説明

レンズ駆動機構及びそのレンズ駆動機構を用いた撮影装置

【課題】 切換操作を行うことなく、オートフォーカスとマニュアルフォーカスとを瞬時に、且つ、略連続的に動作させることができるレンズ駆動機構及びそれを用いた撮影装置を提供する。
【解決手段】 オートフォーカス動作時には、駆動源からの駆動力で、遊星歯車を自転させ、且つ、静止した太陽歯車の外周を公転する動作をさせ、この遊星歯車の動作から生じる力でフォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させ焦点調節を行い、マニュアルフォーカス動作時には、手動操作用フォーカスリングからのマニュアル動作により遊星歯車を太陽歯車の周りを公転させると同時に、太陽歯車を回転させ、太陽歯車の回転により遊星歯車と駆動源との間での駆動力の伝達を遮断し、遊星歯車の動作から生じる力でフォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させ焦点調節を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、オートフォーカス機能とマニュアルフォーカス機能とを併有するレンズ駆動機構及びそのレンズ駆動機構を用いた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、オートフォーカス機能とマニュアルフォーカス機能とを併有し、このオートフォーカス機能による動作と、マニュアルフォーカス機能による動作とを選択的に切り換え可能に構成されたオートフォーカスカメラが知られている。このようなオートフォーカスカメラは、当該オートフォーカス動作とマニュアルフォーカス動作とを切り換えるための切換操作部材が設けられており、撮影者が当該操作部材を操作することによって、駆動系内部のクラッチ機構が接続されて、機械的に切り換え動作が行われるものであった。
【0003】
具体的には、切換操作部材がオートフォーカスの設定に切り換えられると、駆動源がフォーカスレンズと間接的に接続され、手動操作用フォーカスリングとフォーカスレンズとの接続が切断される。これにより、駆動源の駆動力が手動操作用フォーカスリングに伝達されることなく、フォーカスレンズに伝達されて、当該駆動源の駆動力によって、レンズの焦点調節が行われる。
【0004】
一方、切換操作部材がマニュアルフォーカスの設定に切り換えられると、駆動源とフォーカスレンズとの接続が切断され、手動操作用フォーカスリングとフォーカスレンズとが接続される。これによって、手動操作用フォーカスリングの回転力が駆動源に伝達されることなく、フォーカスレンズに伝達されて、当該回転力によりレンズの焦点調節が行われるものであった。
【0005】
このように、従来のフォーカスカメラでは、切換操作部材の切り換え操作により、オートフォーカスとマニュアルフォーカスとの動作が切り換えられるものであった。このため、例えば、オートフォーカスに設定された状態で、被写体のフォーカシングを開始し、その後、連続して、マニュアルフォーカスを行ったり、オートフォーカス動作時にマニュアルフォーカス動作を行うことができなかった。従って、オートフォーカスとマニュアルフォーカスの切換動作に時間がかかり過ぎて、シャッターチャンスを逃してしまうといった不都合が生じていた。更に、係る切換操作部材の切り換え操作自体が煩雑なために、誤操作が生じるという問題も生じていた。
【0006】
このようなオートフォーカスとマニュアルフォーカスとの切換操作の簡便性を図るものとして、引用文献1では、オートフォーカスとマニュアルフォーカスとの切換動作をモータ駆動装置によって行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3347344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記引用文献1のように、モータ駆動装置が切換動作を行うものでは、係るモータ駆動装置の機構が複雑となり、製造コストが高騰するという問題があった。そのため、簡易的な構造でオートフォーカスとマニュアルフォーカスとの動作を略連続的に行うことができる機構の開発が求められていた。
【0009】
本件発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、手動による切換操作を行うことなく、簡単な機構で、オートフォーカスとマニュアルフォーカスとを瞬時に、且つ、略連続的に動作させることができるレンズ駆動機構及びそのレンズ駆動機構を用いた撮影装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本件発明者等は鋭意研究を行った結果、以下のレンズ駆動機構を採用することで上記課題を達成するに到った。
【0011】
上記課題を解決するための手段について、以下に述べる。
【0012】
本件発明に係るレンズ駆動機構は、フォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させる焦点調節を、駆動源の駆動力を用いて行うオートフォーカス機能と、撮影者が手動で行うマニュアルフォーカス機能とを併有するレンズ駆動機構であって、当該レンズ駆動機構は、固定筒と、当該固定筒の外周に貫挿配置する回転カム筒と、当該固定筒の外周に回転可能に嵌合配置する太陽歯車と、この太陽歯車の外周ギヤ面に所定の間隔にプラネタリ配置する複数の遊星歯車とを備え、オートフォーカス動作時には、当該駆動源からの駆動力で、遊星歯車を自転させ、且つ、静止した太陽歯車の外周を公転する動作をさせ、この遊星歯車の動作から生じる力でフォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させ焦点調節を行い、マニュアルフォーカス動作時には、手動操作用フォーカスリングからのマニュアル動作により当該遊星歯車を太陽歯車の周りを公転させると同時に、当該太陽歯車を回転させ、当該太陽歯車の回転により当該遊星歯車と駆動源との間での駆動力の伝達を遮断し、当該遊星歯車の動作から生じる力でフォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させ焦点調節を行うことを特徴とする。
【0013】
本件発明に係るレンズ駆動機構は、前記固定筒と前記太陽歯車との間に、当該太陽歯車に摺動抵抗を生じさせるための摩擦力を付与する摩擦抵抗発生部材を介装するものであることが好ましい。
【0014】
本件発明に係るレンズ駆動機構は、前記摩擦抵抗発生部材の前記摩擦力が、前記複数の遊星歯車を介して、前記太陽歯車に伝達される前記駆動源からの駆動力より大きいものであることが好ましい。
【0015】
本件発明に係るレンズ駆動機構は、前記摩擦抵抗発生部材の前記摩擦力が、前記駆動源の自己保持力より小さいものであることが好ましい。
【0016】
そして、本件発明に係るレンズ駆動機構は、前記太陽歯車が、前記複数の遊星歯車と、当該複数の遊星歯車の外周に設けられ、該複数の遊星歯車とそれぞれ噛み合う第1の内歯車と、当該複数の遊星歯車をそれぞれ軸支し、且つ、光軸を中心として回転可能に設けられたキャリアと共に遊星歯車機構を構成し、前記駆動源の駆動力が、当該第1の歯車を介して、当該複数の遊星歯車に伝達されるものであることが好ましい。
【0017】
本件発明に係るレンズ駆動機構は、前記手動操作用フォーカスリングが、第1の連結部材を介して前記キャリアと連結し、当該キャリアが、第2の連結部材を介して前記回転カム筒と連結するものであることがより好ましい。
【0018】
本発明に係るレンズ駆動機構は、前記駆動源が、棒状超音波モータ、定在波駆動型超音波モータ又はウォームギヤを有するモータ減速駆動装置のいずれかであることがより好ましい。
【0019】
本発明に係る撮影装置は、上述したレンズ駆動機構を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本件発明に係るレンズ駆動機構を採用することで、格別な切り換え操作や高性能の駆動源を用いることなく、簡単な機構で、オートフォーカス動作中であっても、マニュアルフォーカス動作を瞬時に、且つ、略連続的に動作させることが可能となる。
【0021】
特に、オートフォーカス動作時であっても、マニュアル動作がなされると、遊星歯車と駆動源との間での駆動力の伝達が遮断されて、当該マニュアル動作によりフォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させることができる。これにより、撮影者の要望に即した焦点調節を迅速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本件発明に係る一実施形態のレンズ駆動機構の内部構成を模式的に示した図である。
【図2】本件発明に係る一実施形態のレンズ駆動機構の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本件発明に係る一実施例のレンズ駆動機構の断面の斜視図である。
【図4】本件発明に係る一実施形態のレンズ駆動機構の部分断面図である。
【図5】図1のレンズ駆動機構の回転カム筒と固定筒の部分展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本件発明に係るレンズ駆動機構は、フォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させることによって、焦点調節がなされるものであって、このレンズの焦点調節を、駆動源の駆動力を用いて行うオートフォーカス機能と、撮影者が手動で行うマニュアルフォーカス機能とを併有し、固定筒と、当該固定筒の外周に貫挿配置する回転カム筒と、当該固定筒の外周に回転可能に嵌合配置する太陽歯車と、この太陽歯車の外周ギヤ面に所定の間隔にプラネタリ配置する複数の遊星歯車とを備える駆動機構である。
【0024】
[レンズ駆動機構の構造]
以下、本件発明に係るレンズ駆動機構の好ましい実施の形態に関して、図を参照しながら説明する。図1〜図4は、本件発明に係る一実施形態のレンズ駆動機構をそれぞれ示している。本件発明に係るレンズ駆動機構は、外郭を構成する外装枠1の外周に、手動操作用フォーカスリング8を備え、内部に固定筒2や駆動源6等の各構成要素が収容されている。
【0025】
手動操作用フォーカスリング8は、撮影者が手動でレンズの焦点調節を行うマニュアルフォーカス動作時に、撮影者が回動操作(マニュアル動作)するための操作部である。当該手動操作用フォーカスリング8は、外装枠1の外周面に形成されたリング状の凹部内に嵌め込まれており、撮影者の片手の回動操作により、当該凹部内で光軸を中心として回転可能に設けられている。
【0026】
当該外装枠1内には、固定筒2が固定されている。固定筒2内には、フォーカスレンズLが配置され、当該固定筒2の外周面には、回転カム筒3、遊星歯車機構5、駆動源6がそれぞれ配置されている。具体的には、固定筒2の被写体側の端部から撮像側の外周に沿って、回転カム筒3が貫挿配置されており、その回転カム筒3に隣接して遊星歯車機構5が配置されている。そして、固定筒2の撮像側の外周面には、当該遊星歯車機構5に隣接して駆動源6が配置されている。即ち、固定筒2の外周面には、遊星歯車機構5を挟んで、その両側に回転カム筒3と、駆動源6とが設けられており、遊星歯車機構5を介して、回転カム筒3と駆動源6とが連結されている。また、フォーカスレンズLは、外周に回転カム筒3が貫挿配置された部分に対応する固定筒2内に配置されており、後述する回転伝達部材4を介して、当該固定筒2内を光軸方向にスライド移動可能に設置されている。以下に、当該固定筒2、回転カム筒3、回転伝達部材4、遊星歯車機構5及び駆動源6について、各構成要素毎に説明する。
【0027】
固定筒: 固定筒2は、この固定筒2の外周に貫挿配置された回転カム筒3を、光軸を中心として回転可能に保持するものである。当該固定筒2は、軸心が光軸と一致するようにして、外装枠1内に固定配置されている。この固定筒2は、回転カム筒3、遊星歯車機構5及び駆動源6等が外周に位置する被写体側の外周面の径と、撮像側の外周面の径とが異なっている。具体的には、図1に示すように、固定筒2の撮像側(右側)は、被写体側(左側)より縮径されている。以下では、大径となる被写体側の固定筒2を大径部20と称し、撮像側と区別して称する場合がある。
【0028】
この固定筒2の大径部20には、光軸方向にスリット状のガイド部22、23が形成されている。このガイド部22、23は、後述するフォーカスレンズ枠40、41に設けられた凸部42、43が係合するための係合部である。ガイド部22とガイド部23とは、略同一形状を呈しており、図1に示すように、大径部20の略対向面に形成されている。
【0029】
そして、上記ガイド部22、23の被写体側(図1では左側)の大径部20の壁面であって、各ガイド部22、23から光軸方向に延長した線上には、凸部24、25が突設されている。即ち、ガイド部22の光軸方向の延長線上に凸部24が設けられ、ガイド部23の光軸方向の延長線上に凸部25が設けられている。この凸部24、25は、回転カム筒3の壁面に形成された後述するカム溝34、35に係合するものであり、係る係合によって、回転カム筒3が固定筒2に対して、回転可能に保持される。
【0030】
回転カム筒: 次に、回転カム筒3について説明する。回転カム筒3は、固定筒2の外周に、固定筒2と同心円状に配置されている。この回転カム筒3は、全周に渡って径が略同一な円筒形状を呈している。
【0031】
当該回転カム筒3には、円弧軌道を持つスリット状のカム部32、33が形成されている。このカム部32、33は、前述した固定筒2のガイド部22、23と同様に、フォーカスレンズ枠40、41に設けられた凸部42、43が係合するための係合部である。当該カム部32、33は、回転カム筒3の壁面において、円周方向に円弧軌道を持って形成されている。
【0032】
具体的に、図5に示す回転カム筒3と固定筒2の部分展開図を参照しながら、一方のカム部32を例に挙げて説明する。図5に示すように、カム部32は、被写体側(図5では左端)に最も接近する一端32Aから、徐々に離れるよう、緩やかな円弧軌道を呈している。即ち、カム部32の他端32Bは、当該カム部32において、被写体側から最も遠ざかるところに位置している。そして、他方のカム部33は、上述したカム部32と同一形状を呈しており、該カム部32と略対向面となる回転カム筒3の壁面に形成されている。
【0033】
また、回転カム筒3には、前述した固定筒2の凸部24、25が係合するスリット状のカム溝34、35が形成されている。当該カム溝34、35は、回転カム筒3の上記カム部32、33の一端側(図1において左側)に位置しており、回転カム筒3の壁面の円周方向に直線状に形成されている。当該カム溝34とカム溝35は、略同一形状を呈しており、回転カム筒3の略対向面に形成されている。当該カム溝34、35の円周方向の長さ寸法は、前記カム部32、33の円周方向の寸法と略同一の寸法とされている。
【0034】
そして、当該カム溝34に、前記固定筒2に突設された凸部24を係合し、当該カム溝35に、前記凸部25を係合することで、回転カム筒3が固定筒2に対して、回転可能に保持されるのである。このとき、当該回転カム筒3の円周方向における回転範囲は、当該カム溝34、35の形成範囲内に制限されることとなる。
【0035】
更に、回転カム筒3には、カム部32の撮像側、即ち、カム溝34が形成された側とは反対側の壁面に凸部39が突設されている。当該凸部39は、回転カム筒3に、後述する第2の連結部材18を連結するための接続部として設けられたものである。詳細については後に説明する。
【0036】
回転伝達部材: 次に、回転伝達部材4について説明する。回転伝達部材4は、駆動源6、又は、手動操作用フォーカスリング8からの回転運動(回転力)を、光軸方向の直線運動としてフォーカスレンズ枠40、41に伝達するための部材である。当該回転伝達部材4は、前記固定筒2のガイド部22、23と、回転カム筒3のカム部32、33と、フォーカスレンズ枠40、41に設けられた凸部42、43とから構成されている。これら構成要素のうち、ガイド部22、23及びカム部32、33については、上記で詳述したので、ここでは説明を省略し、凸部42、43についてのみ以下で説明する。
【0037】
凸部42、43は、ガイド部22、23及びカム部32、33に沿って移動可能なカムローラである。当該凸部42、43は、該フォーカスレンズ枠40、41のフォーカスレンズLと当接する面とは反対側の面に配設されている。具体的には、図1に示すように、凸部42は、フォーカスレンズLの上端を保持するフォーカスレンズ枠40の上面に設けられ、凸部43は、フォーカスレンズLの下端を保持するフォーカスレンズ枠41の下面に設けられている。
【0038】
そして、上記凸部42、43をガイド部22、23及びカム部32、33にそれぞれ係合することによって、駆動源6及び手動操作用フォーカスリング8の回転運動をスライド移動方向への直線運動に変換して、フォーカスレンズ枠40、41に伝達することができる。
【0039】
駆動源: 次に、駆動源6について説明する。駆動源6は、焦点調節を自動で行う際に、フォーカスレンズ枠40、41を光軸方向にスライド移動するための駆動力を与えるためのものである。この駆動源6は、図示しないマイクロコンピュータの焦点調節検出手段からの駆動信号に基づいて駆動するよう制御されている。当該駆動源6は、後述する摩擦抵抗発生部材7によって太陽歯車10に付与される摩擦力よりも大きい自己保持力を持つモータ減速駆動装置であることが好ましい。例えば、駆動源6として、このような自己保持力を持った棒状超音波モータ、定在波駆動型超音波モータ、又は、ウォームギヤを有するモータ減速駆動装置のいずれかを用いることが好ましい。
【0040】
図1に示す本件実施の形態の駆動源6は、モータの駆動源に取り付けられるウォームと、減速される軸に取り付けられるウォームホイールで構成された1対のウォームギヤを備えたモータ減速駆動装置である。当該モータ減速駆動装置6は、一対のウォームギヤで大きな減速比が得られるという特徴がある。
【0041】
当該モータ減速駆動装置6の駆動軸の一側、即ち、前記遊星歯車機構5側には、出力ギヤ65が設けられている。当該出力ギヤ65は、モータ減速駆動装置6の駆動力を回転運動に変えて出力するものであり、駆動軸の一端(遊星歯車機構5側の端部)に嵌合している。当該出力ギヤ65の外側、即ち、固定筒2が位置する側とは反対側には、出力ギヤ65と噛み合う第2の内歯車14が設けられている。
【0042】
遊星歯車機構: 次に、遊星歯車機構5について説明する。遊星歯車機構5は、太陽歯車10が回転の中心に配置され、この太陽歯車10の外周ギヤ面に複数の遊星歯車11が所定の間隔にプラネタリ配置された構造(例えば、複数の遊星歯車11が略等しい間隔を存して太陽歯車10の外周ギヤ面にプラネタリ配置された構造)を持つ。具体的には、当該遊星歯車機構5は、太陽歯車10と、複数の遊星歯車11と、当該複数の遊星歯車11の外周に設けられて、複数の遊星歯車11とそれぞれ噛み合う第1の内歯車13と、当該複数の遊星歯車11をそれぞれ軸支し、且つ、光軸を中心として回転可能に設けられたキャリア12とから構成されている。
【0043】
太陽歯車10は、リング状を呈した外歯歯車であり、光軸を回転中心として固定筒2の外周を回転可能に設けられている。当該太陽歯車10は、後述する摩擦抵抗発生部材7を介して固定筒2の外周に嵌合されている。そして、太陽歯車10の外周ギヤ面には、当該太陽歯車10と噛み合う複数の遊星歯車11が所定の間隔にプラネタリ配置されている。
【0044】
複数の遊星歯車11は、太陽歯車10の外周であって、当該太陽歯車10とそれぞれ噛み合うように配置された外歯歯車である。いずれの遊星歯車11も略同一形状を呈しており、太陽歯車10の回転軸を中心とした同一円周上に所定の間隔で配置されている。当該複数の遊星歯車11は、それぞれキャリア12により軸支されており、キャリア12に固定されたそれぞれの軸を中心に自転可能であると共に、キャリア12の回転軸を中心として、太陽歯車10の外周を公転可能に構成されている。
【0045】
キャリア12は、上述したように、複数の遊星歯車11を自転可能に軸支すると共に、太陽歯車10と同一の軸を中心として、回転可能に構成されている。具体的には、キャリア12は、複数の遊星歯車11の歯部が形成されていない被写体側の面に隣接している。そして、キャリア12は、複数の遊星歯車11の回転軸をそれぞれ軸支している。これにより、複数の遊星歯車11と当該キャリア12とは、当該回転軸を介して一体化されている。このため、キャリア12の回転と複数の遊星歯車11の公転とは、常に、同時に成されることとなる。
【0046】
当該キャリア12の外周には、キャリア12と手動操作用フォーカスリング8とを連結するための第1の連結部材17と、キャリア12と回転カム筒3とを連結するための第2の連結部材18とが取り付けられている。なお、第1の連結部材17及び第2の連結部材18については、後に説明する。
【0047】
そして、第1の内歯車13は、モータ減速駆動装置6の駆動力を複数の遊星歯車11に伝達するものである。当該第1の内歯車13は、複数の遊星歯車11を取り囲むと共に、当該複数の遊星歯車11と噛み合う内歯歯車である。この第1の内歯車13は、前記出力ギヤ65と噛み合う第2の内歯車14と共に、リングギヤ15を構成している。
【0048】
即ち、リングギヤ15は、複数の遊星歯車11と噛み合う第1の内歯車13と、出力ギヤ65と噛み合う第2の内歯車14との2つの内歯歯車を備えている。リングギヤ15は、図1に示すように、複数の遊星歯車11に対応する一方の(図1では左側)の壁面よりも、出力ギヤ65の外側に対応する他方(図1では右側)の壁面の方が小径であり、この小径部に第2の内歯車14が形成され、大径部に第1の内歯車13が形成されている。従って、第1の内歯車13の方が第2の内歯車14より大径となる。
【0049】
摩擦抵抗発生部材: ここで、前述した摩擦抵抗発生部材7について説明する。当該摩擦抵抗発生部材7は、太陽歯車10と固定筒2との間に介装されて、太陽歯車10に摺動抵抗を生じさせるための摩擦力を付与する部材である。当該摩擦抵抗発生部材7は、適切な摩擦力を太陽歯車10に付与するものであることが好ましい。ここで言う適切な摩擦力とは、モータ減速駆動装置6から複数の遊星歯車11を介して太陽歯車10に伝達される回転力よりも大きく、モータ減速駆動装置6の自己保持力より小さい摩擦力である。
【0050】
このような摩擦力を有する摩擦抵抗発生部材7を採用した場合、複数の遊星歯車11を介して、太陽歯車10に伝達されるモータ減速駆動装置6の駆動力よりも、摩擦抵抗発生部材7によって太陽歯車10に付与される摩擦力の方が勝ることとなる。このため、太陽歯車10に、複数の遊星歯車11を介して、モータ減速駆動装置6の駆動力が伝達されても、太陽歯車10は回転せずに、摩擦抵抗発生部材7の摩擦力によって保持された静止状態を維持することとなる。
【0051】
更に、係る摩擦抵抗発生部材7を採用した場合、摩擦抵抗発生部材7によって太陽歯車10に付与される摩擦力よりも、モータ減速駆動装置6の自己保持力の方が勝ることとなる。このため、複数の遊星歯車11を介して、太陽歯車10及び第1の内歯車13に手動操作用フォーカスリング8の回転力(マニュアル動作による力)が伝達されても、第1の内歯車13は回転せずに、太陽歯車10が固定筒2の外周を回転すると共に、複数の遊星歯車11が太陽歯車10の外周を公転しながら、自転することとなる。
【0052】
この摩擦抵抗発生部材7の材質には、特に制限はないが、フエルト、又は、フエルトを含むものを用いることが好ましい。フエルトを用いることで、当該摩擦抵抗発生部材7を安価に製造することが可能となる。しかしながら、摩擦抵抗発生部材7は、フエルト、又は、フエルトを含むものに限定されるものでなく、上述した適切な摩擦力が得られるものであれば、どのようなものであっても差し支えない。例えば、摩擦抵抗発生部材7として、樹脂材を適用することも可能である。
【0053】
第1の連結部材・第2の連結部材: 次に、前述した第1の連結部材17及び第2の連結部材18について説明する。第1の連結部材17は、図1に示すように、側面視、階段状を呈した板状部材により構成されている。当該第1の連結部材17の一端(被写体側の端部)の外周面は、手動操作用フォーカスリング8の内周面と一部当接して、当該手動操作用フォーカスリング8と接続している。また、第1の連結部材17の他端(撮像側の端部)は、キャリア12の外周面に当接して、当該キャリア12と接続している。従って、当該第1の連結部材17により、キャリア12と手動操作用フォーカスリング8とが第1の連結部材17を介して連結されている。
【0054】
第2の連結部材18は、上記第1の連結部材17と同様に、側面視、階段状を呈した板状部材によって構成されている。この第2の連結部材18は、図1に示すように、回転カム筒3の光軸を中心として、第1の連結部材17と略同一円周上に位置している。当該第2の連結部材18の一端側(被写体側)の壁面には、当該壁面を上下に貫通する孔19が形成されている。この孔19は、前記回転カム筒3に突設された凸部39の外径と略同一寸法で構成されている。これにより、当該孔19内に凸部39を挿入すると、孔19内に凸部39が嵌り合い、回転カム筒3と第2の連結部材18の一端側とが連結される。また、第2の連結部材18の他端側(撮像側)の内周面は、キャリア12の外周面に当接して当該キャリア12と接続している。従って、当該第2の連結部材18により、キャリア12と回転カム筒3とが第2の連結部材18を介して連結されている。
【0055】
このように、第1の連結部材17により、キャリア12と手動操作用フォーカスリング8とが連結されて、第2の連結部材18により、キャリア12と回転カム筒3とが連結されることで、フォーカスレンズLとモータ減速駆動装置6と手動操作用フォーカスリング8とが間接的に連結されることとなる。
【0056】
係る構成により、手動操作用フォーカスリング8の回転力が、第1の連結部材17、遊星歯車機構5のキャリア12、第2の連結部材18及び回転伝達部材4を介して、フォーカスレンズ枠40、41に伝達されて、フォーカスレンズ枠40、41及び当該フォーカスレンズ枠40、41に保持されたフォーカスレンズLが光軸方向をスライド移動して、焦点調節が成されるのである。
【0057】
同様に、モータ減速駆動装置6の駆動力も、遊星歯車機構5、第2の連結部材18及び回転伝達部材4を介して、フォーカスレンズ枠40、41に伝達されて、フォーカスレンズ枠40、41及びフォーカスレンズLが光軸方向をスライド移動して、焦点調節が成されるのである。
【0058】
なお、本件発明に係るレンズ駆動機構では、撮影者が格別な切り換え動作を行うことなく、オートフォーカス機能とマニュアルフォーカス機能とを行うことができることが特徴である。このようなオートフォーカスとマニュアルフォーカスとの略連続的な動作を達成するため、本件発明では、上述したように、フォーカスレンズLとモータ減速駆動装置6と手動操作用フォーカスリング8とを常時、間接的に連結し、且つ、モータ減速駆動装置6に手動操作用フォーカスリング8からの力が作用することを阻止する構造を採用した。
【0059】
具体的には、太陽歯車10及び複数の遊星歯車11を備え、且つ、太陽歯車10と固定筒2との間に、太陽歯車10に適切な摩擦力を付与する摩擦抵抗発生部材7を介装することで、上述した連結構造を採用することが可能となる。これにより、切り換え操作を行うことなく、モータ減速駆動装置6による駆動力と手動操作用フォーカスリング8の回転力とを瞬時に、且つ、略連続的にフォーカスレンズLに伝達することが可能となるのである。以下で、具体的な焦点調節における動作について詳細に説明する。
【0060】
[レンズ駆動機構の動作]
次に、本件発明に係るレンズ駆動機構の動作を説明する。
【0061】
オートフォーカス時: 本件発明に係るレンズ駆動機構のオートフォーカス動作は、モータ減速駆動装置6からの駆動力で、複数の遊星歯車11を自転させ、且つ、静止した太陽歯車10の外周を公転する動作をさせて、複数の遊星歯車11の動作から生じる力でフォーカスレンズ枠40、41を光軸方向にスライド移動させ焦点調節を行うものである。以下で具体的な動作について説明する。
【0062】
先ず、図示しないマイクロコンピュータの焦点調節検出手段からの駆動信号により、モータ減速駆動装置6が通電されると、当該モータ減速駆動装置6の駆動力が、ウォームギヤ、出力ギヤ65、リングギヤ15の第2の内歯車14及び遊星歯車機構5の第1の内歯車13を介して、複数の遊星歯車11に伝達され、該複数の遊星歯車11が自転する。
【0063】
当該複数の遊星歯車11が自転すると、これらに噛み合う太陽歯車10に、複数の遊星歯車11の回転力(自転力)が伝達される。複数の遊星歯車11の自転を受けた太陽歯車10は、回転しようとするが、このとき、遊星歯車11からの回転力を受けて回転しようとする力よりも、摩擦抵抗発生部材7の摩擦力によって保持される力の方が大きいため、自らは回転せずに静止した状態を維持する。そのため、複数の遊星歯車11は自転しながら、太陽歯車10の外周を公転し始め、当該複数の遊星歯車11と一体化されたキャリア12も同時に回転し始める。
【0064】
このキャリア12には、前述したように第1の連結部材17を介して手動操作用フォーカスリング8が連結されているので、当該キャリア12の回転により、手動操作用フォーカスリング8が外装枠1の前述した凹部内で回転する。
【0065】
また、当該キャリア12には、第2の連結部材18を介して回転カム筒3が連結されているため、キャリア12の回転によって、回転カム筒3も回転する。これにより、当該回転カム筒3の回転力が、前記回転伝達部材4により光軸方向への直線運動に変換されて、フォーカスレンズ枠40、41が光軸方向にスライド移動し、当該フォーカスレンズ枠40、41に保持されたフォーカスレンズLの焦点調節が行われる。
【0066】
マニュアルフォーカス時: 次に、本件発明に係るレンズ駆動機構のマニュアルフォーカス時における動作について説明する。マニュアルフォーカス動作は、手動操作用フォーカスリング8からのマニュアル動作により遊星歯車11を太陽歯車10の周りを公転させると同時に、太陽歯車10を回転させ、当該太陽歯車10の回転により遊星歯車11とモータ減速駆動装置6との間での駆動力の伝達を遮断し、遊星歯車11の動作から生じる力でフォーカスレンズ枠40、41を光軸方向にスライド移動させて、焦点調節を行うものである。以下で具体的な動作について説明する。
【0067】
先ず、撮影者が手動操作用フォーカスリング8を回動操作(即ち、マニュアル動作)すると、当該回転力が、第1の連結部材17を介して、遊星歯車機構5のキャリア12に伝達され、キャリア12が回転する。これにより、キャリア12の回転が第2の連結部材18を介して、回転カム筒3に伝達し、回転カム筒3も回転する。これにより、当該回転カム筒3の回転力が、前記回転伝達部材4により光軸方向への直線運動に変換されて、フォーカスレンズ枠40、41が光軸方向にスライド移動し、当該フォーカスレンズ枠40、41に保持されたフォーカスレンズLの焦点調節が行われる。
【0068】
一方、上記キャリア12の回転と同期して、当該キャリア12と一体化された複数の遊星歯車11が太陽歯車10の外周を公転し始める。これにより、当該複数の遊星歯車11の回転力(公転力)が、当該複数の遊星歯車11と噛み合う太陽歯車10と、第1の内歯車13とに伝達されようとする。このとき、前記モータ減速駆動装置6の自己保持力が、摩擦抵抗発生部材7によって太陽歯車に付与される摩擦力より大きいため、太陽歯車10が固定筒2の外周を回転すると共に、複数の遊星歯車11が太陽歯車10の外周を公転しながら、自転する。これにより、複数の遊星歯車11によって、第1の内歯車13への手動操作用フォーカスリング8の回転力の伝達が阻止されるため、第1の内歯車13は、当該回転力に相応して回転しない。即ち、当該回転力のモータ減速駆動装置6への伝達は、複数の遊星歯車11によって遮断されるため、モータ減速駆動装置6に係る回転力の伝達する不都合を確実に阻止することができる。
【0069】
一方、モータ減速駆動装置6の駆動中に撮影者が手動操作用フォーカスリング8を回動操作(マニュアル動作)した場合においても、上述したモータ減速駆動装置6の自己保持力により、手動操作用フォーカスリング8からの回転力によって、太陽歯車10が固定筒2の外周を回転すると共に、複数の遊星歯車11が太陽歯車10の外周を公転しながら、自転する。係る複数の遊星歯車11の回転によって、第1の内歯車13への手動操作用フォーカスリング8の回転力の伝達が阻止され、且つ、第1の内歯車13によるモータ減速駆動装置4の駆動力の伝達も遮断される。即ち、遊星歯車11の回転によって、当該手動操作用フォーカスリング8の回転力のモータ減速駆動装置6への伝達が阻止されると共に、モータ減速駆動装置6の駆動力の伝達も遮断されるのである。
【0070】
これにより、常時、モータ減速駆動装置6と回転カム筒3とが遊星歯車機構5を介して連結された状態であるにも拘わらず、撮影者によりマニュアル動作がなされると、モータ減速駆動装置6による駆動力の回転カム筒3への伝達が阻止されて、当該マニュアル動作によって回転カム筒3が回転し、マニュアル動作による焦点調節を行うことが可能となるのである。
【0071】
なお、オートフォーカス動作中に、マニュアルフォーカス動作を行っても、未だ、焦点が合っていない場合には、撮影者が手動操作用フォーカスリング8を操作し終えた後に、再び、前述したオートフォーカス動作が行われる。このため、撮影者によって不用意に手動操作用フォーカスリング8が回動操作された場合においても、オートフォーカス動作により、確実に焦点調節を行うことができる。これにより、撮影者の要望に即した焦点調節を迅速に行いながら、確実な焦点調節を実現することが可能となる。
【0072】
以上のように、本件発明に係るレンズ駆動操作によれば、切り換え操作を行うことなく、簡単な構造で、モータ減速駆動装置6による駆動力と手動操作用フォーカスリング8の回転力とを瞬時に、且つ、略連続的にフォーカスレンズLに伝達することができる。従って、当該レンズ駆動機構を備えた撮影装置の操作性の向上を実現することが可能となる。
【0073】
また、本件発明によれば、フォーカスレンズLと、手動操作用フォーカスリング8と、モータ減速駆動装置6とが、常時、間接的に連結された構造であるにも拘わらず、モータ減速駆動装置6に手動操作用フォーカスリング8の回転力が伝達されることがないので、オートフォーカス動作中、即ち、モータ減速駆動装置6の駆動中であっても、撮影者が手動操作用フォーカスリング8を回動操作する力(即ち、マニュアル動作による力)が、モータ減速駆動装置6に伝達するのを阻止することができる。従って、当該レンズ駆動機構を備えた撮影装置の操作性及び信頼性の向上を実現することが可能となる。
【0074】
更に、本件発明によれば、手動操作用フォーカスリング8、第1の連結部材17、第2の連結部材18及び遊星歯車機構5等を同軸上に配置することができ、且つ、当該第1の連結部材17、第2の連結部材18、遊星歯車機構5及びモータ減速駆動装置6を外装枠1内の撮像側の固定筒2外周の外装枠1内にコンパクトに配置することができるので、装置全体の小型化を図ることが可能となる。
【0075】
更にまた、モータ減速駆動装置6の駆動力を伝達するための機構として、遊星歯車機構5を用いることで、高減速比が得られるので、歯車の数を少なくすることが可能となる。これにより、構造を簡素化することができる。更にまた、従来のモータギヤ列のようなバックラッシュ量(即ち、モータギヤの運動方向に意図して設けられた隙間)も減少させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本件発明に係るレンズ駆動機構を採用することで、オートフォーカス用の駆動源に何ら損傷を与えることなく、オートフォーカス動作中に、手動のマニュアルフォーカスの動作が可能な撮影装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
1 外装枠
2 固定筒
3 回転カム筒
4 回転伝達部材
5 遊星歯車機構
6 駆動源(モータ減速駆動装置)
7 摩擦抵抗発生部材
8 手動操作用フォーカスリング
10 太陽歯車
11 遊星歯車
12 キャリア
13 第1の内歯車
14 第2の内歯車
15 リングギヤ
17 第1の連結部材
18 第2の連結部材
19 孔
20 大径部
22、23 ガイド部
24、25 凸部
32、33 カム部
34、35 カム溝
39 凸部(第2の連結部材18への係合部)
40、41 フォーカスレンズ枠
42、43 凸部
65 出力ギヤ
L フォーカスレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させる焦点調節を、駆動源の駆動力を用いて行うオートフォーカス機能と、撮影者が手動で行うマニュアルフォーカス機能とを併有するレンズ駆動機構であって、
当該レンズ駆動機構は、固定筒と、当該固定筒の外周に貫挿配置する回転カム筒と、当該固定筒の外周に回転可能に嵌合配置する太陽歯車と、この太陽歯車の外周ギヤ面に所定の間隔にプラネタリ配置する複数の遊星歯車とを備え、
オートフォーカス動作時には、当該駆動源からの駆動力で、遊星歯車を自転させ、且つ、静止した太陽歯車の外周を公転する動作をさせ、この遊星歯車の動作から生じる力でフォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させ焦点調節を行い、
マニュアルフォーカス動作時には、手動操作用フォーカスリングからのマニュアル動作により当該遊星歯車を当該太陽歯車の周りを公転させると同時に、当該太陽歯車を回転させ、該太陽歯車の回転により当該遊星歯車と駆動源との間での駆動力の伝達を遮断し、当該遊星歯車の動作から生じる力でフォーカスレンズ枠を光軸方向にスライド移動させ焦点調節を行うことを特徴とするレンズ駆動機構。
【請求項2】
前記固定筒と前記太陽歯車との間に、当該太陽歯車に摺動抵抗を生じさせるための摩擦力を付与する摩擦抵抗発生部材を介装する請求項1のレンズ駆動機構。
【請求項3】
前記摩擦抵抗発生部材の前記摩擦力は、前記複数の遊星歯車を介して、前記太陽歯車に伝達される前記駆動源からの駆動力より大きい請求項2のレンズ駆動機構。
【請求項4】
前記摩擦抵抗発生部材の前記摩擦力は、前記駆動源の自己保持力より小さい請求項2又は請求項3のレンズ駆動機構。
【請求項5】
前記太陽歯車は、前記複数の遊星歯車と、当該複数の遊星歯車の外周に設けられ、該複数の遊星歯車とそれぞれ噛み合う第1の内歯車と、当該複数の遊星歯車をそれぞれ軸支し、且つ、光軸を中心として回転可能に設けられたキャリアと共に遊星歯車機構を構成し、
前記駆動源の駆動力は、当該第1の内歯車を介して、当該複数の遊星歯車に伝達される請求項1〜請求項4のいずれかに記載のレンズ駆動機構。
【請求項6】
前記手動操作用フォーカスリングは、第1の連結部材を介して前記キャリアと連結され、当該キャリアは、第2の連結部材を介して前記回転カム筒と連結される請求項5に記載のレンズ駆動機構。
【請求項7】
前記駆動源は、棒状超音波モータ、定在波駆動型超音波モータ又はウォームギヤを有するモータ減速駆動装置のいずれかである請求項1〜請求項6のいずれかに記載のレンズ駆動機構。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載のレンズ駆動機構を用いた撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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