説明

レトルト装置

【課題】被処理物の加熱殺菌に使用される加熱用蒸気の凝縮で生じたドレンのみを確実に回収して再利用するレトルト装置を提供する。
【解決手段】ドレン回収回路26の上流側に排水回路28を設け、加熱殺菌工程66の初期段階で、熱交換器16の1次側1602に蒸気を供給することにより、熱交換器1602の1次側1602に残留する冷却水34と、冷却水循環回路31に介設された第1、第2の冷水循環弁2404、2406と熱交換器16との間の冷却水循環回路31の部分に残留する冷却水34と、ドレン回収回路26に介設された排蒸弁2604と熱交換器16との間のドレン回収回路26の部分に残留する冷却水34とを配管2802および残留水排水弁2806を介して排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト食品や医薬品などの被処理物を加圧下で加熱殺菌する際に使用されて好適なレトルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品などの被処理物は常温での長期保存を可能にするために処理槽内で加熱殺菌処理が施される。この場合、熱水を被処理物にスプレー状に噴射して被処理物を加熱することで殺菌する熱水加熱式のレトルト装置が利用される(特許文献1、2参照)。
【0003】
このようなレトルト装置は、熱媒体を熱交換器の2次側を通して循環させながら、ボイラからの蒸気を熱交換器の1次側に供給することで熱媒体を加熱する。そして、この加熱された熱媒体を処理槽内に配設されたスプレーノズルから被処理物に向け噴射し、被処理物を加圧下で加熱殺菌処理する。
また、被処理物の加熱殺菌処理が終了したならば、熱交換器の1次側をボイラからクーリングタワーに切り換え、クーリングタワーで冷却された水を熱交換器の1次側に供給することで熱媒体を冷却する。そして、この冷却された熱媒体をスプレーノズルから被処理物に向け噴射し、被処理物を加圧下で冷却する。
その後、処理槽内の熱媒体を排出し、処理槽内の圧力を大気圧に減圧する。これにより、被処理物に対する一連の加熱殺菌処理が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−276907号公報
【特許文献2】特開2000−69948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対して、従来のレトルト装置における被処理物の加熱殺菌工程では、熱媒体を蒸気により間接的に加熱し、この加熱された熱媒体を被処理物に対して噴射することで被処理物を加熱するものであるが、従来のレトルト装置においても蒸気の凝縮により生じるドレンを回収する場合がある。
ところで、蒸気使用機器においては、一般的に、システム全体の効率を向上させるため、蒸気の凝縮により生じたドレンを回収して、ボイラの給水に再利用されることが行われている。すなわち、ドレンを回収することによって、回収したドレンの熱の再利用とボイラへの給水量の低減とを図ることができるためである。
【0006】
一方、レトルト装置では、被処理物に対する一連の加熱殺菌工程が終了し処理槽から被処理物と取り出したならば、次に加熱殺菌処理を行うべき被処理物を処理槽内に収容し、熱交換器の1次側に再び蒸気が供給されることになる。ここで、加熱殺菌処理時に発生するドレンを回収するには、ドレン回収ラインをボイラに連通させ、蒸気の凝縮で生じたドレンをボイラに戻さなければならない。
この場合、熱交換器に蒸気が供給される初期段階で、熱交換器の1次側に残留している冷却水と、熱交換器の1次側とクーリングタワーとを連通する冷却水供給経路に残留している冷却水とが、ドレン回収ラインを通してドレンと共にボイラに還流されてしまう。
【0007】
ドレンは蒸気が凝縮されたものであるから、純水に近い性状を有している。これに対して冷却水には、一般の水道水や地下水に、クーリングタワーのスケール防止剤や藻などの発生を防止するための薬品を加えた水が使用されている。
このような水がドレン回収ラインを通してボイラに還流されると、ボイラに供給される水の性状が不安定となり、本来の水の調整が設定通りに行われず、ボイラ機器の腐食などが発生するおそれがある。
特に水道水や地下水中に含まれる硬度成分(カルシウムイオンやマグネシウムイオンなど)がドレン回収ラインに混入すると、これらがボイラ内でスケール化して、ボイラの伝熱性能を低下させるばかりでなく、ボイラの耐久性を高める上で不利となる。
【0008】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、被処理物の加熱殺菌に使用される加熱用蒸気の凝縮で生じたドレンのみを確実に回収して再利用できるレトルト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、被処理物に熱媒体を噴射させる処理槽と、前記熱媒体を熱交換器の2次側を通して前記処理槽と前記熱交換器との間で循環させる熱媒体循環回路と、蒸気を生成する蒸気供給源と、前記熱交換器の1次側と冷却水生成装置との間で冷却水を循環させる冷却水循環回路と、前記冷却水循環回路の途中の箇所に接続され前記蒸気供給源で生成された蒸気を前記熱交換器の1次側に供給する蒸気供給回路と、前記冷却水循環回路の途中の箇所に接続され前記熱交換器の1次側から排出される使用済みの蒸気をドレンとして回収し前記蒸気供給源に戻すドレン回収回路と、前記冷却水循環回路、前記蒸気供給回路、前記ドレン回収回路のそれぞれに介設された弁と、前記各弁を開閉させることにより、前記冷却水循環回路が形成された状態と、前記蒸気供給回路と前記ドレン回収回路とが前記熱交換器の1次側に連通された状態の何れかに切り替える制御手段とを備えるレトルト装置であって、前記ドレン回収回路に接続された残留水排出回路を設け、前記制御手段は、前記熱交換器の1次側に前記蒸気が供給される初期段階で、前記各弁を開閉させることにより、前記熱交換器の1次側、前記冷却水循環回路、前記ドレン回収回路にそれぞれ残留する前記冷却水を前記蒸気により前記残留水排出回路を介して外部に排出することを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、熱交換器の1次側、冷却水循環回路、ドレン回収回路にそれぞれ残留する冷却水を排出させるので、被処理物の加熱殺菌に使用される蒸気の凝縮で生じたドレンのみを確実に回収して再利用することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレトルト装置において、前記ドレン回収回路に介設された前記弁は排蒸弁であり、前記ドレン回収回路はドレン回収用蒸気トラップを含んで構成され、前記残留水排出回路は開閉可能な残留水排水弁を含んで構成され、前記制御手段は、前記残留している冷却水の排出時、前記残留水排水弁を前記蒸気の供給開始時点から予め定められた一定時間開状態に制御し、前記排蒸弁を前記残留水排水弁の開時間と同一の時間閉状態に制御することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段が経過時間に基づいて排蒸弁および残留水排水弁の制御を行うため、制御手段の簡素化を図りつつ残留している冷却水を確実に排出して、蒸気の凝縮のみで生じたドレンのみを確実に回収して再利用することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のレトルト装置において、前記ドレン回収回路に介設された前記弁は排蒸弁であり、前記ドレン回収回路はドレン回収用蒸気トラップを含んで構成され、前記残留水排出回路は開閉可能な残留水排水弁を含んで構成され、前記残留水排出回路の上流側で前記蒸気の温度を検出する温度センサをさらに備え、前記制御手段は、前記残留している冷却水を排出するに際し、前記排蒸弁を閉状態に制御するとともに、前記残留水排水弁を開状態に制御し、前記温度センサで検出される温度が予め設定した温度に到達したとき、前記残留水排出弁を閉状態に制御することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、制御手段が温度センサで検出した温度に基づいて残留水排水弁の制御を行うため、残留している冷却水を確実に排出することができ、蒸気の凝縮のみで生じたドレンのみを確実に回収して再利用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被処理物の加熱殺菌に使用される蒸気の凝縮で生じたドレンのみを確実に回収して再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態におけるレトルト装置の全体の構成を示す構成図である。
【図2】レトルト装置における全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】給水工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】熱媒体循環工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】加熱殺菌工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】冷却工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】排水工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】排気工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】終了工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態におけるレトルト装置の要部の構成図である。
【図11】第3の実施の形態におけるレトルト装置の要部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかるレトルト装置の実施の形態について図1乃至図9を参照して説明する。
本実施の形態では、被処理物がレトルト食品(レトルトパウチ食品)である場合について説明する。レトルト食品は、プラスチックフィルム若しくは金属箔又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形に成形した容器(レトルトパウチ)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものである。
本発明のレトルト装置は、図1に示すように、処理槽12と、給水手段14と、熱交換器16と、ボイラ18と、クーリングタワー20と、熱媒体循環ポンプ22と、ドレン回収回路26と、残留水排出回路28と、制御手段30と、冷却水循環回路31と、蒸気供給回路33などを含んで構成される。本実施の形態では、ボイラ18は蒸気発生源を構成し、クーリングタワー20は冷却水供給装置を構成している。
【0018】
処理槽12は、被処理物を収容して加熱殺菌および冷却処理するものである。この処理槽12内には、被処理物に対して加熱あるいは冷却された熱媒体32としての水を噴射する複数のスプレーノズル1202が配設されている。
また、処理槽12には、処理槽12内の給水レベルを検出する水位計1204と、処理槽12内の温度を検出する温度センサ1206とが設けられている。
【0019】
給水手段14は、処理槽12内に被処理物の加熱および冷却に兼用される熱媒体32を一定量供給するものである。
給水手段14は、給水タンク1402と、フロート弁1404と、給水ポンプ1408と、給水弁1410とを含んで構成されている。フロート弁1404は、給水タンク1402に設けられ、給水源から給水タンク1402に貯留される水量を一定のレベルにコントロールするものである。給水ポンプ1408は、給水タンク1402と処理槽12の底部との間を連通する配管1406に設けられている。給水弁1410は電磁式で配管1406に設けられている。
【0020】
熱交換器16は、熱媒体32を加熱、冷却するためのものである。
すなわち、熱交換器16は、1次側1602と2次側1608とを備え、1次側1602に供給される蒸気により2次側1608に流れる熱媒体32を加熱し、また、1次側1602に流れる冷却水34により2次側1608に流れる熱媒体32を冷却する。
熱交換器16の1次側1602の一端1602Aは、配管1604と、該配管1604に接続された配管1802とを介してボイラ18に接続されると共に、配管1604と、該配管1604に接続された配管2002とを介してクーリングタワー20のスプレーノズル2004に接続されている。
熱交換器16の1次側1602の他端1602Bは、配管1606、2006を介してクーリングタワー20の冷水貯留部2012に接続されている。
また、熱交換器16の1次側1602の他端1602Bは、配管1606、2602を介してドレン回収回路26の上流端に接続されると共に、配管2802を介して残留水排出回路28に接続されている。
また、熱交換器16の2次側1608の一端1608Aと前記の複数のスプレーノズル1202とは配管1610を介して接続されている。
また、熱交換器16の2次側1608の他端1608Bと処理槽12の底部とは配管1609により接続されている。
配管1609には熱媒体循環ポンプ22が設けられ、この熱媒体循環ポンプ22は、処理槽12に貯留された熱媒体32を熱交換器16の2次側1608に送給し、配管1610を介して複数のスプレーノズル1202から噴射する。
したがって、本実施の形態では、配管1609、1610と、熱媒体循環ポンプ22とによって、熱媒体32を熱交換器16の2次側1608を通して処理槽12と熱交換器16との間で循環させる熱媒体循環回路23が構成されている。
【0021】
ボイラ18は、熱交換器16の2次側1608を流れる熱媒体32を加熱するための蒸気を生成するものである。
ボイラ18は、配管1802、1604を介して熱交換器16の1次側1602に接続され、配管1802には、電磁式の給蒸弁2402が設けられている。
したがって、ボイラ18より生成された蒸気を熱交換器16の1次側1602に供給する蒸気供給回路33が、配管1802、1604、給蒸弁2402を含んで構成されている。なお、配管1604は後述する冷却水循環回路31の一部を構成しているため、蒸気供給回路33は、冷却水循環回路31の途中の箇所に接続されている。
また、配管1604に接続された配管2002には、エア駆動弁からなる第1の冷水循環弁2404が設けられ、配管1606に接続された配管2006には、エア駆動弁からなる第2の冷水循環弁2406が設けられている。
【0022】
クーリングタワー20は、熱交換器16の2次側1608を流れる熱媒体32を冷却するための冷却水34を生成する。
クーリングタワー20は、前記のスプレーノズル2004に加えて、クーリング用ファン2010と、冷水貯留部2012と、冷水循環ポンプ2014と、フロート弁2016とを含んで構成される。
クーリング用ファン2010は、スプレーノズル2004から冷水貯留部2012に落下される冷却水34に外気を当てることにより冷却水34を冷却するものである。
冷水貯留部2012は、冷却水34を貯留するものである。
冷水循環ポンプ2014は、熱交換器16の1次側1602とクーリングタワー20との間で冷却水34を循環させるものであり、配管2006に設けられる。
より詳細には、冷水循環ポンプ2014は、冷水貯留部2012に貯留された冷却水34を、配管2006、第2の冷水循環弁2406、配管1606を介して熱交換器16の1次側1602の他端1602Bに供給し、1次側1602の一端1602Aから配管1604、第1の冷水循環弁2404、配管2002を介してスプレーノズル2004に供給するものである。
フロート弁2016は、冷水貯留部2012に貯留された水面上に配置され、都市水道などの水源から冷水貯留部2012に貯留される水の量を一定のレベルにコントロールするものである。
【0023】
なお、本実施の形態では、熱交換器16の1次側1602とクーリングタワー20との間で冷却水34を循環させる冷却水循環回路31が、配管2002、2006、第1、第2の冷水循環弁2404、2406、配管1604、1606、熱交換器16の1次側1602および冷水循環ポンプ2014を含んで構成されている。
なお、配管1802を冷却水循環回路31の熱交換器16の1次側1602よりも上流の箇所に接続し、配管2602を冷却水循環回路31の熱交換器16の1次側1602よりも下流の箇所に接続してもよく、要するに、蒸気供給回路33は、冷却水循環回路31の途中の箇所に蒸気を供給するように構成されていればよい。
【0024】
ボイラ18から熱交換器16の1次側1602に供給された蒸気の大半は、1次側1602で凝縮されドレン(水)として排出され、ドレン回収回路26は、このドレンを配管1606、2602を介して回収し、ボイラ18に還流するものである。
言い換えると、ドレン回収回路26は、冷却水循環回路31の途中の箇所に接続され熱交換器16の1次側1602で凝縮した蒸気ドレンを回収しボイラ18に戻すものである。
ドレン回収回路26は、配管2602と、モータバルブからなる排蒸弁2604と、ドレン回収用蒸気トラップ2606と、逆止弁2608とを含んで構成されている。
配管2602の一端は配管1606に接続され、配管2602の他端は、排蒸弁2604とドレン回収用蒸気トラップ2606と逆止弁2608とを介してボイラ18に接続されている。
ドレン回収用蒸気トラップ2606は、排蒸弁2604よりも下流側の配管2602の箇所に設けられ、熱交換器16の1次側1602から流出したドレンのみを排出させるものである。
逆止弁2608は、ドレン回収用蒸気トラップ2606よりも下流側の配管2602の箇所に設けられている。
【0025】
本実施の形態では、第1、第2の冷水循環弁2404、2406、給蒸弁2402、排蒸弁2604が、冷却水循環回路31と蒸気供給回路33とドレン回収回路26とのそれぞれに介設された弁を構成している。
そして、制御手段30が、これら第1、第2の冷水循環弁2404、2406、給蒸弁2402、排蒸弁2604を開閉させることにより、冷却水循環回路31が形成された状態と、蒸気供給回路33とドレン回収回路26とが熱交換器16の1次側1602に連通された状態の何れかに切り替えるように構成されている。
【0026】
残留水排出回路28は、ドレン回収回路26の熱交換器16の1次側1602よりも下流側の箇所に接続されている。
残留水排出回路28は、一端がドレン回収回路26の上流箇所に接続され、他端がレトルト装置10の外部(下水など)に接続された配管2802と、この配管2802に設けられたモータバルブからなる残留水排水弁2806を含んで構成される。
そして、制御手段30は、処理槽12内の被処理物を加熱殺菌するに際し、熱交換器16の1次側1602に蒸気が供給される初期段階で、第1、第2の冷水循環弁2404、2406、排蒸弁2604を閉じ、給蒸弁2402、残留水排水弁2806を開くことにより、熱交換器16の1次側1602、冷却水循環回路31、ドレン回収回路26にそれぞれ残留する冷却水34を蒸気により残留水排出回路28を介して外部に排出させる。すなわち、それら冷却水34の排出は、ボイラ18の蒸気が熱交換器16の1次側1602に供給され冷却水34が残留水排水弁2806から排出されることになる。
なお、残留水排出回路28とドレン回収回路26の上流側との接続箇所、すなわち、配管2802の一端と配管2602との接続箇所P1は、排蒸弁2604に近い箇所であることが好ましい。これは、接続箇所P1が排蒸弁2604に近いほど、排蒸弁2604と冷却水循環回路31に接続された接続箇所P2との間のドレン回収回路26に残留する冷却水34をより多く残留水排出回路28へ流すことができるからである。
【0027】
処理槽12には、被処理物の加熱殺菌および冷却処理時に処理槽12内に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段36がエア駆動弁からなる圧縮空気供給弁3602を介して接続されている。
また、処理槽12には、被処理物の冷却工程終了後の排水工程で処理槽12内の熱媒体32を処理槽12外(下水など)へ排出するエア駆動弁からなる排水弁38が接続されている。
また、処理槽12には、処理槽12の排水工程終了後の排気工程で処理槽12内の加圧空気を処理槽12外へ放出するエア駆動弁からなる排気弁40が逆止弁42を介して接続されている。
【0028】
また、処理槽12には、処理槽12の排気工程終了後の終了工程で処理槽12内の空気を吸引して処理槽12内を負圧にする減圧手段44が電磁式の排気弁46を介して接続されている。なお、減圧手段44として空気エゼクタなど従来公知のさまざまな装置が採用可能である。
また、処理槽12には、処理槽12内を負圧にした後に処理槽12内を大気圧に戻す電磁式の開放弁48が逆止弁50を介して接続されている。
さらに、開放弁48の下流側には吸入空気中の塵埃等を除去するフィルタ52が接続されている。
【0029】
制御手段30は、給水ポンプ1408、給水弁1410、熱媒体循環ポンプ22、クーリング用ファン2010、冷水循環ポンプ2014、給蒸弁2402、第1、第2の冷水循環弁2404、2406、排蒸弁2604、残留水排水弁2806、圧縮空気供給弁3602、排水弁38、排気弁40、減圧手段44および排気弁46、開放弁48を被処理物の加熱殺菌処理手順に従って制御するものである。
また、制御手段30は、予め以下に示す各時間を計時するタイマー3002を備えており、タイマー3002の計時動作により以下の各時間が、それぞれ予め定められた設定時間に到達したか否か(設定時間を経過したか否か)を判定するように構成されている。
1)処理槽12の被処理物に対する熱媒体32の噴射時間
2)残留している冷却水34の排出時間
3)被処理物に対する加熱殺菌処理時間
4)被処理物に対する冷却時間
【0030】
このような制御手段30は、マイクロコンピュータによって構成することができる。
すなわち、マイクロコンピュータは、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成されている。ROMはCPUが実行する加熱殺菌処理用の制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。
そして、CPUが前記の制御プログラムを実行することにより制御手段30が実現される。
【0031】
次に、本実施の形態におけるレトルト装置の処理手順について図2乃至図9を参照して説明する。
図2に示すように、レトルト装置によるレトルト食品などの被処理物の加熱殺菌処理は、以下に示す各工程を順次実行することでなされる。
1)処理槽12への給水工程62。
2)被処理物の加熱殺菌処理が開始される前段階で処理槽12の被処理物に対して熱媒体32を噴射する熱媒体循環工程64。
3)熱交換器16でボイラ18からの蒸気により加熱した熱媒体32を処理槽12内の被処理物に噴射することで被処理物を加圧下で加熱殺菌する加熱殺菌工程66。
4)被処理物の加熱殺菌工程66終了後に熱媒体32をクーリングタワー20の冷却水34により冷却し処理槽12内に循環させながら被処理物を加圧下で冷却する冷却工程68。
5)冷却工程68終了後に処理槽12内の熱媒体32を排出する排水工程70。
6)排水工程70終了後に処理槽12内の加圧空気を排出して大気圧にする排気工程72。
7)排気工程72の終了後に処理槽12内を一旦負圧にした後、大気圧に戻す終了工程74。
以下、上記各工程を図3乃至図9に基づいて詳述する。
【0032】
給水工程62では、処理槽12内に被処理物を収容した状態で、図3に示すように、制御手段30により給水弁1410を開動作させ、給水ポンプ1408を起動して、処理槽12内に給水タンク1402から給水する(ステップS621)。
次いで、制御手段30では、水位計1204からの検出信号に基づいて処理槽12内の給水レベルが予め定められた所定の水位に到達したかを判定する(ステップS622)。
ここで、給水レベルが所定の水位に到達していない時は、給水弁1410の開状態および給水ポンプ1408の運転状態を保持する。また、給水レベルが所定の水位に到達した時は給水弁1410を閉にし、給水ポンプ1408を停止して(ステップS623)、次の熱媒体循環工程64へ移行する。
【0033】
熱媒体循環工程64では、図4に示すように、制御手段30により熱媒体循環ポンプ22を起動し(ステップS641)、被処理物の加熱殺菌処理が開始される前段階で熱媒体32を循環させて処理槽12の被処理物にスプレーノズル1202から熱媒体32を噴射する。
その後、制御手段30では、タイマー3002からの時間情報を基に被処理物への熱媒体32の噴射時間が予め定められた設定時間に到達したかを判定する(ステップS642)。ここで、設定時間に到達しない場合は熱媒体の循環工程を継続させる。また、設定時間に到達した場合は熱媒体の循環工程を終了して(ステップS643)、次の加熱殺菌工程66へ移行する。
【0034】
加熱殺菌工程66の初期段階では、図5に示すように、制御手段30により熱媒体循環ポンプ22の運転を継続させ、給蒸弁2402を開動作させ、第1、第2の冷水循環弁2404、2406を閉状態にすることにより、ボイラ18から熱交換器16の1次側1602に蒸気の供給を開始すると共に、処理槽12内の熱媒体32を熱交換器16の2次側1608を介して処理槽12内に循環する。
さらに、残留水排水弁2806を開動作させ、排蒸弁2604を閉状態に保持する(ステップS661)。この加熱殺菌工程66の初期段階で、熱交換器16の1次側1602に蒸気が供給されることにより、熱交換器1602の1次側1602に残留する冷却水34と、冷却水循環回路31に介設された第1、第2の冷水循環弁2404、2406と熱交換器16との間の冷却水循環回路31の部分に残留する冷却水34と、ドレン回収回路26に介設された排蒸弁2604と冷却水循環回路31に接続された箇所との間のドレン回収回路26の部分に残留する冷却水34とが配管2802および残留水排水弁2806を介して排出される。
この初期段階においても、処理槽12内の熱媒体32は、ボイラ18から熱交換器16の1次側1602に供給される蒸気により加熱されつつ、熱交換器16の2次側1608を介して処理槽12内を循環する。
【0035】
次いで、制御手段30では、熱交換器16の1次側1602への蒸気の供給開始と同時にタイマー3002をスタートさせる(ステップS662)。
そして、次のステップS663において、残留している冷却水34の排出時間が予め定められた設定時間、例えば3分間に到達したかを判定する(ステップS663)。
ここで、残留している冷却水34の排出時間が設定時間に到達していない場合は残留している冷却水34の排出を継続させる。
残留している冷却水34の排出時間が設定時間に到達すると、初期段階は終了する。
初期段階が終了すると、すなわち、残留している冷却水34の排出時間が設定時間に到達した場合は、制御手段30により熱媒体循環ポンプ22の運転を継続させたまま、給蒸弁2402を開状態に保持し、第1、第2の冷水循環弁2404、2406を閉状態に保持し、さらに、排蒸弁2604を開動作させ、残留水排水弁2806を閉動作させる(ステップS664)。
【0036】
初期段階の終了後、加熱殺菌工程66では、熱交換器16の1次側1602から排出されたドレンがドレン回収回路26で回収されボイラ18に還流される。
ドレン回収回路26は1次側1602で凝縮された蒸気ドレンを回収する。
ドレン回収回路26によるドレン回収方式としては無圧回収方式であっても、クローズド回収方式であってもよい。
無圧回収方式は、ドレン回収回路26で回収されたドレンおよび蒸気を大気中に開放されたドレン回収用タンクに導くものであり、したがって、回収されたドレンはドレン回収用タンクに貯留され、回収された蒸気は大気中に放出される。
クローズド回収方式は、ドレン回収回路26で回収されたドレンおよび蒸気の双方を加圧されたドレン回収用タンクに導くものである。
【0037】
加熱殺菌工程66において、制御手段30では、温度センサ1206からの検出信号に基づいて処理槽12内の温度が予め定められた設定温度に到達したかを判定する(ステップS665)。ここで、処理槽12内の温度が設定温度に到達しない場合は、処理槽12内の温度が設定温度になるまで加熱された熱媒体32の循環を継続させる。そして、処理槽12内の温度が設定温度に到達した場合は、この時点から、熱媒体32による被処理物の設定温度での加熱殺菌処理を開始する。
本実施の形態において、処理槽12内の設定温度は121℃であり、処理槽12内の圧力は大気圧より高く設定されている。
これと同時に、制御手段30は、タイマー3002で計時される時間情報を取り込み、設定温度での加熱殺菌処理時間が予め定められた設定時間に到達したかを判定する(ステップS666)。
ここで、加熱殺菌処理時間が設定時間に到達するまで設定温度での加熱殺菌処理を継続させる。
【0038】
また、設定温度での加熱殺菌処理時間が設定時間に到達した場合は、制御手段30により熱媒体循環ポンプ22の運転を継続させたまま、給蒸弁2402を閉状態にし、第1、第2の冷水循環弁2404、2406を開動作させる。さらに、排蒸弁2604を閉状態に保持し、残留水排水弁2806を閉状態に保持する(ステップS667)。これにより、被処理物の加熱殺菌処理が終了し、次の冷却工程68に移行する。
冷却工程68では、図6に示すように、制御手段30により熱媒体循環ポンプ22の運転を継続させ、給蒸弁2402を閉状態に保持し、第1、第2の冷水循環弁2404、2406を開動作させる。さらに、残留水排水弁2806を閉状態に保持し、排蒸弁2604を閉状態に保持する。これに加えて、制御手段30により冷水循環ポンプ2014を起動し、クーリングタワー20のクーリング用ファン2010を駆動する(ステップS681)。
これにより、処理槽12内の熱媒体32を熱交換器16の2次側1608を介して処理槽12内に循環するとともに、クーリングタワー20から熱交換器16の1次側1602に冷却水34の供給を開始する。
この場合、冷却水34はクーリングタワー20で冷却されながら熱交換器16の1次側1602を介して循環され、さらに、熱交換器16で冷却された熱媒体32は熱交換器16の2次側1608を介して処理槽12内に循環され、処理槽12内のスプレーノズル1202から被処理物に噴射することにより、処理槽12内の被処理物を徐々に冷却する。
【0039】
次いで、制御手段30では、タイマー3002で計時される時間情報を取り込み、被処理物の冷却時間が予め定められた設定時間に到達したかを判定する(ステップS682)。
ここで、冷却時間が設定時間に到達するまで冷却処理を継続させる。
また、冷却時間が設定時間に到達した場合は、制御手段30により熱媒体循環ポンプ22の運転を停止し、給蒸弁2402を閉状態に保持したまま、第1、第2の冷水循環弁2404、2406を閉状態にする。
さらに、残留水排水弁2806および排蒸弁2604を閉状態に保持したまま、制御手段30により冷水循環ポンプ2014を停止し、クーリングタワー20のクーリング用ファン2010を停止する(ステップS683)。
これにより、処理槽12内の被処理物の冷却処理が終了し、次の排水工程70に移行する。
【0040】
排水工程70では、図7に示すように、制御手段30により排水弁38を開動作させる(ステップS701)。これにより、被処理物の殺菌および冷却処理に供された、処理槽12内に貯留されている熱媒体32が排水弁38を介して排出される。
その後、制御手段30では、処理槽12内の熱媒体32が完全に排出されたかを水位計1204からの検出信号に基づいて判定する(ステップS702)。ここで、熱媒体32の排水が完了していない時は、排水弁38を開状態に保持する。
また、熱媒体32の排水が完了した時は排水弁38を開状態に保持し(ステップS703)、次の排気工程72へ移行する。
【0041】
排気工程72では、図8に示すように、制御手段30により処理槽12の排水弁38を開状態に保持したまま、処理槽12の排気弁40を開動作させる(ステップS721)。これにより、処理槽12内の加圧空気を処理槽12外へ排出して処理槽12内を大気圧にする。
その後、処理槽12内が大気圧になったことを制御手段30で確認する(ステップS722)。この確認方法としては、例えば図示省略の圧力計を用いて処理槽12内を測定し、その測定結果を基に制御手段30で判断する。
処理槽12内が大気圧になったことが確認されたならば、排水弁38および排気弁40を閉状態にし(ステップS723)、次の終了工程74へ移行する。
【0042】
終了工程74では、図9に示すように、制御手段30により減圧手段44を起動し、排気弁46を開にする(ステップS741)。これにより、処理槽12内を大気圧に対して僅かに負圧にする。
その後、制御手段30では、図示省略の圧力計からの負圧情報に基づいて処理槽12内の空気抜きが終了したかを判定する(ステップS742)。ここで、処理槽12内の空気抜きが終了した場合は、減圧手段44を停止し、処理槽12の開放弁48を開にする(ステップS743)。
その後、排気工程72で示した場合と同様に、処理槽12内が大気圧になったことを制御手段30で確認する(ステップS744)。
これにより、被処理物に対する一連の加熱殺菌処理が終了し、レトルト装置は次の加熱殺菌処理に対し待機される。
【0043】
このような本実施の形態に示すレトルト装置によれば、処理槽12内の被処理物を加熱殺菌するに際し、熱交換器16の1次側1602にボイラ18から蒸気を供給する初期段階で、熱交換器16の1次側1602に残留する冷却水34と、ボイラ18から蒸気に接続された配管1604、1606、2602の部分に残留する冷却水34とをボイラ18の蒸気で排出するようにした。
したがって、残留する冷却水34が排出された後に、蒸気供給回路33とドレン回収回路26とを接続することにより、クーリングタワー20で使用される冷却水34を取り除き、被処理物の加熱殺菌に使用される蒸気の凝縮で生じたドレンのみを確実に回収し、ボイラ18で再利用することができる。
これにより、クーリングタワー20で使用される冷却水34としてクーリングタワー20のスケール防止剤や藻などの発生を防止するための薬品が入っている水が使用されていても、その冷却水34がドレン回収回路26からボイラ18に還流されることがない。
そのため、ボイラ18に使用される水の性状を安定させることができ、ボイラ18の腐食などの発生を防止できるとともに、ボイラ18の伝熱性能を確保し、ボイラ18の耐久性を高める上で有利となる。
また、本実施の形態では、制御手段30が経過時間に基づいて排蒸弁2604および残留水排水弁2806の制御を行うため、制御手段30の簡素化を図りつつ残留している冷却水34を確実に排出して、蒸気の凝縮のみで生じたドレンのみを確実に回収して再利用することができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
次に、本発明にかかるレトルト装置の第2の実施の形態について、図10を参照して説明する。なお、以下の実施の形態において、第1の実施の形態と同一、同様の部分、部材には同一の符号を付してその説明を簡単に行いあるいは省略する。
第2の実施の形態においては、図10に示すように、残留水排出回路28の上流側であるドレン回収回路26の配管2602に、該配管2602内を流れる蒸気の温度を検出する温度センサ58を設ける。
そして、制御手段30は、熱交換器16の1次側1602およびその配管1604、1606に残留する冷却水34を残留水排出回路28を介して排出するに際して、ボイラ18から熱交換器16の1次側1602に流入する蒸気の供給開始時点で排蒸弁2604を閉状態に制御するとともに、残留水排水弁2806を開状態に制御し、温度センサ58で検出される検出温度が予め設定された温度、例えば80℃に到達したか否かを判定する。
前記の検出温度が予め設定された温度に到達したと判定された場合に、制御手段30は、残留水排水弁2806を閉状態に制御し、排蒸弁2604を開状態に制御する。
【0045】
このような第2の実施の形態によれば、図1に示す実施の形態と同様な作用効果が得られるほか、制御手段30が温度センサ58で検出した温度に基づいて残留水排水弁2806の制御を行うため、残留している冷却を確実に排出することができ、蒸気の凝縮のみで生じたドレンのみを確実に回収して再利用することができる。
【0046】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態ではドレン回収回路26に給蒸弁2402を設け、残留水排出回路28に残留水排水弁2806を設ける場合について説明したが、第3の実施の形態は、給蒸弁2402と残留水排水弁2806とに代えて1つの三方弁60を用いたものである。
すなわち、図1に示す排蒸弁2604と残留水排水弁2806に代えて、図11に示すように、配管2602と配管2802との結合箇所に電動式の三方弁60を設ける構成としてもよい。
この場合、三方弁60は、以下の第1、第2の切り替え状態に切り替え可能に構成される。
1)第1の切り替え状態:
配管2602とドレン回収用蒸気トラップ2606との間を連通すると共に、配管2602と配管2802との間を閉塞する。言い換えると、熱交換器16の1次側1602の他端1602Bとドレン回収回路26との間を連通すると共に、熱交換器16の1次側1602の他端1602Bと残留水排出回路28との間を閉塞する。
2)第2の切り替え状態:
配管2602とドレン回収用蒸気トラップ2606との間を閉塞すると共に、配管2602と配管2802との間を連通する。言い換えると、熱交換器16の1次側1602の他端1602Bとドレン回収回路26との間を閉塞すると共に、熱交換器16の1次側1602の他端1602Bと残留水排出回路28との間を連通する。
【0047】
したがって、制御手段30により三方弁60を第1の切り替え状態にすることでドレンはドレン回収回路26を介してボイラ18へ回収される。
また、制御手段30により三方弁60を第2の切り替え状態にすることで熱交換器16の1次側1602と、その配管1604、1606に残留する冷却水34およびドレン回収回路26の配管2602の上流側に残留する冷却水34が排出される。
また、第3の実施の形態では、第1、第2の冷水循環弁2404、2406、給蒸弁2402、三方弁60によって、冷却水循環回路31、蒸気供給回路33、ドレン回収回路26のそれぞれに介設された弁が構成されている。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、排蒸弁2604と残留水排水弁2806との2つの弁を1つの三方弁60で置換できるため、構成の簡素化とコストダウンを図る上で有利となる。
【0048】
なお、実施の形態では、被処理物がレトルト食品である場合について説明したが、被処理物は缶詰や医薬品など任意である。
また、実施の形態では、加熱殺菌工程66(加熱工程)によって被処理物の殺菌を行う場合について説明したが、加熱工程によって被処理物の調理、あるいは、調理および殺菌の双方を行うなど任意である。
【符号の説明】
【0049】
12……処理槽
14……給水手段
16……熱交換器
1602……1次側
1608……2次側
18……ボイラ
20……クーリングタワー
22……循環ポンプ
23……熱媒体循環回路
2402……給蒸弁
2404……第1の冷水循環弁
2406……第2の冷水循環弁
26……ドレン回収回路
2602……排蒸弁
2604……ドレン回収用蒸気トラップ
28……残留水排出回路
2806……残留水排水弁
30……制御手段
3002……タイマー
31……冷却水循環回路
32……熱媒体
33……蒸気供給回路
34……冷却水
58……温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物に熱媒体を噴射させる処理槽と、
前記熱媒体を熱交換器の2次側を通して前記処理槽と前記熱交換器との間で循環させる熱媒体循環回路と、
蒸気を生成する蒸気供給源と、
前記熱交換器の1次側と冷却水生成装置との間で冷却水を循環させる冷却水循環回路と、
前記冷却水循環回路の途中の箇所に接続され前記蒸気供給源で生成された蒸気を前記熱交換器の1次側に供給する蒸気供給回路と、
前記冷却水循環回路の途中の箇所に接続され前記熱交換器の1次側から排出される使用済みの蒸気をドレンとして回収し前記蒸気供給源に戻すドレン回収回路と、
前記冷却水循環回路、前記蒸気供給回路、前記ドレン回収回路のそれぞれに介設された弁と、
前記各弁を開閉させることにより、前記冷却水循環回路が形成された状態と、前記蒸気供給回路と前記ドレン回収回路とが前記熱交換器の1次側に連通された状態の何れかに切り替える制御手段とを備えるレトルト装置であって、
前記ドレン回収回路に接続された残留水排出回路を設け、
前記制御手段は、前記熱交換器の1次側に前記蒸気が供給される初期段階で、前記各弁を開閉させることにより、前記熱交換器の1次側、前記冷却水循環回路、前記ドレン回収回路にそれぞれ残留する前記冷却水を前記蒸気により前記残留水排出回路を介して外部に排出する、
ことを特徴とするレトルト装置。
【請求項2】
前記ドレン回収回路に介設された前記弁は排蒸弁であり、
前記ドレン回収回路はドレン回収用蒸気トラップを含んで構成され、
前記残留水排出回路は開閉可能な残留水排水弁を含んで構成され、
前記制御手段は、前記残留している冷却水の排出時、前記残留水排水弁を前記蒸気の供給開始時点から予め定められた一定時間開状態に制御し、前記排蒸弁を前記残留水排水弁の開時間と同一の時間閉状態に制御することを特徴とする、
請求項1に記載のレトルト装置。
【請求項3】
前記ドレン回収回路に介設された前記弁は排蒸弁であり、
前記ドレン回収回路はドレン回収用蒸気トラップを含んで構成され、
前記残留水排出回路は開閉可能な残留水排水弁を含んで構成され、
前記残留水排出回路の上流側で前記蒸気の温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記制御手段は、前記残留している冷却水を排出するに際し、前記排蒸弁を閉状態に制御するとともに、前記残留水排水弁を開状態に制御し、前記温度センサで検出される温度が予め設定した温度に到達したとき、前記残留水排出弁を閉状態に制御することを特徴とする、
請求項1に記載のレトルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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