤、タンパク質治療剤、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、DNA、RNA、ペプチド、多糖類、レクチン、脂質、生菌剤、診断剤、脈管形成剤、抗脈管形成薬、ポリマー薬物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
生物活性剤としては、治癒プロセスを促進するために有利であり、そして治癒プロセスを促進する傾向がある、物質が挙げられる。例えば、アンカー部材100は、縫合部位に堆積する生物活性剤を与えられ得る。生物活性剤は、その抗菌特性、創傷治癒および/または組織成長を促進する能力、あるいは血栓症などの特定の適応症に関して、選択され得る。いくつかの実施形態において、このような剤の組み合わせが、それぞれの縫合糸10、20のループ12、22への受容前、受容中、または受容後に、アンカー部材100に付けられ得る。
【0027】
用語「抗菌剤」は、本明細書中で使用される場合、単独でかまたは免疫系を補助することによって、病原性であり得る微生物を身体が破壊するかまたはこれらの微生物に抵抗することを補助する剤を包含する。抗菌剤としては、抗生物質、防腐薬、集団感知遮断薬、抗真菌剤、抗ウイルス剤、界面活性剤、金属イオン、抗菌タンパク質およびペプチド、抗菌多糖類、消毒薬およびこれらの組み合わせが挙げられる。組織にゆっくりと放出される抗菌剤がこの様式で付けられて、外科手術または外傷による創傷部位における臨床的感染および潜在的感染と戦うことを補助し得る。ある実施形態において、適切な抗菌剤は、1種以上の溶媒に可溶性であり得る。
【0028】
いくつかの実施形態において、以下の生物活性剤が、単独でかまたは本明細書中に記載される他の生物活性剤と組み合わせて、使用され得る:アントラサイクリン、ドキソルビシン、ミトザントロン、フルオロピリミジン、葉酸アンタゴニスト、メトトレキサート、ミトザントロン、集団感知遮断薬、臭素化フラノンまたはハロゲン化フラノン、ポドフィロトキシン(podophylotoxin)、エトポシド、カンプトテシン、ヒドロキシ尿素、白金錯体、シスプラチン、ドキシサイクリン、メトロニダゾール、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、リファンピンなどのリファマイシン、第四世代ペニシリン(例えば、ウレイドペニシリン、カルボキシペニシリン、メズロシリン(meziocillin)、ピペラシリン、カルベニシリン、およびチカルシリン、ならびにそのアナログまたは誘導体)、第一世代セファロスポリン(例えば、セファゾリンナトリウム(cephazolin sodium)、セファレキシン、セファゾリン、セファピリン、およびセファロチン)、カルボキシペニシリン(例えば、チカルシリン)、第二世代セファロスポリン(例えば、セフロキシム、セフォテタン、およびセフォキシチン)、第三世代セファロスポリン(例えば、ナクセル(naxcel)、セフジニル、セフォペラゾン、セフタジジム、セフトリアキソン、およびセフォタキシム)、ポリビニルピロリドン(PVP)、第四世代セファロスポリン(例えば、セフェピム)、モノバクタム(例えば、アズトレオナム)、カルバペネム(例えば、イミペネム、エトラペネム(ertapenem)およびメロペネム)、アミノグリコシド(例えば、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、およびアミカシン)、MSL群のメンバー(例えば、マクロライド、長時間作用型マクロライド、リンコサミド(lincosamide)、ストレプトグラミン(streptogramin)、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クリンダマイシン、シネロイド(syneroid)、クラリスロマイシン、および硫酸カナマイシン)、ミノサイクリンなどのテトラサイクリン、フシジン酸、トリメトプリム、メトロニダゾール;キノロン(例えば、シプロフロキサシン、オフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、レボフロキサシン、およびトロバフロキサシン(trovafloxacin))、DNA合成インヒビター(例えば、メトロニダゾール)、スルホンアミド(例えば、スルファメトキサゾール、セフィキシムが挙げられるトリメトプリム、スペクチノマイシン、テトラサイクリン、ニトロフラントイン、ポリミキシンB、および硫酸ネオマイシン)、スルバクタムなどのβ−ラクタムインヒビター、クロラムフェニコール、バンコマイシンなどの糖ペプチド、ムピロシン、アンホテリシンBなどのポリエン、フルコナゾールなどのアゾール、ならびに当該分野において公知である他の公知の抗菌剤。
【0029】
他の適切な生物活性剤としては、以下のもののうちの1つ以上が挙げられる:細胞再生を促進する線維化剤、新脈管形成を促進する線維化剤、線維芽細胞移動を促進する線維化剤、線維芽細胞増殖を促進する線維化剤、細胞外マトリックスの沈着を促進する線維化剤、組織再造形を促進する線維化剤、憩室壁刺激原である線維化剤、シルク(例えば、カイコシルク、クモシルク、組換えシルク、生糸、加水分解したシルク、酸で処理したシルク、およびアシル化シルク)、滑石、キトサン、ブレオマイシンまたはそのアナログもしくは誘導体、結合組織成長因子(CTGF)、金属ベリリウムまたはその酸化物、銅、サラシン、シリカ、結晶性シリケート、石英粉末、滑石粉末、エタノール、細胞外マトリックスの成分、酸化セルロース、多糖類、コラーゲン、フィブリン、フィブリノゲン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、N−カルボキシブチルキトサン、RGDタンパク質、塩化ビニルのポリマー、シアノアクリレート、架橋したポリ(エチレングリコール)−メチル化コラーゲン、炎症性サイトカイン、TGFβ、PDGF、VEGF、TNFα、NGF、GM−CSF、IGF−α、IL−1、IL−8、IL−6、成長ホルモン、骨形成タンパク質、細胞増殖因子、デキサメタゾン、イソトレチノイン、17−β−エストラジオール、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール(diethylstibesterol)、シクロスポリンA、全てトランスのレチン酸またはそのアナログもしくは誘導体、ウール(動物ウール、木毛、およびミネラルウールが挙げられる)、綿、bFGF、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクチビン、アンギオポイエチン(angiopoietin)、インスリン様成長因子(IGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、コロニー刺激因子(CSF)、エリスロポイエチン、インターフェロン、エンドセリン−1、アンギオテンシンII、ブロモクリプチン、メチルセルギド(methylsergide)、フィブロシン(fibrosin)、フィブリン、癒着性糖タンパク質、プロテオグリカン、ヒアルロナン、オステオネクチン(secreted protein acidic and rich in cysteine (SPaRC))、トロンボスポンジン、テネイシン(tenacin)、細胞接着分子、デキストランベースの粒子、マトリックスメタロプロテアーゼのインヒビター、マガイニン、組織または腎臓のプラスミノゲン活性化因子、マトリックスメタロプロテアーゼの組織インヒビター、四塩化炭素、チオアセトアミド、組織に損傷を与えるフリーラジカルを封鎖するためのスーパーオキシドジスムターゼ、がん治療のための腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子、インターフェロン、インターロイキン−2または免疫系を増強するための他のリンホカイン、血小板に富む血漿、トロンビン、自己集合ペプチド系などのペプチド、radAベースのアミノ酸などのアミノ酸、超吸収性ヒドロゲル材料などのヒドロゲル、ならびにこれらの組み合わせなど。
【0030】
広範な種々の抗脈管形成因子が、本開示の状況において容易に利用され得る。代表的な例としては、抗浸潤因子(Anti−Invasive Factor);レチン酸およびその誘導体;パクリタキセル(高度に誘導体化されたジテルペノイド);スラミン;メタロプロテアーゼ−1の組織インヒビター;メタロプロテアーゼ−2の組織インヒビター;プラスミノゲン活性化因子インヒビター−1;プラスミノゲン活性化因子インヒビター−2;種々の形態のより軽い「d族」遷移金属(例えば、バナジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ニオブ、およびタンタルなどの遷移金属の種、ならびにそれらの錯体);血小板第4因子;硫酸プロタミン(クルペイン);スルフェート化キチン誘導体(ズワイガニの殻から調製される);スルフェート化多糖類ペプチドグリカン複合体(SP−PG)(この化合物の機能は、エストロゲン、およびクエン酸タモキシフェンなどのステロイドの存在によって増強され得る);スタウロスポリン;マトリックス代謝のモジュレーター(例えば、プロリンアナログ(L−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA)、シスヒドロキシプロリン(cishydroxyproIine)、d,L−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン)が挙げられる)、α,α−ジピリジル、フマル酸β−アミノプロピオニトリル;MDL 27032(4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン);メトトレキサート;ミトザントロン;ヘパリン;インターフェロン;2 マクログロブリン−血清;ChIMP−3;キモスタチン;β−シクロデキストリンテトラデカ硫酸;エポネマイシン(Eponemycin);カンプトテシン;フマギリン金チオリンゴ酸ナトリウム(Fumagillin Gold Sodium Thiomalate)(「GST」);D−ペニシラミン(「CDPT」);β−1−アンチコラゲナーゼ−血清;α2−抗プラスミン;ビサントレン;ロベンザリット二ナトリウム(N−(2)−カルボキシフェニル−4−クロロアントロニリック酸二ナトリウムまたは「CCA」);サリドマイド;アンゴスタチックステロイド(Angostatic steroid);AGM−1470;カルボキシアミノイミダゾール(carboxynaminolmidazole);メタロプロテアーゼインヒビター(例えば、BB94)、これらのアナログおよび誘導体、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
広範な種々のポリマー薬物が、本開示の状況において容易に利用され得る。代表的な例としては、ステロイド抗炎症剤、非ステロイド抗炎症剤、およびこれらの組み合わせが挙げられる。本開示において使用され得る非ステロイド抗炎症剤の例は、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、フェニルブタゾン、ジフルニサル、およびこれらの組み合わせである。使用され得るステロイド抗炎症剤の例は、糖質コルチコイド(例えば、コルチゾンおよびヒドロコルチゾン)、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルプレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾン、およびこれらの組み合わせである。
【0032】
上記生物活性剤は、説明の目的で提供されたが、本開示はそのように限定されないことが理解されるべきである。特に、特定の生物活性剤が上で具体的に記載されたが、本開示は、このような剤のアナログ、誘導体および結合体を含むと理解されるべきである。
【0033】
アンカー部材100はまた、例えば、生物学的に受容可能な可塑剤、酸化防止剤および着色剤を含有し得、これらは、アンカー部材100を形成するために利用されるフィラメント(単数または複数)に含浸され得るか、またはこのアンカー部材上のコーティングに含有され得る。生物活性剤は、当業者の知識の範囲内である任意の方法(例えば、浸漬、噴霧、蒸着、ブラッシング、溶媒蒸発、および配合などが挙げられる)を利用して、アンカー部材100に塗布され得る。
【0034】
円筒形の本体102は、アンカー部材100の可視性を増大させる目的で、染色され得る。医療デバイスに組み込むために適切な任意の色素が使用され得る。このような色素としては、カーボンブラック、骨炭、D&C Green No. 6、およびD&C Violet No. 2が挙げられるが、これらに限定されない。本開示に従うフィラメントは、色素を約数%までの量で添加することによって、染色され得る。他の実施形態において、これらのフィラメントは、色素を約0.2%の量で添加することによって、染色され得る。なおさらなる実施形態において、色素は、約0.06%〜約0.08%の量で添加され得る。
【0035】
ここで図8〜図11を参照すると、本開示のアンカー部材の代替の実施形態が示されている。最初に図8を参照すると、アンカー部材200は、丸みを帯びた第一の端部および第二の端部202a、202bを有する、実質的に円筒形の本体202を規定する。丸みを帯びた端部202a、202bは、それぞれの縫合糸10、20のループ12、22にそれぞれ形成された開口部12a、22a内へのアンカー部材200の受容を容易にする。
【0036】
図9を参照すると、アンカー部材300は、円錐形の第一の端部および第二の端部302a、302bを有する、実質的に円筒形の本体302を規定する。アンカー部材200の丸みを帯びた端部202a、202bと同様に、アンカー部材300の円錐形の第一の端部および第二の端部302a、302bは、ループ12、22にそれぞれ形成された開口部12a、22a内へのアンカー部材300の受容を容易にする。
【0037】
図10を参照すると、アンカー部材400は、丸みを帯びた第一の端部402aおよび凹んだ第二の端部402bを有する、実質的に円筒形の本体402を規定する。凹んだ第二の端部402bは、第二のアンカー部材400の丸みを帯びた第一の端部402aを受容するように構成される。この様式で、複数のアンカー部材400が、アプリケータ(図示せず)のボア内で長手軸方向に重ねられて、アンカー部材400の貯蔵および操作を容易にし得る。丸みを帯びた構成を有する凹部を有するように図示されているが、アンカー部材400の凹んだ端部402bは、この凹部が第二のアンカー部材の第一の端部を受容するように構成されるように、第二のアンカー部材の第一の端部に形状が対応する任意の形状の凹部を備え得る。例えば、アンカー部材は、アンカー部材300に見られるような、円錐形の第一の端部を備え得る。従って、凹んだ第二の端部は、第二の類似の形状のアンカー部材の円錐形の第一の端部を受容するための、円錐形の凹部を規定する。
【0038】
図11を参照すると、アンカー部材500は、実質的にテーパ状の本体502を規定する。テーパ状の本体502は、示されるような、尖った第一の端部502aを備え得る。あるいは、テーパ状の本体502は、切頭円錐であり得る。すなわち、第一の端部502aは、平坦な部分(想像線で示す)を有して、周囲の組織を損傷する可能性を低下させ得る。アンカー部材500のテーパ状の構成は、それぞれの縫合糸10、20のそれぞれのループ12、22の開口部12a、22aを通してのアンカー部材500の受容を容易にする。
【0039】
円形の断面プロフィールを有するように図示されるが、本開示の実施形態は、非円形の断面を有してもよい。ここで図12A〜図12Lを参照すると、本開示の代替の実施形態によるアンカー部材が示されている。本開示のアンカー部材の断面プロフィールは、三角形(図12A)、台形(図12B)、六角形(図12C)、八角形(図12D)、十字形(図12E)、五角形(図12F)、矩形(図12G)、星型(図12H〜図12K)、涙滴形(図12L)または他の任意の適切な断面構成であり得る。先に開示されたアンカー部材の長手軸方向縁部のいずれかまたは全てが、丸みを帯び得ることがさらに想定される。
【0040】
ここで図13〜図15を参照すると、本開示の代替の実施形態によるアンカー部材が示されている。アンカー部材600、700、800の各々は、縫合糸10、20のそれぞれのループ12、22を係合して、アンカー部材600、700、800をループ12、22のそれぞれの開口部12a、22a内に固定するように構成された、係合部分を備える。この様式で、これらの係合部分は、アンカー部材600、700、800を、ループ12、22に対して長手軸方向に固定(fix)または固定(secure)する。アンカー部材600、700、800の各々は、本明細書中で上に記載されたアンカー部材100と実質的に類似であるので、これらの間の違いのみに関して記載される。
【0041】
図13を参照すると、アンカー部材600は、1対の上昇部分または隆起604を有する、実質的に円筒形の本体602を備える。隆起604は、アンカー部材600がそれぞれの開口部12a、22a内に受容される場合に、縫合糸10、20のそれぞれのループ12、22がこれらの隆起間に受容され得るように、間隔を空けられる。隆起604は、円筒形の本体602と一体的に形成され得るか、またはその代わりに、この本体に成形され得るか、溶接され得るか、接着され得るか、もしくは他の方法で適切に付着させられ得る。隆起604の外縁部は、この隆起を越えてのループ12、22の受容を容易にするように、丸みを帯び、そして/またはテーパ状であり得る。隆起604の内縁部は、これらの隆起間でのループ12、22の固定を容易にするように、平坦であり得るかまたは棘付き(図示せず)であり得る。1つの実施形態において、隆起604は、これらの隆起を越えてのループ12、22の受容を容易にするように、圧縮可能な材料から構成され得る。この様式で、隆起604は、圧縮された隆起を越えてのループ12、22の除去を許容するように、平坦にされ得ることがさらに想定される。この様式で、アンカー部材600は、縫合糸10、20のそれぞれのループ12、22に対して選択的に固定される。代替の実施形態において、これらの隆起のうちの少なくとも1つは、このアンカー部材がループを係合することを可能にするために、取り外し可能であり得る。一旦、このループが係合されたら、この隆起は、この係合部材にスライドにより戻されて、ループ12、22を適所にロックし得る。
【0042】
図14を参照すると、アンカー部材700は、凹んだ部分または溝704を備える、実質的に円筒形の本体702を備える。溝704は、アンカー部材700がそれぞれの開口部12a、22a内に受容される場合に、縫合糸10、20のそれぞれのループ12、22を受容するようなサイズにされる。溝704は、図示されるような真っ直ぐまたは平坦であり得るか、あるいはループ12、22をよりしっかりと係合するための輪郭(すなわち、凹状)にされ得る。アンカー部材700は、溝704を備えて形成され得る。あるいは、溝704は、アンカー部材700の形成後に、円筒形の本体702に切り込まれ得るかまたは他の方法で形成され得る。
【0043】
ここで図15を参照すると、アンカー部材800は、間隔を空けた棘804a、804bの第一のセクションおよび第二のセクションを備える、実質的に円筒形の本体802を備える。棘804aは、円筒形の本体802の反対側の端部に向かう第一の方向に延び、そして棘804bは、円筒形の本体802の他方の端部に向かう、第二の逆方向に延びる。複数の棘を有するように示されるが、ループ12、22の両側に1つずつの棘が、ループ12、22をこれらの棘の間に保持するために充分であり得ることが想定される。棘804a、804bは、ループ12、22が棘804a、804bのいずれかを越えて受容され得るように、構成される。一旦、棘804aと804bとの間に受容されると、棘804a、804bは、アンカー部材800がループ12、22のそれぞれの開口部12a、22a内から外れることを防止するように構成される。棘804a、804bのうちのいずれかは、棘804aと804bとの間からのループ12、22の除去を許容するために、圧縮され得ることが想定される。この様式で、アンカー部材800は、縫合糸10、20のそれぞれのループ12、22に対して選択的に固定される。棘804a、804bはまた、アンカー部材800と組織との係合を容易にするように構成され得る。
【0044】
本開示によるアンカー部材の使用が、ここで図16および図17を参照しながら記載される。1つのループ22を有するループ付き縫合糸20を使用するアンカー部材100が参照されるが、他のアンカー部材および他のループ付き縫合糸の間での使用の微妙な違いは、以下の議論から明らかになるはずである。
【0045】
上で議論されたように、アンカー部材100は、医師に所定の固定された長さで提供され得るか、または医師によってあるサイズに形成されることを必要とし得る。アンカー部材100を適切な長さに形成することは、アンカー部材100を切り取り線または弱化部分104(図2)に沿って折ること、あるいはアンカー部材100を鋏(shears)、鋏(clippers)または他の適切な手段で切断することを必要とし得る。アンカー部材100は、ループ22の開口部22aを通しての受容前または受容の際に、ある長さに形成され得る。アンカー部材100は、縫合される組織「T」(図17)に隣接して、ある長さに形成され得ることが想定される。
【0046】
1つの実施形態において、図16に示されるように、一旦、適切な長さのアンカー部材が選択され、そして/またはあるサイズに形成されると、アンカー部材100は、矢印「A」によって示されるように、ループ22の開口部22aを通して挿入される。アンカー部材100は、ループ22の開口部22a内での固定を容易にするために、上記特徴のうちのいずれかを備えるように構成され得る。あるいは、示されるように、アンカー部材100は、縫合糸20を組織「T」に通して受容する際に、ループ22の開口部22a内に固定される。医師により加えられる張力(矢印「B」によって示される)は、アンカー部材100を組織「T」と係合させる。縫合糸20に形成された棘26は、この医師によって加えられた張力を維持する。図17に見られるように、アンカー部材100は、縫合糸20が組織「T」を切り裂いて抜けることを防止する。一旦、ループ22の開口部22aを通して受容されると、縫合糸20は、従来のアンカーまたはエンドエフェクタを有する従来の縫合糸と同様に働く。
【0047】
ここで図18および図19を参照すると、アンカー部材100をある長さに切断するための装置が、一般に、アンカー形成装置50として示されている。形成装置50は、ボア53を規定する実質的に円筒形の本体52を備え、このボアは、連続的なアンカー部材100をこのボアに通して受容するように構成される。アンカー部材100は、ハンドルアセンブリ54内に位置するアンカー部材供給源(すなわち、ロール(図示せず))から、ボア53を通して提供される。ハンドルアセンブリ54は、アンカー部材100をボア53に通して選択的に前進させるように構成される。切断装置50は、1対の刃部材56をさらに備える。刃部材56は、鋭利かつ/または鋸歯状の遠位端を備え得る。刃部材56は、矢印「B」によって示されるように前進して、アンカー部材100を所望の長さに切断するように構成される。ハンドルアセンブリ54内に収容される起動機構(図示せず)は、刃部材56を前進および後退させるように構成される。本体52の遠位端52bに位置するそらせ板58は、アンカー部材100が所定の長さに切断(sever)または切断(cut)され得るように、刃部材56を互いの方に向けて変形させるように構成される。変形の角度に依存して、そらせ板58は、刃56がアンカー部材100に対して真っ直ぐな端部、丸みを帯びた端部、またはテーパ状の端部を形成するように構成され得る。ハンドルアセンブリ54は、刃部材56を加熱および/または振動させてアンカー部材100の切断を容易にするために、刃部材56のうちの一方または両方に作動可能に接続された、ヒーター、超音波発生器または他のエネルギー生成機構をさらに備え得る。切断装置50は、観血手順または非観血手順における使用のために構成され得、そして種々の構成のアンカー部材と一緒に使用するために改変され得る。
【0048】
上記アンカー部材のうちのいずれか1つまたは全てが、外科手術手順中に医師によって使用されるためのキット内に提供され得る。このキットは、所定の長さおよび構成のアンカー部材を備え得る。このキットはまた、または代わりに、医師による選択的なサイズ決定のために、ロール上、スプール上、または他の方法で提供された、連続的なアンカー部材を備え得る。このキットはまた、鋏(scissors)、鋏(shears)、または他の適切な切断デバイスを備え得る。
【0049】
本開示の例示的な実施形態が、添付の図面を参照しながら本明細書中に記載されたが、本開示がこれらの正確な実施形態に限定されないこと、ならびに種々の他の変更および改変が、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者によってこれらの実施形態において行われ得ることが理解されるべきである。例えば、先に開示されたアンカー部材は、縫合糸のループの周りで接合されるように構成された、独立した第一の半体および第二の半体からなり得、その結果、両方の半体の第一の端部が必ずしも、このループの開口部を通過する必要がないかもしれない。この様式で、両方の第一の端部は、アンカー部材をこのループの開口部内によりしっかりと保持するための、拡大した直径を有し得る。
【符号の説明】
【0050】
10、20 縫合糸
12、22 ループ
12a、22a 開口部
16、26 棘
100 アンカー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループを有する縫合糸と一緒に使用するために構成されたアンカー部材であって、該アンカー部材は、
第一の端部および第二の端部を有する細長本体であって、該細長本体は、該縫合糸に形成されたループ内に受容されるために構成されている、細長本体;ならびに
該第一の端部および該第二の端部から間隔を空けた係合部分であって、該細長本体を該ループに対して固定するように構成されている、係合部分、
を備える、アンカー部材。
【請求項2】
前記係合部分が、前記縫合糸の前記ループを係合するように構成された放射状の溝を規定する、請求項1に記載のアンカー部材。
【請求項3】
前記放射状の溝が凹状である、請求項2に記載のアンカー部材。
【請求項4】
前記係合部分が、前記縫合糸の前記ループを間に受容するように構成された、第一の隆起および第二の隆起を備える、請求項1に記載のアンカー部材。
【請求項5】
前記第一の隆起および前記第二の隆起のうちの少なくとも一方が、該隆起を越えての前記ループの一方向受容を許容するように構成されている、請求項4に記載のアンカー部材。
【請求項6】
前記係合部分が、前記縫合糸の前記ループを間に受容するように構成された、第一の棘付き部分および第二の棘付き部分を備える、請求項1に記載のアンカー部材。
【請求項7】
前記第一の棘付き部分および前記第二の棘付き部分が、該棘付き部分を越えての前記ループの一方向受容を許容するように構成されている、請求項6に記載のアンカー部材。
【請求項8】
前記第一の棘付き部分および前記第二の棘付き部分が、1つずつの棘を備える、請求項6に記載のアンカー部材。
【請求項9】
前記第一の棘付き部分および前記第二の棘付き部分が、それぞれ複数の棘を備える、請求項6に記載のアンカー部材。
【請求項10】
前記細長本体が生体吸収性材料を含有する、請求項1に記載のアンカー部材。
【請求項11】
前記細長本体が実質的に硬い、請求項1に記載のアンカー部材。
【請求項12】
前記細長本体が実質的に円柱形である、請求項1に記載のアンカー部材。
【請求項13】
前記係合部分が、前記細長本体を前記ループに対して選択的に固定するように構成されている、請求項1に記載のアンカー部材。
【請求項14】
遠位端に形成されたループを有する縫合糸;および
該縫合糸の該ループを通して受容されるように構成されたアンカー部材、
を備える、アンカーアセンブリ。
【請求項15】
少なくとも第一のアンカー部材および第二のアンカー部材であって、該少なくとも第一のアンカー部材および該第二のアンカー部材が、第一の端部および第二の端部を有する細長本体を備え、該細長本体が、縫合糸に形成されたループ内に受容されるために構成されている、少なくとも第一のアンカー部材および第二のアンカー部材
を備える、キット。
【請求項16】
アンカー形成装置をさらに備える、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記第一のアンカー部材および前記第二のアンカー部材のうちの少なくとも一方が、スプール上に提供される、請求項15に記載のキット。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−205898(P2012−205898A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−69393(P2012−69393)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】