説明

レベル感知用近接センサ

電界効果センサが流体および粉体のレベル感知に使用するように適合される。センサはタンクの側壁上または内に配置された細長い平行電極を使用する。電極の縦軸はタンク内の流体または粉体の表面に平行である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2003年4月22日に出願された米国仮特許出願第60/464,439号”Electrode Designs for Sensing Level of Low Dielectric Constant Fluids and Substances”から優先権を請求するものであり、その開示は本開示の一部としてここに組み入れられている。
【0002】
(発明の背景)
1.技術分野
本発明は一般的にレベル感知に向けられている。特に、本発明は流体その他の物質のレベルを感知するようにされた電極を有する近接センサに向けられている。
【背景技術】
【0003】
2.従来技術
しばしば、タンクその他の容器内の流体レベルを知ることが便利であったり必要であったりすることがある。そのような既知の手段はのぞき窓、測定スティック、レベルを示す機械的リンク装置を有するフロート、および電気的送信装置に接続されたフロートを含んでいる。この種のレベル感知装置は広く使用されてはいるが欠点が無いわけではない。のぞき窓は流体レベルの非常に正確な視覚表示を与えることができるが、一般的に流体レベルを測定するタンクの近くに配置しなければならず、一般的に遠隔レベル表示を与えるのに使用することができない。さらに、のぞき窓の頂部および底部は一般的に流体レベルを測定するタンクの側壁に設けなければならないため、流体がこぼれる可能性が高くなる。ディップスティック等の測定スティックも流体レベルを測定するタンクの近くにある必要があり、遠隔使用は容易ではない。測定スティックには、さらに、レベルを測定する流体中へ物理的に挿入しなければならないという欠点がある。そのため、それらを使用すると測定する流体を汚染する機会が増す。
【0004】
レベル表示用機械的リンク装置を有するフロートが芝刈り機、ガーデントラクタ、等の小型パワー装置でしばしば使用される。このような装置は比較的低コストでかなり正確な表示を与える。しかしながら、それらは一般的にローカル表示を与えるものであって、遠隔表示を与えるように容易に適合されることはない。さらに、それらは通常の使用中に振動、エレメントへの露呈、その他の厳しい環境状況により故障し易い。
【0005】
電気的送信機に接続された機械的リンク装置を有するフロートが、自動車ガソリンタンク等の、タンク内の流体レベルを検出してその遠隔表示を与えるのに長い間使用されてきている。このような装置は典型的にタンク内側に搭載され、流体レベルが昇降する時のフロートおよびリンク装置の動きを許すための十分なスペースをタンク内側に必要とする。そのため、このような装置ではタンクの設計およびパッケージング効率に制約が課せられる。さらに、このようなユニットはタンク断面が頂部から底部まで実質的に一様であり、タンク内の流体体積は単純にタンク内の流体の高さの関数であるという仮定に基づいて作動する。このようなユニットは不規則な断面を有するタンク内で使用される時は、典型的に正確なデータを与えない。多数のユニットを使用してこの問題を軽減できるが、コストおよび複雑さが増し、スペース制約によりどのような状況においても実行可能ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電界効果センサは、水等の、ある流体の接近を検出することができる。しかしながら、従来の電界効果センサはある他種の流体、たとえば、ガソリン等の炭化水素には感応しない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明は、各々がそのレベルを測定する流体または粉体の表面に一般的に平行な縦軸を有する細長い一般的に平行な電極を有する近接センサを使用して流体または粉体のレベルを感知する。
【実施例】
【0008】
(例示する実施例の詳細な説明)
図1は、自動車のガソリンタンク等の、流体を含むタンク20の側壁22上に配置された電界効果センサ10を示す。他の実施例では、タンク20は多数の流体もしくは粉体を含むことができる。好ましくは、センサ10はタンク20の外側に配置されるが、タンク20の内側に配置することもできる。あるいは、センサ10はタンク20の側壁22内に埋め込むことができる。
【0009】
センサ10は制御回路16に接続された第1および第2の、実質的に平行な、電極12,14を含んでいる。好ましくは、制御回路16はイリノイ州、ホイートンのLLC、タッチセンサテクノロジ社から入手可能なTS100センサが設けられた制御回路として具現される。TS100センサの多くの設計および動作原理は米国特許第6,230,282号および第6,713,897号および関連する米国特許出願第10/272,377号および第10/725,908号に記載されており、その開示は本開示の一部としてここに組み入れられている。
【0010】
電極12,14は一般的に細長で平行である点で従来のセンサ電極とは異なっている。好ましくは、電極12,14は縦軸がタンク20内の流体の表面と実質的に平行となるようにタンク20上に配置される。後述するように、一般的に、電極長さ対幅比が大きいほどより迅速にセンサ10は電極に近接する刺激に応答する。また、接近した間隔の電極対はより高い分解能を与える。すなわち、接近した間隔の電極対を使用するセンサ10は広い間隔の電極対を使用するセンサ10よりも小さなレベル変化に対してより敏感である。しかしながら、接近した間隔の電極対を使用するセンサは、たとえば、タンク20内の流体のスロッシングによる不規則な表示を与え易い。
【0011】
電極12,14は多くの異なる形式で具現することができる。たとえば、図1に示すように、それらは薄い、平行な、等長平面トレースを含むことができる。図2に示すように、それらは不等長の円柱ロッドを含むことができる。他の実施例では、それらは不等長平面トレースまたは等長円柱ロッドに似たものとすることができる。それらは直径の異なるロッドを含むこともできる。それらの全体形状および断面も変動することができる。一般的に、同じような電極は同じような刺激に等しく応答する。他よりも長い、幅広い、または断面積が大きい電極は一般的に定められた刺激に対してより敏感である。この原理を使用してセンサの感度および共通モード干渉除去能力を定められた応用で必要なものまたは望ましいものに適応させることができる。一般的に、感度の改善には共通モード干渉除去能力の減少が伴う。図1および2では電極12,14は一般的に直線状として示されているが、電極12,14はタンク20の側壁に巻き付いたりそれにならうように構成することができる。
【0012】
好ましくは、センサ10はタンク20に固着されるまたは一体化される可撓性または剛性基板(図示せず)上に配置される。たとえば、センサ10を載せた基板はタンク20の側壁内に埋め込むことができる。あるいは、センサ10をタンク20上に直接配置するかタンク20内に埋め込んで、基板を省くことができる。
【0013】
両方の電極12,14が同じ媒体、たとえば、自動車のガソリンタンク内のガソリンの表面より上の空気/蒸気を感知する時は、両方の電極12,14は同じ対地容量を有する。言い換えると、両方の電極12,14が同じ媒体を感知する時は、各電極の大地への電界結合は実質的に同じであり、2つの電極間の電界電位は無視できる。この状態において、センサ10は「オフ」状態である。液体レベルが上昇して下位電極14を覆うと、下位電極14および上位電極12間の電界電位は、当業者ならばご存知のように、センサ10を「オン」状態とするのに十分となるまで増加する。液体レベルが上昇し続けて上位電極12を覆うと、上位電極12および下位電極14の電界電位は無視できるレベルへ戻る。この状態において、センサ10は「オフ」状態へ戻る。(前記した検討は両方の電極が同じ構成であると仮定している。当業者ならばご存知のように、一方の電極が他方よりも長い、大きい、または実質的に異なる構成であれば、両方の電極が同じ媒体を感知する状態において2つの電極の対地容量は異なることがある。したがって、電極14の構造に対して電極12の構造を調節することにより、タンク20内のレベル変化に対するセンサの応答を調節することができる。)
【0014】
図3はタンク20の側壁内上に配置されたまたはその中に埋め込まれた複数のセンサ10A−10Cを使用して、どのようにタンク内の流体レベルの実質的に連続的な表示を与えられるかを示す。流体レベルが最も低いセンサ10Aの下位電極14Aよりも低ければ、各センサ10A−10Cは「オフ」状態である。流体が最も低いセンサ10Aの下位電極14Aしか覆わなければ、センサ10Aは「オン」状態でありセンサ10B,10Cは「オフ」状態である。流体が中間センサ10Bの下位電極14も覆えば、センサ10A,10Bは「オン」状態でありセンサ10Cは「オフ」状態である。流体がセンサ10Aの上位電極12Aも覆えば、センサ10Aは「オフ」状態であり、センサ10Bは「オン」状態であり、センサ10Cは「オフ」状態である。流体が最も高いセンサ10Cの下位電極14Cも覆えば、センサ10Aは「オフ」状態でありセンサ10B,10Cは「オン」状態である。流体がセンサ10Bの上位電極12Bも覆えば、センサ10A,10Bは「オフ」状態でありセンサ10Cは「オン」状態である。
【0015】
好ましい実施例では、センサ10A−10Cの出力VoutA−VoutCはセンサ出力をレベル表示へ変換するマイクロコンピュータ(図示せず)に接続されている。たとえば、センサ10Aが「オフ」状態でありセンサ10Bおよび10Cが「オン」状態であれば(電極12A,14A,14Bおよび14Cが覆われている状態に対応する)、タンク20は実質的に一様な断面であると仮定して、マイクロコンピュータ(図示せず)はタンク20がほぼ半分しか満たされていないことを示す出力を与える。タンク20が一様な断面でなければ、正確なレベル表示を得るためにタンクジオメトリをマイクロコンピュータの解析において考慮することができる。
【0016】
単一流体のレベル測定に関して説明したが、本発明はコンテナ内の粉体のレベル測定、またはコンテナ内の異なる流体間の界面のレベル測定にも使用することができる。当業者ならば、本発明を規定する特許請求の範囲から逸脱することなく本開示の教示をどのように修正するかお判りであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に従った電極設計を表す図である。
【図2】本発明に従った別の電極設計を表す図である。
【図3】タンク内の物質のレベルを測定するための本発明に従った電極設計を有する複数のセンサを表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部および側壁部を有するタンク内の物質のレベルを感知する装置であって、
前記側壁部に関連付けられた第1の薄い平面電極と、
前記側壁部に関連付けられた第2の薄い平面電極と、を含み、
前記第2の電極は前記底部に関して前記第1の電極よりも実質的に上の前記側壁部上に配置されており、
前記第1の電極は第1の抵抗体および検出回路の第1の入力に接続されており、
前記第2の電極は第2の抵抗体および検出回路の第2の入力に接続されており、
ストローブ線が前記第1の抵抗体および前記第2の抵抗体に接続されており、
前記流体が前記第1および前記第2のいずれの電極も実質的に覆わない時に前記検出回路は低レベル出力を作り出し、
前記流体が前記第1および前記第2の両方の電極を実質的に覆う時に前記検出回路はローレベル出力を作り出し、
前記流体が前記第1および前記第2の電極の一方を実質的に覆うが両方は覆わない時に前記検出回路はハイレベル出力を作り出す装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記物質は液体である装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記液体は低い比誘電率を有する装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、前記液体は高い比誘電率を有する装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記物質は粉体である装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記第1および前記第2の電極の少なくとも一方は前記タンクの前記側壁部上に配置される装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記第1および前記第2の電極の前記少なくとも一方は前記タンクの前記側壁部の外面上に配置される装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、前記第1および前記第2の電極の前記少なくとも一方は前記タンクの前記側壁部の内面上に配置される装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記第1および前記第2の電極の少なくとも一方は前記タンクの前記側壁部内に埋め込まれる装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−528364(P2006−528364A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532453(P2006−532453)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/012434
【国際公開番号】WO2004/104529
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505287047)タッチセンサー テクノロジーズ,エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】