説明

レドックスフロー電池

【課題】高い起電力が得られるレドックスフロー電池(RF電池)を提供する。
【解決手段】RF電池1Aは、正極電極・負極電極・隔膜101を具える電池要素100cにマンガンイオンを含む正極電解液と、バナジウムイオンやチタンイオンなどを含む負極電解液とを供給して充放電を行う。正極タンク10には、充電時、正極電解液を電池要素100cに供給する正極充電用配管11cと、放電時、正極電解液を電池要素100cに供給する正極放電用配管11dとが接続されている。正極充電用配管11cは、正極タンク10内の正極電解液の液面寄りに開口していることで、充電時、放電状態のマンガンイオンを効率よく電池要素100cに供給して、充電を十分に行える。正極放電用配管11dは、正極タンク10の底部寄りに開口していることで、放電時、充電状態のマンガンイオンを効率よく電池要素100cに供給して、放電を十分に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レドックスフロー電池に関するものである。特に、高い起電力が得られるレドックスフロー電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、地球温暖化への対策として、太陽光発電、風力発電といった新エネルギーの導入が世界的に推進されている。これらの発電出力は、天候に影響されるため、大量に導入が進むと、周波数や電圧の維持が困難になるといった電力系統の運用に際しての問題が予測されている。この問題の対策の一つとして、大容量の蓄電池を設置して、出力変動の平滑化、余剰電力の貯蓄、負荷平準化などを図ることが期待される。
【0003】
大容量の蓄電池の一つにレドックスフロー電池がある。レドックスフロー電池は、正極電極と負極電極との間に隔膜を介在させた電池要素に正極電解液及び負極電解液をそれぞれ供給して充放電を行う。上記電解液は、代表的には、酸化還元により価数が変化する金属イオンを含有する水溶液が利用される。正極に鉄イオン、負極にクロムイオンを用いる鉄-クロム系レドックスフロー電池の他、正負の両極にバナジウムイオンを用いる全バナジウム系レドックスフロー電池が代表的である(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-043884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バナジウム系レドックスフロー電池は、実用化されており、今後も使用が期待される。しかし、従来の鉄-クロム系レドックスフロー電池や全バナジウム系レドックスフロー電池では、起電力が十分に高いとは言えない。今後の世界的な需要に対応するためには、更に高い起電力を有し、かつ、活物質に用いる金属イオンを安定して供給可能な、好ましくは安定して安価に供給可能な新たなレドックスフロー電池の開発が望まれる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、高い起電力が得られるレドックスフロー電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
起電力を向上するためには、標準酸化還元電位が高い金属イオンを活物質に用いることが考えられる。従来のレドックスフロー電池に利用されている正極活物質の金属イオンの標準酸化還元電位は、Fe2+/Fe3+が0.77V、V4+/V5+が1.0Vである。本発明者らは、正極活物質となる金属イオン(活物質イオン)として、水溶性の金属イオンであり、従来の金属イオンよりも標準酸化還元電位が高く、バナジウムよりも比較的安価で、資源供給面においても優れると考えられるマンガン(Mn)を用いたレドックスフロー電池を検討した。Mn2+/Mn3+の標準酸化還元電位は、1.51Vであり、マンガンイオンは、起電力がより大きなレドックス対を構成するための好ましい特性を有する。また、本発明者らは、負極活物質となる金属イオンとしてチタン(Ti)に着目し、チタンを用いたレドックスフロー電池を検討した。Ti3+/Ti4+の標準酸化還元電位は、0Vであり、チタンイオンも、起電力がより高いレドックス対を構成するための好ましい特性を有する。特に、正極活物質にマンガンイオンを用い、負極活物質にチタンイオンを用いたマンガン-チタン系レドックスフロー電池は、1.4V程度といった高い起電力を有することができる。
【0008】
本発明者らが更に検討した結果、正極電解液にマンガンイオンを含有するレドックスフロー電池や負極電解液にチタンイオンを含有するレドックスフロー電池では、充放電を繰り返すうちに、放電時間が短くなったり、過充電になって充電時間が短くなったりすることがある、ことが分かった。この理由として、上記イオンを含有する電解液では、充電状態のときの比重と放電状態のときの比重とが異なることが考えられる。
【0009】
従来の全バナジウム系レドックスフロー電池などでは、充電状態にある電解液の比重と放電状態にある電解液の比重との差がほとんどなく、タンク内の電解液は、自然に撹拌されてイオン濃度が均一的になっている。
【0010】
一方、正極活物質にマンガンイオンを含有する正極電解液では、2価のマンガンイオン(Mn2+)に比較して、充電された3価のマンガンイオン(Mn3+)の比重が大きいこと(重いこと)が分かった。そのため、充電状態にある電解液(Mn3+を相対的に多く含む液)が正極タンクの底部に沈降し易く、充電を続けていくと、正極タンク内の底部側では、充電状態にあるMn3+のイオン濃度が未充電状態にあるMn2+のイオン濃度に比較して高くなることが分かった。つまり、充電時、正極タンク内の正極電解液は、当該タンクの液面寄りの領域にMn2+が多く、当該タンクの底部寄りの領域にMn3+が多いといったイオンの濃度分布(二層状態)が生じ易い。従って、例えば、正極タンクの底部側から電池要素に送液する構成とすると、充電時、充電状態にある電解液を電池要素に供給することになる。そのため、充電末の電圧への到達時間が短くなったり、過充電になったり、充電可能な時間が短くなったりして、効率の低下を招く。
【0011】
他方、負極活物質としてチタンイオンを含有する負極電解液では、4価のチタンイオン(Ti4+、TiO2+など)に比較して、充電された3価のチタンイオン(Ti3+)の比重が小さいこと(軽いこと)が分かった。そのため、上述のマンガンイオンを含む正極電解液とは逆に、充電時、負極タンク内の負極電解液は、当該タンクの液面寄りの領域にTi3+が多く、当該タンクの底部寄りの領域に4価のチタンイオンが多いといったイオンの濃度分布が生じ易い。従って、例えば、上述のように負極タンクの底部側から電池要素に送液する構成とすると、放電時、十分に充電されていない状態にある電解液(4価のチタンイオンを相対的に多く含む液)を電池要素に供給することになり、放電時間が短くなるなど、効率の低下を招く。
【0012】
上記知見により、本発明は、電池要素に電解液を供給する配管を充電時と放電時とで異なるものを具えることを提案する。
【0013】
本発明は、正極電極と、負極電極と、これら電極間に介在される隔膜とを具える電池要素に、正極タンク内の正極電解液及び負極タンク内の負極電解液をそれぞれ供給して充放電を行うレドックスフロー電池に係るものである。第一の発明として、上記正極電解液がマンガンイオンを含有する形態が挙げられる。この形態では、以下の構成(1)を具える。
構成(1)
上記正極タンクに、充電時に正極電解液を上記電池要素に供給する正極充電用配管と、放電時に正極電解液を上記電池要素に供給する正極放電用配管とがそれぞれ接続されている。
上記正極充電用配管の一端が上記正極タンク内の正極電解液の液面寄りの位置に開口している。
上記正極放電用配管の一端が上記正極タンクの底部寄りの位置に開口している。
【0014】
第二の発明として、上記負極電解液がチタンイオンを含有する形態が挙げられる。この形態では、以下の構成(2)を具える。
構成(2)
上記負極タンクに、充電時に負極電解液を上記電池要素に供給する負極充電用配管と、放電時に負極電解液を上記電池要素に供給する負極放電用配管とがそれぞれ接続されている。
上記負極充電用配管の一端が上記負極タンクの底部寄りの位置に開口している。
上記負極放電用配管の一端が上記負極タンク内の負極電解液の液面寄りの位置に開口している。
【0015】
第三の発明として、上記正極電解液がマンガンイオンを含有し、上記負極電解液がチタンイオンを含有する形態が挙げられる。この形態では、上述の構成(1)及び構成(2)を具える。
【0016】
上記構成を具える本発明レドックスフロー電池は、充電時、十分に充電されていない状態にある電解液(正極ではMn2+が相対的に多い液、負極では4価のチタンイオンが相対的に多い液)を電池要素に供給でき、放電時、十分に充電された電解液(正極ではMn3+が相対的に多い液、負極ではTi3+が相対的に多い液)を電池要素に供給できる。そのため、本発明レドックスフロー電池は、充放電の運転にあたり、比重の異なる電解液を効率よく利用可能であり、例えば、放電時、フル充電された電解液を用いることができる。従って、本発明レドックスフロー電池は、電圧を高めたり、出力を高められ、長期に亘り、高い起電力を有することができる。
【0017】
本発明において「液面寄りの位置」とは、タンクの底部から同タンク内の電解液の液面までの距離をLとするとき、タンクの底部から(L/2)超L未満の位置とする。また、本発明において「底部寄りの位置」とは、タンクの底部から(L/2)以下の位置とする。
【0018】
本発明の一形態として、正極及び負極のうち、同じ極の充電用配管の他端と放電用配管の他端とが一つの共通配管の一端に接続され、この共通配管を経て上記電池要素に当該極の電解液を供給する形態が挙げられる。上記共通配管を具える形態では、例えば、上記共通配管に接続された上記充電用配管及び上記放電用配管にそれぞれ、上記電解液を圧送するためのポンプが取り付けられ、上記共通配管において上記充電用配管及び上記放電用配管との接続箇所に三方弁が取り付けられた形態が挙げられる。或いは、上記共通配管を具える形態では、上記共通配管に接続された上記充電用配管及び上記放電用配管にそれぞれ、上記電解液を圧送するためのポンプ及び逆止弁が取り付けられた形態が挙げられる。
【0019】
共通配管を具える上記形態は、電池要素に接続する配管数を少なくできる。また、上記形態は、充電用配管及び放電用配管のそれぞれにポンプが別個に設けられていることで、充電時及び放電時のいずれにおいても電解液を所望の圧力で電池要素に供給できる。更に、三方弁を具える形態では、三方弁を切り替えることで、逆止弁を具える形態では当該弁により、電解液の逆流を防止して、比重が異なる電解液が混合されることを防止できる。その他、三方弁を具える形態では、部品点数を低減できる上に、構成を簡素にできる。逆止弁を具える形態では、三方弁のような切替動作が不要である上に、誤動作による不具合(ポンプの故障など)が生じない。
【0020】
上記共通配管を具える別の形態として、上記共通配管において上記充電用配管及び上記放電用配管との接続箇所に三方弁が取り付けられ、かつ、上記共通配管において上記三方弁と上記電池要素との間に上記電解液を圧送するためのポンプが取り付けられた形態が挙げられる。
【0021】
上記形態は、上述のように三方弁を切り替えることで、電解液の逆流を防止して、比重の異なる電解液の混合を防止できる。また、上記形態は、二つの逆止弁ではなく一つの三方弁を具える形態とすると共に、充電時と放電時とで一つのポンプを共用することでも、部品点数が少なく、構成をより簡素にできる。更に、ポンプが一つであることで、上記形態は、ランニングコストを低減できる。
【0022】
本発明の一形態として、上記正極タンクに、充電時に上記電池要素からの正極電解液を当該タンクに戻す正極充電用リターン配管と、放電時に上記電池要素からの正極電解液を当該タンクに戻す正極放電用リターン配管とがそれぞれ接続された形態が挙げられる。この形態として、例えば、上記正極充電用リターン配管の一端が上記正極タンクの底部寄りの位置に開口し、上記正極放電用リターン配管の一端が上記正極タンク内の正極電解液の液面寄りの位置に開口し、上記正極充電用リターン配管の他端と上記正極放電用リターン配管の他端とが一つの正極共通リターン配管の一端に接続され、上記正極共通リターン配管において上記正極充電用リターン配管及び上記正極放電用リターン配管との接続箇所に三方弁が取り付けられた形態が挙げられる。この形態では、上記電池要素からの正極電解液は、上記正極共通リターン配管を経て上記正極充電用リターン配管及び上記正極放電用リターン配管にそれぞれ送られる。
【0023】
或いは、本発明の一形態として、上記負極タンクに、充電時に上記電池要素からの負極電解液を当該タンクに戻す負極充電用リターン配管と、放電時に上記電池要素からの負極電解液を当該タンクに戻す負極放電用リターン配管とがそれぞれ接続された形態が挙げられる。この形態として、例えば、上記負極充電用リターン配管の一端が上記負極タンク内の負極電解液の液面寄りの位置に開口し、上記負極放電用リターン配管の一端が上記負極タンクの底部寄りの位置に開口し、上記負極充電用リターン配管の他端と上記負極放電用リターン配管の他端とが一つの負極共通リターン配管の一端に接続され、上記負極共通リターン配管において上記負極充電用リターン配管及び上記負極放電用リターン配管との接続箇所には三方弁が取り付けられた形態が挙げられる。この形態では、上記電池要素からの負極電解液は、上記負極共通リターン配管を経て上記負極充電用リターン配管及び上記負極放電用リターン配管にそれぞれ送られる。
【0024】
充電用リターン配管及び放電用リターン配管を具える上記形態は、電池要素から排出された電解液をタンクに戻すにあたり、例えば、充電されて比重が大きくなった電解液や比重が軽くなった電解液と、タンク内の電解液であって比重が異なる電解液とをタンク内で混ざり難くすることができる。つまり、上記形態は、充電状態にある電解液と十分に充電されていない状態にある電解液との二層状態(イオンの濃度分布)をつくり易い、或いは維持し易い。従って、上記形態は、充電時には、十分に充填されていない状態(放電状態)のイオンを相対的に多く含む電解液を電池要素に効率よく供給でき、放電時には、十分に充電された状態のイオンを相対的に多く含む電解液を電池要素に効率よく供給できる。
【0025】
本発明の一形態として、上記正極電解液と上記負極電解液とが共通の金属イオン種を含有し、上記正極タンク内の液相と上記負極タンク内の液相とを連通する連通管を具える形態が挙げられる。上記連通管の一端は、上記正極タンク内の正極電解液の液面寄りの位置に開口し、上記連通管の他端は、上記負極タンクの底部寄りの位置に開口していることが好ましい。
【0026】
正極電解液と負極電解液とが共通の金属イオン種を含有する場合、充放電に伴って経時的に液移りなどしても、正負の両極の電解液を混合して、両極の電解液の液量やイオン濃度のばらつきを容易に是正できる。但し、両極の電解液を混合すると自己放電による損失が生じ得る。例えば、両極の電解液がマンガンイオン及びチタンイオンを含有する場合、上述のように十分に充電されていない状態(放電状態)のマンガンイオンが正極タンクの液面寄りの領域に溜まり易く、十分に充電されていない状態(放電状態)のチタンイオンが負極タンクの底部寄りの領域に溜まり易い。上記形態では、両極の電解液として、放電状態の電解液同士を混合できるため、両極の電解液の混合にあたり、自己放電を低減でき、自己放電による損失を低減できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明レドックスフロー電池は、高い起電力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明レドックスフロー電池の概略構成図であり、図1(A)は、実施形態1、図1(B)は実施形態2を示す。
【図2】図2は、本発明レドックスフロー電池の概略構成図であり、図2(A)は、実施形態3、図2(B)は実施形態4、図2(C)は実施形態5を示す。
【図3】図3は、実施形態6のレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図4】図4は、本発明レドックスフロー電池の概略構成図であり、図4(A)は、実施形態7、図4(B)は実施形態8を示す。
【図5】図5は、本発明レドックスフロー電池の概略構成図であり、図5(A)は、実施形態9、図5(B)は実施形態10を示す。
【図6】図6は、実施形態11のレドックスフロー電池の概略構成図である。
【図7】図7は、実施形態12のレドックスフロー電池の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図中、同一符号は、同一名称物を示す。なお、図中の金属イオン(種類、価数)は例示である。
【0030】
本発明レドックスフロー電池(以下、RF電池と呼ぶ)の基本的な構成は、従来のレドックスフロー電池と同様であり、電解液を流通する配管構造に特徴がある。従って、まず、RF電池の基本的な構成を説明する。
【0031】
RF電池は、代表的には、交流/直流変換器を介して、発電部(例えば、太陽光発電機、風力発電機、その他、一般の発電所など)と電力系統や需要家などの負荷とに接続され、発電部を電力供給源として充電を行い、負荷を電力提供対象として放電を行う。
【0032】
RF電池は、電池要素を主要構成部材とし、この電池要素に正極電解液及び負極電解液を循環供給する循環機構(タンク、配管、ポンプ)を更に具える。
【0033】
電池要素100c(図1(A))は、正極電極(図示せず)を内蔵し、正極電解液が供給される正極セル102(図1(A))と、負極電極(図示せず)を内蔵し、負極電解液が供給される負極セル103と、両セル102,103を分離すると共に適宜イオンを透過する隔膜101とを具える。代表的には、電極は、カーボンフェルトからなるものが挙げられ、隔膜は、陽イオン交換膜や陰イオン交換膜といったイオン交換膜が挙げられる。
【0034】
電池要素100cは、代表的には、正極セル102と負極セル103とを複数積層させたセルスタックと呼ばれる形態が利用される。正極セル102,負極セル103は、一面に正極電極、他面に負極電極が配置される双極板(図示せず)と、電解液を供給する給液孔及び電解液を排出する排液孔を有し、かつ上記双極板の外周に形成される枠体(図示せず)とを具えるセルフレームを用いた構成が代表的である。複数のセルフレームを積層することで、上記給液孔及び排液孔は電解液の流路を構成する。セルスタックは、セルフレーム、正極電極、隔膜101、負極電極、セルフレーム、…と順に繰り返し積層されて構成される。代表的には、双極板は、プラスチックカーボンからなるもの、セルフレームの枠体は、塩化ビニルなどの樹脂からなるものが挙げられる。
【0035】
正極電解液は、正極タンク10(図1(A))に貯留され、負極電解液は、負極タンク20(図1(A))に貯留される。各タンク10,20と、上記電解液の流路との間は上流配管及び下流配管によって接続される。電池要素100c(セルスタック)に電解液を供給する上流配管には、通常、ポンプが取り付けられて電解液を圧送可能とし、電池要素100cからの電解液は、下流配管を経て各タンク10,20に戻される。なお、図1〜図7に示す例ではいずれも、正負の両極のタンク10,20の大きさ及び底面の位置を同じとしているが、異ならせることもできる。
【0036】
RF電池は、上述の循環機構を利用して、電池要素100cに電解液を圧送し、正負の各極の電解液中の活物質となる金属イオンの価数変化反応に伴って充放電を行う。
【0037】
(実施形態1)
図1を参照して、実施形態1のRF電池1Aを説明する。実施形態1のRF電池1Aは、上述の基本的な構成を具え、正極活物質としてマンガンイオンを含有する電解液を正極電解液に用いる点、正極側の上流配管を二つ具える点を特徴とする。以下、この特徴点を中心に説明する。
【0038】
[電解液]
正極電解液は、2価のマンガンイオン(Mn2+)及び3価のマンガンイオン(Mn3+)から選択される少なくとも一種のマンガンイオンを含有するものが挙げられる。本発明者らが調べた結果、MnO2も活物質として利用できるとの知見を得たことから、4価のマンガン(MnO2)を更に含有することを許容する。
【0039】
負極電解液は、例えば、負極活物質として、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、亜鉛イオン、及びスズイオンから選択される少なくとも一種の金属イオンを含有するものが挙げられる。チタンイオンやスズイオンを含有するマンガン-チタン系RF電池やマンガン-スズ系RF電池では、起電力:1.4V程度、バナジウムイオンを含有するマンガン-バナジウム系RF電池では、起電力:1.8V程度、クロムイオンを含有するマンガン-クロム系RF電池では、起電力:1.9V程度、亜鉛イオンを含有するマンガン-亜鉛系RF電池では、起電力:2.2V程度という更に高い起電力を有することができる。図1〜図3では、マンガン-バナジウム系RF電池を例示している。
【0040】
正負の各極の電解液において、各極の活物質となる金属イオンの濃度は0.3M以上5M以下が好ましい(M:体積モル濃度)。各極の電解液の溶媒は、硫酸、リン酸、硝酸、硫酸塩、リン酸塩、及び硝酸塩の少なくとも一種を含む水溶液が好ましい。特に、硫酸アニオン(SO42-)を含むものが利用し易い。酸の濃度は、5M未満が好ましい。
【0041】
[配管構造]
RF電池1Aに具える正極タンク10には、上流配管として、正極充電用配管11cと正極放電用配管11dとの2本の配管がそれぞれ接続されており、各配管11c,11dのタンク10側の開口箇所が異なる。
【0042】
正極充電用配管11cの一端は、正極タンク10において、タンク10内の正極電解液の液面寄りの位置に接続されている。より具体的には、正極充電用配管11cの一端は、正極タンク10の底面から液面までの高さをLpとするとき、底面から(Lp/2)超の位置に開口している。なお、図1〜図7において、正極タンク10内の実線は液面を、一点鎖線は、底面から(Lp/2)の位置を示す。また、図1〜図7において、配管は、直線的に屈曲した形状を示すが、湾曲形状でもよいし、屈曲させずに単に傾斜するように接続してもよい。
【0043】
一方、正極放電用配管11dの一端は、正極タンク10の底部寄りの位置に接続されている。より具体的には、正極放電用配管11dの一端は、正極タンク10の底面から(Lp/2)以下の位置に開口している。
【0044】
RF電池1Aでは、上記配管11c,11dの他端がいずれも、電池要素100cに接続されている。また、上記配管11c,11dはそれぞれ、正極ポンプ50c,50dが取り付けられ、正極タンク10内の正極電解液を電池要素100cに圧送できるようになっている。
【0045】
その他、RF電池1Aは、電池要素100cからの正極電解液を正極タンク10に戻す下流配管として、正極リターン配管13を具える。また、RF電池1Aは、負極タンク20内の負極電解液を電池要素100cに供給する上流配管として、負極供給配管21と、電池要素100cからの負極電解液を負極タンク20に戻す下流配管として、負極リターン配管23と、負極供給配管21に取り付けられた負極ポンプ60とを具える。
【0046】
[運転方法]
次に、上記構成を具えるRF電池1Aを充放電運転する方法を具体的に説明する。マンガンイオンを含有する正極電解液は、充電されたマンガンイオン(Mn3+)が、その比重により正極タンク10の底部側に集まり易く、未充電状態のマンガンイオン(Mn2+)がタンク10の液面側に集まり易くなっている。そこで、充電時には、正極タンク10の液面側(上方側)に取り付けられた正極充電用配管11c及び正極ポンプ50cによって、正極電解液を電池要素100cに供給する。一方、放電時には、正極タンク10の底部側(下方側)に取り付けられた正極放電用配管11d及び正極ポンプ50dによって、正極電解液を電池要素100cに供給する。
【0047】
RF電池1Aの負極電解液を例えばバナジウムイオンを含有するものとする場合、正極電解液のマンガンイオンのように、イオンの比重差によるイオンの濃度分布が生じ難い。従って、この場合は、従来の全バナジウム系RF電池と同様に、負極電解液は、充放電運転時の双方において、負極供給配管21・負極ポンプ60によって、負極電解液を電池要素100cに供給するとよい。
【0048】
[効果]
マンガンイオンを含有する正極電解液を用いるRF電池1Aは、充電時と放電時とで、正極電解液を電池要素100cに供給する配管を異ならせることで、電解液を効率よく利用できる。具体的には、RF電池1Aは、充電時、正極タンク10内の液面側に集まっている正極電解液、つまり、マンガンイオン(Mn2+)が相対的に多く十分に充電されていない状態(放電状態)にある正極電解液を電池要素100cに供給することができる。また、RF電池1Aは、放電時、正極タンク10内の底部側に集まっている正極電解液、つまり、マンガンイオン(Mn3+)が相対的に多く十分に充電された状態にある正極電解液を電池要素100cに供給することができる。そのため、RF電池1Aは、過充電を低減したり、充電時間や放電時間を十分に確保することができることから、長期に亘り、高い起電力を有することができる。
【0049】
(実施形態2)
図1(B)に示す実施形態2のRF電池1Bの基本的構成は、実施形態1のRF電池1Aと同様である。実施形態2のRF電池1Bは、図1(A)に示す実施形態1のRF電池1Aの構成に加えて、正極充電用配管11c・正極放電用配管11dのそれぞれに開閉弁51c,51dを具える点が異なる。以下、この相違点を中心に説明し、実施形態1のRF電池1Aと共通する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
【0050】
実施形態2のRF電池1Bは、正極ポンプ50c,50dの駆動・停止による正極電解液の供給制御に加えて、開閉弁51c,51dの開閉動作によって、所望の正極電解液を電池要素100cにより確実に供給できる。より具体的には、充電時、正極充電用配管11cに具える開閉弁51cを開き、正極放電用配管11dに具える開閉弁51dを閉じることで、正極タンク10内の液面側から正極電解液を電池要素100cに供給できる。放電時、正極放電用配管11dに具える開閉弁51dを開き、正極充電用配管11cに具える開閉弁51cを閉じることで、正極タンク10内の底部側から正極電解液を電池要素100cに供給できる。
【0051】
また、開閉弁51c,51dの開閉動作を行うことで、正極電解液の逆流を防止できる。そのため、実施形態2のRF電池1Bは、比重の異なる正極電解液を混合され難くすることができ、電解液の利用効率をより高められる。
【0052】
開閉弁51c,51dには、電磁弁などが利用できる。開閉弁51c,51dに代えて、或いは開閉弁51c,51dに加えて、後述する実施形態4(図2(B))のように逆止弁を利用する形態とすることができる。この場合も、上述のように逆流による電解液の混合を防止できる。これらの点は、後述する実施形態8(図4(B)):開閉弁61c,61dを具える形態についても適用できる。
【0053】
(実施形態3〜5)
図2を参照して、正極側の上流配管の別の形態を説明する。図2に示す実施形態3〜5のRF電池1C〜1Eの基本的な構成は、実施形態1のRF電池1Aと同様であり、主たる相違点は、正極側の上流配管の構成にある。以下、この相違点を中心に説明し、実施形態1のRF電池1Aと共通する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
【0054】
実施形態3〜5のRF電池1C〜1Eの正極タンク10にはいずれも、実施形態1のRF電池1Aと同様に、タンク10の液面側(上方側)に正極充電用配管11cが接続され、タンク10の底部側(下方側)に正極放電用配管11dが接続されている。但し、両配管11c,11dの他端は、一つの正極共通配管12の一端に接続されている。正極共通配管12の他端は、電池要素100cに接続されており、各配管11c,11dからの正極電解液は、正極共通配管12を経て電池要素100cに供給する。正極共通配管12を具えるRF電池1C〜1Eは、電池要素100cに接続される配管数が少なく、構成を簡素にできる。
【0055】
図2(A)に示す実施形態3のRF電池1Cでは、正極充電用配管11c及び正極放電用配管11dのそれぞれに正極ポンプ50c,50dが取り付けられると共に、正極共通配管12における両配管11c,11dとの接続箇所に三方弁52が取り付けられている。
【0056】
上記構成を具える実施形態3のRF電池1Cは、三方弁52を切り替えることで、充電時、正極ポンプ50cを用いて正極充電用配管11cからの正極電解液を、放電時、正極ポンプ50dを用いて正極放電用配管11dからの正極電解液をそれぞれ正極共通配管12により電池要素100cに供給できる。特に、RF電池1Cは、三方弁52を切り替えるだけで、正極電解液の逆流を防止して比重の異なる電解液の混合を抑制できる。そのため、RF電池1Cは、部品点数が少なく、構成が簡素である。
【0057】
図2(B)に示す実施形態4のRF電池1Dでは、三方弁52を具えておらず、正極充電用配管11c及び正極放電用配管11dのそれぞれに正極ポンプ50c,50d及び逆止弁53c,53dが取り付けられている。
【0058】
上記構成を具える実施形態4のRF電池1Dは、三方弁52を具える場合のように切り替え動作を行うことなく、逆止弁53c,53dにより、正極電解液の逆流を防止して比重の異なる電解液の混合を抑制できる。そのため、RF電池1Dは、運転時の作業性に優れる。
【0059】
なお、逆止弁53c,53dに代えて、或いは、逆止弁53c,53dに加えて実施形態2で説明した開閉弁を具える形態とすることもできる。この点は、後述する実施形態10(図5(B)):逆止弁63c,63dを具える形態についても適用できる。
【0060】
図2(C)に示す実施形態5のRF電池1Eでは、正極充電用配管11c及び正極放電用配管11dが接続される正極共通配管12において両配管11c,11dとの接続箇所に三方弁52が取り付けられている。また、実施形態5のRF電池1Eでは、正極共通配管12において三方弁52と電池要素100cとの間に一つの正極ポンプ50が取り付けられ、各配管11c,11dには、ポンプが取り付けられていない。
【0061】
上記構成を具える実施形態5のRF電池1Eは、三方弁52を切り替えることで、充電時、正極充電用配管11cからの正極電解液を、放電時、正極放電用配管11dからの正極電解液をそれぞれ正極共通配管12により電池要素100cに供給できる。特に、RF電池1Eは、充電時及び放電時の双方において、一つの正極ポンプ50により電解液を圧送できる。また、RF電池1Eは、実施形態3のRF電池1C(図2(A))と同様に三方弁52を切り替えるだけで、正極電解液の逆流を防止して比重の異なる電解液の混合を抑制できる。これらの点から、実施形態5のRF電池1Eは、部品点数がより少なく、構成がより簡素である。
【0062】
(実施形態6)
図3を参照して、正極側の下流配管の別の形態を説明する。図3に示す実施形態6のRF電池1Fの基本的な構成は、実施形態5のRF電池1E(図2(C))と同様であり、主たる相違点は、正極側の下流配管の構成にある。以下、この相違点を中心に説明し、実施形態5のRF電池1Eと共通する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
【0063】
実施形態6のRF電池1Fにおいて正極側の下流配管は、正極タンク10に接続される正極充電用リターン配管15c及び正極放電用リターン配管15dと、これらリターン配管15c,15dの一端と電池要素100cとに接続される正極共通リターン配管14とで構成されている。
【0064】
正極充電用リターン配管15cは、その一端が正極タンク10の底部側:(Lp/2)以下の位置に接続され、その他端が正極共通リターン配管14の一端に接続されている。正極放電用リターン配管15dは、その一端が正極タンク10の液面側:(Lp/2)超の位置に接続され、その他端が正極共通リターン配管14の一端に接続されている。正極共通リターン配管14の他端は、電池要素100cに接続されている。また、この例では、正極共通リターン配管14において両リターン配管15c,15dとの接続箇所には、三方弁55が取り付けられている。
【0065】
上記構成を具える実施形態6のRF電池1Fは、三方弁55を切り替えることで、充電時、電池要素100cからの充電状態にある正極電解液を正極共通リターン配管14を経て正極充電用リターン配管15cを介して、正極タンク10の底部側に送ることができる。つまり、正極タンク10において充電状態にある正極電解液が集まっている領域に、充電状態にある正極電解液を効率よく集められ、十分に充電されていない状態の正極電解液と混合されることを抑制し易く、十分に充電されていない状態の正極電解液をタンク10の液面側に寄せた状態にすることができる。従って、実施形態6のRF電池1Fは、充電時、正極充電用配管11cにより、十分に充電されていない状態の正極電解液を電池要素100cに効率よく供給して、充電時間を十分に確保したり、過充電を防止したりすることができる。
【0066】
一方、RF電池1Fは、三方弁55を切り替えることで、放電時、電池要素100cからの放電状態にある正極電解液を正極共通リターン配管14を経て正極放電用リターン配管15dを介して、正極タンク10の液面側に送ることができる。つまり、正極タンク10において十分に充電されていない状態(放電状態)にある正極電解液が集まっている領域に、放電状態にある正極電解液を効率よく集められる。そのため、RF電池1Fは、放電時にも、充電状態にある正極電解液と放電状態にある正極電解液との混合を抑制して、充電状態の正極電解液をタンク10の底部側に寄せた状態にすることができる。従って、実施形態6のRF電池1Fは、放電時、正極放電用配管11dにより、充電状態の正極電解液を電池要素100cに効率よく供給して、放電時間を十分に確保することができる。
【0067】
なお、実施形態6では、正極共通リターン配管14を具える構成としているが、共通リターン配管を省略し、正極充電用リターン配管15c・正極放電用リターン配管15dのそれぞれを電池要素100cに接続させた構成とすることができる。この場合、各リターン配管15c,15dに開閉弁や逆止弁を設けると、逆流を防止して、比重の異なる電解液の混合を防止できる。この点は、後述する実施形態11(図6):負極共通リターン配管24・負極充電用リターン配管25c・負極放電用リターン配管25dを具える形態についても適用できる。
【0068】
また、図3では、正極側の上流配管として、実施形態5で説明した正極共通配管12・三方弁52・一つの正極ポンプ50を具える形態(図2(C))を示すが、上述した実施形態1〜4の正極側の上流配管に置換することができる。
【0069】
(実施形態7)
図4を参照して、負極側の上流配管の別の形態を説明する。図4(A)に示す実施形態7のRF電池1Gは、電池要素100c及び正極側の配管構造については、実施形態3のRF電池1C(図2(A))と同様である。つまり、RF電池1Gは、正極充電用配管11c・正極放電用配管11d・正極共通配管12・二つの正極ポンプ50c,50d・三方弁52を具える。実施形態7のRF電池1Gは、負極活物質としてチタンイオンを含有する電解液を負極電解液に用いる点、負極側の上流配管を二つ具える点を特徴とする。以下、この特徴点を中心に説明し、実施形態3のRF電池1Cと共通する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
【0070】
[電解液]
負極電解液は、3価のチタンイオン(Ti3+)及び4価のチタンイオン(Ti4+、TiO2+など)の少なくとも一種のチタンイオンを含有する形態が挙げられる。更に、2価のチタンイオンを含有していてもよい。
【0071】
正極電解液は、例えば、正極活物質として、上述したマンガンイオンを好適に利用できる。その他、正極電解液は、例えば、鉄イオンやバナジウムイオン、チタンイオンを正極活物質として含有するものが挙げられる。図4〜図6では、マンガン-チタン系RF電池を例示している。
【0072】
本発明者らが調べたところ、マンガン-チタン系RF電池は、経時的な液移りにより、正極電解液に負極側のチタンイオンがある程度混入されることで、MnO2の析出を抑制して、Mn3+を安定化する効果がある、との知見を得た。そのため、マンガン-チタン系RF電池は、液移りが生じても、高い起電力を有することができる。
【0073】
[配管構造]
RF電池1Gに具える負極タンク20には、上流配管として、負極充電用配管21cと負極放電用配管21dとの2本の配管がそれぞれ接続されており、各配管21c,21dのタンク20側の開口箇所が異なる。
【0074】
負極充電用配管21cの一端は、負極タンク20において、負極タンク20の底部寄りの位置に接続されている。より具体的には、負極充電用配管21dの一端は、負極タンク20の底面から液面までの高さをLaとするとき、底面から(La/2)以下の位置に開口している。なお、図4〜図7において、負極タンク20内の実線は液面を、一点鎖線は、底面から(La/2)の位置を示す。
【0075】
負極放電用配管21dの一端は、負極タンク20内の負極電解液の液面寄りの位置に接続されている。より具体的には、負極放電用配管21dの一端は、負極タンク20の底面から(La/2)超の位置に開口している。
【0076】
RF電池1Gでは、上記配管21c,21dの他端はいずれも、電池要素100cに接続されている。また、上記配管21c,21dはそれぞれ負極ポンプ60c,60dが取り付けられ、負極タンク20内の負極電解液を電池要素100cに圧送できるようになっている。その他、RF電池1Gでは、負極側の下流配管として負極リターン配管23を具える。
【0077】
つまり、実施形態7のRF電池1Gに具える負極側の上流配管は、実施形態1のRF電池1A(図1(A))に具える正極側の上流配管に類似の構造であり、充電時に利用される配管におけるタンクとの接続位置(開口位置)と、放電時に利用される配管におけるタンクとの接続位置(開口位置)とが正極と負極とで上下逆の位置になっている。
【0078】
[運転方法]
上記構成を具えるRF電池1Gを充放電運転する方法を具体的に説明する。チタンイオンを含有する負極電解液は、充電されたチタンイオン(Ti3+)が、その比重により負極タンク20の液面側に集まり易く、未充電状態のチタンイオン(Ti4+など)がタンク20の底部側に集まり易くなっている。そこで、充電時には、負極タンク20の底部側(下方側)に取り付けられた負極充電用配管21c及び負極ポンプ60cによって、負極電解液を電池要素100cに供給する。一方、放電時には、負極タンク20の液面側(上方側)に取り付けられた負極放電用配管21d及び負極ポンプ60dによって、負極電解液を電池要素100cに供給する。
【0079】
RF電池1Gの正極電解液を例えばバナジウムイオンを含有するものとする場合、負極電解液のチタンイオンのように、イオンの比重差によるイオンの濃度分布が生じ難い。従って、この場合、正極側の配管構造は、上流配管として正極供給配管(図示せず)を具え、下流配管として正極リターン配管13を具えるとよい。また、正極供給配管には、正極ポンプ(図示せず)を具えるとよい。そして、従来の全バナジウム系RF電池と同様に、正極電解液は、充放電運転時の双方において、正極供給配管・正極ポンプによって、正極電解液を電池要素100cに供給するとよい。この点は、後述する実施形態8〜11(図4(B)〜図6)についても同様に適用できる。
【0080】
一方、RF電池1Gの正極電解液を実施形態1で説明したマンガンイオンを含有するものとする場合、図4(A)に示すように正極充電用配管11c及び正極放電用配管11dを具える形態とする。そして、実施形態1などで説明したように、充電時、正極充電用配管11cを利用して、放電時、正極放電用配管11dを利用して、それぞれ正極電解液を電池要素100cに供給するとよい。なお、図4及び後述する図5では、正極側の配管構造として、図2(A)に示す実施形態3と同様の形態を示すが、実施形態1,2,4〜6で説明した形態に置換することができる。
【0081】
[効果]
チタンイオンを含有する負極電解液を用いるRF電池1Gは、充電時と放電時とで、負極電解液を電池要素100cに供給する配管を異ならせることで、電解液を効率よく利用できる。具体的には、RF電池1Gは、充電時、負極タンク20内の底部側に集まっている負極電解液、つまり、チタンイオン(Ti4+など)が相対的に多く十分に充電されていない状態(放電状態)にある負極電解液を電池要素100cに供給することができる。また、RF電池1Gは、放電時、負極タンク20内の液面側に集まっている負極電解液、つまり、チタンイオン(Ti3+)が相対的に多く十分に充電された状態にある負極電解液を電池要素100cに供給することができる。そのため、RF電池1Gは、過充電を低減したり、充電時間や放電時間を十分に確保することができることから、長期に亘り、高い起電力を有することができる。
【0082】
特に、実施形態7のRF電池1Gでは、正極活物質としてマンガンイオンを含有する正極電解液を用い、かつ正極充電用配管11c及び正極放電用配管11dを具える形態とし、正極電解液についても、充電時と放電時とで電池要素100cに送液する配管を使い分けることが可能な構成としている。そのため、実施形態7のRE電池1Gは、正負の両極の電解液を長期に亘り効率よく利用でき、高い起電力を有することができる。
【0083】
(実施形態8)
図4(B)に示す実施形態8のRF電池1Hの基本的構成は、実施形態7のRF電池1Gと同様であり、図4(B)に示すRF電池1Hは、実施形態7のRF電池1Gの構成に加えて、負極充電用配管21c・負極放電用配管21dのそれぞれに開閉弁61c,61dを具えている。つまり、実施形態8のRF電池1Hに具える負極側の上流配管は、実施形態2のRF電池1B(図1(B))に具える正極側の上流配管に類似の構造であり、配管21c,21dの負極タンク20側の接続位置(開口位置)が異なる。
【0084】
実施形態8のRF電池1Hは、実施形態2のRF電池1Bと同様に、開閉弁61c,61dを具えることで、負極ポンプ60c,60dの駆動・停止動作に加えて、開閉弁61c,61dの開閉動作によって、負極電解液の供給制御を行える。具体的には、充電時、負極充電用配管21cに具える開閉弁61cを開き、負極放電用配管21dに具える開閉弁61dを閉じることで、負極タンク20内の底部側から負極電解液を電池要素100cに供給できる。放電時、負極放電用配管21dに具える開閉弁61dを開き、負極充電用配管21cに具える開閉弁61cを閉じることで、負極タンク20内の液面側から負極電解液を電池要素100cに供給できる。また、開閉弁61c,61dの開閉動作により、負極電解液の逆流を防止し、比重の異なる負極電解液の混合を防止できる。そのため、実施形態8のRF電池1Hは、電解液の利用効率をより高められる。
【0085】
(実施形態9,10)
図5を参照して、負極側の上流配管の別の形態を説明する。図5に示す実施形態9,10のRF電池1I,1Jの基本的な構成は、実施形態7のRF電池1G(図4(A))と同様であり、主たる相違点は、負極側の上流配管の構成にある。以下、この相違点を中心に説明し、実施形態7のRF電池1Gと共通する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
【0086】
実施形態9,10のRF電池1I,1Jの負極タンク20にはいずれも、実施形態7のRF電池1Gと同様に、タンク20の液面側(上方側)に負極放電用配管21dが接続され、タンク20の底部側(下方側)に負極充電用配管21cが接続されている。但し、両配管21c,21dの他端は、一つの負極共通配管22の一端に接続されている。負極共通配管22の他端は、電池要素100cに接続されており、各配管21c,21dからの負極電解液は、負極共通配管22を経て電池要素100cに供給する。負極共通配管22を具えるRF電池1I,1Jは、電池要素100cに接続される配管数が少なく、構成を簡素にできる。
【0087】
図5(A)に示す実施形態9のRF電池1Iでは、負極充電用配管21c及び負極放電用配管21dのそれぞれに負極ポンプ60c,60dが取り付けられると共に、負極共通配管22における両配管21c,21dとの接続箇所に三方弁62が取り付けられている。つまり、実施形態9のRF電池1Iに具える負極側の上流配管は、正極側の上流配管(正極充電用配管11c・正極放電用配管11d、正極共通配管12、正極ポンプ50c,50d、三方弁52)に類似の構造である。
【0088】
上記構成を具える実施形態9のRF電池1Iは、三方弁62を切り替えることで、充電時、負極ポンプ60cを用いて負極充電用配管21cからの負極電解液を、放電時、負極ポンプ60dを用いて負極放電用配管21dからの負極電解液をそれぞれ負極共通配管22により電池要素100cに供給できる。つまり、実施形態9のRF電池1Iは、正負の両極において、正極共通配管12・負極共通配管22を用いて、電池要素100cに正負の各極の電解液を供給する構成である。特に、RF電池1Iは、三方弁52,62を切り替えるだけで、正極電解液の逆流や負極電解液の逆流を防止して、正負の各極において、比重の異なる電解液の混合を抑制できる。そのため、RF電池1Iは、部品点数が更に少なく、構成がより簡素である。
【0089】
図5(B)に示す実施形態10のRF電池1Jでは、三方弁62を具えておらず、負極充電用配管21c及び負極放電用配管21dのそれぞれに負極ポンプ60c,60d、及び逆止弁63c,63dが取り付けられている。つまり、実施形態10のRF電池1Jに具える負極側の上流配管は、図2(B)に示す実施形態4のRF電池1Dの正極側の上流配管に類似の構造である。
【0090】
上記構成を具える実施形態10のRF電池1Jは、三方弁の切り替え動作を行うことなく、逆止弁63c,63dにより負極電解液の逆流を防止して、実施形態9のRF電池1Iと同様に比重の異なる電解液の混合を抑制できる。そのため、RF電池1Jは、運転時の作業性に優れる。
【0091】
(実施形態11)
図6を参照して、負極側の上流配管の別の形態を説明する。図6に示す実施形態11のRF電池1Kでは、負極充電用配管21c及び負極放電用配管21dが接続される負極共通配管22に一つの負極ポンプ60が取り付けられ、各配管21c,21dには、ポンプが取り付けられていない。また、負極共通配管22において両配管21c,21dとの接続箇所には、三方弁62が取り付けられている。
【0092】
更に、実施形態11のRF電池1Kでは、正極側の上流配管を図2(C)に示す実施形態5のRF電池1Eの正極側の上流配管に同様の構成としており、正極充電用配管11c・正極放電用配管11d、正極共通配管12、一つの正極ポンプ50、三方弁52を具える。つまり、実施形態11のRF電池1Kは、負極側の上流配管と正極側の上流配管とが類似の構造であり、充電時・放電時に用いられる配管におけるタンク10,20側の開口位置が正極と負極とで異なる。なお、正極側の上流配管として、上述した実施形態1〜4の正極側の上流配管に置換することができる。
【0093】
上記構成を具える実施形態11のRF電池1Kは、三方弁62を切り替えることで、充電時、負極充電用配管21cからの負極電解液を、放電時、負極放電用配管21dからの負極電解液をそれぞれ負極共通配管22により電池要素100cに供給できる。特に、RF電池1Kは、充電時及び放電時の双方において、一つの負極ポンプ60により電解液を圧送できる。また、RF電池1Kは、実施形態9のRF電池1I(図5(A))と同様に三方弁62を切り替えるだけで、負極電解液の逆流を防止して、比重の異なる電解液の混合を抑制できる。これらの点から、実施形態11のRF電池1Kは、部品点数がより少なく、構成がより簡素である。特に、実施形態11のRF電池1Kでは、正極側の上流配管においても、正極共通配管12を具えると共に、正極ポンプ50を一つとしており、この点から、部品点数が更に少なく、構成が更に簡素である。
【0094】
更に、実施形態11のRF電池1Kは、正負の両極の下流配管も、二つの配管:充電用リターン配管及び充電用リターン配管を具える。具体的には、RF電池1Kは、正極側の下流配管として、図3に示す実施形態6のRF電池1Fと同様に、正極共通リターン配管14・正極充電用リターン配管15c・正極放電用リターン配管15d・三方弁55を具える。加えて、RF電池1Kでは、負極側の下流配管が、負極タンク20に接続される負極充電用リターン配管25c及び負極放電用リターン配管25dと、これらリターン配管25c,25dの一端と電池要素100cとに接続される負極共通リターン配管24とで構成されている。
【0095】
負極充電用リターン配管25cは、その一端が負極タンク20の液面側:(La/2)超の位置に接続され、その他端が負極共通リターン配管24に接続されている。負極放電用リターン配管25dは、その一端がタンク20の底部側:La/2以下の位置に接続され、その他端が負極共通リターン配管24に接続されている。負極共通リターン配管24の他端は、電池要素100cに接続されている。また、この例では、負極共通リターン配管24において両リターン配管25c,25dとの接続箇所には、三方弁65が取り付けられている。
【0096】
上記構成を具える実施形態11のRF電池1Kは、三方弁65を切り替えることで、充電時、電池要素100cからの充電状態にある負極電解液を負極共通リターン配管24を経て負極充電用リターン配管25cを介して、負極タンク20の液面側に送ることができる。つまり、負極タンク20において充電状態にある負極電解液が集まっている領域に、充電状態にある負極電解液を効率よく集められ、十分に充電されていない状態の負極電解液と混合されることを抑制し易く、十分に充電されていない状態の負極電解液をタンク20の底部側に寄せた状態にすることができる。従って、実施形態11のRF電池1Kは、充電時、負極充電用配管21cにより、十分に充電されていない状態の負極電解液を電池要素100cに効率よく供給して、充電時間を十分に確保したり、過充電を防止したりすることができる。
【0097】
一方、RF電池1Kは、三方弁65を切り替えることで、放電時、電池要素100cからの放電状態にある負極電解液を負極共通リターン配管24を経て負極放電用リターン配管25dを介して、負極タンク20の底部側に送ることができる。つまり、負極タンク20において十分に充電されていない状態(放電状態)にある負極電解液が集まっている領域に、放電状態にある負極電解液を効率よく集められる。そのため、RF電池1Kは、放電時にも、充電状態にある負極電解液と放電状態にある負極電解液との混合を抑制して、充電状態の負極電解液をタンク20の液面側に寄せた状態にすることができる。従って、実施形態11のRF電池1Kは、放電時、負極放電用配管21dにより、充電状態の負極電解液を電池要素100cに効率よく供給して、放電時間を十分に確保することができる。
【0098】
特に、実施形態11のRF電池1Kは、正極側の下流配管も上述のように複数のリターン配管15c,15dを具えることから、正負の両極について、充電時、未充電状態の電解液を、放電時、充電状態の電解液を電池要素100cに効率よく供給できる。従って、RF電池1Kは、長期に亘り、充放電を良好に行える。
【0099】
なお、実施形態11のRF電池1Kにおいて、正極側の下流配管として、正極リターン配管13(図1,図2など参照)のみを具える形態、負極側の下流配管として、負極リターン配管23(図1,図2など参照)のみを具える形態、正負の各極の下流配管がそれぞれ正極リターン配管13・負極リターン配管23で構成される形態とすることができる。この点は、後述する実施形態12のRF電池1Lについても同様に適用できる。
【0100】
(実施形態12)
図7を参照して、連通管を具える実施形態12のRF電池1Lを説明する。RF電池1Lの基本的な構成は、図6に示す実施形態11のRF電池1Kと同様である。即ち、RF電池1Lは、正極側の上流配管として、正極充電用配管11c及び正極放電用配管11dを具え、負極側の上流配管として、負極充電用配管21c及び負極放電用配管21dを具える。更に、RF電池1Lは、正極タンク10の液相と負極タンク20の液相とを連通する連通管80を具える。また、RF電池1Lは、正極電解液及び負極電解液が共通の金属イオン種を具える。以下、RF電池1Lの特徴点である連通管80及び電解液を中心に説明し、実施形態11のRF電池1Kと共通する構成及び効果は詳細な説明を省略する。
【0101】
正負の両極の電解液が共通する金属イオン種を具える形態では、例えば、経時的な液移りによる電解液量のばらつきや金属イオンの濃度のばらつきなどが生じた場合、両極の電解液を混合することで、上記ばらつきを容易に是正できる。電解液を混合するにあたり、両極のタンク間を接続する配管(連通管)を具えた形態とすると、電解液の混合を容易に行える。また、両極の電解液が同じ金属イオン種のみを具える形態であると、電解液の製造性にも優れる。
【0102】
例えば、正負の両極の電解液がマンガンイオン及びチタンイオンを具える形態が挙げられる。この場合、正極では、マンガンイオンを正極活物質として利用し、チタンイオンは、金属イオン種を揃えるために含有すると共に、Mn3+の不均化反応に伴うMnO2の析出を抑制する機能も有する。本発明者らは、正極電解液に、マンガンイオンと共にチタンイオンを存在させると、上記析出を効果的に抑制できることを見出した。負極では、チタンイオンを負極活物質として利用し、マンガンイオンは、金属イオン種を揃えるために含有する。なお、図7において正極タンク10内及び負極タンク20内に示すイオンは、例示である。
【0103】
連通管80は、その一端が正極タンク10内の正極電解液の液面寄りの位置に接続され、その他端が負極タンク20の底部寄りの位置に接続されている。この例では、連通管80において負極タンク20に接続される他端が、正極タンク10に接続される一端よりも低い位置である。また、この例では、連通管80には、開閉弁81が取り付けられており、所望のときに、正極タンク10と負極タンク20との間を連通又は非連通に切り替えられるようにしている。開閉弁81には、電磁弁などが利用できる。
【0104】
上述のように、正極タンク10内には、放電状態にあるマンガンイオンを相対的に多く含む正極電解液が正極電解液の液面側に存在し、負極タンク20内には、放電状態にあるチタンイオンを相対的に多く含む負極電解液がタンク20の底部側に存在している。従って、実施形態12のRF電池1Lは、開閉弁81を開き、両タンク10,20間を連通させると、放電状態にあるマンガンイオンを多く含む正極電解液と、放電状態にあるチタンイオンを多く含む負極電解液とを混合することができる。正負の両極の電解液が放電状態にあるイオンを多く含むことから、混合による自己放電を低減できる。従って、実施形態12のRF電池1Lは、自己放電に伴う損失を抑制しつつ、液移りなどによる不具合を是正できる。
【0105】
図7に示す例では、正負の両極のタンク10,20の大きさ及び底面の位置を同じにしていることから、例えば、液量差がある場合、電解液の自重により電解液が移動することができる。この場合、両極の電解液量が等しくなると、混合を自然に止めることができることから、両極の電解液を十分に混合できたら、開閉弁81を閉じるとよい。その他、開閉弁81の閉動作の時期やタンク10,20の底面の位置(上下関係)などを調整して、混合量を調整することもできる。或いは、連通管80にポンプを別途設けて、混合量を調整できるようにすることもできる。
【0106】
なお、実施形態12のRF電池1Lは、正極側の上流配管として、図2(C)に示す実施形態5の形態を示すが、上述した実施形態1〜4の正極側の上流配管に置換することができる。また、実施形態12のRF電池1Lは、負極側の上流配管として、図6に示す実施形態11の形態を示すが、上述した実施形態7〜10の負極側の上流配管に置換することができる。
【0107】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。例えば、正極電解液や負極電解液の活物質となる金属イオンを変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明レドックスフロー電池は、太陽光発電、風力発電などの新エネルギーの発電に対して、発電出力の変動の安定化、発電電力の余剰時の蓄電、負荷平準化などを目的とした大容量の蓄電池に好適に利用することができる。その他、本発明レドックスフロー電池は、一般的な発電所や工場などに併設されて、瞬低・停電対策や負荷平準化を目的とした大容量の蓄電池としても好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I,1J,1K,1L レドックスフロー電池
10 正極タンク 11c 正極充電用配管 11d 正極放電用配管
12 正極共通配管 13 正極リターン配管 14 正極共通リターン配管
15c 正極充電用リターン配管 15d 正極放電用リターン配管
50,50c,50d 正極ポンプ 51c,51d 開閉弁 52,55 三方弁
53c,53d 逆止弁
20 負極タンク 21 負極供給配管 21c 負極充電用配管
21d 負極放電用配管
22 負極共通配管 23 負極リターン配管 24 負極共通リターン配管
25c 負極充電用リターン配管 25d 負極放電用リターン配管
60,60c,60d 負極ポンプ 61c,61d 開閉弁 62,65 三方弁
63c,63d 逆止弁
80 連通管 81 開閉弁
100c 電池要素 101 隔膜 102 正極セル 103 負極セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極と、負極電極と、これら電極間に介在される隔膜とを具える電池要素に、正極タンク内の正極電解液及び負極タンク内の負極電解液をそれぞれ供給して充放電を行うレドックスフロー電池であって、
前記正極電解液は、マンガンイオンを含有し、
前記正極タンクには、充電時に正極電解液を前記電池要素に供給する正極充電用配管と、放電時に正極電解液を前記電池要素に供給する正極放電用配管とがそれぞれ接続され、
前記正極充電用配管の一端は、前記正極タンク内の正極電解液の液面寄りの位置に開口し、
前記正極放電用配管の一端は、前記正極タンクの底部寄りの位置に開口していることを特徴とするレドックスフロー電池。
【請求項2】
正極電極と、負極電極と、これら電極間に介在される隔膜とを具える電池要素に、正極タンク内の正極電解液及び負極タンク内の負極電解液をそれぞれ供給して充放電を行うレドックスフロー電池であって、
前記負極電解液は、チタンイオンを含有し、
前記負極タンクには、充電時に負極電解液を前記電池要素に供給する負極充電用配管と、放電時に負極電解液を前記電池要素に供給する負極放電用配管とがそれぞれ接続され、
前記負極充電用配管の一端は、前記負極タンクの底部寄りの位置に開口し、
前記負極放電用配管の一端は、前記負極タンク内の負極電解液の液面寄りの位置に開口していることを特徴とするレドックスフロー電池。
【請求項3】
正極電極と、負極電極と、これら電極間に介在される隔膜とを具える電池要素に、正極タンク内の正極電解液及び負極タンク内の負極電解液をそれぞれ供給して充放電を行うレドックスフロー電池であって、
前記正極電解液は、マンガンイオンを含有し、
前記負極電解液は、チタンイオンを含有し、
前記正極タンクには、充電時に正極電解液を前記電池要素に供給する正極充電用配管と、放電時に正極電解液を前記電池要素に供給する正極放電用配管とがそれぞれ接続され、
前記正極充電用配管の一端は、前記正極タンク内の正極電解液の液面寄りの位置に開口し、
前記正極放電用配管の一端は、前記正極タンクの底部寄りの位置に開口し、
前記負極タンクには、充電時に負極電解液を前記電池要素に供給する負極充電用配管と、放電時に負極電解液を前記電池要素に供給する負極放電用配管とがそれぞれ接続され、
前記負極充電用配管の一端は、前記負極タンクの底部寄りの位置に開口し、
前記負極放電用配管の一端は、前記負極タンク内の負極電解液の液面寄りの位置に開口していることを特徴とするレドックスフロー電池。
【請求項4】
正極及び負極のうち、同じ極の充電用配管の他端と放電用配管の他端とが一つの共通配管の一端に接続され、この共通配管を経て前記電池要素に当該極の電解液を供給し、
前記共通配管に接続された前記充電用配管及び前記放電用配管にはそれぞれ、前記電解液を圧送するためのポンプが取り付けられ、
前記共通配管において前記充電用配管及び前記放電用配管との接続箇所には三方弁が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
【請求項5】
正極及び負極のうち、同じ極の充電用配管の他端と放電用配管の他端とが一つの共通配管の一端に接続され、この共通配管を経て前記電池要素に当該極の電解液を供給し、
前記共通配管に接続された前記充電用配管及び前記放電用配管にはそれぞれ、前記電解液を圧送するためのポンプ及び逆止弁が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
【請求項6】
正極及び負極のうち、同じ極の充電用配管の他端と放電用配管の他端とは一つの共通配管の一端に接続され、この共通配管を経て前記電池要素に当該極の電解液を供給し、
前記共通配管において前記充電用配管及び前記放電用配管との接続箇所に三方弁が取り付けられ、かつ、前記共通配管において前記三方弁と前記電池要素との間に前記電解液を圧送するためのポンプが取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
【請求項7】
前記正極タンクには、充電時に前記電池要素からの正極電解液を当該タンクに戻す正極充電用リターン配管と、放電時に前記電池要素からの正極電解液を当該タンクに戻す正極放電用リターン配管とがそれぞれ接続され、
前記正極充電用リターン配管の一端は、前記正極タンクの底部寄りの位置に開口し、
前記正極放電用リターン配管の一端は、前記正極タンク内の正極電解液の液面寄りの位置に開口し、
前記正極充電用リターン配管の他端と前記正極放電用リターン配管の他端とが一つの正極共通リターン配管の一端に接続され、この正極共通リターン配管を経て前記電池要素からの正極電解液が前記正極充電用リターン配管及び前記正極放電用リターン配管にそれぞれ送られ、
前記正極共通リターン配管において前記正極充電用リターン配管及び前記正極放電用リターン配管との接続箇所には三方弁が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は3に記載のレドックスフロー電池。
【請求項8】
前記負極タンクには、充電時に前記電池要素からの負極電解液を当該タンクに戻す負極充電用リターン配管と、放電時に前記電池要素からの負極電解液を当該タンクに戻す負極放電用リターン配管とがそれぞれ接続され、
前記負極充電用リターン配管の一端は、前記負極タンク内の負極電解液の液面寄りの位置に開口し、
前記負極放電用リターン配管の一端は、前記負極タンクの底部寄りの位置に開口し、
前記負極充電用リターン配管の他端と前記負極放電用リターン配管の他端とが一つの負極共通リターン配管の一端に接続され、この負極共通リターン配管を経て前記電池要素からの負極電解液が前記負極充電用リターン配管及び前記負極放電用リターン配管にそれぞれ送られ、
前記負極共通リターン配管において前記負極充電用リターン配管及び前記負極放電用リターン配管との接続箇所には三方弁が取り付けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のレドックスフロー電池。
【請求項9】
前記正極電解液と前記負極電解液とは、共通の金属イオン種を含有し、
前記正極タンク内の液相と前記負極タンク内の液相とを連通する連通管を具え、
前記連通管の一端は、前記正極タンク内の正極電解液の液面寄りの位置に開口し、
前記連通管の他端は、前記負極タンクの底部寄りの位置に開口していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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