説明

レンズ鏡筒およびカメラシステム

【課題】気温が変化した場合でも好適にフォーカシングレンズを駆動することが可能なレンズ鏡筒およびカメラシステムを提供する。
【解決手段】カメラボディが取り付け可能な取付部と、カメラボディとの信号の送受信が可能な送受信部と、フォーカシングレンズを有する結像光学系と、フォーカシングレンズを、送受信部を介してカメラボディから受信した駆動信号に応じた駆動速度で駆動する駆動部と、レンズ鏡筒の温度を検出し温度信号を出力する温度検出部と、静止画用最大駆動速度と動画用最大駆動速度とをカメラボディに送信するように送受信部を制御する制御部とを有し、制御部は、温度検出部から出力された温度信号に応じて、カメラボディに送信される静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度を変化させるレンズ鏡筒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒およびカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
動画を撮影可能なデジタルカメラが知られている。一般的に、このようなデジタルカメラは、映像と共に音声を記録して記憶媒体に記憶可能である。例えば特許文献1には、カメラ本体と交換レンズとから成る、動画撮影可能なデジタルカメラが記載されている。この交換レンズは、最高速度と最低速度で絞りを駆動したときに発生する駆動音のうち小さい方の駆動音のレベルと同じかまたはそれよりも小さい駆動音のレベルで絞りを駆動可能な駆動速度を、静音速度としてカメラ本体に送信する。これにより、動画撮影時など、録音が行われている場合に、絞りの駆動音が録音されないように絞りを駆動することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−288778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたデジタルカメラには、気温の変化により駆動音が変化した場合であっても、常に同一の静音速度情報しか送信できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の一実施例を示す図面に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、カメラボディ(100)が取り付け可能な取付部(201)と、カメラボディ(100)との信号の送受信が可能な送受信部(217)と、フォーカシングレンズ(210b)を有する結像光学系(210)と、フォーカシングレンズ(210b)を、送受信部(217)を介してカメラボディ(100)から受信した駆動信号に応じた駆動速度で駆動する駆動部(212)と、レンズ鏡筒(200)の温度を検出し温度信号を出力する温度検出部(214)と、静止画撮影に適したフォーカシングレンズ(210b)の最大駆動速度である静止画用最大駆動速度と、動画撮影に適したフォーカシングレンズ(210b)の最大駆動速度である動画用最大駆動速度と、をカメラボディ(100)に送信するように送受信部(217)を制御する制御部(203)と、を有し、制御部(203)は、温度検出部(214)から出力された温度信号に応じて、カメラボディ(100)に送信される静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度を変化させることを特徴とするレンズ鏡筒である。
請求項8に記載の発明は、カメラボディ(100)と、カメラボディ(100)に取り付け可能なレンズ鏡筒(200)と、から成るカメラシステムであって、レンズ鏡筒(200)は、カメラボディ(100)との信号の送受信が可能な第1送受信部(217)と、フォーカシングレンズ(210b)を有する結像光学系(210)と、フォーカシングレンズ(210b)を、送受信部(217)を介してカメラボディ(100)から受信した駆動信号に応じた駆動速度で駆動する駆動部(212)と、レンズ鏡筒(200)の温度を検出し温度信号を出力する温度検出部(214)と、静止画撮影に適したフォーカシングレンズ(210b)の最大駆動速度である静止画用最大駆動速度と、動画撮影に適したフォーカシングレンズ(210b)の最大駆動速度である動画用最大駆動速度と、をカメラボディ(100)に送信するように第1送受信部(217)を制御するレンズ制御部(203)と、を有し、カメラボディ(100)は、第1送受信部(217)との信号の送受信が可能な第2送受信部(117)と、第2送受信部(117)を介して第1送受信部(217)から受信した静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度に基づいて、フォーカシングレンズ(210b)の駆動量と、駆動方向と、駆動速度と、を含む駆動信号を第1送受信部(217)に送信するように第2送受信部(117)を制御するボディ制御部(103)と、を有することを特徴とするカメラシステムである。
請求項9に記載の発明は、カメラボディ(100)が取り付け可能な取付部(201)と、カメラボディ(100)との信号の送受信が可能な送受信部(217)と、フォーカシングレンズ(210b)を有する結像光学系(210)と、フォーカシングレンズ(210b)を、送受信部(217)を介してカメラボディ(100)から受信した駆動信号に応じた駆動速度で駆動する駆動部(212)と、レンズ鏡筒(200)の外部の気温を検出し温度信号を出力する温度検出部(214)と、静止画撮影に適したフォーカシングレンズ(210b)の最大駆動速度である静止画用最大駆動速度と、動画撮影に適したフォーカシングレンズ(210b)の最大駆動速度である動画用最大駆動速度と、をカメラボディ(100)に送信するように送受信部(217)を制御する制御部(203)と、を有し、制御部(203)は、温度検出部(214)から出力された温度信号と、少なくとも駆動部(212)の稼働状況とに応じて、カメラボディ(100)に送信される静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度を変化させることを特徴とするレンズ鏡筒である。
なお、符号を付して説明した構成は適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、気温が変化した場合でも好適にフォーカシングレンズを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した斜視図である。
【図2】本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した断面図である。
【図3】温度センサ214の配置を示したレンズ鏡筒200の断面図である。
【図4】保持部102,202の詳細を示す模式図である。
【図5】コマンドデータ通信の例を示すタイミングチャートである。
【図6】ホットライン通信の例を示すタイミングチャートである。
【図7】動画用最大駆動速度の決定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した斜視図である。なお、図1では本発明に係わる機器および装置のみを示し、それ以外の機器および装置については図示と説明を省略する。カメラ1は、カメラボディ100と、カメラボディ100に着脱可能なレンズ鏡筒200とから構成される。
【0009】
カメラボディ100にはレンズ鏡筒200が着脱可能に取り付けられるレンズマウント101が設けられている。カメラボディ100のレンズマウント101の近傍(レンズマウント101の内周側)の位置には、レンズマウント101の内周側に部分的に突出する状態で、接点を保持する保持部(電気的な接続部)102が設けられている。この保持部102には複数の接点が設けられている。
【0010】
またレンズ鏡筒200には、ボディ側のレンズマウント101に対応する、カメラボディ100が着脱可能に取り付けられるレンズマウント201が設けられている。レンズ鏡筒200のレンズマウント201の近傍(レンズマウント201の内周側)の位置には、レンズマウント201の内周側に部分的に突出する状態で、接点を保持する保持部(電気的な接続部)202が設けられている。この保持部202には複数の接点が設けられている。
【0011】
カメラボディ100にレンズ鏡筒200が装着されると、複数の接点が設けられた保持部102が、複数の接点が設けられた保持部202に電気的に且つ物理的に接続される。両保持部102,202は、カメラボディ100からレンズ鏡筒200への電力供給、および、カメラボディ100とレンズ鏡筒200との信号の送受信に利用される。
【0012】
カメラボディ100内のレンズマウント101後方には、例えばCMOSやCCDなどの撮像素子104が設けられる。カメラボディ100の上方には、入力装置たるボタン105が設けられている。ユーザはボタン105等の入力装置を用いてカメラボディ100に撮影指示や撮影条件の設定指示等を行う。
【0013】
図2は、本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した断面図である。レンズ鏡筒200は、被写体像を結像させる結像光学系210を備える。結像光学系210は複数のレンズ210a〜210cおよび絞り211により構成されている。これら複数のレンズ210a〜210cには、被写体像のピント位置を制御するためのフォーカシングレンズ210bと、被写体像の像ぶれを補正するぶれ補正レンズ210cが含まれている。
【0014】
レンズ鏡筒200内部には、レンズ鏡筒200の各部の制御を司るレンズ制御部203が設けられている。レンズ制御部203は不図示のマイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。レンズ制御部203には、レンズ側第1通信部217、レンズ側第2通信部218、フォーカシングレンズ駆動部212、温度センサ214、ROM215、およびRAM216が接続されている。
【0015】
レンズ側第1通信部217およびレンズ側第2通信部218は、保持部102、202の各通信接点を介してカメラボディ100との信号の送受信を行う。このレンズ側第1通信部217とレンズ側第2通信部218はそれぞれ、レンズ鏡筒200側の通信インターフェースである。レンズ制御部203はこれら通信インターフェースを使って、カメラボディ100(後述するボディ制御部103)との間で後述する各通信(ホットライン通信、コマンドデータ通信)を行う。
【0016】
フォーカシングレンズ駆動部212は駆動力を発生させるモータ(例えばステッピングモータ等のアクチュエータ)と、当該駆動力をフォーカシングレンズ210bに伝達する伝達系(例えば複数のギア等を組み合わせたもの)を有している。フォーカシングレンズ駆動部212は、フォーカシングレンズ210bを、カメラボディ100から受信した駆動信号に応じた駆動速度で光軸方向に駆動する。なお、レンズ鏡筒200はこれ以外に、ぶれ補正レンズ210cを駆動する駆動部や絞り211を駆動する駆動部を有しているが、図2ではこれら駆動部の図示を省略している。
【0017】
温度センサ214は、レンズ鏡筒200の温度を検出し温度信号を出力するセンサである。ROM215は不揮発性の記憶媒体であり、レンズ制御部203が実行する所定の制御プログラムや、後述するフォーカシングレンズ210bの最大駆動速度および加減速度等が予め記憶される。RAM216は揮発性の記憶媒体であり、レンズ制御部203により各種データの記憶領域として利用される。
【0018】
撮像素子104の前面には、撮像素子104の露光状態を制御するためのシャッター115と、光学的ローパスフィルターや赤外線カットフィルターを組み合わせた光学フィルター116とが設けられている。結像光学系210を透過した被写体光は、シャッター115およびフィルター116を介して撮像素子104に入射する。
【0019】
カメラボディ100内部には、カメラボディ100の各部の制御を司るボディ制御部103が設けられている。ボディ制御部103は不図示のマイクロコンピュータ、RAMおよびその周辺回路等から構成される。
【0020】
ボディ制御部103には、ボディ側第1通信部117およびボディ側第2通信部118が接続されている。ボディ側第1通信部117は保持部102に接続されており、保持部102に設けられた複数の接点を介して、レンズ側第1通信部217と信号の送受信を行うことができる。同様に、ボディ側第2通信部118はレンズ側第2通信部218と信号の送受信を行うことができる。換言すれば、ボディ側第1通信部117とボディ側第2通信部118はそれぞれ、ボディ側の通信インターフェースである。ボディ制御部103はこれら通信インターフェースを使って、レンズ鏡筒200(レンズ制御部203)との間で、後述する各通信(ホットライン通信、コマンドデータ通信)を行う。
【0021】
カメラボディ100の背面には、LCDパネル等により構成される表示装置111が配置される。ボディ制御部103はこの表示装置111に対し、撮像素子104の出力に基づく被写体の画像(いわゆるスルー画)や、撮影条件等を設定するための各種のメニュー画面を表示する。
【0022】
カメラボディ100は、静止画を撮影する静止画撮影モードと、動画を撮影する動画撮影モードと、の2種類の撮影モードを有している。ユーザがカメラボディ100に対してこれらの撮影モードの設定を指示すると、ボディ制御部103は当該撮影モードでの動作を開始する。カメラボディ100は不図示のマイクを備えており、動画撮影時にはこのマイクに入力された音声が映像と共に不図示の記憶媒体に記憶される。
【0023】
(自動焦点調節の説明)
ボディ制御部103は、周知の自動焦点調節処理を実行可能に構成されている。この自動焦点調節処理において、ボディ制御部103は2種類の焦点検出処理を使い分けることが可能に構成されている。具体的には、ボディ制御部103はいわゆる撮像面位相差検出方式の焦点検出処理と、いわゆるコントラスト検出方式の焦点検出処理とを使い分けることが可能である。ボディ制御部103は、撮影状況や被写体の特性等に応じてこれら2種類の焦点検出処理を使い分ける。
【0024】
ボディ制御部103による撮像面位相差検出方式の焦点検出処理について説明する。本実施形態の撮像素子104は、フォーカス検出用の画素(焦点検出用画素と呼ぶ)を有する。フォーカス検出用画素は、特開2007−317951号公報に記載されているものと同様のものである。ボディ制御部103は、焦点検出用画素からの画素出力データを用いて周知の位相差検出演算を行うことにより、焦点検出処理を行う。なお、この位相差検出演算については、例えば特開2007−317951号公報に記載されているものと同様のものであるため、説明を省略する。ボディ制御部103は、この焦点検出処理により得られたデフォーカス量に基づいて、フォーカシングレンズ駆動部212にフォーカシングレンズ210bを駆動させることにより、自動焦点調節を行う。
【0025】
ボディ制御部103によるコントラスト検出方式の焦点検出処理について説明する。ボディ制御部103は、撮像素子104が有する撮像用画素からの画素出力データを用いて周知のコントラスト検出演算を行う。ボディ制御部103はこのコントラスト検出演算を、フォーカシングレンズ210bを至近側の駆動限界位置と無限遠側の駆動限界位置との間で駆動させながら行い、焦点評価値(コントラスト値)がピークとなるフォーカシングレンズ210bの位置を検出することにより、自動焦点調節を行う。
【0026】
(温度センサ214の説明)
図3は、温度センサ214の配置を示したレンズ鏡筒200の断面図である。図3の左側が被写体方向、図3の右側がカメラボディ100方向である。レンズ鏡筒200内には、レンズ制御部203等が配置されたメイン基板242が設けられている。ぶれ補正レンズ210cはぶれ補正基板241にばね等で固定されている。ぶれ補正基板241上には、ぶれ補正レンズ210cを駆動するためのボイスコイルモータ(不図示)やぶれ補正レンズ210cの位置を検知するためのセンサ(不図示)等が配置される。ぶれ補正基板241とメイン基板242はフレキシブルケーブル243により電気的に接続されている。本実施形態では、このメイン基板242のカメラボディ100側の面に温度センサ214が実装されている。
【0027】
なお、図3に破線で示すように、温度センサ214がフレキシブルケーブル243の表面に実装されていてもよい。また、これらの位置とは異なる場所に温度センサ214が配置されていてもよい。
【0028】
(保持部102,202の説明)
図4は保持部102,202の詳細を示す模式図である。なお図4において保持部102がレンズマウント101の右側に配置されているのは、実際のマウント構造に倣ったものである。すなわち、本実施形態の保持部102は、カメラボディ100のレンズマウント101のマウント面よりも奥まった場所(図4においてレンズマウント101よりも右側の場所)に配置されている。同様に、保持部202がレンズマウント201の右側に配置されているのは、本実施形態の保持部202がレンズ鏡筒200のレンズマウント201のマウント面よりも突出した場所に配置されていることを表している。保持部102と保持部202がこのように配置されているので、レンズマウント101のマウント面とレンズマウント201のマウント面とを接触させて、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とをマウント結合させると、保持部102と保持部202とが接続され、両保持部に設けられている電気接点同士も接続することになる。このようなマウント構造については周知であるのでこれ以上の説明、図示を省略する。
【0029】
図4に示すように、保持部102にはBP1〜BP12の12個の接点が存在する。また保持部202には、上記の12個の接点にそれぞれ対応する、LP1〜LP12の12個の接点が存在する。
【0030】
接点BP1および接点BP2は、カメラボディ100内の第1電源回路130に接続されている。第1電源回路130は、接点BP1に、アクチュエータ等の駆動系を有し消費電力が比較的大きい回路(フォーカシングレンズ駆動部212など)を除くレンズ鏡筒200内の各部の動作電圧を供給する。すなわち、接点BP1および接点LP1からは、上記の各駆動部を除くレンズ鏡筒200内の各部の動作電圧が供給される。この接点BP1に供給可能な電圧値は、最小電圧値〜最大電圧値の範囲(例えば3V台での電圧幅)をもつが、標準的に供給される電圧値はその最大電圧値と最小電圧値の中間値近傍の電圧値である。そしてこれにより、カメラボディ100側からレンズ鏡筒200側に供給される電流値は、電源ON状態において、約数10mA〜数100mAの範囲内の電流値である。
【0031】
接点BP2は、接点BP1に与えられる上記動作電圧に対応する接地端子である。すなわち、接点BP2および接点LP2は、上記の動作電圧に対応する接地端子電圧である。
【0032】
以下の説明では、接点BP1および接点LP1により構成される信号線を、信号線V33と呼ぶ。また、接点BP2および接点LP2により構成される信号線を、信号線GNDと呼ぶ。これらの接点LP1,LP2、BP1,BP2は、カメラボディ100側からレンズ鏡筒200側へ電源供給するための、電源系接点を構成する。
【0033】
接点BP3,BP4,BP5,およびBP6は、ボディ側第1通信部117に接続されている。これらの接点に対応するレンズ鏡筒200側の接点LP3,LP4,LP5,およびLP6は、レンズ側第1通信部217に接続されている。ボディ側第1通信部117とレンズ側第1通信部217は、これらの接点(通信系接点)を用いて、互いに信号の送受信を行う。ボディ側第1通信部117とレンズ側第1通信部217が行う通信の内容については、後に詳述する。
【0034】
なお以下の説明では、接点BP3および接点LP3により構成される信号線を、信号線CLKと呼ぶ。同様に、接点BP4および接点LP4により構成される信号線を信号線BDATと、接点BP5および接点LP5により構成される信号線を信号線LDATと、接点BP6および接点LP6により構成される信号線を信号線RDYと呼ぶ。
【0035】
接点BP7,BP8,BP9,およびBP10は、ボディ側第2通信部118に接続されている。これらの接点に対応するレンズ鏡筒200側の接点LP7,LP8,LP9,およびLP10は、レンズ側第2通信部218に接続されている。レンズ側第2通信部218は、これらの接点(通信系接点)を用いて、ボディ側第2通信部118に信号の送信を行う。ボディ側第2通信部118とレンズ側第2通信部218が行う通信の内容については、後に詳述する。
【0036】
なお以下の説明では、接点BP7および接点LP7により構成される信号線を、信号線HREQと呼ぶ。同様に、接点BP8および接点LP8により構成される信号線を信号線HANSと、接点BP9および接点LP9により構成される信号線を信号線HCLKと、接点BP10および接点LP10により構成される信号線を信号線HDATと呼ぶ。
【0037】
接点BP11および接点BP12は、カメラボディ100内の第2電源回路131に接続されている。第2電源回路131は、接点BP12に、アクチュエータ等の駆動系を有し消費電力が比較的大きい回路(フォーカシングレンズ駆動部212など)の駆動電圧を供給する。すなわち、接点BP12および接点LP12からは、フォーカシングレンズ駆動部212の駆動電圧が供給される。この接点BP12に供給可能な電圧値は、最小電圧値〜最大電圧値の範囲をもつが、その範囲はいずれも、前述した接点BP1に供給可能な電圧値範囲よりも大きい電圧値である(例えば、接点BP12に供給可能な最大電圧値は、接点BP1に供給可能な最大電圧値の数倍程度)。即ち接点BP12に供給される電圧値は、上述の接点BP1に供給される電圧値とは、その大きさが異なる電圧値である。なお接点BP12に標準的に供給される電圧値は、接点BP12に供給可能な最大電圧値と最小電圧値の中間値近傍の電圧値である。そしてこれにより、カメラボディ100側からレンズ鏡筒200側に供給される電流は、電源ON状態において、約10mA〜数Aの電流値となる。
【0038】
接点BP11は、接点BP12に与えられる上記駆動電圧に対応する接地端子である。すなわち、接点BP11および接点LP11は、上記駆動電圧に対応する接地端子である。
【0039】
以下の説明では、接点BP11および接点LP11により構成される信号線を、信号線PGNDと呼ぶ。また、接点BP12および接点LP12により構成される信号線を、信号線BATと呼ぶ。これらの接点LP11,LP12、BP11,BP12は、カメラボディ100側からレンズ鏡筒200側へ電源供給するための、電源系接点を構成する。
【0040】
なお、上述の接点BP12、接点LP12に供給される電圧値(電流値)と、接点BP1,LP1に供給される電圧値(電流値)との大小関係から明らかなように、それら各接点に供給される電圧にそれぞれに対する接地端子となる接点BP11および接点LP11を流れる電流の最大値と最小値との差は、接点BP2および接点LP2を流れる電流の最大値と最小値との差よりも大きくなっている。これは、アクチュエータ等の駆動系を有する各駆動部が消費する電力が、レンズ鏡筒200内のレンズ制御部203等の電子回路に比べて大きいこと、ならびに、被駆動部材を駆動する必要がない場合には各駆動部が電力を消費しないことに拠る。
【0041】
(コマンドデータ通信の説明)
レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217を制御して、接点LP3〜LP6、すなわち信号線CLK,BDAT,LDAT,およびRDYを介して、ボディ側第1通信部117からの制御データの受信と、ボディ側第1通信部117への応答データの送信とを並行して、第1の所定周期(本実施形態では例えば16ミリ秒)で行う。以下、レンズ側第1通信部217とボディ側第1通信部117との間で行われる通信の詳細を説明する。
【0042】
なお、本実施形態において、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217と、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117との間で行われる通信を「コマンドデータ通信」と称する。また、コマンドデータ通信に利用される4つの信号線(信号線CLK,BDAT,LDAT,およびRDY)から成る伝送路を第1伝送路と称する。
【0043】
図5は、コマンドデータ通信の例を示すタイミングチャートである。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は、コマンドデータ通信の開始時(T1)、まず信号線RDYの信号レベルを確認する。信号線RDYの信号レベルはレンズ側第1通信部217の通信可否を表している。レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、通信できない状態である場合には、接点LP6からH(High)レベルの信号を出力する。すなわち、信号線RDYの信号レベルをHレベルにする。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は、信号線RDYがHレベルである場合、これがLレベルになるまで通信開始しない。また通信中の次の処理を実行しない。
【0044】
信号線RDYがL(Low)レベルであれば、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は接点BP3からクロック信号401を出力する。すなわち、信号線CLKを介してレンズ側第1通信部217にクロック信号401を伝送する。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこのクロック信号401に同期して、接点BP4から制御データの前半部分であるボディ側コマンドパケット信号402を出力する。すなわち、信号線BDATを介してレンズ側第1通信部217にボディ側コマンドパケット信号402を伝送する。
【0045】
また、信号線CLKにクロック信号401が出力されると、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、クロック信号401に同期して接点LP5から応答データの前半部分であるレンズ側コマンドパケット信号403を出力する。すなわち、信号線LDATを介してボディ側第1通信部117にレンズ側コマンドパケット信号403を伝送する。
【0046】
レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、レンズ側コマンドパケット信号403の送信完了に応じて、信号線RDYの信号レベルをHレベルにする(T2)。レンズ制御部203は、受信したボディ側コマンドパケット信号402の内容に応じた処理である第1制御処理404(後述)を開始する。
【0047】
レンズ制御部203は第1制御処理404が完了すると、レンズ側第1通信部217に第1制御処理404の完了を通知する。レンズ側第1通信部217はこの通知に応じて、接点LP6からLレベルの信号を出力する。すなわち、信号線RDYの信号レベルをLレベルにする(T3)。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこの信号レベルの変化に応じて、接点BP3からクロック信号405を出力する。すなわち、信号線CLKを介してレンズ側第1通信部217にクロック信号405を伝送する。
【0048】
ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこのクロック信号405に同期して、接点BP4から制御データの後半部分であるボディ側データパケット信号406を出力する。すなわち、信号線BDATを介してレンズ側第1通信部217にボディ側データパケット信号406を伝送する。
【0049】
また、信号線CLKにクロック信号405が出力されると、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217はクロック信号405に同期して接点LP5から応答データの後半部分であるレンズがデータパケット信号407を出力する。すなわち、信号線LDATを介してボディ側第1通信部117にレンズ側データパケット信号407を伝送する。
【0050】
レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、レンズ側データパケット信号407の送信完了に応じて、信号線RDYの信号レベルを再びHレベルにする(T4)。レンズ制御部203は、受信したボディ側データパケット信号406の内容に応じた処理である第2制御処理408(後述)を開始する。
【0051】
ここで、レンズ制御部203が行う第1制御処理404、および第2制御処理408について述べる。
【0052】
例えば、受信したボディ側コマンドパケット信号402が、レンズ鏡筒側の特定のデータを要求する内容であった場合について述べる。レンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402の内容を解析処理すると共に、当該要求されている特定データを生成する処理を実行する。更にレンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402に含まれているチェックサムデータを用いて、コマンドパケット信号402の通信にエラーがないか否かをデータバイト数から簡易的にチェックする通信エラーチェック処理をも実行する。この第1制御処理404で生成された特定データの信号は、レンズ側データパケット信号407としてボディ側に出力される。なお、この場合においてコマンドパケット信号402の後でボディ側から出力されるボディ側データパケット信号406は、レンズ側にとっては特に意味をなさないダミーデータ信号(チェックサムデータは含む)となっている。この場合にはレンズ制御部203は、第2制御処理408として、ボディ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いた、上述の如き通信エラーチェック処理を実行する。
【0053】
また例えば、受信したボディ側コマンドパケット信号402が、レンズ側の被駆動部材を駆動する指示であった場合について述べる。例えば、コマンドパケット信号402がフォーカシングレンズ210bの駆動指示であり、受信したボディ側データパケット信号406がフォーカシングレンズ210bの駆動量であった場合について述べる。レンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402の内容を解析処理すると共に、その内容を理解したことを表す了解信号を生成する。更にレンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402に含まれているチェックサムデータを用いて、上述の如き通信エラーチェック処理をも実行する。この第1制御処理404で生成された了解信号は、レンズ側データパケット信号407としてボディ側に出力される。またレンズ制御部203は、第2制御処理408として、ボディ側データパケット信号406の内容の解析処理を実行すると共に、ボディ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いた上述の如き通信エラーチェック処理を実行する。
【0054】
レンズ制御部203は第2制御処理408が完了すると、レンズ側第1通信部217に第2制御処理408の完了を通知する。これによってレンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217に、接点LP6からLレベルの信号を出力させる。すなわち、信号線RDYの信号レベルをLレベルにする(T5)。
【0055】
なお受信したボディ側コマンドパケット信号402が、上述のようなレンズ側の被駆動部材(たとえばフォーカシングレンズ)を駆動する指示であった場合、レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217に信号線RDYの信号レベルをLレベルにさせつつ、フォーカシングレンズ駆動部212に対して、フォーカシングレンズ210bを当該駆動量だけ駆動する処理を実行させる。
【0056】
上述した時刻T1〜時刻T5に行われた通信が、1回のコマンドデータ通信である。上述のように、1回のコマンドデータ通信では、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117により、ボディ側コマンドパケット信号402およびボディ側データパケット信号406がそれぞれ1つずつ送信される。すなわち、処理の都合上2つに分割されて送信されるものの、ボディ側コマンドパケット信号402およびボディ側データパケット信号406は2つ合わせて1つの制御データを構成する。
【0057】
同様に、1回のコマンドデータ通信では、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217によりレンズ側コマンドパケット信号403およびレンズ側データパケット信号407がそれぞれ1つずつ送信される。すなわち、レンズ側コマンドパケット信号403およびレンズ側データパケット信号407は2つ合わせて1つの応答データを構成する。
【0058】
以上のように、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、ボディ側第1通信部117からの制御データの受信と、ボディ側第1通信部117への応答データの送信とを並行して行う。コマンドデータ通信に利用される接点LP6および接点BP6は、他のクロック信号に同期しない非同期信号(信号線RDYの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点である。
【0059】
(ホットライン通信の説明)
レンズ制御部203は、レンズ側第2通信部218を制御して、接点LP7〜LP10、すなわち信号線HREQ,HANS,HCLK,およびHDATを介して、ボディ側第2通信部118へレンズ位置データを送信する。以下、レンズ側第2通信部218とボディ側第2通信部118との間で行われる通信の詳細を説明する。
【0060】
なお、本実施形態において、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218と、ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118との間で行われる通信を「ホットライン通信」と称する。また、ホットライン通信に利用される4つの信号線(信号線HREQ,HANS,HCLK,およびHDAT)から成る伝送路を第2伝送路と称する。
【0061】
図6は、ホットライン通信の例を示すタイミングチャートである。本実施形態のボディ制御部103は、ホットライン通信を第2の所定周期(本実施形態では例えば1ミリ秒)毎に開始するように構成されている。この周期は、コマンドデータ通信を行う周期よりも短い。図6(a)は、ホットライン通信が所定周期Tn毎に繰り返し実行されている様子を示す図である。繰り返し実行されるホットライン通信のうち、ある1回の通信の期間Txを拡大した様子が図6(b)に示されている。以下、図6(b)のタイミングチャートに基づいて、ホットライン通信の手順を説明する。
【0062】
ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118は、ホットライン通信の開始時(T6)、まず接点BP7からLレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HREQの信号レベルをLレベルにする。レンズ側第2通信部218は、この信号が接点LP7に入力されたことをレンズ制御部203に通知する。レンズ制御部203はこの通知に応じて、レンズ位置データを生成する生成処理501の実行を開始する。生成処理501とは、レンズ制御部203が不図示のフォーカシングレンズ位置検出部にフォーカシングレンズ210bの位置を検出させ、検出結果を表すレンズ位置データを生成する処理である。
【0063】
レンズ制御部203が生成処理501を実行完了すると、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は接点LP8からLレベルの信号を出力する(T7)。すなわち、信号線HANSの信号レベルをLレベルにする。ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118は、この信号が接点BP8に入力されたことに応じて、接点BP9からクロック信号502を出力する。すなわち、信号線HCLKを介してレンズ側第2通信部218にクロック信号を伝送する。
【0064】
レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は、このクロック信号502に同期して、接点LP10からレンズ位置データを表すレンズ位置データ信号503を出力する。すなわち、信号線HDATを介してボディ側第2通信部118にレンズ位置データ信号503を伝送する。
【0065】
レンズ位置データ信号503の送信が完了すると、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は接点LP8からHレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HANSの信号レベルをHレベルにする(T8)。ボディ側第2通信部118は、この信号が接点BP8に入力されたことに応じて、接点LP7からHレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HREQの信号レベルをHレベルにする(T9)。
【0066】
上述した時刻T6〜時刻T9に行われた通信が、1回のホットライン通信である。上述のように、1回のホットライン通信では、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218により、レンズ位置データ信号503が1つ送信される。ホットライン通信に利用される接点LP7、LP8、BP7、およびBP8は、他のクロック信号に同期しない非同期信号が伝送される接点である。つまり接点LP7およびBP7は、非同期信号(信号線HREQの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点であり、接点LP8およびBP8は、非同期信号(信号線HANSの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点である。
【0067】
なお、コマンドデータ通信とホットライン通信は、同時にも或いは一部並行的にも実行することが可能である。すなわち、レンズ側第1通信部217とレンズ側第2通信部218との一方は、その他方がカメラボディ100と通信を行っている場合であってもカメラボディ100と通信を行うことが可能である。
【0068】
(フォーカシングレンズ210bの駆動速度の説明)
本カメラシステムにおいて、フォーカシングレンズ210bの駆動速度はボディ制御部103が決定する。ボディ制御部103がフォーカシングレンズ210bの駆動速度を含む駆動信号をレンズ制御部203(フォーカシングレンズ駆動部212)に送信すると、フォーカシングレンズ駆動部212は当該駆動速度でフォーカシングレンズ210bを駆動する。このような動作を行うためには、ボディ制御部103はフォーカシングレンズ駆動部212がどの程度の駆動速度でフォーカシングレンズ210bを駆動できるのかを知らなくてはならない。
【0069】
そこでレンズ制御部203は、静止画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの最大駆動速度(以下、静止画用最大駆動速度と称する)と、動画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの最大駆動速度(以下、動画用最大駆動速度と称する)とを、所定期間(例えば16ミリ秒)ごとにホットライン通信によりボディ制御部103に送信する。
【0070】
静止画撮影のとき、フォーカシングレンズ210bを高速に駆動しても問題は生じない。従って、本実施形態における静止画用最大駆動速度とは、フォーカシングレンズ駆動部212が有するモータや伝達系により定まる最大の駆動速度である。換言すると、本実施形態における静止画用最大駆動速度は、フォーカシングレンズ駆動部212の駆動能力の限界を表す速度である。
【0071】
他方、動画撮影を行う場合、記録される動画品質の観点から、次のような点に注意してフォーカシングレンズ210bを駆動しなければならない。まず、フォーカシングレンズ210bを高速に駆動すればするほど、上記のモータや駆動系による駆動音が大きくなる。このような駆動音がマイクに拾われると雑音となってしまう。次に、フォーカシングレンズ210bの駆動による像変倍が大きすぎると、ユーザの意図しない画角の変化が発生し、見栄えが損なわれてしまう。このような像変倍は、特にバリフォーカルレンズにおいて顕著である。最後に、フォーカシングレンズ210bの駆動によるボケ量の変化が急すぎると、動画の視聴者が戸惑いを感じてしまうため、ピントの移動はある程度ゆっくりとしていることが望ましい。このような点から、本実施形態における動画用最大駆動速度は、フォーカシングレンズ駆動部212の駆動能力の限界よりも遅い速度としている。以下、動画用最大駆動速度の決定方法について説明する。
【0072】
図7は、動画用最大駆動速度の決定方法を示す図である。図7(a)は、レンズ駆動速度と発生する駆動音量との関係を示すグラフである。本実施形態では、動画用最大駆動速度は、駆動音量が所定量を下回るように決定される。図7(b)は、レンズ駆動速度と撮影倍率変化率(単位時間あたりの撮影倍率変化量)との関係を示すグラフである。本実施形態では、動画用最大駆動速度は、撮影倍率変化率が所定量(例えば、1秒あたり5%)を下回るように決定される。図7(c)は、レンズ駆動速度と像面移動速度(単位時間あたりの像面移動量)との関係を示すグラフである。本実施形態では、動画用最大駆動速度は、像面移動速度が所定量(例えば、1秒あたり焦点深度の2倍)を下回るように決定される。
【0073】
つまり、本実施形態における動画用最大駆動速度とは、駆動音量と、単位時間あたりの撮影倍率変化量と、単位時間あたりの像面移動量と、がそれぞれ所定のしきい値未満となる最大の駆動速度である。
【0074】
ところで、フォーカシングレンズ駆動部212の駆動能力の限界や、上記の駆動音量などは、モータの温度により変動する。例えば低温になればなるほど、モータの駆動能力は低下する。そこで本実施形態では、上記のように決定される静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度が、所定の温度範囲ごとにテーブルとしてROM215に記憶されている。例えば、気温が摂氏10度以上15度未満のときの静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度、摂氏15度以上20度未満のときの静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度、などがROM215に記憶されている。なお、ROM215に記憶されている静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度は、温度センサ214により検出された温度が低いほど小さい数値となっている。
【0075】
レンズ制御部203は、温度センサ214により検出された温度に対応する静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度を、ROM215に記憶されている上記のテーブルから読み出して、カメラボディ100に送信する。すなわちレンズ制御部203は、温度センサ214から出力された温度信号に応じて、カメラボディ100に送信される静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度を変化させる。
【0076】
ボディ制御部103は、レンズ制御部203により送信された静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度に基づいて、レンズ制御部203にフォーカシングレンズ210bの駆動信号を送信する。駆動信号には、当該信号がフォーカシングレンズ210bの駆動信号であることを表す所定の識別子と、フォーカシングレンズ210bの駆動量および駆動方向と、フォーカシングレンズ210bの駆動速度と、が含まれている。
【0077】
ボディ制御部103は、静止画撮影モードのときは上記の静止画用最大駆動速度によるフォーカシングレンズ210bの駆動を指示し、動画撮影モードのときは上記の動画用最大駆動速度によるフォーカシングレンズ210bの駆動を指示する。なお、ボディ制御部103は、フォーカシングレンズ210bを常に最大速度で駆動させるわけではない。例えば移動する被写体を追尾しつつ自動焦点調節を行う場合や、いわゆるコントラストAFを行う場合のサーチ動作時などにおいては、上記の最大速度より遅い速度でフォーカシングレンズ210bを駆動する場合がある。ただし、このような場合であったとしても、レンズ鏡筒200から送信された最大速度を超える速度でフォーカシングレンズ210bを駆動させることはない。
【0078】
(フォーカシングレンズ210bの加減速制御の説明)
上述したフォーカシングレンズ210bの駆動音量は、加速度および減速度によってもその大小が変化する。そこで本実施形態では、ROM215に予め加減速度に関する4つのデータを記憶している。4つのデータとは、静止画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの加速度と、静止画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの減速度と、動画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの加速度と、動画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの減速度である。以下、これらのデータについて説明する。
【0079】
静止画撮影に適した加速度および減速度は、静止画用最大駆動速度と同様に、フォーカシングレンズ駆動部212の駆動能力の限界を表す値である。他方、動画撮影に適した加速度および減速度は、駆動音量などを考慮し静止画撮影の場合よりも低い値としている。
【0080】
ボディ制御部103は電源オン時や撮影モードの変更時などに、レンズ制御部203へコマンドデータ通信によって現在の撮影モード(静止画撮影モードまたは動画撮影モード)を表すデータを送信する。レンズ制御部203はこのデータを受信することで、現在の撮影モードを常に把握している。そして、ボディ制御部103から駆動信号が送信されたとき、現在の撮影モードに応じてフォーカシングレンズ210bの加速度および減速度を切り替える。
【0081】
具体的には、レンズ制御部203は駆動信号が送信されると、まずカメラボディ100が静止画撮影モードで動作しているか、動画撮影モードで動作しているかを判断する。そして、静止画撮影モードで動作していると判断した場合には、フォーカシングレンズ駆動部212が、静止画撮影に適した加速度および減速度に基づいてフォーカシングレンズ210bを駆動する。他方、動画撮影モードで動作していると判断した場合には、フォーカシングレンズ駆動部212は、動画撮影に適した加速度および減速度に基づいてフォーカシングレンズ210bを駆動する。
【0082】
なお、加速度と減速度とをROM215に別々に記憶しているのは、加速時の駆動音量の特性と減速時の駆動音量の特性とが異なることがあるためである。例えば、加速はゆっくりと行う必要があるが、減速は急激にしても問題ない場合などが考えられる。
【0083】
上述した第1の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)フォーカシングレンズ駆動部212は、フォーカシングレンズ210bを、レンズ側第1通信部217を介してカメラボディ100から受信した駆動信号に応じた駆動速度で駆動する。レンズ鏡筒200には、レンズ鏡筒200の温度を検出し温度信号を出力する温度センサ214が設けられている。レンズ制御部203は、静止画用最大駆動速度と動画用最大駆動速度とをカメラボディ100に送信するようにレンズ側第1通信部217を制御する。レンズ制御部203は、温度センサ214から出力された温度信号に応じて、カメラボディ100に送信される静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度を変化させる。このようにしたので、気温の変化により駆動音が変化した場合であっても、レンズの駆動速度を適切に変化させることが可能となる。
【0084】
(2)フォーカシングレンズ駆動部212は、駆動力を発生させるモータと、駆動力をフォーカシングレンズに伝達する伝達系とを有している。静止画用最大駆動速度は、モータおよび伝達系により定まる最大の駆動速度とし、動画用最大駆動速度は、駆動音量と、単位時間あたりの撮影倍率変化量と、単位時間あたりの像面移動量と、がそれぞれ所定のしきい値未満となる最大の駆動速度とした。このようにしたので、動画撮影中に自動焦点調節を行う場合であっても適切な撮影結果を得ることができる。
【0085】
(3)レンズ制御部203は、温度センサ214により検出された温度が低いほど、カメラボディ100に送信される静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度を小さくする。このようにしたので、低温環境下でフォーカシングレンズ210bの駆動能力が低下する場合であっても、カメラボディ100からフォーカシングレンズ210bを適切に制御できる。
【0086】
(4)ROM215には、静止画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの加速度および減速度と、動画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの加速度および減速度とが記憶されている。レンズ制御部203は、カメラボディ100が静止画を撮影する静止画撮影モードで動作しているか、あるいは動画を撮影する動画撮影モードで動作しているかを判断する。フォーカシングレンズ駆動部212は、カメラボディ100が静止画撮影モードで動作していると判断された場合には静止画撮影に適した加速度および減速度に基づいてフォーカシングレンズ210bを駆動し、カメラボディ100が動画撮影モードで動作していると判断された場合には動画撮影に適した加速度および減速度に基づいてフォーカシングレンズ210bを駆動する。このようにしたので、加減速中の駆動音量を考慮した、適切なレンズ駆動を行うことができる。
【0087】
(5)ボディ制御部103からレンズ鏡筒200に送信される駆動信号には、フォーカシングレンズ210bの駆動量と、駆動方向と、駆動速度とが含まれる。このようにしたので、フォーカシングレンズ210bを駆動させる都度、適切な駆動速度を指定することが可能となる。
【0088】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係るカメラシステムは、第1の実施の形態に係るカメラシステムと同様の構成を備える。なお、第1の実施の形態に係るデジタルカメラと同様の箇所については同一の符号を付し説明を省略する。
【0089】
第2の実施の形態に係るカメラシステムにおいて、レンズ制御部203は、静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度をカメラボディ100に送信する際、これらのデータと共に、ROM215に記憶されている各加減速度もカメラボディ100に送信する。つまり本実施形態のレンズ制御部203は、所定周期(例えば16ミリ秒)ごとに、静止画用最大駆動速度と、動画用最大駆動速度と、静止画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの加速度および減速度と、動画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの加速度および減速度と、をカメラボディ100(ボディ制御部103)に送信する。
【0090】
ボディ制御部103は、レンズ制御部203から受信した加速度および減速度に基づいて、加速度および減速度を含む駆動信号をレンズ鏡筒200(レンズ制御部203)に送信する。フォーカシングレンズ駆動部212はボディ制御部103から指定された駆動速度および加減速度に基づいて、フォーカシングレンズ210bを駆動する。つまり本実施形態では、レンズ制御部203が静止画撮影モードと動画撮影モードとを判断するのではなく、ボディ制御部103が静止画撮影モードと動画撮影モードとを判断する。従って、本実施形態では、ボディ制御部103からレンズ鏡筒200に、カメラボディ100の撮影モードを送信する必要がない。
【0091】
上述した第2の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)レンズ制御部203が、静止画用最大駆動速度と動画用最大駆動速度とに加えて、静止画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの加速度および減速度と、動画撮影に適したフォーカシングレンズ210bの加速度および減速度とをカメラボディ100に送信するようにレンズ側第1通信部217を制御するようにした。また、カメラボディ100から送信される駆動信号に、フォーカシングレンズ210bの加速度および減速度が含まれるようにした。このようにしたので、カメラボディ100側から加速度および減速度の柔軟な制御が可能となる。
【0092】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係るカメラシステムは、第1の実施の形態に係るカメラシステムと同様の構成を備える。なお、第1の実施の形態に係るデジタルカメラと同様の箇所については同一の符号を付し説明を省略する。
【0093】
温度センサ214により検出された温度が一定であれば、静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度も一定の値となる。従ってこのような場合、静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度をレンズ制御部203から繰り返し送信する必要はない。そこで、本実施形態のレンズ制御部203は、各駆動速度を定期的に送信するのではなく、温度センサ214により検出されたレンズ鏡筒200の温度が変化した場合にのみ、各駆動速度を送信する。
【0094】
すなわち、本実施形態のレンズ制御部203は、温度センサ214により検出された温度が変化したことに応じて、静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度をカメラボディ100に送信する。
【0095】
上述した第3の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)レンズ制御部203が、温度センサ214により検出された温度が変化したことに応じて、静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度をカメラボディ100に送信するようにレンズ側第1通信部217を制御するようにした。このようにしたので、温度が変化していない場合の通信量が削減される。
【0096】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0097】
(変形例1)
上述した各実施の形態では、動画用最大駆動速度を、駆動音量と、単位時間あたりの撮影倍率変化量と、単位時間あたりの像面移動量と、がそれぞれ所定のしきい値未満となる最大の駆動速度に設定していた。つまり、駆動音量を考慮した場合の最大の駆動速度と、撮影倍率変化率を考慮した場合の最大の駆動速度と、像面移動速度を考慮した場合の最大の駆動速度と、のうち最も小さい駆動速度を、動画用最大駆動速度としてカメラボディ100に送信していた。これを、これら3つの全ての駆動速度がカメラボディ100に送信されるようにしてもよい。このようにすることで、カメラボディ100はレンズ鏡筒200から受信した3つの最大駆動速度から、状況に応じてもっとも相応しい最大駆動速度を選択することが可能となる。
【0098】
(変形例2)
上述した各実施の形態において、温度センサ214は、レンズ鏡筒の温度を検出し温度信号を出力していた。これを、レンズ鏡筒の外部の気温を検出するようにしてもよい。この場合、レンズ制御部203が、温度センサ214から出力された温度信号と共に、レンズ鏡筒の内部に存在する発熱部材(例えばフォーカシングレンズ駆動部212)の稼働状況(例えばフォーカシングレンズ駆動部212によるフォーカシングレンズ210bの通算駆動時間や通算駆動距離、通電時間の積算等)に基づいて、カメラボディ100に送信される静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度を変化させるようにすればよい。換言すれば、レンズ制御部203が、レンズ鏡筒の外部の気温とフォーカシングレンズ駆動部212の稼働状況とから、レンズ鏡筒の内部の温度を推定し、推定した温度に基づいて静止画用最大駆動速度および動画用最大駆動速度を変化させるようにすればよい。このようにすることで、温度センサ214をレンズ鏡筒の内部に設置する必要がなくなるので、レンズ鏡筒の内部に必要な空間を削減でき、レンズ鏡筒の小型化およびレンズ鏡筒の製造の簡略化を行うことができる。
【0099】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1…カメラ、100…カメラボディ、101…レンズマウント、102…保持部、103…ボディ制御部、117…ボディ側第1通信部、118…ボディ側第2通信部、200…レンズ鏡筒、201…レンズマウント、202…保持部、203…レンズ制御部、210…結像光学系、210b…フォーカシングレンズ、212…フォーカシングレンズ駆動部、214…温度センサ、215…ROM、217…レンズ側第1通信部、218…レンズ側第2通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラボディが取り付け可能な取付部と、
前記カメラボディとの信号の送受信が可能な送受信部と、
フォーカシングレンズを有する結像光学系と、
前記フォーカシングレンズを、前記送受信部を介して前記カメラボディから受信した駆動信号に応じた駆動速度で駆動する駆動部と、
レンズ鏡筒の温度を検出し温度信号を出力する温度検出部と、
静止画撮影に適した前記フォーカシングレンズの最大駆動速度である静止画用最大駆動速度と、動画撮影に適した前記フォーカシングレンズの最大駆動速度である動画用最大駆動速度と、を前記カメラボディに送信するように前記送受信部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記温度検出部から出力された温度信号に応じて、前記カメラボディに送信される前記静止画用最大駆動速度および前記動画用最大駆動速度を変化させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
請求項1に記載のレンズ鏡筒において、
前記駆動部は、駆動力を発生させるモータと、前記駆動力を前記フォーカシングレンズに伝達する伝達系とを有し、
前記静止画用最大駆動速度は、前記モータおよび前記伝達系により定まる最大の駆動速度であり、
前記動画用最大駆動速度は、駆動音量と、単位時間あたりの撮影倍率変化量と、単位時間あたりの像面移動量と、がそれぞれ所定のしきい値未満となる最大の駆動速度であることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒において、
前記制御部は、前記温度検出部により検出された温度が低いほど、前記カメラボディに送信される前記静止画用最大駆動速度および前記動画用最大駆動速度を小さくすることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒において、
静止画撮影に適した前記フォーカシングレンズの加速度および減速度と、動画撮影に適した前記フォーカシングレンズの加速度および減速度と、を記憶する記憶部と、
前記カメラボディが静止画を撮影する静止画モードで動作しているか、あるいは動画を撮影する動画モードで動作しているかを判断する判断部とを更に備え、
前記駆動部は、前記判断部により前記カメラボディが前記静止画モードで動作していると判断された場合には前記静止画撮影に適した加速度および減速度に基づいて前記フォーカシングレンズを駆動し、前記判断部により前記カメラボディが前記動画モードで動作していると判断された場合には前記動画撮影に適した加速度および減速度に基づいて前記フォーカシングレンズを駆動することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒において、
前記制御部は、前記静止画用最大駆動速度と前記動画用最大駆動速度とに加えて、静止画撮影に適した前記フォーカシングレンズの加速度および減速度と、動画撮影に適した前記フォーカシングレンズの加速度および減速度と、を前記カメラボディに送信するように前記送受信部を制御し、
前記駆動信号は、前記フォーカシングレンズの加速度および減速度を含むことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒において、
前記駆動信号は、前記フォーカシングレンズの駆動量と、駆動方向と、駆動速度と、を含むことを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒において、
前記制御部は、前記温度検出部により検出された温度が変化したことに応じて、前記静止画用最大駆動速度および前記動画用最大駆動速度を前記カメラボディに送信するように前記送受信部を制御することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項8】
カメラボディと、前記カメラボディに取り付け可能なレンズ鏡筒と、から成るカメラシステムであって、
前記レンズ鏡筒は、
前記カメラボディとの信号の送受信が可能な第1送受信部と、
フォーカシングレンズを有する結像光学系と、
前記フォーカシングレンズを、前記送受信部を介して前記カメラボディから受信した駆動信号に応じた駆動速度で駆動する駆動部と、
レンズ鏡筒の温度を検出し温度信号を出力する温度検出部と、
静止画撮影に適した前記フォーカシングレンズの最大駆動速度である静止画用最大駆動速度と、動画撮影に適した前記フォーカシングレンズの最大駆動速度である動画用最大駆動速度と、を前記カメラボディに送信するように前記第1送受信部を制御するレンズ制御部と、
を有し、
前記カメラボディは、
前記第1送受信部との信号の送受信が可能な第2送受信部と、
前記第2送受信部を介して前記第1送受信部から受信した前記静止画用最大駆動速度および前記動画用最大駆動速度に基づいて、前記フォーカシングレンズの駆動量と、駆動方向と、駆動速度と、を含む前記駆動信号を前記第1送受信部に送信するように前記第2送受信部を制御するボディ制御部と、
を有することを特徴とするカメラシステム。
【請求項9】
カメラボディが取り付け可能な取付部と、
前記カメラボディとの信号の送受信が可能な送受信部と、
フォーカシングレンズを有する結像光学系と、
前記フォーカシングレンズを、前記送受信部を介して前記カメラボディから受信した駆動信号に応じた駆動速度で駆動する駆動部と、
レンズ鏡筒の外部の気温を検出し温度信号を出力する温度検出部と、
静止画撮影に適した前記フォーカシングレンズの最大駆動速度である静止画用最大駆動速度と、動画撮影に適した前記フォーカシングレンズの最大駆動速度である動画用最大駆動速度と、を前記カメラボディに送信するように前記送受信部を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記温度検出部から出力された温度信号と、少なくとも前記駆動部の稼働状況とに応じて、前記カメラボディに送信される前記静止画用最大駆動速度および前記動画用最大駆動速度を変化させることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項10】
請求項9に記載のレンズ鏡筒において、
前記制御部は、前記温度検出部から出力された温度信号と、前記駆動部による前記フォーカシングレンズの駆動時間、前記駆動部による前記フォーカシングレンズの駆動距離、および前記駆動部への通電時間の少なくとも1つとに応じて、前記カメラボディに送信される前記静止画用最大駆動速度および前記動画用最大駆動速度を変化させることを特徴とするレンズ鏡筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−215802(P2012−215802A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148362(P2011−148362)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】