説明

レバースイッチ及び遊技機

【課題】セキュリティ性を確保しながら操作レバーに当りや外れ等のゲーム抽選用の信号とゲームの趣向性を高める演出用の信号とを出力させることができる入力操作を可能にしたレバースイッチ及び遊技機を提供する。
【解決手段】外方端に操作子21を有し、その内方端側をケース40,60,90に支持して前記操作子21を中心とする周方向の任意の方位に傾動自由に設けた操作レバー20と、前記操作レバー20の内方端側に対設され、前記操作レバー20を傾動した方位の該操作レバー20の傾動力を受けて周方向の方位別に移動する複数の移動子51〜54と、前記移動子51〜54の少なくとも1つの移動に連動して移動する連動子80と、前記連動子80が移動したことを検知する光電検知センサS5を備えた開始タイミング検知センサ100と、前記複数の移動子51〜54が各々移動したことを検知する複数の光電検知センサS1〜S4を備えた方位検知センサ70とを備えてレバースイッチ15を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばスロットマシンの遊技操作に用いられるようなレバースイッチに関し、さらに詳しくはレバーの操作機能を高めたレバースイッチ及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技ホールにはスロットマシン等の遊技機が広く普及されており、該遊技機の操作面には遊技者が操作するレバー操作型のレバースイッチ(スタートレバー)や押しボタン型のストップスイッチ等の各種の入力操作部が備えられている。
【0003】
近年、この種の遊技機には趣向性を高めるために様々な演出が試みられている。例えば、照明灯の点滅、音楽の出力、画像表示等による演出が知られている。詳しくは、ゲーム開始時にスタートレバーが操作されて遊技が開始された後、遊技途中で遊技者に遊技機の前面に配置された演出用の操作ボタンを押させている。この遊技者による操作ボタンの入力タイミングに応答して演出制御部から遊技支援情報を表示案内するなどして遊技者にゲームへの参画を促すなどの演出効果を狙った技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
しかし、スロットマシン等の遊技機にあっては、遊技操作部にスタートレバー、ストップボタン、掛け数設定ボタン、返却ボタン等に加えて、さらに演出用の操作ボタンが配置されるため入力操作部の配置数が多くなっていた。このため、不慣れな遊技者は遊技操作を煩わしく感じたり、遊技者の円滑な遊技を妨げたりして本来の遊技性を損なうことがあった。
【0005】
例えば、遊技途中で演出用の操作ボタンを押す必要が生じた場合、遊技者は正面の表示画面から目を離し、演出用の操作ボタンの位置を確認してから押す必要があり、遊技者にとっては遊技を止むを得ず一時的に中断した状態となり、遊技者に対する演出効果が損なわれることになる。
【0006】
このようなことから操作性の容易なスタートレバーに演出用の入力機能を持たせることも考えられるが、スタートレバーからスタート信号以外に演出用の信号を取り出すことは難しく、実現させるためにはレバー構造が複雑になり、大型でコスト高を誘引してしまう。さらに、スタートレバーに対するセキュリティ性を考慮すると、スタートレバーの構造上、耐不正構造を確保する必要があることからスタートレバーに多くの入力機能を持たせるためには構造上難しくなる問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-253323号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこでこの発明は、セキュリティ性を確保しながら操作レバーに当りや外れ等のゲーム抽選用の信号とゲームの趣向性を高める演出用の信号とを出力させることができる入力操作を可能にしたレバースイッチ及び遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、外方端に操作子を有し、その内方端側をケースに支持して前記操作子を中心とする周方向の任意の方位に傾動自由に設けた操作レバーと、前記操作レバーの内方端側に対設され、前記操作レバーを傾動した方位の該操作レバーの傾動力を受けて周方向の方位別に移動する複数の方位別移動子と、前記方位別移動子の少なくとも1つの移動に連動して移動する連動子と、前記連動子が移動したことを検知する光電検知センサを備えた傾動開始タイミング検知手段と、前記複数の方位別移動子が各々移動したことを検知する複数の光電検知センサを備えた方位検知手段とを備えて構成したレバースイッチであることを特徴とする。
【0010】
この発明によると、操作レバーの傾動方向を周方向の任意の方向に傾動させても、その傾動した方位で対応する方位別移動子によって操作レバーが傾動された方向を検知することができる。また、方位別移動子の動きに連動する連動子を備えることによって方位別移動子が移動されたときは必ず連動子が動くので操作レバーが操作されたことに連動した検知構造となって効率よく検知することができる。したがって、操作レバーが操作されたときは何れかの方位別移動子が動くため、その方位を特定することができ、方位別に応じた演出信号を出力させることができる。一方、連動子は方位別移動子に連動して動くことから操作レバーが傾動された傾動開始タイミングに伴うスタート信号を兼ねた抽選信号を出力させることができる。
【0011】
この発明の態様として、前記傾動開始タイミング検知手段が検知した検知信号を出力する出力端子と、前記方位検知手段が検知した検知信号を出力する出力端子とを別々に配置して構成することができる。
【0012】
このように両検知手段の出力端子を別々に配置して、両検知信号を別々に離して扱う構造を有しているため、外部から分離された出力端子の電気的な信号を捉え難く、両出力端子に対する不正行為を困難にして該レバースイッチのセキュリティ性を高めることができる。また、このレバースイッチの取り付けに際しても、ユーザ側で不正防止対策に適した配線ができるなどセキュリティレベルを高めるような設計自由度も容易になる。
【0013】
この発明の態様として、前記連動子を、前記各方位別移動子の内方端の全てと同端面上で対設させ、前記同端面上で対設された当該連動子を前記方位別移動子側に付勢手段により付勢させて構成することができる。
【0014】
前記付勢手段は、例えばコイルバネで構成することができ、ケース内に圧縮状態に収納させて操作レバーの動きに連動子が連動する方向に対して抗するように付勢させることができる。このため、連動子は各々の方位別移動子を同一面上で受け止めた状態に付勢して対接され、付勢力を与えた状態で対接させている。このため、連動子を各方位別移動子の動きに追従させて移動可能な対接状態に配置させることができる。
【0015】
これにより、連動子を方位別移動子の移動方向に確実に付勢させて対接させることができ、方位別移動子の動きに追従して移動するように連設することができる。また、連動子は全ての方位別移動子の個々の動きに連動させることができるため、何れの方位別移動子が移動しても確実に連動させることができ、操作レバーの開始に伴うスタート信号(抽選信号)を正確に得ることができる。
【0016】
この発明の態様として、前記方位別移動子を、前記操作レバーの内方端に対し、該内方端との対向方向に少なくとも周方向の4方位に等分して対設させ、前記4等分された当該方位別移動子を前記操作レバーの内方端側に個別に付勢手段により付勢させて構成することができる。
【0017】
前記付勢手段は、例えばコイルバネで構成することができ、ケース内に圧縮状態に収納させて操作レバーの動きに方位別移動子が移動する方向に対して抗するように付勢させることができる。この際、各々の方位別移動子毎に各コイルバネが対応して各々の方位別移動子を個別に操作レバー側に付勢させている。このため、操作レバーが操作されていない待機状態のときは、全てのコイルバネの付勢支持力により方位別移動子を介して前記操作レバーを外方端側に付勢して、操作レバーを傾動していない中立位置に支持させるように構成している。
【0018】
これにより、上下左右等の4方位に配設した方位別移動子を操作レバーの4方位の傾動方向に対応するように設定して対接させれば、各々の付勢手段によって各方位別移動子を操作レバーに確実に対接させることができ、操作レバーが傾動する動きを正確に捉えて傾動させることができる。
【0019】
この発明の態様として、前記方位検知手段を、前記操作レバーが前記周方向の4方位の何れかに傾動されたことを前記方位別移動子を介して検知するとともに、前記操作レバーが前記周方向の4方位のそれぞれの間に相当する向きの方位に隣接する両方位別移動子が同時に移動した同時移動を検知することに基づいて前記両方位別移動子間の4方位をそれぞれ検知して構成することができる。
【0020】
このように操作レバーの動きを該操作レバーの軸心を中心とする周方向の方位において検知するように構成した場合は、方位別移動子が対応する4方位で検知するだけでなく、その間の各々の方位に対しても検知することができるため、合計8方位の操作方向を検知することができる。したがって、1つの操作レバーから8方向の演出信号を出力させることができる。
【0021】
この発明の態様として、前記操作レバーを傾動した状態で周方向に連続して回転された方位別検知信号の検知順に従って少なくとも前記操作レバーの回転方向を検知する回転方向検知手段を備えて構成することができる。
【0022】
これにより、操作レバーを傾動状態にして回転させると、周方向の各々の方位別移動子の動きに連動して検知される検知信号により操作レバーを回転操作した方向を検知することができる。また、各方位別移動子毎の検知時間差によって回転速度も検知することができる。したがって、操作レバーの回転方向や回転速度も演出信号の一操作要素として用いることが可能になる。
【0023】
この発明の態様として、前記操作レバーを内方端側に押し込んで前記全ての方位別移動子と前記連動子を同時に移動させる全方位操作検知構造を備えて構成することができる。
【0024】
これにより、操作レバーの1つの動きから全方位操作の検知信号を得ることが可能になる。このため、操作レバーを傾動操作したときの8方位の検知構成に加えて、さらに押し込み操作による全方位の検知構成が得られ、多くの演出信号を出力させることが可能になる。
【0025】
このように構成されたレバースイッチを搭載した遊技機を用いれば、遊技時の演出回答に対応した多くの入力操作が可能となるレバー操作が可能な遊技機となる。
【発明の効果】
【0026】
この発明によると、セキュリティ性を確保しながら操作レバーに当りや外れ等のゲーム抽選用の信号とゲームの趣向性を高める演出用の信号とを出力させることができる入力操作を可能にしたレバースイッチ及び遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】スロットマシンの一例を示す外観斜視図。
【図2】スタートレバーを示す外観斜視図。
【図3】スタートレバーの分解斜視図。
【図4】スタートレバーの詳細な分解図。
【図5】(a)はスタートレバーの側面図、(b)は図5(a)のA−A線矢視断面図。
【図6】スタートレバーが傾動操作された状態を示す縦断面図。
【図7】スタートレバーが押し込み操作された状態を示す縦断面図。
【図8】スタートレバーが傾動された方位と検知出力との関係を示す図表。
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
図面は遊技ホールに設置される遊技機の一例であるスロットマシンを示し、図1はスロットマシンを示した外観斜視図である。このスロットマシン11は遊技操作面としての前面上部にパネル12とリール部13を有し、前面中央の幅方向に3個の並列するストップボタン14を有し、その左側にスタートレバー15と掛け数設定ボタン16を有し、右側に返却ボタン17と図示しない精算ボタンとメダルMを1枚ずつ投入するための投入口18とを有し、これらの前面下部に下皿19を有して構成される。
【0029】
このスロットマシン11を遊技者が利用する際は、まず前記投入口18にメダルMを投入し、投入されたメダルMは内部で選別され、有効と選別された適正なメダルMは取り込まれ、不適と選別されたメダル類や所定枚数を越えて投入された余剰メダルは図示しないメダル返却通路を介して下皿19へと返却される。また、遊技を中止するために図示しない精算ボタンを押下操作した場合もメダルMは下皿19へと返却される。
【0030】
次に、レバースイッチの一例としてスロットマシン11の遊技操作面に備えられた遊技開始用のスタートレバー15について説明する。
以下の説明では、スタートレバー15の左右に長く延びる方向を長手方向とし、またスタートレバー15の長手方向の操作子21側を外方端側、連動子80側を内方端側とし、さらに図5で見て、上側を上方向、下側を下方向として説明する。
【0031】
図2はスタートレバー15の外観斜視図、図3はスタートレバー15の分解斜視図、図4はスタートレバー15の分解図、図5(a)はスタートレバー15の側面図、(b)はそのA−A線矢視断面図である。
このスタートレバー15は、図2〜図5において左側から大別して操作レバー20と、操作カバー30と、レバー支持ケース40と、方位別移動子50と、第1センサケース60と、方位検知センサ70と、連動子80と、第2センサケース90と、開始タイミング検知センサ100とをこの順に備えて構成される。
【0032】
前記操作レバー20は、長い1本のレバー軸22を有し、該レバー軸22の外端部に遊技者が操作摘みとして掴むための球形の操作子21を装着している。さらに、これより長手方向の内端部に向けて該レバー軸22の外径を大径部22aと小径部22bとの径の異なる2段階の段付き軸に形成している。
【0033】
小径部22bの外周面にはストッパ軸23と操作カム24が装着され、小径部22bの内端面にはカム固定ボルト25が螺着される。
【0034】
前記ストッパ軸23は、小径部22bの外周面上に挿通可能な断面台形状の円錐筒体に形成されている。このストッパ軸23の小径端面側を外方端側として、前記レバー軸22の大径部22aと小径部22bとの間に生じる段差端面22cに当接させている。そして、内方端側の大径端面で後述する操作カム24と当接して支持するようにしている。
【0035】
上述の操作カム24は、外方端側に小径軸部24aを有し、内方端側に大径リング部24bを有する段付き筒体に形成され、前記レバー軸22の小径部22b上に挿通可能に構成されている。そして、カム固定ボルト25でレバー軸22の内端面に形成されている螺合孔22dに螺着することにより、操作カム24はストッパ軸23とカム固定ボルト25との間で挟持された状態にレバー軸22上に一体化して固定される。
【0036】
このレバー軸22の内方端側は、内筒のレバー支持ケース40と外筒の操作カバー30とで覆っている。これらは操作カバー30の内周面とレバー支持ケース40の外周面とを同心円上で嵌合対応させることで一体に結合される。さらに、操作カバー30の周面に小さく開口されている係合開口部31にレバー支持ケース40の外周面の一部に局部突出されている係合突起41を係合させることにより両者は一体に固定される。なお、操作カバー30の係合開口部31の近傍には周面軸方向に割溝32を形成して係合時の操作性を容易にするための弾性を持たせている。
【0037】
レバー支持ケース40は内周面に前記操作カム24の大径リング部24bを傾動自由にして支持する曲面支持部42を有している。この曲面支持部42は大径リング部24bの円弧形外周面を周方向で円弧形に覆うように曲面対接して支持している。これにより、操作レバー20は操作カム24を支点に周方向の任意の方位に傾動自由に支持されることになる。そして、レバー支持ケース40の外面側には係合溝43を備えた係合突片44を形成しており、この係合溝43が後述する第1センサケース60の外壁面に形成された係合突起66に係合して連結される。
【0038】
方位別移動子50は、操作カム24の内方端側に対設されるものであって、その対向方向で操作カム24を中心とする周方向に4等分して上下左右に配設された上移動子51と下移動子52と左移動子53と右移動子54とを集合させた状態に配置して構成される。
これらの移動子51〜54は同形状を有して長手方向に個別に移動可能に配設されるものであり、これらの外方端は操作カム24の大径リング部24bと対応する位置に設定して対向させる。また、内方端は該内方端側を開口したコイルバネ収納用のスライドガイド筒体55が形成されている。このスライドガイド筒体55の軸心部からさらに内方端側に向けて長手方向に連動操作用の小径の延出軸56を延出させている。また、各スライドガイド筒体55の外周面の一部には板状の遮光板57を径方向の4方位にそれぞれ突出させている。これらの移動子51〜54は長手方向にスライド移動可能に軸心部に集合させて配設され、後述する第1センサケース60によって支持されている。
【0039】
上述の第1センサケース60は直方体状を有し、その外方端側の中央に各移動子51〜54を収納支持するための凹形状の移動子収納ガイド部61を有している。この移動子収納ガイド部61は各移動子51〜54を周方向に4等分して仕切られた収納凹部を有するとともに、4等分された収納凹部にコイルバネによる4個の移動子復帰バネ62が収納される。
【0040】
これにより、移動子復帰バネ62は外方端側がスライドガイド筒体55に収納支持され、内方端側が移動子収納ガイド部61に収納支持されて長手方向に圧縮状態に収納されている。そして、各移動子復帰バネ62の付勢力を受けて各移動子51〜54は操作カム24側に対応する外方端側に押圧付勢されている。そして、各移動子51〜54に対し、操作カム24側からの操作力を受けた際は、その方位に対応する何れかの移動子51〜54が内方端側にスライド移動するように構成されている。
【0041】
また、移動子収納ガイド部61には各延出軸56を貫通させる各挿通孔63を設けている。これにより、移動子51〜54が内方端側にスライドした際に延出軸56が挿通孔63を介して後述する連動子80を押し、該連動子80を同方向にスライド移動させる連動可能な構成にしている。また、移動子収納ガイド部61の中心部には連動子ガイド孔64を開口しており、ここに連動子80の軸部82を挿通させてスライド移動可能にガイドするようにしている。さらに、第1センサケース60の内方端側には方位検知センサ収納部65を有しており、ここに後述する方位検知センサ70が収納される。
【0042】
上述の方位検知センサ70は、投光素子と受光素子との一対により構成される各光電検知センサS1〜S4であり、基板71の外方端面側の上下左右の検知位置に搭載されている。これらの光電検知センサS1〜S4は前記方位別移動子50の4方位の各遮光板57と対応する位置に配置される。そして、遮光板57が光軸72を遮光したとき、その遮光した方位の移動子51〜54のスライド移動であると検知する構成を有している。
【0043】
一方、基板71の内方端側には4方位の検知信号を集合して電気的に出力する出力端子としての4方位集合コネクタ73が搭載されている。また、基板71の中央は移動子収納ガイド部61や連動子80との干渉を避けるための開口部74を有している。
【0044】
連動子80は、軸部82の中間部同心円上に円盤部81を形成して構成される。この連動子80は各移動子51〜54の延出軸56の内方端の全てと同端面上で対設される大きさを有し、さらに各移動子51〜54との接触対応性を高めるために延出軸56との対応部分に段差部83を付けて形成している。そして、円盤部81の外方端側に突出する軸部82が連動子ガイド孔64に挿通してスライドガイドされ、円盤部81の内方端側に突出する軸部82が後述する第2センサケース90のスライドガイド孔96に挿通される。
【0045】
さらに、連動子80は円盤部81の内方端面と第2センサケース90の外方端面との間にコイルバネによる連動子復帰バネ95が圧縮状態に介在されている。この連動子復帰バネ95の付勢力により連動子80は長手方向の外方端側に付勢され、軸部82が各延出軸56と同端面上で押圧接触した状態に支持されている。
【0046】
第2センサケース90は、第1センサケース60と略同じ大きさを有して形成され、第1センサケース60の内方端面側に開口されている方位検知センサ収納部65を閉じるように結合される。そして、第2センサケース90の外壁の外方端側に係合溝91を備えた複数の係合突片92を第1センサケース60側に突出させている。そして、両センサケース60,90の連結時に、第2センサケース90の各係合溝91を、これらと対応する第1センサケース60に突出形成されている係合突起67に係合して連結される。
【0047】
また、第2センサケース90側と方位検知センサ70側より複数のビス93を通して第1センサケース60に螺着することにより両センサケース60,90は強固に連結される。これらの第1センサケース60と第2センサケース90との連結時に、上述の方位検知センサ70と連動子80とを介在させて収納保持した状態に連結するようにしている。
【0048】
さらに、第2センサケース90の内方端側には後述する開始タイミング検知センサ100を取り付けるためのセンサ取付部94を有し、ここに連動子80のスライド移動に基づく光電検知センサS5の検知信号を電気的に出力させる開始タイミング検知コネクタ101がビス102により螺着固定されて取り付けられている。
【0049】
上述の開始タイミング検知センサ100は、投光素子と受光素子との一対により構成される光電検知センサS5であり、連動子80の内端側に延出する軸部82と対応する位置に搭載される。そして、連動子80の軸部82が光軸103を遮光したとき、連動子80のスライド移動であると検知する構成を有している。
【0050】
図6は操作レバー20が傾動操作された状態を示している。操作レバー20が例えば上向きに傾動されると、該操作レバー20は操作カム24を支点に傾動する。このとき、操作レバー20は曲面支持部42の曲面支持作用によって操作カム24は円滑に傾き、この操作カム24の傾きにより該操作カム24は図6に示すように、上部側が内方端側に傾動して突出し、突出した該操作カム24の上部と対応する上移動子51を内方端側へとスライド移動させる。このとき、上移動子51の遮光板57が上光電検知センサS1の光軸72を遮光し、上移動子51が移動したことを検知する。このときの検知信号を図示しない制御部が受信して操作レバー20が上向きに傾動操作されたことを検知する。
【0051】
さらに、上移動子51がスライド移動したとき、これに連動して連動子80が同方向にスライド移動して軸部82が光電検知センサS5を遮光し、連動子80が移動したことを検知する。このときの検知信号も図示しない制御部が受信して操作レバー20が傾動開始されたことを検知する。
【0052】
したがって、操作レバー20の傾動方向を周方向の任意の方向に傾動させても、その傾動した方位で対応する何れかの移動子51〜54によって、操作レバー20が傾動された方向を検知することができる。また、移動子51〜54の動きに連動する連動子80を備えているため、移動子51〜54が移動されたときは必ず連動子80が動くので操作レバー20が操作されたことを連動して検知する連動検知構造となって操作レバー20が操作されたか否かを効率よく検知することができる。したがって、操作レバー20が操作されたときは何れかの移動子51〜54がスライド移動するため、そのときの方位を特定することができ、方位別に応じた演出信号を出力させることができる。一方、連動子80は移動子51〜54に連動して動くことから操作レバー20が傾動されると、その傾動開始に伴うスタート信号を兼ねた傾動開始タイミングの抽選信号を出力させることができる。
【0053】
その後、操作レバー20の押し上げ方向の傾動操作を開放すると、操作レバー20は移動子復帰バネ62及び連動子復帰バネ95の復帰力により上移動子51及び連動子80は押し戻されて図5に示すように、元の水平な待機姿勢の位置に戻る。
【0054】
このほか、上方位以外の他の方位にあっても同様に他の対応する下移動子52、左移動子53、右移動子54の何れかのスライド移動に伴い操作レバー20の傾動した方位を検知することができる。前記方位検知に際して、操作レバー20が周方向の上下左右の4方位の何れかに傾動されたことを、同方向に動く移動子51〜54に基づいて対応する上下左右の各光電検知センサS1〜S4が光電検知し、このときの検知信号が図示しない制御部に送信されることにより操作レバー20が傾動された方位を検知する構成としている。
【0055】
また、これら上下左右の4方位だけでなく、その間の斜め方向に対しても各々検知できるように構成している。すなわち、操作レバー20が周方向の上下左右の4方位のそれぞれの間に相当する斜め向きの方位に傾動すると、同斜め向きに操作カム24が傾動し、このときの斜め方向に隣接する両移動子が操作カム24に同時に押されてスライド移動する。例えば、上移動子51と右移動子54との間に相当する右斜め上に操作レバー20が傾動した場合は、これらの両移動子51,54の同時スライド移動をその対応する位置の各光電検知センサS1,S4が光電検知し、同様にこれらの検知信号が図示しない制御部に送信されることにより両移動子51,54間の周方向における斜め方向に操作させたことを検知する構成としている。
【0056】
このように操作レバー20の動きを該操作レバー20を中心とする360°の周方向の方位で検知するように構成した場合は、上下左右の各移動子51〜54が対応する4方位で検知するだけでなく、その間の各々の斜め方位に対しても検知することができるため、周方向を合計8方位に分けて検知することができる。したがって、1つの操作レバーから8方向の演出信号を出力させることが可能になる。
【0057】
詳しくは、図8にも示すように周方向に4等分して配設された上下左右の光電検知センサS1〜S4の検知出力が周方向に0°、90°、180°、270°と一定角度に分けて得られ、これらの検知出力P1〜P4から4方位間の各々の両検知出力P5〜P8を取得することによって合計8方位の検知出力P1〜P8が得られる。
【0058】
例えば、上光電検知センサS1の上検知位置と左光電検知センサS3の左検知位置との両検知出力P1,P2を同時に取得したときは、その両検知出力P1,P2が重なる重合検知領域の検知出力P5が取得され、この検知出力P5に対応する上方位と左方位との間の斜め方位に操作レバー20が操作されたと特定することができる。
【0059】
さらに、操作レバー20を傾動した状態で周方向に連続して回転した場合は、その操作レバー20が回転した方位別の検知信号の検知順に従って操作レバー20の回転方向を検知することができる。また、複数の光電検知センサS1〜S4の検知時間差によって回転速度も検知することが可能になる。したがって、操作レバー20を操作する回転方向や回転速度も演出信号に取り入れることが可能になる。
【0060】
図7は操作レバー20を操作した際に検知される全ての検知信号を一度に出力させる操作例を示すスタートレバー15の断面図を示している。操作レバー20を図7に想像線で示すように操作待機位置から内方端側に水平に押し込むと、その内方端側では操作カム24が同様に押し込まれてスライド移動し、このときの操作カム24のスライド移動に連動して各移動子51〜54と連動子80との全てが同時にスライド移動し、全ての光電検知センサS1〜S5の検知信号が同時に出力されることになる。これにより、操作レバー20の押し込み操作による全方位の一括検知による演出信号を出力させることが可能になる。
【0061】
次に、このように構成されたスタートレバー15を遊技者が操作する場合について説明する。
このスタートレバー15は、遊技待機状態では図5に示すように、操作レバー20は水平に支持された待機状態にある。この待機状態で遊技者が操作子21を掴んで操作レバー20をスタート開始方向(例えば下向き)に傾動させて遊技を開始させた後、遊技途中で演出表示内容等にしたがって操作レバー20を例えば上方に傾動操作した場合、図6に示すように、該操作レバー20は移動子復帰バネ62及び連動子復帰バネ95の同方向の付勢力に抗しながら操作カム24を支持しているレバー支持ケース40の曲面支持部42を支点に上向きに軽く傾動されることになる。
【0062】
このとき、操作カム24の傾きにより該操作カム24の上部が内方端側に若干変位し、この変位した上部と対応する上移動子51を内方端側へとスライド移動させる。このとき、上移動子51の遮光板57がスライド移動に伴い上光電検知センサS1の光軸72を遮光し、その遮光信号が図示しない制御部に出力される。これにより、制御部では演出表示に対応した上向きに操作レバー20が傾動操作されたと検知することができる。
【0063】
さらに、上移動子51のスライド移動と同時に、連動子80が内方端側に連動してスライド移動するため、そのスライド移動時に連動子80の軸部82が光電検知センサS5の光軸103を遮光し、その遮光信号が制御部に出力される。これにより、制御部では操作レバー20が傾動開始された傾動開始タイミングを上述の移動子51の移動に基づく方位検知センサ70の検知信号と同期して検知することができる。
【0064】
また、操作レバー20は遊技者による押し上げ力が開放されると、該操作レバー20は移動子復帰バネ62及び連動子復帰バネ95の復帰力により上移動子51及び連動子80は押し戻され、図5に示すように元の水平な待機状態の中立位置に戻る。
【0065】
さらに、操作レバー20が上下左右だけでなく斜め方向に傾動操作された場合についても、その斜め方向に隣接する2つの移動子が同時にスライド移動して両検知信号が得られることから斜め方向に操作された方位を正確に特定することができる。
【0066】
また、操作レバー20を回転させた際にも回転方向の演出信号を出力させることができ、またそのときの回転速度を高速あるいは低速に回して演出信号を出力させることも可能になる。さらには、操作レバー20を押し込んで全ての検知信号を出力させる全検知信号に基づく演出信号を出力させることもできる。
【0067】
また、方位検知センサ70の4方位集合コネクタ73と、開始タイミング検知センサ100の開始タイミング検知コネクタ101のように電気的に配線接続される出力端子を別々に配置して、両検知信号を別々に出力させる構造を有している。このため、外部から不正行為者が不正に操作しても両方のコネクタ73,103の出力信号を捉え難く、両出力信号に対する不正行為を困難にして該レバースイッチのセキュリティ性を高めることができる。また、このレバースイッチの取り付けに際しても、ユーザ側で不正防止対策に適した配線ができるなどセキュリティレベルを高めるような設計自由度も容易になる。
【0068】
上述のように、操作レバーの傾動方向を周方向の任意の方向に傾動させても、その傾動した方位が8方位の何れかの方位であるかを検知することができる。また、方位別にスライド移動する移動子の動きに連動する連動子を備えているため、前記移動子が移動されたときは必ず連動子が動くので操作レバーが操作されたことを連動して検知する連動検知構造となって操作レバーが操作されたか否かを効率よく検知することができる。したがって、操作レバーが操作されたときは方位別の移動子に応じた複数の演出信号の入力操作が可能になる。また、移動子のスライド移動に連動して動く連動子のスライド移動により操作レバー20の傾動開始に伴うスタート信号を兼ねた抽選信号を同時に出力させることができる。
【0069】
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明のケースは、実施例のレバー支持ケース40と第1センサケース60と第2センサケース90に対応し、
以下同様に、
傾動開始タイミング検知手段は、開始タイミング検知センサ100に対応し、
方位検知手段は、方位検知センサ70に対応し、
出力端子は、4方位集合コネクタ73と開始タイミング検知コネクタ101に対応し、
連動子の付勢手段は、連動子復帰バネ95に対応し、
方位別移動子の付勢手段は、移動子復帰バネ101に対応し、
全方位操作検知構造は、操作レバー20のスライド移動に伴う各移動子51〜54と連動子80とのスライド移動及びその連動構造に対応し、
遊技機は、スロットマシン11に対応するも、この発明は請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、上述の一実施例の構成のみに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
レバースイッチを備えた遊技機等の機器全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
11…スロットマシン
15…スタートレバー
20…操作レバー
21…操作子
40,60,90…ケース
50…方位別移動子
62,95…復帰バネ
70…方位検知センサ
73,101…コネクタ
80…連動子
100…開始タイミング検知センサ
S1〜S5…光電検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外方端に操作子を有し、その内方端側をケースに支持して前記操作子を中心とする周方向の任意の方位に傾動自由に設けた操作レバーと、
前記操作レバーの内方端側に対設され、前記操作レバーを傾動した方位の該操作レバーの傾動力を受けて周方向の方位別に移動する複数の方位別移動子と、
前記方位別移動子の少なくとも1つの移動に連動して移動する連動子と、
前記連動子が移動したことを検知する光電検知センサを備えた傾動開始タイミング検知手段と、
前記複数の方位別移動子が各々移動したことを検知する複数の光電検知センサを備えた方位検知手段とを備えて構成した
レバースイッチ。
【請求項2】
前記傾動開始タイミング検知手段が検知した検知信号を出力する出力端子と、前記方位検知手段が検知した検知信号を出力する出力端子とを別々に配置して構成した
請求項1に記載のレバースイッチ。
【請求項3】
前記連動子を、
前記各方位別移動子の内方端の全てと同端面上で対設させ、
前記同端面上で対設された当該連動子を前記方位別移動子側に付勢手段により付勢させる構成とした
請求項1または2に記載のレバースイッチ。
【請求項4】
前記方位別移動子を、
前記操作レバーの内方端に対し、該内方端との対向方向に少なくとも周方向の4方位に等分して対設させ、
前記4等分された当該方位別移動子を前記操作レバーの内方端側に個別に付勢手段により付勢させる構成とした
請求項1、2または3に記載のレバースイッチ。
【請求項5】
前記方位検知手段を、
前記操作レバーが前記周方向の4方位の何れかに傾動されたことを前記方位別移動子を介して検知するとともに、
前記操作レバーが前記周方向の4方位のそれぞれの間に相当する向きの方位に隣接する両方位別移動子が同時に移動した同時移動を検知することに基づいて前記両方位別移動子間の4方位をそれぞれ検知する構成とした
請求項1〜4の何れか1項に記載のレバースイッチ。
【請求項6】
前記操作レバーを傾動した状態で周方向に連続して回転された方位別検知信号の検知順に従って少なくとも前記操作レバーの回転方向を検知する回転方向検知手段を備えて構成した
請求項1〜5の何れか1項に記載のレバースイッチ。
【請求項7】
前記操作レバーを内方端側に押し込んで前記全ての方位別移動子と前記連動子を同時に移動させる全方位操作検知構造を備えて構成した
請求項1〜6の何れか1項に記載のレバースイッチ。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のレバースイッチを搭載して構成した遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−139310(P2012−139310A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293175(P2010−293175)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】