説明

レリーフ部を備えた有孔または部分有孔テンプレートの製造方法

本発明は、複数の開口部(12)を含みそれらの開口部の輪郭が所望のパターンに相当するレリーフ部を上面に備えたテンプレートの製造方法に関する。本発明はさらに、そのようなテンプレートに関する。本発明の目的は、高さがより大きいレリーフ部を実現可能にし、その結果、適用されるパターンの設計自由度を高めることである。この目的は、以下の各ステップによって達成される。少なくとも1つの非穿孔状態の非金属製レリーフ層(11)を有するテンプレート本体(10)を用意する。レーザまたはプラズマ照射によって、レリーフ層(11)の材料をパターン状に除去して、レリーフ部の複数の開口部(12)を形成する。ここで、少なくともレリーフ部の開口部(12)の底領域には、上面の反対側である裏面まで延びる貫通開口部が設けられる。このようにして、テンプレートが得られる。そのテンプレートは、少なくとも1つの非金属製レリーフ層(11)を備えたテンプレート本体(10)を有し、その上面に、複数の開口部(12)を含みそれらの開口部の輪郭が所望のパターンに相当するレリーフ部が形成されている。少なくともレリーフ部の開口部(12)の底領域には、上面の反対側である裏面まで延びる貫通開口部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望のパターンに相当する輪郭を有する複数の開口部を含むレリーフ部を上面に備えた、有孔または部分有孔テンプレート(型板)の製造方法に関し、さらに、そのようなタイプのテンプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
EP 1 884 582 B1には、テンプレートまたはスクリーンの製造方法が開示されている。その方法ではまず、上面から裏面まで延びる複数の貫通開口部を備えたスクリーン本体を用意する。その上面にレリーフ部を形成するために、エッチングによる化学工程またはレーザ照射によって、所望のパターンに従って低領域または開口部を作成する。ここで、複数の貫通開口部を備えたスクリーン本体は、原理的には、たとえばプラスチック材料、セラミック材料、天然樹脂材料、ラッカー材料、またはそれらの複合材料や組み合わせなどの、安定したシート状の部材の形成に適した非金属材料から成ることが可能である。しかし当該文献では、ニッケル、銅、アルミニウム、またはそれらの合金などの金属から成るスクリーン本体の製造のみが詳述されている。
【0003】
US 2008/0193790 A1には、液体噴射接合工程による不織布の製造に利用されるスクリーンドラムが開示されている。そのスクリーンドラムは、繊維状材料が配置される上面に、所望のパターンに相当する輪郭を有する低領域または開口部が設けられている。スクリーンドラムは、ガルバニック作用を用いて2段階で製造される。第1段階では、複数の貫通開口部を備えた担体スクリーンが形成される。所望の厚みが得られた後、第2段階で、隆起させたい領域のみにおいてスクリーンドラムの厚みを増大させることで、レリーフ部の低領域または開口部が得られる。レリーフ部の開口部の壁は、外側に若干傾斜している。
【0004】
DE 10 2007 059 794 A1には、スクリーン印刷用テンプレートの製造方法が開示されている。その方法では、金属製担体基板を、後にスクレーパ側となる面から機械加工して窪み を形成することで、担体の網状組織を作成する。そして、後に被印刷物側となる面に、印刷すべき構成を、さらなる窪みの形状に機械加工する。それにより、両側の窪みの先端がテンプレート本体中で出会った箇所に、スクリーン印刷用のペースト状材料のための開口部が形成される。当該文献におけるテンプレートの製造は、マイクロエッチングまたはレーザアブレーションによって実施される。
【0005】
しかし、このタイプの製造方法では、限られたレリーフ高さしか許容されない。また、ガルバニック作用を用いたテンプレートの場合は、厚みが増すにつれて貫通開口部が徐々に細くなる点でも不利であり、それによってさらにレリーフ高さが制限されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 1 884 582 B1
【特許文献2】US 2008/0193790 A1
【特許文献3】DE 10 2007 059 794 A1
【特許文献4】NL 1 012 100 C2
【特許文献5】EP 0 913 730 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の背景を鑑み、本発明は、より大きなレリーフ高さを許容し、その結果、適用されるパターンの設計自由度をより高めた、さらなるテンプレート製造方法および改良型テンプレートを提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、本発明に従って、請求項1に記載の方法および請求項13に記載のテンプレートによって達成される。本発明の有利な改良点および発展形態は、従属項に記載されている。
【0009】
本発明によれば、非金属材料から成るレリーフ層を有するテンプレート本体から、レーザまたはプラズマ照射によって材料を除去してレリーフ部を形成することで、テンプレートを製造する。ここで、少なくともレリーフ部の開口部の底の領域には、貫通開口部が設けられる。
【0010】
用途およびレリーフ層の厚さによっては、レリーフ層からの材料の直接除去工程を用いることで、数ミリのレリーフ深さまで簡単に許容することができる。レーザまたはプラズマ照射(特に、高エネルギ密度のレーザまたはプラズマ照射)を使用することによって、幅広い用途において、パターンを備えたテンプレートの高い設計自由度を確保することができる。特に、テンプレートの構造化に照射を使用すると、幅広い材料がテンプレートに利用可能になるため、意図したパターンを作成する設計自由度を向上させることができる。
【0011】
本発明によれば、特に非穿孔層である少なくとも1つの非金属製レリーフ層を有するテンプレート本体を用意する。続いて、レーザまたはプラズマ照射によって、パターンに従ってレリーフ層の材料を除去して、レリーフ部の複数の開口部を形成する。ここで、少なくともレリーフ部の開口部の底領域には、上面の反対側である裏面まで延びる貫通開口部が設けられる。
【0012】
テンプレート本体のレリーフ層の裏側に、担体層が備えられていないか、あるいは、金属製または非金属製の非穿孔担体層が備えられている場合は、テンプレート本体において、少なくともレリーフ部の開口部の底領域に、レーザ照射によって貫通開口部を導入する。
【0013】
一方、テンプレート本体のレリーフ層の裏側に有孔担体層(特に金属製スクリーン)が備えられている場合は、レーザまたはプラズマ照射によって、担体層の開口(孔)を少なくとも部分的に露出させること によって、少なくともレリーフ部の開口部の底領域に貫通開口部を形成する。特に、レリーフ部の開口部の底領域に位置する貫通開口部は、レリーフ層を完全に除去することで露出できる。
【0014】
適切なレーザまたはプラズマ照射によって貫通開口部を形成または露出することは、テンプレート本体の加工全体をたった1つの処理ステーションにおいて1つまたはそれ以上の工程で達成できるという点で、有利である。
【0015】
また、たとえば織布または不織布のウォータージェット 接合の場合などに、必要であれば、レリーフ部の開口部の外側に位置するレリーフ層の高台領域に、パターン形成用以外の(non-pattern-forming) 開口部または穿孔をレーザ照射によって導入することができる。ここで、これらのパターン形成用以外の開口部は、担体層の開口部と一致し、それによって貫通開口部が形成される。あるいは、それらのパターン形成用以外の開口部または穿孔を、担体層の開口部とは形状、サイズ、および配置のうちの少なくとも一つが異なるものとすることもできる。そうすることで、それぞれのテンプレートまたはパターン領域においてテンプレートの透過性を異ならせることができ、それによってパターン形成を補助することが可能である。
【0016】
レリーフ部の開口部の外側に位置する高台領域が複数の異なる高さを有するように、開口部の外側においてもレリーフ層の材料をレーザ照射によって除去すれば、パターン内でのバリエーションの可能性を増大することができる。ここで、高台領域の高さが同一である場合と同様に、開口部の壁が周囲の高台領域に対して傾斜、面取り部、丸み、またはステップ状の段々を有するよう構成できる。そのような形状は、開口部の形成時に照射の出力密度を変調させることによって、都合よく形成できる。
【0017】
また、開口部の外側に位置する高台領域の表面に、規則的、ランダム、または疑似ランダムなミクロ構造を設けることが可能である。
【0018】
さらに、表面特性を、意図する所望の用途に適合させるために、高台領域の表面またはレリーフ層の露出表面全体にコーティングを設けることが可能である。そのコーティングは、金属または適切なテフロン(登録商標)から成ることが好ましい。このタイプのコーティングは、様々な方法で被覆可能であり、特に化学的手法、ガルバニック技術、スプレー技術、またはプリント技術によって被覆できる。
【0019】
本発明によるテンプレートは、少なくとも1つの非金属レリーフ層を備える。その上面には、輪郭が所望のパターンに相当する複数の開口部から成るレリーフ部が形成されている。また、上面の反対側である裏面まで延びる貫通開口部が、少なくともレリーフ部の開口部の底領域に設けられている。
【0020】
テンプレート本体は、好都合なことに、レリーフ層の裏面に、金属製または非金属製の非穿孔担体層を備える。担体層において、少なくともレリーフ部の開口部の底領域に貫通する貫通開口部が設けられている。
【0021】
担体層は、特に、ガラス繊維またはカーボン繊維によって強化された金属または非金属から成る。
【0022】
また、たとえば金属製スクリーンなどの有孔担体層を設けることもできる。有孔担体層の貫通開口部は、レリーフ部の開口部の底領域に少なくとも部分的に露出している。
【0023】
レリーフ部の開口部の外側に位置する高台領域に、レーザ照射によって導入されたパターン形成用以外の貫通開口部または穿孔をレリーフ層が備える場合は、それらのパターン形成用以外の貫通開口部または穿孔が、担体層の開口部に一致すると好都合である。
【0024】
しかし、それらのパターン形成用以外の貫通開口部または穿孔は、担体層の開口部とは形状、サイズ、および配置のうちの少なくとも一つが異なることも可能である。
【0025】
本発明の一つの発展形態は、金属製スクリーンがガルバニック作用を用いて製造されることを特徴とする。
【0026】
ガルバニック金属製スクリーンの代わりに、ワイヤガーゼである金属製スクリーンを用いる場合は、ガルバニック表面コーティングを施すことが有利である。ただし、ステンレス鋼から成るスクリーンを使用することも考えられる。ただし、表面コーティングを施した場合は金属製スクリーンが特に安定的になり、そのことは圧縮荷重下で有利である。
【0027】
パターン設計の可能性をさらに増大するために、本発明の有用な改良形態では、レリーフ部の開口部の外側に位置する高台領域は、複数の異なる高さを有する。そして、均一な高台高さのパターンを有するテンプレートの場合と同様に、開口部の壁は、周囲の高台領域に対して傾斜、面取り部、丸み、またはステップ状の段々を有することが可能である。
【0028】
テンプレートの表面特性を意図する各用途に適合させるために、開口部の外側に位置する高台領域の表面に、規則的、ランダム、または疑似ランダムなミクロ構造が設けられている。さらに、あるいはその代わりに、高台領域の表面またはレリーフ層の露出表面全体に、コーティングが設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】レリーフ部の開口部の底領域のみに穿孔を備えた本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図2】レリーフ部の開口部の底領域のみに穿孔を備えた(すなわち、貫通開口部が設けられている)レリーフ層が担体層上に形成されている、本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図3】図1または図2に示した本発明によるテンプレートを示す概略平面図である。
【図4】担体層がスクリーンの形態でありその表面積全体に穿孔を備えた、図2に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図5】レリーフ部の開口部の底領域にレリーフ層部分が残っている、図4に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図6】レリーフ部の開口部の外側に位置する高台領域が複数の異なる高さを有する、図4に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図7】レリーフ部の開口部の外側に位置する高台領域の表面が構造化されている、図4に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図8】レリーフ部の開口部の縁領域における様々な概略断面を示す図である。
【図9】高台領域の表面がコーティングされている、図4に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図10】レリーフ部の表面全体がコーティングされている、図4または図9に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図11】レリーフ部の表面全体がコーティングされている、図7に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図12】高台領域に貫通孔または穿孔が形成され、それらが担体層の貫通開口部または穿孔に整列している、図4に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図13】高台領域の表面が構造化されている、図12に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図14】レリーフ部の表面全体がコーティングされている、図13に類似の本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図15】図12ないし図14に示した本発明によるテンプレートを示す概略平面図である。
【図16】図12に類似ではあるが、レリーフ層内の穿孔または貫通孔が担体層の貫通開口部または穿孔と形状、サイズ、および配置のうちの少なくとも一つが異なっている、本発明によるテンプレートを示す概略断面図である。
【図17】図16に示した本発明によるテンプレートのパターン領域を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に示す例示的実施形態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【0031】
それぞれの図面において互いに対応する要素には、同一の符号を付す。
【0032】
図1に示すように、部分的に穿孔されたプレートまたは円筒体として形成された本発明によるテンプレートは、テンプレート本体10を含む。テンプレート本体10は、プレートまたは円筒体として形成されることができ、レリーフ層11を有する。レリーフ層11には、輪郭が所望のパターンに相当する間隙または開口部12が形成される。開口部12の底領域13には、テンプレート本体10の担体層部分11’が設けられており、そこに穿孔または貫通開口部14が形成されている。それにより、テンプレートの用途分野に応じて気体または液体が通過可能である。
【0033】
本発明によるテンプレートの主な用途分野は、レリーフ状のパターンを備えた不織布の製造における、繊維状フリースの液体噴射接合である。ここで、テンプレート本体の開口部12または窪みが、不織布に型押しされるパターンに相当する。
【0034】
ただし、本発明によるテンプレートは、スキャッター印刷(scatter printing)にも使用できる。その場合、テンプレートを円筒形に形成し、その内部を減圧状態にする。開口部12に細粒または小さいペレット状のバルク材料を充填することができ、それらの材料は、円筒形テンプレート内部の減圧状態によって開口部12内に保持される。続いて、内部に位置するシートの助けによって、スキャッター印刷工程で印刷される被印刷物上であってバルク材料を放出すべき箇所において、貫通開口部14を減圧状態から解放することができる。
【0035】
本発明によるテンプレートはさらに、特にたとえば織地またはカーペットなどの吸収性の被印刷物に大量のインクで印刷する場合のスクリーン印刷において、印刷版または圧胴としても使用可能である。その場合に印刷インクは、開口部12の底領域13に設けられた貫通開口部14を通るよう押されて開口部12に至り、続いてそこから被印刷物上へ転写される。
【0036】
ここで、擦り付けられる力によって生じる摩滅から保護するために、図2に示すように、テンプレート本体10に別個の担体層15を設けると有用である。担体層15は、好ましくは金属から成り、また図4に示すように、特に金属製スクリーンとして形成される。
【0037】
また、本発明に従って簡単に実施できるとおり、円筒形テンプレートにレリーフ部および適切な形状の表面を設ければ、円筒形テンプレートを用いて箔を穿孔およびエンボス加工することが可能になる。
【0038】
本発明によるテンプレートを製造するには、まず、プレートまたは円筒体として形成されたテンプレート本体10を用意する。テンプレート本体10は、担体層部分11’を上面10’から遠い側に備えた連続的レリーフ層11から成るか、あるいは、レリーフ層11が担体層15上に配置された複合材料から成る。
【0039】
レリーフ層は、たとえば合成あるいは天然のポリマー、ゴム、硬質ゴムまたは他の加硫材料、セラミック、適切なシリコンなどの非金属によって構成される。担体層15として特に適切なのは金属であるが、ガラス繊維またはカーボン繊維強化プラスチックを用いることもできる。非穿孔金属層は別として、担体層15として特に適切なのは、ニッケル、銅、または他の金属から成る金属製スクリーンであり、それはガルバニック作用を用いて製造可能であり、あるいはワイヤガーゼとして形成される。このタイプの複合材料を用いる場合、積層体として形成されたテンプレート本体10を得るために、非金属製レリーフ層を金属製担体層15に物質的に接着する。
【0040】
特にレーザまたはプラズマ照射などの照射を用いる場合は、レリーフ層の材料を除去することで、開口部12と、開口部12の外側に位置する高台領域16から成る所望のレリーフ部とを形成する。レリーフ部の形成後または形成時に、開口部12の底領域13において、担体層部分11’または担体層15(図2参照)内に貫通開口部14を、上記と同様に対応の材料を除去することによって形成する。
【0041】
もし図4に示すようにスクリーンを担体層15として使用した場合は、貫通開口部14はスクリーンの開口部によって設けられている。この場合は単に、対応のスクリーン開口部を露出させるだけでよい。
【0042】
もし図5に示すように、担体層15を用いたにもかかわらず、たとえば高台領域16が細い場合に、小さい高台の部分でレリーフ層11の安定性および接着固定性を向上させるためなどの理由で、開口部12の底領域13にレリーフ層11の材料を残している場合は、レリーフ層内に貫通開口部14’を形成することによって対応のスクリーン開口部を延長し、貫通開口部14を得る。
【0043】
もし、ワイヤガーゼから成るスクリーンを用いた際にレリーフ層が開口部の領域で露出する場合は、ワイヤが交差する部分においてスクリーンが滑らかになるように、ガルバニック作用を用いてワイヤガーゼをコーティングすると好適である。
【0044】
図6に示すように、どのような所望のパターンに係るレリーフ部であっても、レリーフ層11から作成できる。特に、開口部12の外側に位置するレリーフ層11の高台領域16が複数の異なる高さを有するように構成できる。複数の異なる高さの高台領域16は、たとえば、順次行う複数回のステップによって材料の除去を実施することで得られ、あるいは、形成すべき開口部または高台の高さの大小に応じてレーザまたはプラズマの出力を変調して、材料除去のためのエネルギー密度を大きくするか小さくするかを選択することによっても得られる。
【0045】
図8に示すように、照射時の出力変調によってさらに、高台と開口部との間に、丸み、傾斜、および段々をつけた縁部のうちの少なくとも一つから成る移行部を作成することができる。鋭い縁部(直角の縁部)を作成するには、出力をゼロから直接に所望レベルに切り替える。丸みをおびた縁部の場合は、所望の縁部形状に従い、照射ビームの増進具合に応じて出力を変更する。
【0046】
用途によっては、図7に示すように、テンプレート本体10の上面10’に追加の表面構造を設けることもできる。この表面構造は、レリーフ層11の製造時に適切な工程によって形成するか、あるいは、レリーフ部の形成のためにレーザまたはプラズマ照射によって材料を除去する際に作成する。図7には、高さおよび幅がランダムに形成されたミクロ構造を示すが、規則的なミクロ構造を設けることも可能であり、それらは特に箔のエンボス加工および穿孔の用途に使用される。
【0047】
図9および図10に示すように、レリーフ層11の上面(すなわち、高台領域のみ、または、レリーフ層11の露出表面全体)と、場合によっては担体層15とに、コーティング17を設けることができる。コーティング17は、化学的手法、ガルバニック技術、またはスプレー技術によって施された金属被覆であることが可能である。図9に示すように、コーティング17を高台領域16の上面のみに設けたい場合は、プリント技術によって施すこともできる。
【0048】
コーティング17を底領域13にも設ける場合は、その後に担体層15内の貫通開口部14を露出する必要がある。図1または図2と同様に非穿孔担体層部分11または非穿孔担体層15を設けた場合は、コーティング17の形成後に貫通開口部14を作成すべきである。
【0049】
前述の例示的実施形態のテンプレートでは、図3の平面図に示すように、開口部12の外側に位置する高台領域16には穿孔または貫通開口部は設けられていない。
【0050】
しかし、用途および高台領域の幅によっては、図12ないし図15に示すように、高台領域にも穿孔または貫通開口部18を同様に設けることができる。図12または図13に示す例示的実施形態の場合、穿孔または貫通開口部18は、開口部12と同時か、あるいは別工程で作成可能である。ただし、コーティング17が表面に施された図14に示すテンプレートの場合は、穿孔または貫通開口部18は、コーティング17の被覆後に別個の工程で形成する必要がある。
【0051】
図12ないし図15に示すように、レリーフ層11内の貫通開口部18は、スクリーン状の担体層15内の開口部に整列している。製造の際には、穿孔された状態でレリーフ層11を予め用意し、レリーフ層11とスクリーン状担体層15との貫通開口部18が互いに整列するようにして、担体層15と一体化させることが可能である。ただし、非穿孔状態のレリーフ層11と担体層15とをまず互いに接合し、その後に、両層内を通って延びる貫通開口部18を形成することもできる。それは、たとえばレーザ照射、プラズマ照射、水噴射、または、特にドリル加工などの機械的方法によって実現できる。
【0052】
また、レリーフ層11と担体層15とのそれぞれにおける複数開口部のうちの一部が互いに重なる領域が存在するならば、レリーフ層11のパターンまたは高台領域16内の複数の穿孔または貫通開口部18、および/または、担体層内の複数の開口部は、互いに密度(表面積当たりの数)、分布、および幅が異なっていることも可能である。
【0053】
たとえば図17では、担体層15に、複数の異なる幅を有する開口部12が行列配置されており、同時に、レリーフ層11内の貫通開口部18がハニカム状に配置されている。
【0054】
高エネルギ密度のレーザまたはプラズマ照射を使用することによって、たとえば不織布のウォータージェット接合などの用途において必要とされるとおりに、基本テンプレート本体の非金属製部分に、本発明に従って所望のパターン状のレリーフ部および穿孔または貫通開口部を形成することができる。特に、本発明によれば、従来技術では得られなかった2ミリ、3ミリ、またはそれ以上の大きなレリーフ深さを得ることができる。
【0055】
ここで、より粗い構造にはプラズマ照射を使用する一方、特に滑らかに形成されるエンボス加工の縁部などの精密構造および超精密構造は、レーザ照射によって所望の形状に作成することができる。特に精密構造および超精密構造を形成する際には、テンプレートの表面に金属皮膜またはテフロン(登録商標)などのコーティングを施すと、特定の表面仕上げを得られる点や表面を摩滅から保護できる点で有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開口部(12)を含みそれらの開口部の輪郭が所望のパターンに相当するレリーフ部(11)を上面に備えたテンプレートの製造方法であって、
少なくとも1つの非金属製レリーフ層(11)を有するテンプレート本体(10)を用意することと、
レーザまたはプラズマ照射によって、前記レリーフ層(11)の材料を前記パターンに従って除去して、前記レリーフ部の複数の開口部(12)を形成することとを含み、
少なくとも前記レリーフ部の開口部(12)の底領域(13)には、前記上面の反対側である裏面まで延びる貫通開口部(14)が設けられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記テンプレート本体(10)は、前記レリーフ層の前記裏面に、担体層(15)を備えていないか、あるいは、非穿孔の金属製または非金属製担体層を備え、
少なくとも前記レリーフ部の開口部(12)の底領域(13)に設けられる前記貫通開口部(14)は、レーザ照射によって前記テンプレート本体(10)に導入することを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記テンプレート本体(10)は、前記レリーフ層(11)の前記裏面に、特に金属製スクリーンである有孔担体層(15)を有し、
少なくとも前記レリーフ部の開口部(12)の底領域(13)に設けられる前記貫通開口部(14)は、レーザ照射によって、前記担体層(15)の前記開口部14を少なくとも部分的に露出させることによって形成することを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記レリーフ部の開口部(12)の底領域(13)における前記貫通開口部(14)は、前記レリーフ層(11)を完全に除去することによって露出することを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法であって、前記レリーフ部の前記開口部(12)の外側に位置する前記レリーフ層(11)の高台領域(16)に、前記担体層(15)の開口部(14)と一致するパターン形成用以外の開口部または穿孔を、レーザ照射によって導入することで貫通開口部(14)を形成することを特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項3または4に記載の方法であって、前記レリーフ部の前記開口部(12)の外側に位置する前記レリーフ層(11)の高台領域(16)に、前記担体層(15)の開口部(14)と形状、サイズ、および配置のうちの少なくとも一つが異なるパターン形成用以外の開口部または穿孔を、レーザ照射によって導入することで貫通開口部(14)を形成することを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の方法であって、前記レリーフ部の前記開口部(12)の外側に位置する高台領域(16)が複数の異なる高さを有するように、前記開口部(12)の外側においてもレーザ照射によって前記レリーフ層(11)の材料を除去することを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の方法であって、前記開口部(12)の形成時に、前記開口部(12)の壁を、周囲の高台領域(16)に対して傾斜、面取り部、丸み、またはステップ状の段々を有するよう構成することを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、照射時の出力密度を変調させることによって、前記レリーフ層(11)の前記開口部(12)と前記高台領域(16)との間の移行部に、傾斜、面取り部、丸み、またはステップ状の段々をつけることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載の方法であって、前記開口部(12)の外側に位置する高台領域(16)の表面に、規則的、ランダム、または疑似ランダムなミクロ構造を設けることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一つに記載の方法であって、高台領域(16)の表面または前記レリーフ層(11)の露出表面全体にコーティング(17)を設けることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、金属から成る前記コーティング(17)を、化学的手法、ガルバニック技術、スプレー技術、またはプリント技術によって被覆することを特徴とする、方法。
【請求項13】
テンプレート本体(10)を含むテンプレートであって、少なくとも1つの非金属製レリーフ層(11)を備え、その表面に、複数の開口部(12)を含みそれらの開口部の輪郭が所望のパターンに相当するレリーフ部が形成されており、少なくとも前記レリーフ部の開口部(12)の底領域(13)には、上面の反対側である裏面まで延びる貫通開口部(14)が設けられている、テンプレート。
【請求項14】
請求項13に記載のテンプレートであって、前記テンプレート本体(10)が、前記レリーフ層(11)の裏面に金属製または非金属製の非穿孔担体層(15)を備え、前記担体層(15)には、少なくとも前記レリーフ部の開口部(12)の底領域(13)に貫通する貫通開口部(14)が設けられている、テンプレート。
【請求項15】
請求項14に記載のテンプレートであって、前記担体層(15)がガラス繊維またはカーボン繊維によって強化された金属または非金属から成る、テンプレート。
【請求項16】
請求項13に記載のテンプレートであって、前記テンプレート本体(10)が、前記レリーフ層(11)の裏面に、特に金属製スクリーンである有孔担体層(15)を備え、前記有孔担体層の貫通開口部(14)は、少なくとも部分的に、前記レリーフ部の開口部(12)の底領域(13)に露出している、テンプレート。
【請求項17】
請求項16に記載のテンプレートであって、前記レリーフ層(11)が、前記レリーフ部の前記開口部(12)の外側に位置する高台領域(16)に、レーザ照射によって導入され前記担体層(15)の開口部(14)と一致するパターン形成用以外の開口部(18)または穿孔を備える、テンプレート。
【請求項18】
請求項16に記載のテンプレートであって、前記レリーフ層(11)が、前記レリーフ部の前記開口部(12)の外側に位置する高台領域(16)に、レーザ照射によって導入され前記担体層(15)の開口部(14)と形状、サイズ、および配置のうちの少なくとも一つが異なるパターン形成用以外の開口部(18)または穿孔を備える、テンプレート。
【請求項19】
請求項16、17、または18に記載のテンプレートであって、前記金属製スクリーンはガルバニック作用を用いて製造されたものである、テンプレート。
【請求項20】
請求項16、17、または18に記載のテンプレートであって、前記金属製スクリーンは、ガルバニック表面コーティングが施されたワイヤガーゼで構成されている、テンプレート。
【請求項21】
請求項13から20のいずれか一つに記載のテンプレートであって、前記レリーフ部の前記開口部(12)の外側に位置する高台領域(16)が複数の異なる高さを有する、テンプレート。
【請求項22】
請求項13から21のいずれか一つに記載のテンプレートであって、前記開口部(12)の壁が、周囲の高台領域(16)に対して傾斜、面取り部、丸み、またはステップ状の段々を備える、テンプレート。
【請求項23】
請求項13から22のいずれか一つに記載のテンプレートであって、前記開口部(12)の外側に位置する高台領域(16)の表面が、規則的、ランダム、または疑似ランダムなミクロ構造を備える、テンプレート。
【請求項24】
請求項13から23のいずれか一つに記載のテンプレートであって、高台領域(16)の表面または前記レリーフ層(11)の露出表面全体にコーティング(17)が施されている、テンプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−508189(P2013−508189A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534544(P2012−534544)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007608
【国際公開番号】WO2011/047702
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(506181391)ストルク プリンツ オーストリア ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】