説明

レクテナ装置

【課題】負荷抵抗の変動に関わらず、最も効率のよい変換効率で動作させる。
【解決手段】並列整流回路13を第1〜第4レクテナ基板19〜22から構成する。並列整流回路13から出力される合成直流電力の出力電圧を電圧検出回路47で検出する。スイッチ制御部50は、出力電圧の検出結果に基づき、負荷回路16及び可変抵抗43の出力側インピーダンスZoを求める。スイッチ制御部50は、出力側インピーダンスZoに基づき、変換効率ηが最大となるレクテナ接続数を決定する。スイッチ制御部50は、第1及び第2スイッチ回路23,24を制御して、決定されたレクテナ接続数に切り替える。これにより、最も効率のよい変換効率で動作させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナで受信したマイクロ波を整流回路で直流電力に変換するレクテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンテナで受信したマイクロ波を整流回路で直流電力に変換するレクテナ装置が知られている(特許文献1参照)。レクテナ装置は、太陽電池パネルを搭載した人工衛星で作られた電力をマイクロ波で地球に送る宇宙太陽光衛星(Solar Power Station:SPS)計画や、有線送電が難しい離島や山頂などへのマイクロ波送電計画などへの利用が期待されている。
【0003】
近年、レクテナ装置はRFID(Radio Frequency Identification)タグなどの応答器にも利用されている。RFIDタグが質問器に近づくと、質問器からRFIDタグにマイクロ波が送信される。RFIDタグは、質問器から送信されたマイクロ波を整流回路により直流電力に変換し、この直流電力を駆動電力として内蔵の負荷回路を動作させる。そして、負荷回路に予め記憶されている情報を応答信号として質問器に返送する。
【0004】
このようなレクテナ装置では、安定した直流電力の供給を実現するために種々の提案がなされている。例えばレクテナ装置を、基板と、基板にn個形成されたアンテナ素子と、各アンテナ素子にそれぞれ別個に接続されたn個の整流回路とから構成する。そして、各整流回路を直列接続すると、レクテナ装置から出力される出力電圧は、個々の整流回路の出力電圧Vをn個加算したV・nになる。また、各整流回路を並列接続すると、レクテナ装置から出力される出力電流は、個々の整流回路の出力電流Iをn個加算したI・nになる。従って、この整流回路を適宜直列または並列接続することで、所望の大きさの直流電力の供給が実現可能となる(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−84685号公報
【特許文献2】特開平8−33243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般にレクテナ装置がマイクロ波(入力電力)を直流電力に変換する変換効率は、整流回路のインピーダンスと、負荷回路の負荷抵抗とがインピーダンスマッチングしたときに最大となることが知られている。
【0006】
しかしながら、負荷回路の負荷抵抗は一定ではなく、機器の動作状況に応じて変動する。つまり、負荷回路内の消費電力が増大すると負荷抵抗は低下し、逆に、消費電力が減少すると負荷抵抗は増加する。その結果、整流回路と負荷回路のインピーダンスマッチングが崩れ、変換効率が低下する。特にRFIDタグでは、大電力を送電する上述のSPSとは異なり小電力を送電するため、負荷抵抗の変動により変換効率が著しく低下すると、負荷回路の動作に必要な駆動電力を確保することができない。
【0007】
この問題を解決するために、例えば特許文献2記載のレクテナ装置を用いれば、アンテナ素子及び整流回路を増やすことで必要な駆動電力を確保可能である。しかしながら、アンテナ素子及び整流回路を増やすとレクテナ装置が大型化するため、RFIDタグのような小型な装置に適用することができない。
【0008】
また、例えば負荷回路に可変抵抗を並列接続し、負荷回路の負荷抵抗の変動が補正されるように可変抵抗の大きさを調整することで、インピーダンスマッチングを図る方法が考えられる。しかしながら、この方法を用いたとしても、負荷回路の消費電力が増加して負荷抵抗が著しく低下した場合には、可変抵抗の調整では対応することができないため、変換効率が低下するという問題は依然として残る。
【0009】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、負荷回路の負荷抵抗の変動した場合、特に負荷抵抗が著しく低下した場合においても最も効率のよい変換効率で動作させることが可能なレクテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するため、本発明のレクテナ装置は、アンテナで受信したマイクロ波を直流電力に変換し、変換した直流電力を駆動電力として負荷回路を作動させるレクテナ装置において、前記マイクロ波を直流電力に変換し、互いに並列に接続された複数の整流回路と、前記複数の整流回路の中から1以上の前記整流回路を選択的に前記アンテナに接続するためのスイッチと、前記負荷回路の回路インピーダンスの大きさを判別する判別手段と、前記判別手段の判別結果に基づいて、前記マイクロ波の入力電力に対する前記直流電力の変換効率が最大となる前記整流回路の接続数を決定し、決定した接続数の前記整流回路が前記アンテナに接続されるように、前記スイッチを動作させるスイッチ制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
前記負荷回路に並列接続された可変抵抗と、前記可変抵抗の大きさを制御する可変抵抗制御手段とを備え、前記判別手段は、前記回路インピーダンスと前記可変抵抗とを合成した第1合成インピーダンスの大きさを取得し、前記スイッチ制御手段は、前記第1合成インピーダンスに基づいて前記変換効率が最大となる前記整流回路の接続数を決定し、前記可変抵抗制御手段は、決定した前記接続数に応じた前記整流回路の第2合成インピーダンスに基づいて、前記第1合成インピーダンスが前記第2合成インピーダンスとインピーダンスマッチングするように前記可変抵抗の大きさを制御することが好ましい。これにより、第1及び第2合成インピーダンスを完全にマッチングさせて、より最適な変換効率で動作させることができる。
【0012】
前記直流電力の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、前記接続数のそれぞれについて、前記出力電圧の大きさに対する前記第1合成インピーダンスの第1の関係を予め記憶した第1の記憶手段とを備え、前記判別手段は、前記第1の関係を参照して、前記出力電圧検出手段の検出結果に対応する前記第1合成インピーダンスの大きさを取得することが好ましい。これにより、測定困難な負荷回路の回路インピーダンス(例えば負荷抵抗)を実測することなく、第1合成インピーダンスを容易に求めることができる。
【0013】
前記判別手段は、前記負荷回路の動作状況から前記負荷回路の消費電力の大きさを推定して、前記消費電力の推定結果に基づき、前記第1合成インピーダンスの大きさを取得することが好ましい。これにより、出力電圧を検出する電圧検出回路等が不要となり、レクテナ装置のコストダウン及び小型化を図ることができる。
【0014】
前記接続数のそれぞれについて、前記第1合成インピーダンスに対する前記変換効率の第2の関係を予め記憶した第2の記憶手段を備え、前記スイッチ制御手段は、前記第2の関係を参照して、前記判別手段により取得された前記第1合成インピーダンスに対して、前記変換効率が最大となる前記接続数を決定することが好ましい。
【0015】
前記第2の関係は、前記接続数のそれぞれについて、他の接続数のときよりも前記変換効率が高くなる前記第1合成インピーダンスの範囲が予め設定されているデータテーブルであることが好ましい。これにより、第1合成インピーダンスの判別結果から直接的に変換効率が最大となる整流回路の接続数を決定することができる。その結果、整流回路の接続数の決定処理を迅速に行うことができる。
【0016】
前記負荷回路の起動時は、前記接続数が1に設定されていることが好ましい。これにより、負荷回路の起動時において、少なくとも負荷回路の起動電力だけは確保することができる。
【0017】
前記スイッチ制御手段は、前記直流電力の出力電圧が定格電圧を超えたときに、前記接続数を増やすことが好ましい。これにより、出力電圧が定格電圧を超えてしまうときは、整流回路の接続数を増加させて出力電圧を下げることができる。その結果、負荷回路の破壊が防止される。
【0018】
前記複数の整流回路と前記負荷回路との間に、前記直流電力の出力電圧を前記負荷回路の動作電圧まで昇圧させる昇圧回路が設けられていることが好ましい。これにより、負荷回路の回路インピーダンス(第1合成インピーダンス)の大きさに関わらず、出力電圧を負荷回路の動作電圧まで昇圧させることができる。
【0019】
前記複数の整流回路は、それぞれ同一回路パターンを有する複数の基板に設けられていることが好ましい。これにより、解析設計が複雑で難しいレクテナ基板を複数種類用意する必要がなくなるため、製造コストが抑えられる。
【0020】
前記複数の基板は、積層されていることが好ましい。これにより、各基板間の配線長を短くすることができる。その結果、マイクロ波を直流電力に変換する際の損失を抑えることができる。さらに、レクテナ装置の小型化が可能となる。
【0021】
前記複数の整流回路は、同一基板上に並列に形成された複数の回路パターンにより構成されており、前記複数の回路パターンは、互いに隣接する回路パターンが対称性を有するように形成されていることが好ましい。これにより、基板を積層した場合よりも厚みを薄くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のレクテナ装置によれば、負荷回路の回路インピーダンスの大きさを判別して、この判別結果に基づき、変換効率が最大となる整流回路の接続数を決定し、決定した接続数の整流回路が前記アンテナに接続されるようにしたので、負荷回路の消費電力の急激な増加により負荷回路の回路インピーダンスが著しく低下した場合でも、最適な変換効率で動作させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に示すように、本発明の第1実施形態のRFIDタグ10(レクテナ装置)は、携帯電子機器や非接触ICカード(図示せず)等の移動体に組み込まれているものであり、大別して、アンテナ11と、方向性結合器12と、並列整流回路13と、切替スイッチ14と、電源安定昇圧回路15と、負荷回路16と、復調回路17と、変調回路18とから構成される。
【0024】
アンテナ11は、RFIDタグ10が質問器(図示せず)に近づいたときに、質問器から送信されるマイクロ波を受信する。なお、本実施形態で使用されるマイクロ波の基本周波数は、ISM(Industry Science Medical)バンドである2.45GHz帯である。アンテナ11で受信されたマイクロ波は、方向性結合器12に入力される。
【0025】
方向性結合器12は、アンテナ11から入力されるマイクロ波の一部(例えば−10dB程度)を駆動電源用に並列整流回路13に出力し、残りを質問信号として切替スイッチ14に出力する。並列整流回路13は、入力されたマイクロ波を直流電力に変換して出力する。この並列整流回路13から出力された直流電力は、電源安定昇圧回路15を経て負荷回路16に入力される。電源安定昇圧回路15は、並列整流回路13から出力される直流電力の電圧変動やノイズを抑制するとともに、その直流電力の出力電圧を負荷回路16の動作電圧まで昇圧させる。
【0026】
切替スイッチ14は、方向性結合器12より入力されるマイクロ波(質問信号)を復調回路17に向けて出力し、変調回路18より入力されるマイクロ波(応答信号)を方向性結合器12に向けて出力する。復調回路17は、切替スイッチ14からのマイクロ波を元の質問信号に復調する。復調された質問信号は、負荷回路16に入力される。
【0027】
負荷回路16は、CPU16aやメモリ16b等から構成されており、電源安定化回路15を経て入力される直流電力を駆動電力として作動する。CPU16aは、質問信号が入力されたら、メモリ16bにアクセスして予め記憶されている応答信号を変調回路18に入力する。変調回路18は、応答信号をマイクロ波に変調する。変調されたマイクロ波は、切替スイッチ14及び方向性結合器12を経てアンテナ11より出力される。
【0028】
質問器(図示せず)は、RFIDタグ10より送信されるマイクロ波を受信・復調することで、RFIDタグ10が組み込まれた移動体またはこの移動体を所持している人を認識する。
【0029】
図2に示すように、並列整流回路13は、本発明の複数の整流回路に相当する第1〜第4レクテナ基板19〜22と、第1スイッチ回路23と、第2スイッチ回路24とから構成されている。第1レクテナ基板19は、伝送線路25aを介してアンテナ11(方向性結合器12)に直列接続されるとともに、伝送線路25bを介して負荷回路16(電源安定昇圧回路15)に直列接続されている。第2〜第4レクテナ基板20〜22は、第1及び第2スイッチ回路23,24を介して第1レクテナ基板19に並列接続されている。つまり、第1〜第4レクテナ基板19〜22は互いに並列接続されている。
【0030】
図3及び図4に示すように、第1〜第4レクテナ基板19〜22はそれぞれ入力されたマイクロ波を直流電力に変換する同一の回路基板であり、下から第1レクテナ基板19、第2レクテナ基板20、第3レクテナ基板21、第4レクテナ基板22の順に積層されている。なお、各レクテナ基板19〜22の積層順序は特に限定はされない。このように、各レクテナ基板19〜22を積層することで、各レクテナ基板間の配線長を短くすることができる。これにより、マイクロ波を直流電力に変換する際の損失を抑えることができる。さらに、各レクテナ基板19〜22を積層することで小型化が可能となり、RFIDタグ10等の小型の応答器に内蔵可能となる。
【0031】
各レクテナ基板19〜22には、それぞれ同一の回路パターン31が形成されている。各レクテナ基板19〜22の回路パターン31を共通化することで、解析設計が複雑で難しいレクテナ基板を複数種類用意する場合よりも、製造コストが抑えられる。
【0032】
回路パターン31には、マイクロ波入力部32、コンデンサ実装部33、ダイオード実装部35、ローパスフイルタ(LPF)36、直流電力出力部37がマイクロ波の入力側から順に形成されている。第1レクテナ基板19のマイクロ波入力部32は、伝送線路25aに直接接続され、第2〜第4レクテナ基板20〜22のマイクロ波入力部32は、第1スイッチ回路23を介して伝送線路25aに接続される(図2参照)。
【0033】
コンデンサ実装部33には、直流(DC)カット用のコンデンサ38が実装されている。コンデンサ38としては、例えばチップセラミックコンデンサ(10pF)が用いられる。コンデンサ38は、ダイオード39により整流された直流電力がアンテナ11側に出力されるのを防止する。なお、コンデンサ38としては、入力されたマイクロ波の高調波信号がダイオード39に効率良く伝送されるように、インピーダンスが充分に低いものを用いることが好ましい。
【0034】
ダイオード実装部35にはダイオード39が実装される。ダイオード39としては、例えばUHF帯の高周波検波・ミキサ用のショットキーバリアダイオードが使用される。ダイオード39のアノードは、回路パターン31に形成されたビアホール42を介して、基板の反対面側に形成されたGNDパターン(図示せず)に接続されている。また、ダイオード39のカソードは、マイクロ波入力部32と直流電力出力部37との間の線路に接続されている。ダイオード39は、マイクロ波を整流して直流に変換する。
【0035】
LPF36は、回路パターン31のオープンスタブにより形成されている。LPF36は、ダイオード39の出力から漏れ出してくる基本周波数の信号や、整流時に生じる高調波成分の信号を遮断して、負荷回路16に高調波信号が流れることを防止する。また、LPF36は、ダイオード39により整流された直流を平滑化する。LPF36で平滑化された直流電力は、直流電力出力部37より出力される。第1レクテナ基板19の直流電力出力部37は、伝送線路25bに直接接続され、第2〜第4レクテナ基板20〜22の直流電力出力部37は、第2スイッチ回路24を介して伝送線路25bに接続される(図2参照)。
【0036】
図2に戻って、第1スイッチ回路23は、各レクテナ基板19〜22の中から1以上のレクテナ基板を選択的にアンテナ11に接続するためのものであり、スイッチ23a〜23cを備えている。スイッチ23a〜23cは、それぞれ独立にON/OFF切替可能である。スイッチ23aは、第2レクテナ基板20とアンテナ11との接続をON/OFFし、スイッチ23b,23cは、それぞれ第3,第4レクテナ基板21,22とアンテナ11との接続をON/OFFする。
【0037】
スイッチ23a〜23cとしては、例えばGaAsMMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)スイッチなどの高周波スイッチが用いられる。また、ダイオード、電界効果トランジスタ(FET)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などからなるスイッチを用いてもよい。なお、第1スイッチ回路23は、マイクロ波の電力損失を抑えるため、各レクテナ基板19〜22とのインピーダンス整合がとれるように調整されている。
【0038】
第2スイッチ回路24は、第1スイッチ回路23と同じものであり、スイッチ24a〜24cとから構成されている。スイッチ24aは、第2レクテナ基板20と伝送線路25b(負荷回路16)との接続をON/OFFし、スイッチ24b,24cは、それぞれ第3,第4レクテナ基板21,22と伝送線路25bとの接続をON/OFFする。スイッチ23aのON/OFFに連動してスイッチ24aはON/OFFされる。同様にスイッチ23b,23cのON/OFFに連動して、スイッチ24b,24cもそれぞれON/OFFされる。
【0039】
スイッチ23a〜23c,24a〜24cを全てOFFにした場合には、アンテナ11に接続されるのは第1レクテナ基板19のみとなる。つまり、第1レクテナ基板19は、常時アンテナ11及び負荷回路16に接続される。これにより、マイクロ波受信時に少なくとも第1レクテナ基板19は必ず動作される。その結果、第2〜第4レクテナ基板20〜22を使用しない場合に、OFF状態のスイッチ23a〜23cの入力側で生じる反射電力(マイクロ波)を第1レクテナ基板19で直流電力に変換することができる。よって、スイッチ23a〜23cの入力側での反射による損失を吸収することができる。
【0040】
スイッチ23a,24aのみがONされると、第2レクテナ基板20がアンテナ11に接続される。さらに、スイッチ23b、24bがONされると、第3レクテナ基板21もアンテナ11に接続される。そして、全てのスイッチ23a〜23c,24a〜24cがONされると、全てのレクテナ基板19〜22がアンテナ11に接続される。
【0041】
このように、各スイッチ23a〜23c,24a〜24cをそれぞれON/OFFすることで、アンテナ11に接続されるレクテナ基板の接続数(以下、単にレクテナ接続数という)を1〜4の範囲で任意に変えることができる。この際に、各レクテナ基板19〜22は、個々にインピーダンスを持っている。このため、レクテナ接続数を変えると、並列整流回路13の合成インピーダンス(以下、入力側インピーダンスZiという)が変化する。具体的には、各レクテナ基板19〜22は、両スイッチ回路23,24を介して互いに並列接続されているため、レクテナ接続数が増えると入力側インピーダンスZi(第2合成インピーダンス)は小さくなり、逆に減ると入力側インピーダンスZiは大きくなる。
【0042】
第1レクテナ基板19から出力される直流電力と、第2〜第4レクテナ基板20〜22から出力される直流電力とは、第2スイッチ回路24を介して伝送線路25bで電力合成され後、負荷回路16に向けて出力される。なお、以下の説明では並列整流回路13から出力される直流電力を合成直流電力と定義して説明を行う。
【0043】
並列整流回路13から出力される合成直流電力は、電源安定昇圧回路15(図1参照)を経て負荷回路16に入力される。なお、図示は省略するが、並列整流回路13と負荷回路16との間に、コンデンサなどからなり、第1及び第2スイッチ回路23,24が切り替えられる際の合成直流電力の電圧変動を抑える蓄電機能部(回路)を設けてもよい。
【0044】
負荷回路16には、可変抵抗43が並列接続されている。可変抵抗43は、一端が伝送線路25bに接続され、他端がGND端子等に接地されている。可変抵抗43としては、例えば電圧印加により抵抗値ZVRを可変可能な各種の可変抵抗素子(MOSFET等)が用いられるが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種可変抵抗を用いてよい。
【0045】
可変抵抗43の抵抗値ZVRを増減することで、負荷回路16の負荷抵抗(回路インピーダンス)Zと、可変抵抗43の抵抗値ZVRとの合成インピーダンス(以下、単に出力側インピーダンスZoという)を調整することができる。これにより、CPU16a等の消費電力の増減による負荷回路16の負荷抵抗Zの変動をある程度吸収することができる。この出力側インピーダンスZo(第1合成インピーダンス)は、下記式(1)で表される。
(1)Zo=(Z×ZVR)÷(Z+ZVR
【0046】
入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoの調整は、インピーダンスマッチング制御回路(以下、単に制御回路という)45により行われる。制御回路45は、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoをインピーダンスマッチング(以下、単にマッチングという)させることで、マイクロ波の入力電力に対する合成直流電力の変換効率ηを最適に調整する。
【0047】
変換効率ηは、マイクロ波の入力電力をPINRF、合成直流電力をPoutDC、合成直流電力の出力電圧をVoutDCとしたときに、下記(2)、(3)式に基づいて下記(4)式で表される。
(2)η=PoutDC/PINRF
(3)PoutDC=(VoutDC)/Zo
(4)η=(VoutDC)/(Zo×PINRF)
【0048】
上記式(4)で表される変換効率が最大となるのは、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoが完全にマッチングしてZo=Ziとなる場合である。両者をマッチングさせる際に、入力側インピーダンスZiはレクテナ接続数に応じて変わる。このため、レクテナ接続数が変わると、入力側インピーダンスZiにマッチングする出力側インピーダンスZoも変わる。さらに、レクテナ特有の性質としてZi、Zoが完全にマッチングしたときのレクテナ接続数ごとの変換効率ηの最大値も異なる。以下、レクテナ接続数ごとの出力側インピーダンスZoと変換効率ηとの関係について、下記表1及びこの表1をグラフ化した図5(A)を用いて説明する。
【0049】
【表1】

【0050】
表1に示すように、レクテナ接続数1〜4においてそれぞれ出力側インピーダンスZoを27Ω、50Ω、180Ω、270Ω、560Ω、780Ω、1000Ωと変えた時の出力電圧VoutDCを測定し、この出力電圧測定結果をそれぞれ上記式(3)、(4)に代入して合成直流電力PoutDC及び変換効率ηを求めた。なお、出力電圧VoutDCは、電圧検出回路47(図2参照)により測定した。
【0051】
表1のデータは、入力電力PINRFを10mWに固定した状態で測定されたものである。また、レクテナ接続数「1」のときは第1レクテナ基板19のみ、レクテナ接続数「2」のときは第1及び第2レクテナ基板19,20、レクテナ接続数「3」のときは第1〜第3レクテナ基板19〜21、レクテナ接続数「4」のときは第1〜第4レクテナ基板19〜22をそれぞれアンテナ11及び負荷回路16に接続している。
【0052】
図5(A)に示すように、レクテナ接続数が増えるに従って、変換効率ηがピーク値ηmaxとなる出力側インピーダンスZoの値が小さくなるとともに、変換効率のピーク値ηmaxも小さくなる。具体的には、レクテナ接続数「1」のときはZo=270Ω(Z1P)でηmax=65%となり、レクテナ接続数「2」のときはZo=180Ω(Z2P)付近でηmax=62%、レクテナ接続数「3」のときはZo=50Ω(Z3P)付近でηmax=54%、レクテナ接続数「4」のときはZo=27Ω(Z4P)付近でηmax=48%となる。
【0053】
ηmax〜ηmaxを比較するとηmaxが最も大きくなる。従って、レクテナ接続数を1に切り替えて、可変抵抗43の増減により出力側インピーダンスZoをZ1Pに調整すれば、最も効率の良い変換効率で直流電力を確保することができる。しかしながら、出力側インピーダンスZoは、上記式(1)で表される負荷回路16と可変抵抗43との合成インピーダンスである。従って、負荷回路16の消費電力が増加して負荷抵抗Zが著しく低下した場合には、抵抗値ZVRを最大にしても出力側インピーダンスZoの増加には限界がある。その結果、レクテナ接続数が1のままでは入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoのマッチングがとれず、レクテナ接続数2〜4のときよりも変換効率ηが低下してしまう場合がある(後述する図5(B)のWZ2〜WZ4の範囲内の点線部分)。
【0054】
そこで、このような場合には、レクテナ接続数を1から2〜4に切り替えて、入力側インピーダンスZiを下げることで、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoのマッチングをとる。このため、制御回路45は、出力側インピーダンスZoに応じて、最適な変換効率が得られるレクテナ接続数を選択する。以下、レクテナ接続数の選択の一例について説明を行う。
【0055】
詳しくは後述する方法で出力側インピーダンスZoが求められたら、図5(A)に示したような出力インピーダンスZoと変換効率ηとの関係を参照して、出力側インピーダンスZoの値から各レクテナ接続数のそれぞれにおける変換効率ηを求める。そして、求められた各変換効率ηの値を比較して、変換効率ηが最も大きくなるレクテナ接続数を選択する。
【0056】
図5(B)は、図5(A)中の出力インピーダンスの各値において最も高い変換効率の値のみを示している。図5(B)に示すように、レクテナ接続数1が最も変換効率が高くなる出力側インピーダンスZoの範囲をWZ1としたときに、求められた出力側インピーダンスZoがWZ1の範囲内であればレクテナ接続数1が選択される。同様に、レクテナ接続数2,3,4が最も変換効率が高くなる出力側インピーダンスZoの範囲をそれぞれWZ2,WZ3,WZ4としたときに、求められた出力側インピーダンスZoがWZ2,WZ3,WZ4の範囲内であれば、それぞれレクテナ接続数2,3,4が選択される。なお、図中のZaは、範囲WZ1とWZ2との境界値となる出力側インピーダンスZoの値であり、Zb,Zcは、それぞれ範囲WZ2とWZ3との境界値、WZ3とWZ4との境界値となる出力側インピーダンスZoの値である。
【0057】
このように、出力側インピーダンスZoがWZ2〜WZ4の範囲内まで低下した場合には、レクテナ接続数を増やして入力側インピーダンスZiを低下させることで、両インピーダンスZo,Ziのマッチングをとる。これにより、レクテナ接続数を1のままにした時と比較して変換効率ηを上げることができる。
【0058】
図2に戻って、制御回路45は、最適なレクテナ接続数を選択する際に出力側インピーダンスZoを最初に求める。出力側インピーダンスZoは、合成直流電力PoutDCの出力電圧VoutDCから求められる。
【0059】
電圧検出回路47は、本発明の出力電圧検出手段に相当するものであり、出力電圧VoutDCを検出する。電圧検出回路47は、その一端が可変抵抗43よりも並列整流回路13側で伝送線路25bに接続されるとともに、その他端がGND端子等に接地されており、負荷回路16及び可変抵抗43に対して並列接続されている。電圧検出回路47は、検出した出力電圧VoutDCを制御回路45に入力する。なお、出力電圧VoutDCを検出可能であれば、電圧検出回路の種類は特に限定されず、電圧検出回路47を接続する位置も上記位置に限定はされない。
【0060】
ここで、出力電圧VoutDCと出力側インピーダンスZoの関係は、上記式(4)に基づき図5(A),(B)の縦軸「変換効率(%)」をそれぞれ「出力電圧(V)」に置き換えた図6(A),(B)で示される。
【0061】
図6(A)に示すような、出力電圧VoutDCと出力側インピーダンスZoとの関係を予め求めておくことで、現在のレクテナ接続数情報と出力電圧VoutDCとから、出力側インピーダンスZoが求められる。また、求められた出力側インピーダンスZoと、既知の可変抵抗43の抵抗値ZVRとに基づき、上記式(1)から負荷回路16の負荷抵抗Zも求められる。このように、並列整流回路13から出力される出力電圧VoutDCを検出した結果に基づき出力側インピーダンスZoを求めるようにしたので、測定困難な負荷回路16の負荷抵抗Zを実測する手間が省ける。
【0062】
求められた出力側インピーダンスZoがWZ1の範囲内にある場合には、レクテナ接続数
は「1」が選択されるため、図6(B)に示すように、出力電圧VoutDCはWV1の範囲内になる。この場合には、出力電圧VoutDCが1.32V(V1P)となった時に、出力側インピーダンスZoがZ1Pとなり、変換効率ηが最大になる(表1参照)。従って、レクテナ接続数を1に設定した後、出力電圧VoutDCがV1Pとなるように、可変抵抗43の抵抗値ZVRを増減させて出力電圧VoutDCを増減させることで、出力側インピーダンスZoをZ1Pに調整することができる。これにより、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoを完全にマッチングさせることができる。
【0063】
また、出力側インピーダンスZoがWZ2,WZ3,WZ4の範囲内にある場合には、レクテナ接続数はそれぞれ2、3、4が選択されるため、出力電圧VoutDCはそれぞれWV2,WV3,WV4の範囲内となる。この場合も同様に、出力電圧VoutDCがV2P、V3P、V4Pとなるように可変抵抗43の抵抗値ZVRを増減させることで、出力側インピーダンスZoをそれぞれZ2P、Z3P、Z4Pに調整して、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoを完全にマッチングさせることができる。なお、例えば出力電圧V4Pは0.4Vを下回っているが、上述の電源安定昇圧回路15により負荷回路16の駆動電圧まで昇圧される。
【0064】
可変抵抗43の抵抗値ZVRを調整する際に、可変抵抗43の調整可能範囲を超えてしまうと、出力電圧VoutDCをV1P〜V4Pに調整できない場合がある。この場合には、可変抵抗43の抵抗値ZVRを最大または最小にして、出力電圧VoutDCを可能な限りV1P〜V4Pに近づければよい。
【0065】
図2に戻って、制御回路45は、スイッチ制御部50と可変抵抗制御部51とから構成されている。スイッチ制御部50は、本発明の判別手段及びスイッチ制御手段に相当するものであり、各スイッチ23a〜23c,24a〜24cのON/OFFを制御する。スイッチ制御部50には、第1演算式記憶部53(第1の記憶手段)と第2演算式記憶部54(第2の記憶手段)とが設けられている。
【0066】
第1演算式記憶部53には、上述の図6(A)に示したような、各レクテナ接続数1〜4のそれぞれについて、出力電圧VoutDCに対する出力側インピーダンスZoの第1の関係を示す第1演算式が計4種類記憶されている。第2演算式記憶部54には、上述の図5(A)に示したような、各レクテナ接続数1〜4のそれぞれについて、出力側インピーダンスZoに対する変換効率ηの第2の関係を示す第2演算式が計4種類記憶されている。
【0067】
スイッチ制御部50は、出力電圧VoutDCの検出結果が入力されたら、第1演算式記憶部53から現在のレクテナ接続数に対応する第1演算式を読み込む。次いで、スイッチ制御部50は、入力された出力電圧VoutDCを第1演算式に代入して、出力側インピーダンスZoを求める。そして、スイッチ制御部50は、第2演算式記憶部54からレクテナ接続数1〜4にそれぞれ対応する第2演算式を読み込み、各第2演算式に第1演算式で求められた出力側インピーダンスZoを代入する。これにより、レクテナ接続数1〜4ごとの変換効率ηが求められる。スイッチ制御部50は、変換効率ηが最大となるレクテナ接続数を選択して、各スイッチ23a〜23c,24a〜24cのON/OFFを制御する。
【0068】
可変抵抗制御部51は、本発明の可変抵抗制御手段に相当するものであり、可変抵抗43の抵抗値ZVRを調整する。可変抵抗制御部51は、電圧検出回路47から入力される出力電圧VoutDCの検出結果に基づき、現在のレクテナ接続数1〜4に応じて出力電圧VoutDCがそれぞれ可能な限りV1P〜V4Pに近づくように可変抵抗43の抵抗値ZVRを増減させる。これにより、各レクテナ接続数において変換効率ηをそれぞれηmax〜ηmaxに近づけることができる。
【0069】
入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoをマッチングさせた際に、レクテナ接続数が1であるときは変換効率ηが最大値ηmaxとなるため、出力電圧VoutDCも最大となる。この際に、マイクロ波の入力電力が増大すると、出力電圧VoutDCも増大するため、出力電圧VoutDCが定格電圧を超えて負荷回路16や各レクテナ基板19〜22に実装されているコンデサ38やダイオード39(図3参照)等が破壊されるおそれがある。このため、スイッチ制御部50は、電圧検出回路47から入力された出力電圧VoutDCが定格電圧を超えるときは、レクテナ接続数を+1増加させる。これにより、変換効率ηが低下して出力電圧VoutDCを定格電圧よりも小さくすることができる。なお、+1増加しても出力電圧VoutDCが定格電圧を下回らない場合には、レクテナ接続数を+2以上増加させてもよい。
【0070】
負荷回路16の起動時は、負荷抵抗Zは高く、出力側インピーダンスZoも高いと考えられる。この際に入力側インピーダンスZiが低いと、変換効率ηが著しく低下して、負荷回路16の起動電力が確保できないおそれがある。このため、起動時においては、出力側インピーダンスZoに合わせて入力側インピーダンスZiを高くすれば、変換効率ηが高くなる。従って、起動時には、入力側インピーダンスZiを高くするため、レクテナ接続数が1になるように初期設定されている。これにより、負荷回路16の起動時に少なくとも負荷回路16の起動電力だけは確保することができる。また、出力側インピーダンスZoを減少させて、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoの差を小さくするために、可変抵抗43の抵抗値ZVRは所定の値よりも小さい値に初期設定されている。なお、抵抗値ZVRの初期設定値は、マイクロ波の入力電力の大きさやレクテナ基板の種類により適宜選択される。
【0071】
次に図7〜図9に示すフローチャートを用いて、本発明の第1実施形態のRFIDタグ10の作用について説明を行う。初期設定として、並列整流回路13のレクテナ接続数は「1」が選択され、可変抵抗43の抵抗値ZVRも所定の初期設定値に調整されている。これにより、起動時において出力側インピーダンスZoが高い場合に、入力側インピーダンスZiを高くすることで、高い変換効率ηが得られる。その結果、負荷回路16を動作可能な電力を確実に確保することができる。
【0072】
アンテナ11でマイクロ波が受信されると、受信されたマイクロ波は第1レクテナ基板19により直流電力に変換される。変換された直流電力は、その出力電圧VoutDCが電源安定昇圧回路15により負荷回路16の動作電圧まで昇圧された後、負荷回路16に入力される。これにより、負荷回路16が作動する。
【0073】
電圧検出回路47は、出力電圧VoutDCを検出して、その検出結果を制御回路45に入力する。スイッチ制御部50は、レクテナ接続数1に対応する第1演算式に出力電圧VoutDCの検出結果を代入して、出力側インピーダンスZoを求める。次いで、スイッチ制御部50は、求めた出力側インピーダンスZoをレクテナ接続数1〜4のそれぞれに対応する第2演算式に代入し、レクテナ接続数1〜4ごとの変換効率ηを求める。そして、求めた変換効率ηのうち、変換効率ηが最大となるレクテナ接続数を決定する。
【0074】
レクテナ接続数1の変換効率ηが最大となり、レクテナ接続数が1に決定されたら、レクテナ接続数はそのままで、可変抵抗制御部51は可変抵抗43の抵抗値ZVRの調整を開始する(図8参照)。出力電圧VoutDCがV1Pを下回っている場合には、可変抵抗43の抵抗値ZVRを増加させる。逆に出力電圧VoutDCがV1Pを上回っている場合には、可変抵抗43の抵抗値ZVRを減少させる。そして、出力電圧VoutDCをV1P、または可能な限りV1Pに近づけたら、可変抵抗43の抵抗値ZVRの調整が完了する。これにより、出力側インピーダンスZoがWZ1(図5参照)の範囲内にあるときに、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoのマッチングがとれて変換効率ηmaxが得られる。
【0075】
負荷回路16の消費電力が増大した場合には、負荷抵抗Zが減少するため、出力側インピーダンスZoも減少する。その結果、出力側インピーダンスZoがWZ2の範囲内にあるときは、レクテナ接続数2の変換効率ηが最大となり、スイッチ制御部50による演算でレクテナ接続数2が決定される。また、出力側インピーダンスZoがWZ3、WZ4の範囲内にあるときは、同様にしてスイッチ制御部50による演算でそれぞれレクテナ接続数3,4が決定される。新たなレクテナ接続数が決定されたら、スイッチ制御部50は、各スイッチ23a〜23c,24a〜24cを制御して、決定されたレクテナ接続数に切り替える(図9参照)。
【0076】
レクテナ接続数の切替が完了したら、可変抵抗制御部51は可変抵抗43の抵抗値ZVRを調整して、出力電圧VoutDCをそれぞれV2P〜V4P、または可能な限りV2P〜V4Pに近づける。これにより、出力側インピーダンスZoがWZ2〜WZ4の範囲内まで低下した場合でも、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoのマッチングがとれて最適な変換効率ηmax〜ηmaxが得られる。このように、可変抵抗43の抵抗値ZVRを調整して、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoをより完全にマッチングさせるようにしたので、より最適な変換効率で直流電力を確保することができる。
【0077】
入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoのマッチングをとることで、出力電圧VoutDCも高くなるため、スイッチ制御部50は、出力電圧VoutDCが定格電圧を超えるか否かを常時監視する。そして、出力電圧VoutDCが定格電圧を超えてしまうときは、レクテナ接続数を+1増加させて出力電圧VoutDCを下げる。これにより、負荷回路16、コンデサ38、ダイオード39等の破壊が防止される。
【0078】
これら一連の処理は、RFIDタグ10から質問器(図示せず)への応答信号の出力が完了して、RFIDタグ10の動作が終了するまで繰り返し続行される。スイッチ制御部50及び可変抵抗制御部51は、動作を終了する前にレクテナ接続数、可変抵抗43の抵抗値ZVRを初期設定の状態に戻す。
【0079】
以上のように本発明の第1実施形態のRFIDタグ10は、負荷回路16の消費電力の急激な増加により出力側インピーダンスZoが著しく低下した場合でも、レクテナ接続数を増やして入力側インピーダンスZiを下げることで、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoのマッチングがとれて、最適な変換効率で直流電力を確保することができる。
【0080】
次に、図10を用いて本発明の第2実施形態のRFIDタグ60について説明を行う。なお、以下の説明では、上記第1実施形態のRFIDタグ10と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する(第3実施形態も同様)。
【0081】
RFIDタグ60は、基本的には第1実施形態のRFIDタグ10と同じ構成である。ただし、RFIDタグ60では、出力側インピーダンスZoを負荷回路16のCPU16aの動作状況から推定する。このため、CPU16aには消費電力推定回路62が設けられ、制御回路64には、スイッチ制御部65と可変抵抗制御部66とが設けられている。
【0082】
消費電力推定回路62は、CPU16aの動作状況に基づき、負荷回路16の消費電力Pを推定する。このような推定を行う場合には、例えばCPU16aが各種プログラムをそれぞれ実行しているときの消費電力や、CPU16aがメモリ16bにアクセスしているときの消費電力を予め実験や動作シミュレーション等で求めておく。これにより、消費電力検出回路62は、CPU16aがどのプログラムを実行しているか、或いはメモリ16bにアクセスしているか等の動作状況に基づき、消費電力Pを推定することができる。なお、消費電力Pを推定可能であれば上記方法以外の各種方法を用いてよい。消費電力Pの推定結果は、制御回路64に入力される。
【0083】
スイッチ制御部65には、Zo推定部67と、上述の第2演算式記憶部54とが設けられている。Zo推定部67は、消費電力推定回路62と共に本発明の判別手段を構成するものである。上述したように、消費電力Pが増加すると負荷回路16の負荷抵抗Zが低下して出力側インピーダンスZoは低下し、逆に負荷回路16の消費電力が低下すると負荷抵抗Zが増加して出力側インピーダンスZoは増加する。従って、Zo推定部67は、消費電力Pの推定結果に基づき負荷抵抗Zを推定し、この推定結果及び既知の抵抗値ZVRを上記式(1)に代入することで、出力側インピーダンスZoを推定する。このため、Zo推定部67には、Zo推定用テーブル67aが記憶されている。
【0084】
Zo推定用テーブル67aは、各レクテナ接続数1〜4のそれぞれについて、消費電力Pに対する負荷抵抗Zの関係を示すデータテーブルであり、予め実験や動作シミュレーション等により求められる。Zo推定部67は、現行のレクテナ接続数情報とZo推定用テーブル67aとを参照して、消費電力Pの推定結果に対応する負荷抵抗Zを推定した結果に基づき、出力側インピーダンスZoを推定(取得)する。なお、出力側インピーダンスZoの推定方法は特には限定されず、例えばZo推定用テーブル67aの代わりにZo推定用演算式を用いてもよい。また、消費電力Pと出力側インピーダンスZoとの関係を示すデータテーブルを求めておき、消費電力Pの推定結果から出力側インピーダンスZoを直接推定してもよい。
【0085】
スイッチ制御部65は、出力側インピーダンスZoの推定結果と、第2演算式記憶部54に記憶されている第2演算式とに基づき、レクテナ接続数1〜4ごとの変換効率ηを求める。第1実施形態と同様に、スイッチ制御部65は、変換効率ηが最大となるレクテナ接続数を選択して、各スイッチ23a〜23c,24a〜24cのON/OFFを制御する。
【0086】
可変抵抗制御部66は、消費電力Pの推定結果に基づき可変抵抗43の抵抗値ZVRを調整する。このため、可変抵抗制御部66のメモリ(図示せず)には、各レクテナ接続数1〜4についてそれぞれ出力側インピーダンスZoがZ1P〜Z4Pに調整されたときの消費電力P1P〜P4Pが予め記憶されている。可変抵抗制御部66は、現在のレクテナ接続数1〜4に応じて、消費電力P(推定結果)がそれぞれP1P〜P4Pに一致、或いは可能な限りP1P〜P4Pに近づくように可変抵抗43の抵抗値ZVRを増減させる。これにより、変換効率ηをそれぞれηmax〜ηmaxに近づけることができる。
【0087】
次に、図11及び図12に示すフローチャートを用いて本発明の第2実施形態のRFIDタグ60の作用について説明する。なお、直流電力が負荷回路16に入力されるまでは、上記第1実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0088】
負荷回路16が動作したら、消費電力推定回路62は、CPU16aの動作状況に基づき負荷回路16の消費電力Pを推定して、この推定結果を制御回路64に入力する。Zo推定部67は、現行のレクテナ接続数情報と、入力された消費電力Pの推定結果と、Zo推定用テーブル67aとから負荷抵抗Zを推定した結果に基づき、出力側インピーダンスZoを推定する。
【0089】
次いで、スイッチ制御部65は、出力側インピーダンスZoの推定結果と、第2演算式記憶部54から読み込んだ第2演算式とに基づき、レクテナ接続数1〜4ごとの変換効率ηを求めて、変換効率ηが最大となるレクテナ接続数を決定する。
【0090】
レクテナ接続数1の状態の継続が決定されたら、可変抵抗制御部66は、入力された消費電力Pの推定結果に基づき、消費電力Pの推定結果がP1Pになる、或いは可能な限りP1Pに近づくように可変抵抗43の抵抗値ZVRを増減させる(図12参照)。これにより、出力側インピーダンスZoがZ1P(図5参照)に近づくため、入力側及び出力側インピーダンスZi,Zoのマッチングがとれて変換効率がηmaxに近い値となる。
【0091】
また、レクテナ接続数2〜4が決定された場合には、図9で説明したように、レクテナ接続数の切替が行われる。このレクテナ接続数の切替が終了したら、可変抵抗制御部66は、同様に消費電力Pの推定結果がそれぞれP2P〜P4Pになる、或いは可能限り近づくように、可変抵抗43の抵抗値ZVRを調整する。これにより、各レクテナ接続数2〜4においても、出力側インピーダンスZoをZ2P〜Z4Pに近づけられるため、変換効率がηmax〜ηmaxに近い値となる。これらの調整が完了した後は、上記第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0092】
以上のように本発明の第2実施形態のRFIDタグ60は、負荷回路16のCPU16aの動作状況に基づき、負荷回路16の消費電力Pを推定し、この推定結果に基づき出力側インピーダンスZoを推定して、レクテナ接続数の切替を行うので、上記第1実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。また、第2実施形態では、CPU16aに負荷回路16の消費電力を推定させることで、第1実施形態とは異なり電圧検出回路47が不要となるため、コストダウン及び小型化を図ることができる。
【0093】
次に、図13を用いて本発明の第3実施形態のRFIDタグ70について説明を行う。上記第1実施形態のRFIDタグ10では、出力側インピーダンスZoを求めた後、各レクテナ接続数1〜4における変換効率ηを求めた上で、変換効率ηが最大となるレクテナ接続数を決定している。この場合には、出力側インピーダンスZoからレクテナ接続数を決めるために各レクテナ接続数の変換効率ηを求める必要があり、レクテナ接続数の決定処理に時間が掛かるという問題がある。そこで、RFIDタグ70の制御回路72には、レクテナ接続数の決定を迅速に行うためのスイッチ制御部73が設けられている。
【0094】
スイッチ制御部73には、上述の第1演算式記憶部53と、データテーブル75とが設けられている。データテーブル75は、上記表1及び図5(A),(B)に基づき作成されている。上述したように、出力側インピーダンスZoがZa以上(WZ1の範囲内)にあるときは、レクテナ接続数1が最も変換効率ηが高くなる。また、出力側インピーダンスZoがZb〜Za(WZ2の範囲内)、Zc〜Zb(WZ3の範囲内)、Zc未満(WZ4の範囲内)のときは、それぞれレクテナ接続数2〜4が最も変換効率ηが高くなる(図5参照)。この関係はレクテナ基板が同じであれば変わらない。従って、図14に示すように、データテーブル75は、出力側インピーダンスZoの各範囲(Za以上、Zb〜Za、Zc〜Zb、Zc未満)において、それぞれ最適なレクテナ接続数が選択されるように作成されている。
【0095】
図13に戻って、スイッチ制御部73は、出力電圧VoutDCの検出結果に基づき出力側インピーダンスZoが求められたら、データテーブル75を参照して、求められたインピーダンスZoにおいて最も変換効率ηが高くなるレクテナ接続数を決定する。この決定結果に基づき、スイッチ制御部73は、各スイッチ23a〜23c,24a〜24cを制御して、決定されたレクテナ接続数に切り替える。
【0096】
次に、図15に示すフローチャートを用いて本発明の第3実施形態のRFIDタグ70の作用について説明する。なお、出力側インピーダンスZoが求められるまでは、上記第1実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0097】
出力側インピーダンスZoが求められたら、スイッチ制御部73はデータテーブル75を参照する。スイッチ制御部73は、出力側インピーダンスZoがZa以上であれば、レクテナ接続数1の状態を継続する。また、スイッチ制御部73は、出力側インピーダンスZoがZb〜Za、Zc〜Zb、Zc未満であれば、それぞれレクテナ接続数が2、3,4に切り替えられるように、各スイッチ23a〜23c,24a〜24cを制御する。以降の処理は、上記第1実施形態と同じであるため、説明は省略する。
【0098】
以上のように本発明の第3実施形態のRFIDタグ70は、データテーブル75を参照することで、求められた出力側インピーダンスZoから変換効率ηが最も高くなるレクテナ接続数を直接的に決定することができるので、上記第1実施形態で説明した効果に加えて、レクテナ接続数の決定処理を迅速に行うことができる。
【0099】
なお、上記各実施形態では並列整流回路13として、第1〜第4レクテナ基板19〜22を順に積層した積層基板を例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図16に示すように、並列整流回路80として、2枚のレクテナ基板81を積層した積層基板を用いて、各レクテナ基板81にそれぞれ2つの回路パターン83a,83bを並列に形成してもよい。
【0100】
回路パターン83aは、上述の回路パターン31(図3参照)と同じパターンに形成されている。回路パターン83bは、回路パターン83aと対称性を有するように形成されている。両回路パターン83a,83bには、それぞれマイクロ波入力部32a,32bと、コンデンサ38が実装されたコンデンサ実装部33a,33bと、ダイオード39が実装されたダイオード実装部35a,35bと、LPF36a,36bと、スイッチ24a〜24cと基本的に同じスイッチ84a,84bが設けられた直流電力出力部37a,37bとが形成されている。これら各部については、回路パターン31に形成されているものと同じであるため、説明は省略する。
【0101】
このように1枚のレクテナ基板81に複数の回路パターンを形成した場合には、4層積層基板である並列整流回路13よりも厚みを薄くすることができるので、RFIDタグ10等の薄型の応答器への内蔵により適している。なお、レクテナ基板81には、回路パターンが2つしか形成されていないが、1つのレクテナ基板上に3つ以上の回路パターンを形成してもよい。この場合には、互いに隣接する回路パターンが対称性を有するように形成すればよい。
【0102】
なお、上記各実施形態では、負荷回路16に可変抵抗43が並列接続されている場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、可変抵抗43が設けられていなくともよい。この場合の出力側インピーダンスZoは、負荷回路16の負荷抵抗Zとなる。また、上記各実施形態では、可変抵抗43が1個だけしか設けられていないが、本発明はこれに限定されるものではなく、各レクテナ基板19〜22の直流電力出力部37にそれぞれ個別に接続するようにしてもよい。
【0103】
また、上記各実施形態では、第1〜第4レクテナ基板19〜22は全て同じものを用いた場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、レクテナ基板の種類は異なっていてもよい。この場合には、レクテナ基板の接続数及びその組み合せ別に、それぞれ上述の図5及び図6に示したような出力側インピーダンスZoと、変換効率η及び出力電圧VoutDCとの関係を求めておけばよい。
【0104】
なお、上記各実施形態では、起動時にはレクテナ接続数が1に切り替えられているように初期設定されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば起動時に負荷回路16(CPU16a)の消費電力が大きくなり、出力側インピーダンスZoが著しく低下するような場合には、レクテナ接続数が2以上に切り替えられるように初期設定してもよい。
【0105】
また、上記各実施形態ではマイクロ波の入力電力が10mWで一定である場合を例に挙げて説明を行ったが、入力電力の大きさはRFIDタグと質問器との距離によって変わる。このため、複数の入力電力の大きさに対応する複数の第1及び第2演算式やデータテーブルを予め容易しておき、入力電力の大きさに最も適した演算式やデータテーブルを用いて出力側インピーダンスZoの大きさを判断するようにしてもよい。
【0106】
なお、上記第1及び第2実施形態において、可変抵抗制御部51,66はそれぞれ出力電圧VoutDC、消費電力Pの推定結果に基づき可変抵抗43の調整を行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スイッチ制御部50,65により求められた出力側インピーダンスZoに基づき、この出力側インピーダンスZoがZ1P、Z2P、Z3P、Z4Pに可能な限り近づくように可変抵抗43を調整してもよい。
【0107】
また、上記各実施形態では、第2〜第4レクテナ基板20〜22を間に挟むように第1及び第2スイッチ回路23,24が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方のみでもよい。例えば、第1スイッチ回路23のみを設けて、第2〜第4レクテナ基板20〜22の出力側(負荷回路側)は常時接続するようにしても良い。
【0108】
なお、上記各実施形態では、第1〜第4レクテナ基板19〜22の計4つの基板が互いに並列接続されている場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、3つ以下或いは5つ以上のレクテナ基板が並列接続されている場合にも、本発明を適用することができる。
【0109】
また、上記各実施形態では、本発明のレクテナ装置をRFIDタグに適用した場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種電子機器に適用することができる。例えばレクテナ装置は、カプセル型内視鏡等の電池を内蔵するスペースが確保し難い小型電子機器や、有線で電力供給を行えない電子機器(携帯電子機器を含む)に駆動電力を供給する電力供給源として用いることができる。こうした電子機器では、例えばLCDのバックライトのオン・オフなどによって負荷変動がさらに大きいと考えられるので、本発明を適用することは有効である。また、レクテナ装置は、直接負荷回路に給電するものでなく、充電池を充電するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】RFIDタグの電気的構成を示したブロック図である。
【図2】第1実施形態のRFIDタグのインピーダンスマッチング制御回路を示したブロック図である。
【図3】並列整流回路の外観斜視図である。
【図4】並列整流回路の上面図である。
【図5】(A)はレクテナ接続数ごとの出力インピーダンスと変換効率との関係を示したグラフであり、(B)は出力インピーダンスの各値において最も高い変換効率の値のみを示したグラフである。
【図6】(A)はレクテナ接続数ごとの出力インピーダンスと出力電圧との関係を示したグラフであり、(B)は出力インピーダンスの各値において最も高い出力電圧の値のみを示したグラフである。
【図7】第1実施形態のRFIDタグの作用を説明するためのフローチャートである。
【図8】可変抵抗の調整処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】レクテナ接続数の切替処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】第2実施形態のRFIDタグのインピーダンスマッチング制御回路を示したブロック図である。
【図11】第2実施形態のRFIDタグの作用を説明するためのフローチャートである。
【図12】第2実施形態における可変抵抗の調整処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】第3実施形態のRFIDタグのインピーダンスマッチング制御回路を示したブロック図である。
【図14】図13中におけるインピーダンスマッチング制御回路内のデータテーブルの一例を示した図である。
【図15】第3実施形態のRFIDタグの作用を説明するためのフローチャートである。
【図16】他の実施形態の並列整流回路の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0111】
10,60,70 RFIDタグ
11 アンテナ
13 並列整流回路
15 電源安定昇圧回路
16 負荷回路
16a CPU
19〜22 第1〜第4レクテナ基板
23 第1スイッチ回路
24 第2スイッチ回路
25 電力分配回路
23a〜23c スイッチ
24a〜24c スイッチ
43 可変抵抗
45,64,72 インピーダンスマッチング制御回路
47 電圧検出回路
50,65,73 スイッチ制御部
51,66 可変抵抗制御部
53 第1演算式記憶部
54 第2演算式記憶部
62 消費電力推定回路
67 Zo推定部
75 データテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナで受信したマイクロ波を直流電力に変換し、変換した直流電力を駆動電力として負荷回路を作動させるレクテナ装置において、
前記マイクロ波を直流電力に変換し、互いに並列に接続された複数の整流回路と、
前記複数の整流回路の中から1以上の前記整流回路を選択的に前記アンテナに接続するためのスイッチと、
前記負荷回路の回路インピーダンスの大きさを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記マイクロ波の入力電力に対する前記直流電力の変換効率が最大となる前記整流回路の接続数を決定し、決定した接続数の前記整流回路が前記アンテナに接続されるように、前記スイッチを動作させるスイッチ制御手段とを備えることを特徴とするレクテナ装置。
【請求項2】
前記負荷回路に並列接続された可変抵抗と、
前記可変抵抗の大きさを制御する可変抵抗制御手段とを備え、
前記判別手段は、前記回路インピーダンスと前記可変抵抗とを合成した第1合成インピーダンスの大きさを取得し、
前記スイッチ制御手段は、前記第1合成インピーダンスに基づいて前記変換効率が最大となる前記整流回路の接続数を決定し、
前記可変抵抗制御手段は、決定した前記接続数に応じた前記整流回路の第2合成インピーダンスに基づいて、前記第1合成インピーダンスが前記第2合成インピーダンスとインピーダンスマッチングするように前記可変抵抗の大きさを制御すること特徴とする請求項1記載のレクテナ装置。
【請求項3】
前記直流電力の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記接続数のそれぞれについて、前記出力電圧の大きさに対する前記第1合成インピーダンスの第1の関係を予め記憶した第1の記憶手段とを備え、
前記判別手段は、前記第1の関係を参照して、前記出力電圧検出手段の検出結果に対応する前記第1合成インピーダンスの大きさを取得することを特徴とする請求項2記載のレクテナ装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記負荷回路の動作状況から前記負荷回路の消費電力の大きさを推定して、前記消費電力の推定結果に基づき、前記第1合成インピーダンスの大きさを取得することを特徴とする請求項2記載のレクテナ装置。
【請求項5】
前記接続数のそれぞれについて、前記第1合成インピーダンスに対する前記変換効率の第2の関係を予め記憶した第2の記憶手段を備え、
前記スイッチ制御手段は、前記第2の関係を参照して、前記判別手段により取得された前記第1合成インピーダンスに対して、前記変換効率が最大となる前記接続数を決定することを特徴とする請求項3または4記載のレクテナ装置。
【請求項6】
前記第2の関係は、前記接続数のそれぞれについて、他の接続数のときよりも前記変換効率が高くなる前記第1合成インピーダンスの範囲が予め設定されているデータテーブルであることを特徴とする請求項5記載のレクテナ装置。
【請求項7】
前記負荷回路の起動時は、前記接続数が1に設定されていることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載のレクテナ装置。
【請求項8】
前記スイッチ制御手段は、前記直流電力の出力電圧が定格電圧を超えたときに、前記接続数を増やすことを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載のレクテナ装置。
【請求項9】
前記複数の整流回路と前記負荷回路との間に、前記直流電力の出力電圧を前記負荷回路の動作電圧まで昇圧させる昇圧回路が設けられていることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載のレクテナ装置。
【請求項10】
前記複数の整流回路は、それぞれ同一回路パターンを有する複数の基板に設けられていることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載のレクテナ装置。
【請求項11】
前記複数の基板は、積層されていることを特徴する請求項10記載のレクテナ装置。
【請求項12】
前記複数の整流回路は、同一基板上に並列に形成された複数の回路パターンにより構成されており、
前記複数の回路パターンは、互いに隣接する回路パターンが対称性を有するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載のレクテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−65726(P2009−65726A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228738(P2007−228738)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】