説明

レーザー−マーキング性被膜を形成するための組成物および有機吸収性増強添加剤を含むレーザー−マーキング性物質

約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内のレーザーに暴露することにより、発色させるのに適した感受性媒体を形成すべく、基板上に塗布するための、塗布組成物を提供し、該塗布組成物は、(a) 約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内の電磁輻射を吸収し、かつ発色反応を誘発するのに十分なエネルギーを発生する、少なくとも1種の有機化合物;および(b) 該塗布された媒体中で該吸収されたエネルギーにより、反応を誘発する際に、ヒト-視認性マークを形成し得る、少なくとも1種の発色剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
可変性の(書換え可能な)情報でラベル付けされた、個別化されかつトレーサブル(追跡可能)な製品および包装品が、多くの工業において益々重要になりつつあり、また一般的に、明瞭に視認でき、鮮鋭で、高いコントラストを持つマークを与えることが有利となっている。特定の波長と強度とを持つ、集束電磁波ビーム、例えばレーザービームを使用した、非-接触性の迅速マーキングのための多くの方法が、当分野において公知であり、通常「レーザーマーキング」として知られている。米国特許第6,166,210号、同第5,667,580号、同第6,855,910号、同第6,888,095号および国際公開WO 2006/052843 A2は、レーザー-マーキング用の媒体を形成するための様々な方法並びに組成物を開示している。例えば、WO 2006/052843 A2においては、レーザー-マーキング性媒体を形成するための方法並びに組成物が開示されており、該媒体は、高いコントラスト、高い解像度、および高度の品質統一性を備えた、優れたマーク品位を与えることができ、また該マーキングは、その露出された領域における該物質の保全性に対する物理的な損傷、例えば磨耗、炭化、または塗布成分の化学的な分解に起因する気泡の閉込め等を利用するものではない。
【0002】
マーク形成法におけるこれらの差異とは無関係に、該レーザービームに対する媒体の増感が、一般的に必要とされる。幾つかの用途に対して、以下に列挙する理由から、高い感度は、特に重要となり得る:a)より低いレーザーエネルギー線量で、プラスチック基板上に、またはこれを介して、マークを形成することができ、結果として該プラスチック基板が、該レーザー出力によって、損傷を受ける危険性を最小化することができ;またはb) 大量のマーキングを、高速度にて完成させ、より高い定格出力をもつレーザーの使用に頼ることなしに、高い生産処理量の達成を可能とする必要があり;あるいはc) マーキングを、与えられた定格出力にて、所定のマーキング速度にて達成するのではなく、実際の出力をより低い値に設定して、所定のマーキング速度を達成する必要があり、従ってより不変かつ持続性の高い出力レベルを、容易に維持できるものである必要がある。
【0003】
該媒体の応答する温度、またはマーク形成閾値温度を下げるか、あるいは場合により該媒体を増感して、大量のレーザーエネルギーが、該マーク形成過程において効率的に利用できるようにすることにより、レーザーマーキング感度を高めることができる。しかし、該応答閾値温度を下げることによる感度の増強は、通常該塗布媒体の保存安定性を損なう高い危険性の下で達成される。保存安定性の低下を最小化するためには、該塗布される像形成層に、レーザー-吸収性化合物を配合することにより、光学的な増感を達成することができる。CO2波長レーザーを含むレーザーに対する、多くの無機物を主成分とするレーザー-吸収性化合物が、当分野において知られている。これらレーザー-吸収性化合物の幾つかの例は、マイカまたは酸化アルミニウム化合物を含むことができる。これら化合物の適用は、米国特許第5,413,629号、同第5,608,429号、同第5,691,757号、同第5,866,644号、同第5,928,780号、同第5,977,514号、同第6,545,065号、同第6,727,308号および同第6,924,077号、ドイツ国特許および特許出願第1,467,468号、同第1,959,998号、同第2,009,566号、同第2,214,545号、同第2,215,191号、同第2,244,298号、同第2,312,331号、同第2,522,572号、同第3,137,808号、同第3,137,809号、同第3,151,343号、同第3,151,354号、同第3,151,355号、同第3,211,602号、同第3,235,017号および同第3842330号、並びに日本国特許および特許出願第2003-183530Aおよび同第3,391,000号に記載されている。
【0004】
しかし、これら無機化合物は、しばしば塗布分散液等の組成物に対して低い溶解度を持つ。該塗布組成物中にこれらを均一に分散するためには、これらの化合物を粉砕して、極めて微細な粒子にする必要がある。所定の粒径を達成することは、しばしば困難である。該粒径が大き過ぎると、例えば10μmを越え、特に所定の塗布フィルムの厚みも、該粒径と同様なμmオーダーの範囲内にある場合には、しばしば塗膜に欠陥を生じ、あるいは該増感化合物の不均一な分布の問題をきたす。これは、該塗布フィルム上に視認性の欠陥の形成を招くばかりでなく、レーザー感度における不均一性のために、不均一なマークの形成をもたらす。更に、これら無機化合物は、しばしば該塗布組成物の密度を大幅に越える密度を持つ。その結果として、大量のこのような化合物の、液状塗布組成物への配合は、とりわけ該塗布液が、印刷、噴霧、または他の高速での塗布用途のために、低い粘度を必要とする場合には、該塗布用分散液中で沈降およびケーキングを引起す傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、低いレーザー線量レベルにおけるマークの形成を容易にするばかりでなく、極めて微細な粒径において、容易に液状塗布組成物中に溶解または分散して、塗布されたフィルムに最小の塗膜欠陥をもたらすことのできる、有機物を主成分とするレーザー吸収性化合物を提供することが望ましい。有機物を主成分とするレーザー吸収性化合物は、また低粘度の液状塗布組成物のより良好な物理的安定性を与えることができ、また結果として長期に及ぶ保存中の沈降およびケーキングの発生を最小化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、塗布組成物並びに非-接触型のマーキングのための、基板上にこのような塗布組成物を適用することにより形成される媒体に関するものであり、特定の周波数および強度を持つ電磁波の集束ビームを利用して、該媒体上には、ヒト-視認性マークが形成される。該塗布組成物は、与えられた周波数をもつ電磁波の集束ビームの照射に対する該媒体の感度を高め、結果としてより低エネルギー密度にて、該塗布された媒体上にマークを形成することを可能とする、少なくとも1種の有機化合物を含む。
一局面によれば、塗布組成物並びに塗布されたレーザーマーキング性媒体は、該塗布組成物並びに該塗布された媒体両者の保存安定性に対して最小の衝撃力にて、高いレーザー感度をもたらす。
【0007】
もう一つの局面によれば、レーザー増感化合物が提供され、該化合物は、液状塗布組成物中に、高い配合量においてさえ配合することができ、その際に該塗布液のケーキングまたは沈降を最小限度に抑えることができる。
更なる局面によれば、有機化合物を含むレーザー感受性塗布組成物が提供され、該化合物は、それ自体レーザーエネルギーの吸収に寄与し、結果として塗布された媒体のレーザー感度を改善するばかりでなく、該塗布組成物の発色剤および他の成分、例えば当分野において公知の無機顔料に対する分散媒をも提供する。これら有機化合物の使用は、また該塗布されたフィルムのより良好な塗布均一性をも与え、該塗布フィルムは、最小の塗膜欠陥を持ち、並びに該塗布された媒体全体に渡る、レーザー暴露の感度に対する改善された均一性をもつ。
【0008】
上記局面は、液状塗布組成物中に、少なくとも1種の有機化合物を使用することにより得ることができ、該有機化合物は、媒体上に塗布された際に、該塗布された層の、約10.3〜約10.6μmなる範囲内の波長を持つレーザービームに対する感度を高めることを可能とする。該有機化合物は、以下の一般式Iで表すことができる:
式I: R1(OCH2CH2)nOR2
ここで、R1およびR2は、夫々独立に、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、および置換または無置換のヘテロ芳香族基からなる群から選択され、またより好ましくはHまたは1〜5個の炭素原子を持つアルキル基であり、またn>10である。例えば、nは約20〜約1,000なる範囲、またはnは約30〜約500なる範囲内にある。上記式Iで表される、1または多数の有機化合物を使用することができる。
該式Iで表される該少なくとも1種の化合物の添加量は、乾燥塗布フィルムまたはマーク形成層において、約0.5%〜約40%なる範囲内であり得、好ましくは該乾燥塗布フィルムまたはマーク形成層において、約1%〜約20%なる範囲内であり得る。より好ましくは、該添加量は、該乾燥塗布フィルムまたはマーク形成層において、約5%〜約10%なる範囲内であり得る。
【0009】
塗布組成物中の式Iで表される該化合物の平均分子量および溶解度は、例えば該置換基R1およびR2のサイズおよび型並びに鎖長nによって決定できる。該液状塗布組成物の溶液に対して高い溶解度を持つ化合物が好ましい。溶解度の低い化合物の場合、該有機化合物の微細な粉末形状を選択することができ、好ましくは約10μm以下の粒径が好ましく、またより好ましくは該粒径は、約1μm以下である。更に、好ましい置換基R1およびR2および該鎖長nは、該塗布組成物の用途および使用に基いて選択することができる。例えば、水性塗膜または溶媒型塗膜は、様々な有機化合物から利益を得ることができる。好ましい置換基および鎖長を選択する上で考慮することのできるもう一つのファクタは、該塗布組成物中の発色剤の型であり、このファクタの調節により、該塗布組成物に対する、これら発色剤の分散性を最大とすることが可能となる。本開示に基いて、レーザー-マーキング性塗布組成物に係る当業者は、該塗布組成物の他の成分に基いて、置換基R1およびR2並びに該鎖長nの好ましい選択を行うことができるであろう。
【0010】
WO 2006/052843 A2およびWO 2006/063165 A2に記載された該発色剤系に基く特定の一態様において、上記式Iで表される有機化合物の例は、夫々独立にHまたは炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基からなる群から選択されるR1およびR2および約20〜約1,000なる範囲内のnを持つ。より好ましくは、上記式Iで表される有機化合物は、夫々独立にHまたは炭素原子数1〜5のアルキル基からなる群から選択されるR1およびR2および約30〜約500なる範囲内のnを持つことができる。
上記式Iの化合物から、および公知技術に記載された無機物を主成分とするレーザー感受性成分から選択される化合物を、該塗布組成物と併合および混合して、該塗布媒体の感度を最大にし、並びに高度に均一かつ安定な塗布液を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
約10.3〜約10.6μmなる範囲内の波長を持つ、二酸化炭素(CO2)レーザーを使用するように設計された、レーザー-マーキング性塗膜に関連して、本発明の有機化合物の感度増強は、様々な発色剤系において使用される塗布組成物を有益なものとすることができる。
ここに開示する本発明の一特定の態様は、WO 2006/052843 A2およびWO 2006/063165 A2に記載された塗布組成物中で、レーザー-マーキング物質を形成するためのものであり、そこで該発色剤は、約150℃〜約190℃なる範囲のガラス転移点Tgを持つ、ポリマーによってカプセル化された、電子供与性染料プリカーサ粒子および電子受容種を含む。該態様の詳細な説明をここに記載するが、本発明は、この特定の態様に限定されるものではない。当分野において公知の他の発色剤系は、他の発色剤系におけると同様に、本発明の有機化合物増感剤の使用に対して適用できる。
【0012】
A. 該マーク形成層の組成
該マーク形成層の組成は、以下の要素を含む:好ましくは特定範囲のTgを持つポリマー内にマイクロカプセル化されている、電子供与性染料プリカーサ;該電子供与性染料プリカーサと反応して、これを可視スペクトルの波長範囲内に吸収ピークを持つ染料に変換する、電子受容性化合物;約10.3〜約10.6μmなる波長範囲における電磁波を吸収する不活性有機化合物;およびこれら成分全てを分散させ、かつこれら成分が、相互に反応長さ(reaction length)の極近傍にあるように、これらを塗布する、ポリマー分散媒を含むことができる。
【0013】
電子供与性染料プリカーサ
本発明において好ましく使用できる、電子供与性染料プリカーサは、このものが実質上無色であり、しかも好ましくは電子を供与することにより、あるいは酸からプロトンを受取ることによって、発色するような特性を持つ、無職化合物である限り、特に限定されるものではない。該電子供与性染料プリカーサの主鎖における好ましい構造上の特徴は、電子受容性化合物との接触状態にある場合において、開環反応または開裂に付される、リング構造を含むことである。このような構造的特徴の典型的な例は、特にラクトン、ラクタム、サルトン(saltone)、またはスピロピランである。好ましい電子供与性染料プリカーサおよび好ましい態様のより詳しい説明および例は、WO 2006/052843 A2に記載されている。その内容を、参考としてここに組入れる。
【0014】
マイクロカプセル化
本発明の組成物における該電子供与性染料プリカーサは、好ましくは表面重合法によって、マイクロカプセルとした後に使用することが好ましい。例えば、該表面重合法は、該マイクロカプセルのコアを形成するための該電子供与性染料プリカーサを、疎水性有機溶媒中に溶解または分散させて、油状相を製造するように使用することができる。次いで、該油状相を、例えば水溶性ポリマーを水に溶解することにより得た水性相と混合し、また次に例えばホモジナイザーを用いて、乳化および分散させることができる。引続き加熱して、該油状液滴の界面においてポリマー-形成反応を行い、それによりポリマー物質のマイクロカプセル壁を形成することができる。より詳細な説明および例示的態様は、WO 2006/052843 A2に記載されている。
【0015】
電子受容体現像剤分散液
該電子供与性染料プリカーサと反応する該電子受容体現像剤化合物は、単独でまたは2種またはそれ以上の組合せで使用することができる。該塗布組成物は、該電子受容体現像剤化合物を含む分散液と併合することができる。電子受容体現像剤化合物の例は、WO 2006/052843 A2に記載されている。
【0016】
該電子受容体化合物は、水溶性ポリマー、有機塩基、および他の発色助剤と共にサンドミル内で調製された固体分散体として製造でき、あるいは界面活性剤および/または保護コロイドとしての水溶性ポリマーを含有するポリマー水性溶液(水性相)と混合された、ほんの僅かに水溶性または水-不溶性の高沸点有機溶媒中に溶解し、次いで例えばホモジナイザーによって乳化することによって得た、エマルション分散液として使用することができる。この場合において、低沸点溶媒は、必要に応じて、溶解助剤として使用することができる。より詳細な説明および例示的態様は、WO 2006/052843 A2に記載されている。
【0017】
有機レーザー吸収性増強添加剤
本発明のレーザー吸収性感度増強添加剤は、使用するレーザーの型およびその放出波長に基いて選択される。CO2レーザーに関しては、市販品として入手できるレーザー-マーキング装置の典型的な放出波長は、約10.6μmである。波長10.6μmのCO2レーザーに対して選択される本発明の有機レーザー-マーキング感度増強化合物は、以下の一般式Iによって表すことができる:
式I: R1(OCH2CH2)nOR2
ここで、R1およびR2は、夫々独立に、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、および置換または無置換のヘテロ芳香族基からなる群から選択することができ、またまたn>10である。例えば、nは約20〜約1,000なる範囲、または約30〜約500なる範囲内の数値であり得る。
【0018】
これら化合物の添加量は、乾燥塗布組成物またはマーク形成層において、約0.5%〜約40%なる範囲内であり得る(「マーク形成層の作成」と題する章を参照のこと)。より好ましくは、その量は、該乾燥塗布フィルムまたはマーク形成層において、約1%〜約20%なる範囲内であり得る。最も好ましくは、該添加量は、該乾燥塗布フィルムまたはマーク形成層において、約5%〜約10%なる範囲内であり得る。該添加量は、感度、マーク強度、塗膜均一性、並びに該液状塗布組成物の安定性を含むことができる、性能ファクタ間の最適化されたバランスを与えるように選択することができる。
【0019】
塗布組成物中の上記式Iで表される該化合物の平均分子量および溶解度は、上記置換基R1およびR2のサイズおよび型並びに該鎖長nによって決定することができる。該液状塗布組成物の溶液に対する高い溶解度を持つ化合物が好ましい。溶解度の低い化合物の場合、約10μm以下、最も好ましくは約1μm以下の、最も一般的な粒径を持つ微粉末形状のものが好ましい。更に、好ましい置換基R1およびR2および該鎖長nは、該塗布組成物の用途および使用に基いて選択することができ、例えば水性塗布または溶媒型塗布は、様々な有機化合物を必要とする可能性がある。好ましい置換基および鎖長を選択する上で考慮することのできるもう一つのファクタは、該塗布組成物中の発色剤の型であり、これにより、該塗布組成物中のこれら発色剤の最大の分散が可能となる。本開示に基いて、レーザー-マーキング性塗布組成物の分野における当業者は、該塗布組成物の他の成分に基いて、該置換基R1およびR2並びに該鎖長nの好ましい選択を行うことが可能である。
【0020】
WO 2006/052843 A2およびWO 2006/063165 A2に記載された発色剤系を主成分とする特定の態様において、例示的な上記式Iで表される有機化合物は、独立にH、炭素原子数1〜5のアルキル基、および炭素原子数2〜5のアルケニル基からなる群から選択される置換基R1およびR2および約20〜約1,000なる範囲内のnを持つ。最も好ましくは、上記式Iで表される有機化合物は、独立にH、炭素原子数1〜5のアルキル基、からなる群から選択される置換基R1およびR2および約30〜約500なる範囲内のnを持つ。
このような有機レーザー感度増強添加剤の例は、約1,000〜約20,000なる範囲の分子量を持ち、また例えばE1450、E4000、E6000、E8000、およびE20000なる商品名の下で市販品として入手できるポリエチレングリコール化合物、および約350〜約5,000なる範囲の分子量を持ち、また市販品として入手できるメトキシポリエチレングリコール化合物を含むが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の有機レーザー吸収性感度増強化合物は、マイクロカプセル化されたロイコ染料分散体部分、該電子-受容性現像剤分散体部分、またはこれら両者中に配合することができる。2またはそれ以上の本発明の有機レーザー吸収性感度増強添加剤を選択し、組合せて、その効果を最適化することができる。該化合物は、また公知技術において開示されている典型的なレーザー吸収性化合物と組合せ、混合することも可能である。これらは、該塗布された媒体のレーザー感度を最適化するために、マイカ等の化合物を含むが、これに限定されるものではない。
本発明の化合物の使用を通して、約10%〜約40%なる範囲のレーザーマーキング感度における増加が、本発明の化合物並びにその添加量の選択に依存して、達成し得ることが分かった。本開示の実施例においては、マーキング速度における約22%の増加が、乾燥塗布組成物の約5%なるレベルでの、メトキシポリエチレングリコール5,000の添加により達成される。このようなレーザー吸収性感度増強化合物の添加によって、該塗布されたフィルムも、高い均一性の高い外観を持つことができる。
【0022】
他の添加物
マーク形成層のための該塗布組成物におけるその他の成分は、特に制限されるものではなく、必要に応じて適切に選択することができ、またその例は、界面活性剤、融剤、発泡抑制剤、UV吸収剤、酸化防止剤および遊離基掃去剤を含む。これらに関するより詳細な説明および例示的な態様は、WO 2006/052843 A2に記載されている。
【0023】
マーク形成層用の組成物
本発明のマーク形成層のための塗布組成物を得るために、上記各成分を、バインダとして選択されたポリマー媒体と均一に混合し、該媒体内に分散させることができる。この工程において、本発明の塗布組成物の混合比は、電子供与性染料プリカーサの全量と、該電子受容性化合物全量との比を、約1:0.5〜約1:30なる範囲、好ましくは約1:1〜約1:10なる範囲とするような比である。
該マーク形成層における該電子供与性染料プリカーサの量は、好ましくは約0.1〜約5.0g/m2なる範囲内にある。この範囲内において、十分な着色強度を達成でき、かつ同時に該レーザー-感受性記録層の透明度をも維持することができる。より好ましくは、該電子供与性染料プリカーサの量は、約1.0〜約4.0g/m2なる範囲内にある。
【0024】
好ましい一態様において、多数の塗布組成物を形成することができ、ここで第一の塗布組成物は、該電子供与性染料プリカーサを含みおよび第二の塗布組成物は、該電子受容性現像剤を含む。このような第一および第二の組成物は、これら組成物の安定性を改善するために別々に維持することができ、また使用前に一緒に併合しおよび/または混合することができる。本発明の該有機吸収性レーザー感度増強性化合物は、上記2つの部分、またはこれら両者に溶解または均一に分散することができる。
該レーザー感受性マーク形成層の製造において、該電子供与性染料プリカーサ組成物またはそのマイクロカプセル組成物を製造する際に、該保護コロイドとして使用される該水溶性ポリマーおよび本発明の該電子受容性を製造する際に、該保護コロイドとして使用される該水溶性ポリマー両者は、該マーク形成層のバインダとして機能する。また、適切なレベルでの、本発明の選択された有機レーザー感受性化合物の添加および分子量の適切な選択も、部分的に同一の機能に貢献し得る。
【0025】
上記保護コロイドとは別に、少なくとも1種の付随的なバインダを添加および混合することも可能である。好ましくは、一般的に水溶性のポリマーが使用され、またその例は、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エピクロルヒドリン-変性ポリアミド、エチレン-無水マレイン酸コポリマー、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン-無水マレイン酸サリチル酸コポリマー、ポリアクリル酸アミド、メチロール-変性ポリアクリルアミド、カゼインおよびゼラチンを含む。
該バインダに耐水性を付与するために、少なくとも1種の耐水性付与剤を、該バインダに添加することができ、また疎水性ポリマー、とりわけスチレン-ブタジエンゴムラテックス、スチレンアクリル酸ポリマー、アクリル系またはメタクリル系ポリマーもしくはコポリマーおよびこれらの誘導体、ポリエステルまたはそのコポリマーを、該バインダに添加することができる。
該マーク形成層を安全かつ均一に塗布するために、また該塗布フィルムの強度を維持するために、本発明の該マーク形成層は、更にメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシル-変性ポリビニルアルコール、ポリスチレンまたはそのコポリマー、ポリエーテル、ポリウレタン樹脂またはその誘導体、ポリエーテルを主成分とするポリウレタンコポリマー、ポリエチレンまたはそのコポリマー、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂またはデンプン化合物を含むことができる。
【0026】
B. 該レーザーマーキング性媒体の製造
本発明のレーザー-マーキング性媒体は、好ましくは以下に記載する方法によって製造されるが、これに限定されない。
本発明のレーザー-マーキング性媒体の製法は、支持体上に(使用する場合には)プライマー層を塗布する工程;該支持体上の(使用する場合における)プライマー層上に、マーク形成層を塗布する工程を含む。必要に応じて、保護トップコート等の他の層を、付加することも可能である。
本発明のレーザー-マーキング性媒体は、以下の順序で、公知の塗布方法により、継続的に塗布することができる:該プライマー層;該マーク形成層;および該保護トップコート層。これらの塗布方法の例は、ナイフ塗布法、エアーナイフ塗布法、グラビアまたはフレキソ印刷塗布法、ロール塗布法、吹付塗布法、浸漬塗布法およびバー塗工法を含むが、これらに限定されない。
【0027】
C. レーザー-マーキング装置
本発明のレーザー-マーキング性媒体は、約10.3〜約10.6μmなる範囲内の波長を持つCO2レーザーを用いてマーキングすることができる。好ましいレーザー-マーキング装置は、ガルバノメータビームステアリング技術を使用するものであり、この装置は、XまたはX/Y-軸内で回転する1またはそれ以上のミラーを用いて、コンピュータによって該ビームを制御することができる。ベクトルおよびラスター走査スキーム両者を、用途に応じて使用することができる。好ましくは、レーザービーム性能、f-θレンズ性能、および焦点距離の組合せが、焦点面におけるマーキングスポットサイズを、約300μm以下、より好ましくは約100μm以下とすることを可能とするであろう。
【0028】
本発明のレーザーマーキング性物質、方法および装置を使用することにより、様々な利点、例えば低い装置並びに運転コスト;微細な線の文字および単純なパターンによる高速マーキング性(ベクトル走査);柔軟な解像度の調節;色調調節およびパターン変化(ラスター走査);比較的大きく、かつ可撓性のマーキング領域;および/または変更(書換)可能な情報マーキングによる、小-ロット(短期(短距離)走査)高処理量生産等を実現することができる。本発明のレーザーマーキング性物質、方法および装置の使用は、広範囲に渡る物質、とりわけ低出力CO2レーザーに対して典型的には応答しない、またはほんの僅かな応答性を示す物質、または品質マークを形成することなしに、レーザーの照射により容易に損傷を受ける恐れのある物質上に、レーザー-マーキングを行うことを可能とする。このような物質の例は、エンジニアリング物質用の硬質および軟質プラスチックまたは工業製品の包装用のポリマーフィルム(PET、BOPP、HDPE、PMMA、ポリカーボネートおよびナイロン(Nylon))を包含する。
【実施例】
【0029】
実施例1(比較例)
[カプセル化された電子供与性染料プリカーサを含む液状分散体(A)の製造]
13.3gの電子供与型の染料プリカーサ(PSD-184、日本ソーダ(Nippon Soda)製)および0.47gのUV光吸収剤(チヌビン(Tinuvin)P、チバガイギー社(Ciba Geigy Corp.)製)を、20gの酢酸エチルに添加し、70℃まで加熱することによって溶解させ、次いで45℃に冷却した。12.6gのカプセル壁材料(D-140N、ミツイタケダケミカル社(Mitsui Takeda Chemical Co., Ltd.)製)を、該酢酸エチル溶液に添加した。上記酢酸エチル溶液を、53gの6%w/wポリビニルアルコール水性溶液(クラリーポバール(Kurary Poval)MP-217C、クラレ社(Kuraray Co., Ltd.)製)に添加し、ホモジナイザーで5分間乳化した。80gの水および0.75gのテトラエチレンペンタミンを添加し、またカプセル化のために、60℃にて4時間攪拌しつつ混合した。
【0030】
該反応が完了した後、該カプセル化された電子供与性染料プリカーサ粒子の粒径分布を、ベックマンコールターズ(Beckman Coulter's) LS-100Q粒径分析装置を用いて測定し、該液状塗布組成物の粘度を、S21小径スピンドルを備えた、ブルックフィールドプログラマブル(Brookfield Programmable)DV-II+粘度計を用いて、100-200 RPMにて測定し、また該マイクロカプセル壁のTgを、基準としてマイクロカプセルを含まないブランク懸濁液を用いて、パーキンエルマーズダイアモンド(Perkin Elmer's Diamond)DSCを使用して測定した。以下のような結果を得た:該液状分散液の粘度=18cps、ここで99容積%の該マイクロカプセルが、0.2-2μmなる範囲の粒径を持ち、また該マイクロカプセル壁のTg=156℃。
【0031】
[電子受容性化合物を含有する液状分散物(B)の製造]
4.2gのUV光吸収剤(商品名: チヌビン(Tinuvin)328、チバガイギー社製)、1.0gのトリクレジルホスフェート、および36.4gの、以下の式IIで表される電子受容性化合物を、16.0gの酢酸エチルに添加し、70℃まで加熱することにより溶解した:
【化1】

得られた酢酸エチル溶液を、以下の水性溶液に添加し、引き続きホモジナイザーを用いて、5分間分散させた。次いで、この溶液を、攪拌しつつ約2時間、該酢酸エチルが蒸発するまで、70℃にて加熱した。この最終的な分散物(B)は、0.3-2μmなる範囲の粒径を有している(99容積%)。
【0032】
[乳化分散物(B)用の水性溶液]

【0033】
[マーク形成層を塗布するための塗布組成物1の製造]
上記分散物(A)および分散物(B)を以下のように混合した:

【0034】
[支持フィルム上へのマーク形成層の塗布]
上記塗布組成物1を、引落(draw-down)ワイヤバーコーターを用いて、75μmの厚みを持つ透明なOPPフィルム上に塗布し、次いで60℃にて3分間乾燥させた。
[上で製造した媒体のレーザー-マーキング感度の測定]
波長10.6μmの光を発する、ナットフィールドコーダファイア(Nutfield CodaFire)-V10 10W CO2レーザーマーカーを使用した。レーザーポンピング周波数を20KHzに設定し、またマーキング速度を1000mm/秒に設定した。長さ約5cmの一本の直線を、「レーザー出力(%)」を10%から徐々に、該媒体上で極めて薄い実線が丁度目に見えるようになるまで高めることによって、マーキングを行った。この時点における該レーザー出力(%)を、「閾値レーザー線量」として記録し、この設定における実際のレーザー出力を、オファー(Ophir)レーザー出力メータ(30A-SH-V1サーマルセンサおよびAN/2Eディスプレー)を用いて測定した。この基準サンプルに関連して、該「閾値レーザー線量」を測定したところ、5.05Wであることが分かった。
【0035】
実施例2(本発明の例示的局面)
上記実施例1と同様な分散物(A)および分散物(B)を使用して、マーク形成層を塗布するための塗布組成物2を混合した。

【0036】
上記塗布組成物2を、塗布組成物1と同様な基板上に、同一の塗布条件下で塗布し、そのレーザーマーキング感度を、同一のレーザーマーカーを用いて、同一のマーキング条件下で測定した。その閾値レーザー線量を、実施例1と同様にして測定した。このサンプルに関連して、該閾値設定における実際のレーザー出力を測定したところ、4.09Wであることが分かった。この結果は、上記基準例と比較した場合に、閾値出力線量における19%の低下を示す。
【0037】
実施例3(本発明の例示的局面)
上記実施例1と同様な分散物(A)および分散物(B)を使用して、マーク形成層を塗布するための塗布組成物3を混合した。
【0038】

【0039】
上記塗布組成物3を、塗布組成物1について使用したものと同様な基板上に、同一の塗布条件下で塗布し、そのレーザーマーキング感度を、同一のレーザーマーカーを用いて、同一のマーキング条件下で測定した。その閾値レーザー線量を、実施例1と同様にして測定した。このサンプルに関連して、該閾値設定における実際のレーザー出力を測定したところ、3.96Wであることが分かった。この結果は、上記基準例と比較した場合に、閾値出力線量における21.6%の低下を示す。
【0040】
実施例4(比較例)
上記実施例1と同様な分散物(A)および分散物(B)を使用して、マーク形成層を塗布するための塗布組成物4を混合した。
【0041】

【0042】
上記塗布組成物4を、塗布組成物1について使用したものと同様な基板上に、同一の塗布条件下で塗布し、そのレーザーマーキング感度を、同一のレーザーマーカーを用いて、同一のマーキング条件下で測定した。その閾値レーザー線量を、実施例1と同様にして測定した。このサンプルに関連して、該閾値設定における実際のレーザー出力を測定したところ、1.5Wであることが分かった。しかし、該塗布組成物4の安定性に係る研究中の観測は、時間の経過に伴う固体の沈着を示す。更に、顕微鏡下で観察した際に、塗膜欠陥をもつ多くの領域が、該塗布媒体において見られた。
【0043】
実施例5(本発明の例示的局面)
上記実施例1と同様な分散物(A)および分散物(B)を使用して、マーク形成層を塗布するための塗布組成物5を混合した。
【0044】

【0045】
上記塗布組成物5を、塗布組成物1について使用したものと同様な基板上に、同一の塗布条件下で塗布し、そのレーザーマーキング感度を、同一のレーザーマーカーを用いて、同一のマーキング条件下で測定した。結果は、実施例4の塗布媒体と同様な閾値出力線量を示す。しかし、塗布組成物4とは異なり、塗布組成物5の安定性研究中の観測は、時間の経過に伴う固体沈降の徴候は示さない。更に、実施例5の塗布レーザー感受性媒体は、実施例4の塗布媒体を越える、改善された塗膜均一性を示す。顕微鏡下で、僅かに最小限度の塗膜欠陥が、実施例4由来の塗布媒体上に観測された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内のレーザーに暴露することによって、発色させるのに適した高感度媒体を形成するために、基板上に塗布するための塗布組成物であって、該塗布組成物が、
(a) 約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内の電磁輻射を吸収し、かつ発色反応を誘発するのに十分なエネルギーを発生する、少なくとも1種の有機化合物;および
(b) 該塗布された媒体中で該吸収されたエネルギーにより、反応を誘発する際に、ヒト-視認性マークを形成し得る、少なくとも1種の色形成剤、
を含むことを特徴とする、前記塗布組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の有機化合物が、以下の式I:
式I: R1(OCH2CH2)nOR2
ここで、R1およびR2は、夫々独立に、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、および置換または無置換のヘテロ芳香族基からなる群から選択され、またn>10である、
で表される、請求項1記載の塗布組成物。
【請求項3】
前記式Iの前記少なくとも1種の有機化合物において、前記nが約20〜約1,000なる範囲内にある、請求項2記載の塗布組成物。
【請求項4】
前記式Iの前記少なくとも1種の有機化合物において、前記nが約30〜約500なる範囲内にある、請求項2記載の塗布組成物。
【請求項5】
前記式Iの前記少なくとも1種の有機化合物が、全固形分として、約0.5%〜約40%(w/w)なる範囲内の量で存在する、請求項2記載の塗布組成物。
【請求項6】
前記式Iの前記少なくとも1種の有機化合物が、全固形分として、約1%〜約20%(w/w)なる範囲内の量で存在する、請求項2記載の塗布組成物。
【請求項7】
前記式Iの前記少なくとも1種の有機化合物が、全固形分として、約5%〜約10%(w/w)なる範囲内の量で存在する、請求項2記載の塗布組成物。
【請求項8】
約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内のレーザーに暴露することによって、発色させるのに適した高感度媒体を形成するために、基板上に塗布するための塗布組成物であって、該塗布組成物が、
(a) 約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内の電磁輻射を吸収し、かつ発色反応を誘発するのに十分なエネルギーを発生する、少なくとも1種の有機化合物;
(b) 少なくとも1種の電子供与性染料プリカーサ;および
(c) 該塗布された媒体中で該吸収されたエネルギーにより誘発された際に、接触時において、該電子供与性染料プリカーサと反応して、着色された染料を生成する、少なくとも1種の電子受容性化合物、
を含むことを特徴とする、前記塗布組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の電子供与性染料プリカーサが、250℃に等しいか、それ以下のガラス転移点を持つ、少なくとも1種のポリマー材料によってカプセル化されている、請求項8記載の塗布組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の電子供与性染料プリカーサが、約150〜約190℃なる範囲内のガラス転移点を持つ、少なくとも1種のポリマー材料によってカプセル化されている、請求項8記載の塗布組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の有機化合物が、以下の式IAで表され:
式IA: R1(OCH2CH2)nOR2
ここで、R1およびR2は、夫々独立に、H、-CH3、-CH2CH3、または-CH(CH3)2からなる群から選択され、また前記nは約20〜約1,000なる範囲内にあり、
ここで、該少なくとも1種の有機化合物が、全固形分として、約1%〜約20%(w/w)なる範囲内の量で存在し、また
ここで、前記少なくとも1種の電子供与性染料プリカーサが、約150〜約190℃なる範囲内のガラス転移点を持つ、少なくとも1種のポリマー材料によりカプセル化されている、請求項8記載の塗布組成物。
【請求項12】
約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内のレーザーで照射した際に、ヒト-視認性マークを形成するのに適した、少なくとも1つのレーザー感受性層を含むレーザー-マーキング性媒体であって、該少なくとも1つのレーザー感受性層が、
(a) 約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内の電磁輻射を吸収し、かつ発色反応を誘発するのに十分な量のエネルギーを発生する、少なくとも1種の有機化合物;および
(b) 該塗布された媒体中で該吸収されたエネルギーによって開始された際に、ヒト-視認性マークを形成する、少なくとも1種の発色剤、
を含むことを特徴とする、前記レーザー-マーキング性媒体。
【請求項13】
前記少なくとも1種の有機化合物が、以下の式I:
式I: R1(OCH2CH2)nOR2
ここで、R1およびR2は、夫々独立に、H、アルキル基、アルケニル基、アリール基、および置換または無置換のヘテロ芳香族基からなる群から選択され、またn>10である、
で表される、請求項12記載のレーザー-マーキング性媒体。
【請求項14】
前記式Iで表される前記少なくとも1種の有機化合物において、前記nが約20〜約1,000なる範囲内にある、請求項13記載のレーザー-マーキング性媒体。
【請求項15】
前記式Iで表される前記少なくとも1種の有機化合物において、前記nが約30〜約500なる範囲内にある、請求項13記載のレーザー-マーキング性媒体。
【請求項16】
前記少なくとも1つのレーザー感受性層が、前記式Iで表される前記少なくとも1種の有機化合物を、約0.5%〜約40%(w/w)なる範囲内の量で含む、請求項13記載のレーザー-マーキング性媒体。
【請求項17】
前記少なくとも1つのレーザー感受性層が、前記式Iで表される前記少なくとも1種の有機化合物を、約1%〜約20%(w/w)なる範囲内の量で含む、請求項13記載のレーザー-マーキング性媒体。
【請求項18】
前記少なくとも1つのレーザー感受性層が、前記式Iで表される前記少なくとも1種の有機化合物を、約5%〜約10%(w/w)なる範囲内の量で含む、請求項13記載のレーザー-マーキング性媒体。
【請求項19】
約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内のレーザーで照射した際に、ヒト-視認性マークを形成するのに適した少なくとも一つのレーザー感受性層を含むレーザー-マーキング性媒体であって、該少なくとも一つのレーザー感受性層が、
(a) 約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内の電磁輻射を吸収し、かつ発色反応を誘発するのに十分な量のエネルギーを発生する、少なくとも1種の有機化合物;
(b) 少なくとも1種の電子供与性染料プリカーサ;および
(c) 該塗布された媒体中で該吸収されたエネルギーにより誘発された際に、接触時において、該電子供与性染料プリカーサと反応して、着色された染料を生成する、少なくとも1種の電子受容性化合物、
を含むことを特徴とする、前記レーザー-マーキング性媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1種の電子供与性染料プリカーサおよび前記少なくとも1種の電子受容性化合物が、該少なくとも1種の電子供与性染料プリカーサを、250℃に等しいか、またはそれ以下のガラス転移点を持つポリマー中にカプセル化することによって、あるいは該少なくとも1種の電子供与性染料プリカーサおよび該少なくとも1種の電子受容性化合物を、250℃に等しいか、またはそれ以下のガラス転移点または融点を持つ、第三のポリマースペーサ副層によって分離された2層の副層内に分散させることによって、相互に分離されている、請求項19記載のレーザー-マーキング性媒体。
【請求項21】
前記少なくとも1つのレーザー感受性層が、約10.3〜約10.6μmなる波長範囲内にあり、かつ約5J/cm2に等しいか、またはそれ以下の線量のレーザーで照射された際に、ヒト-視認性マークを形成する、請求項19記載のレーザー-マーキング性媒体。
【請求項22】
以下の式IAで表される、前記少なくとも1種の有機化合物が、全固形分として、約1%〜約20%(w/w)なる範囲の量で存在し:
式IA: R1(OCH2CH2)nOR2
ここで、R1およびR2は、夫々独立に、H、-CH3、-CH2CH3、および-CH(CH3)2からなる群から選択され、また前記nは約20〜約1,000なる範囲内にあり、
ここで、前記少なくとも1種の電子供与性染料プリカーサが、約150〜約190℃なる範囲内のガラス転移点を持つポリマー材料によりカプセル化されている、請求項19記載のレーザー-マーキング性媒体。
【請求項23】
前記媒体が、プラスチック材料製の基板上に、前記レーザー感受性層を塗布することによって形成される、請求項22記載のレーザー-マーキング性媒体。

【公表番号】特表2010−502487(P2010−502487A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527381(P2009−527381)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/019299
【国際公開番号】WO2008/030428
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(508293726)フジフイルム ハント ケミカルズ ユー.エス.エイ. インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】