説明

レジストレーション制御のためのシステム及び方法

本発明は、制御装置(12)、制御システム(10)、及びキャッシュレジスタ(11)において実行されるトランザクションをチェックするための方法に関する。制御装置(12)は、少なくとも1つのキャッシュレジスタ(11)及び少なくとも1つのレシート印刷装置(13)に接続するためのインタフェース(27,28)を有する。制御装置(12)は、暗号化アルゴリズム(22)が保存された少なくとも1つの調整ユニット(21)を備えることを特徴とする。その暗号化アルゴリズム(22)は、キャッシュレジスタ(11)からのトランザクションデータ(24)に基づいて固有のコードを生成するために使用される。その固有のコードはレシート印刷装置(13)に送信され、レシートに印刷される。その後、システムによって生成されたすべてのレシートの正当性は、このようにしてチェックされ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュレジスタにおける会計チェックに関する。本発明は、制御装置、制御システム、及びキャッシュレジスタによって実行されるトランザクションをチェックするための方法に関する。
【0002】
そのような装置、システム、及び方法は、例えばレストラン、小売店、ガソリンスタンドのキャッシュレジスタ等のレシートが印刷されるすべてのエリアにおいて使用され得る。
【背景技術】
【0003】
キャッシュレジスタを使用して、顧客が購入する商品の価格を入力することは、それを使用して、顧客が支払った金額を入力することと同様に、小売業界では知られている。従来技術によれば、キャッシュレジスタは、要求額として知られているそのアイテムの価格の合計を計算する手段と、支払われた金額と要求された金額との差を計算する手段とを備える。
【0004】
キャッシュレジスタは、通常、レシート印刷装置に接続される。キャッシュレジスタは、レシート印刷装置がレシートを印刷できるように、レシート印刷装置に情報を送信する機能を有し、また、レシート印刷装置を起動する指令機能も有する。さらに、キャッシュレジスタは、例えば、支払われた金額と要求された金額の差を計算すること等ができるデータ処理装置を備える。
【0005】
支払手段管理部をキャッシュレジスタに接続することは、知られている。上記支払手段管理部は、SE504358(特許文献1)に記述されているように、キャッシュレジスタとレシート印刷装置との間に接続された信号処理装置の形であってもよい。そのような信号処理装置は、データを一時記憶するためのバッファ部を備える。本発明の目的は、キャッシュレジスタそれ自身を変更せずに、異なるタイプのキャッシュレジスタに接続可能な支払手段管理部を実現することである。バッファ部は、データを永久的に記憶する形式に対しては、使用することができない。
【0006】
【特許文献1】瑞典特許出願公開第504358号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のキャッシュレジスタにおける1つの問題は、入金が全く記録されていない、または部分的に記録されている、または間違って記録されているにもかかわらず、顧客にレシートを印刷するように、キャッシュレジスタで「不正をする」ことが比較的容易であることである。事業者は、このようにして税務当局から収入を隠すことができ、これにより政府は税収減の形で毎年莫大な額を失う。何らかの制御システムが、この種の脱税を防ぐためには必要である。
【0008】
現在使用されている制御システムは、タコグラフと同様に、密閉されている。キャッシュレジスタそれ自身を密閉するか、またはすべてのトランザクションを保存する個々の密閉されたユニットを使用する。密閉が壊されない限り、キャッシュレジスタまたは密閉されたユニットの情報が正しいと仮定することができるが、キャッシュレジスタまたは密閉されたユニットを通じてしか情報をチェックすることができない。従って、密閉されたキャッシュレジスタまたは密閉されたユニットによるもの以外の方法によって、情報をチェックすることができる制御システムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、制御装置、制御システム、及びキャッシュレジスタによって実行されるトランザクションをチェックするための方法に関する。
【0010】
本発明は、少なくとも1つのキャッシュレジスタ及び少なくとも1つのレシート印刷装置に接続するためのインタフェースを備えた制御装置であって、制御装置は、暗号化アルゴリズムが保存された、少なくとも1つの調整ユニットを備え、暗号化アルゴリズムは、保存されたトランザクションデータに基づいて固有のコードを生成するために使用され、コードは、レシート印刷装置に送信され、レシートに印刷される制御装置を明記する。
【0011】
好ましくは、制御装置は、キャッシュレジスタからのトランザクションデータが保存される、少なくとも1つの内部記憶ユニットも備え、外部のコンピュータや外部のコンピュータネットワークに接続するための、少なくとも1つのインタフェースをさらに備える。また、好ましくは、制御装置は、構造において、密閉ユニットのように外部保護が設けられる。好ましくは、調整ユニットは、例えばFPGA(field programmable gate array)等の何種類かのプログラム可能な論理素子を含む。好ましくは、暗号化アルゴリズムは、例えばRSAアルゴリズム等の鍵を使用する非対称な暗号化方法である。
【0012】
本発明は、少なくとも1つのキャッシュレジスタで実行されるトランザクションをチェックするための制御システムであって、少なくとも1つのキャッシュレジスタと、少なくとも1つのレシート印刷装置と、少なくとも1つの制御装置とを備え、制御装置は、インタフェースを介して、少なくとも1つのキャッシュレジスタ及び少なくとも1つのレシート印刷装置に接続され、制御装置は、暗号化アルゴリズムが保存された、少なくとも1つの調整ユニットを備え、暗号化アルゴリズムは、保存されたトランザクションデータに基づいて固有のコードを生成するために使用され、固有のコードは、レシート印刷装置に送信され、レシートに印刷される制御システムを明記する。
【0013】
本発明は、制御装置を用いて、キャッシュレジスタで実行されるトランザクションをチェックするための方法であって、制御装置は、インタフェースを介して、少なくとも1つのキャッシュレジスタ及び少なくとも1つのレシート印刷装置に接続され、制御装置は、暗号化アルゴリズムが保存された、少なくとも1つの調整ユニットを備え、その方法は、トランザクションデータを、キャッシュレジスタからインタフェースを介して制御装置に送信するステップと、暗号化アルゴリズムを使用して、トランザクションデータを暗号化し、固有のコードを生成するステップと、トランザクションデータと共に固有のコードを、インタフェースを介してレシート印刷装置に送信するステップと、レシート印刷装置において、トランザクションデータだけでなく固有のコードも含むレシートを印刷するステップとを含む方法を明記する。
【0014】
制御装置に保存された情報を読み出さずに、システムによって生成されたすべてのレシートの正当性をチェックすることができるという上述の効果は、制御装置、制御システム、及びキャッシュレジスタにおいて実行されるトランザクションをチェックするための方法により実現される。便宜上、割引券、商品券、及び同様のアイテムは、この記述及びこれらの請求項に含まれる「レシート」の概念に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の1つの実施の形態に係る制御システム10の概略図を示す。制御システム10は、キャッシュレジスタ11、制御装置12、及びレシート印刷装置13を備える。本実施の形態においては、制御装置12をキャッシュレジスタ11とレシート印刷装置13との間に接続するが、他の構成でも可能である。制御装置12は、好ましくは、公知のキャッシュレジスタ11及びレシート印刷装置13を少しも調整することなしに、公知のキャッシュレジスタ11及びレシート印刷装置13に接続することができる。
【0016】
図2は、本発明の1つの実施の形態に係る、図1の制御システム10において使用される制御装置12の概略図を示す。制御装置12は、暗号化アルゴリズム22が保存された調整ユニット21、及び内部記憶ユニット23を備える。また、制御装置12は、制御装置12をキャッシュレジスタ11及びレシート印刷装置13に接続できるように、適切な方法で設計されたインタフェース27,28も有する。
【0017】
トランザクションが実行されると、オペレータは購入される商品やサービスの価格をキャッシュレジスタ11に入力するか、またはスキャンする。それによって、要求合計額が計算される。次に、レシートに印刷されるトランザクションデータ24は、インタフェース27を介してデータを受信する制御装置12に送信される。ここで、トランザクションデータ24は、通常、キャッシュレジスタの識別子だけでなく日時、要求された金額、及び支払われた金額を含む。次に、トランザクションデータ24は、暗号化アルゴリズム22を用いてトランザクションデータ24を暗号化する調整ユニット21に送信される。また、すべてのトランザクションデータ24は、保存するために、暗号化された形式か暗号化されていない形式かのどちらか、または両方の形式で内部記憶ユニット23に送信される。
【0018】
次に、コード形式で暗号化されたトランザクションデータ、オリジナルのトランザクションデータ24、及び制御装置12を識別するデータを含む変更されたトランザクションデータ25は、インタフェース28を介してレシート印刷装置13に送信され、レシートに印刷される。すべてのレシートは、このようにして、固有のコードを含む。従って、この暗号化により、すべてのレシート、割引券、商品券、及び制御システム10により生成される同様のものの正当性をチェックすることができるようになる。
【0019】
暗号化を、鍵を用いる暗号化方式やハッシュ暗号のような一方向性の暗号化方式等の多くの異なる方法で、設計してもよい。例えば、RSA、ブロウフィッシュ(Blowfish)、トゥーフィッシュ(Twofish)、サーペント(Serpent)、SHA−1、RIPEMD−160等の多くの異なる暗号化アルゴリズムを使用することができる。しかしながら、1つの好ましい実施の形態に係る暗号化は、鍵を用いる非対称暗号化である。好ましくは、暗号化アルゴリズム22は、入力されたトランザクションデータ24を、公開暗号鍵を用いて暗号化する。レシートに印刷されたコードは、暗号化アルゴリズム22のペアの秘密鍵を利用できる者よってのみ、解読され得る。従って、非対称暗号化方法によって、暗号化されたメッセージを送信してもらいたい人に対して、公開鍵を配布することができ、自分で秘密鍵を保有することができる。いったんメッセージが暗号化されると、秘密鍵なしにそれを解読することはできない。この場合、公開鍵は全く役に立たない。
【0020】
1つの好ましい実施の形態の暗号化は、RSA/128、すなわち、多くの銀行で使用されているものと同じタイプのRSAアルゴリズムを用いる128ビット暗号化である。このアルゴリズムは、未知数として選択された1つの所定の項を持った数式の形式の所定のアルゴリズムを解くことが非常に難しいという数学的仮定を利用して、一方向性の暗号化を可能にする。RSAの場合は、大きな整数の素因数分解が使用され、それは数学的にとても複雑である。素数か強い(strong)素数かどちらかである大きな数は、アルゴリズムの因数として組み合わされ、秘密鍵を構成する。その組み合わせは公開鍵として公開され得る。
【0021】
好ましくは、制御装置12は、外部のコンピュータや外部のコンピュータネットワークに接続し、内部記憶ユニット23の内容を読み出すことができるようにする、少なくとも1つのインタフェース29をさらに有する。この読み出しは、制御装置をコンピュータと直接接続するか、またはインターネット等の外部のコンピュータネットワークを介して、実行することができる。
【0022】
制御装置21は多くの方法で設計され得るが、好ましくは、いくつかの方式、FPGA(field programmable gate array)、PIC(programmed integrated circuit)等のプログラム可能な論理素子を備える。しかしながら、1つの好ましい実施の形態において、制御装置は暗号化アルゴリズム22を保存するFPGAを備える。原理上、FPGAにおいて保存された情報を読み出すことは不可能であり、これにより制御システム10の許可を得ずに処理する(by-pass)ことは非常に難しい。好ましくは、制御装置12は、セキュリティをさらに高めるために、例えば密閉ユニットの形式の外部保護26を有する。
【0023】
権限のある当局は、上記システムを通じて、官庁のコンピュータシステムに、レシート上の固有のコードを入力することにより、非常に容易にレシートの正当性を確認することができる。官庁のコンピュータシステムにおいて、そのコードに格納された、暗号化されたトランザクションデータは、このようにして復号化され得る。次に、このトランザクションデータは、レシート上の暗号化されていないトランザクションデータと比較され得る。そのとき、差異が検出されれば、権限のある当局は、レシートが偽物であると判断を下すことができる。
【0024】
権限のある当局は、従来の方法において、制御装置12をトランザクションデータのための密閉ユニットとしても使用することができる。記憶ユニット23の読み出しは、制御装置12とコンピュータの直接接続によってか、またはインターネット等の外部ネットワークを介して行われる。次に、読み出された記憶ユニット23の情報は、事業者によって管理されたトランザクションログと比較され得る。このトランザクションデータは暗号鍵へアクセスせずには、解読することができないので、保存されるトランザクションデータが記憶ユニット23に暗号化された形式で保存されるならば、システムのセキュリティはさらに高くなり得る。
【0025】
本発明は、その原理及び本願を説明するために実施の形態で記述され、当業者が能力内で適切な変更を加えた発明を実現できるようにした。本発明の範囲は請求項によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の1つの実施の形態に係る制御システムの概略図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態に係る、図1の制御システムにおいて使用される制御装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのキャッシュレジスタ(11)及び少なくとも1つのレシート印刷装置(13)に接続するためのインタフェース(27,28)を備えた制御装置(12)であって、
前記制御装置(12)は、暗号化アルゴリズム(22)が保存された、少なくとも1つの調整ユニット(21)を備え、
前記暗号化アルゴリズム(22)は、前記キャッシュレジスタ(11)からのトランザクションデータ(24)に基づいて固有のコードを生成するために使用され、
前記固有のコードは、前記レシート印刷装置(13)に送信され、前記トランザクションデータ(24)と共にレシートに印刷され、
それによって、前記制御装置(12)に保存された情報を読み出さずに、レシートの正当性をチェックすることを可能とする制御装置(12)。
【請求項2】
前記キャッシュレジスタ(11)からのトランザクションデータ(24)が保存される、少なくとも1つの内部記憶ユニット(23)をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の制御装置(12)。
【請求項3】
外部のコンピュータや外部のコンピュータネットワークに接続するための、少なくとも1つのインタフェース(29)をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の制御装置(12)。
【請求項4】
構造において、密閉ユニットのように外部保護(26)が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記調整ユニット(21)は、何種類かのプログラム可能な論理素子を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記調整ユニット(21)は、FPGA(field programmable gate array)を備えたことを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記暗号化アルゴリズムは、鍵を使用する非対称な暗号化アルゴリズムであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
前記暗号化アルゴリズムは、RSAアルゴリズムであることを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
少なくとも1つのキャッシュレジスタ(11)で実行されるトランザクションをチェックするための制御システム(10)であって、
少なくとも1つのキャッシュレジスタ(11)と、少なくとも1つのレシート印刷装置(13)と、少なくとも1つの制御装置(12)とを備え、
前記制御装置(12)は、インタフェース(27,28)を介して、少なくとも1つのキャッシュレジスタ(11)及び少なくとも1つのレシート印刷装置(13)に接続され、
前記制御装置(12)は、暗号化アルゴリズム(22)が保存された、少なくとも1つの調整ユニット(21)を備え、
前記暗号化アルゴリズム(22)は、前記キャッシュレジスタ(11)からのトランザクションデータ(24)に基づいて固有のコードを生成するために使用され、
前記固有のコードは、前記レシート印刷装置(13)に送信され、前記トランザクションデータ(24)と共にレシートに印刷され、
それによって、前記制御装置(12)に保存された情報を読み出さずに、レシートの正当性をチェックすることを可能とする制御システム。
【請求項10】
前記制御装置(12)は、請求項2乃至8のいずれかに記載の制御装置であることを特徴とする請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
制御装置(12)を用いて、キャッシュレジスタ(11)で実行されるトランザクションをチェックするための方法であって、
前記制御装置(12)は、インタフェース(27,28)を介して、少なくとも1つのキャッシュレジスタ(11)及び少なくとも1つのレシート印刷装置(13)に接続され、
前記制御装置(12)は、暗号化アルゴリズム(22)が保存された、少なくとも1つの調整ユニット(21)を備え、
前記方法は、
トランザクションデータ(24)を、キャッシュレジスタ(11)からインタフェース(27)を介して制御装置(12)に送信するステップと、
暗号化アルゴリズム(22)を使用して、トランザクションデータ(24)を暗号化し、固有のコードを生成するステップと、
トランザクションデータ(24)と共に固有のコードを、インタフェース(28)を介してレシート印刷装置(13)に送信するステップと、
レシート印刷装置(13)において、トランザクションデータ(24)だけでなく固有のコードも含みレシートを印刷するステップとを含み、
それによって、前記制御装置(12)に保存された情報を読み出さずに、レシートの正当性をチェックすることを可能とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−529186(P2008−529186A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554048(P2007−554048)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000146
【国際公開番号】WO2006/083219
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(308006508)リテイル・イノヴェイション・エイチティティ・アクチボラゲット (1)
【氏名又は名称原語表記】RETAIL INNOVATION HTT AB
【Fターム(参考)】