説明

レインウェア

【課題】着用者の手足等の身体の末端部が濡れるのを防止でき、使用状態に応じて簡単に手足等の末端部を露出させることができるレインウェアの提供を図る。
【解決手段】レインウェア1の靴カバー4,手袋7,フード9等のカバー部は、何れも蛇腹状に折り畳まれた状態から引き伸ばして、着用者11の靴12,手13,頭部14に引っ掛けて着用出来て着用が容易であり、靴12,手13,頭部14が濡れるのを防止できる。カバー部4,7,9は裾口3,袖口5,襟口8近くに蛇腹状に折り畳んで、靴12,手13,頭部14を露出させて着用者11の不快感を取り除くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレインウェア、とりわけ、自転車やオートバイ等の二輪車に乗る際に着用して好適なレインウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レインウェアとして、ズボンと上着に上下に分かれたものが知られている。ズボンと上着は、何れも防水性の生地を素材として縫製、もしくは融着等の貼り付け加工をして作製されている。
【0003】
このようなズボンを着用する場合、裾口からの雨水の侵入を防ぐために、ゴム長靴を履いたり、靴を覆う透明なビニール等の合成樹脂材で長靴状に形成された靴カバーを着装したりすることが行われて来た。
【0004】
しかし、例えば、通勤,通学時等においては、ゴム長靴は履き心地等の観点から敬遠されがちであった。また、靴カバーは、ズボンと別体であるため、ズボンと一緒に携行する必要があって紛失し易いものであった。しかも、靴カバーはズボンの裾口との間に隙間が生じて、この隙間から雨水が侵入して靴の中が濡れるという問題が依然として残ってしまう。
【0005】
そこで、この水侵入対策として、靴にまで水が入らないようにズボンの裾口前半部分に鍔状の雨よけが一体に設けられたものが知られている(特許文献1参照)。
【0006】
また、上着の袖口からの雨水の侵入を防ぐために、袖口を無くして袖部端に手袋を一体に形成したものが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−78317号公報
【特許文献2】実用新案登録第3085913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されたズボンでは、風雨が強いときには歩行の際でも鍔状の雨よけの下側から雨水が侵入する可能性がある。また、着用者が例えば自転車に乗ってペダルを漕ぐ際に、靴の前側から吹き込む雨水が鍔状の雨よけの下側から侵入し易い。
【0009】
また、特許文献2に開示された防水手袋付合羽では、手袋が袖部と一体で袖口が無い構造であるため、手袋の着脱の自由が利かず、却って不便なものとなってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、着用が容易で着用者の手足等の身体の末端部が濡れるのを防止でき、使用状態に応じて簡単に着用者の手足等の末端部を露出させることができるレインウェアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のレインウェアにあっては、着用者の身体の末端部分を露出可能な開口部が形成されたレインウェア本体と、開口部の周縁に、身体の末端部に被せる蛇腹状に折り畳み可能なカバー部と、を備え、カバー部は、折り畳まれた状態から引き伸ばして、露出された身体の末端部の先端部分に引っ掛けて被せることが可能であることを特徴としている。
【0012】
ここで、レインウェア本体とは、ズボンであって、開口部はこのズボンの裾部の裾口であり、カバー部とは着用者が履いた靴を覆う靴カバーであってもよい。また、レインウェア本体とは、上着であって、開口部はこの上着の袖部の袖口であり、カバー部とは着用者の手を挿入する手袋であってもよい。更に、レインウェア本体とは、上着であって、開口部はこの上着の襟口であり、カバー部とは着用者の頭部に被せるフードであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カバー部は蛇腹状に折り畳まれた状態から引き伸ばして、着用者の露出された身体の末端部の先端部分に引っ掛けて被せればよいので、着用が容易である。これにより、着用者の身体の末端部が雨水で濡れるのを防止することができる。また、使用状態に応じてカバー部を蛇腹状に折り畳んで、着用者の手足等の身体の末端部を露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るレインウェアのズボンを示す正面図。
【図2】着用したズボンの裾口周りの状態を示す側面図。
【図3】着用したズボンの裾口周りの状態を示す断面図。
【図4】着用者の靴をカバー部で覆った状態を示す図3と同様の断面図。
【図5】本発明に係るレインウェアの上着を示す正面図。
【図6】上着の袖口周りの状態を示す斜視図。
【図7】図6のA−A線に沿う断面図。
【図8】手袋の展開状態を掌側から見た説明図。
【図9】図8のB−B線に沿う断面図。
【図10】上着のフードを折り畳んだ状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0016】
図1〜図4は、レインウェア本体1としてのズボン1Aを示し、図5〜図10は、レインウェア本体1としての上着1Bを示している。
【0017】
ズボン1Aおよび上着1Bは、何れも防水性を有する適宜の生地を素材として縫製、または融着等の貼り付け加工をして作製されている。
【0018】
ズボン1Aは、その裾部2の裾口3に、着用者(図10参照)11が履いた身体の末端部としての靴12に被せてこれを覆うカバー部としての靴カバー4を一体に備えている。
【0019】
靴カバー4は、靴12の底を残してつま先から踵に亘る範囲を被覆可能な大きさと靴12の甲にほぼ沿う広がり形状とをもって、裾口3の周縁から蛇腹状に延設されている。
【0020】
図2〜図4に示す例では、靴カバー4の後部周縁を除いた部分に蛇腹部4aを形成しているが、靴カバー4の全体を蛇腹部4aとして形成してもよい。また、靴カバー4の後部は、靴12の踵の途中までの丈としているが、図4に鎖線で示すように踵の下縁に引っ掛け可能な丈としてもよい。
【0021】
これにより、靴カバー4は、図2,図3に示すように蛇腹状に折り畳んだ、靴12の甲から踵の上側部に亘るコンパクトな縮小状態から、これを引き伸ばして靴12のつま先と踵に引っ掛けて被せた展開使用状態へと、縮小,展開可能とされている。
【0022】
図4に示す靴カバー4の使用状態では、着用者が自転車に乗ってペダルを漕ぐ際には、靴底が直かにペダルPを踏んで靴カバー4がペダル踏み込みの邪魔になることがなく、そして、つま先から雨水が吹き込んで侵入するのを防止することが可能となる。
【0023】
靴カバー4の蛇腹部4aは、後述するように保形機能と、径方向に適宜の伸縮性とが付与されるが、図4に示す使用状態で、靴12のつま先と踵への引っ掛かりを確実にするため、靴カバー4の両側下縁または一側下縁の中央部にゴム帯片を付設して、前後方向に引張り力を付与することも可能である。
【0024】
図5〜図10に示す上着1Bにあっては、袖部5の袖口6に、着用者11の手13を挿し込むカバー部としての手袋7を一体に備えている。
【0025】
手袋7は、本実施形態ではミトンタイプのものとして構成され、掌側は開放して、例えば、自転車のハンドルを掌で直かに握れるようにしている。
【0026】
また、手袋7の甲側には蛇腹部7aが形成され、これにより、図5〜図7に示すように蛇腹状に折り畳んで袖口6近くにコンパクトに縮小した状態から、手袋7に手13を挿入して図8,図9に示すように展開使用した状態へと、縮小,展開可能とされている。
【0027】
また、上着1Bの襟口8には、着用者の頭部14に被せるカバー部としてのフード9を一体に備えている。
【0028】
フード9は全体が蛇腹部9aとして構成され、これにより、図5,図10に示すように蛇腹状に折り畳んで襟口8近くにコンパクトに縮小した状態から、図10の鎖線で示すように展開して着用者11の頭部14に被せた展開使用状態へと、縮小,展開可能とされている。
【0029】
このフード9の場合も、その開口周縁が着用者11の頭部14との引っ掛かりが確実となって、頭部14にフィットし得るように、開口周縁に部分的にゴム帯片を付設して、径方向に引張り力を付与することも可能である。
【0030】
ここで、靴カバー4の蛇腹部4a、手袋7の蛇腹部7a、フード9の蛇腹部9aの形成方法は、レインウェア1の生地自体を蛇腹状にパーマネント加工する他、蛇腹の山部または谷部にゴムや合成樹脂材からなる弾性索条を芯材として付設し、あるいは、蛇腹部4a,7a,9aの部分の生地剛性を高めて蛇腹状に塑性変化加工する等の公知の加工手段を選択的に採用することが可能である。
【0031】
以上の構成からなる本実施形態のレインウェア1によれば、靴カバー4,手袋7,フード9の何れのカバー部も、蛇腹状に折り畳まれた状態から引き伸ばして、着用者11が履いた靴12,手13,頭部14に引っ掛けて被せればよいので、着用が容易である。これにより、着用者11の靴12,手13,頭部14が雨水で濡れるのを防止することができる。また、使用状態に応じてカバー部4,7,9を蛇腹状に折り畳んで、着用者11の靴12,手13,頭部14を露出させて着用者の不快感を取り除くことができる。
【0032】
ここで、カバー部4,7,9を蛇腹状に折り畳んだ場合、何れも開口部3,6,8の周縁部分に縮小状態にまとめられるため、着用者が気になる程の違和感を生じるのを回避することができる。また、自転車やオートバイ等での走行中に、カバー部4,7,9が風であおられて不快なバタツキ音を発生することもない。
【符号の説明】
【0033】
1…レインウェア
1A…ズボン(レインウェア本体)
1B…上着(レインウェア本体)
2…裾部
3…裾口(開口部)
4…靴カバー(カバー部)
5…袖部
6…袖口(開口部)
7…手袋(カバー部)
8…襟口(開口部)
9…フード(カバー部)
11…着用者
12…靴(末端部)
13…手(末端部)
14…頭部(末端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の身体の末端部を露出可能な開口部が形成されたレインウェア本体と、
前記開口部の周縁部に、前記身体の末端部に被せる蛇腹状に折り畳み可能なカバー部と、を備え、
前記カバー部は、折り畳まれた状態から引き伸ばして、露出された前記身体の末端部の先端部分に引っ掛けて被せることが可能であることを特徴とするレインウェア。
【請求項2】
前記レインウェア本体がズボンであって、前記開口部は該ズボンの裾部の裾口であり、前記カバー部は着用者が履いた靴を覆う靴カバーであることを特徴とする請求項1に記載のレインウェア。
【請求項3】
前記レインウェア本体が上着であって、前記開口部は該上着の袖部の袖口であり、前記カバー部は着用者の手を挿入する手袋であることを特徴とする請求項1に記載のレインウェア。
【請求項4】
前記レインウェア本体が上着であって、前記開口部は該上着の襟口であり、前記カバー部は着用者の頭部に被せるフードであることを特徴とする請求項1に記載のレインウェア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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