説明

レンズ駆動装置

【課題】移動体の外周側に狭い隙間しか存在しない場合でも、十分な耐衝撃性を得ることのできるレンズ駆動装置を提供すること。
【解決手段】レンズ駆動装置において、第1コイル31および第2コイル32の巻き始めのコイル端部および巻き終わりのコイル端部は、移動体3に保持された2本の絡げピン15に巻き付けられている部分がバネ片14a、14bと電気的に接続されている。このため、コイル端部とバネ片14a、14bとを電気的に接続する際、コイル端部を絡げピン15から解く必要がない。また、コイル端部への予備ハンダや、コイル端部の緩み防止用の補強接着などが不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを備えた移動体側に設けたコイルへの給電をバネ部材によって行うレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ付き携帯電話機やデジタルカメラなどに搭載されるレンズ駆動装置は、レンズを備えた移動体と、この移動体の外側に配置された支持体と、移動体をレンズ光軸方向に磁気駆動する磁気駆動機構とを有している。また、レンズ駆動装置は、支持体に用いたベースと移動体とに接続された第1バネ部材と、支持体に用いたカバーと移動体とに接続された第2バネ部材とが用いられており、バネ部材の付勢力と磁気駆動機構による推力とをバランスさせて移動体を光軸方向の所定位置に移動させる。
【0003】
ここで、第1バネ部材については複数のバネ片に分割し、コイルの端部をバネ片に接続することにより、バネ片をコイルへの給電部材として利用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−36825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のように、コイル端部をバネ片にハンダ付けなどの方法で接続するには、ハンダ付けを行なうまでの間、コイル端部を移動体のいずれかに絡げておき、ハンダ付けの際、コイル端部の絡げを解くなどといった作業が必要であるため、多大な手間がかかるという問題点がある。さらに、コイル端部をバネ片にハンダ付けするには、コイル端部に対する予備ハンダや、コイル端部の緩み防止用の補強接着などが必要となるため、生産性がかなり低いという問題点もある。また、特許文献1に記載の構成では、コイル端部に対する予備ハンダと、コイル端部とバネ片とのハンダ付けとが必要であるため、ハンダ滓などといった異物がバネ片周辺に付着してバネ片の変形や移動体の移動を妨げるなどといった品質面での問題もある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、バネ片をコイルへの給電に利用する場合でも、高い生産性および高い品質を得ることのできるレンズ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、支持体と、レンズを備えた移動体と、前記移動体を前記支持体に対してレンズ光軸方向に磁気駆動するための前記移動体側のコイルおよび前記支持体側のマグネットを備えた磁気駆動機構と、を有するレンズ駆動装置において、前記移動体と前記支持体との間には、前記移動体を支持するとともに、前記コイルへの給電部材として用いられる2つのバネ片が接続され、前記移動体は、前記コイルの巻き始めのコイル端部および巻き終わりのコイル端部が巻き付けられた2本の絡げピンを備え、前記コイル端部において前記絡げピンに巻き付けられている部分と前記バネ片とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明において、コイルの巻き始めのコイル端部および巻き終わりのコイル端部は、移動体に保持された2本の絡げピンに巻き付けられている部分がバネ片と電気的に接続されているため、コイル端部とバネ片とを電気的に接続する際、コイル端部を絡げピンから解く必要がない。また、コイル端部をバネ片にハンダ付けするのに必要なコイル端部に対する予備ハンダや、コイル端部の緩み防止用の補強接着などが不要である。しかも、予備ハンダを必要としない分、ハンダ滓がバネ片周辺に付着してバネ片の変形や移動体の移動を妨げるなどといった問題を回避することができる。それ故、バネ片をコイルへの給電に利用する場合でも、高い生産性および高い品質を得ることができる。
【0009】
本発明において、前記絡げピンは金属製であることが好ましい。かかる構成によれば、コイル端部と絡げピンとを溶接やハンダなどによって固定することができる。
【0010】
本発明において、前記バネ片は、前記絡げピンの外周に沿うように曲がったコイル接続端子部を備え、当該コイル接続端子部と前記コイル端部とが電気的に接続されていることが好ましい。かかる構成によれば、コイル接続端子部とコイル端部とを接続する際の溶接作業やハンダ作業が行いやすく、かつ、接合面積が広くなる分、接続部分に高い信頼性を得ることができる。
【0011】
本発明において、前記コイル接続端子部は、前記コイル端部において前記絡げピンに巻き付けられている部分と当接した際に弾性変形するバネ性を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、組立工程においてコイル接続端子部と絡げピンとを近接させることができるので、作業効率が高いという利点がある。
【0012】
本発明において、前記コイル端部は、前記絡げピンに複数ターン巻き付けられ、前記複数ターンのうち、前記巻き始めのコイル端部の前記絡げピンへの巻き付け始め側の一部、および前記巻き終わりのコイル端部の前記絡げピンへの巻き付け終わり側の一部は、前記バネ片との電気的接続用にハンダ付けあるいは溶融処理が施され、残部は前記ハンダ付けおよび溶融処理が施されていないことが好ましい。かかる構成によれば、コイル端部のうち、コイルを形成するに引き回される側に相当部分には、ハンダ付けや溶融処理が施されていない分、コイル線の柔軟性を確保することができる。それ故、コイル線に力が加わっても、断線しにくいという利点がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明において、コイルの巻き始めのコイル端部および巻き終わりのコイル端部は、移動体に保持された2本の絡げピンに巻き付けられている部分がバネ片と電気的に接続されているため、コイル端部とバネ片とを電気的に接続する際、コイル端部を絡げピンから解く必要がない。また、コイル端部をバネ片にハンダ付けするのに必要なコイル端部に対する予備ハンダや、コイル端部の緩み防止用の補強接着などが不要である。しかも、予備ハンダを必要としない分、ハンダ滓がバネ片周辺に付着してバネ片の変形や移動体の移動を妨げるなどといった問題を回避することができる。それ故、バネ片をコイルへの給電に利用する場合でも、高い生産性および高い品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用したレンズ駆動装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】本発明を適用したレンズ駆動装置の被写体側とは反対側(撮像素子側)からみた分解斜視図である。
【図3】本発明を適用したレンズ駆動装置に用いた移動体などをさらに細かく分解した分解斜視図である。
【図4】(a)、(b)、(c)は各々、本発明を適用したレンズ駆動装置に用いたバネ支持部材の底面図、第2バネ部材の底面図、および第1バネ部材の底面図である。
【図5】本発明を適用したレンズ駆動装置に用いた第1バネ部材および第2バネ部材を共通のバネ支持部材で保持した様子の説明図である。
【図6】本発明を適用したレンズ駆動装置に用いたバネ支持部材の柱状部の説明図である。
【図7】本発明を適用したレンズ駆動装置における移動体の撮像素子側端部でのコイル端部とバネ部材との電気的接続構造を示す説明図である。
【図8】(a)、(b)、(c)は各々、本発明を適用したレンズ駆動装置における移動体の撮像素子側端部でのコイル端部とバネ部材との電気的接続構造を示す底面図、コイル接続端子部をV字形状に形成した場合の説明図、およびコイル接続端子部をY字形状に形成した場合の説明図である。
【図9】本発明を適用したレンズ駆動装置における移動体の撮像素子側端部でのコイル端部とバネ部材とを電気的に接続する工程を示す説明図である。
【図10】本発明を適用したレンズ駆動装置をレンズ光軸に沿って切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明するレンズ駆動装置は、カメラ付き携帯電話機の他にも、様々な電子機器に取り付けることが可能である。例えば、薄型のデジタルカメラ、PHS、PDA、バーコードリーダ、監視カメラ、車の背後確認用カメラ、光学的認証機能を有するドア等に用いることができる。
【0016】
(レンズ駆動装置の全体構成)
図1は、本発明を適用したレンズ駆動装置の全体構成を示す説明図であり、図1(a)、(b)は各々、本発明を適用したレンズ駆動装置を被写体側からみた外観図、および被写体側からみた分解斜視図である。図2は、本発明を適用したレンズ駆動装置の被写体側とは反対側(撮像素子側)からみた分解斜視図である。図3は、本発明を適用したレンズ駆動装置に用いた移動体などをさらに細かく分解した分解斜視図であり、図3(a)、(b)は各々、被写体側からみた分解斜視図および撮像素子側からみた分解斜視図である。
【0017】
図1〜図3において、本形態のレンズ駆動装置1は、カメラ付き携帯電話機などに用いられる薄型カメラにおいて、例えばレンズ36や絞りを光軸方向Lに沿って被写体(物体側)に近づくA方向(前側)、および被写体とは反対側(像側)に近づくB方向(後側)の双方向に移動させるためのものであり、略直方体形状を有している。レンズ駆動装置1は、概ね、1枚乃至複数枚のレンズ36および固定絞りを内側に備えた円筒状のレンズホルダ37を有する移動体3と、この移動体3をレンズ光軸方向Lに沿って移動させる磁気駆動機構5と、磁気駆動機構5および移動体3などが搭載された支持体2とを有している。移動体3は筒状のスリーブ13を備えており、その内側に円筒状のレンズホルダ37がネジ機構により固着されることになる。従って、移動体3の外形形状はスリーブ13によって規定され、略四角柱形状を備えている。
【0018】
支持体2は、像側に撮像素子(図示せず)を保持するための矩形の樹脂板からなるホルダ19を有しているとともに、被写体側には、箱状のヨーク18およびバネ支持部材11を有している。バネ支持部材11およびヨーク18の中央には、被写体からの光をレンズ36に取り込むための円形の入射窓110、180が各々形成されている。ヨーク18は、鋼板などの強磁性板からなり、後述するように、マグネット17とともに、スリーブ13に保持された第1コイル31および第2コイル32に鎖交磁界を発生させる鎖交磁界発生体を構成している。
【0019】
ホルダ19は、矩形の本体部分191の中央部分にレンズ36を介して入射した光を撮像素子によって受光可能とする開口部190が形成されている。ホルダ19の本体部分191には凹部191aが形成されており、かかる凹部191aは、スリーブ13の回転範囲規制、あるいはラジアル方向の移動規制に用いられている。なお、ホルダ19とヨーク18との連結は、バネ支持部材11を介しておこなわれる。すなわち、後述するように、バネ支持部材11は、突起117aを備えた柱状部119を備えているため、かかる突起117aを介して、ホルダ19とバネ支持部材11とを連結する。また、バネ支持部材11は、枠状部115を介してヨーク18の内側に固定される。
【0020】
(磁気駆動機構5の構成)
磁気駆動機構5は、スリーブ13の外周面に巻回された第1コイル31および第2コイル32と、第1コイル31および第2コイル32に鎖交磁界を発生させる鎖交磁界発生体とを備え、第1コイル31、第2コイル32および鎖交磁界発生体により磁気駆動機構5が構成されている。鎖交磁界発生体は、第1コイル31および第2コイル32に対して外周側で対向する4つのマグネット17と、ヨーク18とを備えており、ヨーク18も磁気駆動機構5の構成要素として用いられている。
【0021】
ヨーク18は、被写体側に位置する第2コイル32の上面側を覆う天板部185と、角筒状胴部186とを備えた箱形状を有している。角筒状胴部186は、第1コイル31および第2コイル32の側面側を覆う側板部181、182、183、184を備えており、マグネット17と第1コイル31および第2コイル32との間に構成される磁路からの漏れ磁束を少なくしている。かかる構成により、移動体3の移動量と、第1コイル31および第2コイル32に流す電流との間のリニアリティを向上することができる。
【0022】
本形態において、4つのマグネット17は各々、矩形板形状を備えており、ヨーク18の4隅を避けた辺部分において側板部181、182、183、184の内側に固定されている。4つのマグネット17はいずれも光軸方向Lにおいて2分割されており、いずれにおいても内面と外面とが異なる極に着磁されている。4つのマグネット17では、例えば、上半分では内面がN極に着磁され、外面がS極に着磁され、下半分では、内面がS極に着磁され、外面がN極に着磁されている。従って、第1コイル31と第2コイル32とでは、コイル線の巻回方向は反対である。
【0023】
(バネ支持部材の構成)
バネ支持部材11は、樹脂成形品であり、ヨーク18の内側に固着された矩形の枠状部115と、枠状部115から撮像素子側に向けて突出する4本の柱状部119とを備えており、4本の柱状部119は各々、ヨーク18の角筒状胴部186の角部分の内側に固着されている。本形態において、バネ支持部材11は、後述するように、枠状部115で、後述する被写体側バネ部材14yを支持体2に接続する機能を担い、柱状部119で、後述する像側バネ部材14xを支持体2に接続する機能を担う。
【0024】
(バネ部材およびその周辺の構成)
本形態のレンズ駆動装置1は、さらに、ホルダ19とスリーブ13との間、およびバネ支持部材11とスリーブ13との間の各々に、支持体2と移動体3とを接続する像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yを備えている。像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yはいずれも、ベリリウム銅やSUS系鋼材などといった金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。かかる像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yは、移動体3をレンズ光軸に沿って移動可能に支持体2に支持された状態とする。
【0025】
像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yのうち、ホルダ19側(像側)に配置された像側バネ部材14xは、2つのバネ片14a、14bに2分割されており、第1コイル31および第2コイル32の2本の端部(巻き始め端部および巻き終わり端部)は各々、バネ片14a、14bに電気的に接続される。従って、像側バネ部材14x(バネ片14a、14b)は第1コイル31および第2コイル32に対する給電部材としても機能する。かかるバネ片14a、14bについては、それを折り曲げ加工を行なって端子149a、149bが形成されている。
【0026】
(磁気バネの構成)
レンズ駆動装置1は、さらに、スリーブ13の上端に保持されたリング状の磁性片130を備えており、このような磁性片130は、マグネット17との間に作用する吸引力により移動体3に対して光軸方向Lの付勢力を印加する磁気バネを構成する。このため、移動体3が無通電時に自重で変位することを防止することができるため、移動体3に所望の姿勢を維持させ、さらに耐衝撃性を向上させることが可能である。また、磁性片130は、一種のバックヨークとして作用し、マグネット17と第1コイル31および第2コイル32との間に構成される磁路からの漏れ磁束を少なくすることができる。なお、磁性片としては、棒状の磁性体が用いられることもある。
【0027】
(スリーブ13の構成)
スリーブ13の外周面には、像側端部および被写体側端部に矩形のリブ状突起138、139が形成されているとともに、リブ状突起138、139で挟まれた中間位置よりもわずかに被写体側にずれた位置にリブ状突起136が形成されている。このため、スリーブ13の外周面には、リブ状突起136、138で挟まれた部分に第1コイル31を巻回する部分が形成され、リブ状突起138、139で挟まれた部分に第2コイル32を巻回する部分が形成されている。
【0028】
スリーブ13においてリブ状突起139の上面は、被写体側バネ部材14yを連結するためのバネ連結部13yになっており、スリーブ13の下端面(像側端面)は、像側バネ部材14xを連結するためのバネ連結部13xになっている。
【0029】
また、スリーブ13の像側端部には、バネ連結部13xよりさらに像側に突き出たストッパ部135が等角度間隔に4つ形成されており、かかるストッパ部135は、ホルダ19の凹部191a内でホルダ19と干渉して移動体3の像側への可動範囲や回転範囲を規定している。
【0030】
(バネ部材と移動体3との接続構造)
図4(a)、(b)、(c)は各々、本発明を適用したレンズ駆動装置に用いたバネ支持部材の底面図、第2バネ部材の底面図、および第1バネ部材の底面図である。
【0031】
図1〜図4を参照して、本発明を適用したレンズ駆動装置に用いたバネ部材(像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14y)の構成を説明する。
【0032】
図1〜図3に示すように、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yを移動体3と接続するにあたって、本形態では、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yをスリーブ13と接続する。
【0033】
図3および図4(b)に示すように、被写体側バネ部材14yは、支持体2に保持される4つの固定側連結部143を角部分に備えた外枠状部140と、スリーブ13の上端に連結される円環枠状の可動側連結部144と、固定側連結部143と可動側連結部144とを連結する4本のアーム部145とを備えている。4本のアーム部145はいずれも、可動側連結部144との接続部分から略円弧状に延在して固定側連結部143まで延びている。可動側連結部144には、スリーブ13のバネ連結部13yとの連結のための切り欠きが形成されており、かかる切り欠きを利用して、可動側連結部144とバネ連結部13yとの接着などが行なわれる。また、4つの固定側連結部143の各々には、バネ支持部材11との連結のための2つの穴143a、143bが形成されている。本形態において、穴143a、143bは、角度方向でずれた位置に形成されており、穴143bは、穴143aよりわずかに大きい。ここで、固定側連結部143は、後述するバネ支持部材11の枠状部115の下面において、柱状部119の根元部分に固定される。このため、固定側連結部143の外周縁は、柱状部119を避けるように凹んでいる。
【0034】
図3および図4(c)に示すように、像側バネ部材14xは、支持体2に保持される4つの固定側連結部146と、スリーブ13の下端に連結される円環枠状の可動側連結部147と、固定側連結部146と可動側連結部147とを連結する4本のアーム部148とを備えている。4本のアーム部148はいずれも、可動側連結部147との接続部分から略円弧状に延在して固定側連結部146まで延びている。可動側連結部147は、スリーブ13の下端面(バネ連結部13x)との連結のための切り欠き147aや穴147bが形成されており、かかる切り欠き147aや穴147bを利用して、可動側連結部147とバネ連結部13xとの位置決めや接着などが行なわれる。また、4つの固定側連結部146の各々には、ホルダ19との連結のための穴146aが形成されている。
【0035】
ここで、像側バネ部材14xは、可動側連結部147に設けられた2箇所の途切れ部分141によって2つのバネ片14a、14bに分割され、第1コイル31および第2コイル32に対する給電部材として利用される。従って、第1コイル31および第2コイル32を構成する1本のコイル線の両端部(巻き始め端部および巻き終わり端部)は、2つのバネ片14a、14bにハンダ付けなどの方法で接続される。但し、像側バネ部材14xは、製造途中までは、枠状部(図示せず)を介してバネ片14a、14bが繋がっており、レンズ駆動装置1への組み立て途中で2つのバネ片14a、14bに分割される。
【0036】
本形態の像側バネ部材14xにおいて、2箇所の途切れ部分141のうち、一方の途切れ部分141にはバネ片14a側のコイル接続端子部142が形成され、他方の途切れ部分141にはバネ片14b側のコイル接続端子部142が形成されている。かかるコイル接続端子部142の利用方法などは後述する。
【0037】
(被写体側バネ部材14yと支持体2との接続構造)
図5は、本発明を適用したレンズ駆動装置に用いた被写体側バネ部材および像側バネ部材を共通のバネ支持部材で保持した様子の説明図であり、図5(a)、(b)は各々、被写体側からみた斜視図および撮像素子側からみた斜視図である。
【0038】
図1〜図5に示すように、本形態では、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yを支持体2と接続するにあたって、図5に示すように、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yをいずれもバネ支持部材11と接続する。
【0039】
図4(a)、(b)および図5において、バネ支持部材11は、矩形の枠状部115と、枠状部115から撮像素子側に向けて突出する4本の柱状部119とを備えた樹脂成形品であり、枠状部115において柱状部119の根元付近分が被写体側バネ部材14yとの接続部116とされる。すなわち、枠状部115において柱状部119の根元付近には、被写体側バネ部材14yの2つの穴143a、143bに嵌る2つの突起116a、116bが形成されており、突起116a、116bは、穴143a、143bと同様、互いにずれた角度方向に形成されている。従って、被写体側バネ部材14yの固定側連結部143をバネ支持部材11の接続部116と重ねると、被写体側バネ部材14yの穴143a、143bに突起116a、116bが嵌り、被写体側バネ部材14yとバネ支持部材11との角度位置が規定される。この状態で、突起116a、116bの周辺で接着や溶着を行なえば、被写体側バネ部材14yの固定側連結部143とバネ支持部材11の接続部116とを接続することができる。
【0040】
ここで、被写体側バネ部材14yの固定側連結部143は、レンズ光軸L周りの4個所に形成されているとともに、4個所の固定側連結部143のうち、レンズ光軸Lを挟んで対向する2つの固定側連結部143は、レンズ光軸を中心とする点対称位置にあって、レンズ光軸Lを挟んで対向する他の2つの固定側連結部143も、レンズ光軸を中心とする点対称位置にある。また、バネ支持部材11の接続部116は、レンズ光軸L周りの4個所に形成されているとともに、4個所の接続部116のうち、レンズ光軸Lを挟んで対向する2つの接続部116は、レンズ光軸を中心とする点対称位置にあって、レンズ光軸Lを挟んで対向する他の2つの接続部116も、レンズ光軸を中心とする点対称位置にある。それ故、本形態では、被写体側バネ部材14yとバネ支持部材11とは、レンズ光軸L周りの4個所で接続されているとともに、4個所のうち、レンズ光軸Lを挟んで対向する2箇所は、レンズ光軸を中心とする点対称位置にあって、レンズ光軸を挟んで対向する他の2箇所も、レンズ光軸を中心とする点対称位置にある。
【0041】
(像側バネ部材14xと支持体2との接続構造)
図4(a)、(c)および図5に示すように、バネ支持部材11において、4本の柱状部119の各先端部117は、像側バネ部材14xとの接続部とされる。すなわち、柱状部119の先端部117には、像側バネ部材14xの穴146aに嵌る突起117aが形成されている。
【0042】
ここで、像側バネ部材14xの4つの固定側連結部146(固定側連結部146e、146f、146g、146h)のうち、周方向で隣り合う2つの固定側連結部146e、146fに形成された穴146aは略真円の穴146sであるが、他の2つの固定側連結部146g、146hに形成された穴146aは長円の穴146tである。また、固定側連結部146gに形成された穴146a(長円の穴146t)と、固定側連結部146hに形成された穴146a(長円の穴146t)とは、長径を直交方向する方に向けている。また、バネ支持部材11の4本の柱状部119(柱状部119e、119f、119g、119h)の先端部117に形成した突起117aのうち、周方向で隣り合う2つの柱状部119e、119fの先端部117に形成した突起117aは、断面略真円の突起117sであり、固定側連結部146e、146fに形成された穴146a(略真円の穴146s)と略同一寸法である。これに対して、他の2つの柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117aは、断面略長円の突起117tである。また、柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)は、固定側連結部146g、146hに形成された穴146a(長円の穴146t)と同様、長径を直交方向する方に向けている。
【0043】
本形態では、柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)の短径方向の寸法は、固定側連結部146g、146hに形成された穴146a(長円の穴146t)の短径方向の寸法と略同一であるが、柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)の長径方向の寸法は、固定側連結部146g、146hに形成された穴146a(長円の穴146t)の長径方向の寸法より小さい。従って、柱状部119gの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)と、固定側連結部146gに形成された穴146a(長円の穴146t)との間には、矢印Xaで示すように、長径方向のガタつきがある。また、柱状部119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)と、固定側連結部146hに形成された穴146a(長円の穴146t)との間には、矢印Yaで示すように、長径方向のガタつきがある。
【0044】
なお、本形態では、周方向で隣り合う2つの固定側連結部146g、146hに形成された穴146aを長円の穴146tとしたが、例えば、レンズ光軸Lを挟んで対向する2つの固定側連結部146e、146gに形成された穴146aを長円の穴146tとし、他の2つの固定側連結部146f、146hに形成された穴146aを真円の穴146sとするなど、ガタつきを付与する位置については変更してもよい。
【0045】
このように構成したバネ支持部材11および像側バネ部材14xにおいても、像側バネ部材14xの固定側連結部146をバネ支持部材11の先端部117に重ねると、像側バネ部材14xの穴146aに突起117aが嵌る。その際、柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)と、固定側連結部146g、146hに形成された穴146a(長円の穴146t)との間には長径方向のガタつきがある。それでも、柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)と、固定側連結部146g、146hに形成された穴146a(長円の穴146t)との間には短径方向にガタつきがなく、かつ、柱状部119e、119fの先端部117に形成した突起117aと、固定側連結部146e、146fに形成された穴146a(略真円の穴146s)との間にはガタつきがない。従って、突起117aが穴146aに嵌ると、像側バネ部材14xとバネ支持部材11との角度位置が規定される。それ故、突起117aの周辺で接着や溶着を行なえば、像側バネ部材14xの固定側連結部146とバネ支持部材11の柱状部119の先端部117とを接続することができる。
【0046】
ここで、像側バネ部材14xの固定側連結部146は、レンズ光軸L周りの4個所に形成されているとともに、4個所の固定側連結部146のうち、レンズ光軸Lを挟んで対向する2つの固定側連結部146は、レンズ光軸を中心とする点対称位置にあって、レンズ光軸Lを挟んで対向する他の2つの固定側連結部146も、レンズ光軸を中心とする点対称位置にある。また、バネ支持部材11の柱状部119は、レンズ光軸L周りの4個所に形成されているとともに、4個所の柱状部119のうち、レンズ光軸Lを挟んで対向する2つの柱状部119は、レンズ光軸を中心とする点対称位置にあって、レンズ光軸Lを挟んで対向する他の2つの柱状部119も、レンズ光軸を中心とする点対称位置にある。それ故、本形態では、像側バネ部材14xとバネ支持部材11とは、レンズ光軸L周りの4個所で接続されているとともに、4個所のうち、レンズ光軸Lを挟んで対向する2箇所は、レンズ光軸を中心とする点対称位置にあって、レンズ光軸を挟んで対向する他の2箇所も、レンズ光軸を中心とする点対称位置にある。
【0047】
また、バネ支持部材11において、像側バネ部材14xとバネ支持部材11との接続部分(柱状部119)と、被写体側バネ部材14yとバネ支持部材11との接続部分(接続部116)とは、レンズ光軸Lからみた同一の角度方向にあり、レンズ光軸L方向で概ね重なっている。
【0048】
(バネ支持部材11の柱状部119の構成)
図6は、本発明を適用したレンズ駆動装置に用いたバネ支持部材の柱状部の説明図であり、図6(a)、(b)、(c)は、柱状部の外側の側面の側面図、柱状部の内側の第1側面の側面図、および柱状部の内側の第2側面の側面図である。
【0049】
図4(a)および図5に示すように、バネ支持部材11において、4本の柱状部119はいずれも、2つの外側の側面119v、119wと、3つの内側の側面119x、119y、119zとを備えている。本形態では、4つの柱状部119のいずれにおいても、外側の側面119wは、図6(a)に示すように、レンズ光軸Lと平行に延在している。また、外側の側面119vも、側面119wと同様、レンズ光軸Lと平行に延在している。
【0050】
これに対して、内側の側面119xは、図6(b)に示すように、柱状部119を先端側に向かって細くするように、角度Θ1分だけ、斜めに延在するテーパ面になっている。内側の側面119zも、内側の側面119xと同様、柱状部119を先端側に向かって細くするように斜めに延在するテーパ面になっている。さらに、内側の側面119yも、図6(cb)に示すように、内側の側面119x、119zと同様、柱状部119を先端側に向かって細くするように、角度Θ2分だけ、斜めに延在するテーパ面になっている。本形態において、側面119x、119y、119zの傾き(角度Θ1、Θ2)は約5°である。
【0051】
(コイル端部とバネ部材14x、14yとの接続構造)
図7は、本発明を適用したレンズ駆動装置における移動体の撮像素子側端部でのコイル端部とバネ部材との電気的接続構造を示す説明図であり、図7(a)、(b)、(c)は、移動体の撮像素子側端部の斜視図、移動体から第1バネ部材を外した様子の斜視図、および移動体から絡げピンや第1バネ部材を外した様子の斜視図である。図8(a)、(b)、(c)は各々、本発明を適用したレンズ駆動装置における移動体の撮像素子側端部でのコイル端部とバネ部材との電気的接続構造を示す底面図、コイル接続端子部142をV字形状に形成した場合の説明図、およびコイル接続端子部142をY字形状に形成した場合の説明図である。図9は、本発明を適用したレンズ駆動装置における移動体の撮像素子側端部でのコイル端部とバネ部材とを電気的に接続する工程を示す説明図である。
【0052】
本形態では、図2〜図5を参照して説明したバネ部材14a、14bに第1コイル31および第2コイル32を構成する1本のコイル線の両端部(巻き始めのコイル端部および巻き終わりのコイル端部)を各々、電気的に接続するにあたって、図7に示すように、スリーブ13の像側の端面に保持された2本の絡げピン15を利用する。すなわち、絡げピン15に巻き付けられているコイル端部と、像側バネ部材14xのバネ片14a、14bの2つのコイル接続端子部142とをハンダ付け、導電性接着剤、あるいは溶接などの方法で電気的に接続する。
【0053】
絡げピン15としては、耐熱樹脂製あるいは金属製のものを用いることができ、本形態において、絡げピン15は金属製である。また、絡げピン15とスリーブ13とを一体化するにあたっては、スリーブ13を樹脂成形する際、絡げピン15をインサート成形する方法、およびスリーブ13に形成した穴に絡げピン15を圧入する方法を採用することができ、本形態においては、スリーブ13に形成した穴に絡げピン15を圧入する方法が採用されている。なお、絡げピン15は、像側の端部が丸い膨らみ部分151を有しているが、かかる膨らみ部分は、絡げピン15に対して行なったレーザ加熱による変形部分である。
【0054】
図4(c)および図8(a)に示すように、像側バネ部材14xのバネ片14a、14bに形成された2つのコイル接続端子部142は各々、絡げピン15の外周に沿うように曲がって開放部分を径方向外側に向けてC字形状を有しており、コイル接続端子部142の根元部分には、径方向外側から径方向内側に向けてスリット142aが形成されている。このため、コイル接続端子部142は、コイル端部において絡げピン15に巻き付けられている部分と当接した際に弾性変形するバネ性を備えている。なお、コイル接続端子部142が絡げピン15の外周に沿うように曲がった例としては、C字形状の他、図8(b)に示すようなV字形状や、図8(c)に示すようなY字形状であってもよい。
【0055】
以下、図9を参照してコイル端部と像側バネ部材14xのバネ片14a、14bとの電気的な接続方法を説明する。
【0056】
本形態では、図9(a1)、(b1)に示すように、スリーブ13に絡げピン15が圧入などの方向で保持された状態としておく。次に、図9(a2)に示すように、コイル線30の巻き始めのコイル端部34を絡げピン15の周りに例えば7〜9ターン巻き付ける。その際、例えば、図9(a2)に矢印C1で示すように、コイル端部34を絡げピン15の先端部から根元に向けて巻き付けていく。
【0057】
そして、コイル線30をスリーブ13の周りに巻回した第1コイル31および第2コイル32を形成した後、図9(b2)に示すように、巻き終わりのコイル端部35を絡げピン15の周りに例えば7〜9ターン巻き付ける。その際、例えば、図9(b2)に矢印C2で示すように、コイル端部34を絡げピン15の根元から先端に向けて巻き付けていく。
【0058】
次に、図9(a3)、(b3)に示すように、絡げピン15の先端にレーザを照射して、コイル端部34、35の表面から絶縁被覆層を除去するとともに、絡げピン15の先端を溶融変形させる。その結果、絡げピン15の先端には膨らみ部分151が形成される。その際、巻き始めのコイル端部34の絡げピン15への巻き付け始め側の一部(例えば、5〜6ターン分)、および巻き終わりのコイル端部35の絡げピン15への巻き付け終わり側の一部(例えば、5〜6ターン分)にレーザによる溶融処理を行い、コイル端部34、35の他の部分(2〜3ターン分)にはレーザによる溶融処理を行なわない。
【0059】
次に、図7(a)および図8(a)に示すように、スリーブ13の端部に像側バネ部材14x(バネ片14a、14b)を接続する。その結果、絡げピン15の近傍にバネ片14a、14bのコイル接続端子部142が位置する。
【0060】
しかる後には、図9(a4)、(b4)に示すように、像側バネ部材14xのバネ片14a、14bの2つのコイル接続端子部142と、絡げピン15の先端側とを導電性接着剤155などで電気的に接続する。その結果、絡げピン15に巻き付けられているコイル端部34、35と、像側バネ部材14xのバネ片14a、14bの2つのコイル接続端子部142とが導電性接着剤155を介して電気的に接続する。
【0061】
(基本的な動作)
図10は、本発明を適用したレンズ駆動装置をレンズ光軸に沿って切断したときの断面図である。図10において、本形態のレンズ駆動装置1では、第1コイル31および第2コイル32に対する通電を停止して磁気駆動機構5を停止させている待機期間中、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yの付勢力によって、移動体3は、像側に位置し、スリーブ13の像側端部がホルダ19に弾性をもって当接している状態にある。
【0062】
このような状態において、第1コイル31および第2コイル32に所定方向の電流を流すと、第1コイル31および第2コイル32は、それぞれ上向き(前側)の電磁力を受けることになる。これにより、第1コイル31および第2コイル32が固着されたスリーブ13は、被写体側(前側/矢印Aで示す方向)に移動し始めることになる。このとき、被写体側バネ部材14yとスリーブ13の前端との間、および像側バネ部材14xとスリーブ13の後端との間には、それぞれスリーブ13の移動を規制する弾性力が発生する。このため、スリーブ13を前側に移動させようとする電磁力と、スリーブ13の移動を規制する弾性力とが釣り合ったとき、スリーブ13は停止する。その際、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yによってスリーブ13に働く弾性力に応じて、第1コイル31および第2コイル32に流す電流量を調整することで、スリーブ13(移動体3)を所望の位置に停止させることができる。
【0063】
本形態では、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yとして、弾性力(応力)と変位量(歪み量)との間に線形関係が成立する板バネ(ジンバルバネ)を用いていることから、スリーブ13の移動量と第1コイル31および第2コイル32に流す電流との間のリニアリティを向上させることができる。また、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yからなる2つのバネ部材を用いていることから、スリーブ13が停止したときに光軸の方向に大きな釣り合いの力が加わることになり、光軸の方向に遠心力や衝撃力等の他の力が働いたとしても、より安定してスリーブ13を停止させることができる。さらに、レンズ駆動装置1では、スリーブ13を停止させるのに、衝突材(緩衝材)等に衝突させて停止させるのではなく、電磁力と弾性力との釣り合いを利用して停止させることとしているので、衝突音の発生を防ぐことも可能である。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のレンズ駆動装置1では、移動体3の一方側端部と支持体2とに接続する像側バネ部材14x(第1バネ部材)と、移動体3の他方側端部と支持体2とに接続する被写体側バネ部材14y(第2バネ部材)とは、支持体2を構成する複数の部材のうち、共通のバネ支持部材11に接続されている。このため、レンズ駆動装置1を組み立てる際、以下の組立方法を採用することができ、組立工程が容易である。まず、バネ支持部材11に被写体側バネ部材14yを固定した後、ヨーク18にバネ支持部材11を固定し、次にマグネット17をヨーク18に固定する。その際、マグネット17はバネ支持部材11により位置決めされる。次に、第1コイル31および第2コイル32を巻回したスリーブ13と被写体側バネ部材14yとを固定する。次に、像側バネ部材14xとスリーブ13と連結する。しかる後に、バネ支持部材11の柱状部119の突起117aを利用して、バネ支持部材11とホルダ19とを連結する。
【0065】
また、本形態では、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yが共通のバネ支持部材11に接続されているため、像側バネ部材14xと被写体側バネ部材14yの間には位置ずれが発生しにくい。従って、移動体3に保持されたレンズ36の光軸が装置光軸に対して斜めに傾くという不具合や、レンズ36の光軸と装置光軸とがずれるという不具合が発生することを防止することができる。
【0066】
また、被写体側バネ部材14yおよび像側バネ部材14xとバネ支持部材11とは、レンズ光軸L周りの4個所で接続されているとともに、4個所のうち、レンズ光軸Lを挟んで対向する2箇所は、レンズ光軸を中心とする点対称位置にあって、レンズ光軸を挟んで対向する他の2箇所も、レンズ光軸を中心とする点対称位置にある。このため、移動体3が傾きにくい。また、被写体側バネ部材14yとバネ支持部材11との接続位置と、像側バネ部材14xとバネ支持部材11との接続位置は、レンズ光軸Lを中心にした同一の角度方向に設けられているため、移動体3がより傾きにくいという利点がある。
【0067】
また、バネ支持部材11は、枠状部115と、枠状部115からレンズ光軸方向Lの同一方向に延在する4本の柱状部119とを備え、被写体側バネ部材14yは柱状部の根元に相当する部分に接続され、像側バネ部材14xは柱状部119の先端部に接続されている。このため、像側バネ部材14xと被写体側バネ部材14yとがレンズ光軸L方向において離間していても、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yを共通のバネ支持部材11に接続することができる。
【0068】
また、被写体側バネ部材14yの固定側連結部143をバネ支持部材11の接続部116と重ねると、被写体側バネ部材14yの穴143a、143bに突起116a、116bが嵌る。また、像側バネ部材14xの固定側連結部146をバネ支持部材11の先端部117に重ねると、像側バネ部材14xの穴146aに突起117aが嵌る。従って、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yを共通のバネ支持部材11に高い位置精度をもって接続することができる。
【0069】
しかも、被写体側バネ部材14yとバネ支持部材11との接続部では、2つの穴143a、143bに2つの突起116a、116bが嵌るため、被写体側バネ部材14yをバネ支持部材11に高い位置精度をもって接続することができる。これに対して、像側バネ部材14xとバネ支持部材11との接続部では、柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)と、固定側連結部146g、146hに形成された穴146a(長円の穴146t)との間には長径方向のガタつきがあるが、柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)と、固定側連結部146g、146hに形成された穴146a(長円の穴146t)との間には短径方向にガタつきがなく、かつ、柱状部119e、119fの先端部117に形成した突起117aと、固定側連結部146e、146fに形成された穴146a(略真円の穴146s)との間にはガタつきがない。また、柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)と、固定側連結部146g、146hに形成された穴146a(長円の穴146t)との間でのガタつき方向が直交している。このため、像側バネ部材14xおよび被写体側バネ部材14yを共通のバネ支持部材11に高い位置精度をもって接続することができる。
【0070】
しかも、像側バネ部材14xとバネ支持部材11との接続部では、柱状部119g、119hの先端部117に形成した突起117a(断面略長円の突起117t)と、固定側連結部146g、146hに形成された穴146a(長円の穴146t)との間には互いに直交する方向のガタつきがあるので、像側バネ部材14xとバネ支持部材11とを接続する際、像側バネ部材14xに過大なストレスが加わることを防止することができ、像側バネ部材14xのアーム部148の変形を防止することができる。
【0071】
さらに、バネ支持部材11において、4本の柱状部119はいずれも、外側の側面119v、119wは、レンズ光軸Lと平行に延在しているので、ヨーク18の側板部181、182、183、184に沿うようにバネ支持部材11を配置することができる。これに対して、内側の側面119x、119y、119zは、柱状部119を先端側に向かって細くするように斜めに延在するテーパ面になっている。従って、柱状部119の根元側が太いので、柱状部119の強度が大である。また、バネ支持部材11を金型成形した際、バネ支持部材11を金型から外すのが容易である。さらに、柱状部119の内側の側面119x、119y、119zが斜めになっている分、柱状部119で挟まれた領域が広いので、柱状部119で挟まれた位置にマグネット17を容易に配置することができる。
【0072】
また、本形態において、第1コイル31および第2コイル32(コイル線30)の巻き始めのコイル端部34および巻き終わりのコイル端部35は、移動体3に保持された2本の絡げピン15に巻き付けられている部分がバネ片14a、14bと電気的に接続されているため、コイル端部34、35とバネ片14a、14bとを電気的に接続する際、コイル端部34、35を絡げピン15から解く必要がない。また、コイル端部34、35への予備ハンダや、コイル端部34、35の緩み防止用の補強接着などが不要である。しかも、予備ハンダを必要としない分、ハンダ滓がバネ片14a、14b周辺に付着してバネ片14a、14bの変形や移動体3の移動を妨げるなどといった問題を回避することができる。それ故、バネ片14a、14bをコイルへの給電に利用する場合でも、高い生産性および高い品質を得ることができる。
【0073】
また、絡げピン15は金属製であるため、コイル端部34、35と絡げピン15とを溶接やハンダなどによって固定することができる。
【0074】
また、バネ片14a、14bは、絡げピン15の外周に沿うように曲がったコイル接続端子部142を備えているため、コイル接続端子部142とコイル端部34、35とを接続する際の溶接作業やハンダ作業が行いやすく、かつ、接合面積が広くなる分、接続部分に高い信頼性を得ることができる。また、コイル接続端子部142はバネ性を備えているため、組立工程においてコイル接続端子部142と絡げピン15とを近接させることができるので、作業効率が高いという利点がある。
【0075】
さらに、コイル端部34、35のうち、第1コイル31および第2コイル32を形成する際に引き回される側に相当部分には、ハンダ付けや溶融処理が施されていない分、コイル線30の柔軟性を確保することができる。それ故、コイル線30に力が加わっても、断線しにくいという利点がある。
【符号の説明】
【0076】
1 レンズ駆動装置
2 支持体
3 移動体
5 磁気駆動機構
11 バネ支持部材
13 スリーブ
14x 像側バネ部材(第1バネ部材)
14y 被写体側バネ部材(第2バネ部材)
15 絡げピン
17 マグネット
18 ヨーク
19 ホルダ
30 コイル線
31 第1コイル
32 第2コイル
36 レンズ
115 枠状部
119 柱状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、レンズを備えた移動体と、前記移動体を前記支持体に対してレンズ光軸方向に磁気駆動するための前記移動体側のコイルおよび前記支持体側のマグネットを備えた磁気駆動機構と、を有するレンズ駆動装置において、
前記移動体と前記支持体との間には、前記移動体を支持するとともに、前記コイルへの給電部材として用いられる2つのバネ片が接続され、
前記移動体は、前記コイルの巻き始めのコイル端部および巻き終わりのコイル端部が巻き付けられた2本の絡げピンを備え、
前記コイル端部において前記絡げピンに巻き付けられている部分と前記バネ片とが電気的に接続されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記絡げピンは金属製であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記バネ片は、前記絡げピンの外周に沿うように曲がった形状のコイル接続端子部を備え、当該コイル接続端子部と前記コイル端部とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記コイル接続端子部は、前記コイル端部において前記絡げピンに巻き付けられている部分と当接した際に弾性変形するバネ性を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記コイル端部は、前記絡げピンに複数ターン巻き付けられ、
前記複数ターンのうち、前記巻き始めのコイル端部の前記絡げピンへの巻き付け始め側の一部、および前記巻き終わりのコイル端部の前記絡げピンへの巻き付け終わり側の一部は、前記バネ片との電気的接続用にハンダ付けあるいは溶融処理が施され、残部は前記ハンダ付けおよび溶融処理が施されていないことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のレンズ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−286532(P2010−286532A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138133(P2009−138133)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】