レンズホルダーおよびこれを用いた光ピックアップ装置
【課題】レンズホルダーに対物レンズを取り付ける場合、レンズホルダーの、対物レンズの鍔部との接触面に成形ばらつきが生じていると、対物レンズの取付時に安定しないため、対物レンズ取付後のレンズのコマ収差調整が煩雑となり、コマ収差調整ばらつきも大きくなる問題があった。
【解決手段】 対物レンズの集光レンズ部が挿入される取付孔と、取付孔周囲で対物レンズの鍔部が載置される周縁部と、周縁部に設けられ、周縁部の主面より高く、互いに離間された3つの突起部を有するレンズホルダーを提供する。又、当該レンズホルダーと、該レンズホルダの取付孔に集光レンズ部が挿入され3つの突起部に鍔部が当接して支持された対物レンズと、を有する光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】 対物レンズの集光レンズ部が挿入される取付孔と、取付孔周囲で対物レンズの鍔部が載置される周縁部と、周縁部に設けられ、周縁部の主面より高く、互いに離間された3つの突起部を有するレンズホルダーを提供する。又、当該レンズホルダーと、該レンズホルダの取付孔に集光レンズ部が挿入され3つの突起部に鍔部が当接して支持された対物レンズと、を有する光ピックアップ装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されている信号の読み出し動作や光ディスクに信号の記録動作を行う対物レンズを支持するレンズホルダー、およびこれを用いた光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置から照射されるレーザー光を光ディスクの信号記録層に照射することによって信号の読み出し動作や信号の記録動作を行うことができる光ディスク装置として、CD(Compact Disc)規格やDVD規格(Digital Versatile Disc)と呼ばれる光ディスクを使用するものが一般に普及している。また、最近では記録密度を向上させた光ディスク、即ちBlu−ray Disc(以下BD)規格やHD DVD(High Density Digital Versatile Disk)規格の光ディスクを使用するものが開発されている。
【0003】
CD規格、DVD規格、BD規格、HD DVD規格の光ディスクの信号記録層はそれぞれ異なる位置に設けられている。従って、各信号記録層から信号の読み出し動作や、各信号記録層への信号の記録動作を行うため、それぞれの光ディスクにレーザー光を集光する対物レンズはそれぞれの規格に対応した開口率NAを有するように作製される。
【0004】
光ディスク装置の高密度化に伴いそれに対応した対物レンズの作製難度は高くなり、特に、対物レンズのレーザー光の入射面と出射面がずれたときに発生するコマ収差は開口率NAと対応して増大し、すなわちBD用対物レンズが最も大きくなる。
【0005】
コマ収差は、対物レンズの作製で調整するかあるいは、光ピックアップ装置に組み込んだ後、光ピックアップ装置としての許容範囲に収めるように適宜補正しているが、例えばBD用対物レンズにおいては、光ピックアップ装置として許容できる程度にコマ収差の小さい対物レンズの作製は現状では困難である。
【0006】
また、1つの対物レンズにて全ての規格の光ディスクに互換性を有するBD/DVD/CD互換の対物レンズが開発されているが、これも、開口率NAは0.85であるため、同様の問題があり、互換のためにレンズ形状が複雑であるため更に製造難度が高くコマ収差も大きい問題がある。
【0007】
そこで、光ピックアップ装置としてコマ収差を補正して使いこなす事が必須となっている。具体的には、個々の対物レンズのコマ収差の量と方向を測定し、コマ収差を打ち消す角度と方向に対物レンズを傾ける調整を行いレンズホルダーに取り付ける必要がある。
【0008】
一方、CD規格及びDVD規格の光ディスクと、BD規格やHD DVD規格の光ディスクに互換性を有する光ディスク装置も知られている(例えば特許文献2参照。)。この場合は例えばCD規格及びDVD規格の光ディスクにレーザー光を照射する対物レンズと、例えばBlu−ray Disc規格の光ディスクにレーザー光を照射する対物レンズの2つの対物レンズを1つのレンズホルダーに搭載している(例えば特許文献1、特許文献2参照。)。
【0009】
このように、2つの対物レンズを1つのレンズホルダーに搭載する光ピックアップ装置では、2つの対物レンズの相対的なコマ収差も発生し、BD用対物レンズを用いることで相対的なコマ収差も大きくなる。従って、対物レンズの取付時に、個々の対物レンズの調整に加えて、相対的なコマ収差を補正するための調整が一般的に行われている(例えば特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−4920号公報
【特許文献2】特開2007−73173号公報
【特許文献3】特開2007−287311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図12は、従来の対物レンズ321とレンズホルダー120を説明するための図であり、図12(A)が平面図、図12(B)が図12(A)のj−j線断面図である。
【0012】
対物レンズ321は、集光レンズ部321aがレンズホルダー120の取付孔121に挿入される。そして集光レンズ部321aの周縁の鍔部321bが、取付孔121を囲むレンズホルダー120の周縁部(取付部)125と当接するように、つまり環状の鍔部321bと周縁部125とが平面で接するように、搭載される。
【0013】
そして、例えばオートコリメータなどで確認しながら、対物レンズ321を最適な角度に傾けて調整する。具体的には、個々の対物レンズのコマ収差の量と方向を測定し、コマ収差を打ち消す角度と方向に対物レンズを傾ける調整を行いレンズホルダーに取り付ける。例えば、1つのレンズホルダー120に対して対物レンズ321が1つの場合は、アクチュエータのチルト調整機能で調整する。また、1つのレンズホルダー120に対して対物レンズ32が2つの場合は、1つ目の対物レンズ321を固定した後、その対物レンズ321との相対コマ量が小さくなるように2つ目の対物レンズ321の調整を行い、固定する。
【0014】
しかしレンズホルダー120は樹脂成形品であるため、充填密度などによって、レンズホルダー120の例えば全体として長軸方向に若干の成形歪みや成形ばらつきが生ずる。つまり、対物レンズ321が搭載される周縁部125の主面Sfも、そのレンズホルダー120または周縁部125の成形歪みやそのばらつきにより、実際には若干の歪みやそのばらつき生じている。
【0015】
周縁部125に歪みが生じた場合、図12(B)の断面構造において、基準面(水平面)ES’より盛り上がって高くなる部分(図12(A)の×印)と、低くなる部分が生じる。そして、周縁部125に対物レンズ321の鍔部321bを当接させた場合でも、周縁部125と鍔部321bに非接触の領域が発生する場合がある。つまり、鍔部321bは、周縁部125の高い部分(盛上部)のうち、最も高い3つの支持部PRによって支えられる。
【0016】
レンズホルダ120の成形樹脂や充填密度が同じ場合、成形上の歪みの傾向(例えば捩れる方向、傾く方向など)は、全体としては同様に生じるものの、このような成形上の歪みは位置や、高さにおいて正確な精度で管理できるものではないため、所望の位置および高さ(角度)で対物レンズ321をレンズホルダー120に設置できないこととなる。
【0017】
尚、図12(B)及び以下の断面図において、支持部PRは概略的に示している。つまり支持部PRは、本実施形態の断面図において図示可能な幅の狭い凸状(盛上部)として示している。しかし実際は、レンズホルダー120全体の歪みによって環状の周縁部22も全体として緩やかに高さが変位しているものであり、そのうち最も高い3点が支持部PRとなる。
【0018】
対物レンズ321は、直径が例えば4mmと小さいため、周縁部125の成形歪みや成形ばらつきの影響を受け易く、支持部PRによって対物レンズ321の両端で、例えば7μmの高低差が生じた場合、対物レンズ321はおよそ0.1度の角度ずれが生じてしまう。
【0019】
対物レンズ321の取付時には、作業者が個々に角度調整を行っており、対物レンズ321毎のコマ収差の発生ばらつきや作業者の熟練度などによる調整のばらつきが問題となる。そしてこれにレンズホルダーの成形ばらつきの要因が加わると、調整ばらつきは更に大きくなり、性能劣化や調整作業の複雑化によって工数が増大する問題があった。
【0020】
このことは、1つのレンズホルダーに2つの対物レンズを搭載する場合においても、個々の対物レンズの調整ばらつきや、相対コマ収差の補正のばらつきに影響を及ぼす問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、係る課題に鑑みてなされ、第1に光ディスクの信号記録層にレーザー光を集光する対物レンズを支持するレンズホルダーであって、前記対物レンズの集光レンズ部が挿入される取付孔と、該取付孔を囲む周縁部と、該周縁部に互いに離間して該周縁部の主面より突出して設けられ、前記対物レンズの鍔部に当接して該鍔部を支持する3つの突起部と、を具備することにより解決するものである。
【0022】
第2に、上記のレンズホルダーに、他の対物レンズの集光レンズ部が挿入される他の取付孔と、該他の取付孔を囲む他の周縁部と、該他の周縁部に互いに離間して該他の周縁部の主面より突出して設けられ、前記他の対物レンズの鍔部に当接して該鍔部を支持する3つの他の突起部を有することにより解決するものである。
【0023】
第3に、光ピックアップ装置において、支持ワイヤーにて光ディスクの信号記録層に対して垂直方向への変位動作及び光ディスクの径方向への変位動作を可能に支持され、且つフォーカスコイルが設けられている上記のレンズホルダーと、該レンズホルダーの前記取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された対物レンズと、を具備することにより解決するものである。
【0024】
第4に、光ピックアップ装置において、支持ワイヤーにて光ディスクの信号記録層に対して垂直方向への変位動作及び光ディスクの径方向への変位動作を可能に支持され、且つフォーカスコイルが設けられている上記のレンズホルダーと、該レンズホルダーの前記取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された一の対物レンズと、前記レンズホルダーの前記他の取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記他の突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された他の対物レンズと、を具備することにより解決するものである。
【0025】
本発明は、レンズホルダーの周縁部に設けた3つの突起部によって対物レンズの鍔部を当接して支持し、複数のレンズホルダー間において対物レンズを同じ位置で支持するものである。また、3つの突起部によって対物レンズを支持し、複数のレンズホルダー間において対物レンズ(の基準面)をレーザー光の光軸に対して所定の角度で支持するものである。
【0026】
更に、2つの対物レンズを1つのレンズホルダーに搭載する場合に、2つの周縁部に搭載する対物レンズ(の基準面)が、それらの相対コマ収差量を低減する角度でそれぞれ傾斜するように3つの突起部を設け、対物レンズを搭載、固定するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
【0028】
第1に、対物レンズの鍔部が載置されるレンズホルダーの周辺部に3つの突起部を設けることにより、3点の突起頂点で対物レンズを支持することができる。3つの突起部を、それぞれが周縁部の成形歪みを吸収する高さに設けることにより、レンズホルダーの周縁部に成型後の歪みや成形ばらつきがあっても、複数のレンズホルダー間において、対物レンズが均一(同じ位置、高さ(角度))に支持される。これにより、対物レンズのコマ収差の補正をするための回転調整時に、レンズホルダーの成形ばらつき又は成形歪みに起因する調整ばらつきを抑制できる。
【0029】
第2に、1つの突起部と取付孔の中心部とを通る線分で二分割した場合に、周縁部の2つの半円弧のそれぞれに2つの突起部が配置されるようにすることで、3つの突起部で対物レンズを安定して支持することができる。
【0030】
第3に、3つの突起部を等間隔で離間して配置することにより、3つの突起部で対物レンズを支持する場合の安定性が向上する。
【0031】
第4に、3つの突起部は、それぞれの突起頂点を含む一の平面が所定の角度で傾斜する高さになるように、突起部を設けることで、対物レンズをレーザー光の光軸に対して予め所定の傾斜角度で配置できる。対物レンズは、対応する光ディスクの規格(BD用、DVD用、CD用)によって、最大コマ収差発生量がほぼ特定されている。したがって、最大コマ収差発生量に対応する角度の2分の1の角度の傾斜を設けることにより、最大コマ収差発生量を低減したことと同様の効果が得られる。
【0032】
第5に、例えば、BD用対物レンズとDVD/CD用対物レンズを1つのレンズホルダーに搭載する場合において、2つの対物レンズの鍔部がそれぞれ載置される2つの周縁部についてそれぞれ、3つの突起部を設けることにより、周縁部の成形ばらつきが生じていても、複数のレンズホルダー間で2つの対物レンズを均一(同じ位置、高さ(角度))に支持することができる。
【0033】
第6に、1つのレンズホルダーに2つの対物レンズを載置する場合、それぞれの対物レンズの周縁部において、3つの突起部の突起頂点を含む平面が所定の角度で傾斜するよう、突起部を設けることにより、対物レンズをレーザー光の光軸に対して所定の角度で傾斜させてレンズホルダーに載置できる。
【0034】
2つの対物レンズを1つのレンズホルダーに載置する場合は、それぞれの対物レンズのコマ収差に加えて、2つの対物レンズの相対的なコマ収差が発生する。一般的にこの調整は煩雑であるが、対物レンズの取り付け部(周縁部)に成形歪みや成形ばらつきがあると、相対コマ収差量のばらつきも大きくなり、更に調整が複雑となる。
【0035】
しかし本実施形態では、それぞれ3つの突起部で対物レンズを安定して支持できる上、予め2つの対物レンズを、予め所定の角度、すなわち、それぞれ最大コマ収差発生量に対応する角度の2分の1の角度で傾斜させることにより、相対的な最大コマ収差発生量を低減したことと同様の効果が得られる。そのため作業工数や、調整ばらつきを低減できる。
【0036】
第7に、上記のレンズホルダーを採用することで、安価で性能バラツキの少ない、光ピックアップ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態の光ピックアップ装置を説明する概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の光ピックアップ装置を説明する概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のアクチュエータおよびレンズホルダーを示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の対物レンズを示す(A)平面図、(B)断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のレンズホルダーを示す(A)平面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の対物レンズおよびレンズホルダーを示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の対物レンズおよびレンズホルダーを示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の光ピックアップ装置を説明する概略図である。
【図9】本発明の第3の実施形態のアクチュエータおよびレンズホルダーを示す平面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態のレンズホルダーを示す(A)平面図、(B)断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の対物レンズおよびレンズホルダーを示す断面図である。
【図12】従来技術を説明するための(A)平面図、(B)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施の形態を図1から図11を用いて詳細に説明する。
【0039】
図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態の光ピックアップ装置の光学系の概略を説明する。図1は、本実施形態の光ピックアップ装置50の光学系を示す概略図である。図2は光ディスクと光学系との関係を示す概略図であり、図1のa−a線断面図である。図2は、第1光ディスクD1に設けられている信号記録層R1の位置と対物レンズ31との位置関係、第2光ディスクD2に設けられている信号記録層R2の位置と対物レンズ31との位置関係、および第3光ディスクD3に設けられている信号記録層R3の位置と対物レンズ31との位置関係を示す。
【0040】
本実施形態では、一例として、Blu−ray Disk(以下BD)規格の光ディスク(第1光ディスクD1)、DVD規格の光ディスク(第2光ディスクD2)及びCD規格の光ディスク(第3光ディスクD3)に対応した1つの対物レンズ31を有する光ピックアップ装置について説明する。
【0041】
図1を参照して、光ピックアップ装置50は、第1レーザーダイオード1、第1回折格子2、第2レーザーダイオード3、第2回折格子4、偏光ビームスプリッタ5、ハーフミラー6、1/4波長板7、コリメータレンズ8、収差補正用モーター9、立ち上げミラー10、センサーレンズ12、光検出器13などがハウジング51内に設けられている。
【0042】
第1レーザーダイオード1は例えば波長が405nmの青紫色光である第1レーザー光(実線)を放射する。第1回折格子2は第1レーザーダイオード1から放射される第1レーザー光が入射され、レーザー光を0次光であるメインビーム、+1次光及び−1次光である2つのサブビームに分離する回折格子部(不図示)を有する。
【0043】
第1レーザーダイオード1から放射される第1レーザー光(実線)は偏光ビームスプリッタ5の制御膜5aに対してP偏光となるように設定される。この第1レーザー光の直線偏光方向の設定は、第1レーザーダイオード1を第1レーザー光の光軸を中心として回転させたり、あるいは1/2波長板を第1レーザーダイオード1と偏光ビームスプリッタ3との間に設けて1/2波長板により第1レーザーダイオード1から放射される第1レーザー光の直線偏光方向を変換させてもよい。
【0044】
第2レーザーダイオード3は、例えば650nmの赤色光である第2レーザー光(破線)及び、例えば780nmの赤外光である第3レーザー光(一点鎖線)の波長が異なる2つの波長のレーザー光を放射するレーザーダイオードである。第2回折格子4は第2レーザーダイオード3から放射される第2レーザーまたは第3レーザー光が入射され、入射されるレーザー光を0次光であるメインビーム、+1次光及び−1次光である2つのサブビームに分離する回折格子部(不図示)を有する。
【0045】
第2レーザーダイオード3から放射される第2レーザー光または第3レーザー光は偏光ビームスプリッタ5の制御膜5aに対してS偏光となるように設定される。この第2レーザー光または第3レーザー光の直線偏光方向の設定は、第2レーザーダイオード3を第2レーザー光または第3レーザー光の光軸を中心として回転させたり、あるいは1/2波長板を第2レーザーダイオード3と偏光ビームスプリッタ5との間に設けて1/2波長板により第2レーザーダイオード3から放射される第2レーザー光または第3レーザー光の直線偏光方向を変換させてもよい。
【0046】
偏光ビームスプリッタ5は第1回折格子2を透過した第1レーザー光及び第2回折格子4を透過した第2レーザー光または第3レーザー光が入射される位置に設けられ、S偏光光のレーザー光を反射し、P偏光光のレーザー光を透過させる制御膜5aが設けられている。
【0047】
ハーフミラー6は偏光ビームスプリッタ5にて透過された第1レーザー光を略50%反射させ、略50%透過させる。偏光ビームスプリッタ5を反射した第2レーザー光または第3レーザー光を略50%反射させ、略50%透過させる。
【0048】
1/4波長板7は、ハーフミラー6にて反射された3つのレーザー光が入射される位置に設けられ、入射されるレーザー光を直線偏光光から円偏光光に、また反対に円偏光光から直線偏光光に変換する作用を成すものである。コリメートレンズ8は1/4波長板7を透過したレーザー光が入射されるとともに入射されるレーザー光を平行光に変換し、収差補正用モーター9によって光軸方向、即ち矢印A及びB方向へ変位せしめられるように構成されている。コリメートレンズ8の光軸方向への変位動作によって光ディスクDの保護層の厚さに基づいて生じる球面収差を補正するように構成されている。
【0049】
立ち上げミラー10はコリメートレンズ8にて平行光に変換された3つのレーザー光が入射される位置に設けられており、入射されるレーザー光を対物レンズ31の方向に反射させるように構成されている。
【0050】
レーザー光は、対物レンズ31の集光動作によって光ディスクDの信号記録層に集光スポットとして照射され、信号記録層にて戻り光として反射される。
【0051】
戻り光は、対物レンズ31、立ち上げミラー10、コリメートレンズ8及び1/4波長板7を通してハーフミラー6に入射される。このようにしてハーフミラー6に入射される戻り光は、ハーフミラー6にて略50%反射され、略50%制御用レーザー光としてハーフミラー6を透過することになる。
【0052】
センサーレンズ12はハーフミラー6を透過した制御用レーザー光が入射され、PD(Photo Diode)ICと呼ばれる光検出器13に設けられている受光部に制御用レーザー光に非点収差を付加させて照射する作用を成すものである。光検出器13には、周知の4分割センサー等が設けられており、メインビームの照射動作によって光ディスクDの信号記録層に記録されている信号の読み取り動作に伴う信号生成動作及び非点収差法によるフォーカシング制御動作を行うためのフォーカスエラー信号生成動作、そして2つのサブビームの照射動作によってトラッキング制御動作を行うためのトラッキングエラー信号生成動作を行うように構成されている。斯かる各種の信号生成のための制御動作は、周知であるので、その説明は省略する。
【0053】
図2を参照して、光ディスクDは、1つの光ディスクDとして示しているが、第1光ディスクD1、第2光ディスクD2、第3光ディスクD3の総称であり、実際には信号の読み出し動作や記録動作の対象となる第1光ディスクD1、第2光ディスクD2、第3光ディスクD3のいずれかが配置される。第1光ディスクD1は、光ディスクの表面から信号記録層R1までの距離が短く、第3光ディスクD3は光ディスクの表面から信号記録層R3までの距離が長く、第2光ディスクD2は、光ディスクの表面から信号記録層R2までの距離が第1光ディスクD1より長く第3光ディスクD3より短い。
【0054】
斯かる構成において、第1レーザーダイオード1から放射された第1レーザー光は、第1回折格子2、偏光ビームスプリッタ5、ハーフミラー6、1/4波長板7、コリメートレンズ8、立ち上げミラー10を介して(図1参照)、アクチュエータ30およびレンズホルダー20により支持される対物レンズ31に入射される。第1レーザー光は、対物レンズ31の集光動作によって第1光ディスクD1に設けられている信号記録層R1に集光スポットとして照射され、信号記録層R1に照射された第1レーザー光は信号記録層R1にて戻り光として反射される。
【0055】
また、第2レーザーダイオード3から放射された第2レーザー光または第3レーザー光は、第2回折格子4、偏光ビームスプリッタ5、ハーフミラー6、1/4波長板7、コリメートレンズ8、立ち上げミラー10を介して(図1参照)、対物レンズ31に入射された後、アクチュエータ30およびレンズホルダー20により支持される対物レンズ31に入射される。第2レーザー光または第3レーザー光は、対物レンズ31の集光動作によって第2光ディスクD2に設けられている信号記録層R2または第3光ディスクD3に設けられている信号記録層R3に集光スポットとして照射され、信号記録層R2、R3に照射された第2レーザー光または第3レーザー光は信号記録層R2、R3にて戻り光として反射される。
【0056】
図3は、レンズホルダー20を支持するアクチュエータ30の一例を示す図である。
【0057】
レンズホルダー20は例えば4本の支持ワイヤー52によって支持されており、アクチュエータ30は、光ディスクの信号記録層に対して垂直方向であるフォーカス方向及び光ディスクの径方向へレンズホルダーを変位を可能に支持する。
【0058】
ここで、光ディスクの径方向とは、光ディスク上に配置されたアクチュエータ30を基準とし、光ディスクの中心C0と外周を結ぶ、アクチュエータ30下方の一の半径線の延在方向であり、図3における矢印C及びD方向(ラジアル方向)をいう。また、径方向と直角になる方向(矢印E及びF方向)を接線方向(タンデンシャル方向)とする。
【0059】
レンズホルダー20の側壁には、支持ワイヤー52からフォーカス駆動信号が供給されるフォーカスコイル(不図示)が設けられ、光ピックアップ装置本体に固定されているマグネット(不図示)との協働によってレンズホルダー20がフォーカス方向へ変位される。また、レンズホルダー20にはレンズホルダー20を径方向へ変位させるトラッキングコイル(不図示)が設けられている。
【0060】
図4は、対物レンズ31を示す図であり、図4(A)が平面図、図4(B)が図4(A)のc−c線断面図である。図5は、第1の実施形態のレンズホルダー20を示す図であり、図5(A)が平面図、図5(B)が図5(A)のd−d線断面図、図5(C)(D)が図5(A)のe−e線断面図である。
【0061】
図4を参照して、対物レンズ31は、例えばBD規格、DVD規格およびCD規格の光ディスクの信号の再生動作を行うレーザー光を1つの対物レンズ31にて光ディスクの信号記録層に集光させる対物レンズ(BD/DVD/CD互換の対物レンズ(開口数NA=0.85))であり、集光レンズ部31aと、該集光レンズ部31aの外側を囲む環状の鍔部31bを有する。
【0062】
図5を参照して、レンズホルダー20は樹脂成形加工により成形され、取付孔21と、周縁部22と、3つの突起部231、232、233を有する。
【0063】
取付孔21は、例えば円形であり、対物レンズ31の集光レンズ部31aが挿入される。周縁部(取付部)22は、取付孔21を囲んでその外周に設けられた例えば環状の領域であり、対物レンズ31の鍔部31bと略重畳する形状を有する。
【0064】
突起部231、232、233は、周縁部22の主面Sfに互いに離間して3つ設けられ、周縁部22の主面Sfより突出した領域である。周縁部22の主面Sfは、レンズホルダー20の設計上は平坦な環状の領域であるが、実際にはレンズホルダー20の成形歪みや成形ばらつきにより、その主面Sfは若干の歪みが生じている。
【0065】
本実施形態の突起部231、232、233は、一般的なレンズホルダー20の成形歪み及び成形ばらつきによって生じる支持部PRの高低差H(一例として、0.7μm(角度差約0.1度))より高くなるように、周縁部22の樹脂を選択的に突出させて形成する。
【0066】
具体的には、周縁部22に3つの突起部231、232、233が形成されるように、レンズホルダー20の樹脂成形金型の周縁部の3箇所を選択的に例えば放電加工し、当該樹脂成形金型を用いてレンズホルダー20を成形する。
【0067】
突起部231、232、233は例えば図5(C)の如く断面形状においてそれぞれ高さh1、h2、h3の三角柱状に設けられる。この高さh1、h2、h3は、成形歪みおよび成形ばらつきによる支持部PRの高低差Hを吸収できる高さであり、一例として10μm〜50μmである。またこの場合、三角柱の頂点を突起頂点23tと称する。
【0068】
レンズホルダー20の成形樹脂や充填密度によって、成形歪み(歪みの位置、方向、高低差)はレンズホルダー20の全体としては同様に生じる傾向がある。そこで、レンズホルダー20の成形樹脂や充填密度に応じて、歪みの傾向を把握し、歪みの高低差(支持部PRの高低差H)を吸収できるように、突起部231、232、233の高さh1、h2、h3をそれぞれ選択する。
【0069】
これにより、複数のレンズホルダー20間で支持部PRの位置や高さがばらついた場合であっても、対物レンズ31を均一な位置及び高さに支持することができる。
【0070】
また、突起部231(突起部232、233も同様)の形状は、図5(D)の如く、断面形状において台形状に設けられてもよく、この場合台形の上辺部を突起頂点23tとする。
【0071】
1つの突起部231は、例えば、取付孔21の中心Cを通るレンズホルダー20の基準線Eの上に設けられる。基準線Eとは、対物レンズ31を搭載する際に基準となる線であり、ここでは対物レンズ31のコマ収差を補正する場合に、コマ収差の発生方向を一の方向に揃えるための基準となる線をいう。基準線Eは一例として、その延在方向に光ディスクの中心C0が位置し、光ディスクの径方向と一致する(図3参照)。
【0072】
図5(A)を参照して、環状の周縁部22は、平面視において、1つの突起部231と取付孔21の中心(点C)を通る線分(すなわち基準線E)で二分割され、周縁部22の一の半円弧上に他の突起部232が配置され、他の半円弧上に残りの突起部233が配置される。
【0073】
好適には、突起部231、232、233は等間隔で離間して配置される。すなわち、突起部231、232、233は平面視において、点Cを中心として互いに隣り合う120度の方向に位置するように配置される。
【0074】
この場合、突起部の1つ(突起部231)を、基準線E上に設けることにより、レンズホルダー20を指示するアクチュエータ(図3)の径方向のチルト調整マージンが広がり、光ディスクの再生マージンを広げることができる。
【0075】
図6を参照して、図5のレンズホルダー20に、対物レンズ31を搭載した場合について説明する。図6(A)は、図5(A)のf−f線断面における取付孔21部分の断面図であり、図6(B)は、図5(A)のd−d線断面における取付孔21部分の断面図である。
【0076】
3つの突起部231、232、233はいずれも周縁部22の成形ばらつきや成形歪みによって生じる支持部PRの高低差よりその高さh1、h2、h3が高いので、これらの突起頂点23tによって対物レンズ31の鍔部31bが支持される。つまり、突起部231、232、233(の突起頂点23t)に、対物レンズ31の鍔部31bが当接し、3つの突起頂点23tを含む一の平面が対物レンズ31の搭載面(一点鎖線)となる。以下、3つの突起頂点23tを含む一の平面を、対物レンズ31の搭載の基準面ESと称する。
【0077】
突起部231、232、233の高さh1、h2、h3を、適宜選択することにより、対物レンズ31の搭載の基準面ESを周縁部22の設計上の主面Sf(レンズホルダー20の底面又は表面)に対して例えば水平とすることができる。つまり、レンズホルダー20に対して対物レンズ31が水平に配置されることとなる。
【0078】
複数のレンズホルダー20間において、それぞれの突起部231、232、233は平面視において環状の周縁部22の同じ位置に設けられ(図5(A))、その高さh1、h2、h3も等しく形成される。これにより、周縁部22の表面に成形歪みや成形ばらつきが生じていても、これを吸収し、複数のレンズホルダー20間において、対物レンズ31を均一な位置および高さ(角度)に、安定して支持することができる。つまり、対物レンズ31を搭載する基準面ESが各レンズホルダー20間で均一となる。
【0079】
対物レンズ31は、基準面ESがレーザー光の光軸に対して適切な角度になるように傾きの調整がされる。本実施形態では、複数のレンズホルダー20間において、基準面ESが均一になるように対物レンズ31を配置できるので、レンズホルダーの成形歪みや成形ばらつきに起因する対物レンズ31の調整ばらつきを抑制できる。
【0080】
尚、図5(D)の如く断面形状において台形状に突起部231、232、233を設ける場合には、突起頂点23tとなる上面(台形の上辺部で構成される面)の面積が大きいと、その面での成形ばらつきによる支持部PRが影響する場合が多くなるので、上面の面積(図5(D)における幅w1)はなるべく小さいほうがよい。また、底部の幅w2は、例えば高さh1、h2、h3と同等以上とする。
【0081】
図7を参照して、レンズホルダー20の第2の実施形態について説明する。図7は第2の実施形態を説明する断面図である。図7(A)が図5(A)のf−f線断面に相当する取付孔21部分の断面図であり、図7(B)が図7(A)の状態における図5(A)のd−d線断面に相当する取付孔21部分の断面図であり、いずれものレンズホルダー20に対物レンズ31を搭載した場合を示している。
【0082】
1つのレンズホルダー20内において、それぞれの突起頂点23tを含む一の平面(基準面ES)を、周縁部22の主面Sf(レンズホルダー20の主面)に対して所定の角度で傾斜させるような高さで、突起部231、232、233を設けてもよい。
【0083】
例えば図7(A)の如く、いずれも周縁部22の歪みを吸収する高さとした上で、1つの突起部231の高さh1を高く、突起部232の高さh2、突起部233の高さh3をいずれも同じ高さで且つ高さh1より低くなるように設ける。これにより、対物レンズ31は、レンズホルダー20の主面に対して傾斜する。そして、図7(B)の如く、レンズホルダー20の基準線Eの断面においては、突起部231が最も高く、突起部231から180度の位置にある周縁部22の点P(図5(A))が最も低くなるように傾斜の角度αで傾斜させることができる。
【0084】
つまり、突起部231、232、233と鍔部31bが当接する対物レンズ31は、基準線Eの断面形状において、基準面ESを、レーザー光の光軸に垂直な面(破線で示す面)に対して所定の角度αで傾斜させることができる。
【0085】
1つの対物レンズ31の搭載の基準面ESを、レーザー光の光軸に垂直な面に対して所定の角度αで傾斜させることにより、レーザー光の光軸に対して対物レンズ31の光軸を適切な範囲に収めることができる。
【0086】
対物レンズ31は、レーザー光の入射面と出射面の成形時のずれや、対物レンズ31の傾きによってコマ収差が発生する。つまりコマ収差は対物レンズを傾けて対物レンズの光軸をレーザー光の光軸から適切な範囲に収めることによって補正する事ができる。
【0087】
本実施形態ではレンズホルダー20の取付部である周縁部22が予め傾斜した構成であるため、対物レンズ31を搭載するだけで、個別の光ピックアップ装置、および個別の対物レンズのコマ収差補正の調整を大幅に低減できる。これにより、調整ばらつきや工数を削減でき、安価で実際上問題ない性能を持つ光ピックアップ装置を実現できる。
【0088】
具体的には、所定の角度αは、コマ収差量をある程度吸収できる角度とする。そして傾斜方向に対物レンズ31のコマ収差の発生方向が揃うように搭載し、固着する。ここで、傾斜方向とは、例えば図7(B)の矢印の如く、基準線Eの断面形状において突起部231(光ディスクの中心側)が最も高く、取付孔Cを中心とする点対称の位置にある周縁部22の点P(光ディスクの外周側)が最も低くなるように傾斜の角度αで傾斜する方向である。
【0089】
また、コマ収差量をある程度吸収できる角度として、傾斜角度αは対物レンズ31の最大コマ収差発生量に相当する角度の2分の1の角度とする。
【0090】
コマ収差量は、個々の対物レンズ31により異なる。しかし突起部231、232、233の高さによって決定される対物レンズ31の基準面ESの傾斜角度αを、予め、最大コマ収差発生量に相当する角度の2分の1の角度とすることにより、その程度は異なるが、搭載される全ての対物レンズ31のコマ発生量を大きく低減した事と同等の効果を得ることができる。
【0091】
一例として、BD/DVD/CD用規格の光ディスクに互換性を有する対物レンズ31の場合、傾斜の角度αは、当該対物レンズ31の最大コマ収差発生量に相当する角度(略0.5度)の2分の1の角度(0.25度)である。
【0092】
そして、対物レンズ31を搭載する際には、コマ収差の発生方向が傾斜方向に揃うように、対物レンズ31を回転して搭載する。
【0093】
本実施形態では、基準線Eが径方向に一致し、傾斜方向も径方向に一致している。このように傾斜方向を、光ディスクの径方向に一致させることにより、コマ収差の方向を光ディスクの径方向に揃えることができる。
【0094】
尚、ここでは1つの対物レンズ31でBD/DVD/CD規格の光ディスクに互換性を有する対物レンズ31について説明したが、BD用光ディスク、DVD用光ディスクにそれぞれ対応した対物レンズであっても同様に実施できる。
【0095】
例えば、BD用対物レンズの場合は、開口数NAが同じであるため、上記の実施例と同様であるが、DVD用対物レンズの場合は、傾斜の角度αが、DVD用対物レンズの最大コマ発生量に相当する角度(略0.3度)の2分の1の角度(0.15度)になるように、突起部231、232、233を設ける。
【0096】
次に、図8から図11を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図8は、本発明の第3の実施形態の光ピックアップ装置の光学系の概略を示す図である。
【0097】
1つのレンズホルダー20に搭載する対物レンズは、複数であってもよい。ここでは一例として、BD規格の光ディスク(第1光ディスク)、DVD規格の光ディスク(第2光ディスク)及びCD規格の光ディスク(第3光ディスク)に対応した光ピックアップ装置において、2つの対物レンズが1つのレンズホルダーに組み込まれる場合を説明する。例えば、第1対物レンズ31としてBD用対物レンズを用い、第2対物レンズ32として、DVD/CD用対物レンズを用いる。
【0098】
図8において、レーザーダイオード1は、第1波長、例えば405nmの青色光である第1レーザー光(実線)を放射する。第1レーザー光は、第1回折格子2を介して偏光ビームスプリッタ3に入射される。偏光ビームスプリッタ3はS偏光された第1レーザー光を反射し、P方向に偏光された第1レーザー光を透過させる。
【0099】
第1レーザー光は偏光ビームスプリッタ3の制御膜に対してS偏光となるように設定される。この第1レーザー光の直線偏光方向の設定は、レーザーダイオード1を第1レーザー光の光軸を中心として回転させたり、あるいは1/2波長板をレーザーダイオード1と偏光ビームスプリッタ3との間に設けて前記1/2波長板によりレーザーダイオード1から放射される第1レーザー光の直線偏光方向を変換させてもよい。
【0100】
第1コリメートレンズ4は、偏光ビームスプリッタ3から反射されたレーザー光が入射され、レーザー光を平行光にする作用を成すとともにBD規格の光ディスク(ここでは不図示)の保護層による球面収差を補正するために不図示のモータにより矢印A及びB方向への変位を可能に設けられている。
【0101】
第1立ち上げミラー5は第1レーザー光が入射されるとともに第1レーザー光を反射させる。第1の1/4波長板6は第1レーザー光を直線偏光光から円偏光光に変換する。第1の1/4波長板6で円偏光光に変換された第1レーザー光は、第1光ディスクD1に設けられている信号記録層R1に集束させるべく設けられている第1対物レンズ31へ入射される。
【0102】
第1対物レンズ31にて第1光ディスクD1の信号記録層R1に集束された第1レーザー光は信号記録層R1から戻り光として反射されて第1対物レンズ31に入射される。このようにして、第1対物レンズ31に入射された戻り光は、第1の1/4波長板6、第1立ち上げミラー5及び第1コリメートレンズ4を介して偏光ビームスプリッタ3に入射される。
【0103】
戻り光は、偏光ビームスプリッタ3(の制御膜)を透過し、第1センサーレンズ(アナモフィックレンズ)8に信号が入射される。
【0104】
第1光検出器9は第1センサーレンズ8を通過した戻り光が集光されて照射される位置に3つの各レーザー光に対してそれぞれ設けられ、フォトダイオードが配列された4分割センサー等にて構成されている。
【0105】
2波長レーザーダイオード10は第2波長、例えば650nmの赤色光である第2レーザー光(破線)及び第3波長、例えば780nmの赤外光である第3レーザー光(一点鎖線)の波長が異なる2つの波長のレーザー光を放射するレーザーダイオードである。
【0106】
第2レーザー光または第3レーザー光は、第2回折格子11を透過して、ビームスプリッタ(ハーフミラー)12に入射させる。ビームスプリッタ12は、第2レーザー光または第3レーザー光を反射および第2レーザー光または第3レーザー光を透過させる制御膜(不図示)が設けられている。尚、ビームスプリッタ12に換えて、偏光ビームスプリッタと1/2波長板を設けてもよい。
【0107】
第2レーザー光または第3レーザー光は、第2コリメートレンズ14で平行光に変換され、第2立ち上げミラー16に入射される。第2立ち上げミラー16は、第2レーザー光(破線)を第2光ディスクD2に設けられている信号記録層R2に集束させるとともに第3レーザー光(一点鎖線)を第3光ディスクD3に設けられている信号記録層R3に集束させるべく設けられている第2対物レンズ32方向へ反射させる。
【0108】
第2レーザー光または第3レーザー光は、第2の1/4波長板13で直線偏光光から円偏光光に変換される。
【0109】
第2対物レンズ32にて第2光ディスクD2の信号記録層R2または第3光ディスクD3の信号記録層R3に集束された第2レーザー光または第3レーザー光は信号記録層R2またはR3から戻り光として反射されて第2対物レンズ32に入射される。このようにして、第2対物レンズ32に入射された戻り光は、第2の1/4波長板13、第2立ち上げミラー16、第2コリメートレンズ14を介してビームスプリッタ12に入射される。
【0110】
ビームスプリッタ12(の制御膜)を透過した戻り光は、センサーレンズ18に入射され、第2光検出器19に集光されて照射される。
【0111】
図9は、第3の実施形態のレンズホルダー20を支持するアクチュエータ30を示す平面図である。
【0112】
アクチュエータ30の構成は、第1の実施形態に示すもの(図3)と略同様であるので、詳細な説明は省略するが、レンズホルダー20は、例えば、第1対物レンズ31用の第1取付孔21と第2対物レンズ32用の第2取付孔24の中心C1、C2を結ぶ直線が、光ディスクの径方向(C方向及びD方向)に一致するように、アクチュエータ30に支持される。ここでは、一例として第1取付孔21と第2取付孔24の中心C1、C2と光ディスクの中心C0が同一線上に位置する。
【0113】
図10は、レンズホルダー20を示す図であり、図10(A)が平面図であり、図10(B)が図10(A)のh−h線断面図である。また、図11は、レンズホルダー20に第1対物レンズ31および第2対物レンズ32を搭載した場合の、図10のh−h線断面図である。
【0114】
レンズホルダー20は、第1対物レンズ取付領域r1に、第1取付孔21と、第1周縁部22と、3つの第1突起部231、232、233が設けられ、第2対物レンズ取付領域r2に、第2取付孔24と、第2周縁部25と、3つの第2突起部261、262、263が設けられる。
【0115】
第1対物レンズ取付領域r1の構成は、第2の実施形態に記載の構成と同様であるのでその説明は省略する。
【0116】
第2対物レンズ取付領域r2の構成も第1取付領域r1の構成と略同様であるが、詳細は以下の通りである。
【0117】
第2取付孔24は、例えば円形であり、第2対物レンズ32の集光ンズ部32aが挿入される(図11参照)。第2周縁部25は、第2取付孔24を囲んでその外周に設けられた例えば環状の領域であり、第2対物レンズ32の鍔部32bと略重畳する。
【0118】
第2取付孔24と第1取付孔21の、それぞれその中心C1、C2を通る第1基準線E1、第2基準線E2は、ここでは一例として一致し、またこれらは光ディスクの径方向に一致する。第1基準線E1と第2基準線E2は、第1対物レンズ31、第2対物レンズ32のコマ収差を補正する場合に、コマ収差の発生方向を一の方向に揃えるための基準となる線である。
【0119】
第2突起部261、262、263は、第2周縁部25の主面Sfに互いに離間して3つ設けられ、第2周縁部25の主面Sfより突出した領域である。第2突起部261、262、263は、第2周縁部25の樹脂を選択的に突出させて(樹脂が突出する樹脂成形金型を用いて)形成する。第2突起部261、262、263は、一般的なレンズホルダー20の成形歪み及び成形ばらつきによって生じる程度の高低差(支持部PRの高低差H)より高くなるように、成形樹脂や充填密度などに応じてそれぞれの高さが適宜選択される。
【0120】
第2突起部261、262、263は例えば側面図において三角柱状または台形状に設けられる(図5(C)(D)参照)。
【0121】
1つの第2突起部261は、例えば、第2基準線E2の上に設けられる。環状の第2周縁部25は、1つの第2突起部261と第2取付孔24の中心C2を通る線分(すなわち第2基準線E2)で二分割され、第2周縁部25の一の半円弧上と、他の半円弧上に他の2つの第2突起部262、263がそれぞれ配置される。
【0122】
好適には、第2突起部261、262、263は互いに隣り合う120度の方向に等間隔で位置するように配置される。
【0123】
第1突起部231は、第1基準線E2の上に設けられ、第2突起部261は、レンズホルダー20の長辺に沿った同一線(第1基準線E1、第2基準線E2)上で第1突起部231と最も離間した位置に設けられる。レンズホルダー20は、短辺方向より長辺方向に歪みが生じやすい。そこで、長辺方向で最も離間した位置に、第1突起部231と、第2突起部261を設けることで、長辺方向の歪みが発生した場合であっても、安定して第1対物レンズ31と第2対物レンズ32を搭載することができる。
【0124】
図11を参照して、第1対物レンズ31は、第1および第2の実施形態の対物レンズと同様である。第2対物レンズ32は開口数NAが0.6であるが、外観は図4に示す対物レンズとほぼ同様であり、集光レンズ部32aと、鍔部32bを有する。
【0125】
第1対物レンズ31は、例えば、第1基準線E1の断面において、1つの第1突起部231(光ディスクの中心C0側)の高さh1が最も高く、第1突起部231から180度の位置にある点P1(光ディスクの外周側)が最も低くなる傾斜方向で、第1基準面ES1が第1の角度αで傾斜するように3つの第1突起部231、232、233が設けられる。
【0126】
第2周縁部25において、例えばいずれも歪みを吸収できる高さとした上で、1つの突起部261はその高さh4を低く、他の突起部262、突起部263はそれぞれの高さh5、h6をいずれも同じ高さで且つ高さh4より高くなるように、設けられる。
【0127】
これにより、第2対物レンズ32は、第2基準線E2の断面において、第2突起部236の高さh4が最も低く、第2突起部261から180度の位置にある点P2が最も低くなる傾斜方向で、第2の角度βで第2基準面ES2が傾斜する。
【0128】
第2突起部261、262、263の高さを適宜選択することにより、第2突起部261、262、263に鍔部32bが当接する第2対物レンズ32(の第2基準面E2)は、レーザー光の光軸に垂直な面(破線の面)対して所定の角度βで傾斜させることができる。この場合の傾斜方向は、第2基準線E2の断面形状において、第2突起部261(光ディスクの外周側)が最も低く、第2突起部261から180度の位置にある点P2(光ディスクの中心C0側)が最も高くなるように角度βで傾斜する方向(矢印の方向)となる。
【0129】
一例として、DVD/CD用規格の光ディスクに互換性を有する対物レンズ(第2対物レンズ32)の場合は、第2の角度βは、当該対物レンズの最大コマ収差発生量に相当する角度(略0.3度)の2分の1の角度(0.15度)である。
【0130】
第2対物レンズ32は、第2基準面ES2の傾斜方向に第2対物レンズ32のコマ収差の発生方向が揃うように搭載し、固着される。
【0131】
本実施形態では、第2基準線E2が径方向に一致し、傾斜方向も光ディスクの径方向に一致している。これにより、第1対物レンズ31と共にコマ収差の方向を光ディスクの径方向に揃えることができる。
【0132】
更に、複数のレンズホルダー20間において、それぞれの第2突起部261、262、263は平面視において環状の第2周縁部25の同じ位置に設けられる。高さh4、h5、h6も第2基準面ES2が第2の角度βで傾斜するように、設けられる。
【0133】
これにより、第2周縁部25の表面に成形歪みや成形ばらつきで高低差が生じていても、複数のレンズホルダー20間において、第2対物レンズ32を均一な位置および高さ(第2の角度βで傾斜する高さ)で、安定して支持することができる。つまり、第2対物レンズ32を搭載する第2基準面ES2が各レンズホルダー20間で均一となるので、レンズホルダーの成形歪みや成形ばらつきに起因する、第2対物レンズ32の調整ばらつきを低減できる。
【0134】
BD用対物レンズ及びDVD/CD用対物レンズを1つのレンズホルダー20に搭載する場合、2つの対物レンズをそれぞれ最適な状態にて支持するためにレンズホルダー20を支持するワイヤーに対する姿勢調整動作が行われる。このとき、一方の対物レンズによって姿勢調整動作を行うと他方の対物レンズの姿勢が最良にならないでジッター値が悪化するという問題が発生する。この原因は対物レンズの傾きに伴って発生するコマ収差にあることが確認されている。
【0135】
前述したコマ収差は、信号記録層の上面に設けられている保護層の厚さが厚くなるに従って大きくなり、対物レンズの開口数が大きくなるに従って大きくなり、またレーザー光の波長が短くなるに従って大きくなる特性がある。従って、前述した各種の光ディスクの規格の中の対物レンズでは、BD用対物レンズのコマ収差が最も大きくなることになる。
【0136】
つまり、BD用対物レンズ及びDVD/CD用対物レンズを1つのレンズホルダー20に搭載すると、2つの対物レンズのコマ収差が異なるため、相対的なコマ収差が大きくなる問題がある。
【0137】
例えば、開口数NA=0.85の第1対物レンズ31(BD用対物レンズ)とNA=0.65以下の第2対物レンズ32(DVD/CD用対物レンズ)を一つのレンズホルダー20に搭載する場合、前者のコマの成形ばらつきは略±0.05λ、後者は±0.03λが一般的な発生量である。従って2つの対物レンズの相対コマ量は±0.08λとなる。
【0138】
コマは対物レンズを傾けることにより補正する事ができ、例えば0.01λのコマの補正は略0.1度の傾斜で吸収することができる。この場合、夫々の固定ばらつきを±0.2度とすると最大の相対コマ量は1.2度になり、一つのレンズホルダー20に2つの対物レンズを搭載して同時にコマ収差を補正すると、性能破綻を招く。
【0139】
そこで従来では、2つの対物レンズのコマ収差をそれぞれ確認し、コマ収差の発生方向の調整と、コマ収差を打ち消すために対物レンズを傾ける調整を個別に行っている。
【0140】
具体的には、対物レンズの鍔部が搭載される周縁部に曲率を設けたレンズホルダーを用いて一方のレンズ(例えばDVD用対物レンズ)を搭載してコマ収差の角度と方向をそれぞれ調整して固着するか、あるいはレンズが浮いた状態で搭載されるレンズホルダーを用いて、一方のレンズを搭載してコマ収差の角度と方向をそれぞれ調整して空中接着し、他方のレンズ(例えばBD用レンズ)はコマ収差の方向をそれぞれ調整して固着した上で、レンズホルダーが搭載されるアクチュエータをBD用レンズのコマ収差の角度を打ち消すように傾けて、2つの対物レンズのコマ収差を補正している。
【0141】
更に上記の調整は個々の光ピックアップ装置について行わなければならず、2つの対物レンズのコマ収差の調整が大変煩雑で調整ばらつきや工数が増大するなどの問題があった。
【0142】
本実施形態では、図11の如く、第1対物レンズ31の第1基準面ES1をレーザーの光軸に垂直な面に対して第1の角度αで傾斜させ、第2対物レンズ32の第2基準面ES2を、レーザーの光軸に垂直な面対して第2の角度βで傾斜させる。これにより、両対物レンズの光軸をレーザー光の光軸に対して適切な範囲に収めることができ、両対物レンズの最大コマ収差発生量を低減し、相対コマ量も小さくすることができる。
【0143】
第1の角度αは、第1対物レンズ31(BD用対物レンズ)の最大コマ収差発生量(例えば±0.05λ)に対応する補正角度(略0.5度)の2分の1であり、例えば第1レーザー光の光軸に垂直な面から0.25度である。
【0144】
第2の角度βは、第2対物レンズ32(CD/DVD用対物レンズ)の最大コマ収差発生量(例えば±0.03λ)に対応する補正角度(略0.3度)の2分の1であり、例えば第2レーザー光の光軸に垂直な面から0.15度である。
【0145】
これにより、第1対物レンズ31と第2対物レンズ32の最大の相対コマ量を低減できるので、コマの成形ばらつきを補正でき、対物レンズのコマ発生量を大きく低減した事と同等の効果を得ることができる。
【0146】
尚、第1対物レンズ31は、第1基準線Eの上に第1のコマ収差の発生方向が揃うように、すなわち、第1基準面ES1の傾斜方向にコマ収差の発生方向が揃うように、固定される。また、第2対物レンズ32は第2基準線E2の上に第2のコマ収差の発生方向が揃うように、すなわち、第2基準面ES2の傾斜方向にコマ収差の発生方向が揃うように、固定される。
【0147】
これにより、第1対物レンズ31のコマ収差の発生方向と第2対物レンズ32のコマ収差の発生方向とが光ディスクの径方向に揃うように、レンズホルダー20上に固定される。
【0148】
尚、上記の実施形態では、例えば(第1)対物レンズ31の基準面が所定の角度αで傾斜するように、(第1)突起部231の高さh1を他の(第1)突起部232、233の高さh2、h3より高く設ける場合を例に説明した。
【0149】
しかしこれに限らず、突起部231、232、233の高さを、当初は対物レンズ31の基準面ESが水平になるような高さに形成しておき、対物レンズ31を搭載した後、突起部231、232、233に例えば超音波振動などの外部エネルギーを与えながら対物レンズ所定の角度αになるように押し込み、対物レンズ31が傾斜して支持されるように突起部231、232、233を設けてもよい。第2対物レンズ32用の第2の突起部261、262、263についても同様である。
【0150】
また、上記の実施形態ではコマ収差の発生方向を揃える基準線E(第1基準線E1、第2基準線E2)を光ディスクの径方向としたが、これに限らず、光ディスクの接線方向や、接線方向から45度の方向に基準線を設けてもよい。
【0151】
更に、第3の実施形態において、第2取付孔24と第1取付孔21は、その中心を通る直線が例えば光ディスク接線方向に沿う(平行となる)ように、配置されてもよい。この場合は、基準線E(第1基準線E1、第2基準線E2)は接線方向に設けるとよい。
【符号の説明】
【0152】
20 レンズホルダー
21 (第1)取付孔
22 (第1)周縁部
231、232、233 (第1)突起部
24 第2取付孔
25 第2周縁部
261、262、263 第2突起部
30 アクチュエータ
31 (第1)対物レンズ
32 第2対物レンズ
50 光ピックアップ装置
52 支持ワイヤー
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されている信号の読み出し動作や光ディスクに信号の記録動作を行う対物レンズを支持するレンズホルダー、およびこれを用いた光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置から照射されるレーザー光を光ディスクの信号記録層に照射することによって信号の読み出し動作や信号の記録動作を行うことができる光ディスク装置として、CD(Compact Disc)規格やDVD規格(Digital Versatile Disc)と呼ばれる光ディスクを使用するものが一般に普及している。また、最近では記録密度を向上させた光ディスク、即ちBlu−ray Disc(以下BD)規格やHD DVD(High Density Digital Versatile Disk)規格の光ディスクを使用するものが開発されている。
【0003】
CD規格、DVD規格、BD規格、HD DVD規格の光ディスクの信号記録層はそれぞれ異なる位置に設けられている。従って、各信号記録層から信号の読み出し動作や、各信号記録層への信号の記録動作を行うため、それぞれの光ディスクにレーザー光を集光する対物レンズはそれぞれの規格に対応した開口率NAを有するように作製される。
【0004】
光ディスク装置の高密度化に伴いそれに対応した対物レンズの作製難度は高くなり、特に、対物レンズのレーザー光の入射面と出射面がずれたときに発生するコマ収差は開口率NAと対応して増大し、すなわちBD用対物レンズが最も大きくなる。
【0005】
コマ収差は、対物レンズの作製で調整するかあるいは、光ピックアップ装置に組み込んだ後、光ピックアップ装置としての許容範囲に収めるように適宜補正しているが、例えばBD用対物レンズにおいては、光ピックアップ装置として許容できる程度にコマ収差の小さい対物レンズの作製は現状では困難である。
【0006】
また、1つの対物レンズにて全ての規格の光ディスクに互換性を有するBD/DVD/CD互換の対物レンズが開発されているが、これも、開口率NAは0.85であるため、同様の問題があり、互換のためにレンズ形状が複雑であるため更に製造難度が高くコマ収差も大きい問題がある。
【0007】
そこで、光ピックアップ装置としてコマ収差を補正して使いこなす事が必須となっている。具体的には、個々の対物レンズのコマ収差の量と方向を測定し、コマ収差を打ち消す角度と方向に対物レンズを傾ける調整を行いレンズホルダーに取り付ける必要がある。
【0008】
一方、CD規格及びDVD規格の光ディスクと、BD規格やHD DVD規格の光ディスクに互換性を有する光ディスク装置も知られている(例えば特許文献2参照。)。この場合は例えばCD規格及びDVD規格の光ディスクにレーザー光を照射する対物レンズと、例えばBlu−ray Disc規格の光ディスクにレーザー光を照射する対物レンズの2つの対物レンズを1つのレンズホルダーに搭載している(例えば特許文献1、特許文献2参照。)。
【0009】
このように、2つの対物レンズを1つのレンズホルダーに搭載する光ピックアップ装置では、2つの対物レンズの相対的なコマ収差も発生し、BD用対物レンズを用いることで相対的なコマ収差も大きくなる。従って、対物レンズの取付時に、個々の対物レンズの調整に加えて、相対的なコマ収差を補正するための調整が一般的に行われている(例えば特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−4920号公報
【特許文献2】特開2007−73173号公報
【特許文献3】特開2007−287311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図12は、従来の対物レンズ321とレンズホルダー120を説明するための図であり、図12(A)が平面図、図12(B)が図12(A)のj−j線断面図である。
【0012】
対物レンズ321は、集光レンズ部321aがレンズホルダー120の取付孔121に挿入される。そして集光レンズ部321aの周縁の鍔部321bが、取付孔121を囲むレンズホルダー120の周縁部(取付部)125と当接するように、つまり環状の鍔部321bと周縁部125とが平面で接するように、搭載される。
【0013】
そして、例えばオートコリメータなどで確認しながら、対物レンズ321を最適な角度に傾けて調整する。具体的には、個々の対物レンズのコマ収差の量と方向を測定し、コマ収差を打ち消す角度と方向に対物レンズを傾ける調整を行いレンズホルダーに取り付ける。例えば、1つのレンズホルダー120に対して対物レンズ321が1つの場合は、アクチュエータのチルト調整機能で調整する。また、1つのレンズホルダー120に対して対物レンズ32が2つの場合は、1つ目の対物レンズ321を固定した後、その対物レンズ321との相対コマ量が小さくなるように2つ目の対物レンズ321の調整を行い、固定する。
【0014】
しかしレンズホルダー120は樹脂成形品であるため、充填密度などによって、レンズホルダー120の例えば全体として長軸方向に若干の成形歪みや成形ばらつきが生ずる。つまり、対物レンズ321が搭載される周縁部125の主面Sfも、そのレンズホルダー120または周縁部125の成形歪みやそのばらつきにより、実際には若干の歪みやそのばらつき生じている。
【0015】
周縁部125に歪みが生じた場合、図12(B)の断面構造において、基準面(水平面)ES’より盛り上がって高くなる部分(図12(A)の×印)と、低くなる部分が生じる。そして、周縁部125に対物レンズ321の鍔部321bを当接させた場合でも、周縁部125と鍔部321bに非接触の領域が発生する場合がある。つまり、鍔部321bは、周縁部125の高い部分(盛上部)のうち、最も高い3つの支持部PRによって支えられる。
【0016】
レンズホルダ120の成形樹脂や充填密度が同じ場合、成形上の歪みの傾向(例えば捩れる方向、傾く方向など)は、全体としては同様に生じるものの、このような成形上の歪みは位置や、高さにおいて正確な精度で管理できるものではないため、所望の位置および高さ(角度)で対物レンズ321をレンズホルダー120に設置できないこととなる。
【0017】
尚、図12(B)及び以下の断面図において、支持部PRは概略的に示している。つまり支持部PRは、本実施形態の断面図において図示可能な幅の狭い凸状(盛上部)として示している。しかし実際は、レンズホルダー120全体の歪みによって環状の周縁部22も全体として緩やかに高さが変位しているものであり、そのうち最も高い3点が支持部PRとなる。
【0018】
対物レンズ321は、直径が例えば4mmと小さいため、周縁部125の成形歪みや成形ばらつきの影響を受け易く、支持部PRによって対物レンズ321の両端で、例えば7μmの高低差が生じた場合、対物レンズ321はおよそ0.1度の角度ずれが生じてしまう。
【0019】
対物レンズ321の取付時には、作業者が個々に角度調整を行っており、対物レンズ321毎のコマ収差の発生ばらつきや作業者の熟練度などによる調整のばらつきが問題となる。そしてこれにレンズホルダーの成形ばらつきの要因が加わると、調整ばらつきは更に大きくなり、性能劣化や調整作業の複雑化によって工数が増大する問題があった。
【0020】
このことは、1つのレンズホルダーに2つの対物レンズを搭載する場合においても、個々の対物レンズの調整ばらつきや、相対コマ収差の補正のばらつきに影響を及ぼす問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、係る課題に鑑みてなされ、第1に光ディスクの信号記録層にレーザー光を集光する対物レンズを支持するレンズホルダーであって、前記対物レンズの集光レンズ部が挿入される取付孔と、該取付孔を囲む周縁部と、該周縁部に互いに離間して該周縁部の主面より突出して設けられ、前記対物レンズの鍔部に当接して該鍔部を支持する3つの突起部と、を具備することにより解決するものである。
【0022】
第2に、上記のレンズホルダーに、他の対物レンズの集光レンズ部が挿入される他の取付孔と、該他の取付孔を囲む他の周縁部と、該他の周縁部に互いに離間して該他の周縁部の主面より突出して設けられ、前記他の対物レンズの鍔部に当接して該鍔部を支持する3つの他の突起部を有することにより解決するものである。
【0023】
第3に、光ピックアップ装置において、支持ワイヤーにて光ディスクの信号記録層に対して垂直方向への変位動作及び光ディスクの径方向への変位動作を可能に支持され、且つフォーカスコイルが設けられている上記のレンズホルダーと、該レンズホルダーの前記取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された対物レンズと、を具備することにより解決するものである。
【0024】
第4に、光ピックアップ装置において、支持ワイヤーにて光ディスクの信号記録層に対して垂直方向への変位動作及び光ディスクの径方向への変位動作を可能に支持され、且つフォーカスコイルが設けられている上記のレンズホルダーと、該レンズホルダーの前記取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された一の対物レンズと、前記レンズホルダーの前記他の取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記他の突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された他の対物レンズと、を具備することにより解決するものである。
【0025】
本発明は、レンズホルダーの周縁部に設けた3つの突起部によって対物レンズの鍔部を当接して支持し、複数のレンズホルダー間において対物レンズを同じ位置で支持するものである。また、3つの突起部によって対物レンズを支持し、複数のレンズホルダー間において対物レンズ(の基準面)をレーザー光の光軸に対して所定の角度で支持するものである。
【0026】
更に、2つの対物レンズを1つのレンズホルダーに搭載する場合に、2つの周縁部に搭載する対物レンズ(の基準面)が、それらの相対コマ収差量を低減する角度でそれぞれ傾斜するように3つの突起部を設け、対物レンズを搭載、固定するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
【0028】
第1に、対物レンズの鍔部が載置されるレンズホルダーの周辺部に3つの突起部を設けることにより、3点の突起頂点で対物レンズを支持することができる。3つの突起部を、それぞれが周縁部の成形歪みを吸収する高さに設けることにより、レンズホルダーの周縁部に成型後の歪みや成形ばらつきがあっても、複数のレンズホルダー間において、対物レンズが均一(同じ位置、高さ(角度))に支持される。これにより、対物レンズのコマ収差の補正をするための回転調整時に、レンズホルダーの成形ばらつき又は成形歪みに起因する調整ばらつきを抑制できる。
【0029】
第2に、1つの突起部と取付孔の中心部とを通る線分で二分割した場合に、周縁部の2つの半円弧のそれぞれに2つの突起部が配置されるようにすることで、3つの突起部で対物レンズを安定して支持することができる。
【0030】
第3に、3つの突起部を等間隔で離間して配置することにより、3つの突起部で対物レンズを支持する場合の安定性が向上する。
【0031】
第4に、3つの突起部は、それぞれの突起頂点を含む一の平面が所定の角度で傾斜する高さになるように、突起部を設けることで、対物レンズをレーザー光の光軸に対して予め所定の傾斜角度で配置できる。対物レンズは、対応する光ディスクの規格(BD用、DVD用、CD用)によって、最大コマ収差発生量がほぼ特定されている。したがって、最大コマ収差発生量に対応する角度の2分の1の角度の傾斜を設けることにより、最大コマ収差発生量を低減したことと同様の効果が得られる。
【0032】
第5に、例えば、BD用対物レンズとDVD/CD用対物レンズを1つのレンズホルダーに搭載する場合において、2つの対物レンズの鍔部がそれぞれ載置される2つの周縁部についてそれぞれ、3つの突起部を設けることにより、周縁部の成形ばらつきが生じていても、複数のレンズホルダー間で2つの対物レンズを均一(同じ位置、高さ(角度))に支持することができる。
【0033】
第6に、1つのレンズホルダーに2つの対物レンズを載置する場合、それぞれの対物レンズの周縁部において、3つの突起部の突起頂点を含む平面が所定の角度で傾斜するよう、突起部を設けることにより、対物レンズをレーザー光の光軸に対して所定の角度で傾斜させてレンズホルダーに載置できる。
【0034】
2つの対物レンズを1つのレンズホルダーに載置する場合は、それぞれの対物レンズのコマ収差に加えて、2つの対物レンズの相対的なコマ収差が発生する。一般的にこの調整は煩雑であるが、対物レンズの取り付け部(周縁部)に成形歪みや成形ばらつきがあると、相対コマ収差量のばらつきも大きくなり、更に調整が複雑となる。
【0035】
しかし本実施形態では、それぞれ3つの突起部で対物レンズを安定して支持できる上、予め2つの対物レンズを、予め所定の角度、すなわち、それぞれ最大コマ収差発生量に対応する角度の2分の1の角度で傾斜させることにより、相対的な最大コマ収差発生量を低減したことと同様の効果が得られる。そのため作業工数や、調整ばらつきを低減できる。
【0036】
第7に、上記のレンズホルダーを採用することで、安価で性能バラツキの少ない、光ピックアップ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態の光ピックアップ装置を説明する概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の光ピックアップ装置を説明する概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のアクチュエータおよびレンズホルダーを示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の対物レンズを示す(A)平面図、(B)断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のレンズホルダーを示す(A)平面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の対物レンズおよびレンズホルダーを示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の対物レンズおよびレンズホルダーを示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態の光ピックアップ装置を説明する概略図である。
【図9】本発明の第3の実施形態のアクチュエータおよびレンズホルダーを示す平面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態のレンズホルダーを示す(A)平面図、(B)断面図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の対物レンズおよびレンズホルダーを示す断面図である。
【図12】従来技術を説明するための(A)平面図、(B)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施の形態を図1から図11を用いて詳細に説明する。
【0039】
図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態の光ピックアップ装置の光学系の概略を説明する。図1は、本実施形態の光ピックアップ装置50の光学系を示す概略図である。図2は光ディスクと光学系との関係を示す概略図であり、図1のa−a線断面図である。図2は、第1光ディスクD1に設けられている信号記録層R1の位置と対物レンズ31との位置関係、第2光ディスクD2に設けられている信号記録層R2の位置と対物レンズ31との位置関係、および第3光ディスクD3に設けられている信号記録層R3の位置と対物レンズ31との位置関係を示す。
【0040】
本実施形態では、一例として、Blu−ray Disk(以下BD)規格の光ディスク(第1光ディスクD1)、DVD規格の光ディスク(第2光ディスクD2)及びCD規格の光ディスク(第3光ディスクD3)に対応した1つの対物レンズ31を有する光ピックアップ装置について説明する。
【0041】
図1を参照して、光ピックアップ装置50は、第1レーザーダイオード1、第1回折格子2、第2レーザーダイオード3、第2回折格子4、偏光ビームスプリッタ5、ハーフミラー6、1/4波長板7、コリメータレンズ8、収差補正用モーター9、立ち上げミラー10、センサーレンズ12、光検出器13などがハウジング51内に設けられている。
【0042】
第1レーザーダイオード1は例えば波長が405nmの青紫色光である第1レーザー光(実線)を放射する。第1回折格子2は第1レーザーダイオード1から放射される第1レーザー光が入射され、レーザー光を0次光であるメインビーム、+1次光及び−1次光である2つのサブビームに分離する回折格子部(不図示)を有する。
【0043】
第1レーザーダイオード1から放射される第1レーザー光(実線)は偏光ビームスプリッタ5の制御膜5aに対してP偏光となるように設定される。この第1レーザー光の直線偏光方向の設定は、第1レーザーダイオード1を第1レーザー光の光軸を中心として回転させたり、あるいは1/2波長板を第1レーザーダイオード1と偏光ビームスプリッタ3との間に設けて1/2波長板により第1レーザーダイオード1から放射される第1レーザー光の直線偏光方向を変換させてもよい。
【0044】
第2レーザーダイオード3は、例えば650nmの赤色光である第2レーザー光(破線)及び、例えば780nmの赤外光である第3レーザー光(一点鎖線)の波長が異なる2つの波長のレーザー光を放射するレーザーダイオードである。第2回折格子4は第2レーザーダイオード3から放射される第2レーザーまたは第3レーザー光が入射され、入射されるレーザー光を0次光であるメインビーム、+1次光及び−1次光である2つのサブビームに分離する回折格子部(不図示)を有する。
【0045】
第2レーザーダイオード3から放射される第2レーザー光または第3レーザー光は偏光ビームスプリッタ5の制御膜5aに対してS偏光となるように設定される。この第2レーザー光または第3レーザー光の直線偏光方向の設定は、第2レーザーダイオード3を第2レーザー光または第3レーザー光の光軸を中心として回転させたり、あるいは1/2波長板を第2レーザーダイオード3と偏光ビームスプリッタ5との間に設けて1/2波長板により第2レーザーダイオード3から放射される第2レーザー光または第3レーザー光の直線偏光方向を変換させてもよい。
【0046】
偏光ビームスプリッタ5は第1回折格子2を透過した第1レーザー光及び第2回折格子4を透過した第2レーザー光または第3レーザー光が入射される位置に設けられ、S偏光光のレーザー光を反射し、P偏光光のレーザー光を透過させる制御膜5aが設けられている。
【0047】
ハーフミラー6は偏光ビームスプリッタ5にて透過された第1レーザー光を略50%反射させ、略50%透過させる。偏光ビームスプリッタ5を反射した第2レーザー光または第3レーザー光を略50%反射させ、略50%透過させる。
【0048】
1/4波長板7は、ハーフミラー6にて反射された3つのレーザー光が入射される位置に設けられ、入射されるレーザー光を直線偏光光から円偏光光に、また反対に円偏光光から直線偏光光に変換する作用を成すものである。コリメートレンズ8は1/4波長板7を透過したレーザー光が入射されるとともに入射されるレーザー光を平行光に変換し、収差補正用モーター9によって光軸方向、即ち矢印A及びB方向へ変位せしめられるように構成されている。コリメートレンズ8の光軸方向への変位動作によって光ディスクDの保護層の厚さに基づいて生じる球面収差を補正するように構成されている。
【0049】
立ち上げミラー10はコリメートレンズ8にて平行光に変換された3つのレーザー光が入射される位置に設けられており、入射されるレーザー光を対物レンズ31の方向に反射させるように構成されている。
【0050】
レーザー光は、対物レンズ31の集光動作によって光ディスクDの信号記録層に集光スポットとして照射され、信号記録層にて戻り光として反射される。
【0051】
戻り光は、対物レンズ31、立ち上げミラー10、コリメートレンズ8及び1/4波長板7を通してハーフミラー6に入射される。このようにしてハーフミラー6に入射される戻り光は、ハーフミラー6にて略50%反射され、略50%制御用レーザー光としてハーフミラー6を透過することになる。
【0052】
センサーレンズ12はハーフミラー6を透過した制御用レーザー光が入射され、PD(Photo Diode)ICと呼ばれる光検出器13に設けられている受光部に制御用レーザー光に非点収差を付加させて照射する作用を成すものである。光検出器13には、周知の4分割センサー等が設けられており、メインビームの照射動作によって光ディスクDの信号記録層に記録されている信号の読み取り動作に伴う信号生成動作及び非点収差法によるフォーカシング制御動作を行うためのフォーカスエラー信号生成動作、そして2つのサブビームの照射動作によってトラッキング制御動作を行うためのトラッキングエラー信号生成動作を行うように構成されている。斯かる各種の信号生成のための制御動作は、周知であるので、その説明は省略する。
【0053】
図2を参照して、光ディスクDは、1つの光ディスクDとして示しているが、第1光ディスクD1、第2光ディスクD2、第3光ディスクD3の総称であり、実際には信号の読み出し動作や記録動作の対象となる第1光ディスクD1、第2光ディスクD2、第3光ディスクD3のいずれかが配置される。第1光ディスクD1は、光ディスクの表面から信号記録層R1までの距離が短く、第3光ディスクD3は光ディスクの表面から信号記録層R3までの距離が長く、第2光ディスクD2は、光ディスクの表面から信号記録層R2までの距離が第1光ディスクD1より長く第3光ディスクD3より短い。
【0054】
斯かる構成において、第1レーザーダイオード1から放射された第1レーザー光は、第1回折格子2、偏光ビームスプリッタ5、ハーフミラー6、1/4波長板7、コリメートレンズ8、立ち上げミラー10を介して(図1参照)、アクチュエータ30およびレンズホルダー20により支持される対物レンズ31に入射される。第1レーザー光は、対物レンズ31の集光動作によって第1光ディスクD1に設けられている信号記録層R1に集光スポットとして照射され、信号記録層R1に照射された第1レーザー光は信号記録層R1にて戻り光として反射される。
【0055】
また、第2レーザーダイオード3から放射された第2レーザー光または第3レーザー光は、第2回折格子4、偏光ビームスプリッタ5、ハーフミラー6、1/4波長板7、コリメートレンズ8、立ち上げミラー10を介して(図1参照)、対物レンズ31に入射された後、アクチュエータ30およびレンズホルダー20により支持される対物レンズ31に入射される。第2レーザー光または第3レーザー光は、対物レンズ31の集光動作によって第2光ディスクD2に設けられている信号記録層R2または第3光ディスクD3に設けられている信号記録層R3に集光スポットとして照射され、信号記録層R2、R3に照射された第2レーザー光または第3レーザー光は信号記録層R2、R3にて戻り光として反射される。
【0056】
図3は、レンズホルダー20を支持するアクチュエータ30の一例を示す図である。
【0057】
レンズホルダー20は例えば4本の支持ワイヤー52によって支持されており、アクチュエータ30は、光ディスクの信号記録層に対して垂直方向であるフォーカス方向及び光ディスクの径方向へレンズホルダーを変位を可能に支持する。
【0058】
ここで、光ディスクの径方向とは、光ディスク上に配置されたアクチュエータ30を基準とし、光ディスクの中心C0と外周を結ぶ、アクチュエータ30下方の一の半径線の延在方向であり、図3における矢印C及びD方向(ラジアル方向)をいう。また、径方向と直角になる方向(矢印E及びF方向)を接線方向(タンデンシャル方向)とする。
【0059】
レンズホルダー20の側壁には、支持ワイヤー52からフォーカス駆動信号が供給されるフォーカスコイル(不図示)が設けられ、光ピックアップ装置本体に固定されているマグネット(不図示)との協働によってレンズホルダー20がフォーカス方向へ変位される。また、レンズホルダー20にはレンズホルダー20を径方向へ変位させるトラッキングコイル(不図示)が設けられている。
【0060】
図4は、対物レンズ31を示す図であり、図4(A)が平面図、図4(B)が図4(A)のc−c線断面図である。図5は、第1の実施形態のレンズホルダー20を示す図であり、図5(A)が平面図、図5(B)が図5(A)のd−d線断面図、図5(C)(D)が図5(A)のe−e線断面図である。
【0061】
図4を参照して、対物レンズ31は、例えばBD規格、DVD規格およびCD規格の光ディスクの信号の再生動作を行うレーザー光を1つの対物レンズ31にて光ディスクの信号記録層に集光させる対物レンズ(BD/DVD/CD互換の対物レンズ(開口数NA=0.85))であり、集光レンズ部31aと、該集光レンズ部31aの外側を囲む環状の鍔部31bを有する。
【0062】
図5を参照して、レンズホルダー20は樹脂成形加工により成形され、取付孔21と、周縁部22と、3つの突起部231、232、233を有する。
【0063】
取付孔21は、例えば円形であり、対物レンズ31の集光レンズ部31aが挿入される。周縁部(取付部)22は、取付孔21を囲んでその外周に設けられた例えば環状の領域であり、対物レンズ31の鍔部31bと略重畳する形状を有する。
【0064】
突起部231、232、233は、周縁部22の主面Sfに互いに離間して3つ設けられ、周縁部22の主面Sfより突出した領域である。周縁部22の主面Sfは、レンズホルダー20の設計上は平坦な環状の領域であるが、実際にはレンズホルダー20の成形歪みや成形ばらつきにより、その主面Sfは若干の歪みが生じている。
【0065】
本実施形態の突起部231、232、233は、一般的なレンズホルダー20の成形歪み及び成形ばらつきによって生じる支持部PRの高低差H(一例として、0.7μm(角度差約0.1度))より高くなるように、周縁部22の樹脂を選択的に突出させて形成する。
【0066】
具体的には、周縁部22に3つの突起部231、232、233が形成されるように、レンズホルダー20の樹脂成形金型の周縁部の3箇所を選択的に例えば放電加工し、当該樹脂成形金型を用いてレンズホルダー20を成形する。
【0067】
突起部231、232、233は例えば図5(C)の如く断面形状においてそれぞれ高さh1、h2、h3の三角柱状に設けられる。この高さh1、h2、h3は、成形歪みおよび成形ばらつきによる支持部PRの高低差Hを吸収できる高さであり、一例として10μm〜50μmである。またこの場合、三角柱の頂点を突起頂点23tと称する。
【0068】
レンズホルダー20の成形樹脂や充填密度によって、成形歪み(歪みの位置、方向、高低差)はレンズホルダー20の全体としては同様に生じる傾向がある。そこで、レンズホルダー20の成形樹脂や充填密度に応じて、歪みの傾向を把握し、歪みの高低差(支持部PRの高低差H)を吸収できるように、突起部231、232、233の高さh1、h2、h3をそれぞれ選択する。
【0069】
これにより、複数のレンズホルダー20間で支持部PRの位置や高さがばらついた場合であっても、対物レンズ31を均一な位置及び高さに支持することができる。
【0070】
また、突起部231(突起部232、233も同様)の形状は、図5(D)の如く、断面形状において台形状に設けられてもよく、この場合台形の上辺部を突起頂点23tとする。
【0071】
1つの突起部231は、例えば、取付孔21の中心Cを通るレンズホルダー20の基準線Eの上に設けられる。基準線Eとは、対物レンズ31を搭載する際に基準となる線であり、ここでは対物レンズ31のコマ収差を補正する場合に、コマ収差の発生方向を一の方向に揃えるための基準となる線をいう。基準線Eは一例として、その延在方向に光ディスクの中心C0が位置し、光ディスクの径方向と一致する(図3参照)。
【0072】
図5(A)を参照して、環状の周縁部22は、平面視において、1つの突起部231と取付孔21の中心(点C)を通る線分(すなわち基準線E)で二分割され、周縁部22の一の半円弧上に他の突起部232が配置され、他の半円弧上に残りの突起部233が配置される。
【0073】
好適には、突起部231、232、233は等間隔で離間して配置される。すなわち、突起部231、232、233は平面視において、点Cを中心として互いに隣り合う120度の方向に位置するように配置される。
【0074】
この場合、突起部の1つ(突起部231)を、基準線E上に設けることにより、レンズホルダー20を指示するアクチュエータ(図3)の径方向のチルト調整マージンが広がり、光ディスクの再生マージンを広げることができる。
【0075】
図6を参照して、図5のレンズホルダー20に、対物レンズ31を搭載した場合について説明する。図6(A)は、図5(A)のf−f線断面における取付孔21部分の断面図であり、図6(B)は、図5(A)のd−d線断面における取付孔21部分の断面図である。
【0076】
3つの突起部231、232、233はいずれも周縁部22の成形ばらつきや成形歪みによって生じる支持部PRの高低差よりその高さh1、h2、h3が高いので、これらの突起頂点23tによって対物レンズ31の鍔部31bが支持される。つまり、突起部231、232、233(の突起頂点23t)に、対物レンズ31の鍔部31bが当接し、3つの突起頂点23tを含む一の平面が対物レンズ31の搭載面(一点鎖線)となる。以下、3つの突起頂点23tを含む一の平面を、対物レンズ31の搭載の基準面ESと称する。
【0077】
突起部231、232、233の高さh1、h2、h3を、適宜選択することにより、対物レンズ31の搭載の基準面ESを周縁部22の設計上の主面Sf(レンズホルダー20の底面又は表面)に対して例えば水平とすることができる。つまり、レンズホルダー20に対して対物レンズ31が水平に配置されることとなる。
【0078】
複数のレンズホルダー20間において、それぞれの突起部231、232、233は平面視において環状の周縁部22の同じ位置に設けられ(図5(A))、その高さh1、h2、h3も等しく形成される。これにより、周縁部22の表面に成形歪みや成形ばらつきが生じていても、これを吸収し、複数のレンズホルダー20間において、対物レンズ31を均一な位置および高さ(角度)に、安定して支持することができる。つまり、対物レンズ31を搭載する基準面ESが各レンズホルダー20間で均一となる。
【0079】
対物レンズ31は、基準面ESがレーザー光の光軸に対して適切な角度になるように傾きの調整がされる。本実施形態では、複数のレンズホルダー20間において、基準面ESが均一になるように対物レンズ31を配置できるので、レンズホルダーの成形歪みや成形ばらつきに起因する対物レンズ31の調整ばらつきを抑制できる。
【0080】
尚、図5(D)の如く断面形状において台形状に突起部231、232、233を設ける場合には、突起頂点23tとなる上面(台形の上辺部で構成される面)の面積が大きいと、その面での成形ばらつきによる支持部PRが影響する場合が多くなるので、上面の面積(図5(D)における幅w1)はなるべく小さいほうがよい。また、底部の幅w2は、例えば高さh1、h2、h3と同等以上とする。
【0081】
図7を参照して、レンズホルダー20の第2の実施形態について説明する。図7は第2の実施形態を説明する断面図である。図7(A)が図5(A)のf−f線断面に相当する取付孔21部分の断面図であり、図7(B)が図7(A)の状態における図5(A)のd−d線断面に相当する取付孔21部分の断面図であり、いずれものレンズホルダー20に対物レンズ31を搭載した場合を示している。
【0082】
1つのレンズホルダー20内において、それぞれの突起頂点23tを含む一の平面(基準面ES)を、周縁部22の主面Sf(レンズホルダー20の主面)に対して所定の角度で傾斜させるような高さで、突起部231、232、233を設けてもよい。
【0083】
例えば図7(A)の如く、いずれも周縁部22の歪みを吸収する高さとした上で、1つの突起部231の高さh1を高く、突起部232の高さh2、突起部233の高さh3をいずれも同じ高さで且つ高さh1より低くなるように設ける。これにより、対物レンズ31は、レンズホルダー20の主面に対して傾斜する。そして、図7(B)の如く、レンズホルダー20の基準線Eの断面においては、突起部231が最も高く、突起部231から180度の位置にある周縁部22の点P(図5(A))が最も低くなるように傾斜の角度αで傾斜させることができる。
【0084】
つまり、突起部231、232、233と鍔部31bが当接する対物レンズ31は、基準線Eの断面形状において、基準面ESを、レーザー光の光軸に垂直な面(破線で示す面)に対して所定の角度αで傾斜させることができる。
【0085】
1つの対物レンズ31の搭載の基準面ESを、レーザー光の光軸に垂直な面に対して所定の角度αで傾斜させることにより、レーザー光の光軸に対して対物レンズ31の光軸を適切な範囲に収めることができる。
【0086】
対物レンズ31は、レーザー光の入射面と出射面の成形時のずれや、対物レンズ31の傾きによってコマ収差が発生する。つまりコマ収差は対物レンズを傾けて対物レンズの光軸をレーザー光の光軸から適切な範囲に収めることによって補正する事ができる。
【0087】
本実施形態ではレンズホルダー20の取付部である周縁部22が予め傾斜した構成であるため、対物レンズ31を搭載するだけで、個別の光ピックアップ装置、および個別の対物レンズのコマ収差補正の調整を大幅に低減できる。これにより、調整ばらつきや工数を削減でき、安価で実際上問題ない性能を持つ光ピックアップ装置を実現できる。
【0088】
具体的には、所定の角度αは、コマ収差量をある程度吸収できる角度とする。そして傾斜方向に対物レンズ31のコマ収差の発生方向が揃うように搭載し、固着する。ここで、傾斜方向とは、例えば図7(B)の矢印の如く、基準線Eの断面形状において突起部231(光ディスクの中心側)が最も高く、取付孔Cを中心とする点対称の位置にある周縁部22の点P(光ディスクの外周側)が最も低くなるように傾斜の角度αで傾斜する方向である。
【0089】
また、コマ収差量をある程度吸収できる角度として、傾斜角度αは対物レンズ31の最大コマ収差発生量に相当する角度の2分の1の角度とする。
【0090】
コマ収差量は、個々の対物レンズ31により異なる。しかし突起部231、232、233の高さによって決定される対物レンズ31の基準面ESの傾斜角度αを、予め、最大コマ収差発生量に相当する角度の2分の1の角度とすることにより、その程度は異なるが、搭載される全ての対物レンズ31のコマ発生量を大きく低減した事と同等の効果を得ることができる。
【0091】
一例として、BD/DVD/CD用規格の光ディスクに互換性を有する対物レンズ31の場合、傾斜の角度αは、当該対物レンズ31の最大コマ収差発生量に相当する角度(略0.5度)の2分の1の角度(0.25度)である。
【0092】
そして、対物レンズ31を搭載する際には、コマ収差の発生方向が傾斜方向に揃うように、対物レンズ31を回転して搭載する。
【0093】
本実施形態では、基準線Eが径方向に一致し、傾斜方向も径方向に一致している。このように傾斜方向を、光ディスクの径方向に一致させることにより、コマ収差の方向を光ディスクの径方向に揃えることができる。
【0094】
尚、ここでは1つの対物レンズ31でBD/DVD/CD規格の光ディスクに互換性を有する対物レンズ31について説明したが、BD用光ディスク、DVD用光ディスクにそれぞれ対応した対物レンズであっても同様に実施できる。
【0095】
例えば、BD用対物レンズの場合は、開口数NAが同じであるため、上記の実施例と同様であるが、DVD用対物レンズの場合は、傾斜の角度αが、DVD用対物レンズの最大コマ発生量に相当する角度(略0.3度)の2分の1の角度(0.15度)になるように、突起部231、232、233を設ける。
【0096】
次に、図8から図11を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図8は、本発明の第3の実施形態の光ピックアップ装置の光学系の概略を示す図である。
【0097】
1つのレンズホルダー20に搭載する対物レンズは、複数であってもよい。ここでは一例として、BD規格の光ディスク(第1光ディスク)、DVD規格の光ディスク(第2光ディスク)及びCD規格の光ディスク(第3光ディスク)に対応した光ピックアップ装置において、2つの対物レンズが1つのレンズホルダーに組み込まれる場合を説明する。例えば、第1対物レンズ31としてBD用対物レンズを用い、第2対物レンズ32として、DVD/CD用対物レンズを用いる。
【0098】
図8において、レーザーダイオード1は、第1波長、例えば405nmの青色光である第1レーザー光(実線)を放射する。第1レーザー光は、第1回折格子2を介して偏光ビームスプリッタ3に入射される。偏光ビームスプリッタ3はS偏光された第1レーザー光を反射し、P方向に偏光された第1レーザー光を透過させる。
【0099】
第1レーザー光は偏光ビームスプリッタ3の制御膜に対してS偏光となるように設定される。この第1レーザー光の直線偏光方向の設定は、レーザーダイオード1を第1レーザー光の光軸を中心として回転させたり、あるいは1/2波長板をレーザーダイオード1と偏光ビームスプリッタ3との間に設けて前記1/2波長板によりレーザーダイオード1から放射される第1レーザー光の直線偏光方向を変換させてもよい。
【0100】
第1コリメートレンズ4は、偏光ビームスプリッタ3から反射されたレーザー光が入射され、レーザー光を平行光にする作用を成すとともにBD規格の光ディスク(ここでは不図示)の保護層による球面収差を補正するために不図示のモータにより矢印A及びB方向への変位を可能に設けられている。
【0101】
第1立ち上げミラー5は第1レーザー光が入射されるとともに第1レーザー光を反射させる。第1の1/4波長板6は第1レーザー光を直線偏光光から円偏光光に変換する。第1の1/4波長板6で円偏光光に変換された第1レーザー光は、第1光ディスクD1に設けられている信号記録層R1に集束させるべく設けられている第1対物レンズ31へ入射される。
【0102】
第1対物レンズ31にて第1光ディスクD1の信号記録層R1に集束された第1レーザー光は信号記録層R1から戻り光として反射されて第1対物レンズ31に入射される。このようにして、第1対物レンズ31に入射された戻り光は、第1の1/4波長板6、第1立ち上げミラー5及び第1コリメートレンズ4を介して偏光ビームスプリッタ3に入射される。
【0103】
戻り光は、偏光ビームスプリッタ3(の制御膜)を透過し、第1センサーレンズ(アナモフィックレンズ)8に信号が入射される。
【0104】
第1光検出器9は第1センサーレンズ8を通過した戻り光が集光されて照射される位置に3つの各レーザー光に対してそれぞれ設けられ、フォトダイオードが配列された4分割センサー等にて構成されている。
【0105】
2波長レーザーダイオード10は第2波長、例えば650nmの赤色光である第2レーザー光(破線)及び第3波長、例えば780nmの赤外光である第3レーザー光(一点鎖線)の波長が異なる2つの波長のレーザー光を放射するレーザーダイオードである。
【0106】
第2レーザー光または第3レーザー光は、第2回折格子11を透過して、ビームスプリッタ(ハーフミラー)12に入射させる。ビームスプリッタ12は、第2レーザー光または第3レーザー光を反射および第2レーザー光または第3レーザー光を透過させる制御膜(不図示)が設けられている。尚、ビームスプリッタ12に換えて、偏光ビームスプリッタと1/2波長板を設けてもよい。
【0107】
第2レーザー光または第3レーザー光は、第2コリメートレンズ14で平行光に変換され、第2立ち上げミラー16に入射される。第2立ち上げミラー16は、第2レーザー光(破線)を第2光ディスクD2に設けられている信号記録層R2に集束させるとともに第3レーザー光(一点鎖線)を第3光ディスクD3に設けられている信号記録層R3に集束させるべく設けられている第2対物レンズ32方向へ反射させる。
【0108】
第2レーザー光または第3レーザー光は、第2の1/4波長板13で直線偏光光から円偏光光に変換される。
【0109】
第2対物レンズ32にて第2光ディスクD2の信号記録層R2または第3光ディスクD3の信号記録層R3に集束された第2レーザー光または第3レーザー光は信号記録層R2またはR3から戻り光として反射されて第2対物レンズ32に入射される。このようにして、第2対物レンズ32に入射された戻り光は、第2の1/4波長板13、第2立ち上げミラー16、第2コリメートレンズ14を介してビームスプリッタ12に入射される。
【0110】
ビームスプリッタ12(の制御膜)を透過した戻り光は、センサーレンズ18に入射され、第2光検出器19に集光されて照射される。
【0111】
図9は、第3の実施形態のレンズホルダー20を支持するアクチュエータ30を示す平面図である。
【0112】
アクチュエータ30の構成は、第1の実施形態に示すもの(図3)と略同様であるので、詳細な説明は省略するが、レンズホルダー20は、例えば、第1対物レンズ31用の第1取付孔21と第2対物レンズ32用の第2取付孔24の中心C1、C2を結ぶ直線が、光ディスクの径方向(C方向及びD方向)に一致するように、アクチュエータ30に支持される。ここでは、一例として第1取付孔21と第2取付孔24の中心C1、C2と光ディスクの中心C0が同一線上に位置する。
【0113】
図10は、レンズホルダー20を示す図であり、図10(A)が平面図であり、図10(B)が図10(A)のh−h線断面図である。また、図11は、レンズホルダー20に第1対物レンズ31および第2対物レンズ32を搭載した場合の、図10のh−h線断面図である。
【0114】
レンズホルダー20は、第1対物レンズ取付領域r1に、第1取付孔21と、第1周縁部22と、3つの第1突起部231、232、233が設けられ、第2対物レンズ取付領域r2に、第2取付孔24と、第2周縁部25と、3つの第2突起部261、262、263が設けられる。
【0115】
第1対物レンズ取付領域r1の構成は、第2の実施形態に記載の構成と同様であるのでその説明は省略する。
【0116】
第2対物レンズ取付領域r2の構成も第1取付領域r1の構成と略同様であるが、詳細は以下の通りである。
【0117】
第2取付孔24は、例えば円形であり、第2対物レンズ32の集光ンズ部32aが挿入される(図11参照)。第2周縁部25は、第2取付孔24を囲んでその外周に設けられた例えば環状の領域であり、第2対物レンズ32の鍔部32bと略重畳する。
【0118】
第2取付孔24と第1取付孔21の、それぞれその中心C1、C2を通る第1基準線E1、第2基準線E2は、ここでは一例として一致し、またこれらは光ディスクの径方向に一致する。第1基準線E1と第2基準線E2は、第1対物レンズ31、第2対物レンズ32のコマ収差を補正する場合に、コマ収差の発生方向を一の方向に揃えるための基準となる線である。
【0119】
第2突起部261、262、263は、第2周縁部25の主面Sfに互いに離間して3つ設けられ、第2周縁部25の主面Sfより突出した領域である。第2突起部261、262、263は、第2周縁部25の樹脂を選択的に突出させて(樹脂が突出する樹脂成形金型を用いて)形成する。第2突起部261、262、263は、一般的なレンズホルダー20の成形歪み及び成形ばらつきによって生じる程度の高低差(支持部PRの高低差H)より高くなるように、成形樹脂や充填密度などに応じてそれぞれの高さが適宜選択される。
【0120】
第2突起部261、262、263は例えば側面図において三角柱状または台形状に設けられる(図5(C)(D)参照)。
【0121】
1つの第2突起部261は、例えば、第2基準線E2の上に設けられる。環状の第2周縁部25は、1つの第2突起部261と第2取付孔24の中心C2を通る線分(すなわち第2基準線E2)で二分割され、第2周縁部25の一の半円弧上と、他の半円弧上に他の2つの第2突起部262、263がそれぞれ配置される。
【0122】
好適には、第2突起部261、262、263は互いに隣り合う120度の方向に等間隔で位置するように配置される。
【0123】
第1突起部231は、第1基準線E2の上に設けられ、第2突起部261は、レンズホルダー20の長辺に沿った同一線(第1基準線E1、第2基準線E2)上で第1突起部231と最も離間した位置に設けられる。レンズホルダー20は、短辺方向より長辺方向に歪みが生じやすい。そこで、長辺方向で最も離間した位置に、第1突起部231と、第2突起部261を設けることで、長辺方向の歪みが発生した場合であっても、安定して第1対物レンズ31と第2対物レンズ32を搭載することができる。
【0124】
図11を参照して、第1対物レンズ31は、第1および第2の実施形態の対物レンズと同様である。第2対物レンズ32は開口数NAが0.6であるが、外観は図4に示す対物レンズとほぼ同様であり、集光レンズ部32aと、鍔部32bを有する。
【0125】
第1対物レンズ31は、例えば、第1基準線E1の断面において、1つの第1突起部231(光ディスクの中心C0側)の高さh1が最も高く、第1突起部231から180度の位置にある点P1(光ディスクの外周側)が最も低くなる傾斜方向で、第1基準面ES1が第1の角度αで傾斜するように3つの第1突起部231、232、233が設けられる。
【0126】
第2周縁部25において、例えばいずれも歪みを吸収できる高さとした上で、1つの突起部261はその高さh4を低く、他の突起部262、突起部263はそれぞれの高さh5、h6をいずれも同じ高さで且つ高さh4より高くなるように、設けられる。
【0127】
これにより、第2対物レンズ32は、第2基準線E2の断面において、第2突起部236の高さh4が最も低く、第2突起部261から180度の位置にある点P2が最も低くなる傾斜方向で、第2の角度βで第2基準面ES2が傾斜する。
【0128】
第2突起部261、262、263の高さを適宜選択することにより、第2突起部261、262、263に鍔部32bが当接する第2対物レンズ32(の第2基準面E2)は、レーザー光の光軸に垂直な面(破線の面)対して所定の角度βで傾斜させることができる。この場合の傾斜方向は、第2基準線E2の断面形状において、第2突起部261(光ディスクの外周側)が最も低く、第2突起部261から180度の位置にある点P2(光ディスクの中心C0側)が最も高くなるように角度βで傾斜する方向(矢印の方向)となる。
【0129】
一例として、DVD/CD用規格の光ディスクに互換性を有する対物レンズ(第2対物レンズ32)の場合は、第2の角度βは、当該対物レンズの最大コマ収差発生量に相当する角度(略0.3度)の2分の1の角度(0.15度)である。
【0130】
第2対物レンズ32は、第2基準面ES2の傾斜方向に第2対物レンズ32のコマ収差の発生方向が揃うように搭載し、固着される。
【0131】
本実施形態では、第2基準線E2が径方向に一致し、傾斜方向も光ディスクの径方向に一致している。これにより、第1対物レンズ31と共にコマ収差の方向を光ディスクの径方向に揃えることができる。
【0132】
更に、複数のレンズホルダー20間において、それぞれの第2突起部261、262、263は平面視において環状の第2周縁部25の同じ位置に設けられる。高さh4、h5、h6も第2基準面ES2が第2の角度βで傾斜するように、設けられる。
【0133】
これにより、第2周縁部25の表面に成形歪みや成形ばらつきで高低差が生じていても、複数のレンズホルダー20間において、第2対物レンズ32を均一な位置および高さ(第2の角度βで傾斜する高さ)で、安定して支持することができる。つまり、第2対物レンズ32を搭載する第2基準面ES2が各レンズホルダー20間で均一となるので、レンズホルダーの成形歪みや成形ばらつきに起因する、第2対物レンズ32の調整ばらつきを低減できる。
【0134】
BD用対物レンズ及びDVD/CD用対物レンズを1つのレンズホルダー20に搭載する場合、2つの対物レンズをそれぞれ最適な状態にて支持するためにレンズホルダー20を支持するワイヤーに対する姿勢調整動作が行われる。このとき、一方の対物レンズによって姿勢調整動作を行うと他方の対物レンズの姿勢が最良にならないでジッター値が悪化するという問題が発生する。この原因は対物レンズの傾きに伴って発生するコマ収差にあることが確認されている。
【0135】
前述したコマ収差は、信号記録層の上面に設けられている保護層の厚さが厚くなるに従って大きくなり、対物レンズの開口数が大きくなるに従って大きくなり、またレーザー光の波長が短くなるに従って大きくなる特性がある。従って、前述した各種の光ディスクの規格の中の対物レンズでは、BD用対物レンズのコマ収差が最も大きくなることになる。
【0136】
つまり、BD用対物レンズ及びDVD/CD用対物レンズを1つのレンズホルダー20に搭載すると、2つの対物レンズのコマ収差が異なるため、相対的なコマ収差が大きくなる問題がある。
【0137】
例えば、開口数NA=0.85の第1対物レンズ31(BD用対物レンズ)とNA=0.65以下の第2対物レンズ32(DVD/CD用対物レンズ)を一つのレンズホルダー20に搭載する場合、前者のコマの成形ばらつきは略±0.05λ、後者は±0.03λが一般的な発生量である。従って2つの対物レンズの相対コマ量は±0.08λとなる。
【0138】
コマは対物レンズを傾けることにより補正する事ができ、例えば0.01λのコマの補正は略0.1度の傾斜で吸収することができる。この場合、夫々の固定ばらつきを±0.2度とすると最大の相対コマ量は1.2度になり、一つのレンズホルダー20に2つの対物レンズを搭載して同時にコマ収差を補正すると、性能破綻を招く。
【0139】
そこで従来では、2つの対物レンズのコマ収差をそれぞれ確認し、コマ収差の発生方向の調整と、コマ収差を打ち消すために対物レンズを傾ける調整を個別に行っている。
【0140】
具体的には、対物レンズの鍔部が搭載される周縁部に曲率を設けたレンズホルダーを用いて一方のレンズ(例えばDVD用対物レンズ)を搭載してコマ収差の角度と方向をそれぞれ調整して固着するか、あるいはレンズが浮いた状態で搭載されるレンズホルダーを用いて、一方のレンズを搭載してコマ収差の角度と方向をそれぞれ調整して空中接着し、他方のレンズ(例えばBD用レンズ)はコマ収差の方向をそれぞれ調整して固着した上で、レンズホルダーが搭載されるアクチュエータをBD用レンズのコマ収差の角度を打ち消すように傾けて、2つの対物レンズのコマ収差を補正している。
【0141】
更に上記の調整は個々の光ピックアップ装置について行わなければならず、2つの対物レンズのコマ収差の調整が大変煩雑で調整ばらつきや工数が増大するなどの問題があった。
【0142】
本実施形態では、図11の如く、第1対物レンズ31の第1基準面ES1をレーザーの光軸に垂直な面に対して第1の角度αで傾斜させ、第2対物レンズ32の第2基準面ES2を、レーザーの光軸に垂直な面対して第2の角度βで傾斜させる。これにより、両対物レンズの光軸をレーザー光の光軸に対して適切な範囲に収めることができ、両対物レンズの最大コマ収差発生量を低減し、相対コマ量も小さくすることができる。
【0143】
第1の角度αは、第1対物レンズ31(BD用対物レンズ)の最大コマ収差発生量(例えば±0.05λ)に対応する補正角度(略0.5度)の2分の1であり、例えば第1レーザー光の光軸に垂直な面から0.25度である。
【0144】
第2の角度βは、第2対物レンズ32(CD/DVD用対物レンズ)の最大コマ収差発生量(例えば±0.03λ)に対応する補正角度(略0.3度)の2分の1であり、例えば第2レーザー光の光軸に垂直な面から0.15度である。
【0145】
これにより、第1対物レンズ31と第2対物レンズ32の最大の相対コマ量を低減できるので、コマの成形ばらつきを補正でき、対物レンズのコマ発生量を大きく低減した事と同等の効果を得ることができる。
【0146】
尚、第1対物レンズ31は、第1基準線Eの上に第1のコマ収差の発生方向が揃うように、すなわち、第1基準面ES1の傾斜方向にコマ収差の発生方向が揃うように、固定される。また、第2対物レンズ32は第2基準線E2の上に第2のコマ収差の発生方向が揃うように、すなわち、第2基準面ES2の傾斜方向にコマ収差の発生方向が揃うように、固定される。
【0147】
これにより、第1対物レンズ31のコマ収差の発生方向と第2対物レンズ32のコマ収差の発生方向とが光ディスクの径方向に揃うように、レンズホルダー20上に固定される。
【0148】
尚、上記の実施形態では、例えば(第1)対物レンズ31の基準面が所定の角度αで傾斜するように、(第1)突起部231の高さh1を他の(第1)突起部232、233の高さh2、h3より高く設ける場合を例に説明した。
【0149】
しかしこれに限らず、突起部231、232、233の高さを、当初は対物レンズ31の基準面ESが水平になるような高さに形成しておき、対物レンズ31を搭載した後、突起部231、232、233に例えば超音波振動などの外部エネルギーを与えながら対物レンズ所定の角度αになるように押し込み、対物レンズ31が傾斜して支持されるように突起部231、232、233を設けてもよい。第2対物レンズ32用の第2の突起部261、262、263についても同様である。
【0150】
また、上記の実施形態ではコマ収差の発生方向を揃える基準線E(第1基準線E1、第2基準線E2)を光ディスクの径方向としたが、これに限らず、光ディスクの接線方向や、接線方向から45度の方向に基準線を設けてもよい。
【0151】
更に、第3の実施形態において、第2取付孔24と第1取付孔21は、その中心を通る直線が例えば光ディスク接線方向に沿う(平行となる)ように、配置されてもよい。この場合は、基準線E(第1基準線E1、第2基準線E2)は接線方向に設けるとよい。
【符号の説明】
【0152】
20 レンズホルダー
21 (第1)取付孔
22 (第1)周縁部
231、232、233 (第1)突起部
24 第2取付孔
25 第2周縁部
261、262、263 第2突起部
30 アクチュエータ
31 (第1)対物レンズ
32 第2対物レンズ
50 光ピックアップ装置
52 支持ワイヤー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの信号記録層にレーザー光を集光する対物レンズを支持するレンズホルダーであって、
前記対物レンズの集光レンズ部が挿入される取付孔と、
該取付孔を囲む周縁部と、
該周縁部に互いに離間して該周縁部の主面より突出して設けられ、前記対物レンズの鍔部に当接して該鍔部を支持する3つの突起部と、
を具備することを特徴とするレンズホルダー。
【請求項2】
前記周縁部は、前記突起部のうち1つの突起部と前記取付孔の中心部とを通る線分によって2つの半円弧に分割され、該2つの半円弧上に前記突起部のうち2つの突起部がそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1に記載のレンズホルダー。
【請求項3】
前記突起部は互いに等間隔で配置されることを特徴とする請求項2に記載のレンズホルダー。
【請求項4】
前記3つの突起部は、それぞれが前記周縁部の成形歪みを吸収する高さに設けられることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載のレンズホルダー。
【請求項5】
前記突起部は、それぞれの突起頂点を含む一の平面が所定の角度で傾斜する高さに設けられることを特徴とする請求項4に記載のレンズホルダー。
【請求項6】
他の対物レンズの集光レンズ部が挿入される他の取付孔と、
該他の取付孔を囲む他の周縁部と、
該他の周縁部に互いに離間して該他の周縁部の主面より突出して設けられ、前記他の対物レンズの鍔部に当接して該鍔部を支持する3つの他の突起部を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のレンズホルダー。
【請求項7】
前記他の突起部のうち1つの突起部は、前記レンズホルダーの長辺に沿った同一線上で前記1つの突起部と最も離間した位置に設けられることを特徴等する請求項6に記載のレンズホルダー。
【請求項8】
前記3つの他の突起部は、それぞれが前記他の周縁部の成形歪みを吸収する高さに設けられることを特徴とする請求項6または請求項7のいずれかに記載のレンズホルダー。
【請求項9】
前記他の突起部は、それぞれの突起頂点を含む他の平面が他の所定の角度で傾斜する高さに設けられることを特徴とする請求項8に記載のレンズホルダー。
【請求項10】
支持ワイヤーにて光ディスクの信号記録層に対して垂直方向への変位動作及び光ディスクの径方向への変位動作を可能に支持され、且つフォーカスコイルが設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載のレンズホルダーと、
該レンズホルダーの前記取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された対物レンズと、
を具備することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項11】
支持ワイヤーにて光ディスクの信号記録層に対して垂直方向への変位動作及び光ディスクの径方向への変位動作を可能に支持され、且つフォーカスコイルが設けられている請求項6から請求項9のいずれかに記載のレンズホルダーと、
該レンズホルダーの前記取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された一の対物レンズと、
前記レンズホルダーの前記他の取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記他の突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された他の対物レンズと、
を具備することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項1】
光ディスクの信号記録層にレーザー光を集光する対物レンズを支持するレンズホルダーであって、
前記対物レンズの集光レンズ部が挿入される取付孔と、
該取付孔を囲む周縁部と、
該周縁部に互いに離間して該周縁部の主面より突出して設けられ、前記対物レンズの鍔部に当接して該鍔部を支持する3つの突起部と、
を具備することを特徴とするレンズホルダー。
【請求項2】
前記周縁部は、前記突起部のうち1つの突起部と前記取付孔の中心部とを通る線分によって2つの半円弧に分割され、該2つの半円弧上に前記突起部のうち2つの突起部がそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1に記載のレンズホルダー。
【請求項3】
前記突起部は互いに等間隔で配置されることを特徴とする請求項2に記載のレンズホルダー。
【請求項4】
前記3つの突起部は、それぞれが前記周縁部の成形歪みを吸収する高さに設けられることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載のレンズホルダー。
【請求項5】
前記突起部は、それぞれの突起頂点を含む一の平面が所定の角度で傾斜する高さに設けられることを特徴とする請求項4に記載のレンズホルダー。
【請求項6】
他の対物レンズの集光レンズ部が挿入される他の取付孔と、
該他の取付孔を囲む他の周縁部と、
該他の周縁部に互いに離間して該他の周縁部の主面より突出して設けられ、前記他の対物レンズの鍔部に当接して該鍔部を支持する3つの他の突起部を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のレンズホルダー。
【請求項7】
前記他の突起部のうち1つの突起部は、前記レンズホルダーの長辺に沿った同一線上で前記1つの突起部と最も離間した位置に設けられることを特徴等する請求項6に記載のレンズホルダー。
【請求項8】
前記3つの他の突起部は、それぞれが前記他の周縁部の成形歪みを吸収する高さに設けられることを特徴とする請求項6または請求項7のいずれかに記載のレンズホルダー。
【請求項9】
前記他の突起部は、それぞれの突起頂点を含む他の平面が他の所定の角度で傾斜する高さに設けられることを特徴とする請求項8に記載のレンズホルダー。
【請求項10】
支持ワイヤーにて光ディスクの信号記録層に対して垂直方向への変位動作及び光ディスクの径方向への変位動作を可能に支持され、且つフォーカスコイルが設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載のレンズホルダーと、
該レンズホルダーの前記取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された対物レンズと、
を具備することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項11】
支持ワイヤーにて光ディスクの信号記録層に対して垂直方向への変位動作及び光ディスクの径方向への変位動作を可能に支持され、且つフォーカスコイルが設けられている請求項6から請求項9のいずれかに記載のレンズホルダーと、
該レンズホルダーの前記取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された一の対物レンズと、
前記レンズホルダーの前記他の取付孔に集光レンズ部が挿入され、前記他の突起部に前記集光レンズ部の外周の鍔部が当接して支持された他の対物レンズと、
を具備することを特徴とする光ピックアップ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−181132(P2011−181132A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42998(P2010−42998)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]