説明

レトルトパウチ入り鍋つゆ

【課題】鍋つゆ等の調味料を食卓で使用する際に、鍋等への注入時に全体量を速やかに注ぐこともでき、また、好きな量を調節しながら注ぐこともでき、開封後に食卓上に置いてあるときにも安定でこぼれにくい構造のレトルトパウチであり、かつ、外観の見栄えが良い、鍋つゆ等の調味料のレトルトパウチを提供する。
【解決手段】レトルトパウチの袋の下部が、前後2面の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して挿入し、周縁部をヒートシールにより封止してなるガセット部を有する形式で形成され、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側の端縁部を側部シール部でヒートシールして形成される袋において、下部のガセット部が、自立性を付与する形状のシールパターンでヒートシールされ、該袋の両側部が袋の長さ方向の中間部近辺に弓状の凹部を設けられ、該袋の上部の一方の隅部に内容物の注出用の注出部を設けることによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋つゆ等の液状の調味液を収納するレトルトパウチであり、食卓において使用するための容器である。食事中に食卓において調味液を使用するのに適した形状のレトルトパウチに関する。また、そのレトルトパウチに充填された調味液に関する。
【背景技術】
【0002】
液状の内容物を提供する容器として、一般的に、スタンディングパウチと称する立て置き式のレトルトパウチ容器が使用されている。また、液状洗剤等の詰め替え品を提供するために注ぎ口に各種の工夫をした詰め替え容器が提案されている(特許公報1〜5等参照)。液体洗剤等は詰替えるボトルの口が小さいため、ただの袋状のパウチではこぼれてしまったりしてうまく詰替えることができないからである。
【0003】
特許文献6には、パウチの側面にくびれを設けることにより、高粘度の内容物をスムーズに注出することができると記載されている。特許文献7には、パウチの両側のヒートシールの中央部を内側に弓状に膨らませることにより内容物を充填したときにシワなどが発生せず安定した形状が得られると記載されている。特許文献8〜10等には、パウチの上部を底部より狭くしたものが記載されている。
【特許文献1】特開平10−324351号
【特許文献2】特開平9−30540号
【特許文献3】特開平7−2260号
【特許文献4】特開2002−284199号
【特許文献5】特開2000−281091号
【特許文献6】特開2002−179100号
【特許文献7】特開平11−11496号
【特許文献8】特開平6−127554号
【特許文献9】特開平7−232743号
【特許文献10】特開2002−128094号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、鍋つゆなどの調味液を提供するのに適した容器について検討した。あらかじめ調味された鍋つゆは、具材等を準備するだけで誰でも手軽に本格的な鍋料理を楽しむことができることから昨今需要が増加している。通常、四角い形状のレトルトパウチ、あるいはスタンディングパウチで提供されている。しかし、それらのレトルトパウチは液状内容物の保存容器として使用されているものばかりであり、使用時には鍋等に全量を移して使用することを前提とした形状のものしかない。
【0005】
昨今、環境に対する負担軽減のため、洗剤等の詰め替え容器が種々工夫されている。それらもやはり全量を特定の容器に移しかえることを前提として設計されている。
【0006】
鍋つゆの全体量を一度に鍋に移して使用する場合には、これらの形状のパウチで十分であるが、実際には、最初に半分量くらいを鍋に入れ、食事をしながら、量が少なくなったり、薄くなったら順次継ぎ足して使用するような利用がされることもある。その場合、好きな量だけ注ぐことができ、残った調味液が入ったパウチが倒れたりせず安定に自立するものであることが重要になる。鍋つゆは洗剤等と異なり、粘度の低いさらさらの水のような性状であり、量も500ml以上の大型のパウチである。さらに、鍋つゆ用のパウチは詰め替え用ではなく、そのものが商品であるため、店頭に並べたときの外観が重要である。加工食品の多くのパッケージがそうであるように、食品のパッケージの表面にはその食品の調理例が印刷されることが多く、その調理例がおいしそうにみえるかどうかで売れ行きに影響がある。
【0007】
したがって、洗剤等の詰め替え用容器にされている工夫とは異なった必要性があり、それに適した形態のパウチが求められる。
【0008】
本発明は、このような必要性に鑑み、鍋等への注入時に全体量を速やかに注ぐこともでき、また、好きな量を調節しながら注ぐこともでき、開封後に食卓上に置いてあるときにも安定でこぼれにくい構造のレトルトパウチであり、かつ、外観の見栄えが良い、鍋つゆ等の調味料のレトルトパウチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の調味液用レトルトパウチは、袋の下部が、前後2面の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して挿入し、周縁部をヒートシールにより封止してなるガセット部を有する形式で形成され、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側の端縁部を側部シール部でヒートシールして形成される袋において、下部のガセット部が、自立性を付与する形状のシールパターンでヒートシールされ、該袋の上部の一方の隅部に内容物の注出用の注出部を設けられたことを特徴とする。
【0010】
これによって、調味液を食卓で必要量ずつ使用するのに適したパウチとなる。
【0011】
本発明の調味液用レトルトパウチは、袋の下部が、前後2面の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して挿入し、周縁部をヒートシールにより封止してなるガセット部を有する形式で形成され、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側の端縁部を側部シール部でヒートシールして形成される袋において、下部のガセット部が、自立性を付与する形状のシールパターンでヒートシールされ、該袋の両側部が袋の長さ方向の中間部近辺に弓状の凹部を設けられ、該袋の上部の一方の隅部に内容物の注出用の注出部を設けられたことを特徴とする。
【0012】
これによって、調味液を必要量ずつ、注出するのに適した形状となり、また、側部に弓状の凹部が設けられたことにより、いわゆる腰折れ状態になりにくい。特にくぼんだ部分より下で腰折れ状態にならないため、食卓上に置いてあるときに中身がこぼれる心配がない。また、全体としてもくぼみにより、より安定な形状となる。
【0013】
また、側部のくぼみを設けたことにより、パウチに内容物を入れて自立させたときに、壁面フィルムの中央部が外向きにやや凸状態となり、壁面フィルムに印刷された調理例などの写真が浮きあがり、商品の外観としてアピールするものとなる。側部のくぼみを設けずにまっすぐだと自立させたときに壁面フィルムの中央部がややへこんだ状態になるため、見栄えがしない。
【0014】
本発明の調味液用レトルトパウチの上部の一方の隅部に設けられる注出部は、壁面フィルムの上部にV字状に切り欠き、ヒートシールして設けられる注出部であるものが適している。調味液は通常粘度が高くなく、注出することにあまり困難性はない。また、注入する相手は鍋などの口の広いものであるから、注出口の形状は問わない。口の広さが程ほどに狭ければ良い。洗剤の詰め替え容器等で使用されている注出口のいずれでも応用可能である。ただし、レトルト処理に耐性がある必要がある。壁面フィルムの上部にV字状に切り欠きヒートシールして設けられる注出部は、余分な部品は一切不要であり、製造工程も簡単であることから、最も適している。
【0015】
本発明の調味液用レトルトパウチは、上部の一方の隅部に設けられた注出部、及び/又は、上部の残りのシール部に開封手段が設けてあるものが好ましい。少しずつ注ぐときには注出部の開封手段の部分を開封して使用し、一度に全量を使用するときは、注出部以外の大きい開封手段から開封することにより速やかに注出することができる。したがって、両方に開封手段を設けた態様が最も好ましい。注出部の開封手段を設ける位置は、上部の残りのシール部の開封手段を設ける位置よりも低い位置に設けられているのが好ましい。両方の開封手段の部分を開封した後、注出部から注ぎ出す際に大きい方の口から液がこぼれにくくなる。
【0016】
本発明の調味液用レトルトパウチは、該袋の両側部に設ける弓状の凹部の位置が、内容物を充填して自立させたときに内容物の液面の位置あたりであるものが好ましい。レトルトパウチを食卓でそのまま使用する場合には、フィルムの素材にはりが少ないため、いわゆる腰折れ状態になって中身がこぼれてしまうことが問題となる。レトルトパウチに内容物を充填して自立させると通常内容物の液面はほぼ中央あたりの位置になる。側部の弓状の凹部がそのあたりにあれば、その位置より下で腰折れ状態となる心配がない。
【0017】
本発明の調味液用レトルトパウチは、特に500ml以上の容量の場合に適している。容量が大きいと腰折れの問題が生じやすく、全量を一度に使わない場合も多いからである。
【0018】
本発明は、上記の特徴を有するレトルトパウチに充填された調味液、好ましくは鍋つゆである。濃縮タイプでない調味液は、濃縮タイプに比べ、香り、味などの点で優れている。しかし、嵩高になる傾向があり、瓶詰めなどでは重くなる。上記の特徴を有するレトルトパウチに充填した調味液は使用しやすく、製造、流通、販売、使用のいずれの場面においても適している。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、鍋等への注入時に全体量を速やかに注ぐこともでき、また、好きな量を調節しながら注ぐこともでき、開封後に食卓上に置いてあるときにも安定でこぼれにくい構造のレトルトパウチであり、かつ、商品として調理例などの外観の見栄えが良い、鍋つゆ等の調味料の食卓で使用できるレトルトパウチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明において、本発明にかかるレトルトパウチを構成する材料について説明すると、まず、本発明にかかる耐熱性基材フィルムとしては、本発明にかかるレトルトパウチを構成する基本素材となり、かつレトルト加工処理に耐えられることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、耐熱性を有し、強度、剛性等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、約10μmないし50μm位、好ましくは、約12μmないし25μm位が最も望ましい。
【0021】
次に、本発明において、気体遮断性フィルムについて説明すると、かかるフィルムとしては、太陽光等の光を遮光する性質、あるいは水蒸気、水、ガス等を透過しない性質等を有する材料を使用することができ、これは、単体の基材でもよく、あるいは二種以上の基材を組み合わせてなる複合基材等であってもよい。具体的には、例えば、遮光性とバリア−性を有するアルミニュウム箔またはその蒸着膜を有する樹脂のフィルム、バリア−性を有する酸化珪素、酸化アルミニュウム等の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム、水蒸気、水等のバリア−性を有する高密度ポリエチレン等の樹脂のフィルムないしシ−ト、ガスバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。更に、上記において、アルミニュウム箔としては、5μmないし30μm位の厚さのもの、また、アルミニュウムまたは無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ100Åないし2000Å位のものを使用することができる。また、上記の蒸着膜を支持する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカ−ボネ−トフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコ−ルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、その他等を使用することができる。
【0022】
次に、本発明において、ヒ−トシ−ル性フィルムについて説明すると、かかるフィルムとしては、レトルト加工処理に耐え、更に熱によって溶融し相互に、具体的には、例えば、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。そのフィルムの厚さとしては、10μmないし300μm位、好ましくは、20μmないし100μm位が望ましい。
【0023】
次に、上記のようなヒートシール性フィルムのなかでも、本発明においては、特に、ヒートシール性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを使用することが好ましい。更に、本発明においては、上記のヒートシール性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムのなかでも、具体的には、エチレン−プロピレンコポリマーを主成分とし、これにオレフィン系ゴム成分を添加し、更に所望の添加剤を任意に添加し、充分に混練してなる組成物を、例えば、押し出し成形等によりフィルム化してなるヒートシール性を有する無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムを使用することが望ましい。上記において、エチレン−プロピレンコポリマーとしては、例えば、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマー等を使用することができ、而して、エチレンとプロピレンとの共重合比率としては、プロピレンを約80〜97モル%位含むものを使用することができる。また、上記において、オレフィン系ゴム成分としては、例えば、イソプレンゴム、インブチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のC2〜C4からなるオレフィン系ゴム成分の一種ないしそれ以上を使用することができ、而して、本発明において、かかるオレフィン系ゴム成分を使用するのは、主に、製品の耐寒衝撃性を向上させるために使用するものである。
【0024】
また、上記において、上記のエチレン−プロピレンコポリマーを主成分とし、これにオレフィン系ゴム成分を添加してなる組成物には、更にその他の添加剤、例えば、線状低密度ポリエチレン等のその他の樹脂、充填剤、分散剤、着色剤、その他等を任意に添加することもできる。次に、本発明において、エチレン−プロピレンコポリマーとオレフィン系ゴム成分との配合割合としては、該エチレン−プロピレンコポリマー100重量部に対しオレフィン系ゴム成分を5〜30重量部、好ましくは、10〜20重量部の割合で配合することが好ましい。上記において、5重量部以下であると、耐寒衝撃性が低下することから好ましくなく、また、30重量部以上であると、外周端部のシール強度が低く、また耐熱性が低くレトルト時に内部内部融着等を発生して好ましくないものである。本発明において、上記の無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムの厚さとしては、10μmないし100μm位、好ましくは、30μmないし70μm位が望ましい。
【0025】
ところで、通常、レトルトパウチは、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、該レトルトパウチを構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホール性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。本発明において、上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。更に、本発明においては、フィルムないしシートとしては、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0026】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して、外側から内側に向かって、少なくとも、耐熱性基材フィルムおよびヒートシール性フィルム、または耐熱性基材フィルム、気体遮断性フィルムおよびヒートシール性フィルムを順に積層した積層体を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、上記のような材料からその方法目的、その他等を考慮して任意の素材を選択し、それらを通常の包装材料をラミネートする方法、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、その他等で行うことができる。而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等のラミネート用接着剤等の公知のアンカーコート剤、接着剤等を使用することができる。
【0027】
本発明の開封手段としては、例えば、印刷などによる開封指示線を設けて、その部分を鋏などで切り取るようにした手段のほか、(イ)袋の外周のヒートシール部にノッチを設け、そのノッチを開封開始位置として引き裂く手段、(ロ)一定方向の開封を容易に行うために易引き裂き性フィルム、例えば一軸延伸フィルムをその延伸方向と開封時の引き裂き方向とが一致するように積層フィルム中に積層し、この積層フィルムを袋に用いて引き裂く手段、(ハ)レーザー光照射加工によって形成されたハーフカット線に沿って引き裂く手段、(ニ)機械的方法によって細長くて小さな傷痕群を袋の端部に形成し、その傷痕群を起点として容易に引き裂けるようにした手段などの易開封性手段があり、これらの各開封手段を選択、または適宜組み合わせて採用することができる。
【0028】
尚、上記ノッチは、通常、一字形やV字形のノッチが多用されているが、その形状に制限はなく、引き裂き方向に向かって尖った部分を有する形状であれば何でもよい。ハーフカット線についても連続する線状のハーフカット線に限らず、ミシン目状の断続的なハーフカット線であってもよい。このようなハーフカット線は、1本でもよいが、引き裂き方向がずれた場合を想定して、中心のハーフカット線の両側に各1本、または各2本など複数のハーフカット線を平行、または中心のハーフカット線に収斂する形状などに設けることもできる。
【0029】
開封手段としては、前述のような各種の手段を採ることができるが、少なくとも開封位置に開封指示線を設けることが好ましい。この開封指示線は、点線、破線、実線などの線のほか、文字、記号など何で表示してもよく、印刷などにより容易に設けることができる。
【0030】
このような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、袋の開封位置を明確に指示できるので間違いがなく、且つ、開封指示線と組み合わせて、ノッチ、ハーフカット線、一軸延伸フィルムの積層などの易開封性手段を用いることにより、鋏などの道具を使用することなく、手で容易に引き裂いて開封できるようになる。
【実施例】
【0031】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0032】
図1は本発明のレトルトパウチの1実施例の構成を示す正面図である。図1に示したレトルトパウチ100は、その下部が、前後2面の壁面フィルム1、1′の下部の間に、底面フィルムを内側に向けて折り返し、その両側端縁部の下端近傍に底面フィルム切り欠き部4、4を設けて、底面フィルム折り返し部3まで挿入してなるガセット部5を有する形式で形成され、該ガセット部5が、内側が両側から中央部に向けて湾曲線状に窪んだ形状となる船底形のシールパターン、即ち、底部シール部2でヒートシールされて形成され、胴部が、前後2面の壁面フィルム1、1′の両側の端縁部を、ガセット部5の上から胴部の長さ方向の中間部近辺に弓状の凹部7を設け、上部まで垂直の側部シール部6、6でヒートシールされている。
【0033】
また、袋の上部の開口部は、V字状の切り欠き部10により、一方の隅部に注出部8が設けられ、内容物の充填後に上部はヒートシールされるが、注出部8を予め設けたパウチに内容物を充填後、残りの部分をシールしても良いし、上部のヒートシールの際に同時に注出部8を設けるようにしてもよい。注出部8、及び/又は、上部の残りの部分には開封用切り取り線9、9′が設けられる。この場合、開封用切り取り線9、9′の端部にノッチ構成されている。
【0034】
上記ノッチは、開封用切り取り線9、9′の片側の端部のみでも両側に設けてもよい。また、図には示していないが、開封用切り取り線9、9′の位置には、これに沿って更にレーザー光照射によるハーフカット線を設けてもよい。
【0035】
このような構成を採ることにより、レトルトパウチ100は、袋全体が積層フィルムで形成されているので、軽量で嵩張らず、内容物の保存性もよく、また、使用後の廃棄処理も容易である。そして、内容物の充填は、上部の開口部、即ち、未シールの上部シール部から容易に充填し、ヒートシールして密封することができる。
【0036】
内容物が充填されたレトルトパウチ100は、下部のガセット部5が内側が湾曲線で形成された船底形の底部シール部2でヒートシールされているので、底部が前後に丸形に大きく広がり、底面の外周には、底面フィルム切り欠き部4、4で両側が接合されたヒートシール部によるリング状の脚部が形成されるため、優れた自立性が付与され取り扱いやすく、また、袋の両側部に弓状の凹部7が設けられているので、自立安定性がよく、いわゆる腰折れが発生しにくい。また、中間部近辺で急激に袋が窄まることがないので、壁面フィルムが滑らかに広がり、調理例などの写真等の見栄えがよく、外観が優れた商品となる(図3)。
【0037】
また、内容物を注ぎ出す際には、いずれか一方の開封用切り取り線9、9′を利用して切り取ることにより注出部または広い口が開封される。一部の内容物を注ぎ出した後、開封のまま食卓に置いておいても安定性にすぐれているので、不安定感がない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
通常、水差し様の容器で鍋つゆなどは食卓へ出されるが、本発明のレトルトパウチは、そのままで水差しのように食卓に置いて使用することができる。簡便なレトルトパウチ入りの調味液を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のレトルトパウチの実施例の構成を示す正面図である。
【図2】本発明のレトルトパウチの実施例の寸法を示す正面図である(単位mm)。
【図3】本発明のレトルトパウチに充填する調味液の調理例を表示したものの実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1、1′壁面フィルム
2 底部シール部
3 底面フィルム折り返し部
4 底面フィルム切り欠き部
5 ガセット部
6 側面シール部
7 弓状凹部
8 注出部
9、9′ 開封用切り取り線
10 V字状切り欠き部
100 レトルトパウチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋つゆを、
袋の下部が、前後2面の壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して挿入し、周縁部をヒートシールにより封止してなるガセット部を有する形式で形成され、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側の端縁部を側部シール部でヒートシールして形成され、レトルト加工処理に耐えられる樹脂からなる袋において、
下部のガセット部が、自立性を付与する形状のシールパターンでヒートシールされ、該袋の両側部が袋の長さ方向の中間部近辺に弓状の凹部を設けられ、
該袋の上部の一方の隅部には、内容物を注出するための第一の注出部が設けられ、当該第一の注出部は、壁面フィルムの上部にV字状に切り欠き、ヒートシールして設けられ、第一の開封手段により開封されるようになっており、
該袋の上部の残りのシール部は、第二の抽出部として、残りのシール部全幅にわたり、第二の開封手段により開封されるようになっており、かつ、
袋の容量が500ml以上であるレトルトパウチに充填したことを特徴とするレトルトパウチ入り鍋つゆ。
【請求項2】
前記第一の開封手段が設けられた位置が、第二の開封手段が設けられた位置よりも低い位置に設けられている請求項1のレトルトパウチ入り鍋つゆ。
【請求項3】
該袋の両側部に設ける弓状の凹部の位置が、内容物を充填して自立させたときに内容物の液面の位置あたりである請求項1または2のレトルトパウチ入り鍋つゆ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−335478(P2006−335478A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258752(P2006−258752)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【分割の表示】特願2003−282530(P2003−282530)の分割
【原出願日】平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願人】(000004189)日本水産株式会社 (119)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】