説明

レフィル容器

【課題】補助筒に凹凸の抜止め手段を設けるため、凹凸の係合手段を設ける際に凹部が発生しても補助筒は内容器によって隠蔽されているため、凹部が外部から見えることがなく、また、内容器内の内容物が凹部内へ残留することもなく、しかも抜止め手段を解除する手段を外容器の内周面に設けることで容器の小型化が図れるレフィル容器を提供する。
【解決手段】外容器1内へ内容器20を交換可能に設けたレフィル容器であって、外容器1と内容器20との間隙内へ補助部10を設け、補助部10を内容器20へ接着させると共に、凹凸の抜止め手段7を介して補助部10を外容器1内へ嵌合させ、補助部10に回動力が加わることで、抜止め手段7による抜止めを解除可能な凹凸の解除手段15を補助部下面と外容器1内周面に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外容器内へ内容器を交換可能に嵌合させたレフィル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
外容器の内周面と内容器の外周面に嵌合状態で互いに係止する係止突起を設け、さらに外容器の内底面に係合突部を設け、この係合突部に内容器の回動により係合して乗り上げ、内容器の係止突起を外容器の係止突起から外す係合突部を内容器の底面に設けたレフィル容器が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−78230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は係合突部を介して内容器を外容器の底面上へ載置させているため、内容器底面を外容器底面へ近接させることができず、このため容器の小型化を図る上での阻害要因となっているだけでなく、内容器を金属製にすると、係止突起を形成する際に、内容器内周面に不可避的に凹部が形成されるが、この凹部は外部から見えるため見栄えが良くないばかりか、この凹部内へ内容器に収納された内容物が残留するという課題がある。本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、見栄えがよく、かつ容器内に内容物が残留することがなく、しかも容器の小型化が図れるレフィル容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、外容器1内へ内容器20を交換可能に設けたレフィル容器であって、前記外容器1と内容器20との間隙内に補助部10を設け、該補助部10を凹凸の抜止め手段7を介して前記外容器1内へ係合させ、さらに、前記補助部10と協働して前記抜止め手段7による抜止めを解除可能な凹凸の解除手段15を前記外容器1の内周面に設け、該解除手段15は、前記補助部10に回動力が加わると、該補助部10を上昇させて前記抜止め手段7による抜止めを解除可能に設け、該抜止め解除によって前記補助部10と共に前記内容器20が前記外容器1から抜出し可能に設けたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記補助部10は、前記外容器1内へ補助筒11を嵌合させ、かつ該補助筒上端に外向きフランジ状の環状壁12を設けて、該環状壁を前記外容器1上端へ載置させることで形成され、前記内容器20は、前記補助部10の環状壁12上面へ載置させて接着した外向きフランジ21内周から周壁22を垂下して、該周壁を補助筒11内面へ嵌合接着させることによって形成されていることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明は、前記補助部10は、前記外容器1内へ補助筒11を嵌合させ、かつ該補助筒上端に外向きフランジ状の環状壁12を設けて、該環状壁を前記外容器1上端へ載置させることで形成され、前記内容器20は、前記補助部10の環状壁12上面へ載置させた外向きフランジ21内周から周壁22を垂下して、該周壁を補助筒11内面へ嵌合させることによって形成され、かつ前記補助部10と前記内容器20とは一体成形されていることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記抜止め手段7は、前記外容器1内周面に形成された第1突部8と、前記補助筒11外周面に形成された第2突部13とから構成され、前記補助部10が上昇することにより第2突部13が第1突部8を乗越えることで抜止めが解除可能に設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記解除手段15は、前記外容器内周面に上向き段部5を形成すると共に、該上向き段部上面と前記補助筒11下面とのそれぞれの面を凹凸状に形成して、該上向き段部5上面と補助筒11下面とを当接させて凹凸を互いに噛合させることにより構成され、前記内容器20と外容器1の相対回動で補助筒11下面の凸が上向き段部5上面の凸へ乗り上げることにより補助筒が上昇して前記第2突部13が第1突部8を乗越え可能に設けたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記外容器1の上端部外面を小外径部4に形成して、該小外径部外面と前記補助部の環状壁12下面とで画成される空間を、内容器交換時に環状壁下面へ当てる指の挿入用空間部30に形成したことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記内容器20の外向きフランジ21外周から把持筒23を垂下して、該把持筒外面に滑り止め用突部24を設けたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記補助部10は前記外容器よりも硬さが軟らかい材質で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、外容器と内容器との間隙内へ補助部を設け、凹凸の抜止め手段を介して補助部を外容器へ嵌合させているため、凹凸の係合手段を設ける際に、補助部に凹部が発生しても補助部は内容器によって隠蔽されているため、凹部が外部から見えることがなく、また、内容器内の内容物が凹部内へ残留することもない。
【0014】
また、本発明は、内容器に外向きフランジを設けたので、内容器を回動させることが容易である。
【0015】
さらに、本発明は、補助部を上昇させて抜止め手段を解除させる解除手段を外容器の内周面に設けたので、内容器底面と外容器底面との間に無駄なスペースが発生することがなく、したがって、容器の小型化が図れる。
【0016】
さらに、本発明は、小外径部外面と補助部の環状壁下面とで画成される空間を指用挿入用空間部に形成したので、内容器を回動させることが容易である。
【0017】
さらに、本発明は、把持筒外面に滑り止め用突部を設けたので、内容器を回動させる際に手の滑りが防止される。
【0018】
さらに、本発明は、補助部は外容器よりも硬さが軟らかい材質で形成されているため、補助部を外容器内へ嵌挿させることが容易であり、しかも補助部が回動する際に外容器を削る等して傷つけることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るレフィル容器の断面図である。
【図2】要部を示す斜視図である。
【図3】変形例を示す断面図である。
【図4】他の変形例を示す断面図である。
【図5】凹凸の抜止め手段の波形状を示す概略展開図である。
【図6】凹凸の抜止め手段の鋸歯状を示す概略展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1において、1は外容器で、胴部2の上部外面を小外径にして口頸部3に形成し、さらに後述の理由によって口頸部3の上部外面を小外径にして小外径部4に形成する。口頸部3の上部内面は上向き段部5を介して大内径部6に形成されており、上向き段部5の上面は弯曲状の凹凸を交互に配列した側方視波形状の凹凸面、または側方視三角形状の凸部と逆三角形の凹部とを交互に配列した鋸歯状の凹凸面に形成されている。
【0022】
大内径部6の上部内面には凹凸の抜止め手段7を構成する第1突部8が形成されている。第1突部8は周方向へ配列された複数の突起で形成してもよく、または周方向への突条で形成してもよい。なお、口頸部3の外面に螺旋状に周設された突条9は図示しないキャップを螺合させるためのものである。
【0023】
10は補助部で、大内径部6内へ間隙を介して嵌合された補助筒11上端に外向きフランジ状の環状壁12を付設して、該環状壁12を口頸部3上端へ載置させている。補助筒11の上部外面には凹凸の抜止め手段7を構成する第2突部13が設けられていて、該第2突部13は第1突部8下面へ摺動自在に係合されている。
【0024】
補助筒11下面は、上向き段部5の上面が波形状の凹凸面に形成されている場合には、これと同様に波形状の凹凸面に形成する。一方、上向き段部5の上面が鋸歯状の凹凸面に形成されている場合には、これと同様に鋸歯状の凹凸面に形成する。すなわち、補助筒11の下面は上向き段部5上面の凹凸面の形状と相補形状に構成して、内容器の交換時を除いた通常の使用状態においては補助筒11下面と上向き段部5上面とが噛合可能に形成する。これら補助筒11下面の凹凸面と外容器1の上向き段部5上面の凹凸面は、補助部10を上昇させて抜止め手段7を解除させる解除手段15を構成する。
【0025】
20は内容器で、図3に示すように、補助筒11の環状壁12上面へ載置して接着した外向きフランジ21の内周から補助筒11内面へ嵌合接着させて周壁22を垂下して、該周壁22底壁を外容器1の胴部2底壁へ近接させる。図3では内容器20と補助部10は別体に設けられているが、図4に示すように、これらは一体成形することも可能である。
【0026】
さらに、外向きフランジ21の外周から把持筒23を垂下して、該把持筒外面に滑り止め用突起24を周方向に所定の間隔をおいて複数形成する。なお、内容器20を金属で形成する場合には、把持筒23下端を環状壁12下面沿いに内方へ折曲して、把持筒23下端縁に手が触れないようにする。
【0027】
なお、図1に示すように口頸部3の上部外面を小外径部4に形成して、環状壁12を口頸部3上端から外方へ張り出させた理由は、小外径部4外面と環状壁12下面とで画成される空間を、内容器20交換時に環状壁12下面へ当てる指の挿入用空間部30とすることにある。
【0028】
したがって、この指挿入用空間部30は省略することも可能であり、この場合には、図3、4に示すように口頸部3の上部外面を小外径にすることなく、また環状壁12はその全下面を口頸部上端へ載置させる。
【0029】
なお、外容器1と補助部10との材質としては合成樹脂材を用いるが、補助部10の材質の方が外容器1の材質よりも硬さが軟らかいものを使用する。このようにすることで補助部10を回動させる際に、外容器1が補助部10によって削られる等して傷つけられることがなく、また補助部10を外容器1内へ嵌挿させることが容易となる。
【0030】
内容器20の材質としては金属または比較的硬い合成樹脂材を用いる。なお、補助部10と内容器20とを別体に形成する場合には、これらは互いに接着されるが、接着の手段としてはインサート成形が好ましい。
【0031】
次に作用について説明する。
通常の使用においては、図示しないキャップを口頸部3から螺脱させて、内容器20から内容物を取り出せばよい。
【0032】
内容器20を新品の内容器と交換するには、内容器20の把持筒23を把持し、かつ外容器1を保持して内容器20を回動すればよい。すると内容器20と共に補助筒11が回動し、上向き段部5上面の凹部へ噛合していた補助筒11下面の凸部が、上向き段部5の凹部から離脱して凸部へ乗り上げ、これによって補助筒11が上昇し、環状壁12が口頸部3上面から上方へ離間すると共に、第2突部13が第1突部8を乗越えることで抜止め手段7が解除されるため、内容器20を外容器1から取り出すことが可能になる。
【0033】
新品の内容器20を用いるには、該内容器を外容器1内へ嵌挿させればよく、すると第2突部13が第1突部8を乗越えて補助筒11下面が上向き段部5上面へ係合する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、内容物を使い切った場合に、内容物が入った内容器のみ交換して、外容器は継続して使用可能な容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 外容器
4 小外径部
5 上向き段部
7 抜止め手段
8 第1突部
10 補助部
11 補助筒
12 環状壁
13 第2突部
15 解除手段
20 内容器
21 外向きフランジ
22 周壁
24 滑り止め用突部
30 挿入用空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器1内へ内容器20を交換可能に設けたレフィル容器であって、
前記外容器1と内容器20との間隙内に補助部10を設け、
該補助部10を凹凸の抜止め手段7を介して前記外容器1内へ係合させ、
さらに、前記補助部10と協働して前記抜止め手段7による抜止めを解除可能な凹凸の解除手段15を前記外容器1の内周面に設け、
該解除手段15は、前記補助部10に回動力が加わると、該補助部10を上昇させて前記抜止め手段7による抜止めを解除可能に設け、
該抜止め解除によって前記補助部10と共に前記内容器20が前記外容器1から抜出し可能に設けた
ことを特徴とするレフィル容器。
【請求項2】
前記補助部10は、前記外容器1内へ補助筒11を嵌合させ、かつ該補助筒上端に外向きフランジ状の環状壁12を設けて、該環状壁を前記外容器1上端へ載置させることで形成され、
前記内容器20は、前記補助部10の環状壁12上面へ載置させて接着した外向きフランジ21内周から周壁22を垂下して、該周壁を補助筒11内面へ嵌合接着させることによって形成されていることを特徴とする請求項1記載のレフィル容器。
【請求項3】
前記補助部10は、前記外容器1内へ補助筒11を嵌合させ、かつ該補助筒上端に外向きフランジ状の環状壁12を設けて、該環状壁を前記外容器1上端へ載置させることで形成され、
前記内容器20は、前記補助部10の環状壁12上面へ載置させた外向きフランジ21内周から周壁22を垂下して、該周壁を補助筒11内面へ嵌合させることによって形成され、
かつ前記補助部10と前記内容器20とは一体成形されていることを特徴とする請求項1記載のレフィル容器。
【請求項4】
前記抜止め手段7は、前記外容器1内周面に形成された第1突部8と、前記補助筒11外周面に形成された第2突部13とから構成され、前記補助部10が上昇することにより第2突部13が第1突部8を乗越えることで抜止めが解除可能に設けた
ことを特徴とする請求項1記載のレフィル容器。
【請求項5】
前記解除手段15は、前記外容器内周面に上向き段部5を形成すると共に、該上向き段部上面と前記補助筒11下面とのそれぞれの面を凹凸状に形成して、該上向き段部5上面と補助筒11下面とを当接させて凹凸を互いに噛合させることにより構成され、
前記内容器20と外容器1の相対回動で補助筒11下面の凸が上向き段部5上面の凸へ乗り上げることにより補助筒11が上昇して前記第2突部13が第1突部8を乗越え可能に設けた
ことを特徴とする請求項2又は3記載のレフィル容器。
【請求項6】
前記外容器1の上端部外面を小外径部4に形成して、該小外径部外面と前記補助部の環状壁12下面とで画成される空間を、内容器交換時に環状壁下面へ当てる指の挿入用空間部30に形成したことを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1つに記載のレフィル容器。
【請求項7】
前記内容器20の外向きフランジ21外周から把持筒23を垂下して、該把持筒外面に滑り止め用突部24を設けたことを特徴とする請求項2ないし6のいずれか1つに記載のレフィル容器。
【請求項8】
前記補助部10は前記外容器よりも硬さが軟らかい材質で形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のレフィル容器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−173723(P2010−173723A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20627(P2009−20627)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】