説明

レーザーダイオードの光軸調整構造および光ピックアップ装置

【課題】 容易に光軸調整および光軸の傾き調整することができるとともに、装置の組立に要する作業時間の短縮を図ることができるレーザーダイオードの光軸調整構造を提供する。
【解決手段】 ハウジング11と、ハウジング11の一表面部11aに沿って移動可能に保持される受け台15と、この受け台15に傾動可能に保持され、かつレーザーダイオード14を支持するレーザーダイオードホルダー16と、ハウジング11に、これら受け台15およびレーザーダイオードホルダー16を移動可能に押圧して保持する第1および第2押え板17,18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば光ピックアップの光源として適用されるレーザーダイオードの光軸調整構造および光ピックアップ装置に関する。
【0002】
本発明において、「略中心」は「中心」を含み、「仮想球面に略沿って」は「仮想球面に沿って」を含む。
【背景技術】
【0003】
コンパクトディスク(略称CD:Compact Disk)およびデジタルバーサタイルディスク(略称DVD:Digital Versatile Disk)およびブルーレイディスク(略称BD:Blu
Ray Disk)などの記録媒体に対する情報の記録、再生、消去を行う光ピックアップ装置が実用に供されている。この光ピックアップ装置の光源として、レーザーダイオードが適用されている(たとえば特許文献1参照)。図7は、従来の光ピックアップ装置の光軸調整構造の要部を示す平面図であり、図8は、従来の光ピックアップ装置の光軸調整構造の要部を示す側面図である。
【0004】
前記光ピックアップ装置は、ハウジング1、レーザーダイオード受け台2、ばね材から成る押え板3、レーザーダイオードホルダー4およびレーザーダイオード5を有する。レーザーダイオードホルダー4には、レーザーダイオード5が接着剤等を用いて固着されている。レーザーダイオードホルダー4に部分球面状の接触部(球面接触部と称す)が設けられる。レーザーダイオード受け台2には、前記球面接触部に当接する球面座が形成されている。
【0005】
これらレーザーダイオードホルダー4とレーザーダイオード受け台2とは、4本のねじ6で固定される。4本のねじ6を締め付けたり弛めたりすることで、光軸を傾き調整している。レーザーダイオード受け台2は、押え板3によってハウジング1に対し移動可能に保持されている。これによってレーザーダイオード5の平面上の光軸を調整する。
【0006】
【特許文献1】特開平5−81693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の光軸調整構造においては、前記平面上の光軸調整、光軸の傾き調整を順次行わなければならない。また光軸の傾き調整は、ねじ6の締め付けおよび弛めで調整自体に時間がかかっていた。したがって従来の光軸調整構造では、光軸調整および光軸の傾き調整を簡単に行うことができないうえ、装置の組立時間が長くなる。
【0008】
本発明の目的は、容易に光軸調整および光軸の傾き調整することができるとともに、装置の組立に要する作業時間の短縮を図ることができるレーザーダイオードの光軸調整構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ハウジングと、
レーザーダイオードを支持可能なレーザーダイオード支持手段と、
ハウジングに、レーザーダイオード支持手段を移動可能に押圧して保持する押圧手段とを有することを特徴とするレーザーダイオードの光軸調整構造である。
【0010】
本発明に従えば、光軸調整構造は、ハウジング、レーザーダイオード支持手段および押圧手段を有する。レーザーダイオード支持手段は、レーザーダイオードを支持可能になっている。押圧手段は、ハウジングに、レーザーダイオード支持手段を移動可能に押圧して保持する。レーザーダイオードおよびレーザーダイオード支持手段を移動すべきとき換言すれば調整すべきとき、次のような作用を奏する。レーザーダイオード支持手段は、押圧手段による押圧力でもって常にハウジングに押圧されているうえ、ハウジングに対し相対的に移動する。前記押圧力に影響を受けることなく、ハウジングに対してレーザーダイオード支持手段を所定小距離移動し得る。このようにレーザーダイオードを光軸調整する。
【0011】
また本発明は、レーザーダイオード支持手段は、ハウジングの一表面部に沿って移動可能に保持される受け台と、この受け台に傾動可能に保持され、かつレーザーダイオードを支持するレーザーダイオードホルダーとを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、レーザーダイオード支持手段は、受け台とレーザーダイオードホルダーとを備える。受け台は、ハウジングの一表面部に沿って移動可能に保持される。レーザーダイオードホルダーは、前記受け台に傾動可能に保持され、かつレーザーダイオードを支持する。これによってレーザーダイオードの光軸調整および光軸の傾き調整を行う。
【0013】
また本発明は、レーザーダイオードホルダーには、受け台に臨む一曲面部および押圧手段に臨む他曲面部が形成され、これら一曲面部および他曲面部は、レーザーダイオードの発光点を略中心とする仮想球面に略沿って形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、レーザーダイオードホルダーには、一曲面部および他曲面部が形成されている。一曲面部および他曲面部は、前記発光点を略中心とする仮想球面に略沿って形成されている。前記一曲面部は受け台に臨み、前記他曲面部は押圧手段に臨む。他曲面部は押圧手段によって押圧されて保持され、一曲面部は受け台に当接して傾動する。
【0015】
また本発明は、レーザーダイオードホルダーの一曲面部と他曲面部とは、曲率半径が異なることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、一曲面部の曲率半径と、他曲面部の曲率半径とが異なるので、次のような作用を奏する。受け台に臨む一曲面部の曲率半径を一定にし、押圧手段に臨む他曲面部の曲率半径を種々変更し、押圧手段およびレーザーダイオードに対し最適な他曲面部形状にすることができる。逆に他曲面部の曲率半径を一定にし、一曲面部の曲率半径を種々変更し、受け台に対し最適な一曲面部形状にすることができる。
【0017】
また本発明は、レーザーダイオードホルダーの他曲面部は、一曲面部よりも曲率半径が大きくなるように形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、受け台に当接するレーザーダイオードホルダーの一曲面部の曲率半径を、他曲面部の曲率半径よりも小さくする。逆に言えば、他曲面部は、一曲面部よりも曲率半径が大きくなる。しかも前記他曲面部は、レーザーダイオードの大きさ等に基づいて曲率半径を決定する。他曲面部は一曲面部よりも曲率半径が大きくなるように形成されているので、光軸を傾き調整するとき、受け台に対し、レーザーダイオードホルダーを相対移動させる際の移動量を大きくすることができる。
【0019】
また本発明は、受け台は、レーザーダイオードホルダーの一曲面部に臨む当接面が円錐面形状に形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、レーザーダイオードホルダーの一曲面部に臨む受け台の当接面を、円錐面形状に形成することで、次のような作用を奏する。前記受け台の円錐面部と、レーザーダイオードホルダーの一曲面部との間に隙間を形成することが可能となる。
【0021】
また本発明は、ハウジングと、
キャップ部が部分球面状に形成されるレーザーダイオードと、
ハウジングに、前記キャップ部を介してレーザーダイオードを移動可能に押圧して保持する押圧手段とを有することを特徴とするレーザーダイオードの光軸調整構造である。
【0022】
本発明に従えば、光軸調整構造は、ハウジング、レーザーダイオードおよび押圧手段を有する。レーザーダイオードのキャップ部は部分球面形状に形成される。押圧手段は、ハウジングに、前記キャップ部を介してレーザーダイオードを移動可能に押圧して保持する。レーザーダイオードを移動すべきとき換言すれば調整すべきとき、次のような作用を奏する。レーザーダイオードは、押圧手段による押圧力でもって常にハウジングに押圧されているうえ、キャップ部を介してハウジングに対し相対的に移動する。前記押圧力に影響を受けることなく、ハウジングに対してレーザーダイオードを所定小距離移動し得る。このようにレーザーダイオードを光軸調整する。
【0023】
また本発明は、前記レーザーダイオードの光軸調整構造を備える光ピックアップ装置である。
【0024】
本発明に従えば、このようなレーザーダイオードの光軸調整構造を備える光ピックアップ装置を実現することができる。この光ピックアップ装置に搭載されるレーザーダイオードは、従来構造より簡単な構造で容易に光軸調整および光軸の傾き調整することができ、組立に要する作業時間の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、押圧手段は、ハウジングに、レーザーダイオード支持手段を移動可能に押圧して保持する。レーザーダイオードおよびレーザーダイオード支持手段を移動すべきとき換言すれば調整すべきとき、次のような作用および効果を奏する。レーザーダイオード支持手段は、押圧手段による押圧力でもって常にハウジングに押圧されているうえ、ハウジングに対し相対的に移動する。前記押圧力に影響を受けることなく、ハウジングに対してレーザーダイオード支持手段を所定小距離移動し得る。このようにレーザーダイオードを、従来構造より簡単な構造で容易に光軸調整および光軸の傾き調整することができる。したがって従来技術のものより、装置の組立に要する作業時間の短縮を図ることができる。
【0026】
また本発明によれば、受け台は、ハウジングの一表面部に沿って移動可能に保持される。レーザーダイオードホルダーは、前記受け台に傾動可能に保持され、かつレーザーダイオードを支持する。特にレーザーダイオードホルダーが受け台に傾動可能に保持されていることで、光軸調整を容易に行うことができる。このようにレーザーダイオードの光軸調整および光軸の傾き調整を行うことができる。このような簡単な構造で、容易に光軸調整および光軸の傾き調整することができる。
【0027】
また本発明によれば、レーザーダイオードホルダーの一曲面部は受け台に臨み、反対側の他曲面部は押圧手段に臨む。他曲面部は押圧手段によって押圧されて保持され、一曲面部は受け台に当接して傾動する。このようにレーザーダイオードホルダーを受け台に当接した状態で、レーザーダイオードの光軸の傾き調整をすることができるうえ、その傾き調整後の状態を保持すべく押圧手段で押圧することができる。
【0028】
また本発明によれば、一曲面部の曲率半径と、他曲面部の曲率半径とが異なるので、次のような効果を奏する。受け台に臨む一曲面部の曲率半径を一定にし、押圧手段に臨む他曲面部の曲率半径を種々変更し、押圧手段およびレーザーダイオードに対し最適な他曲面部形状にすることができる。逆に他曲面部の曲率半径を一定にし、一曲面部の曲率半径を種々変更し、受け台に対し最適な一曲面部形状にすることができる。したがって設計変更が容易になる。それ故、設計変更に伴う時間短縮を図り、製作コストの低減を図ることができる。
【0029】
また本発明によれば、受け台に当接するレーザーダイオードホルダーの一曲面部の曲率半径を、他曲面部の曲率半径よりも小さくする。逆に言えば、他曲面部は、一曲面部よりも曲率半径が大きくなる。しかも前記他曲面部は、レーザーダイオードの大きさ等に基づいて曲率半径を決定する。他曲面部は一曲面部よりも曲率半径が大きくなるように形成されているので、光軸を傾き調整するとき、受け台に対し、レーザーダイオードホルダーを相対移動させる際の移動量を大きくすることができる。光軸の傾き角を調整するのに要するレーザーダイオードホルダーの相対移動量を大きくすることができる。これによって、光軸の微小な傾き調整を容易にかつ迅速に行うことができる。
【0030】
また本発明によれば、レーザーダイオードホルダーの一曲面部に臨む受け台の当接面を、円錐面形状に形成することで、次のような効果を奏する。前記受け台の円錐面部と、レーザーダイオードホルダーの一曲面部との間に隙間を形成することが可能となる。この隙間に接着剤を塗布し硬化することで、レーザーダイオードホルダーを受け台に強固に固定することが可能となる。
【0031】
また本発明によれば、押圧手段は、ハウジングに、前記キャップ部を介してレーザーダイオードを移動可能に押圧して保持する。レーザーダイオードを移動すべきとき換言すれば調整すべきとき、次のような作用および効果を奏する。レーザーダイオードは、押圧手段による押圧力でもって常にハウジングに押圧されているうえ、キャップ部を介してハウジングに対し相対的に移動する。前記押圧力に影響を受けることなく、ハウジングに対してレーザーダイオードを所定小距離移動し得る。特にレーザーダイオードを、そのキャップ部を介してハウジングに対し相対的にかつ直接的に移動することができるので、従来技術のものより部品点数を格段に低減することができる。その他請求項1と同様の効果を奏する。
【0032】
また本発明によれば、このようなレーザーダイオードの光軸調整構造を備える光ピックアップ装置を実現することができる。この光ピックアップ装置に搭載されるレーザーダイオードは、従来構造より簡単な構造で容易に光軸調整および光軸の傾き調整することができ、組立に要する作業時間の短縮を図ることができるので、次のような効果を奏する。光ピックアップ装置全体の組立および光軸調整時間の短縮を図ることができるうえ、従来のものより高品質の光ピックアップ装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光ピックアップ装置10を、光軸L1を含む仮想平面で切断して見た要部の断面図である。図2は、第1の実施形態に係る光ピックアップ装置10の要部の平面図である。図3は、ハウジング11と、レーザーダイオード支持手段12と、押圧手段13との関係を示す側面図である。第1の実施形態に係る光ピックアップ装置10(第1ピックアップ装置10と称す)は、コンパクトディスク(略称CD:Compact Disk)およびデジタルバーサタイルディスク(略称DVD:Digital
Versatile Disk)およびブルーレイディスク(略称BD:Blu Ray Disk)などの記録媒体に対して、レーザーダイオードの光を照射してその記録面に情報を記録する、あるいは記録媒体の記録面に書き込まれた情報を再生する装置に適用される。
【0034】
第1ピックアップ装置10は、光源としてのレーザーダイオード14、光軸調整構造、光学系、アクチュエータおよび受光素子を備えている。前記光軸調整構造は、レーザーダイオード14の光軸L1を調整する構造であり、主に、ハウジング11と、レーザーダイオードホルダー受け台15と、レーザーダイオードホルダー16と、第1および第2押え板17,18を含む押圧手段とを有する。レーザーダイオードホルダー受け台15は、「受け台」と同義である。
【0035】
ハウジング11には、少なくともレーザーダイオード14からの光路を確保すべく、孔部が形成されている。ハウジング11には、このハウジング11の一表面部11aに沿って受け台15が、一対の第1押え板17によって移動可能に保持されている。これら第1押え板17は、図1,2において矢符xにて表記するx方向に所定距離離隔して配設される。各第1押え板17は、弾性変形可能なばね材から成り、その一端部がねじ19によってハウジング11に固定されるとともに各第1押え板17の他端部が受け台15を押圧して保持するようになっている。各第1押え板17のx方向中間付近部は、これら一端部および他端部に対して直角に、かつ受け台15の厚み分曲げ形成されている。
【0036】
第1押え板17の他端部はx方向に切欠き形成され、前記他端部が後述する第2押え板18固定用のねじ20に干渉しないようになっている。換言すれば、受け台15は、一対の第1押え板17の他端部によってハウジング11に押圧されて保持された状態で、ハウジング11の一表面部11aに沿って移動可能になっている。前記x方向は、第1ピックアップ装置10の厚み方向に垂直な方向で、かつ前記一表面部11aに沿った方向と同義である。受け台15のx方向中間付近部には、ハウジング11の孔部に連なる受け台孔部が形成され光路が確保される。
【0037】
前記受け台15に傾動可能に保持され、かつレーザーダイオード14を支持するレーザーダイオードホルダー16が設けられている。これら受け台15およびレーザーダイオードホルダー16が、レーザーダイオード支持手段に相当する。つまり受け台15およびレーザーダイオードホルダー16によって、レーザーダイオード14を支持可能になっている。レーザーダイオードホルダー16には、受け台15に臨む受け台側球面凸部16aが形成されているうえ、第2押え板18に臨む押え板側球面凸部16bが形成されている。受け台側球面凸部16aが一曲面部に相当し、押え板側球面凸部16bが他曲面部に相当する。これら受け台側球面凸部16aおよび押え板側球面凸部16bは、レーザーダイオード14の発光点を略中心とする仮想球面に略沿って形成されている。受け台側球面凸部16aと押え板側球面凸部16bとは、曲率半径が異なるように形成されている。具体的には、押え板側球面凸部16bは、受け台側球面凸部16aよりも曲率半径が大きくなるように形成されている。
【0038】
受け台15には、受け台側球面凸部16aに当接する球面凹部15aが形成されている。受け台側球面凸部16aと球面凹部15aとは、摺動可能に構成される。ハウジング11に一体化された受け台15には、一対の第2押え板18がそれぞれねじ20によって固定されている。これら第2押え板18は、x方向にやや離隔して配設される。各第2押え板18は、弾性変形可能なばね材から成り、その一端部が前記ねじ20によって受け台15に固定されるとともに、他端部がレーザーダイオードホルダー16の押え板側球面凸部16bを押圧して保持するようになっている。これら第2押え板18の押圧力によって、レーザーダイオードホルダー16は、ハウジング11および受け台15に傾動可能に保持される。
【0039】
レーザーダイオード14を一表面部11aに沿って光軸調整するときは、レーザーダイオードホルダー16を光軸調整機の図示外のキャッチャーで掴み、受け台15、第2押え板18、レーザーダイオードホルダー16およびレーザーダイオード14が、第1押え板17によってハウジング11に保持された状態でハウジング11に対して相対的に移動する。レーザーダイオード14の光軸L1を傾き調整するときは、このままの状態(前記光軸調整直後の状態)から前記光軸調整機のキャッチャーによって、レーザーダイオード14の発光点を中心とする回転力を付与する。レーザーダイオードホルダー16およびレーザーダイオード14は、第2押え板18によって受け台15つまりハウジング11に保持された状態で、レーザーダイオードホルダー16の受け台側球面凸部16aと受け台15の球面凹部15aとが摺動する。これによってレーザーダイオード14の光軸L1の傾きを調整する。調整完了後、キャッチャーによる掴みを解除しても、第1および第2押え板17,18によって、レーザーダイオードホルダー16および受け台15は、調整後の姿勢を保持する。この調整後の姿勢を保持した状態で、後工程である接着工程に移行し得る。なお前記接着工程において、接着剤を用いてレーザーダイオードホルダー16を受け台15に強固に固定する。
【0040】
以上説明した光軸調整構造によれば、第1および第2押え板17,18は、ハウジング11に、レーザーダイオード支持手段12を移動可能に押圧して保持する。レーザーダイオード14およびレーザーダイオード支持手段12を移動すべきとき換言すれば調整すべきとき、次のような作用および効果を奏する。レーザーダイオード支持手段12は、第1および第2押え板17,18による押圧力でもって常にハウジング11に押圧されているうえ、ハウジング11に対し相対的に移動する。前記押圧力による影響を受けることなく、ハウジング11に対してレーザーダイオード支持手段12を所定小距離移動し得る。このようにレーザーダイオード14を、従来構造より簡単な構造で容易に光軸調整および光軸の傾き調整することができる。したがって従来技術のものより、装置の組立に要する作業時間の短縮を図ることができる。
【0041】
またレーザーダイオードホルダー16の受け台側球面凸部16aは、受け台15に臨み、反対側の押え板側球面凸部16bは第2押え板18に臨む。押え板側球面凸部16bは、第2押え板18によって押圧されて保持され、受け台側球面凸部16aは受け台15の球面凹部15aに当接して傾動する。このようにレーザーダイオードホルダー16を受け台15に当接した状態で、レーザーダイオード14の光軸L1の傾き調整をすることができるうえ、その傾き調整後の状態を保持すべく押圧手段で押圧することができる。
【0042】
レーザーダイオードホルダー16において、受け台側球面凸部16aの曲率半径と、押え板側球面凸部16bの曲率半径とが異なるので、次のような効果を奏する。受け台15に臨む受け台側球面凸部16aの曲率半径を一定にし、第2押え板18に臨む押え板側球面凸部16bの曲率半径を種々変更し、受け台15に対し最適な一球面形状にすることができる。したがって設計変更が容易になる。それ故、設計変更に伴う時間短縮を図り、製作コストの低減を図ることができる。押え板側球面凸部16bの曲率半径を、受け台側球面凸部16aの曲率半径よりも大きくなるように形成されている場合には、光軸L1を傾き調整するとき、受け台15に対し、レーザーダイオードホルダー16を相対移動させる際の移動量を大きくすることができる。光軸L1の傾き角を調整するのに要するレーザーダイオードホルダー16の相対移動量を大きくすることができる。これによって、光軸L1の微小な傾き調整を容易にかつ迅速に行うことができる。
【0043】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る光ピックアップ装置10Aを、光軸L1を含む仮想平面で切断して見た要部の断面図である。図5は、当接面が円錐面形状に形成された受け台15Aの要部を拡大して示す断面図である。ただし第1の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。第2の実施形態に係る光ピックアップ装置10Aの光軸調整構造において、受け台15Aは、レーザーダイオードホルダー16の受け台側球面凸部16aに臨む当接面が円錐面形状に形成されている。これによって、受け台15Aの円錐面部15bと、レーザーダイオードホルダー16の受け台側球面凸部16aとの間に隙間δを形成することが可能となる。この隙間δに接着剤を塗布し硬化することで、レーザーダイオードホルダー16を受け台15Aに強固に固定することが可能となる。
【0044】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る光ピックアップ装置10Bを、光軸L1を含む仮想平面で切断して見た要部の断面図である。第3の実施形態に係る光ピックアップ装置10Bにおいては、レーザーダイオード21の光軸調整構造は、ハウジング11と、レーザーダイオード21と、レーザーダイオードホルダー23と、押圧手段としての第1および第3押え板17,22とを有する。レーザーダイオード21のキャップ部21aは部分球面形状に形成される。第3押え板22は、ハウジング11に一体化されたレーザーダイオードホルダー23に、前記キャップ部21aを介してレーザーダイオード21を移動可能に押圧して保持する。レーザーダイオード21を移動すべきとき換言すれば調整すべきとき、次のような作用および効果を奏する。レーザーダイオード21は、第3押え板22による押圧力でもって常にハウジング11に押圧されているうえ、キャップ部21aを介してハウジング11に対し相対的に移動する。前記押圧力に影響を受けることなく、ハウジング11に対してレーザーダイオード21を所定小距離移動し得る。このようにレーザーダイオード21を光軸調整する。特にレーザーダイオード21を、そのキャップ部21aを介してハウジング11に対し相対的にかつ直接的に移動することができるので、従来技術のものより部品点数を格段に低減することができる。その他第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0045】
本発明の実施の他の形態として、受け台側球面凸部と押え板側球面凸部とは、曲率半径が同一となるように形成してもよい。第1の実施形態とは逆に、受け台側球面凸部の曲率半径を、押え板側球面凸部の曲率半径よりも大きくすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ピックアップ装置10を、光軸L1を含む仮想平面で切断して見た要部の断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る光ピックアップ装置10の要部の平面図である。
【図3】ハウジング11と、レーザーダイオード支持手段12と、押圧手段13との関係を示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る光ピックアップ装置10Aを、光軸L1を含む仮想平面で切断して見た要部の断面図である。
【図5】当接面が円錐面形状に形成された受け台15Aの要部を拡大して示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る光ピックアップ装置10Bを、光軸L1を含む仮想平面で切断して見た要部の断面図である。
【図7】従来の光ピックアップ装置の光軸調整構造の要部を示す平面図である。
【図8】従来の光ピックアップ装置の光軸調整構造の要部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 光ピックアップ装置
11 ハウジング
12 レーザーダイオード支持手段
13 押圧手段
14 レーザーダイオード
15 受け台
16 レーザーダイオードホルダー
16a 受け台側球面凸部
16b 押え板側球面凸部
17,18 第1および第2押え板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
レーザーダイオードを支持可能なレーザーダイオード支持手段と、
ハウジングに、レーザーダイオード支持手段を移動可能に押圧して保持する押圧手段とを有することを特徴とするレーザーダイオードの光軸調整構造。
【請求項2】
レーザーダイオード支持手段は、ハウジングの一表面部に沿って移動可能に保持される受け台と、この受け台に傾動可能に保持され、かつレーザーダイオードを支持するレーザーダイオードホルダーとを備えることを特徴とする請求項1に記載のレーザーダイオードの光軸調整構造。
【請求項3】
レーザーダイオードホルダーには、受け台に臨む一曲面部および押圧手段に臨む他曲面部が形成され、これら一曲面部および他曲面部は、レーザーダイオードの発光点を略中心とする仮想球面に略沿って形成されていることを特徴とする請求項2に記載のレーザーダイオードの光軸調整構造。
【請求項4】
レーザーダイオードホルダーの一曲面部と他曲面部とは、曲率半径が異なることを特徴とする請求項3に記載のレーザーダイオードの光軸調整構造。
【請求項5】
レーザーダイオードホルダーの他曲面部は、一曲面部よりも曲率半径が大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレーザーダイオードの光軸調整構造。
【請求項6】
受け台は、レーザーダイオードホルダーの一曲面部に臨む当接面が円錐面形状に形成されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1つに記載のレーザーダイオードの光軸調整構造。
【請求項7】
ハウジングと、
キャップ部が部分球面状に形成されるレーザーダイオードと、
ハウジングに、前記キャップ部を介してレーザーダイオードを移動可能に押圧して保持する押圧手段とを有することを特徴とするレーザーダイオードの光軸調整構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のレーザーダイオードの光軸調整構造を備える光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−41042(P2006−41042A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216226(P2004−216226)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】