説明

レーザで記録可能で、粘着力のあるスマートラベルの製造方法

【課題】顧客の注文に応じた無線周波数ラベルを安価に製造する。
【解決手段】少なくとも1つのトランスポンダー140を、物品112の表面に固定する。該トランスポンダー140は、少なくとも1つの無線周波数チップ116、少なくとも1つのアンテナ118および少なくとも1つのキャリアフィルム120を有している。更に少なくとも1つのカバーラベル138を、該トランスポンダー140上に固定する。該カバーラベル138は、該トランスポンダー140から離れている少なくとも1つの記録された表面132を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数ラベルを製造するための方法および装置に関する。このような方法および装置は、パッケージをサンプルの分析物の検出用の試験要素、例えば、診断試験要素として同定するために好んで使用されることが可能である。しかしながら、本発明による方法と本装置は、また他の物品にも使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
スマートラベル、すなわちインテリジェントラベルと呼ばれる形態の無線周波数ラベルは、多数の技術分野で使用される。このようなラベルは、一般的にRFID(無線周波識別)システム(電波による識別)から構成されている。このようなRFIDシステムは、電波による非接触読み取り操作および/または書き込み操作を可能にする。スマートラベルは、従来のラベル、例えば印刷され、単に光学的に読み取り可能なラベルに対比して、どのような希望される情報でも書き込み可能であり、ラベルに接触する必要がない。さらに、ラベルは読み取り装置とラベル間で直接視覚的接触なしに読み取ることも可能である。さらに、スマートラベルの可視表面は、例えば、工学的に認識できる情報を適用するために、レーザによって、印刷されるか、記録される。
【0003】
RFID、特にスマートラベルの有利な特性は、運搬業における製品の追跡、製品ロジスティクス、盗難防止分野、偽造品に対する戦い、または技術と日常生活の他の分野で利用される。このように、米国の医薬品局であるFDA(食品医薬品局)は、偽造薬に対する戦いにRFID技術を使用することを推奨している。また、温度に敏感な医薬品は、運搬コンテナに関するセンサー機能をもつRFIDラベルと共によく使用される。その記録は、例えば、運搬状態の違反の証拠書類を提出することができ、それゆえに、医薬品の合法的でなく運搬される薬か、薬品に対して患者を守ることができる。
【0004】
また、無線周波数ラベルとして以下に言及する核心の特徴は、少なくとも1つのトランスポンダーである。トランスポンダーは、英語ではRFID tagsと同等であり、「トランシーバー」と「レスポンダー」の組み合わせから言語的に形成されている。このように、トランスポンダーは、通常アナログ回路として代表的に形成される無線周波数チップを有している。この無線周波数チップは、通常データを受け取るとともに送る(トランシーブする)ように構成されており、また、一般にメモリ、例えば、永久(不揮発性)メモリを含んでおり、そのメモリは、電波を介して、すなわち、アンテナを介して指令される(アドレスを指定して転送される)。トランスポンダーは、比較的大量のデータ(例えば、1ビットから数キロビット)を送ることができる。
【0005】
トランスポンダーは、種々の構成が知られており、例えば、いわゆる能動型トランスポンダーは、そのトランスポンダー内にはトランスポンダー自体のエネルギー源を有することが知られている。しかしながら、いわゆる受動型トランスポンダーはさらに普及しており、そのトランスポンダー内には、外部無線領域(無線周波数領域)を介して、エネルギーが供給される。能動型トランスポンダーを使用することができるけれども、以下の説明では、受動型トランスポンダーの使用に焦点を合わせている。
【0006】
また、トランスポンダーは、周波数領域によって実質的には異なっている。標準的な周波数は、ISO 15693に準拠した13.56MHzの動作周波数である。しかしながら、トランスポンダーは、他の周波数領域、例えば865から869MHzの領域でもよく知られている。異なる周波数領域に対するトランスポンダーの動作モードはわずかに異なるけれども、周波数は終始一貫して「無線周波数」として、以下呼ぶ。本発明では、13.56MHzの動作周波数に焦点を合わせているが、それによって他の周波数の使用を除外していない。
【0007】
前述したように、1つまたは多数のメモリおよび/または1つまたは多数のアナログ回路を含むことができる、少なくとも1つの無線周波数チップを有するのに加えて、トランスポンダーは、少なくとも1つのアンテナを有している。そのアンテナおよび無線周波数チップは、一般にキャリアフィルム(そのフィルムによってアナロジーが種々のフィルムを課する)上に張られる。そのアンテナおよび無線周波数チップは、「インレー」として、合わせてよく言及される。さらに、そのインレーを有するキャリアフィルムは、被膜層(例えば、保護する紙の層および/またはPETフィルム)によって保護されることができる。
【0008】
そのアンテナは、例えば、種々の巻線を持つコイル、例えば、銅コイルおよび/またはアルミニウムコイルを有している。そのアンテナコイルは、データを読取装置から受け取る仕事を有している。さらに、信号は、アンテナを介して読取装置に送られることができる。前述した受動型トランスポンダーの場合には、第3の機能がエネルギーを受け取る付加機能であり、例えば、トランスポンダーにアンテナを介して電流が誘導されることができ、そのアンテナのエネルギーは、例えば、キャパシターまたは他のエネルギー貯蔵品に蓄えることができる。
【0009】
そのアンテナ(種々のアンテナが供給されることができる)の両端は、通常少なくとも1つの無線周波数チップに接続されている。この無線周波数チップ(以下、ICまたはチップという)は、その他の全ての構成部品を含むことができる、そして、例えば、エネルギーを受けて蓄える機能、データを送信および/または受信する機能およびデータをデータメモリに蓄える機能を含んでいる。
【0010】
前述したように、無線周波数ラベルがデータ保存のために、さらに記入され、「慣用的な」方法、すなわち、印刷工程等によって、記入できるように、無線周波数ラベルは、さらに記入可能な表面を有している。
【0011】
無線周波数ラベルを製造するために、従来技術から知られており、使用される諸工程は、一般に多数の個々の工程を含んでいる。少なくとも4つの副次的な工程が一般に含まれている。第一の工程において、無線周波数チップは、例えば、知られた半導体の工程によって製造される。無線周波数チップの製造から分離した第二の工程において、アンテナが一般に製造される。これは、例えば、キャリアフィルム上で行われるエッチング工程によって、例えば、リールツウリール技術で銅またはアルミニウムのエッチングによって、一般に製造される。第三の工程によって、無線周波数チップはアンテナに接続され(接着)、そのために種々のボンディング方法が使用されることができる。例えば、フリップチップ技術が可能であり、また、抵抗溶着に基づく技術、熱圧着、クリンプ技術、他の種類の接続技術または接続技術の結合が可能である。
【0012】
第四の工程は、その中でスマートラベルがそれぞれの使用に適合するように注文して作ることを含んでいる。ここで、トランスポンダーに、圧力感受性がある接着剤を備えることができる、例えば、記録可能な表面を備えることができる。
【0013】
しかしながら、多数の個別の工程は、多数の不利益が必然的に伴い、この不利益は、無線周波数ラベルの使用を実際上困難にする。このように、無線周波数ラベルの製造者は、半導体技術分野からの手法、積層技術、ボンディング技術、リールツウリール技術および印刷または厚膜技術を使わなければならないだろう。わずかな製造者のみがこれらの技術のすべてを提供することができる。概してロジスティクスをさらに複雑にする事実が、無線周波数ラベルの製造においてもたらされた。さらに、一般に特定の顧客向きに作る、前述した注文して作る工程は、比較的に複雑であり、従来方法の費用をその上に増加する。
【0014】
既知の方法のさらなる不利な事情は、困難な品質管理にある。このようにして、特にトランスポンダーの製造および記録可能な表面の製造において、一般に注文して作る工程の後にのみ一般に明らかになる障害が発生するかもしれなく、すでに注文して作られた高価な無線周波数ラベルが、しばしば捨てられなければならないという結果を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、既知の方法の不利な事情を少なくとも実質的に回避する、物品上にある無線周波数ラベルの製造方法を提供することである。特に、その方法は、高価でなく、無線周波数ラベルの製作におけるバリューチェーンを単純化することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、複数の独立請求項の特徴を備えた発明によって達成される。単独にまたは組み合わせて実現可能である本発明の有利な拡張は、複数の従属請求項に説明されている。全請求項の表現は、これによって本発明の内容の一部を構成する。
【0017】
注文して作られたトランスポンダーのラベルが表面に貼られる既知の方法に対して、本発明は2段階の方法である。第一段階の方法において、少なくとも1つのトランスポンダーが物品の表面上に固定される。このトランスポンダーは、例えば前述の説明に従うインレー(象眼細工)を含んで形成されることができ、少なくとも1つの無線周波数チップ、少なくとも1つのアンテナおよび少なくとも1つのキャリアフィルムを有している。前述したように、その少なくとも1つの無線周波数チップは、少なくとも1つのアナログ回路、および/または少なくとも1つのデータメモリ、なるべくなら不揮発性データメモリを含むことができる。例えば、その少なくとも1つの無線周波数チップは、一般に行われているシリコン技術を使って製造されることができ、または、その代わりにまたは追加して他の製造技術を包含することができる。このようにして、またポリマー技術(すなわち、伝導性および/または半導電性ポリマー)によって製造された無線周波数チップを特に使用することも可能である。例えば、アンテナに無線周波数チップを接着するために、複雑なフリップ−チップ技術が必要とされないから、相当に、この技術は、トランスポンダーの製造を簡素化する。アンテナは、技術を使用して、例えば、伝導性ポリマーを使用して、製造されることもできる。ハイブリッド技術、例えば、有機体の無線周波数チップを有する技術、および慣習的に製造されたアンテナ、例えば、エッチングしたアンテナが、また可能である。この接続において、前述した既知の技術を参考にすることができる。トランスポンダー自体の製造は、それが別の製造方法で実現されることができるけれども、そのトランスポンダーが加えられることができるように、提案された方法の一部であることが可能である。
【0018】
第二の方法の工程において、カバーラベルが最終的にキャリアフィルムの上に固定される。そのカバーラベルは、キャリアフィルムから離れた方向にある少なくとも1つの記録可能な表面を有している。
【0019】
既知の製造方法と比較して、提案された方法は、トランスポンダーの適用とカバーラベルの適用が別々に起こることができるという有利な点をもたらす。トランスポンダーとカバーラベルは、両方の場合にラベルになることができるが、調達し、保存し、互いに別々に取り扱うことができる。さらに、トランスポンダーとカバーラベルは、物品の表面上の同一のサイトの上に、例えば、二つの分離した自動的に分与している工程において、互いに別々に適用されることができる。このようにして、両方の適用の操作は、互いから分離して最適化される。
【0020】
さらに、提案された方法は、前述した注文して作る工程をなるべくなら完全に省略することを可能にする。これは、ラベルあたり約5〜8セントを節約でき、無線周波数ラベルあたり50セントより以上の無線周波数ラベルの標準的な費用の相当な節約を意味する。
【0021】
さらに、前述した注文して作る工程の省略は、トランスポンダーの上に、特に高感度の無線周波数チップの上に、追加した重みを置くのを避けることができることを意味する。このようにして、生産における除去率は減少でき、最終製品のリスクは大いに減少できる。
【0022】
さらに、分離した適用を用いることで、カバーラベルは注文して作ることに必ずしも結合する必要がない。これは、多数の商業的に利用可能なカバーラベルが、例えば、望まれる記録性を有して、使用可能であるように、使用可能な接着性のあるラベルの範囲を増加する。
【0023】
少なくとも1つのトランスポンダーと少なくとも1つのカバーラベルが、異なる方法の工程で製造されるならば、トランスポンダーが第一の決まった工程で物品の表面の上に固定され、その次にカバーラベルが第二の決まった工程でトランスポンダーの上に固定されるのが望ましい。この製造工程の分離は、前述した有利な点を増加し、特にトランスポンダーとカバーラベルが別々に最適化されることができるという効果をもつ。特に、トランスポンダーは、第一の決まった工程の前、および/または後に、トランスポンダー制御工程を経ることができ、その制御工程では、トランスポンダーが欠陥があるか否か管理される。例えば、このトランスポンダー制御工程は、トランスポンダーの分与の後に、すなわち、物品の表面の上にトランスポンダーを固定した後に、起こることができる。また、トランスポンダー制御工程がトランスポンダーの分与前に、または分与中に起こることができる。これは、用語「前、および/または後」によって、包含されるように意図されている。
【0024】
欠陥があるとして同定されたトランスポンダーは、カバーラベルがこれらのトランスポンダーの上に加えられる前に、またはこれらのトランスポンダーが物品の表面の上に加えられる前に捨てられるのが望ましい。カバーラベルは、特にこのようにして、節約できる。そして、記録可能な性質をもつカバーラベルは、一般に相当な費用要素を代表するから、それがまた全工程の費用の相当な減少を導ことが可能である。
【0025】
前述のとおり、トランスポンダー自体は、外部の供給者から手に入れるのがよく、この供給者によって完全に生産されるのがよい。その外部の供給者は、例えば、接着工程を専門化している会社である。トランスポンダー制御工程におけるトランスポンダーの制御は、種々の制御の型式、例えば、単純な目視制御(例えば、トランスポンダーの外観とデフォルトとを比較する画像分析装置によって)を含むことができる、および/または、他の制御、例えば、電気的制御が使用できる。これらの電気的制御は、例えば、トランスポンダーの機能を利用することができ、例えば、トランスポンダーに非接触書き込み、および/またはトランスポンダーからの非接触読み出しを包含することができる。
【0026】
選択的にまたは追加して、カバーラベルは、第二の決まった工程の前に、および/または後に(用語「前、および/または後」は、また「同時に」を含んでいる)、ラベル制御工程を類似して経ることができ、その制御工程では、カバーラベルが欠陥があるか否か管理される。もう一度、欠陥があると同定されたカバーラベルが、トランスポンダーの上に固定されることができる前に、なるべくなら捨てられることができる。このようにして、もしもカバーラベルが損傷を受けているか、欠陥があることがわかったならば、トランスポンダーの損失は避けられ、費用の節約が行われる。
【0027】
トランスポンダーを物品の表面の上に固定するために、トランスポンダーは特に少なくとも1つの第一の接着層、例えば、5〜100μm(約20μmがよい)の厚みをもつアクリレート接着剤を有している。この第一の接着層は、例えば、少なくとも1つのアンテナと少なくとも1つの無線周波数チップを有しているインレーおよび残りの露出されたキャリアフィルムの上をおおって大きな表面領域に使用されることができる。このようにして、例えば、物品の表面から開始して、以下の層配列を有することができる層構造が、形成されることができる。その層配列は、接着層、アンテナ、無線周波数チップ、キャリアフィルムである。このようにして、自己接着性トランスポンダーラベルは、物品の方向に向いているインレーを有して作り出すことができる。
【0028】
前述した層配列の代わりに、無線周波数チップとアンテナを有しているインレーを保護し、特に無線周波数チップを覆う被膜層が、与えられることができる。アンテナは、また被膜層によって、完全にまたは部分的に覆われることができる。この場合には、前述した接着層は、以下に示す層配列が得られることができるように、無線周波数チップから離れた方向にある被膜層側に使用されることができる。その層配列は、接着層、被膜層、無線周波数チップとアンテナを有しているインレー、キャリアフィルムである。その被膜層
は、例えば、PETフィルム(ポリエチレンテレフタレート)、またはプラスチック、および/または紙材料、または種々の層材料の組み合わせであることができる。しかしながら、他の構造もまた考えられる。
【0029】
前述したように、アンテナは、例えば、銅アンテナ、アルミニウムアンテナ、金アンテナ、または他の金属製アンテナを含むことができる。しかしながら、説明したように、伝導性ポリマーを使用する構造もまた考えられる。そのアンテナは、例えば、エッチング方法、印刷方法、積層方法、型押印刷方法、または他の成層方法、またはこれらの方法の組み合わせによって、使用される、または構造化されることができる。
【0030】
トランスポンダーの上のカバーラベルを固定するために、カバーラベルは第二の接着層を有することができる。この第二の接着層は、例えば、再びアクリレート接着剤を有することができる。しかしながら、第一の接着層に類似して、もう一度他の型式の接着層、または接着層の組み合わせを使用することは可能である。第一の接着層、および/または、第二の接着層は、例えば、トランスポンダー、および/または、カバーラベルがそれぞれ生産され、保存され、取り扱われ、供給され、半製品として分配されることができるように、保護フィルムを、与えられることができる。それぞれの保護フィルムは、トランスポンダーが物品の表面の上に固定される前に、またはカバーラベルがトランスポンダーの上に固定される前に、取り除かれることができる。全工程は、例えば、手動で、および/または、例えば、ローリング工程で、自動化され、または部分的に自動化されることができる。
【0031】
トランスポンダーをカバーラベルに使用するために、カバーラベルがトランスポンダーの上に大きな表面領域(すなわち、トランスポンダーの大きさに適応していない)をおおって第一に固定される、ある方法工程が、特に使用されることができる。これは、例えば、大きな表面のカバーラベルによって自発的に覆われる種々のトランスポンダー、例えば、種々の物品の上に固定される種々のトランスポンダーによって、なされることができる。そのカバーラベルは、カバーラベルの最終の形状が得られるように、穴をあけられる。この形状は、例えば、このカバーラベルが横の広がりにおいて、トランスポンダーの先に突き出るように、選択されることができる。しかしながら、トランスポンダーよりも小さいか、またはトランスポンダーと同じ大きさのカバーラベルもまた、その代わりに有することができる。穴をあけること(穴をあけることは、類推して、他の任意の希望される切断工程、例えば、レーザ切断、および/または、機械的切断を包含するかもしれない)の後に、カバーラベルから結果として生じる格子は、取り除かれる。格子の除去は、元の大きい表面のカバーラベルの余分な部分が物品または複数の物品から取り除かれる操作として、理解されるべきである。実際のカバーラベルが一般に四角形、または三角形を有しているので、これらの余分な部分は格子形状を有するという事実から、その名前は由来している。このようにして、また、提案された工程は、その提案された工程が大規模な生産に高度に適したように、複数のトランスポンダーにカバーラベルを自発的に提供することを可能にしている。この点で、また、提案された方法の2部からなる形状は、これが大いに方法を簡易化し、生産費用を減少するので、積極的な貢献を再度有している。
【0032】
本発明の重要な面は、特に、少なくとも1つのカバーラベルが、キャリアフィルムから離れた方向にある少なくとも1つの記録可能な表面を有しているという事実である。この記録可能な表面は、無線周波数ラベルが、電気的にデータメモリとして簡単に使用されることができないこと、その代わりに、例えば、人間の目、または他の工学的読み取り装置によって認識されることができる情報が、カバーラベルの表面の上に加えられることができることを保証している。例えば、物品または物品の構成部品に関するバッチ番号、バッチコード、タイプ記号、または類似した情報は、カバーラベルの表面の上に記録される。
【0033】
記録可能な表面が以下の記録方法の少なくとも1つによって記録されることができるならば、特に望ましい。その記録方法は、レーザ記録方法、レーザ印刷方法、熱転写印刷方法、インクジェット印刷方法である。したがって、記録可能な表面は、この記録方法に適応させる特性を有することができる。
【0034】
レーザ記録方法が使用されるならば、特に望ましい。カバーラベル、またはカバーラベルの記録可能な表面は、レーザビームによって作動された時に少なくとも1つの光学的に認識可能な特性を変化するように設計された、少なくとも1つのレーザ感知可能層を有している。この少なくとも1つの光学的に認識可能な特性は、1つまたは多数の特性を含む。特に、レーザビームの作動は、色の変化、特にレーザ感知可能材料における熱化学的反応、および/または、熱変色性から結果として生じる変化、レーザ感知可能層の少なくとも一部の除去を包含した材料の除去、レーザ感知可能層の少なくとも一部が蒸着させられるエッチング工程、または規定された、および/または、他の工学的に認識可能な効果を引き起こす。レーザ感知可能層の一部が除去される材料除去の効果が利用されるならば、その光学効果は、もしも部分的に除去された層の下に位置する着色層(例えば、ブラック層、ホワイト層、および/または、マルチ着色層)が、その露出が例えば、人間の目によって観察されることができるように、レーザ作動によって露出される
ならば、さらに利用される。この種類のレーザ感知可能層材料は、レーザ記録技術の当業者には、よく知られている。少なくとも1つのレーザ感知可能層が赤外線波長、10.6μm(CO2レーザ)、および/または、1064nm(Nd:YAG)、で感度を有するならば、特に望ましい。これらの波長は、赤外線の効果のもとにカラー反応を受ける、熱化学的材料、例えば、サーモクロミック材料を記録するのに適しているのが望ましい。赤外線波長は、規定された材料除去方法において、よい効果に向けて使用されることができる。さらに、この種類のレーザは、技術的に完成されており、大規模の技術的生産の使用に利用可能である。少なくとも1つのレーザ感知可能層は、特に0.3〜10μmの層厚さを有することができる(優先的には、2.5μmの層厚さ)。
【0035】
これらの層厚さは、サーモクロミック記録と、材料除去に基づく記録の両方に適している。
【0036】
また、カバーラベルは、被膜層をもつ少なくとも1つのキャリア層を有することができる。この被膜層は、例えば、紙の材料、および/または、プラスチック材料を含むことができる。多層構造もまた、考えられる。
【0037】
トランスポンダーが物品の前述した表面の上に固定される前に、少なくとも1つの凹地が、物品の表面に加えられるのが望ましい。その凹地は、トランスポンダーを完全に、または部分的に、受けるように特に設計される。もしも、その凹地が、無線周波数ラベルの準備後、記録可能な表面が実質的に平らである、すなわち、例えば、500μmより小さい範囲、または100μmより小さい範囲にあるでこぼこのみを有しているのであれば、特に望ましい。このようにして、記録可能な表面の連続する記録は、単純な記録装置が使用できるように、大いに単純化される。その少なくとも1つの凹地は、例えば、機械的な方法(すなわち、ミリング、および/または、切断方法)によって、その少なくとも1つの物品に、後工程で加えられることができ、および/または、物品の生産中に形成されることができる。このようにして、例えば、物品は、その凹地が、生産中に表面に加えられるように、プラスチック材料から作られることができる。これは、例えば、射出成型工程、および/または、プレス操作の他の種類に対する道具の適切な構成によって、達成されることができる。
【0038】
前述したように、実施例の具体化の1つにおいて、サンプルの少なくとも1つの分析物の検出のための少なくとも1つの要素を有する物品に対して、発明に従って、その方法を使用することが特に望ましい。例えば、その物品が、このような試験要素としてのパッケージであることができる。その試験要素は、検出されるべき分析物の存在下において、少なくとも1つの検出可能な特性(例えば、工学的な、および/または、電気的な特性)を変化させるように、その物品は、特に設計されることができる。このような試験要素は、例えば、試験ストリップ形態、および/または、試験テープの形態で存在することができる。このようにして、例えば、試験要素マガジンは、たとえば、バーマガジン、ドラムマガジンおよびテープマガジンは、このような1つ以上の試験要素を含んでおり、前述した方法によって、無線周波数レベルを供給することができる。試験要素に関する1つ以上の情報項目は、この無線周波数レベルの中に書かれることができる。特に、これは、バッチ情報、すなわち、試験要素または複数の試験要素の特質を含んでいる情報であることができる。このようにして、試験要素を読み出すことによって、このバッチ情報は、例えば、自動的に、分析装置によって、回復され、利用されることができ、それから試験要素を使用する。試験要素または複数の試験要素に関する他の種類の情報は、また書き込まれることができる。例えば、失効日、指定された使用、取り扱い条件、これらの種類の情報、または他の情報の組み合わせは、トランスポンダーに書き込まれることができる。
【0039】
加えて、少なくとも1つの記録可能な表面には、記録工程で実行されることができる、光学的に認識可能な情報を記録することができる。この記録は、例えば、失効日、試験要素の性質等のような、試験要素または複数の試験要素に関する光学的に読み出し可能な情報を含むことができる。バーコードリーダーが、例えば、バッチ情報を読み出すことを可能にするバーコードを供給することもできる。記録可能な表面に記録する記録工程とトランスポンダーに情報を書き込む書き込み工程が、少なくともほぼ同時に実行されるのが、特に望ましい。この目的のために、例えば、記録工程および書き込み工程が実行される書き込み装置が、使用できる。「ほぼ同時に」は、時間のオーバーラップおよびわずかな時間遅延として、理解されるべきである。この時間は、2〜3秒以上でないのが望ましい。
【0040】
物品上の無線周波数ラベルの製造装置も、また提案されており、その装置は、本発明にしたがって、特に、1つ以上の記載された具体化において、前述した方法を実行できるのがよい。その装置の可能な構成に関して、前述した可能な方法の変形を大いに参照すればよい。
【0041】
その装置は、物品の表面の上に、少なくとも1つの無線周波数チップ、少なくとも1つのアンテナおよび少なくとも1つのキャリアフィルムを含む、少なくとも1つのトランスポンダーディスペンサーを有している。また、その装置は、物品の表面に固定されたトランスポンダーの上であり、トランスポンダーから離れた方向に向いている、少なくとも1つの記録可能な表面を含む、少なくとも1つのカバーラベルで固定させるように設計された、少なくとも1つのカバーラベルディスペンサーを有している。
【0042】
その装置は、識別し、もしも妥当であれば、欠陥があるトランスポンダーを捨てるために、少なくとも1つのトランスポンダー制御装置を有している。
【0043】
示された具体例の1つの中で前述した方法または装置に代えて、または加えて、改善が、無線周波数ラベルの製造の中に包含されるバリューチェーンにおいて、一般に提案されている。すでに説明したように、無線周波数ラベルの製造は、少なくとも1つの無線周波数チップを生産する、一般に一人以上のチップ製造業者を包含する。少なくとも1つの無線周波数チップおよび少なくとも1つのアンテナは、それから第3の会社、いわゆる接着業者に配達され、そこでチップがアンテナに接着される、すなわち、電気的に伝導性があるようにアンテナに接続される。すでに説明したように、少なくとも1つのアンテナは、アンテナの取り扱いを相当容易にする、少なくとも1つのキャリアフィルムの上に据え付けられることができる。チップと、このチップに電気的に伝導性があるように接続されているアンテナを含み、RFIDトランスポンダーの機能的特性をすでに有することができる、このユニットは、それから加工業者と呼ばれる人に送られる。この加工業者は、バリューチェーンにおいて、一般に4番目のリンクを表わす。この加工業者において、アンテナと接続されたチップが記録可能な接着層に供給され、最終の無線周波数ラベルを作り出す。
【0044】
すでに説明したように、慣習的なバリューチェーンは、比較的複雑である。それゆえ、本発明の他の面において、このバリューチェーンにおいて、2つ以上の工程が組み合わされることが提案されている。特に、接着業者が加工業者の役割を同時に引き継ぐことが提案されている。このようにして、チップがアンテナの上に接着された後に、生産された、そのユニットは、1つのしかも同じ会社において、記録ラベルを供給されることができる。これは、例えば、1つのしかも同じ生産ラインにおいて、または同じ製造業者によって運転される、異なる事業所において、行われることができる。
【0045】
その代わりに、加工業者が、供給される無線周波数チップと供給されるアンテナを記録可能なカバーラベルに供給する前に、接着業者の役割を引き継ぎ、供給される無線周波数チップと供給されるアンテナを接着することも可能である。
【0046】
このようにして、このバリューチェーンの1つ以上の工程を組み合わせることによって、相当な節約をすることができる。さらに、より少数の関係者がバリューチェーンに
包含されるので、多数の部品製造者とそれらの生産物を対等にするために一般に要求される対等関係の仕事は、大いに縮小される。その結果として、お互いに適応される大きさの数は、縮小される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明のさらなる詳細と特徴は、従属請求項に関連して提出された具体例の、以下の説明から明確になる。その開示された特徴が、各々単独に認識されることができるか、または、それらの特徴のいくつかを望ましい組み合わせした特徴が、認識されることができる。本発明は、具体例に限定されない。具体例は、図面の中で、図式的に叙述される。個々の図面における同一の参照番号は同一の要素を示すか、あるいは、同一の機能を有しているか、または、それらの機能に関連した要素を示す。
【0048】
従来技術の無線周波数ラベル110の構造は、図1に図式的に示す。この具体例における無線周波数ラベル110は、物品112の表面に付けられ、その物品は、例えば、前述した使用領域の1つから、例えば、消費者のアイテム、薬品、または他の物品である。
【0049】
無線周波数ラベル110の中心的要素は、インレー114であり、この具体例で、無線周波数チップ116とアンテナ118から構成されている。加えて、しかしながら、他の構成部品もまた、与えられる。以下において、無線周波数チップ116はシリコン技術に基づく慣習的な集積回路(IC)であるとする。前述したように、しかしながら、他の技術が使用されることができる、例えば、代わりに、または加えて、系統的なエレクトロニクス、例えば、系統的なトランジスタ回路が使用できる。特に、アンテナ118は、アンテナコイルであり、それはキャリアフィルム120の上に据え付けられる。このキャリアフィルム120は、例えば、PETフィルムであり、例えば、30〜40μmの層厚さを有している。
【0050】
物品112の方向に向いているインレー114の側において、インレー114は、被膜層122によって覆われている。第1接着層124は、物品112の表面の上に無線周波数ラベル110を固定するために、物品112の方向にある第1被膜層122の側に与えられる。しかしながら、他の種類の固定、例えば、積層、磁気固定、または他の種類の固定、が考えられる。
【0051】
キャリアフィルム120の上に、物品112から離れた方向にあるキャリアフィルム120側に加えられており、第2接着層126がある。第1接着層124と第2接着層126は、アクリレート接着剤の層を含むことができる。被膜材料の形態のキャリア層128は、第2接着層126によって、与えられる。例えば、それは、PETフィルム、例えば、約50μmの層厚さを有している。
【0052】
最終的に、レーザ検知可能材料130は、例えば、2.5μmの厚さを持ち、キャリア層128の上に付けられる。このレーザ検知可能材料130は、無線周波数ラベル110の記入可能表面132を形成し、その表面は、レーザ134によるレーザ照射136によって記入されることができる。たとえば、この記入は、レーザ検知可能材料130におけるサーモクロマテック効果を開始することによってもたらされることができる、または、それに代わって、または加えて、光学的に識別可能な変化が記入可能表面132に起こるように、レーザ検知可能材料130が、レーザ照射136によって実行されることができる。たとえば、レーザ検知可能材料130とそれより下にあるキャリア層128間の色の相違が識別可能なように、工学的に識別可能な変化は、レーザ照射136によってローカルに完全に除去されるレーザ検知可能材料130を包含することができる。この目的のために、レーザ検知可能材料130とキャリア層128は異なる色を有することができ、それに代わって、または加えて、レーザ検知可能材料130とキャリア層128間に、追加層、例えば着色層または白色層を挿入することができる。その追加層は、色に対するコントラスト、またはレーザ検知可能材料130の明度を形成する。
【0053】
この構造において、インレー114、キャリアフィルム120、被膜層122および第1粘着層124がトランスポンダー140を形成するのに対して、第2粘着層126、キャリア層128およびレーザ検知可能材料130は、被膜ラベル138を形成する。前述したように、従来方法では、無線周波数ラベル110は、一般に異なった製造業者によって製作される。トランスポンダー140と被膜ラベル138は、一般に別々に製作され、それから注文で作られ、最終的に物品112に注文で作られた状態で付けられる。
【0054】
前述のように、図1の具体例、または同様の具体例に従って、無線周波数ラベル110は、多段階の工程において、多数の関係者を包含して製作される。このようにして、通常、無線周波数チップ116は、チップ製造業者によって製作され、アンテナ118は、別のアンテナ製造業者によって製作される。構成部品116、118は、第3の下請け業者、いわゆる接着業者に送られる。この下請け業者は、無線周波数チップ116をアンテナ118の上に接着し、インレー114を製作する。このインレーは、バリューチェーンにおける第4の製造業者、すなわち、転換業者、に別々のユニットが送られ、その製造業者が、例えば、キャリア層128とレーザ検知可能材料130を付ける。
【0055】
前述した具体例の以下に説明する方法の工程に代えて、または加えて、実現させることができる発明の面において、種々の製造工程を結合することによって、バリューチェーンが単純化されることが提案されている。特に前述したように、接着と転換は、接着業者が、例えば、転換も引き継ぐことができる、または、転換業者が、接着を引き継ぐことができるように結合されることが可能である。たとえば。アンテナ製造業者は、その上に取り付けられるアンテナ118を含んだテープ材料として、キャリアフィルム120を供給するように、方法が構成されることができる。チップ製造業者は、例えば、その上に置かれる多数の無線周波数チップ116を含んだ大きな半導体ウェルで送られる、無線周波数チップ116を供給する。組立て製造業者は、無線周波数チップ116(妥当であれば、複数の無線周波数チップのいくつか)を、キャリアフィルム120とアンテナ118から構成されたユニットに1つの方法の工程、例えば、電気的接触(接着)を含んで、ピックアンドプレース方法によって、供給する。このようにして、接着されたユニットは、もう1つの方法の工程において、被膜層122、および/または、第1粘着層124を与えられることができる。もう1つの方法の工程において、被膜ラベル138が付けられる、または、インレー114、もし妥当であれば、キャリアフィルム120、および/または、第1粘着層124が、被膜ラベル138に付けられることが可能である。その被膜ラベルは、同一のものに、少なくともほぼ、技術的に等しい。
【0056】
被膜ラベル138の応用は、例えば、応用される既製品の被膜ラベル138によって、実行されることができる。または、被膜ラベル138は、テープ材料として応用されることができ、そのテープ材料は、あらかじめ形づくられた無線周波数ラベル110を創作するために、穴あけと格子除去が行われることができる。
【0057】
同一の製造業者(接着業者、および/または、転換業者)が所有する別々の設備で、概説した方法の工程が行われる、または、1つ以上の方法の工程、または、あらゆる方法の工程でさえも、1つのインライン工程に結合されることができる。
【0058】
さらに、一定の方法の工程の一連が修正できることは、注目される。例えば、被膜ラベル138が第1に応用され、被膜層122、および/または、第1粘着層124を応用することが引き続く。
【0059】
慣用的な無線周波数ラベル110の製造におけるバリューチェーンの単純化の方法は、図2,3および4に関して、以下に説明するように、本発明による方法に、代えて、または加えて、使用されることができる。
【0060】
バリューチェーンにある機能のロジスティックな結合は、以下において詳細には説明されていない。
【0061】
図2〜4は、本発明による無線周波数ラベル110の構造の実施例(図2)、無線周波数ラベル110の製造方法の具体例(図3)、および無線周波数ラベル110の可能な製造装置の具体例(図4)を示す。これらの図は、以下に説明される。
【0062】
本発明によって、無線周波数ラベル110が、物品112の表面に別々に付けられるトランスポンダー140と被膜ラベル138をもつ2つの部分に組み立てられることが、図2からわかる。積層方向は、符号210によって示され、トランスポンダー140の応用と被膜ラベル138の応用との分離は、符号210によって示される。
【0063】
トランスポンダー140と被膜ラベル138は、例えば、前述の説明に機能が似た構成とすることができる。被膜ラベル138は、自己粘着性被膜ラベルとしての、第2粘着層126によって構成され、その第2粘着層が、例えば、20μmの厚さをもつことができる。トランスポンダー140は、自己粘着性トランスポンダーとしての、第1粘着層124によって構成されることができ、例えば、20μmの厚さをもつ、粘着性のあるアリクレートことができる。ここの構成品の他の構成として、例えば、図1の前述した説明を参照することができる。
【0064】
図1に対比して、図2の物品112の表面は、くぼみ214を有している。くぼみ214は、無線周波数チップ116に適応させるような寸法に合わせて作られた中央の切り欠き216を持ち、この中央の切り欠きは一般にトランスポンダー140のもっとも扱いにくい部分である。この中央の切り欠き216は、トランスポンダー140の他の構成部分が受け入れられることができる、平らな切り欠き218と隣接している。トランスポンダー140が、物品112の表面に付けられるときに、トランスポンダー140の表面が、十分に平らであるという効果を中央の切り欠き216は持つ。被膜層122と第1粘着層124は、特に、薄く、曲げやすく作られることができるので、なんら問題なく、くぼみ214の外形に適合する。トランスポンダー140の表面は、くぼみ214の外側の物品の表面とぴったり接して終わりとなることができるか、または、例えば、トランスポンダー140の表面は、物品112の表面とぴったり接する表面があるのは、被膜ラベル138が付けられるときのみであるように、物品112のこの表面よりもさらに下に配置することができる。
【0065】
しかしながら、他の構成は、また考えられる。トランスポンダー140、および/または、被膜ラベル138の平らな表面は、記入可能な表面132のその後の記入を可能にする。
【0066】
図2に従う構造と、同様の構造の製造において、例えば、図3に図式的に描かれた方法を使用することができる。個々の方法の工程は、必ずしも説明された順序で実行される必要はない。そして、図3に示された他の方法の工程の定義された順序は、必ずしも必要でなく、そして、例えば、個々の方法の工程、またはいくつかの方法の工程が、並行した、または他の順序で、反復されることが可能である。
【0067】
方法は3つの部分に基本的に分割され、その3つの部分は異なる時にもたらさされることができる。その方法の第1のブランチにおいて、物品112が製造される(図3のステップ310)。この方法のステップ310は、物品112の表面に、くぼみ214の形成を含むことができ、前述したように、このくぼみが、例えば、注入して型に入れて作る道具の適切な構成によって、物品の製造と同時に形成することがよい。例えば、多数のこのような物品が、大量生産工程において製造されることができる。
【0068】
その方法の第2のブランチ(図3の中央に示されている)において、トランスポンダー140は製造され、利用されることができる。この製造工程は、図3で大いに単純化された様式で示されている。このようにして、この方法では、例えば、無線周波数チップ116の製造(図3のステップ312)、アンテナ118の製造(図3のステップ314)、無線周波数チップ116をアンテナ118の上にキャリアフィルム120を含めて粘着(図3のステップ316)および被膜層122と第1粘着層124の適用(図3のステップ318)から構成されている。
【0069】
方法のステップ312〜318で製造されたトランスポンダー140は、テープ材料として、利用されることができる、例えば、ラベリング工程に引き渡されることができる。この目的のために、定義されたトランスポンダー140が、方法のステップ320で利用されることができる。トランスポンダー140は、例えば、トランスポンダー制御工程322を経る。その制御工程は、例えば、前述の説明に従って、目視検査、および/または、電気的検査である。ステップ322は、例えば、トランスポンダー140が欠陥がないか否かに関する質問を含むことができ(図3のブランチ324)、欠陥がない場合には、方法は、利用可能と今までされてきたトランスポンダーを継続できる。対照的に、トランスポンダー140に欠陥があるならば(図3のブランチ326)、欠陥のあるトランスポンダー140は捨てられ、新しいトランスポンダーが利用可能にされることができる(ステップ320に戻る)。欠陥のないトランスポンダーを使用して、それからステップ328は、物品112の表面に固定されたトランスポンダー140を、例えば、前述したくぼみ214に含む。
【0070】
今まで説明した方法の工程から、同時に、または異なる時に、被膜ラベル138が図3に示された方法の第3のブランチにおいて、製造される。この製造は、図3では大いに単純化した様式で同様に示されているが。例えば、キャリア層128の準備(図3のステップ330)、レーザ検知可能層130の適用(ステップ332)、および第2粘着層126の適用(ステップ334)を含むことができる。
【0071】
方法のステップ330〜334が実行された後、このようにして、製造された被膜ラベル138は、例えば、ラベリング工程に引き渡されることができるために、テープ材料として、順番に利用可能になる。
【0072】
方法のステップ336において、被膜ラベル138がトランスポンダー140の上に固定される。これは、例えば、ステップ328で固定された1つのトランスポンダーまたは複数のトランスポンダーの上に、大きな表面エリアを覆って適用される被膜ラベル138によって、実行される。例えば、大きな表面の被膜ラベル138は、いくつかのトランスポンダー140の上に適用されることができる。
【0073】
その後は、方法のステップ338において、1つの被膜ラベル138または複数の被膜ラベル138は、例えば、各被膜ラベル138が、トランスポンダー140に横の広さによって、実質的に一致するように、穴があけられる。
【0074】
最初の大きな表面の被膜ラベル138の余分の材料は、トランスポンダー140の被膜に対して必要にされず、それから、方法のステップ340において、格子として切断され、工程から取り除かれる。
【0075】
図4は、例えば、図3で説明された工程を行うために使用されることができる装置410の実施例を示す。装置410は、物品112(例えば、テープカセット)に基づいており、その物品は、すでに完成したか、半ば完成した製品として供給されたり、プロセスラインに引き渡される。前述したように、トランスポンダー140は、図4にしたがって、テープ材料412として供給されたり、プロセスラインに引き渡されることができる。
【0076】
装置は、利用可能にされたトランスポンダー140を検査するためのトランスポンダー制御装置414を有している。トランスポンダー140が欠陥がないと同定されるならば、図4に図式的に指示されたトランスポンダーディスペンサー416において、1つの物品112または複数の物品112に、制御装置が適用される。正しい使用と固定が、それから、光学的に、制御ステーション418において検査される。
【0077】
図4のトランスポンダーディスペンサー416は、ローラー装置として、図式的に示されていることが、注目される。しかしながら、ローラータイプのラベリング装置によるこのような積層工程の代わりに、トランスポンダー140を適用する多数の他の方法が、例えば、ピックアンドプレス方法その他が考えられることができる。
【0078】
前述したように、被覆ラベル138は、4に示した装置410においてテープ材料420として供給され、プロセスにそれ自体で引き渡される。しかしながら、トランスポンダー140と共に、異なった方法の構成が、この点で、例えばピックアンドプレス方法に対して考えられることができる。
【0079】
被覆ラベルは、被覆ラベルディスペンサー422において、物品112の上に適用され、そして前述したように、大きな表面エリアを横切って適用されるとよい。被覆ラベル138は、それから穴あけ器424において穴があけられることができる。被覆ラベル138の余分の材料は格子除去装置426において格子として除去され、廃物ドラム428に引き渡されることができる。
【0080】
このようにして、物品112、例えばテープカセットは、名称を付けられ、無線周波数ラベル110は、各物品112の上に製作される。
【0081】
物品は、装置410から取り外されることもできる。
【0082】
しかしながら、代りにまたは加えて、装置410は例えばCO2レーザを包含するレーザ記入器430、そして/または情報をトランスポンダー140に書くための読出/書込装置432を包含することができる。レーザ記入器430と読出/書込装置432は、例えば単一の機械に結合させることもできる。
【0083】
図4は、製造410の1つの可能な実施例の単に概要説明であることに注目されたい。装置410の個々の構成部品およびそれらの構成は、当業者、例えば製作技術者にとって、によく知られている。
【0084】
さらに、いくつかの副次的な方法が、例えば中断したプロセスに関連して、行なわれることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】従来技術に関する無線周波数ラベルの構造を示す。
【図2】本発明に関する無線周波数ラベルの構造を示す。
【図3】物品上の無線周波数ラベルの製造のための発明に関する方法の実施例を示す。
【図4】物品上の無線周波数ラベルの製造のための装置の実施例を示す。
【符号の説明】
【0086】
110 無線周波数ラベル
112 物品
114 インレー
116 無線周波数チップ
118 アンテナ
120 キャリアフィルム
122 被覆層
124 第1粘着層
126 第2粘着層
128 キャリア層
130 レーザ感知可能材料
132 記入可能表面
134 レーザ
136 レーザ照射
138 被覆層
140 トランスポンダー
210 積層
212 分離
214 くぼみ
216 中央の切り欠き
218 平らな切り欠き
310 物品の製造
312 無線周波数チップの製造
314 アンテナの製造
316 接着(ボンディング)
318 被覆層と第1粘着層
320 利用可能なトランスポンダー
322 トランスポンダー制御工程
324 欠陥のないトランスポンダー
326 欠陥のあるトランスポンダー
328 トランスポンダーの固定
330 準備
332 レーザ感知可能材料
334 第2粘着層の応用
336 被覆ラベルの固着
338 被覆ラベルの穴あけ
340 格子除去
410 無線周波数ラベルを製造する装置
412 テープ材料−トランスポンダー
414 トランスポンダー制御装置
416 トランスポンダーディスペンサー
418 制御ステーション
420 テープ材料−被覆層
422 被覆ラベルディスペンサー
424 穴あけ器
426 格子除去装置
428 廃物ドラム
430 レーザ記入器
432 読取/書込位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品(112)上の無線周波数ラベル(110)の製造方法であって、
少なくとも1つのトランスポンダー(140)が物品(112)の表面上に固定され、前記トランスポンダー(140)が少なくとも1つの無線周波数チップ(116)と少なくとも1つのアンテナ(118)および少なくとも1つのキャリアフィルム(120)を有する工程、
被覆ラベル(138)が前記トランスポンダー(140)上に固定され、前記被覆ラベル(138)が前記トランスポンダー(140)から離れた方向にある少なくとも1つの記入可能な表面(132)を有する工程
からなる無線周波数ラベルの製造方法。
【請求項2】
少なくとも1つのトランスポンダー(140)と少なくとも1つの被覆ラベル(138)が、異なる方法の工程で製造され、前記トランスポンダー(140)が第1固定工程において前記物品(112)の表面上に固定され、前記被覆ラベル(138)がそれに続く第2固定工程において、前記トランスポンダー(140)の上に固定されることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記トランスポンダー(140)が、前記第1の固定工程の前あるいは後に前記トランスポンダー(140)が欠陥があるか否かに関する検査が行なわれるトランスポンダー制御工程を受けることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
欠陥があると同定されたトランスポンダー(140)が、被覆ラベル(138)に付ける前に捨てられる請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記第2の固定工程の前および/または後に、前記被覆ラベル(138)が欠陥があるか否か検査されるラベル制御工程を前記被覆ラベル(138)が受ける請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
被覆ラベル(138)が、トランスポンダー(140)の上に固定される前に、欠陥があると同定される請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
前記トランスポンダー(140)が、前記物品(112)の表面上に前記トランスポンダー(140)を固定するための第1粘着層(124)を有する請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1粘着層(124)が粘着性のあるアクリレートを有する請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1粘着層(124)が5〜100μmの厚さと、好ましくは20μmの厚さを有する請求項7または8記載の製造方法。
【請求項10】
前記トランスポンダー(140)が、前記無線周波数チップ(116)を覆うための被覆層(122)を有する請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記被覆層(122)がPETフィルムを有する請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
前記アンテナ(118)が、銅アンテナ、アルミニウムアンテナ、金アンテナのうちの少なくとも1つのアンテナを有する請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記被覆ラベル(138)が、前記トランスポンダー(140)の上に固定されることによって、前記被覆ラベル(138)が第2の粘着層(126)を有する請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記第2の粘着層(126)が粘着製のあるアクリレートを有する請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
大きな表面の被覆層(138)が、前記トランスポンダー(140)の上に固定され、前記被覆層(138)に穴があけられ、その結果として生じた格子が除去される請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
前記記入可能な表面(132)が、レーザ記入方法、レーザ印刷方法、熱転写印刷方法、またはインクジェット印刷方法のうちの少なくとも1つの記入方法によって記入されることができる請求項1〜15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
前記被覆ラベル(138)が、レーザビームによって作動されたときに、少なくとも1つの光学的に記入可能な特性を変化させるように設計された少なくとも1つのレーザ検知可能層(130)を有する請求項1〜16のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
前記レーザビームが、色の変化、特に熱化学的作動および/または熱変色性から結果として生じる色の変化、前記レーザ検知可能層の少なくとも一部の除去を包含する材料の除去、または前記レーザ検知可能層の少なくとも一部が蒸着させられるエッチング工程の中で少なくとも1つの結果を有する請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
前記レーザ検知可能層(130)が、1064nm〜10.6μmのレーザ波長で感度を有している請求項17または18記載の製造方法。
【請求項20】
前記レーザ検知可能層(130)が、少なくとも1つの熱化学的材料、特に熱化学的材料を有する請求項17〜19のいずれかに記載の製造方法。
【請求項21】
前記レーザ検知可能層(130)が、0.3μm〜10μmの層厚さ、特に2.5μmを有する請求項17〜20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
前記被覆ラベル(128)が、キャリアラベル(128)として少なくとも1つの被覆材料を有し、前記被覆材料は、紙材料、プラスチック材料、特にPET材料のうちの少なくとも1つの材料を有する請求項1〜21のいずれかに記載の製造方法。
【請求項23】
前記トランスポンダー(140)が物品(112)の上に固定される前に、少なくとも1つのくぼみ(214)が前記物品の表面に導き入れられ、前記くぼみ(214)が前記トランスポンダー(140)に完全に、または部分的に受け入れられる請求項1〜22記載の製造方法。
【請求項24】
前記記入可能な表面(132)が実質的に平らであるように、前記くぼみ(214)が寸法を合せて作られる請求項23記載の製造方法。
【請求項25】
前記物品(112)が、サンプル中の少なくとも1つの分析物の検出のための少なくとも1つの試験要素用の少なくとも1つのパッケージを有し、前記試験要素が前記分析物の存在下において、少なくとも1つの検出可能な特性を変化させるように設計されている請求項1〜24のいずれかに記載の製造方法。
【請求項26】
少なくとも1つの書込み工程において、該少なくとも1つの書込み工程が、前記トランスポンダー(140)に、少なくとも1つの情報項目を包含し、その少なくとも1つの情報項目が少なくとも1つの試験要素に関する情報項目、特にバッチ情報を含んでいる請求項25記載の製造方法。
【請求項27】
前記記入可能な表面(132)が光学的に認識可能な情報で記入される少なくとも1つの記入工程をさらに含んでいる請求項26記載の製造方法。
【請求項28】
前記記入工程および前記書込み工程が少なくともほぼ同時に実行される請求項26または27記載の製造方法。
【請求項29】
物品(112)の上に無線周波数ラベル(110)を、特に請求項1〜28のいずれかに記載の方法によって製造する装置(410)において、該装置(410)が、物品(112)の表面上に、少なくとも1つの無線周波数チップ(116)、少なくとも1つのアンテナ(118)、および少なくとも1つのキャリアフィルム(120)を含んだ、トランスポンダー(140)を固定するための少なくとも1つのトランスポンダーディスペンサー(416)を有しており、該装置(410)がさらに、前記トランスポンダー(140)から離れた方向にある少なくとも1つの記入可能な表面(132)を持つ、少なくとも1つの被覆ラベル(138)を、前記物品(112)の表面上に固定されるトランスポンダー(140)の上に固定するように設計されている、少なくとも1つの被覆ラベルディスペンサー(422)を包含する製造装置。
【請求項30】
前記装置(410)が、欠陥のあるトランスポンダー(140)を同定し、除去するために、少なくとも1つのトランスポンダー制御装置(414)をさらに包含する請求項29記載の製造装置(410)。
【請求項31】
前記装置(410)が、欠陥のある被覆ラベル(138)を同定し、除去するために、少なくとも1つのラベル制御装置を包含する請求項29または30記載の製造装置(410)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−163713(P2009−163713A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−269714(P2008−269714)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】