説明

レーザレーダ

【課題】迷光が入射される場合にも、回路規模の増大を招くことなく、障害物までの距離を精度よく測定することができるレーザレーダを提供する。
【解決手段】レーザレーダ1は、レーザ光を出射するレーザ光源21と、目標領域においてレーザ光を走査させるミラーアクチュエータ23と、目標領域において反射されたレーザ光の反射光を受光する光検出器33と、光検出器33を移動させる光検出器駆動部34を有する。光検出器駆動部34は、光検出器33を反射光の入射位置に移動させる。光検出器33を反射光の入射位置に移動させることにより、複数の光検出器および回路部を用いずに、反射光を精度よく検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標領域にレーザ光を照射したときの反射光をもとに目標領域の状況を検出するレーザレーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、走行時の安全性を高めるために、レーザレーダが家庭用乗用車等に搭載されている。一般に、レーザレーダは、レーザ光を目標領域内でスキャンさせ、各スキャン位置における反射光の有無から、各スキャン位置における障害物の有無を検出する。さらに、各スキャン位置におけるレーザ光の照射タイミングから反射光の受光タイミングまでの所要時間をもとに、各スキャン位置における障害物までの距離が検出される(特許文献1)。
【0003】
目標領域からの反射光は、レーザレーダ内の光検出器によって受光される。光検出器からは、受光光量に応じた大きさの信号が出力される。この信号が所定の閾値を超えると、当該スキャン位置に障害物が存在すると判定される。また、この信号が前記閾値を超えたタイミングが反射光の受光タイミングとされて、上記のように、当該スキャン位置における障害物までの距離が計測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−14698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成において、対向車両のライト等、反射光以外の迷光が光検出器に入射することが考えられる。この場合、光検出器からの信号が飽和し、障害物までの距離の測定精度が低下する惧れがある。
【0006】
かかる問題は、幅の狭い複数の光検出器を一定の間隔で反射光の移動方向に配置し、反射光の入射が想定される位置にある光検出器からの出力信号のみを障害物の検出に用いるようにすることで解消できると考えられる。しかし、この場合、各光検出器に個別に増幅回路等の回路部を配置する必要があり、回路規模の増大を招くこととなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、迷光が入射される場合にも、回路規模の増大を招くことなく、障害物までの距離を精度よく測定することができるレーザレーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる局面に係るレーザレーダは、レーザ光を出射するレーザ光源と、目標領域において前記レーザ光を走査させる走査駆動部と、前記走査駆動部を制御する走査制御部と、前記目標領域において反射された前記レーザ光の反射光を受光する光検出器と、前記レーザ光が所定の走査軌道に沿って前記目標領域を走査したときの前記反射光の入射位置の軌道に沿って前記光検出器を移動させる検出器駆動部と、前記レーザ光の走査時に、前記反射光の入射位置に前記光検出器が位置付けられるよう、前記検出器駆動部を制御する検出器制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、迷光が入射される場合にも、回路規模の増大を招くことなく、障害物
までの距離を精度よく測定することができるレーザレーダを提供することができる。
【0010】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係るレーザレーダの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るミラーアクチュエータの構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組み立て過程を示す図である。
【図4】実施の形態に係るミラーアクチュエータの組み立て過程を示す図である。
【図5】実施の形態にビーム照射装置の構成を示す図である。
【図6】実施の形態に係るサーボ光学系の構成および作用を説明する図である。
【図7】実施の形態に係るレーザレーダの回路構成を示す図である。
【図8】実施の形態に係るレーザ光の走査制御を説明する図である。
【図9】実施の形態に係るレーザ光の走査と反射光の入射位置の変化を説明する図である。
【図10】実施の形態に係るレーザ光の照射タイミングと光検出器の駆動制御タイミングを説明する図である。
【図11】実施の形態に係る光検出器駆動部の制御動作図および光検出器駆動部の制御動作フローチャートである。
【図12】変更例に係る光検出器駆動部の制御動作図および光検出器駆動部の制御動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、実施の形態に係るレーザレーダ1の構成を模式的に示す図である。同図(a)は、レーザレーダ1の内部を上面から透視した図、同図(b)は、投射窓50と受光窓60を装着する前のレーザレーダ1の正面図、同図(c)は、光検出器駆動部34の構成を模式的に示す図である。
【0014】
同図(a)を参照して、レーザレーダ1は、筐体10と、投射光学系20と、受光光学系30と、回路ユニット40と、投射窓50と、受光窓60を備える。本実施の形態では、投射に関する構成と受光に関する構成が一つの筐体10に収容されているが、これら2つの構成が別々の筐体に収容され、両構成を電気的に接続することで、レーザレーダ1が構成されても良い。
【0015】
筐体10は、立方体形状をしており、内部に、投射光学系20と、受光光学系30と、回路ユニット40とを収容する。同図(b)に示す如く、筐体10の正面には、開口11、13が形成され、これら開口11、13の周囲には、投射窓50と受光窓60を嵌め込むための凹部12、14がそれぞれ形成されている。投射窓50と受光窓60は、それぞれ、その周囲を凹部12、14に嵌め込んで接着固定することにより、筐体10の正面に装着される。
【0016】
投射光学系20は、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22と、ミラーアクチュエータ23とを備える。
【0017】
レーザ光源21は、波長900nm程度のレーザ光を出射する。
【0018】
ビーム整形レンズ22は、レーザ光源21から出射されたレーザ光が、目標領域において所定の形状となるよう、レーザ光を収束させる。たとえば、目標領域(本実施の形態では、ビーム照射装置のビーム出射口から前方100m程度の位置に設定される)におけるビーム形状が、縦2m、横0.2m程度の楕円形状となるように、ビーム整形レンズ22が設計される。
【0019】
ミラーアクチュエータ23は、ビーム整形レンズ22を透過したレーザ光が入射するミラー150と、このミラー150を2つの軸の周りに回転させるための機構とを備える。ミラー150が回転することにより、目標領域においてレーザ光が走査される。ミラーアクチュエータ23の詳細については、追って、図2ないし6を参照して説明する。
【0020】
受光光学系30は、フィルタ31と、受光レンズ32と、光検出器33と、光検出器駆動部34とを備える。フィルタ31は、レーザ光源21から出射されるレーザ光の波長帯域の光のみを透過するバンドパスフィルタである。受光レンズ32は、目標領域から反射された光を集光する。光検出器33は、APD(アバランシェ・フォトダイオード)またはPINフォトダイオードからなり、受光光量に応じた大きさの電気信号を回路ユニット40に出力する。また、光検出器33は、迷光の影響を抑えるため、幅が狭く構成されている(例えば1mm前後)。
【0021】
同図(c)に示すように、光検出器駆動部34は、光検出器33を駆動するためのステッピングモータ34aと、光検出器33を水平方向に変位可能に案内するガイド部34dと、光検出器33を支持する支持部34eと、光検出器33の駆動開始位置を検出するための位置検出センサ34fを備えている。
【0022】
ステッピングモータ34aの回転軸にはリードスクリュー34bが装着され、リードスクリュー34bが支持部34eの軸受け34cに噛合している。回路ユニット40から入力される信号に応じて、ステッピングモータ34aが駆動されることにより、光検出器33がステップ送りされる。ガイド部34dは、レーザ光の走査範囲に応じた反射光の移動範囲に亘って光検出器33を移動させることができるような長さ(例えば15mm前後)を有する。位置検出センサ34fは、フォトインタラプタ等からなり、発光部から発光される光が遮られたことを検知し、電気信号を回路ユニット40に出力する。位置検出センサ34fは、ガイド部34dの片端の位置に配置され、光検出器33の駆動開始位置を検出する。
【0023】
なお、本実施の形態では、後述の如く、水平方向に設定された3段の走査ラインL1〜L3(図8参照)に沿って、レーザ光が目標領域を走査する。このため、受光レンズ32によって集光された反射光もまた、光検出器33の受光面を広げた面上において、鉛直方向に分かれた3つの軌道に沿って移動する。しかし、ミラー150の鉛直方向の駆動角度は、小さく、また、レーザ光は、ビーム整形レンズ22によって縦長の楕円形状に整形されるため、光検出器33の移動方向は、水平方向のみでよい。光検出器33の受光面は、反射光の上記3つの軌道をカバー可能なよう、鉛直方向に長細い形状を有する。光検出器駆動部34の制御は、追って図9ないし図11を参照して説明する。
【0024】
回路ユニット40は、CPUやメモリ等を備え、レーザ光源21およびミラーアクチュエータ23を制御する。また、回路ユニット40は、光検出器33からの信号に基づいて、目標領域における障害物の有無および障害物までの距離を測定する。具体的には、目標領域における所定の走査位置において、レーザ光源21からレーザ光が出射される。このときに光検出器33から信号が出力されると、この走査位置に障害物が存在することが検出される。また、この走査位置においてレーザ光が出射されたタイミングと、光検出器33から信号が出力されたタイミングの時間差から、この障害物までの距離が測定される。
回路ユニット40の構成は、追って図7を参照して説明する。
【0025】
投射窓50は、均一な厚みを有する透明な平板からなっている。受光窓60も、投射窓50と同様、均一な厚みを有する透明な平板からなっている。投射窓50および受光窓60は、透明性の高い材料からなり、また、入射面と出射面に反射防止膜(ARコート)が付されている。
【0026】
図2は、本実施の形態に係るミラーアクチュエータ23の構成を示す分解斜視図である。
【0027】
ミラーアクチュエータ23は、チルトユニット110と、パンユニット120と、マグネットユニット130と、ヨークユニット140と、ミラー150と、透過板160とを備えている。
【0028】
チルトユニット110は、支軸111と、チルトフレーム112と、2つのチルトコイル113とを備えている。支軸111には、両端部近傍に溝111aが形成されている。これら溝111aには、Eリング117a、117bが嵌め込まれる。
【0029】
チルトフレーム112には、左右に、チルトコイル113を装着するためのコイル装着部112aが形成されている。また、チルトフレーム112には、支軸111を嵌め込むための溝112bと、上下に並ぶ2つの孔112cが形成されている。
【0030】
支軸111は、両端に軸受け116a、116b、Eリング117a、117bおよびポリスライダーワッシャ118が取り付けられた状態で、チルトフレーム112に形成された溝112bに嵌め込まれ、接着固定される。さらに、チルトフレーム112の2つの孔112cに、それぞれ、上下から軸受け112dが嵌め込まれる。これにより、図3(a)に示すように、チルトユニット110の組み立てが完了する。なお、図3(a)には、支軸111に、軸受け116a、116bと、Eリング117a、117bと、3つのポリスライダーワッシャ118が装着された状態が示されている。
【0031】
完成したチルトユニット110には、後述の如くして、パンユニット120が装着される。その後、チルトユニット110は、軸受け116a、116bと、Eリング117a、117bと、ポリスライダーワッシャ118と、軸固定部材142を用いて、後述の如く、ヨーク141に取り付けられる。
【0032】
図2に戻り、パンユニット120は、パンフレーム121と、支軸122と、パンコイル123を備えている。パンフレーム121には、凹部121aを挟んで上板部121bと下板部121cが形成されている。これら上板部121bと下板部121cには、支軸122を通すための孔121dが上下に並ぶように形成されている。また、上板部121bと下板部121cの前面には、ミラー150を嵌め込むための段部121eが形成されている。
【0033】
さらに、下板部121cからは、下方向に足部121fが形成され、この足部121fに、透過板160を嵌め込むための凹部121gが形成されている。透過板160は、凹部121gに下方向から嵌め込まれ、透過板固定金具161で透過板160がパンフレーム121の足部121fに固定される。支軸122の上端には、バランサ122dが装着されている。
【0034】
マグネットユニット130は、フレーム131と、2つのパンマグネット133と、8つのチルトマグネット132とを備えている。フレーム131は、前側に凹部131aを
有する形状となっている。フレーム131の上板部131bには、前後方向に、2つの切り欠き131cが形成され、さらに、中央に、ネジ穴131dが形成されている。8つのマグネット132は、フレーム131の左右の内側面に、上下2段に分けて装着されている。また、2つのマグネット133は、図示の如く、フレーム131の内側面に、前後方向に傾くように装着されている。
【0035】
ヨークユニット140は、ヨーク141と、軸固定部材142を備えている。ヨーク141は、磁性部材からなっている。ヨーク141には、左右に壁部141aが形成され、これら壁部141aの下端には、チルトユニット110の支軸111を装着するための凹部141bが形成されている。ヨーク141の上部には上下に貫通する2つのネジ穴141cが形成され、さらに、マグネットユニット133のネジ穴131dに対応する位置に、ネジ穴141dが形成されている。2つの壁部141aの内側面間の距離は、支軸111の2つの溝111a間の距離よりも大きくなっている。
【0036】
軸固定部材142は、可撓性を有する金属性の薄板部材である。軸固定部材142の前側には、板ばね部142a、142bが形成され、これら板ばね部142a、142bの下端には、それぞれ、チルトユニット110の軸受け116a、116bの脱落を規制するための受け部142c、142dが形成されている。また、軸固定部材142の上板部には、ヨーク141側の2つのネジ穴141cに対応する位置にそれぞれ孔142eが形成され、さらに、ヨーク141側のネジ穴141dに対応する位置に孔142fが形成されている。
【0037】
ミラーアクチュエータ23の組み立て時には、上記の如くして、図3(a)に示すチルトユニット110が組み立てられる。その後、チルトフレーム112がパンフレーム121の凹部121a内に収容される。このとき、2つの軸受け112dおよび3つのポリスライダーワッシャ112eと、パンフレーム121の孔121dとが上下に並ぶように、パンフレーム121が位置づけられる。そして、その状態で、2つの軸受け112dとパンフレーム121の孔121dに、支軸122が通され、支軸122がパンフレーム121に接着剤により固定される。これにより、図3(b)に示す構成体が形成される。この状態で、パンフレーム121は、支軸122の周りに回動可能となり、また、支軸122に沿って上下に僅かに移動可能となる。
【0038】
こうしてパンユニット120が装着された後、パンフレーム121の段部121eにミラー150が嵌め込まれて固定される。その後、チルトユニット110の支軸111の両端に装着された軸受け116a、116bを、図2に示すヨーク141の凹部141bに嵌め込む。そして、この状態で、軸受け116a、116bが凹部141a、141bから脱落しないように、軸固定部材142をヨーク141に装着する。すなわち、受け部142cが軸受け116aを下から支え、且つ、受け部142dが軸受け116bを前方から挟むようにして軸固定部材142をヨーク141に装着する。この状態で、軸固定部材142の2つの孔142eを介して2つのネジ143をヨーク141のネジ穴141cに螺着する。これにより、図3(b)に示す構成体がヨークユニット140に装着される。
【0039】
こうして、図4(a)に示す構成体が完成する。この状態で、チルトフレーム112は、パンフレーム121と一体的に、支軸111の周りに回動可能となる。
【0040】
こうして組み立てられた図4(a)の構成体は、ヨーク141の2つの壁部141aが、それぞれ、マグネットユニット130側のフレーム131の切り欠き131cに挿入されるようにして、マグネットユニット130に装着される。そして、この状態で、軸固定部材142の孔142fを介して、ネジ144が、ヨーク141のネジ穴141dとマグネットユニット130のネジ穴131dに螺着される。これにより、図4(a)に示す構
成体が、マグネットユニット130に固着される。こうして、図4(b)に示すように、ミラーアクチュエータ23の組み立てが完了する。
【0041】
図4(b)に示す組み立て状態において、パンフレーム121が支軸122を軸として回動すると、これに伴ってミラー150が回動する。また、チルトフレーム112が支軸111を軸として回動すると、これに伴ってパンユニット120が回動し、パンユニット120と一体的にミラー150が回動する。このように、ミラー150は、互いに直交する支軸111、122によって回動可能に支持され、チルトコイル113およびパンコイル123への通電によって、支軸111、122の周りに回動する。このとき、パンユニット120に装着された透過板160も、ミラー150の回動に伴って回動する。
【0042】
なお、バランサ122dは、図3(b)に示す構成体が、支軸111を軸として回動するとき、かかる回動がバランス良く行われるよう調整するためのものである。かかる回動のバランスは、バランサ122dの重さによって調整される。この他、バランサ122dが上下に変位可能であれば、上下方向の位置を微調整することにより、回動のバランスを調整可能である。
【0043】
図4(b)に示すアセンブル状態において、8個のマグネット132は、チルトコイル113に電流を印加することにより、チルトフレーム112に支軸111を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、コイル113に電流を印加すると、コイル113に生じる電磁駆動力によって、チルトフレーム112が、支軸111を軸として回動し、これに伴って、ミラー150と透過板160が回動する。
【0044】
また、図4(b)に示すアセンブル状態において、2個のマグネット133は、パンコイル123に電流を印加することにより、パンフレーム121に支軸122を軸とする回動力が生じるよう、配置および極性が調整されている。したがって、パンコイル123に電流を印加すると、パンコイル123に生じる電磁駆動力によって、パンフレーム121が、支軸122を軸として回動し、これに伴って、ミラー150と透過板160が回動する。
【0045】
図5は、ミラーアクチュエータ23が装着された状態の光学系の構成を示す図である。
【0046】
図5において、500は、光学系を支持するベースである。ベース500には、ミラーアクチュエータ23の設置位置に開口503aが形成され、この開口503aに透過板160が挿入されるようにして、ミラーアクチュエータ23がベース500上に装着されている。
【0047】
ベース500の上面には、レーザ光源21と、ビーム整形レンズ22が配置されている。レーザ光源21は、ベース500の上面に配されたレーザ光源用の回路基板400に装着されている。
【0048】
レーザ光源21から出射されたレーザ光は、ビーム整形レンズ22によって水平方向および鉛直方向の収束作用を受け、目標領域において所定の形状に整形される。ビーム整形レンズ22を透過したレーザ光は、ミラーアクチュエータ23のミラー150に入射し、ミラー150によって目標領域に向かって反射される。ミラーアクチュエータ23によってミラー150が駆動されることにより、レーザ光が目標領域内においてスキャンされる。
【0049】
ミラーアクチュエータ23は、ミラー150が中立位置にあるときに、ビーム整形レンズ22からの走査レーザ光がミラー150のミラー面に対し水平方向において45度の入
射角で入射するよう配置されている。なお、「中立位置」とは、ミラー面が鉛直方向に対し平行で、且つ、走査レーザ光がミラー面に対し水平方向において45度の入射角で入射するときのミラー150の位置をいう。
【0050】
ベース500の上面には、回路基板400の他、ミラーアクチュエータ23の背後に、ミラーアクチュエータ23のコイル113、123に駆動信号を供給するための回路基板(図示せず)が配置されている。また、ベース500の下面には、回路基板300が配置され、さらに、ベース500の裏面と側面にも回路基板301、302が配置されている。これら回路基板は、図1(a)の回路ユニット40に含まれる。
【0051】
図6(a)は、ベース500を裏面側から見たときの一部平面図である。同図(a)には、ベース500の裏側のうちミラーアクチュエータ23が装着された位置の近傍が示されている。
【0052】
図示の如く、ベース500の裏側周縁には、壁501、502が形成されており、壁501、502よりも中央側は、壁501、502よりも一段低い平面503となっている。壁501には、半導体レーザ303を装着するための開口が形成されている。この開口に半導体レーザ303を挿入するようにして、半導体レーザ303が装着された回路基板301が壁501の外側面に装着されている。他方、壁502の近傍には、PSD(Position Sensitive Detector)308が装着された回路基板302が装着されている。
【0053】
ベース500裏側の平面503には、取り付け具307によって集光レンズ304と、アパーチャ305と、ND(ニュートラルデンシティ)フィルタ306が装着されている。さらに、この平面503には開口503aが形成されており、この開口503aを介して、ミラーアクチュエータ23に装着された透過板160がベース500の裏側に突出している。ここで、透過板160は、ミラーアクチュエータ23のミラー150が中立位置にあるときに、2つの平面が、鉛直方向に平行で、且つ、半導体レーザ303の出射光軸に対し45度傾くように位置づけられる。
【0054】
半導体レーザ303から出射されたレーザ光(以下、「サーボ光」という)は、集光レンズ304を透過した後、アパーチャ305によってビーム径が絞られ、さらにNDフィルタ301によって減光される。その後、サーボ光は、透過板160に入射し、透過板160によって屈折作用を受ける。しかる後、透過板160を透過したサーボ光は、PSD308によって受光され、PSD308から、受光位置に応じた位置検出信号が出力される。
【0055】
図6(b)は、透過板160の回動位置がPSD308によって検出されることを模式的に示す図である。
【0056】
サーボ光は、レーザ光軸に対し傾いて配置された透過板160により屈折作用を受ける。ここで、透過板160が破線の位置から矢印方向に回動すると、サーボ光の光路が図中の点線から実線のように変化し、PSD308上におけるサーボ光の受光位置が変化する。これにより、PSD308にて検出されるサーボ光の受光位置によって、透過板160の回動位置を検出することができる。そして、透過板160の回動位置をもって、目標領域における走査レーザ光の走査位置を検出できる。
【0057】
図7は、レーザレーダ1の回路構成を示す図である。なお、同図には、便宜上、投射光学系20と受光光学系30の主要な構成が併せて示されている。図示の如く、レーザレーダ1は、PSD信号処理回路41と、サーボLD駆動回路42と、アクチュエータ駆動回路43と、スキャンLD駆動回路44と、PD駆動回路45と、PD信号処理回路46と
、DSP47を備えている。これらの回路は、図1の回路ユニット40に含まれている。
【0058】
PSD信号処理回路41は、PSD308からの出力信号をもとに求めた位置検出信号をDSP47に出力する。サーボLD駆動回路42は、DSP47からの信号をもとに、半導体レーザ303に駆動信号を供給する。アクチュエータ駆動回路43は、DSP47からの信号をもとに、ミラーアクチュエータ23を駆動する。具体的には、目標領域においてレーザ光を所定の軌道に沿って走査させるための駆動信号がミラーアクチュエータ23に供給される。
【0059】
スキャンLD駆動回路44は、DSP47からの信号をもとに、レーザ光源21に駆動信号を供給する。具体的には、目標領域にレーザ光を照射するタイミングで、パルス状の駆動信号(電流信号)がレーザ光源21に供給される。
【0060】
PD駆動回路45は、DSP47からの信号をもとに、光検出器駆動部34に駆動信号を供給する。具体的には、目標領域にレーザ光を照射するタイミングにあわせて、反射光の入射位置に光検出器33が駆動されるよう、パルス状の駆動信号(パルス信号)が光検出器駆動部34のステッピングモータ34aに供給される。また、PD駆動回路45は、光検出器駆動部34に備えられた位置検出センサ34f(図1参照)から入力される信号をデジタル変換し、DSP47に送信する。
【0061】
PD信号処理回路46は、光検出器33の受光光量に応じた電圧信号を増幅およびデジタル化してDSP47に供給する。
【0062】
DSP47は、PSD信号処理回路41から入力された位置検出信号をもとに、目標領域におけるレーザ光の走査位置を検出し、ミラーアクチュエータ23の駆動制御や、レーザ光源21の駆動制御等を実行する。また、DSP47は、レーザ光源21の駆動タイミングと、光検出器駆動部34の位置検出センサ34f(図1参照)から出力された検出信号に基づいて、光検出器駆動部34の駆動制御を実施する。さらに、DSP47は、PD信号処理回路46から入力される電圧信号に基づいて、目標領域内のレーザ光照射位置に障害物が存在するかを判定し、同時に、レーザ光源21から出力されるレーザ光の照射タイミングと、光検出器33にて受光される目標領域からの反射光の受光タイミングの間の時間差をもとに、障害物までの距離を測定する。
【0063】
図8は、目標領域におけるレーザ光の走査制御を示す図である。
【0064】
本実施の形態では、水平方向の3つの走査ラインL1〜L3が、目標領域に設定される。DSP47は、これら走査ラインL1〜L3をレーザ光が左から右に走査するよう、ミラーアクチュエータ23を制御する。レーザ光は、各走査ラインL1〜L3を一定の速度で走査する。また、レーザ光は、各走査ラインL1〜L3の開始位置Psよりも前方の位置から終了位置Peよりも後方の位置まで、各走査ラインL1〜L3を走査する。かかる制御は、DSP47が、PSD308上に設定された目標軌道をサーボ光が追従するように、ミラーアクチュエータ23を制御することにより行われる。すなわち、図8に示す3つの走査ラインL1〜L3に沿ってレーザ光が目標領域を走査すると、サーボ光も、3つの軌道に沿ってPSD308上を走査する。DSP47は、かかる軌道を目標軌道としてテーブル等により保持し、この目標軌道をサーボ光が追従するように、ミラーアクチュエータ23を制御する。
【0065】
目標領域におけるレーザ光の走査は、最上段の走査ラインL1から始められ、次に走査ラインL2、最後に走査ラインL3へと移行する。走査ラインL1から走査ラインL3まで走査が終わると、走査ラインL1に戻って、目標領域に対する次の走査が行われる。
【0066】
DSP47は、走査位置が各走査ラインL1〜L3の開始位置Psに到達したタイミングで、レーザ光源21をパルス状に発光させる。そして、その後、走査位置が終了位置Peに到達するまで、一定の時間間隔Δt毎に、レーザ光源21をパルス状に発光させる。なお、図8中の黒丸は、レーザ光の照射タイミングを模式的に示すものである。
【0067】
なお、本実施の形態では、レーザ光が一定の速度で走査されながら、一定の時間間隔Δt毎にパルス状に発光されるため、レーザ光の照射位置の変位ΔPも一定となる。また、ミラーアクチュエータ23によって一定の時間間隔Δt毎に制御されるミラー150の角度も、一定となる。
【0068】
図9は、レーザ光の走査による反射光の入射位置の変化を示す模式図である。同図において、Pt−1、Pt、Pt+1は、レーザ光の連続する照射タイミングにおける走査位置を示している。
【0069】
走査位置Ptに対するミラー150の中立位置からの傾きをθ1、次のレーザ光の照射タイミングPt+1における、ミラー150の中立位置からの傾きをθ2とすると、レーザ光の走査位置Pt〜Pt+1に対応する反射光の入射位置の変位ΔQは、以下の式によって算出される。
【0070】
ΔQ=ftanθ2−ftanθ1 … (1)
【0071】
本実施の形態では、ミラー150は、上述したように、一定の時間間隔Δt毎に、一定の角度変位で制御されるため、走査位置Pt〜Pt+1間の変位ΔPと反射光の入射位置の変位ΔQは、1対1に対応し、それぞれ、一定量の変位となる。したがって、レーザ光の照射タイミングに合わせて、光検出器33の位置を一定間隔の変位ΔQで走査方向に駆動させれば、光検出器33を反射光の入射位置に位置づけることができる。
【0072】
図10は、レーザ光の走査位置と、レーザ光の照射タイミングと、反射光の入射位置と、光検出器33の駆動制御タイミングを説明する図である。図10(a)は、レーザ光の走査ラインL1における走査位置と、パルス発光タイミングを模式的に示している。また、図10(b)は、光検出器33の駆動位置と、光検出器33を駆動させるステッピングモータ34aに対して送信されるパルス信号のタイミングを模式的に示している。
【0073】
図10(a)、(b)に示す如く、走査ラインL1に対応するように、光検出器駆動部34において、光検出器33の駆動ラインL’1が設定される。すなわち、レーザ光の走査位置が、走査ラインL1上の開始位置Ps、終了位置Pe、走査位置Pt−1〜Pt+2であるとき、光検出器33の駆動位置が、それぞれ、駆動ラインL’1上の開始位置Qs、終了位置Qe、入射位置Qt−1〜Qt+2となる。なお、図10(a)、(b)に示すように、駆動ラインL’1における光検出器33の駆動方向は、走査ラインL1上におけるレーザ光の走査方向と一致している。
【0074】
光検出器33を一定間隔の変位ΔQで駆動させるためのパルス信号は、レーザ光の発光間隔Δt毎に、DSP47からPD駆動回路45に送信される。また、式(1)に示した光検出器33の変位ΔQに相当するステッピングモータ34aのステップ数分のパルス(本実施の形態では2個)が、レーザ光の発光間隔Δt毎に、PD駆動回路45からステッピングモータ34aに送信される。これにより、レーザ光の照射タイミングにあわせて、光検出器33が反射光の入射位置に位置づけられる。
【0075】
なお、パルス信号は、一定周期のパルス列となっている。パルス信号の周期は、レーザ
光の発光間隔Δtの間に上記ステップ数分のパルス(本実施の形態では2個)が含まれるように設定される。また、より精度を高めるため、ミラーの傾きによりパルス信号の周期を漸次可変にしてもよい。
【0076】
次に、ステッピングモータ34aに送信されるパルスが既定のパルス数となったとき、光検出器33が開始位置Qsから終了位置Qeまで移動したとして、光検出器33の駆動方向への駆動が終了される。なお、DSP47には、走査ラインL1の開始位置Psから終了位置Peまでのレーザ光が走査されるときにステッピングモータ34aに送信されるパルス数があらかじめ設定されている。そして、終了位置Qeから開始位置Qsへ光検出器33を変位させるためのパルス信号が、DSP47からPD駆動回路45に送信される。また、ステッピングモータ34aを逆回転させるパルス信号が、PD駆動回路45からステッピングモータ34aに送信される。これにより、光検出器33が終了位置Qeから開始位置Qsに戻される。
【0077】
光検出器33が開始位置Qsに到達すると、位置検出センサ34fによる検出信号がDSP47に入力され、DSP47からPD駆動回路45へのパルス信号の供給が停止される。これにより、光検出器33が開始位置Qsに位置づけられる。
【0078】
その後、レーザ光が図8に示す走査ラインL2、L3に沿って走査され、上記同様に光検出器33がレーザ光の走査に追従して、反射光の入射位置に位置づけられる。
【0079】
このように、レーザ光のパルス発光の周波数とステッピングモータ34aを駆動させるパルス信号の周波数とによって、レーザ光の走査タイミングと光検出器33の駆動タイミングを同期させつつ、光検出器33を一定の変位ΔQだけ駆動させることで、レーザ光の走査に応じて、光検出器33を反射光の入射位置に追従させることができる。
【0080】
図11は、光検出器駆動部34の制御動作を説明する図である。同図(a)〜(c)は、光検出器駆動部34の構成と光検出器33の駆動の流れを模式的に示す図、同図(d)は、光検出器駆動部34の制御動作を示すフローチャートである。
【0081】
同図(a)〜(c)は、レーザ光の走査位置が、それぞれ、図9に示す開始位置Psと、走査位置Ptと、終了位置Peに位置付けられるときの光検出器33の位置を示している。光検出器33は、レーザ光の走査位置が開始位置Psと終了位置Peに位置付けられるときに、それぞれ、ガイド部34dの左端(開始位置Qs)と右端(終了位置Qe)に位置づけられるよう設定される。なお、レーザ光の走査範囲が広範囲となった場合においても、ガイド部34dの長さを調整することで、光検出器33による反射光の受光可能な範囲を広げることができる。
【0082】
同図(d)を参照して、レーザ光の走査位置が開始位置Psに位置付けられると(S101:YES)、DSP47は、光検出器33を終了位置Qeまで駆動させるよう、ステッピングモータ34aに上記パルス信号を送信する(S102)。これにより、光検出器33は、ステッピングモータ34aによって、終了位置Qeの方向に、一定の速度でステップ送りされる(S103)。これにより、光検出器33は、レーザ光の各照射タイミングにおいて、反射光の入射位置に位置づけられる。そして、DSP47は、ステップ送りのために送信したパルス数をカウントし(S104)、カウントしたステップ数が既定の回数を超えたかを判断する(S105)。ステップ数が既定の回数を超えない間(S105:NO)、ステップS103とS104が繰り返される。これにより、光検出器33が同図(a)に示す位置から同図(c)に示す位置まで、ステップ送りされる。
【0083】
ステップ数が既定の回数となったとき(S105:YES)、光検出器33は終了位置
Qeに位置付けられる。これに応じて、DSP47は、光検出器33を開始位置Qsに向けて駆動させるよう、ステッピングモータ34aに、ステッピングモータ34aを逆回転させる逆パルスの信号を送信する(S106)。これにより、光検出器33は、ステッピングモータ34aによって、開始位置Qsの方向にステップ送りされる(S107)。
【0084】
続いて、DSP47は、位置検出センサ34fの検出信号に基づいて、光検出器33が同図(a)に示す開始位置Qsに戻されたかを判定する(S108)。光検出器33が開始位置Qsに戻されていないと(S108:NO)、再度S106、S107の処理が行われる。これにより、光検出器33は、同図(c)に示す状態から、同図(a)に示す状態まで繰り返しステップ送りされる。なお、光検出器33が開始位置Qsを過ぎた場合は、開始位置Qsに戻すためのパルス信号がステッピングモータ34aに供給される。
【0085】
光検出器33が開始位置Qsに戻されると(S108:YES)、DSP47は、レーザ光の走査が終了したかを判定する(S109)。走査が終了していないと(S109:NO)、処理がS101に戻される。そして、レーザ光の走査位置が開始位置Qsに到達すると(S101:YES)、上記と同様に、光検出器33の駆動が行われる。走査が終了すると(S109:YES)、光検出器駆動部34の制御動作が終了する。
【0086】
以上、本実施の形態によれば、一定速度で走査されるレーザ光の照射タイミングに合わせて、反射光の入射位置に光検出器33が移動されるため、複数の光検出器を配する必要がなく、また、各光検出器に対して個別に増幅回路等の回路部を配する必要もない。本実施の形態によれば、回路規模の増大を回避しながら、幅の狭い単一の光検出器のみで、反射光を精度よく検出することができる。よって、レーザレーダのコスト削減、小型化を図ることができる。
【0087】
また、本実施の形態では、光検出器駆動部34の光検出器33を駆動させる範囲を調整することで、光検出器を追加せずとも反射光の受光可能な範囲を広げることができる。これにより、レーザ光の走査範囲を広げる場合においても、コストを抑えつつ、反射光の検出精度を保つことができる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0089】
たとえば、上記実施の形態では、光検出器33が終了位置Qeに到達したことを、所定のパルス数をカウントすることにより検出したが、開始位置Qsの検出と同様に、位置検出センサを用いて、終了位置Qeを検出してもよい。
【0090】
図12は、光検出器33の終了位置Qeに位置検出センサを配置した場合の光検出器駆動部34の制御動作を説明する図である。図12(a)〜(c)は、光検出器駆動部34の構成と光検出器33の駆動の流れを模式的に示す図、図12(d)は、光検出器駆動部34の制御動作を示すフローチャートである。
【0091】
同図(a)〜(c)に示すように、本変更例では、ガイド部34dの右端(終了位置Qe)に位置検出センサ34gが配置されている。位置検出センサ34gは、レーザ光の走査終了位置Peにおける、反射光の入射位置となるように位置づけられている。その他は、上記実施の形態と同様に構成されている。
【0092】
次に、本変更例における光検出器駆動部34の制御動作について、同図(d)を参照して説明する。なお、同図(d)に示すフローチャートのステップS205〜S208は、図11(d)におけるステップS106〜S109と同様である。
【0093】
同図(d)を参照して、レーザ光の走査位置が開始位置Psに位置付けられると(S201:YES)、DSP47は、光検出器33を終了位置Qe方向に駆動させるよう、ステッピングモータ34aにパルス信号を送信する(S202)。その後、光検出器33は、ステッピングモータ34aによって、終了位置Qeの方向にステップ送りされる(S203)。これにより、光検出器33は、反射光の入射位置に位置づけられる。そして、DSP47は、位置検出センサ34gの検出信号に基づいて、光検出器33が同図(c)に示す終了位置Qeに進められたかを判定する(S204)。光検出器が終了位置Qeに進められていないと(S204:NO)、再度S202、S203の処理が行われる。これにより、光検出器33は、同図(a)に示す状態から、同図(c)に示す状態まで繰り返しステップ送りされる。
【0094】
続いて、本実施の形態における図11のS106〜S109と同様に、光検出器33が、終了位置Qeから開始位置Qs方向に向かって、同図(c)に示す状態から、同図(a)に示す状態まで繰り返しステップ送りされる(S205〜S207)。そして、光検出器33の駆動処理(S201〜S207)が、レーザ光の走査終了(S208:YES)まで繰り返される。
【0095】
このように、本変更例においても、上記の実施形態同様、レーザ光の照射タイミングで、光検出器を反射光の受光位置に追従させることができ、幅の狭い単一の光検出器のみで、反射光を精度よく検出することができる。
【0096】
また、上記実施の形態では、光検出器33の走査開始位置(開始位置Qs)を位置検出センサ34fによって、検出したが、位置検出センサ34fを用いず、走査終了位置(終了位置Qe)の検出と同様に、所定のパルス数で検出させてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態では、光検出器33の駆動にステッピングモータ34aを用いたが、リニアモータを利用してもよい。この場合、レーザ光の照射タイミング間隔Δtにおいて、反射光の入射位置がΔQだけ変位するよう、光検出器33の駆動速度が調整される。これにより、上記実施の形態と同様、レーザ光の照射タイミングと同期して、光検出器33を反射光の入射位置に位置づけることができる。
【0098】
また、上記実施の形態では、光検出器33を水平方向にのみ変位させたが、レーザ光の走査方向に応じて、鉛直方向に変位させてもよい。すなわち、レーザ光の走査位置が目標領域において鉛直方向に変化することに合わせて、受光光学系30における反射光の入射位置も鉛直方向に変化する。このように鉛直方向に変化する反射光の入射位置に合わせて、光検出器33が鉛直方向に変位されるようにしても良い。
【0099】
また、上記実施の形態では、走査ラインL1〜L3にレーザ光が走査されたときの反射光の受光位置に追従させるよう、単一の光検出器33が用いられたが、走査ラインL1〜L3に対応するように、光検出器33に比べ、鉛直方向の長さが短い3つの光検出器が用いられてもよい。この場合、各光検出器は、たとえば、上記実施の形態の支持部34eに装着され、支持部34eの移動に伴って同時に移動される。光検出器駆動部34に対する制御は、上記実施の形態と同様である。こうすると、走査ラインL1に対応する光検出器には、走査ラインL1の反射光以外の光が入射されにくくなり、また、走査ラインL2、L3に対応する光検出器にも同様に、対応する走査ライン以外の光が入射されにくくなる。これにより、上記実施の形態と比べ、さらに反射光を精度よく検出することができる。
【0100】
さらに、上記実施の形態では、2つの軸の周りにミラーが回転するミラーアクチュエータの構成例を示したが、本発明は、上記以外の構成のミラーアクチュエータや、レンズを
駆動してレーザ光を走査するタイプのアクチュエータ、あるいは、ポリゴンミラーを用いたアクチュエータにも適用可能である。
【0101】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 … レーザレーダ
21 … レーザ光源
23 … ミラーアクチュエータ(走査駆動部)
33 … 光検出器
34 … 光検出器駆動部(検出器駆動部)
34a … ステッピングモータ(検出器駆動部、ステッピングモータ)
34f …位置検出センサ
40 … 回路ユニット(走査制御部、検出器制御部)
43 … アクチュエータ駆動回路(走査制御部)
45 … PD駆動回路(検出器制御部)
47 … DSP(走査制御部、検出器制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
目標領域において前記レーザ光を走査させる走査駆動部と、
前記走査駆動部を制御する走査制御部と、
前記目標領域において反射された前記レーザ光の反射光を受光する光検出器と、
前記レーザ光が所定の走査軌道に沿って前記目標領域を走査したときの前記反射光の入射位置の軌道に沿って前記光検出器を移動させる検出器駆動部と、
前記レーザ光の走査時に、前記反射光の入射位置に前記光検出器が位置付けられるよう、前記検出器駆動部を制御する検出器制御部と、を備える、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザレーダにおいて、
前記検出器制御部は、前記レーザ光の各発光タイミングに対応する前記反射光の前記入射位置に前記光検出器が位置付けられるよう、前記レーザ光の走査に同期して前記光検出器を移動させる、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザレーダにおいて、
前記走査制御部は、前記レーザ光が第1の速度で前記目標領域を直線状に走査するよう前記走査駆動部を制御し、
前記検出器駆動部は、前記入射位置の軌道に沿って直線状に前記光検出器を駆動し、
前記検出器制御部は、前記光検出器が第2の速度で移動するよう前記検出器駆動部を制御する、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項4】
請求項3に記載のレーザレーダにおいて、
前記検出器制御部は、目標領域において前記レーザ光が走査開始位置から走査を開始するタイミングで、前記走査開始位置に対応する前記光検出器の移動開始位置から、前記第2の速度で、前記光検出器を移動させる、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載のレーザレーダにおいて、
前記検出器駆動部は、ステッピングモータによって前記光検出器を駆動する、
ことを特徴とするレーザレーダ。
【請求項6】
請求項5に記載のレーザレーダにおいて、
前記レーザ光の走査開始位置に対応する前記光検出器の移動開始位置を検出する位置検出センサをさらに備え、
前記検出器駆動部は、前記移動開始位置から、前記レーザ光の走査終了位置に対応する前記光検出器の移動終了位置までに要するステップ数だけ、前記ステッピングモータを駆動する、
ことを特徴とするレーザレーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−117904(P2012−117904A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267506(P2010−267506)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】