説明

レンズアクチュエータ

【課題】小型軽量安価な構造で剛性を高くする。
【解決手段】レンズホルダ3が、対物レンズOLを配置したホルダ本体3Aと、該ホルダ本体3Aの両端から延びて互いに平行する一対のアーム3Bと、該両アーム3Bの遊端どうしをつなぐブリッジ3Cとを有し、各アーム3Bが、該各アーム3Bの中央を通る切断線Lを境にしてホルダ本体側アーム部3Baと、ブリッジ側アーム部3Bbとに分割され、ホルダ本体3A及びホルダ本体側アーム部3Baが合成樹脂により成形され、ブリッジ3C及びブリッジ側アーム部3Bbと該ブリッジ3Cに一体形成したカウンターウエイト3Dとからなるバランサ15が非磁性金属により形成され、該バランサ15のブリッジ側アーム部3Bbがホルダ本体側アーム部3Baに接着剤で接着され、ホルダ本体3Aの磁石対向面3Aaにフォーカスコイル7とトラッキングコイル8とが固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装置(例えばBlu−ray Disc式のレコーダまたはプレー
ヤ)のレンズアクチュエータに関し、特に、小型軽量安価な構造で剛性を高くしたもので
ある。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク装置の一例として特許文献1に記載したものがある。これは、図6の側
面図及び図7の平面図に示すように、アクトベース1上にゲルボックス2が固定され、該
ゲルボックス2に対向してレンズホルダ3が配置され、該レンズホルダ3が、対物レンズ
を配置したホルダ本体3Aと、該ホルダ本体3Aの両端から延びて互いに平行する一対の
アーム3Bと、該両アーム3Bの遊端どうしをつなぐブリッジ3Cとを有している。
【0003】
前記ゲルボックス2の背面のプリント配線基板からなる制御基板4に接続した複数の弾
性ワイヤ5が該ゲルボックス2内のゲル中を通過しレンズホルダ3の各アーム3Bに沿っ
て延ばされ、該各弾性ワイヤ5の先端が該各アーム3Bに半田付け6され、レンズホルダ
3内にフォーカスコイル7とトラッキングコイル8とが設けられ、両コイル7,8を間に
挟んで対向する一対の磁石9がレンズホルダ3の空隙10内に配置されてアクトベース1
から立ち上げたヨーク11に固着され、対物レンズOLとのバランスをとるためのカウン
ターウエイト12がレンズホルダ3のブリッジ3Cに取り付けられている。
【0004】
情報読取手順を説明すると、プレイモードで、レーザダイオード(図示せず)からレー
ザ光Aが対物レンズOLを通ってディスクDに投射され、各弾性ワイヤ5を介して各コイ
ル7,8に通電することにより、レンズホルダ3をフォーカス方向a,b及びトラッキン
グ方向c,dに駆動し、その投射光をディスクDで反射させ、その反射光に基づいてディ
スクDに記録されている情報を読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−16668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成では、対物レンズOLとの重量バランスを取るためにレンズホルダ3の
ブリッジ3Cにカウンターウエイト12が別個に取り付けられており、そのカウンターウ
エイト12を別個に用いていることから、部品点数が増加してコストアップになる。
【0007】
近年の高倍速対応の要望に基づいてレンズアクチュエータの小型軽量化を図ることが要
求されており、その要求に応じて、レンズホルダ3を合成樹脂で成形すると共に、そのア
ーム3Bの厚みt1及びブリッジ3Cの厚みt2を小さくして薄肉化することが考えられ
ているが、その厚みt1,t2を小さくすることにより、剛性が低下し、レンズホルダ3
をフォーカス方向a,b及びトラッキング方向c,dに高倍速で駆動したときに、そのレ
ンズホルダ3が変形されるおそれがある。
【0008】
特に、ホルダ本体3Aに複数の対物レンズOL(例えばBD用対物レンズとDVD−C
D用対物レンズ)を配置する場合(図1参照)には、重くなったホルダ本体3A側に対応
してカウンターウエイト12として重いものを用いる必要があり、これでは、重量バラン
スを保つことが一層難しくなって剛性に欠けることになる。
【0009】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、小型軽量安価な構造で剛性を高くしたレンズアクチ
ュエータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、アクトベース上にゲルボックスが
固定され、該ゲルボックスに対向してレンズホルダが配置され、該レンズホルダが、対物
レンズを配置したホルダ本体と、該ホルダ本体の両端から延びて互いに平行する一対のア
ームと、該両アームの遊端どうしをつなぐブリッジとを有し、前記ゲルボックス内を通過
する複数の弾性ワイヤの先端がレンズホルダの各アームに半田付けされ、レンズホルダ内
にフォーカスコイルとトラッキングコイルとが設けられ、該両コイル対向する磁石がレン
ズホルダの空隙内に配置されてアクトベースから立ち上げたヨークに固着されており、レ
ーザ光が対物レンズを通ってディスクに投射され、各弾性ワイヤを介して各コイルに通電
することにより、レンズホルダを駆動し、その投射光をディスクで反射させ、その反射光
に基づいてディスクに記録されている情報を読み取るようにしたレンズアクチュエータに
おいて、前記各アームが、該各アームの中央を通る切断線を境にしてホルダ本体側アーム
部と、ブリッジ側アーム部とに分割され、ホルダ本体及びホルダ本体側アーム部が合成樹
脂により成形され、ブリッジ及びブリッジ側アーム部と該ブリッジに一体形成したカウン
ターウエイトとからなるバランサが非磁性金属により形成され、該バランサのブリッジ側
アーム部がホルダ本体側アーム部に接着剤で接着され、ホルダ本体の磁石対向面にフォー
カスコイルとトラッキングコイルとが固着されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記バランサのブリッジ側
アーム部から折れ曲がる延長部が設けられ、該延長部が前記ホルダ本体の磁石対向面に接
着剤で接着されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、レンズホルダのブリッジ側アーム部及びブリッジから
なるバランサが非磁性金属により形成されており、その剛性が高いから、そのバランサの
厚みを小さくして薄肉化しても、レンズホルダをフォーカス方向及びトラッキング方向に
高倍速で駆動したときに、該レンズホルダが変形されるおそれがなく、そのレンズホルダ
の小型軽量化を図ることができる。
【0013】
また、カウンターウエイトがブリッジに一体形成されているので、部品点数が増加せず
、コストダウンを図ることができる。
【0014】
特に、ホルダ本体に複数の対物レンズOL(例えばBD用対物レンズとDVD−CD用
対物レンズ)を配置した場合で、その重くなったホルダ本体側に対応してカウンターウエ
イトとして重いものを用いたときでも、重量バランスを良好に保って剛性を維持し、レン
ズホルダが変形されないようにすることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、バランサのブリッジ側アーム部から折れ曲がる延長部
をホルダ本体の磁石対向面に接着剤で接着しているので、そのバランサとホルダ本体とを
一層確実に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の一形態であるレンズアクチュエータを示す斜視図である。
【図2】同側面図である。
【図3】同平面図である。
【図4】(a)は同要部の斜視図、(b)は同要部の分解斜視図である。
【図5】(a)は本発明の実施の他の形態であるレンズアクチュエータの要部を示す斜視図、(b)は同要部の分解斜視図である。
【図6】従来例を示す側面図である。
【図7】同平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図4は本発明の実施の一形態であるレンズアクチュエータを示すものであって、
Blu−ray Disc式のレコーダ(またはプレーヤ)に使用されるものであり、ホ
ルダ本体3Aに2つの対物レンズOL(BD用対物レンズとDVD−CD用対物レンズ)
が設けられ、レンズホルダ3の各アーム3Bが、該各アーム3Bの中央を通る切断線Lを
境にしてホルダ本体側アーム部3Baと、ブリッジ側アーム部3Bbとに分割され、ホル
ダ本体3A及びホルダ本体側アーム部3Baが合成樹脂により一体成形され、ブリッジ3
C及びブリッジ側アーム部3Bbと該ブリッジ3Cに一体形成したカウンターウエイト3
Dとからなるバランサ15がアルミニウム、真鍮などの非磁性金属からなる板金により形
成されている。
【0018】
前記切断線Lをコ字状に形成することにより、ホルダ本体側アーム部3Baの端縁に凹
部16が形成されると共に、ブリッジ側アーム部3Bbの端縁に凸部17が形成されてお
り、その凸部17を凹部16に嵌入させ、切断線Lに沿って接着剤(例えば熱硬化性接着
剤または紫外線硬化性接着剤)を塗布することにより、両アーム部3Ba,3Bbが接着
されている。
【0019】
前記ホルダ本体3Aの磁石対向面3Aaに2つのフォーカスコイル7と1つのトラッキ
ングコイル8とが固着され、各弾性ワイヤ5の先端がホルダ本体側アーム部3Baのプリ
ント配線基板18に半田付け6されている。なお、図1中、19はホルダ本体3Aの上面
から突出するレンズプロテクタであって、対物レンズOLがディスクDに当たるのを阻止
するものである。上記以外の構成で図6及び図7に示す構成と同一部分に同一符号を付し
てその説明を省略する。
【0020】
情報読取手順を説明すると、図2に示すように、プレイモードで、レーザダイオード(
図示せず)からレーザ光Aが対物レンズOLを通ってディスクDに投射され、各弾性ワイ
ヤ5を介して各コイル7,8に通電することにより、レンズホルダ3をフォーカス方向a
,b及びトラッキング方向c,d(及びチルト方向)に駆動し、その投射光をディスクD
で反射させ、その反射光に基づいてディスクDに記録されている情報を読み取る。
【0021】
上記構成によれば、レンズホルダ3のブリッジ側アーム部3Bb及びブリッジ3Cから
なるバランサ15が非磁性金属により形成されており、その剛性が高いから、そのバラン
サ15の厚みt1,t2を小さくして薄肉化しても、レンズホルダ3をフォーカス方向a
,b及びトラッキング方向c,dに高倍速で駆動したときに、該レンズホルダ3が変形さ
れるおそれがなく、そのレンズホルダ3の小型軽量化を図ることができる。
【0022】
また、カウンターウエイト3Dがブリッジ3Cに一体形成されているので、部品点数が
増加せず、コストダウンを図ることができる。
【0023】
特に、ホルダ本体3Aに複数の対物レンズOL(BD用対物レンズとDVD−CD用対
物レンズ)を配置した場合で、その重くなったホルダ本体3A側に対応してカウンターウ
エイト3Dとして重いものを用いたときでも、重量バランスを良好に保って剛性を維持し
、レンズホルダ3が変形されないようにすることができる。
【0024】
図5(a)(b)は本発明の実施の他の形態であるレンズアクチュエータを示すもので
あって、Blu−ray Disc式のレコーダ(またはプレーヤ)に使用されるもので
あり、バランサ15の両ブリッジ側アーム部3Bbの先端から該バランサ15内に向けて
内向き直角に折れ曲がる延長部21が設けられ、該各延長部21に対向してホルダ本体3
Aの磁石対向面3Aaに凹部16と連通する凹溝22が形成されている。上記以外の構成
は図1〜図4に示す構成とほぼ同じであるから、同一部分に同一符号を付してその説明を
省略する。
【0025】
組立手順を説明すると、バランサ15の凸部17をホルダ本体3A側の凹部16に嵌入
させると共に、各延長部21を凹溝22内に嵌入させ、その各延長部21及び切断線Lに
沿って接着剤(例えば熱硬化性接着剤または紫外線硬化性接着剤)を塗布することにより
、ブリッジ側アーム部3Bb及び延長部21をホルダ本体3A及びホルダ本体側アーム部
3Baに接着させ、その後、各コイル7,8を磁石対向面3Aaに接着剤で接着させる。
【0026】
上記構成によれば、バランサ15のブリッジ側アーム部3Bbから折れ曲がる延長部2
1をホルダ本体3Aの磁石対向面3Aaに接着剤で接着しているので、そのバランサ15
とホルダ本体3Aとを一層確実に接合することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 アクトベース
2 ゲルボックス
3 レンズホルダ
3A ホルダ本体
3Aa 磁石対向面
3B アーム
3Ba ホルダ本体側アーム部
3Bb ブリッジ側アーム部
3C ブリッジ
3D カウンターウエイト
5 弾性ワイヤ
6 半田付け
7 フォーカスコイル
8 トラッキングコイル
9 磁石
10 空隙
11 ヨーク
15 バランサ
21 延長部
OL 対物レンズ
A レーザ光
L 切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクトベース上にゲルボックスが固定され、該ゲルボックスに対向してレンズホルダが
配置され、該レンズホルダが、対物レンズを配置したホルダ本体と、該ホルダ本体の両端
から延びて互いに平行する一対のアームと、該両アームの遊端どうしをつなぐブリッジと
を有し、前記ゲルボックス内を通過する複数の弾性ワイヤの先端がレンズホルダの各アー
ムに半田付けされ、レンズホルダ内にフォーカスコイルとトラッキングコイルとが設けら
れ、該両コイル対向する磁石がレンズホルダの空隙内に配置されてアクトベースから立ち
上げたヨークに固着されており、レーザ光が対物レンズを通ってディスクに投射され、各
弾性ワイヤを介して各コイルに通電することにより、レンズホルダを駆動し、その投射光
をディスクで反射させ、その反射光に基づいてディスクに記録されている情報を読み取る
ようにしたレンズアクチュエータにおいて、前記各アームが、該各アームの中央を通る切
断線を境にしてホルダ本体側アーム部と、ブリッジ側アーム部とに分割され、ホルダ本体
及びホルダ本体側アーム部が合成樹脂により成形され、ブリッジ及びブリッジ側アーム部
と該ブリッジに一体形成したカウンターウエイトとからなるバランサが非磁性金属により
形成され、該バランサのブリッジ側アーム部がホルダ本体側アーム部に接着剤で接着され
、ホルダ本体の磁石対向面にフォーカスコイルとトラッキングコイルとが固着されている
ことを特徴とするレンズアクチュエータ。
【請求項2】
前記バランサのブリッジ側アーム部から折れ曲がる延長部が設けられ、該延長部が前記
ホルダ本体の磁石対向面に接着剤で接着されていることを特徴とする請求項1に記載のレ
ンズアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−208970(P2012−208970A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72237(P2011−72237)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】