説明

レンズ/アイリス制御装置およびその動作制御方法

【目的】ズーム等を制御する基板が故障した場合に,他の基板で代替動作する。
【構成】
ズーム制御CPU基板15には,切替スイッチ65が含まれており,切替スイッチ65を介してズーム・モータ41に制御信号が与えられる。ズーム制御CPU基板15が故障した場合には,フォーカス制御CPU基板16に含まれている切替スイッチ75の端子S31が接続される。すると,フォーカス制御CPU基板16からズーム・モータ41に制御信号が与えられる。ズーム制御CPU基板15が故障してもフォーカス制御基板16でズーム・モータ41の代替制御が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,レンズ/アイリス制御装置およびその動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放送用ズーム・レンズを使用した放送中,取材中,監視カメラ用ズーム・レンズを使用した撮影中などに故障が発生した場合であっても,撮影を続ける必要があるが,現場での短時間での修理は難しい。
【0003】
第1レンズマイコンによりカメラボディ側とレンズ側の交信の制御を行い,第2レンズマイコンによりAF制御,AE制御,手ぶれ補正などを行うものがある(特許文献1)。また,電子複写機では,二つのCPUが設けられており,コントロールパネルを制御していたCPUが動作不能となった場合でも,代わって他のCPUがコントロールパネルも制御するものがある(特許文献2)。また,テレビレンズ装置の電力不足によるノイズの混入を防止するもの(特許文献3)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-15011号公報
【特許文献2】特開平8-16041号公報
【特許文献3】特開平7-99599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,特許文献1に記載の発明では,第1マイコンまたは第2マイコンのいずれかでも故障すると撮影できなくなる。また,特許文献2に記載の発明では,コントロールパネルを制御していたCPUが動作不能となった場合に他のCPUがコントロールパネルを制御するが,動作不能となったCPUについて,その現場での修理は難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は,ズーム制御,フォーカス制御またはアイリス制御が故障により実行できなくなった場合でも,それらの制御を続行するとともに,現場で比較的簡単に修理できるようにすることを目的とする。
【0007】
この発明によるレンズ/アイリス制御装置は,それぞれの制御基板に制御回路が実装されており,フォーカス・レンズを駆動するフォーカス・モータ,ズーム・レンズを駆動するズーム・モータ,およびアイリスを駆動するアイリス・モータのそれぞれのモータを駆動する少なくとも二つ以上の制御基板,上記二つ以上の制御基板のうち,故障した基板と故障していない基板とを検出する故障検出制御回路が実装されている故障検出基板,および上記故障検出基板によって検出された故障した基板での制御を,上記故障検出基板によって検出された故障していない基板で行うように,上記二つ以上の制御基板を制御する代替指令制御回路が実装されている代替指令制御基板を備えていることを特徴とする。
【0008】
この発明は,上記レンズ/アイリス制御装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,それぞれの制御基板に制御回路が実装されており,フォーカス・レンズを駆動するフォーカス・モータ,ズーム・レンズを駆動するズーム・モータ,およびアイリスを駆動するアイリス・モータのそれぞれのモータを駆動する少なくとも二つ以上の制御基板が設けられており,故障検出基板に実装されている故障検出制御回路が,上記二つ以上の制御基板のうち,故障した基板と故障していない基板とを検出し,代替指令制御基板に実装されている代替指令制御回路が,上記故障検出基板によって検出された故障した基板での制御を,上記故障検出基板によって検出された故障していない基板で行うように,上記二つ以上の制御基板を制御するものである。
【0009】
この発明によると,それぞれの制御基板に制御回路が実装されており,フォーカス・レンズを駆動するフォーカス・モータ,ズーム・レンズを駆動するズーム・モータ,およびアイリスを駆動するアイリス・モータのそれぞれのモータを駆動する少なくとも二つ以上の制御基板が含まれている。
【0010】
これらの二つ以上の制御基板のうち,故障した基板と故障していない基板とが故障検出基板に実装されている故障検出制御回路によって検出される。故障した基板での制御が,故障していない基板で行うように,代替指令制御基板に実装されている代替制御指令制御回路によって,二つ以上の基板が制御される。
【0011】
故障によりフォーカス・モータ,ズーム・モータまたはアイリス・モータの制御が出来なくなっても,故障していない基板を用いて制御ができるようになる。また,それぞれの基板は別々なので,故障した基板を取り外して新しい基板と取り替えるだけで修理できる。現場で短時間で修理できるようになる。
【0012】
上記故障検出制御回路と上記代替指令制御回路とが共通の制御回路であり,かつ上記故障検出基板と上記代替指令制御基板とが共通であることが好ましい。
【0013】
フォーカス・レンズ位置を検出するフォーカス・センサからの検出信号,ズーム・レンズ位置を検出するズーム・センサからの検出信号,およびアイリス位置を検出するアイリス・センサからの検出信号を,上記故障検出基板によって検出された故障していない基板に出力する位置検出制御回路が実装されている位置検出制御基板をさらに備えてもよい。
【0014】
上記代替指令制御基板に実装されている上記代替指令制御回路は,たとえば,故障していない基板による制御中はその制御を続行させ,故障していない基板による制御が終了したことに応じて,故障した基板での制御を故障していない基板で行うように制御するものである。
【0015】
上記代替指令制御基板に実装されている上記代替指令制御回路は,たとえば,ワイド側へのズーム指令が与えられた場合には,そのズーム制御を最優先するものである。
【0016】
上記代替指令制御基板に実装されている上記代替指令制御回路は,フォーカス指令が与えられ,テレ側へのズーム指令が与えられた場合には,ズーム制御よりもフォーカス制御を優先するものでもよい。
【0017】
上記代替指令制御基板に実装されている上記代替指令制御回路は,故障していない基板への制御指令にもとづく故障していない基板による制御と,故障した基板への制御指令にもとづく故障していない基板による制御とを交互に行うものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】撮像レンズ・ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】ズーム制御CPU基板などの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】CAN通信のデータ構造を示している。
【図4】撮像レンズ・ユニットの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】撮像レンズ・ユニットの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】撮像レンズ・ユニットの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】撮像レンズ・ユニットの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】ズーム制御CPU基板などの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】撮像レンズ・ユニットの電気的構成を示すブロック図である。
【実施例】
【0019】
図1は,撮影レンズ・ユニット1の電気的構成を示すブロック図である。
【0020】
撮影レンズ・ユニット1には,それぞれが独立している(別々の基板)多数のCPU基板10−23(相互に着脱自在である)が含まれている。これらのCPU基板10−22のそれぞれにはCPUが実装されている。従来の撮影レンズ・ユニット1では,一つのCPUによって多数の処理が制御されているために,多数の処理を並行して行うことができないが,この実施例では,基板のそれぞれにCPUが実装されているので,それぞれの基板に実装されているCPUを同時に駆動することにより多数の処理を同時に行うことができる。
【0021】
カメラ本体52からの画像データ等およびCG(コンピュータ・グラフィック)処理を行うバーチャル・システム53などからの各種信号は,RS232CケーブルなどによりCPU基板10に入力する。
【0022】
撮影レンズ・ユニット1に与えられるズーム要求信号およびフォーカス要求信号は,ズーム要求CPU基板11およびフォーカス要求CPU基板12にそれぞれ与えられる。撮影レンズ・ユニット1には,各種スイッチ31,32などが設けられており,これらの各種スイッチ31,32などからのスイッチ信号はスイッチ制御CPU基板13に与えられる。また,撮影レンズ・ユニット1には,表示装置33,34などが設けられており,これらの表示装置33,34などは表示制御CPU基板14によって制御される。
【0023】
ズーム要求CPU基板11は,与えられるズーム要求信号を受信して他の基板に送信するものである。フォーカス要求CPU基板12は,与えられるフォーカス要求信号を受信して他の基板に送信するものである。スイッチ制御CPU基板13は,各種スイッチ31,32からの信号にもとづいてスイッチ制御を行うものである。表示制御CPU基板14は,表示装置(インジケータ)33,34の表示を制御するものである。
【0024】
ズーム制御CPU基板15には,ズーム・レンズ(図示略)を駆動するズーム・モータ41が接続されている。ズーム制御CPU基板15により,ズーム・モータ41が駆動され,ズーム・レンズが制御される。
【0025】
フォーカス制御CPU基板16には,フォーカス・レンズ(図示略)を駆動するフォーカス・モータ42が接続されている。マニアル・フォーカスであれば指定された位置に,オート・フォーカスであれば算出された合焦位置となるように,フォーカス制御CPU基板16により,フォーカス・モータ42が駆動され,フォーカス・レンズが制御される。
【0026】
アイリス制御CPU基板17には,アイリス(図示略)を駆動するアイリス・モータ43が接続されている。所望の絞り値となるように,アイリス制御CPU基板17により,アイリス・モータ43が駆動され,アイリスが制御される。
【0027】
位置センサ制御CPU基板18には,ズーム・レンズの位置を検出する第1のセンサ44,フォーカス・レンズの位置を検出する第2のセンサ45およびアイリスの位置を検出する第3のセンサ46が接続されている。第1のセンサ44によって検出されたズーム・レンズの位置を示す検出信号が位置センサ制御CPU基板18に入力し,ズーム・レンズの位置を示すデータが位置センサ制御CPU基板18からズーム制御CPU基板15に入力する。上述したようにズーム制御CPU基板15によってズーム・モータ41が制御される。第2のセンサ45によって検出されたフォーカス・レンズの位置を示す検出信号が位置センサ制御CPU基板18に入力し,フォーカス・レンズの位置を示すデータが位置センサ制御CPU基板18からフォーカス制御CPU基板16に入力する。フォーカス制御基板16によってフォーカス・モータ42が制御される。同様に,第3のセンサ46によって検出されたアイリスの位置を示す検出信号が位置センサ制御CPU基板18に入力し,アイリスの位置を示すデータが位置センサ制御CPU基板18からアイリス制御CPU基板17に入力する。アイリス制御CPU基板17によってアイリス・モータ43が制御される。
【0028】
ボリウム制御CPU基板19には,ズーム量を指定するボリウム47,フォーカス量を指定するボリウム48および絞り値を指定するボリウム49が接続されている。ズーム量を指定するボリウム47の調整量を示す信号がボリウム制御CPU基板19に入力する。すると,ボリウム制御CPU基板19からズーム制御CPU基板15にボリウム47の調整量を示すデータが入力する。ボリウム47によって指定されたズーム量となるように,ズーム制御CPU基板15がズーム・モータ41を制御する。同様に,フォーカス量を指定するボリウム48の調整量を示す信号がボリウム制御CPU基板19に入力すると,ボリウム48によって指定されたフォーカス量となるように,フォーカス制御CPU基板16がフォーカス・モータ42を制御する。絞り値を指定するボリウム49の調整量を示す信号がボリウム制御CPU基板19に入力すると,ボリウム49によって指定された絞り値となるように,アイリス制御CPU基板17がアイリス・モータ43を制御する。
【0029】
防振制御CPU基板20には,振れ方向に応じて振れ補正する防振レンズ(図示略)をシフトするためのモータ50および角速度センサ51が接続されている。角速度センサ51により,垂直方向および水平方向の振れが検出される。検出された垂直方向の振れおよび水平方向の振れを補正するように防振制御CPU基板20によってモータ50が制御される。
【0030】
PFユニットCPU基板21は,カメラ本体52に設けられている撮像用CCDの光学的距離から少し短い第1のAF用CCDと少し長い第2のAF用CCDと(いずれも図示略)から得られるAF評価値とフォーカス・レンズの位置との関係を表わす二つのグラフを生成し,その交点である合焦位置を算出するものである。
【0031】
追加制御CPU基板22および23は,撮影レンズ・ユニット1に追加の制御を行わせるときに利用されるものである。
【0032】
撮影レンズ・ユニット1には,第1の共通バスBUS1および第2の共通バスBUS2が含まれている。第1の共通バスBUS1に,ズーム要求CPU基板11,フォーカス要求CPU基板12,スイッチ制御CPU基板13,表示制御CPU基板14およびCPU基板10がバス接続されている。また,第2の共通バスBUS2に,CPU基板10,ズーム制御CPU基板15,フォーカス制御CPU基板16,アイリス制御CPU基板17,位置センサ制御CPU基板18,ボリウム制御CPU基板19,防振制御CPU基板20,PFユニットCPU基板21,追加制御CPU基板22および23がバス接続されている。バス・ライン(ネットワーク・ライン)同士またはバス・ラインと基板とは,コネクタ(図示略)によって着脱自在に接続されている。共通バスは2つでなく,1つまたは3つ以上でもよいのはいうまでもない。
【0033】
図2は,ズーム制御CPU基板15等の電気的構成を示すブロック図である。
【0034】
ズーム制御CPU基板15に入力するデータはトランシーバ61を介してCPU62に入力する。CPU62は,ズーム・モータ41を制御するもので,入力するズーム位置データからズーム・モータ41の駆動量を示すデータが生成される。生成された駆動量を示すデータがディジタル/アナログ変換回路63によってアナログ制御信号に変換される。変換されたアナログ制御信号はドライバ64を介して切替スイッチ65に与えられる。
【0035】
切替スイッチ65は,CPU62の制御のもとに端子S11,S12またはS13を切り替えるものである。切替スイッチ65の端子S11は,ズーム制御CPU基板15に形成されている端子S1,S17およびS14と接続されている。切替スイッチ65の端子S12は,ズーム制御CPU基板15に形成されている端子S2,S18およびS15と接続されている。切替スイッチ65の端子S13は,ズーム制御CPU基板15に形成されている端子S3,S19およびS16と接続されている。ズーム・モータ41は,端子S17とアース端子20とに接続されている。切替スイッチ65の端子S11が接続されると,ドライバ64からズーム・モータ41にアナログ制御信号が与えられる。
【0036】
フォーカス制御CPU基板16の構成は,ズーム制御CPU基板15の構成と同様である。
【0037】
フォーカス制御CPU基板16に入力するデータはトランシーバ71を介してCPU72に入力する。CPU72は,フォーカス・モータ42を制御するもので,入力するフォーカス位置データからフォーカス・モータ42の駆動量を示すデータが生成される。生成された駆動量を示すデータがディジタル/アナログ変換回路73によってアナログ制御信号に変換される。変換されたアナログ制御信号はドライバ74を介して切替スイッチ75に与えられる。
【0038】
切替スイッチ75は,CPU72の制御のもとに端子S31,S32またはS33を切り替えるものである。切替スイッチ75の端子S31は,フォーカス制御CPU基板16に形成されている端子S34,S37およびS40と接続されている。切替スイッチ75の端子S32は,フォーカス制御CPU基板16に形成されている端子S35,S38およびS41と接続されている。切替スイッチ75の端子S33は,フォーカス制御CPU基板16に形成されている端子S36,S39およびS42と接続されている。フォーカス・モータ42は,端子S41とアース端子S43とに接続されている。切替スイッチ75の端子S32が接続されると,ドライバ74からフォーカス・モータ42にアナログ制御信号が与えられる。
【0039】
アイリス制御CPU基板17の構成もズーム制御CPU基板15およびフォーカス制御CPU基板16と同様である。
【0040】
アイリス制御CPU基板17に入力するデータはトランシーバ81を介してCPU82に入力する。CPU82は,アイリス・モータ43を制御するもので,入力するアイリス位置データからアイリス・モータ43の駆動量を示すデータが生成される。生成された駆動量を示すデータがディジタル/アナログ変換回路83によってアナログ制御信号に変換される。変換されたアナログ制御信号はドライバ84を介して切替スイッチ85に与えられる。
【0041】
切替スイッチ85は,CPU82の制御のもとに端子S51,S52またはS53を切り替えるものである。切替スイッチ85の端子S51は,アイリス制御CPU基板17に形成されている端子S54,S57およびS60と接続されている。切替スイッチ85の端子S52は,アイリス制御CPU基板17に形成されている端子S55,S58およびS61と接続されている。切替スイッチ85の端子S53は,アイリス制御CPU基板17に形成されている端子S56,S59およびS62と接続されている。アイリス・モータ43は,端子S62とアース端子S63とに接続されている。切替スイッチ85の端子S53が接続されると,ドライバ84からアイリス・モータ43にアナログ制御信号が与えられる。
【0042】
位置センサ制御CPU基板18に入力するデータはトランシーバ91を介してCPU92に入力する。CPU92は,切替スイッチ94を制御するものである。
【0043】
切替スイッチ94は,CPU92の制御のもとに端子S71,S72またはS73を切り替えるものである。切替スイッチ94の端子S71,S72およびS73は,位置センサ制御CPU基板18に形成されている端子S75,S76およびS77とそれぞれ接続されている。上述したようにズーム・レンズ位置を検出する第1のセンサ44は端子S74とS75とS78とに接続され,フォーカス・レンズ位置を検出する第2のセンサ45は端子S74とS76とS78とに接続され,アイリス位置を検出する第3のセンサ46は端子S74とS77とS78とに接続されている。
【0044】
CPU92によって切替スイッチ94の端子S71が接続されると,第1のセンサ44の位置を示す信号が切替スイッチ94を介してアナログ/ディジタル変換回路93に入力する。アナログ/ディジタル変換回路93において位置を示すディジタル・データに変換され,CPU92に入力する。位置センサ制御CPU基板18のトランシーバ91からズーム制御CPU基板15に位置を示すデータが送信され,ズーム・モータ41の制御に利用される。
【0045】
CPU92によって切替スイッチ94の端子S72が接続されると,第2のセンサ45の位置を示す信号が切替スイッチ94を介してアナログ/ディジタル変換回路93に入力する。アナログ/ディジタル変換回路93において位置を示すディジタル・データに変換され,CPU92に入力する。位置センサ制御CPU基板18のトランシーバ91からフォーカス制御CPU基板16に位置を示すデータが送信され,フォーカス・モータ42の制御に利用される。
【0046】
CPU92によって切替スイッチ94の端子S73が接続されると,第3のセンサ46の位置を示す信号が切替スイッチ94を介してアナログ/ディジタル変換回路93に入力する。アナログ/ディジタル変換回路93において位置を示すディジタル・データに変換され,CPU92に入力する。位置センサ制御CPU基板18のトランシーバ91からアイリス制御CPU基板17に位置を示すデータが送信され,アイリス・モータ43の制御に利用される。
【0047】
ボリウム制御CPU基板19は,上述のように,ズーム量を調整するボリウム47,フォーカス量を調整するボリウム48および絞り値を調整するボリウム49から出力されるそれぞれの信号を入力するものである。
【0048】
ボリウム制御CPU基板19には,トランシーバ101,CPU102,アナログ/ディジタル変換回路103および切替スイッチ104が実装されている。切替スイッチ104はCPU102の制御のもとに端子S81,S82およびS83を切り替える。これらの端子S81,S82およびS83は基板19に形成されている端子S85,S86およびS87と接続されている。ズーム量を調整するボリウム47は,+Vの電圧が与えられている端子S84および−Vの電圧が与えられている端子S88ならびに端子S85と接続されている。フォーカス量を調整するボリウム48は,+Vの電圧が与えられている端子S84および−Vの電圧が与えられている端子S88ならびに端子S86と接続されている。絞り値を調整するボリウム49は,+Vの電圧が与えられている端子S84および−Vの電圧が与えられている端子S88ならびに端子S87と接続されている。
【0049】
ズーム量を調整するボリウム47の調整量を示す信号は,切替スイッチ104の端子S81が接続されることにより,CPU102に入力する。上述のように,ボリウム47の調整量を示す信号がボリウム制御CPU19からズーム制御CPU基板15に入力することにより,ボリウム47で調整された位置にズーム・レンズが位置決めされるように,ズーム制御CPU基板15によってズーム・モータ41が制御される。フォーカス量を調整するボリウム48の調整量を示す信号は,切替スイッチ104の端子S82が接続されることにより,CPU102に入力する。ボリウム48で調整されたフォーカス量となるように,フォーカス制御CPU基板16によってフォーカス・モータ42が制御される。絞り値を調整するボリウム49の調整量を示す信号は,切替スイッチ104の端子S83が接続されることにより,CPU102に入力する。ボリウム49で調整された絞り値となるように,アイリス制御CPU基板17によってアイリス・モータ43が制御される。
【0050】
図2に示す実施例では,ズーム制御CPU基板15に形成されている端子S14,S15およびS16が,フォーカス制御CPU基板16に形成されている端子S34,S35およびS36にそれぞれ接続されている。さらに,フォーカス制御CPU基板16に形成されている端子S34,S35およびS36が,アイリス制御CPU基板17に形成されている端子S54,S55およびS56にそれぞれ接続されている。これにより,フォーカス制御CPU基板16の切替スイッチ75の端子S31が接続されると,フォーカス制御CPU基板16によってズーム・モータ41を制御することができる。また,アイリス制御CPU基板17の切替スイッチ85の端子S51が接続されると,アイリス制御CPU基板17によってズーム・モータ41を制御することができる。また,ズーム制御CPU基板17の切替スイッチ65の端子S12が接続されると,ズーム制御CPU基板15によってフォーカス・モータ42を制御することができる。また,アイリス制御CPU基板17の切替スイッチ85の端子S52が接続されると,アイリス制御CPU基板17によってフォーカス・モータ42を制御することができる。同様に,ズーム制御CPU基板16の切替スイッチ65の端子S13が接続されると,ズーム制御CPU基板15によってアイリス・モータ43を制御することができる。また,フォーカス制御CPU基板16の切替スイッチ75の端子S33が接続されると,フォーカス制御CPU基板16によってアイリス・モータ43を制御することができる。
【0051】
このように,ズーム制御CPU基板15,フォーカス制御CPU基板16およびアイリス制御CPU基板17のいずれでもズーム・モータ41,フォーカス・モータ42およびアイリス・モータ43のいずれをも制御することができる。ズーム制御CPU制御基板15が故障したときには,フォーカス制御CPU基板16またはアイリス制御CPU基板17を用いてズーム・モータ41を制御でき,フォーカス制御CPU基板16が故障したときには,ズーム制御CPU基板15またはアイリス制御CPU基板17を用いてフォーカス・モータ42を制御でき,アイリス制御CPU基板17が故障したときには,ズーム制御CPU基板15またはフォーカス制御CPU基板16を用いてアイリス・モータ43を制御できる。
【0052】
上述した基板間のネットワーク通信は,CAN(Controller Area Network)通信を利用できる。
【0053】
図3は,CAN通信においてデータを送信する転送フォーマットであるデータ・フレームの構造を示している。
【0054】
データ・フレームは,リセッシブまたはドミナントのいずれかとなる。各部の数字はビット数を示している。また,通信が行われていない場合,バスはリセッシブとなっている(バス・アイドル)。
【0055】
データ・フレームには,スタート・オブ・フレーム,識別子フィールド,RTR,コントロール・フィールド,データ・フィールド,CRCシーケンス,CRCデリミタ,ACKスロット,ACKデリミタ,エンド・オブ・フレームが含まれ,その順で送信される。
【0056】
スタート・オブ・フレームは,データ・フレームの開始を表わすものであり,ドミナント状態とされる。スタート・オブ・フレームがバス・アイドルのリセッシブからドミナントへ変化することにより受信側のCPU基板(受信ノード)は同期を行うことができる。
【0057】
識別子フィールドは,データ内容や送信側のCPU基板(送信ノード)を識別するために使用される。受信側のCPU基板は,識別子フィールドに記述されている内容を検出することにより,自分が使用するデータ・フレームかどうかを判断できる。識別子フィールドは通信調停の優先順位を決定することもある。
【0058】
RTR(Remote Transmission Request )は,データを送信するデータ・フレームとデータの送信を要求するリモート・フレームとを識別するために使用される。データ・フレームの場合には,RTRはドミナントとなっている。RTRも識別子フィールドと同様に通信調停に使用される。
【0059】
コントロール・フィールドは,次のデータ・フィールド内で何バイト送信されるかを示すものである。
【0060】
データ・フィールドは,データ・フレームで送信されるデータの部分である。
【0061】
CRC(Cyclic Redundancy Check )シーケンスは,データ送信時のデータ破壊をチェックするものである。
【0062】
CRCデリミタは,CRCシーケンスの終了を表す区切り記号で,1ビット長のリセッシブ固定である。
【0063】
ACK(Acknowledgement)スロットは,正常受信確認のためのフィールドである。
【0064】
ACKデリミタは,ACKスロットの終了を表す区切り記号で、1ビット長のリセッシブ固定である。
【0065】
エンド・オブ・フレームは,送信または受信の終了を示すものであり,リセッシブ固定となっている。
【0066】
複数のCPU基板から同時にデータ・フレームが送信されてしまう場合,通信調停が行われる。たとえば,二つのデータ・フレームが送信された場合,それらの二つのデータ・フレームのそれぞれの識別子フィールドに記述されているデータ1ビットずつ比較され,最初に相違したデータがドミナントとなっていた方のデータ・フレームが優先して送信される。
【0067】
図4は,撮影レンズ・ユニット1の処理手順を示すフローチャートである。
【0068】
図4に示す処理は,CPU制御基板10によって行われるもので,ズーム制御CPU基板15が故障したときにはフォーカス制御CPU基板16を用いてズーム制御を行い,フォーカス制御CPU基板16が故障したときにはズーム制御CPU基板15を用いてフォーカス制御を行うものである。これらの基板15および16のうち,いずれか一方の基板が故障したときに,ズーム量の調整およびフォーカス量の調整の両方の調整がほぼ同時に行われた場合には,故障した基板に与えられる指令は無効となる。
【0069】
まず,ズーム制御CPU基板15およびフォーカス制御CPU基板15に設定されているパラメータのクリアなどの初期設定が行われる(ステップ200)。
【0070】
CPU基板10からズーム制御CPU基板15にズーム指令が与えられる。ズーム制御CPU基板15の切替スイッチ65の端子S11が接続され,ズーム制御CPU基板15によってズーム・モータ41が駆動させられる。ズーム制御が正常に動作しなければ(ステップ201でNO),ズーム異常フラグがオンされ,表示制御CPU基板14によってズーム・アラームの出力(表示)が制御される(ステップ202)。ズーム制御が正常に動作していれば(ステップ201でYES),ステップ202の処理はスキップされる。
【0071】
つづいて,CPU基板10からフォーカス制御CPU基板16にフォーカス指令が与えられる。フォーカス制御CPU基板16の切替スイッチ75の端子S32が接続され,フォーカス制御CPU基板16によってフォーカス・モータ42が駆動させられる。フォーカス制御が正常に動作しなければ(ステップ203でNO),フォーカス異常フラグがオンされ,表示制御CPU基板14によってフォーカス・アラームの出力が制御される(ステップ204)。フォーカス制御が正常に動作していれば(ステップ203でYES),ステップ204の処理はスキップされる。
【0072】
つづいて,スイッチ31,32などからの信号の読み取りなどのズーム,フォーカス以外の処理が行われる(ステップ205)。
【0073】
フォーカス調整のボリウム48の操作または外部装置からのフォーカス要求信号の入力があると(ステップ206でYES),フォーカス異常フラグがオンになっているかどうかが確認される(ステップ207)。
【0074】
フォーカス異常フラグがオンになっていると(ステップ207でYES),フォーカス制御CPU基板16が故障しているのでフォーカス制御CPU基板16によるフォーカス制御はできない。ズーム操作が行われており,ズーム制御CPU基板16によるズーム・モータ42の駆動中でなければ(ステップ209でNO),ズーム制御CPU基板15の切替スイッチ65の端子S12が接続される。ズーム制御基板15からの制御信号がフォーカス・モータ42に与えられることとなるので,ズーム制御基板15によってフォーカス・モータ42が駆動される(ステップ210)。ズーム制御CPU基板15によるズーム・モータ41の駆動中であると(ステップ209でYES),ズーム制御CPU基板15によるズーム・モータ41の駆動を優先するためにズーム制御CPU基板15によるフォーカス・モータ42の駆動は行われない。
【0075】
フォーカス異常フラグがオンでなければ(ステップ207でNO),フォーカス制御CPU基板16を用いてフォーカス・モータ42が駆動される(ステップ208)。
【0076】
ズーム,フォーカス以外の処理があれば,それらの処理が行われる(ステップ211)。
【0077】
ズーム調整のボリウム47の操作または外部装置からのズーム要求信号の入力があると(ステップ212でYES),ズーム異常フラグがオンになっているかどうかが確認される(ステップ213)。
【0078】
ズーム異常フラグがオンになっていると(ステップ213でYES),ズーム制御CPU基板15が故障しているのでズーム制御CPU基板15によるズーム制御はできない。フォーカス操作が行われており,フォーカス制御CPU基板16によるフォーカス・モータ42の駆動中でなければ(ステップ215でNO),フォーカス制御CPU基板16の切替スイッチ75の端子S31が接続される。フォーカス制御基板16からの制御信号がズーム・モータ41に与えられることとなるので,フォーカス制御基板16によってズーム・モータ41が駆動される(ステップ216)。フォーカス制御CPU基板16によるフォーカス・モータ42の駆動中であると(ステップ215でYES),フォーカス制御CPU基板16によるフォーカス・モータ42の駆動を優先するためにフォーカス制御CPU基板16によるズーム・モータ41の駆動は行われない。
【0079】
ズーム異常フラグがオンでなければ(ステップ213でNO),ズーム制御CPU基板15を用いてズーム・モータ41が駆動される(ステップ214)。
【0080】
撮像レンズ・ユニット1がオフ(例えば,カメラ本体52との接続が切断されるなど)されなければ(ステップ217でNO),ステップ205からの処理が繰り返される。もっともステップ201からの処理が繰り返されるようにしてもよい。
【0081】
図5は,変形例を示すもので,撮像レンズ・ユニット1の処理手順を示すフローチャートである。図5において,図4に示す処理と同一の処理については同一符号を付して説明を省略する。
【0082】
図4に示す実施例では,フォーカス制御CPU基板16が故障している場合には,ズーム制御CPU基板15が動作中でなければズーム制御CPU基板15を用いてフォーカス・モータ42が制御され,ズーム制御CPU基板15が故障している場合には,フォーカス制御CPU基板16が動作中でなければフォーカス制御CPU基板16を用いてズーム・モータ41が制御されている。
【0083】
これに対して,図5に示す処理では,フォーカス制御CPU基板16が故障している場合には,ズーム制御CPU基板15(アイリス制御基板17でもよい)によりズーム・レンズがワイド側に駆動されていないかどうかが確認される(ステップ209A)。ズーム・レンズがワイド側に駆動されていなければ(ステップ209AでNO),ズーム制御CPU基板15を用いてフォーカス・モータ42が制御される。ズーム・レンズがワイド側に駆動されていると(ステップ209AでYES),ズーム・レンズをワイド側に駆動する処理が優先される。ズーム制御CPU基板15によるフォーカス・モータ42の駆動は,ズーム制御CPU基板15によるズーム・モータ41の駆動が終了するまで行われない。
【0084】
上述の実施例では,フォーカス制御CPU基板16が故障している場合には,ズーム・レンズがワイド側に操作中でなければズーム制御CPU基板15を用いてフォーカス・モータ42が駆動させられており,ズーム・レンズがワイド側に操作中のときにはズーム制御CPU基板15を用いたフォーカス・レンズ42の駆動は行われていない。しかしながら,フォーカス制御CPU基板16が故障している場合には,ズーム・レンズがテレ側に操作中でなければズーム制御CPU基板15を用いてフォーカス・モータ42を駆動し,ズーム・レンズがテレ側に操作中のときにはズーム制御CPU基板15を用いたフォーカス・レンズ42の駆動を行わないようにしてもよい。
【0085】
図6および図7は,さらに他の実施例を示すもので,撮像レンズ・ユニット1の処理手順を示すフローチャートである。これらの図において,図4または図5に示す処理と同一の処理については同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
図6および図7に示す処理においては,ズーム制御CPU基板15またはフォーカス制御CPU基板16が故障した場合には,故障していない基板15または16を用いてズーム・モータ41の駆動とフォーカス・モータ42の駆動とを交互に行うものである。
【0087】
上述のように,フォーカス調整のボリウム48の操作または外部装置からのフォーカス要求信号の入力があると(ステップ206でYES),フォーカス異常フラグがオンになっているかどうかが確認される(ステップ207)。
【0088】
フォーカス異常フラグがオンになっていると(ステップ207でYES),フォーカス制御CPU基板16を用いてフォーカス・モータ42を駆動できないので,ズーム制御CPU基板15を用いてフォーカス・モータ42が駆動される(ステップ222)。但し,フォーカス制御CPU基板16によりフォーカス・モータ42が駆動させられるときの1/2の速度でフォーカス・モータ42が駆動させられる。また,ズーム・モータ41の駆動とフォーカス・モータ42の駆動とを,ズーム制御CPU基板15を用いて徐々に行うためにズーム基板流用フラグ223がオンされる(ステップ223)。
【0089】
フォーカス異常フラグがオンでなければ(ステップ207でNO),フォーカス制御CPU基板16を用いたフォーカス・モータ42の駆動が可能である。ズーム制御CPU基板15が故障したときにフォーカス制御CPU基板16を用いたズーム・モータ41の制御とフォーカス・モータ42の制御とを徐々に行わせるために設定されるフォーカス基板流用フラグがオンとなっているかどうかが確認される(ステップ224)。フォーカス基板流用フラグがオンとなっていると,フォーカス制御CPU基板16によるフォーカス・モータ42の制御とフォーカス制御CPU基板16によるズーム・モータ41の制御とを徐々に行わせるためにフォーカス制御CPU基板16でのフォーカス・モータ42の制御が通常の1/2の速度で駆動させられる(ステップ225)。フォーカス基板流用フラグがオンでなければ(ステップ224でNO),フォーカス制御CPU基板16を用いてフォーカス・モータ42が通常駆動させられる(ステップ225)。
【0090】
フォーカス操作が無ければ(ステップ206でNO),ズーム制御CPU基板15を用いたフォーカス・モータ42の駆動は不要なのでズーム基板流用フラグがオフされる(ステップ221)。
【0091】
図7を参照して,ズーム調整のボリウム47の操作または外部装置からのズーム要求信号の入力があると(ステップ212でYES),ズーム異常フラグがオンになっているかどうかが確認される(ステップ213)。
【0092】
ズーム異常フラグがオンになっていると(ステップ213でYES),ズーム制御CPU基板15を用いてズーム・モータ41を駆動できないので,フォーカス制御CPU基板16によりフォーカス・モータ42が駆動させられるときの1/2の速度でフォーカス制御CPU基板16を用いてズーム・モータ41が駆動される(ステップ228)。また,上述のように,ズーム・モータ41の駆動とフォーカス・モータ42の駆動とを,ズーム制御CPU基板15を用いて徐々に行うためにフォーカス基板流用フラグがオンされる(ステップ229)。
【0093】
ズーム異常フラグがオンでなければ(ステップ213でNO),ズーム制御CPU基板15を用いたズーム・モータ41の駆動が可能である。ズーム基板流用フラグがオンとなっているかどうかが確認される(ステップ230)。ズーム基板流用フラグがオンとなっていると(ステップ230でYES),ズーム制御CPU基板15によるズーム・モータ41の制御とズーム制御CPU基板15によるフォーカス・モータ42の制御とを徐々に行わせるためにズーム制御CPU基板15でのズーム・モータ41の制御が通常の1/2の速度で駆動させられる(ステップ232)。ズーム基板流用フラグがオンでなければ(ステップ230でNO),ズーム制御CPU基板15を用いてズーム・モータ41が通常駆動させられる(ステップ231)。
【0094】
ズーム操作が無ければ(ステップ212でNO),フォーカス制御CPU基板16を用いたズーム・モータ41の駆動は不要なのでフォーカス基板流用フラグがオフされる(ステップ227)。ステップ205(またはステップ201)からの処理が繰り返されることにより,ズーム制御CPU基板15またはフォーカス制御CPU基板16のうち,故障した基板の制御を故障していな基板の制御で行う場合にズーム・モータ41の駆動とフォーカス・モータ42の駆動とを交互に徐所に行うことができるようになる。
【0095】
上述の実施例において,ズーム制御CPU基板15またはフォーカス制御CPU基板16が故障している場合にはアイリス制御CPU基板17を用いてズーム制御またはフォーカス制御を行うようにしてもよい。また,アイリス制御CPU基板17が故障している場合にはズーム制御CPU基板15またはフォーカス制御CPU基板16を用いてアイリス・モータ43を駆動するようにしてもよい。
【0096】
上述の実施例においては,撮像レンズ・ユニット1がカメラ本体52などと接続されて撮像レンズ・ユニット1に電源が供給されると,ズーム制御およびフォーカス制御が正常に動作するかを確認しているが,ズーム指令またはフォーカス指令が与えられたときにズーム制御またはフォーカス制御が正常に動作するかを確認して上述した処理を行うようにしてもよいし,一定周期でズーム制御またはフォーカス制御が正常に動作するかを確認して上述した処理を行うようにしてもよい。
【0097】
図8は,変形例を示すもので,ズーム制御CPU基板15A等の電気的構成を示すブロック図である。図2に示す構成では,ズーム・モータ41等の制御と位置センサ44等の制御とは別々の基板で行っているが,図8に示す変形例ではズーム・モータ41等の制御と位置センサ44等との制御を同一の基板で行うものである。
【0098】
ズーム制御CPU基板15Aには上述したのと同様にデータを送受信するためのトランシーバ121,トランシーバ121に接続されズーム制御のためのCPU122,CPU122にそれぞれ接続されたアナログ/ディジタル変換回路123およびディジタル/アナログ変換回路125が含まれている。
【0099】
アナログ/ディジタル変換回路123には,切替スイッチ124が接続されている。切替スイッチ124は,端子S91,S92,S93またはS94を接続するものである。ズーム制御CPU基板15Aには,端子S95,S96およびS97が形成されている。端子S95には+Vの電圧が印加されており,端子S96はボリウム47が接続されている。端子S97には−Vの電圧が印加されている。また,ズーム制御CPU基板15Aには,端子S98,S99,S100,S101およびS102も形成されている。端子S96は,切替スイッチ124の端子S91と接続されており,ボリウム47の調整量を表わす信号が切替スイッチ124に与えられる。端子S98にも+Vの電圧が印加されており,端子S99に位置センサ44が接続されている。端子S100および端子S101は,それぞれ切替スイッチ124の端子S93およびS94に接続されている。端子S102には,−Vの電圧が印加されている。
【0100】
ディジタル/アナログ変換回路125にはドライバ126を介して切替スイッチ127が接続されている。切替スイッチ127は,端子S103,S104またはS105を接続するものである。ズーム制御CPU基板15Aには,端子S106,S107,S108およびS109が形成されている。端子S106,S107およびS108は,それぞれ切替スイッチ127の端子S103,S104およびS105に接続されている。端子S109はアース端子である。端子S106と端子S109との間にズーム・モータ41が接続されている。切替スイッチ127の端子S103に制御信号が与えられることにより,ズーム・モータ41が制御される。
【0101】
フォーカス制御CPU基板16Aには上述したのと同様にデータを送受信するためのトランシーバ131,トランシーバ131に接続されズーム制御のためのCPU132,CPU132にそれぞれ接続されたアナログ/ディジタル変換回路133およびディジタル/アナログ変換回路135が含まれている。
【0102】
アナログ/ディジタル変換回路133には,切替スイッチ134が接続されている。切替スイッチ134には,端子S121,S122およびS123も形成されている。フォーカス制御基板16Aには,端子S125,S126およびS127が形成されている。これらの端子S125,S126およびS127は,切替スイッチS121,S122およびS123と接続されている。端子S126は位置センサ45と接続されており,位置センサ45の位置を示す信号が切替スイッチ134およびアナログ/ディジタル変換回路133を介してCPU132に入力する。端子S124には+Vの電圧が印加されており,端子S109には,−Vの電圧が印加されている。
【0103】
ディジタル/アナログ変換回路135にはドライバ136を介して切替スイッチ137が接続されている。切替スイッチ137は,端子S131,S132またはS133を接続するものである。フォーカス制御CPU基板16Aには,端子S134,S135,S136およびS137が形成されている。端子S134,S135およびS136は,それぞれ切替スイッチ137の端子S131,S132およびS133に接続されている。端子S137はアース端子である。端子S135と端子S137との間にズーム・モータ42が接続されている。切替スイッチ137の端子S132に制御信号が与えられることにより,フォーカス・モータ42が制御される。
【0104】
アイリス制御CPU基板17Aには上述したのと同様にデータを送受信するためのトランシーバ141,トランシーバ141に接続されアイリス制御のためのCPU142,CPU142にそれぞれ接続されたアナログ/ディジタル変換回路143およびディジタル/アナログ変換回路145が含まれている。
【0105】
アナログ/ディジタル変換回路143には,切替スイッチ144が接続されている。切替スイッチ144には,端子S151,S152およびS153も形成されている。アイリス制御基板17Aには,端子S154,S155,S156,S157およびS158が形成されている。これらの端子S155,S156およびS157は,切替スイッチの端子S151,S152およびS153と接続されている。端子S157は位置センサ46と接続されており,位置センサ46の位置を示す信号が切替スイッチ144およびアナログ/ディジタル変換回路143を介してCPU142に入力する。端子S154には+Vの電圧が印加されており,端子S158には,−Vの電圧が印加されている。
【0106】
ディジタル/アナログ変換回路145にはドライバ146を介して切替スイッチ147が接続されている。切替スイッチ147は,端子S161,S162またはS163を接続するものである。アイリス制御CPU基板17Aには,端子S164,S165,S166およびS167が形成されている。端子S164,S165およびS166は,それぞれ切替スイッチ147の端子S161,S162およびS163に接続されている。端子S167はアース端子である。端子S166と端子S167との間にアイリス・モータ43が接続されている。切替スイッチ147の端子S163に制御信号が与えられることにより,アイリス・モータ43が制御される。
【0107】
ズーム制御CPU基板15Aには,さらに,端子S111,S112,S113,S114,S115および116も形成されている。端子S111,S112およびS113のそれぞれは,切替スイッチ124の端子S92,S93およびS94のそれぞれと接続されている。
【0108】
フォーカス制御CPU基板16Aには,さらに,端子S138,S139,S140,S141,S142およびS143ならびに端子S144,S145,S146,S147,S148およびS149が形成されている。端子S138,S139,S140,S141,S142およびS143のそれぞれは,ズーム制御CPU基板15Aに形成されている端子S111,S112,S113,S114,S115および116とそれぞれと接続されている。端子S138,S139およびS140のそれぞれは,切替スイッチ134の端子S121,S122およびS123ならびに端子S144,S145およびS146のそれぞれと接続されている。端子S141,S142およびS143のそれぞれは,切替スイッチ137の端子S131,S132およびS133ならびに端子S147,S148およびS148のそれぞれと接続されている。
【0109】
アイリス制御基板17Aには,さらに,端子S167,S168,S169,S170,S171およびS172が形成されている。これらの端子S167,S168,S169,S170,S171およびS172のそれぞれは,フォーカス制御CPU基板16Aに形成されている端子S144,S145,S146,S147,S148およびS149のそれぞれと接続されている。また,端子S167,S168および169のそれぞれは,切替スイッチ144の端子S151,S152およびS153のそれぞれと接続されている。端子S170,S171およびS172のそれぞれは,切替スイッチ147の端子S161,S162およびS163のそれぞれと接続されている。
【0110】
ズーム制御基板15Aが故障したときには,フォーカス制御基板16Aに含まれている切替スイッチ134の端子S121および切替スイッチ137の端子S131を接続する,あるいは,アイリス制御基板17Aの切替スイッチ144の端子S151および切替スイッチ147の端子S161を接続することにより,フォーカス制御CPU基板16Aまたはアイリス制御基板17Aを用いてズーム制御を実現できる。フォーカス制御CPU基板16Aのアナログ/ディジタル変換回路133またはアイリス制御CPU基板17Aのアナログ/ディジタル変換回路143と,ボリウム47と接続するように(ズーム制御CPU基板15Aの切替スイッチ124の端子S91と接続するように),切替スイッチ134または144を構成するようにしてもよい。ズーム制御CPU基板15Aが故障しても,ボリウム47の位置を検出できるようになる。
【0111】
同様に,フォーカス制御基板16Aが故障したときには,ズーム制御基板15Aに含まれている切替スイッチ124の端子S93および切替スイッチ127の端子S104を接続する,あるいは,アイリス制御基板17Aの切替スイッチ144の端子S152および切替スイッチ147の端子S162を接続することにより,ズーム制御CPU基板15Aまたはアイリス制御基板17Aを用いてフォーカス制御を実現できる。
【0112】
さらに,アイリス制御基板17Aが故障したときには,ズーム制御基板15Aに含まれている切替スイッチ124の端子S94および切替スイッチ127の端子S105を接続する,あるいは,フォーカス制御基板16Aの切替スイッチ134の端子S123および切替スイッチ137の端子S133を接続することにより,ズーム制御CPU基板15Aまたはフォーカス制御基板16Aを用いてアイリス制御を実現できる。
【0113】
図9は,変形例を示すもので,撮影レンズ・ユニット1Aの他の電気的構成を示すブロック図である。
【0114】
図9において,図1に示すものと同一物については同一符号を付して説明を省略する。
【0115】
図9に示す変形例では,ズーム要求CPU基板11とフォーカス要求CPU基板12,フォーカス要求CPU基板12とスイッチ制御基板13,スイッチ制御CPU基板13と表示制御CPU基板14,ズーム要求CPU基板11とCPU基板10は,それぞれネットワーク・ラインにより着脱自在に接続(バス接続)されている。
【0116】
また,CPU基板10とズーム制御CPU基板15,ズーム制御CPU基板15とフォーカス制御CPU基板16,フォーカス制御CPU基板16とアイリス制御CPU基板17,アイリス制御CPU基板17と位置センサ制御CPU基板18,位置センサ制御CPU基板18とボリウム制御CPU基板19,ボリウム制御CPU基板19と防振制御CPU基板20,防振制御CPU基板20とPFユニットCPU基板21,PFユニットCPU基板21と追加制御CPU基板23,および追加制御CPU基板22と23もそれぞれネットワーク・ラインにより着脱自在に接続されている。
【0117】
図9に示す構造であっても上述の処理を実現できる。
【0118】
この実施例では,CPU基板が故障した場合には,故障した基板だけを取り替えればよいので,迅速に修理できるようになる。しかもCPU基板(の一部)が故障した場合には,故障していないCPU基板を用いて故障したCPU基板の処理を代替できるので,CPU基板が故障しても撮影を続行できるようになる。
【0119】
上述した実施例では,CAN通信が利用されているがCAN通信以外のネットワーク技術を利用してもよい。たとえば,PROFIBUS,CC-Link,Interbus,EC-NETなどを利用することもできる。
【0120】
上述した実施例では,CPU基板10−23がネットワーク・ラインにより接続されているが,これらのCPU基板10−23とネットワーク・ラインとはコネクタ等により着脱自在に接続される。
【0121】
ズーム要求CPU基板11およびフォーカス要求CPU基板12もいずれもCPUが実装されており,ズーム要求信号またはフォーカス要求信号がアナログ/ディジタル変換回路を介してズーム要求CPU基板11またはフォーカス要求CPU基板12に実装されているCPUに入力する。さらに,スイッチ制御CPU基板13と表示制御CPU基板14も同じ構成であり,スイッチ31,32などから入力する信号がアナログ/ディジタル変換回路を介してスイッチ制御CPU基板13のCPUに入力し,表示制御CPU基板14のCPUからの制御データがディジタル/アナログ変換回路においてアナログ制御信号に変換されて表示装置33,34に入力する。さらに,PFユニットCPU基板21,追加制御CPU基板11および23の構成も同じでもよい。
【0122】
CPU制御基板10−23にはCPUおよびネットワーク・ラインを介して通信するための通信回路(トランシーバ)が共通に実装されているので,それらの回路についての共通化を図ることもできる。
【符号の説明】
【0123】
1,1A 撮像レンズ・ユニット
10 CPU基板(故障検出制御基板,代替指令制御基板)
15 ズーム制御CPU基板
16 フォーカス制御CPU基板
17 アイリス制御CPU基板
41 ズーム・モータ
42 フォーカス・モータ
43 アイリス・モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの制御基板に制御回路が実装されており,フォーカス・レンズを駆動するフォーカス・モータ,ズーム・レンズを駆動するズーム・モータ,およびアイリスを駆動するアイリス・モータのそれぞれのモータを駆動する少なくとも二つ以上の制御基板,
上記二つ以上の制御基板のうち,故障した基板と故障していない基板とを検出する故障検出制御回路が実装されている故障検出基板,および
上記故障検出基板によって検出された故障した基板での制御を,上記故障検出基板によって検出された故障していない基板で行うように,上記二つ以上の制御基板を制御する代替指令制御回路が実装されている代替指令制御基板,
を備えたレンズ/アイリス制御装置。
【請求項2】
上記故障検出制御回路と上記代替指令制御回路とが共通の制御回路であり,かつ上記故障検出基板と上記代替指令制御基板とが共通である,
請求項1に記載のレンズ/アイリス制御装置。
【請求項3】
フォーカス・レンズ位置を検出するフォーカス・センサからの検出信号,ズーム・レンズ位置を検出するズーム・センサからの検出信号,およびアイリス位置を検出するアイリス・センサからの検出信号を,上記故障検出基板によって検出された故障していない基板に出力する位置検出制御回路が実装されている位置検出制御基板,
をさらに備えた請求項1または2に記載のレンズ/アイリス制御装置。
【請求項4】
上記代替指令制御基板に実装されている上記代替指令制御回路は,
故障していない基板による制御中はその制御を続行させ,故障していない基板による制御が終了したことに応じて,故障した基板での制御を故障していない基板で行うように制御するものである,
請求項1から3のうち,いずれか一項に記載のレンズ/アイリス制御装置。
【請求項5】
上記代替指令制御基板に実装されている上記代替指令制御回路は,
ワイド側へのズーム指令が与えられた場合には,そのズーム制御を最優先するものである,
請求項1から3のうち,いずれか一項に記載のレンズ/アイリス制御装置。
【請求項6】
上記代替指令制御基板に実装されている上記代替指令制御回路は,
フォーカス指令が与えられ,テレ側へのズーム指令が与えられた場合には,ズーム制御よりもフォーカス制御を優先するものである,
請求項1から3のうち,いずれか一項に記載のレンズ/アイリス制御装置。
【請求項7】
上記代替指令制御基板に実装されている上記代替指令制御回路は,
故障していない基板への制御指令にもとづく故障していない基板による制御と,故障した基板への制御指令にもとづく故障していない基板による制御とを交互に行うものである,
請求項1から3のうち,いずれか一項に記載のレンズ/アイリス制御装置。
【請求項8】
それぞれの制御基板に制御回路が実装されており,フォーカス・レンズを駆動するフォーカス・モータ,ズーム・レンズを駆動するズーム・モータ,およびアイリスを駆動するアイリス・モータのそれぞれのモータを駆動する少なくとも二つ以上の制御基板が設けられており,
故障検出基板に実装されている故障検出制御回路が,上記二つ以上の制御基板のうち,故障した基板と故障していない基板とを検出し,
代替指令制御基板に実装されている代替指令制御回路が,上記故障検出基板によって検出された故障した基板での制御を,上記故障検出基板によって検出された故障していない基板で行うように,上記二つ以上の制御基板を制御する,
レンズ/アイリス制御装置の動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−29626(P2013−29626A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164945(P2011−164945)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】