説明

レンズ鏡筒及び撮像装置

【課題】絞り羽根専用アクチュエータを用いることなく、レンズ鏡筒ひいては撮像装置の小型化及び低コスト化を図ると共に、絞り羽根を駆動する機構の部品精度のばらつきに起因する絞り口径の変動を回避する仕組みを提供する。
【解決手段】レンズ鏡筒は、カム係合部261a,262aを有する絞り羽根261,262と、絞り羽根261,262を絞り開口を開閉する方向に回転可能に保持する2群地板21と、絞り羽根261,262を絞り開口を閉じる方向に付勢するばね263と、カム係合部261a,262aに係合するカム面81d,81eを有し、光軸方向に移動することで、カム係合部261a,262aとカム面81d,81eとのカム作用により、ばね263の付勢力に抗して絞り羽根261,262を開く方向に回転動作させる第2直進筒81と、ばね263の付勢力による、絞り羽根261,262の絞り開口を閉じる方向の回転動作を規制する規制手段21c,21d,261c,262cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り羽根を有し、ズーム動作に伴って絞り口径を変化させるレンズ鏡筒、及び該レンズ鏡筒を備えるデジタルカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置では、絞り羽根を駆動する機構として、アクチュエータにより絞り羽根に連動する部材を駆動することで、複数の絞り羽根を開閉方向に動作させて絞り口径を変化させるレンズ鏡筒を備えるものがある。
【0003】
しかし、このように絞り羽根専用のアクチュエータを設けると、レンズ鏡筒内の各羽根の周辺にアクチュエータを配設するためのスペースを確保しなければならず、レンズ鏡筒ひいてはカメラの小型化を妨げる原因になり、また、コストアップにもつながる。
【0004】
そこで、光軸方向に移動するレンズ鏡筒に溝カム等のカム部を設け、レンズ鏡筒が光軸方向に移動する際に、カム部によってレバー部材を動作させることで、レバー部材に連結された絞り羽根を駆動する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−211534号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、絞り羽根専用のアクチュエータは不要となるが、部品精度のばらつきによって、レバー部材とカム部との間や絞り羽根とレバー部材との間にがたつきが生じ、絞り口径が変動するおそれがある。
【0007】
そこで、絞り羽根専用アクチュエータを用いることなく、レンズ鏡筒ひいては撮像装置の小型化及び低コスト化を図ると共に、絞り羽根を駆動する機構の部品精度のばらつきに起因する絞り口径の変動を回避する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のレンズ鏡筒は、カム係合部を有する複数の絞り羽根と、前記絞り羽根を絞り開口を開閉する方向に回転可能に保持する保持部材と、前記絞り羽根を前記絞り開口を閉じる方向又は開く方向に付勢する付勢部材と、前記絞り羽根の前記カム係合部に係合するカム面を有し、光軸方向に移動することにより、前記カム係合部と前記カム面とのカム作用により、前記付勢部材の付勢力に抗して前記絞り羽根を動作させる移動部材と、前記付勢部材の付勢力による、前記絞り羽根の前記絞り開口を閉じる方向又は開く方向の動作を規制する規制手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、絞り羽根専用アクチュエータを用いることなく、レンズ鏡筒ひいては撮像装置の小型化及び低コスト化を図ることができると共に、絞り羽根を駆動する機構の部品精度のばらつきに起因する絞り口径の変動を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の撮像装置の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面側から見た外観斜視図である。
【図2】レンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図3】レンズ鏡筒の沈胴位置での断面図である。
【図4】レンズ鏡筒のワイド位置での断面図である。
【図5】レンズ鏡筒のテレ位置での断面図である。
【図6】2群ユニットの分解斜視図である。
【図7】2群地板と絞り羽根部との関係を示す斜視図である。
【図8】第2直進筒を像面側から見た斜視図である。
【図9】2群ユニットが組み込まれた第2直進筒を像面側から見た斜視図である。
【図10】第2直進筒のカム面と絞り羽根の当接部との当接位置がレンズ鏡筒のズーム位置に応じて変化する様子を説明するための図である。
【図11】第2直進筒のカム面と絞り羽根の当接部との当接位置がレンズ鏡筒のズーム位置に応じて変化する様子を説明するための図である。
【図12】レンズ鏡筒が沈胴位置又はワイド位置の停止位置にある状態を示す図である。
【図13】レンズ鏡筒がミドルポジションの停止位置にある状態を示す図である。
【図14】レンズ鏡筒がテレ端の停止位置にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の撮像装置の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面側から見た外観斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のデジタルカメラは、カメラ本体1の正面側に、レンズ鏡筒2が設けられている。レンズ鏡筒2は、沈胴位置と撮影位置との間を光軸方向に移動して撮影倍率を変更するズーム式とされている。
【0014】
図2は、レンズ鏡筒2の分解斜視図である。図3はレンズ鏡筒2の沈胴位置での断面図、図4はレンズ鏡筒2のワイド位置での断面図、図5はレンズ鏡筒2のテレ位置での断面図である。
【0015】
図2〜図5に示すように、レンズ鏡筒2は、1群ユニット10に1群レンズ1Lが保持され、2群ユニット20に2群レンズ2Lが保持され、3群ユニット30に3群レンズ3Lが保持されている。また、フィルタ4F、及び撮像素子4Sは、センサホルダユニット40を構成するセンサホルダ41に保持されている。なお、センサホルダ41は、ビス等によりカメラ本体1に固定される。
【0016】
固定筒51の内周部には、第1直進筒61の直進キー61dと係合して、第1直進筒61を光軸方向に直進ガイドするガイド部51aと、駆動筒71の回転に伴い、該駆動筒71を光軸方向へ移動させるためのカム溝51bとが設けられている。なお、固定筒51は、ビス等によりセンサホルダ41に固定される。
【0017】
第1直進筒61の内周部には、第1直進筒61を光軸方向に直進ガイドするガイド部61aと、移動カム筒91の回転に伴い、該移動カム筒91を光軸方向へ移動させるためのカム溝61bとが設けられている。
【0018】
駆動筒71の外周面には、固定筒51のカム溝51bと係合するカムピン71b、及びギアユニット50のギア55と噛合するギア71aが設けられている。そして、モータ56が回転すると、ギア55,71aを介して駆動筒71にモータ56の駆動力が伝達され、駆動筒71は、回転しながら光軸方向へ移動する。
【0019】
また、駆動筒71の内周部には、第1直進筒61の係合キー61cと係合する係合溝71cが設けられており、この係合により、駆動筒71は、第1直進筒61と共に光軸方向へ移動する。
【0020】
第2直進筒81には、第1直進筒61のガイド部61aと係合する係合キー81b、2群地板21のカムピン21aを光軸方向に直進ガイドするガイド溝81a、及び1群筒11を光軸方向に直進ガイドするガイド溝81cが設けられている。
【0021】
移動カム筒91の外周部には、カムピン91a、及び駆動ピン91bが設けられている。カムピン91aは、第1直進筒61のカム溝61bと係合し、駆動ピン91bは、駆動筒71の係合溝71dと係合する。この係合により、移動カム筒91は、回転しながら光軸方向へ移動可能となっている。
【0022】
また、移動カム筒91の内周部には、1群筒11のカムピン11aに係合する1群カム91c、及び2群地板21のカムピン21aと係合する2群カム91dが設けられている。1群筒11、及び2群地板21は、第2直進筒81により光軸方向に直進ガイドされるので、1群筒11、及び2群地板21は、直進ガイドされながら、カム91c,91dのリフトに沿って光軸方向へ移動可能となっている。
【0023】
センサホルダユニット40を構成するセンサホルダ41は、フィルタ4F、撮像素子4S、ギア55、及びモータ56等を含むギアユニット50を保持する。また、センサホルダ41には、3群レンズ3Lを保持する3群ユニット30が取り付けられる。3群ホルダ31は、ガイドバー33により光軸方向へガイドされて、モータ32の駆動力により光軸方向へ移動可能となっている。
【0024】
次に、図6を参照して、2群ユニット20について説明する。図6は、2群ユニット20の分解斜視図である。
【0025】
図6に示すように、2群ユニット20は、2群地板21、シャッタ駆動ユニット22、防振ユニット23、センサホルダ24、シャッタ羽根部25、絞り羽根部26、ND羽根27、及び2群カバー28を備える。
【0026】
2群地板21は、移動カム筒91に設けられたカム溝91dと係合するカムピン21a備え、2群ユニット20の各部品を保持する。
【0027】
シャッタ駆動ユニット22は、駆動部221、及びボビン222により構成され、駆動部221は、不図示の磁石、ヨーク及び駆動レバーを備える。そして、ボビン222に巻かれたコイルに電流を流すことで、駆動部221の駆動レバーを回動させて、シャッタ羽根部25を動作させる。
【0028】
防振ユニット23は、コイル231、レンズホルダ232、カバー233、引張コイルばね234、及びボール235を備える。
【0029】
レンズホルダ232は、2群レンズ2L、及び磁石232mを保持し、磁石232mは、コイル231と光軸方向に対向するように配置される。レンズホルダ232と2群地板21との間には、ボール235が配置され、レンズホルダ232は、引張コイルばね234により2群地板21に接近する方向に付勢される。
【0030】
ボール235がレンズホルダ232と2群地板21との受け面を転がることで、レンズホルダ232は、2群地板21に対して光軸と直交する方向へ移動可能となっている。そして、レンズホルダ232の磁石232mとコイル231との間に磁気的に生じる力により、レンズホルダ232が所望の位置へ移動することで、防振機構として機能する。
【0031】
センサホルダ24は、レンズホルダ232の位置を検出する素子を保持する。センサカバー241は、センサホルダ24を光軸方向に押さえて保持する。
【0032】
シャッタ羽根部25は、2枚のシャッタ羽根251,252、及び仕切り板253を有する。2枚のシャッタ羽根251,252は、2群地板21に設けられた回転軸に嵌合され、シャッタ駆動ユニット22の駆動部221の駆動レバーの動作に連動して開閉動作を行う。
【0033】
絞り羽根部26は、複数(本実施形態では、2枚)の絞り羽根261,262、引張コイルばね263、及び仕切り板264を備える。なお、絞り羽根部26の詳細については、後述する。
【0034】
ND羽根27は、絞り羽根部26と2群カバー28との間に配置され、シャッタ駆動ユニット22の駆動部221の駆動レバーの動作に連動して開閉動作を行う。2群カバー28を2群地板21に取り付けることにより、シャッタ羽根部25、絞り羽根部26、及びND羽根27がそれぞれ位置決めされて保持される。
【0035】
図7は2群地板21と絞り羽根部26との関係を示す斜視図、図8は第2直進筒81を像面側から見た斜視図である。
【0036】
図7に示すように、2群地板21の2つの回転軸21bには、それぞれ絞り羽根261,262の嵌合穴261b,262bが回転可能に嵌合される。これにより、絞り羽根261,262が2群地板21に対して開口部261d,262dで形成される絞り開口を開閉する方向に回転動作が可能に保持される。ここで、2群地板21は、本発明の保持部材の一例に相当する。
【0037】
絞り羽根261,262には、それぞれ第2直進筒81のカム面81,81d(図8)に当接する当接部261a,262a、2群地板21の当接部21c,21dに当接するストッパ部261c,262c、及び開口部261d,262dが設けられている。
【0038】
また、絞り羽根261,262は、引張コイルばね263により、開口部261d,262dで形成される絞り開口が小絞りとなる方向に付勢されている。ここで、引張コイルばね263は、本発明の付勢部材の一例に相当する。
【0039】
また、図8に示すように、第2直進筒81の内周部には、2本のカム面81d,81eが設けられている。ここで、当接部261a,262aは、本発明のカム係合部の一例に相当し、第2直進筒81は、本発明の移動部材の一例に相当する。
【0040】
図9は、2群ユニット20が組み込まれた第2直進筒81を像面側から見た斜視図である。
【0041】
図9の状態では、第2直進筒81のカム面81dには、絞り羽根261の当接部261aが当接し、第2直進筒81のカム面81eには、絞り羽根262の当接部262aが当接している。このカム面81d,81eと当接部261a,262aとの当接位置が変化することで、開口部261d,262dで形成する絞り開口の開口形状が変化する。
【0042】
本実施形態では、レンズ鏡筒2のズーム位置が変化し、移動カム筒91等が光軸方向へ移動する動作に伴い、第2直進筒81と2群ユニット20との光軸方向の相対的な位置が変化する。
【0043】
例えば、図4に示すように、レンズ鏡筒2がワイド端にあるとき、2群ユニット20は、移動カム筒91の2群カム92dのカムリフトに沿って移動し、第2直進筒81の後端側(像面側)に位置する。
【0044】
これに対し、図5に示すように、レンズ鏡筒2がテレ端にあるとき、2群ユニット20は、移動カム筒91の2群カム92dのカムリフトに沿って移動し、第2直進筒81の先端側(被写体側)に位置する。
【0045】
図10は、第2直進筒81のカム面81dと絞り羽根261の当接部261aとの当接位置がレンズ鏡筒2のズーム位置に応じて変化する様子を説明するための図である。図11は、第2直進筒81のカム面81eと絞り羽根262の当接部262aとの当接位置がレンズ鏡筒2のズーム位置に応じて変化する様子を説明するための図である。
【0046】
図10及び図11に示すように、レンズ鏡筒2が沈胴位置、及びワイド位置にあるとき、絞り羽根261,262の当接部261a,262aは、第2直進筒81に対して図中(A)位置にある。この状態では、カム面81d,81eと当接部261a,262aとは当接しない。
【0047】
レンズ鏡筒2がズーム動作を行い、(A)位置からテレ側に光軸方向に沿って移動していくと、絞り羽根261,262の当接部261a,262aは、第2直進筒81に対して図中(B)→(C)→(D)位置へと移動する。
【0048】
このとき、当接部261a,262aは、カム面81d,81eに沿って移動して当接位置を変化させる。図中(B),(C)位置は、ズーム動作のミドルポジションの停止位置であり、(D)位置は、テレ端の停止位置である。
【0049】
ここで、カム面81d,81eの図中(B)(C)(D)位置には、光軸方向と平行な面(以下、直線部tという。)が設けられている。この直線部tは、カム面81d,81eのレンズ鏡筒2のズームポジションの停止位置と対応する領域に配置されている。
【0050】
従って、レンズ鏡筒2のズームポジションの停止位置に若干誤差が生じたとしても、カム面81d,81eの直線部tから当接部261a,262aが外れない限り、当接部261a,262aと第2直進筒81との円周方向の位置関係が保たれる。
【0051】
このため、レンズ鏡筒2のズームポジションの停止位置に若干誤差が生じたとしても、絞り羽根261,262が回転することはなく、開口部261d,262dで形成される絞り開口の口径に変動が生じることがない。
【0052】
図12〜図14は、2群ユニット20が組み込まれた第2直進筒81を被写体側から光軸方向に見た図である。なお、図12〜図14では、説明の便宜上、2群地板21、絞り羽根261,262、引張コイルばね、及び第2直進筒81のみを図示する。
【0053】
図12は、レンズ鏡筒2が沈胴位置又はワイド位置の停止位置にある状態を示す図である。
【0054】
図12の状態では、絞り羽根261,262の当接部261a,262aは、第2直進筒81に対して図10及び図11の(A)位置にあり、当接部261a,262aとカム面81d,81eとは当接していない。
【0055】
このとき、絞り羽根261,262は、引張コイルばね263により、開口部261d,262dで形成される絞り開口が小絞りとなる方向へ付勢されている。
【0056】
そして、絞り羽根261のストッパ部261cが2群地板21の当接部21cに当接すると共に、絞り羽根262のストッパ部262cが2群地板21の当接部21dに当接することで、絞り羽根261,262の閉方向の回転動作が規制されて位置決めされる。
【0057】
即ち、絞り羽根261,262は、カム面81d,81eに当接せず、ストッパ部261c,262cが2群地板21の当接部21c,21dに当接して閉方向の回転動作が規制されることで、小絞りの絞り開口形状を形成している。
【0058】
従って、小絞りの絞り開口形状の精度をカム面81d,81eの精度ではなく、引張コイルばね263の付勢力をストッパ部261c,262cを介して受け止める2群地板21の当接部21c,21dの精度で決定することができる。これにより、小絞りの絞り開口形状の精度を容易に確保することができる。
【0059】
図13は、レンズ鏡筒2がミドルポジションの停止位置にある状態を示す図である。
【0060】
図13の状態では、絞り羽根261,262の当接部261a,262aは、第2直進筒81に対して図10及び図11の(B)位置にある。
【0061】
このとき、当接部261a,262aとカム面81d,81eとが当接して、カム作用により絞り羽根261,262を引張コイルばね263の付勢力に抗して開方向に回転動作させる。
【0062】
そして、絞り羽根261,262は、ストッパ部261c,262cがそれぞれ2群地板21の当接部21c,21dから離れて、所定の絞り開口形状を形成した位置で停止する。
【0063】
図14は、レンズ鏡筒2がテレ端の停止位置にある状態を示す図である。図12の状態では、当接部261a,262aは、第2直進筒81に対して図10及び図11の(D)位置にある。
【0064】
この場合、絞り羽根261,262は、当接部261a,262aとカム面81d,81eとのカム作用により、(B)位置、(C)位置を経てさらに開方向に回転して(D)位置に達する。そして、絞り羽根261,262は、2群ユニット20に形成される開放絞りの開口部(本実施形態では、仕切り板253の開口部253a)よりも外側へ退避する。
【0065】
このとき、絞り羽根261,262は、開放絞りの開口部253aより外側に退避しているので、絞りの開口形状を形成しない。従って、開放絞りの開口形状の精度をカム面81d,81eの精度ではなく、仕切り板253に形成される開口部253aの精度で決定することができ、開放絞りの絞り開口形状の精度を容易に確保することができる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態では、絞り羽根専用アクチュエータを用いることなく、絞り羽根261,262を駆動して絞り口径を変化させることができるので、レンズ鏡筒2ひいてはデジタルカメラの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0067】
また、本実施形態では、小絞りの絞り開口形状の精度を、カム面81d,81eの精度ではなく、比較的精度を確保しやすい2群地板21の当接部21c,21dの精度で決定している。このため、絞り羽根261,262を駆動するカム機構のカム面81d,81eの精度のばらつきに起因する絞り口径の変動を回避することができる。
【0068】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、絞り羽根261,262の付勢方向を小絞り方向としているが、これに代えて、付勢方向を開放絞り方向としてもよい。
【0070】
この場合、付勢部材の付勢力で開放絞り位置まで回転した絞り羽根261,262を2群地板21等に形成した当接部に当接させて開方向の回転動作を規制する。
【符号の説明】
【0071】
1 カメラ本体
2 レンズ鏡筒
21 2群地板
21c,21d 当接部
81 第2直進筒
81d,81e カム面
261,262 絞り羽根
261a,262a 当接部
263 引張コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム係合部を有する複数の絞り羽根と、
前記絞り羽根を絞り開口を開閉する方向に回転可能に保持する保持部材と、
前記絞り羽根を前記絞り開口を閉じる方向又は開く方向に付勢する付勢部材と、
前記絞り羽根の前記カム係合部に係合するカム面を有し、光軸方向に移動することにより、前記カム係合部と前記カム面とのカム作用により、前記付勢部材の付勢力に抗して前記絞り羽根を動作させる移動部材と、
前記付勢部材の付勢力による、前記絞り羽根の前記絞り開口を閉じる方向又は開く方向の動作を規制する規制手段と、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記絞り羽根を前記絞り開口を閉じる方向に付勢し、
前記規制手段は、前記絞り開口の形状が小絞りとなる位置で前記絞り羽根の前記閉じる方向への動作を規制する、ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記移動部材は、ズーム動作に伴い光軸方向に移動し、
前記カム面には、前記移動部材のズームポジションの停止位置に対応する領域に前記絞り羽根を動作させない面が設けられる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記絞り羽根を動作させない面は、光軸方向と平行な面である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
沈胴位置と撮影位置との間を光軸方向に移動して撮影倍率を変更するズーム式のレンズ鏡筒を備える撮像装置であって、
前記レンズ鏡筒として、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒を用いることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−133102(P2012−133102A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284794(P2010−284794)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】